説明

楽曲選択補助システム

【課題】カラオケ利用者による楽曲の選択を好適に補助し、利用者満足度を向上させるために、利用者の属性情報における属性項目の緻細な区分に基づく情報を提供し、より容易かつ効率的に楽曲選択が補助できるシステムの提供。
【解決手段】利用者の属性情報に当該利用者IDを紐付けして記録するための第1記録手段(18)と、利用者が演奏させた楽曲を、その属性情報の属性項目にて分類すると共に、さらに所定の設定条件にて区分し、この区分に基づいて楽曲のランキング化したリストファイルを作成するためのランキング演算手段(15)と、このリストファイルを記録するための第2記録手段(19)と、カラオケ演奏端末での楽曲選択に際し、利用者が指定した属性項目の区分内容に応じ、そのリストファイルを表示させるために、カラオケ演奏端末に対してリストファイルを転送するためのデータ転送処理手段(16)を有するシステムを構築した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケ利用者による楽曲の選択を補助するためのシステムに関し、さらに詳しくは、利用者が歌唱した演奏ログ情報を収集し、各利用者の属性情報に基づき、利用者が指定した設定条件による楽曲のランキング情報を提供するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信カラオケの施設が全国的な広がりを見せ、データ記録技術や通信技術の発展により、カラオケ利用者に対して、種々の条件にて所望する楽曲を容易かつ効率的に検索できるようにしたサービスが生まれている。具体的には、所定のデータベースを内蔵したカラオケリモコン装置が提供する種々の検索コンテンツがある。そして、現在では、この検索コンテンツに加え、楽曲の選択を補助するための楽曲リスト表示も行われているが、利用者による楽曲の選択を好適に補助し、利用者の満足度を向上させるためには、今後、さらに工夫した楽曲の選択を補助できるサービスを提供する必要がある。
【0003】
従来、カラオケ利用者が楽曲を選択するにあたり、所定数の楽曲名を表示して楽曲選択を補助するサービスが行われている。表示する楽曲を抽出する手法としては、例えば、楽曲に各年代にヒットした付属情報を付加し、当該利用者の馴染みのある年代を検索条件とすることなどが知られている。これに関連して、特許文献1では、各年代にヒットした楽曲を所定数表示させるにしても、当該ヒット曲が高度な歌唱力を要するようなものは利用者にとって必ずしも歌唱したい楽曲ではないことから、利用者が唄い易く、歌唱したい楽曲を抽出する手法が開示されている。
【特許文献1】特開平11−52965号公報
【0004】
上記特許文献1は、全国的な利用者の歌唱履歴を反映した楽曲の推薦を目的としたカラオケシステムに関するもので、これは、推薦曲を抽出する手法の一例として、楽曲毎に選曲者属性数値を対応付けし、歌唱された選曲者属性数値に近似した選曲者属性数値の楽曲を所定数抽出するというものである。この選曲者属性数値は、演奏された楽曲に歌唱した顧客の氏名、性別、年齢等と関連付けられた利用者IDを対応付けた演奏履歴を記憶し、これらを全国的に収集した演奏履歴データに基づいて、楽曲毎に各利用者の男性比率、若者比率、地元比率、人気比率で演算させることが示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されている手法で抽出される推薦曲は、要約すれば、所定の楽曲が歌唱された後に歌唱される頻度の高い楽曲であり、属性数値が近似した利用者にとっては歌唱可能でよく歌唱されている楽曲が示されることで、好適に選択を補助できるものの「直後に歌唱される頻度の高い楽曲」という曖昧さや、利用者の個性が強く反映されてしまう面もあって、利用者満足度の面では十分とは言えない。
【0006】
そこで、本発明は、カラオケ利用者による楽曲の選択を好適に補助し、利用者満足度を向上させるために、利用者の属性情報における属性項目の緻細な区分に基づく情報を提供し、より容易かつ効率的に楽曲選択が補助できるシステムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を鑑み、本発明者は、各カラオケ演奏端末より送られた利用者IDとこれに紐付けされた楽曲コードを含んだ演奏ログにより、当該利用者が演奏させた楽曲を、当該利用者IDの属性情報の内、少なくとも一つの属性項目で分類すると共に、当該属性項目をさらに所定の設定条件にて区分し、この区分に基づいてその楽曲をランキング化したリストファイルを作成し、任意のカラオケ演奏端末での楽曲選択に際し、利用者が指定した属性項目の区分内容に応じ、そのリストファイルを表示させるために、カラオケ演奏端末に対して適時にリストファイルを転送するシステムを構築することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明の楽曲選択補助システムを想到した。
【0008】
すなわち、本発明の請求項1記載の楽曲選択補助システムは、利用者IDの認識手段を備えるカラオケ演奏端末と所定の通信ネットワークを介して接続され、利用者によるカラオケ楽曲の選択を補助するためのシステムであって、
(ア)利用者の属性情報に当該利用者IDを紐付けして記録するための第1記録手段と、
(イ)前記各カラオケ演奏端末より送られた利用者IDとこれに紐付けされた楽曲コードを含んだ演奏ログにより前記第1記録手段を参照し、当該利用者が演奏させた楽曲を、前記属性情報の内、少なくとも一つの属性項目で分類すると共に、当該属性項目をさらに所定の設定条件にて区分し、この区分に基づいて前記楽曲をランキング化したリストファイルを作成するためのランキング演算手段と、
(ウ)前記ランキング演算手段をもってランキング化したリストファイルを記録するための第2記録手段と、
(エ)任意のカラオケ演奏端末での楽曲選択に際し、利用者が指定した前記属性項目の区分内容に応じ、前記リストファイルを表示させるために、当該カラオケ演奏端末に対して適時に前記第2記録手段に記録されている前記リストファイルの全部または一部を転送するためのデータ転送処理手段と、
を有することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の請求項2記載の楽曲選択補助システムは、請求項1記載のシステムにおいて、前記利用者の属性項目が、利用者の年齢、性別、住所地、職業の何れかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1記載の楽曲選択補助システムによれば、通信ネットワークを介して各カラオケ演奏端末から収集した各利用者の属性情報を所定の属性項目で分類すると共に、当該属性項目をさらに所定の設定条件にて区分して楽曲をランキング化することで、利用者が興味を示す属性項目の区分に基づくランキング情報が提供できることから、より容易かつ効率的に楽曲選択ができ、利用者満足度が向上されるなどといった効果を奏する。
【0011】
さらに、本発明の請求項2記載の楽曲選択補助システムによれば、利用者の属性情報における属性項目が利用者の年齢、性別、住所地、職業の何れかであることから、一般的な利用者にとって馴染み深くて分かり易く、さらに、所定の設定条件にての身近な区分、例えば、年齢の年代別、男女の性別、住所地の都道府県別、職業の種別等々により、利用者の興味をさらに掻き立てることができるなどといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の楽曲選択補助システムにつき好適な実施例を挙げて説明するが、先ず、ここで、図1に示す、本発明の楽曲選択補助システムのネットワーク模式図に基づき、本システムに関連する全体構成について説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の楽曲選択補助システムに関連する概略的な全体構成を示すもので、本実施例のシステムはカラオケホスト装置(1)を主体として構成されている。このカラオケホスト装置(1)は、一般公衆電話回線やこれを用いたインターネットやADSLあるいはLANなどの通信ネットワーク(5)を介して各カラオケ演奏端末(2,2…)に接続されている。具体的には、カラオケ事業者が管理するVPN(Virtual
Private Network)を用いて、カラオケホスト装置(1)と各カラオケ演奏端末(2)がルータ(6)を介して接続され、各ルータ(6,6…)は、その内蔵するDHCP(Dynamic
Host Configuration Protocol)サーバ機能によって、各カラオケ演奏装置(2,2…)にIPアドレスを割り当て、それらのMAC(Media
Access Control)アドレスとIPアドレスとを対応付けしたテーブルを作成して通信処理をしている。
【0014】
図6にて後述するが、カラオケ演奏端末(2)には大容量のハードディスク装置が備えられており、これには多数のカラオケ楽曲のMIDIデータを主体とした楽曲データや、歌詞画像の生成起源となる映像データなどを含むカラオケデータ、さらには、所定形式の長時間分の動画データや動画データの処理シーケンス(処理すべき背景動画データの記録場所と処理順番)を規定した台本データや演奏可能なカラオケ楽曲についての曲名やアーティスト名、発表年、歌詞の歌い出し部分などの目次情報が記録されている。
【0015】
そして、カラオケ演奏端末(2)には、楽曲検索機能を備えた多機能カラオケリモコン装置(3)が付帯されており、このリモコン装置(3)をもって、利用者は赤外線信号によりカラオケ演奏端末(2)に所望の演奏予約コマンドを送信する。本実施例のリモコン装置(3)には、その内蔵2次電池に充電するための専用架台が必要であるが、この専用架台には、充電手段の他、利用者IDを認識し、当該利用者の本システムへのログインを確認するための利用者IDの認識手段(4)が付帯されている。なお、本実施例では、リモコン装置の専用架台に利用者IDの認識手段(4)が付帯されているが、本発明は、これを特に限定するものでなく、利用者IDの認識手段(4)は、リモコン装置本体に装着されていたり、カラオケ演奏端末本体に装着されていても構わない。
【0016】
また、本実施例での利用者IDの認識手段とは、上記のように、専用架台が付帯した非接触ICモジュール搭載のIDカードの読み取り/書き込み装置であり、カードIDに紐付けされた利用者IDを特定するものであるが、この他にも、例えば、ICモジュールを携帯電話に内蔵させたIC機能付き携帯電話や、近距離無線通信手段であるブルートゥース(blue
tooth)機構を有する携帯電話、あるいはパスワードの入力装置や指紋や声紋などの生体識別機能に依る機構の利用者認識手段を利用しても良い。
【0017】
次に、図2に示す、本システムを包含するカラオケホスト装置のブロック構成図に基づき、請求項1記載の枕詞および(ア)〜(エ)の構成について詳述する。
【0018】
図2に示すように、本実施例のカラオケホスト装置(1)は本システムを包含して構成されており、バスライン(10)に接続された機能手段として、中央制御手段(11)、通信制御手段(12)、RAM(13)、リスト作成手段(14)、ランキング演算手段(15)、データ転送処理手段(16)、データベース管理手段(17)などに加えて、利用者管理用テーブル(T1)に基づき構成される第1記録手段を成す利用者データベース(18)や、ランキングテーブル(T2)に基づき構成される第2記録手段を成すランキングデータベース(19)などを備える。
【0019】
ここで、上記各機能手段について少々説明する。先ず、中央制御手段(11)は、本システムを含めてカラオケホスト装置(1)を統括的に制御するもので、例えば、物理的なCPUに制御のためのプログラムが記録され、当該プログラムはRAM(13)に展開されて実行される。次に、通信制御手段(12)は、通信ネットワーク(5)を介して接続された各カラオケ演奏端末の間で、定められた通信プロトコルによって通信を行うためのもので、通信ネットワーク(5)の通信方式と整合性をとるためのツール、例えば、通信用回路といったハードウエアやプラットフォームなどのソフトウエアなどにより構成される。また、RAM(13)は、種々のプログラムを展開、実行させるための作業領域としての役割を担い、例えば、半導体メモリで構成され、仮想的にハードディスク上に構築される場合を含む概念である。
【0020】
リスト作成手段(15)は、各カラオケ演奏端末より、利用者IDとこれに紐付けされた楽曲コードを含んだ演奏ログに基づき、各利用者による持ち歌の楽曲として当該利用者の利用者ID毎にユーザリストを作成して所定のデータベース(図示省略)に記録するものである。さらに、ランキング演算手段(15)は、これと同様に、各カラオケ演奏端末より送られてくる演奏ログから、後述する利用者データベース(18)を参照し、利用者IDの属性情報の内、少なくとも一つの属性項目を分類対象とし、その属性項目のさらに所定の設定条件による区分に基づき、それぞれの楽曲をランキング化したリストファイルを作成する。そして、このランキング演算手段(15)をもってランキング化したそれぞれのリストファイルはランキングデータベース(19)に記録される。
【0021】
データ転送処理手段(16)は、任意のカラオケ演奏端末での楽曲選択に際し、利用者が指定した属性項目の区分内容に応じ、そのリストファイルを表示させるため、当該カラオケ演奏端末に対して適時にランキングデータベース(19)に記録されているリストファイルの全部または一部を転送するものである。そして、データベース管理手段(17)は、利用者データベース(18)およびランキングデータベース(19)に対して統括的に、その蓄積データの追加、更新、削除、抽出などを行う。
【0022】
以下、図3に示す、利用者管理用テーブルの概念的構成図、図4に示す、ランキングテーブルの概念的構成図、図5に示す、属性項目とその区分の組み合わせ例に基づき、請求項1記載の(ア)から(ウ)の構成および請求項2記載の構成について詳述する。
【0023】
先ず、第1記録手段を成す上記利用者データベース(18)には、各利用者ID登録の際、登録用フォーマットなどに利用者が記載した内容に基づき、各利用者の属性情報が予め入力され記録されている。その属性情報の属性項目とは、本実施例の場合、具体的には、図3の利用者管理用テーブル(T1)の概念的構成図に示されている。すなわち、この利用者管理用テーブル(T1)は、利用者を特定するための「利用者ID」フィールド(f1)、この利用者IDに紐付けされ、利用者の氏名を示す「氏名」フィールド(f2)、利用者の性別を示す「性別」フィールド(f3)、利用者の生年月日を示す「生年月日」フィールド(f4)、この生年月日に基づいて算出した利用者の年齢を示す「年齢」フィールド(f5)、利用者の職業を示す「職業」フィールド(f6)、利用者の電話番号を示す「電話番号」フィールド(f7)、利用者の居住地を特定するための「住所地」フィールド(f8)、そして、利用者を特定するための顔写真を示す「写真」フィールド(f9)などから主に構成されている。
【0024】
一方、第2記録手段を成す上記ランキングデータベース(19)は、通信ネットワーク(5)に接続された各カラオケ演奏端末より送られた利用者IDとこれに紐付けされた楽曲コードを含んだ演奏ログにより上記利用者データベース(18)を参照し、リストファイルを記録するためのものである。通常、この演奏ログには利用者が演奏させた楽曲を特定できる楽曲コードが含まれており、その楽曲と紐付けした利用者IDの属性情報の内、少なくとも一つの属性項目(例えば、「年齢」)で分類すると共に、当該属性項目をさらに所定の設定条件(例えば、「10代」、「20代」、「30代」…)にて区分し、この区分に基づいてランキング演算手段(15)が楽曲をランキング化したリストファイルを作成し、このリストファイルを記録する。
【0025】
このランキングデータベース(19)は、図4に示す、ランキングテーブル(T2)に基づいて構成されている。本実施例のランキングテーブル(T2)は、分類対象とする利用者の属性項目を特定するための「属性項目」フィールド(f10)、その属性項目を区分するための所定の設定条件を示す「区分」フィールド(f11)、この区分に基づいてランキング化した結果のランキング順位を示す「順位」フィールド(f12)、このランキング順位を決めるための元データであり、所定期間中において利用者が演奏させた楽曲コードを含んだ演奏ログに基づき、それぞれの楽曲の演奏回数から算出した演奏頻度を示す「頻度」フィールド(f13)、さらに、それぞれのランキング順位に相当する楽曲を特定するための「楽曲コード」フィールド(f14)、それぞれの楽曲の曲名を示す「曲名」フィールド(f15)、それぞれの楽曲に関連するアーティストを特定するための「アーティスト」フィールド(f16)などから主に構成されている。
【0026】
本実施例では、ランキング化の分類対象とする利用者の属性情報を「年齢」(f10a)、(f10b)としており、さらに、この「年齢」は、所定の設定条件にて区分される。具体的には、例えば、図4の(A)では、区分が「10歳未満」(f11a)と設定され、(B)では、区分が「10歳〜19歳」(f11b)と設定されている。ここでは全てを図示しないが、本実施例では、「年齢」を「10代未満」、「10代」、「20代」、「30代」、「40代」、「50代」、「60代」、「70代」、「80代以上」の設定条件にて区分している。そして、それぞれの区分に基づき、ランキング演算手段がランキング化したリストファイルを記録するが、これは、各カラオケ演奏端末より送られた利用者IDとこれに紐付けされた楽曲コードを含んだ演奏ログにより、図3に示す、利用者管理用テーブル(T1)の「年齢」フィールド(f5)を参照して行われる。
【0027】
本実施例では属性情報を「年齢」という一つの属性項目で分類しているが、勿論、本発明は一つの属性項目に限定されない。図5には、属性項目とその区分の組み合わせ例が示されている。例えば、図5の(a)の例では、分類対象とする「属性項目」フィールド(f10)には「年齢」と「性別」の2つが採用されている。また、(b)の例では、「年齢」と「性別」および「住所地」の3つが採用されている。さらに、(c)の例では、「年齢」と「性別」と「住所地」および「職業」の4つが採用されている。そして、各属性項目をさらに所定の設定条件にて区分している。属性項目とその区分の組み合わせ例として、具体的には、図5の(a)、(b)、(c)の各「区分」フィールド(f11)に示すように、属性項目の「年齢」に対して「30歳〜39歳」が、「性別」に対して「男」が、「住所地」として「茨城県」が、「職業」に対して「医師」が、それぞれ条件設定されている。このように、分類対象とする属性項目を多岐に採用し、それぞれの区分と組み合わせることで、利用者に対し、より緻細なランキング情報を提供できる。
【0028】
本発明では、利用者の属性情報における属性項目の種別を特に限定するものではないが、属性項目を、一般的な利用者にとって馴染み深い、利用者の年齢、性別、住所地、職業とすることにより、より分かり易くなり、さらに、所定の設定条件にての区分、例えば、年齢の年代別(10代、20代、30代…)、性別(男、女)、住所地の都道府県別(東京都、千葉県、埼玉県…)、職業の種別(会社員、公務員、医師、弁護士、タレント、…)等々により、利用者の興味をさらに掻き立てることができる。勿論、この他、利用者の生年月日から割り出した星座や四柱推命、あるいは、利用者の血液型の属性情報など、利用者の興味を掻き立てるのものであっても好ましい。
【0029】
以下、図6に示す、カラオケ演奏端末のブロック構成図と、図7に示す、利用者による条件設定画面およびリストファイルの表示画面に基づき、本システムの利用方法および請求項1記載の(エ)の構成について詳述する。
【0030】
先ず、図6に基づき、本システムにかかわるカラオケ演奏端末について少々説明する。カラオケ演奏端末(2)は、装置全体の動作を制御する中央制御手段(20)と、これに接続された各種機器にて主に構成される。具体的には、この中央制御手段(20)には、ハードディスク(21)、RAM(22)、音源(シンセサイザ:23)、ミキサ(エフェクタ:24)、ボーカルアダプタ(29)、MPEGデコーダ(30)、合成回路(31)、利用者IDの認識手段であるIDカード読み取り/書き込み装置(4)などが接続されている。また、ハードディスク(21)には、本システムに演奏ログとして送信する情報などとして、利用者IDデータ(37)や、利用者が演奏させた楽曲を特定したり、演奏予約時にカラオケ楽曲を特定したりするための楽曲コードデータ(38)、さらには、カラオケ楽曲の演奏データである楽曲データ(39)やその背景映像の映像データ(40)の他、本システムより転送されたランキング化したリストファイルデータ(41)などを記録している。
【0031】
リストファイルデータ(41)は、本システムのランキング演算手段により、ランキング化の分類対象として設定された属性項目とその区分の組み合わせにより、通常、多数のパターンで作成されたファイルデータの集合体からなり、本システムのデータ転送処理手段によるカラオケホスト装置からの転送データにより随時更新されるが、これは、利用者による楽曲選択に際して、オンデマンド処理にて、その都度転送されたものであったり、あるいは、予め適宜のタイミングで各カラオケ演奏端末に全てのランキング情報のリストファイルを転送して蓄積されたものであっても構わない。
【0032】
音源(23)は、中央制御手段(20)が実行するシーケンサ(35)における楽曲シーケンサの処理によって入力された楽曲データに応じて楽音信号を形成する。形成された楽音信号はミキサ(24)に入力され、このミキサ(24)は、音源(23)が発生した複数の楽音信号やカラオケマイク(27)と、A/Dコンバータ(28)を介して入力された利用者の歌唱音声信号を適当なバランスでミキシングする。ミキシングされたデジタル音声信号はサウンドシステム(SS:25)に入力される。このサウンドシステム(25)はパワーアンプを備えており、入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換して増幅し、スピーカ(26)から楽音と歌唱音声を放音する。
【0033】
ハードディスク(21)に記録されている映像データ(40)やリストファイルデータ(41)は、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式にエンコードされており、中央制御手段(20)が実行する映像・画像再生手段(図示省略)によって処理を行い、これを読み出してMPEGデコーダ(30)に入力する。映像データ(40)の場合、このMPEGデコーダ(30)は、入力されたMPEGデータをNTSCの映像信号に変換して合成回路(31)に入力し、この合成回路(31)は、この背景映像の映像信号上に歌詞テロップや採点表示などのOSDを合成し、合成された映像信号を表示手段(32)に表示する。一方、リストファイルデータ(41)の場合、リストファイル表示手段(36)により、利用者が指定した属性項目の区分内容に応じたリストファイルを、表示手段(32)ないしリモコン装置(3)付帯のLCDに表示させるが、このリストファイル表示手段(36)は、カラオケ演奏端末本体ではなく、その付帯するリモコン装置(3)内に組み込まれていても構わない。
【0034】
利用者がカラオケ演奏端末での楽曲選択に際して、通常、カラオケ演奏端末が付帯する楽曲検索機能を備えたリモコン装置が利用される。このリモコン装置内には所定のデータベースが構築されていると共にGUI(Graphical
User Interface)機能を備えており、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)とタッチセンサとを積層した入出力用の利用者インタフェイスにより、利用者が楽曲選択などのデータを入力できるものであり、本システムもこの機能を利用するのが最も好適である。
【0035】
以下、上記リモコン装置の利用者インタフェイスに基づき、本システムの具体的な利用方法について説明する。先ず、図7の(A)に示すのは、本システムを利用してランキング情報を得る場合の利用者による条件設定画面(D1)である。この画面(D1)には、ランキング化の分類対象とする属性項目として、「年代」、「職業」、「性別」、「住所」が採用されており、さらに、それぞれの区分を条件設定可能とした設定カラム(d1)が設けられている。利用者はこの設定カラム(d1)に設けられた各属性項目における所望する設定条件チェックボックスにチェックを入れて指定することにより、所望のランキング情報を得ることができる。なお、この時、利用者は、全てのチェックボックスにチェックを入れる必要はなく、利用者が未設定の属性項目は除外されて判断される。
【0036】
図7の(B)に示すのは、上記条件設定により特定されたランキング情報検索画面(D2)である。この画面(D2)には、利用者が設定した条件を示す「設定条件」カラム(d2)やランキング情報を示すリストファイル(d3)が表示される。利用者は、このリストファイル(d3)を確認することにより、自らが設定した条件において、それぞれの楽曲の一般的な人気の程度を参考にしながら、最も所望する楽曲を効率的に選択することができる。
【0037】
以上、詳述したように、本発明の楽曲選択補助システムによれば、通信ネットワークを介して各カラオケ演奏端末から収集した各利用者の属性情報を所定の属性項目で分類すると共に、当該属性項目をさらに所定の設定条件にて区分して楽曲をランキング化することで、利用者が興味を示す属性項目の区分に基づくランキング情報が提供できることから、より容易かつ効率的に楽曲選択ができ、利用者満足度が向上される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の楽曲選択補助システムのネットワーク模式図。
【図2】本システムを包含するカラオケホスト装置のブロック構成図。
【図3】利用者管理用テーブルの概念的構成図。
【図4】ランキングテーブルの概念的構成図。
【図5】属性項目とその区分の組み合わせ例。
【図6】カラオケ演奏端末のブロック構成図。
【図7】利用者による条件設定画面およびリストファイルの表示画面。
【符号の説明】
【0039】
1 カラオケホスト装置
2 カラオケ演奏端末
3 カラオケリモコン装置
4 利用者IDの認識手段
5 通信ネットワーク
11 中央制御手段
12 通信制御手段
13 RAM
15 ランキング演算手段
16 データ転送処理手段
18 利用者データベース(第1記録手段)
19 ランキングデータベース(第2記録手段)
T1 利用者管理用テーブル
T2 ランキングテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者IDの認識手段を備えるカラオケ演奏端末と所定の通信ネットワークを介して接続され、利用者によるカラオケ楽曲の選択を補助するためのシステムであって、
(ア)利用者の属性情報に当該利用者IDを紐付けして記録するための第1記録手段と、
(イ)前記各カラオケ演奏端末より送られた利用者IDとこれに紐付けされた楽曲コードを含んだ演奏ログにより前記第1記録手段を参照し、当該利用者が演奏させた楽曲を、前記属性情報の内、少なくとも一つの属性項目で分類すると共に、当該属性項目をさらに所定の設定条件にて区分し、この区分に基づいて前記楽曲をランキング化したリストファイルを作成するためのランキング演算手段と、
(ウ)前記ランキング演算手段をもってランキング化したリストファイルを記録するための第2記録手段と、
(エ)任意のカラオケ演奏端末での楽曲選択に際し、利用者が指定した前記属性項目の区分内容に応じ、前記リストファイルを表示させるために、当該カラオケ演奏端末に対して適時に前記第2記録手段に記録されている前記リストファイルの全部または一部を転送するためのデータ転送処理手段と、
を有することを特徴とする楽曲選択補助システム。
【請求項2】
前記利用者の属性項目が、利用者の年齢、性別、住所地、職業の何れかであることを特徴とする請求項1記載の楽曲選択補助システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図3】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−98999(P2006−98999A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288001(P2004−288001)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】