説明

楽音再生装置およびプログラム

【課題】ユーザが行っている運動に適した楽曲再生の制御を行う技術を提供する。
【解決手段】ユーザの運動に応じた運動情報がテンポ入力操作子において検出されて本体装置に逐次送信される。本体装置は、テンポ入力操作子から送信される運動情報を受信し、受信した各運動情報に基づいて、ユーザが行っている運動のペースを表す運動テンポを算出する。本体装置は、運動種別毎の運動テンポが設定された設定情報と、各運動種別に対応する楽曲データを記憶しており、算出した運動テンポと設定情報とからユーザが行った運動の運動種別を推定する。本体装置は、推定した運動種別に対応する楽曲データを選択し、その楽曲データの再生を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲の再生速度を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
操作者が操作端末を動かすタイミングに応じて、再生する音楽のテンポを調整する技術が下記特許文献1に開示されている。この技術は、操作者によって操作端末が動かされたタイミングの時間間隔が、設定された時間間隔より短ければ音楽に設定されている通常のテンポより速く当該音楽を再生し、操作者が設定した時間間隔より長ければ音楽の通常のテンポより遅くして当該音楽を再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】2002−341865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、音楽を聴きながら運動する場合には、運動前にユーザ自身で曲の選択を行って運動を開始するが、選択する曲によっては、運動の開始後、自分が行っている運動の種類や運動のペースに曲が合っていないと感じる場合がある。自分が行っている運動と合っていない曲を聴きながら運動を行った場合、運動ペースが乱れるなど運動の妨げになることがある。
本発明は、ユーザが行っている運動に適した楽曲再生の制御を行う技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る楽音再生装置は、各運動種別に対応する楽曲データを記憶する楽曲情報記憶手段と、前記運動種別毎に、運動の特性を表す予め定義されたパラメータを設定情報として記憶する設定情報記憶手段と、利用者に装着又は把持され、利用者の運動状態を表す物理量の運動情報を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された運動情報に基づいて前記パラメータを算出する算出手段と、前記算出手段により算出された前記パラメータと前記設定情報とに基づいて、前記利用者が行った運動の運動種別を推定する推定手段と、前記推定手段により推定された前記運動種別に対応する前記楽曲データを前記楽曲情報記憶手段から選択し、選択した楽曲データを再生手段に再生させる再生制御手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の請求項2に係る楽音再生装置は、請求項1に記載の楽音再生装置において、前記設定情報記憶手段は、前記運動種別の運動のペースを表す運動テンポを含む設定情報を記憶し、前記算出手段は、前記検出手段によって検出された運動情報に基づいて、前記利用者が行っている運動の運動テンポを算出し、前記推定手段は、前記算出手段により算出された運動テンポと前記設定情報とに基づいて、前記利用者が行った運動の運動種別を推定することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項3に係る楽音再生装置は、請求項1又は請求項2に記載の楽音再生装置において、前記検出手段が検出した前記運動情報を積算する対象範囲を表す積算パラメータを前記運動種別毎に記憶する記憶手段を有し、前記再生制御手段は、前記楽曲データの再生中に前記検出手段が検出した時系列の前記運動情報のうち、一定の条件を満たす運動情報が検出されたタイミング以前の運動情報を、前記運動種別に対応する前記積算パラメータに基づいて積算し、その積算値に応じた音量レベルに制御することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項4に係る楽音再生装置は、請求項2又は請求項3に記載の楽音再生装置において、前記算出手段は、前記楽曲データの再生中において前記検出手段が検出した前記利用者の運動情報に基づいて、当該楽曲データの再生中における当該利用者の運動テンポを算出し、前記再生制御手段は、前記算出手段によって算出された前記運動テンポに基づいて、再生中の前記楽曲データのテンポを制御することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項5に係るプログラムは、コンピュータを、各運動種別に対応する楽曲データを記憶する楽曲情報記憶手段と、前記運動種別毎に、運動の特性を表す予め定義されたパラメータを設定情報として記憶する設定情報記憶手段と、利用者に装着又は把持され、利用者の運動状態を表す物理量の運動情報を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された運動情報に基づいて前記パラメータを算出する算出手段と、前記算出手段により算出された前記パラメータと前記設定情報とに基づいて、前記利用者が行った運動の運動種別を推定する推定手段と、前記推定手段により推定された前記運動種別に対応する前記楽曲データを前記楽曲情報記憶手段から選択し、選択した楽曲データを再生手段に再生させる再生制御手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係る楽音再生装置によれば、ユーザが行っている運動に応じた楽曲データを再生することができる。
【0011】
本発明の請求項2に係る楽音再生装置によれば、ユーザが行っている運動のペースによってユーザが行っている運動の種別を推定し、当該運動の種別に応じた楽曲データを再生することができる。
【0012】
本発明の請求項3に係る楽音再生装置によれば、再生中の楽曲データの音量をユーザの運動状態に応じて制御することができる。
【0013】
本発明の請求項4に係る楽音再生装置によれば、再生中の楽曲データのテンポをユーザの運動状態に応じて制御することができる。
【0014】
本発明の請求項5に係るプログラムによれば、ユーザが行っている運動に応じた楽曲データを再生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態に係る楽音再生装置の構成例を示す図である。
【図2】(a)は、実施形態に係るテンポ入力操作子の構成を表すブロック図である。(b)は、実施形態に係る本体装置の構成を表すブロック図である。
【図3】(a)は、実施形態に係る楽曲情報の構成例及びデータ例を示す図である。(b)は、実施形態に係る音量制御情報の構成例及びデータ例を示す図である。(c)は、実施形態に係るユーザ設定情報の構成例及びデータ例を示す図である。
【図4】実施形態に係る初期設定処理の動作フローを示す図である。
【図5】実施形態に係る再生制御処理の動作フローを示す図である。
【図6】実施形態に係る音量制御処理の動作フローを示す図である。
【図7】実施形態における音量制御処理を説明するための図である。
【図8】(a)及び(b)は、変形例(6)の再生制御処理を説明する図である。
【図9】変形例(7)に係るユーザ設定情報の構成例及びデータ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<概要>
図1は、本発明の実施形態に係る楽音再生装置の構成例を示している。本実施形態の楽音再生装置1は、テンポ入力操作子10と本体装置20とで構成されている。図1に示すように、テンポ入力操作子10は、ユーザの腕、足、首、胴等の部位に装着可能なベルト2の内部に設けられる。本体装置20は、携帯音楽プレーヤー、携帯電話機、PDA等の携帯機器で実現され、携帯機器の音声出力端子にはイヤホン20aが接続されている。本実施形態では、腹筋、ウォーキング、ジョギング等の運動種別毎に、予め、ユーザがその運動時に周期的に動かす部位にテンポ入力操作子10を装着して、自分が所望するペースで運動を行う。楽音再生装置1は、その運動時にユーザがテンポ入力操作子10を周期的に動かす単位時間当たりの回数(以下、運動テンポと言う)を、ユーザが行った運動に対応する運動テンポとして設定する初期設定処理を行う。また、楽音再生装置1は、初期設定処理後、ユーザがテンポ入力操作子10を装着して運動を行った際、当該運動における運動テンポからユーザが行っている運動の種別を推定し、推定した運動の種別に応じた楽曲データの再生制御処理を行う。以下、本実施形態に係る楽音再生装置1の詳細について説明する。
【0017】
<構成>
(テンポ入力操作子10)
図2(a)は、テンポ入力操作子10の構成例を示すブロック図である。テンポ入力操作子10は、検出部11、通信部12、操作部13及び制御部14を有する。検出部11は、3軸(xyz)の加速度センサを有し、テンポ入力操作子10がユーザによって動かされたときの各軸方向に加わる一定時間毎(例えば5msec)の加速度を表す加速度データ(ax,ay,az)を検出して出力する。なお、本実施形態では、ユーザの運動状態を表す物理量を検出する検出手段の一例として加速度センサを用いる例を説明するが、例えば、速度センサなど、ユーザの運動状態を表す物理量を検出するセンサであればこれに限らない。
【0018】
通信部12は、無線LANやBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した通信手段であり、本体装置20との間で通信を確立してデータ通信を行う。操作部13は、テンポ入力操作子10の電源(図示略)のオンオフを切替えるスイッチを有し、電源のオンオフの切替操作を受付け、受付けた切替操作を示す操作信号を制御部11に送出する。
【0019】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のメモリとを含む。CPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより制御部11と接続されている各部を制御する。具体的には、制御部11は、検出部12において出力される加速度データを含む運動情報として本体装置20へ送信する。
【0020】
(本体装置20)
図2(b)は、本体装置20の構成を示すブロック図を示している。本体装置20は、記憶部21、表示部22、操作部23、音声出力部24、通信部25及び制御部26を含んで構成されている。記憶部21は、内蔵又は外付けされる不揮発性メモリ等の記憶手段であり、運動別楽曲情報、音量制御情報、ユーザ設定情報等のデータが記憶されている。ここで、運動別楽曲情報、音量制御情報、ユーザ設定情報について説明する。
【0021】
図3(a)は、本実施形態における楽曲情報の構成例及びデータ例を示している。運動別楽曲情報310は、運動種別、ランク、楽曲情報、及び運動テンポを関連付けて記憶する。運動種別は、運動の種別を示す情報であり、本実施形態では、図3(a)に示すように、ジョギング、ウォーキング、腹筋、腕立て伏せなどが予め設定されている。ランクは、各運動種別の運動のペースに応じた負荷(強度)を示しており、同じ運動でも運動のペースが速いほど負荷が高くなるようにランクが設定されている。この例では、ジョギングは、走るペースに応じて1〜4段階、ウォーキングは歩くペースに応じて1〜3段階に分類されており、走るペース及び歩くペースが速いほどランクの数が大きくなっている。
【0022】
楽曲情報は、各運動種別に応じて予め定められた楽曲データを示す情報である。この楽曲情報は、各運動種別の運動時に聴く曲として適している楽曲データを示す情報が設定されている。なお、楽曲情報に対応する楽曲データは、楽曲のテンポを示すテンポ情報としてBPM(Beats Per Minutes)が予め設定されたオーディオデータであり、楽曲情報と対応づけて記憶部21内に記憶されている。
【0023】
運動テンポは、楽曲情報の楽曲に対応する運動テンポの範囲を示している。運動テンポの範囲は、例えば、楽曲のテンポ(BPM)を基準として、例えば、±10(BPM)の範囲とする等、楽曲のテンポに応じた所定の閾値範囲が予め設定されている。尚、運動別楽曲情報310には、運動種別毎に予め楽曲情報が設定されている例を説明したが、ユーザが各運動種別に対応する楽曲データの楽曲情報を運動別楽曲情報310に追加登録したり、設定済の楽曲情報を置き換えたりできるように構成してもよい。
【0024】
図3(b)は、音量制御情報の構成例及びデータ例を示している。音量制御情報320は、運動種別、ランク、積算パラメータが関連付けられて記憶している。運動種別とランクは、上述した楽曲情報310と同様である。積算パラメータは、再生している楽曲の音量レベルの制御に用いられ、検出された運動情報を積算する対象範囲を示している。なお、積算パラメータの詳細については、後述する音量レベルを制御する処理において説明する。
【0025】
図3(c)は、本実施形態におけるユーザ設定情報の構成例及びデータ例を示している。ユーザ設定情報330は、運動種別と、運動テンポとが関連付けられて記憶されている。この運動種別と運動テンポは、ユーザにより初期設定処理で設定された運動種別と、当該運動種別の運動をユーザが行ったときの運動テンポである。なお、この例では、運動種別毎に、運動種別の運動の特性を表すパラメータとして1つの運動テンポが設定されている例であるが、例えば、一の運動種別の運動をユーザが複数回試行したときの各運動テンポが設定されていてもよい。
【0026】
図2(b)に戻り、本体装置20の構成の説明を続ける。表示部22は、液晶ディスプレイ等の表示装置で構成されており、制御部26の制御の下、初期設定処理、再生制御処理に関するメニュー画面などの各種画像を表示する。操作部23は、電源(図示略)のオンオフを切替えるスイッチや、メニュー画面上のカーソルを移動させる移動キー等のスイッチを有し、ユーザのスイッチ操作を示す操作信号を制御部26へ送出する。
【0027】
音声出力部24は、楽音信号を増幅する増幅部と、増幅された楽音信号の楽音を放音するスピーカや音声出力端子に接続されたイヤホン20a等の放音部を有し、制御部26の制御の下、再生された楽曲の楽音信号を増幅して放音部に出力する。通信部25は、無線LANやBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した通信手段であり、テンポ入力操作子10との間で通信を確立してデータ通信を行う。
【0028】
制御部26は、CPUと、ROM及びRAMのメモリとを含む。CPUが、RAMをワーキングエリアとしてROMに記憶された制御プログラムを実行することで制御部26と接続された各部を制御する。具体的には、制御部26は、上記初期設定処理において、テンポ入力操作子10から運動情報を受信し、ユーザが選択した運動種別に対応する運動テンポを運動情報に基づいて設定する。また、再生制御処理において、初期設定処理後にテンポ入力操作子10から受信した運動情報に基づく運動テンポから、ユーザが行った運動の運動種別を推定し、推定した運動種別に対応する楽曲データを再生し、再生中におけるテンポ入力操作子10に加わる運動の強弱(例えば、腕の振りの強弱)に応じて、再生中の音量レベルを制御する。
【0029】
<動作>
次に、本実施形態における楽音再生装置1の動作について説明する。
(初期設定処理)
図4は、本実施形態の初期設定処理を示す動作フローである。なお、以下の説明において、テンポ入力操作子10の電源はオンに設定され、ユーザは、本体装置20の操作部23を操作して初期設定処理のメニュー画面を表示部22に表示する指示を行ったものとする。
【0030】
本体装置20の制御部26は、記憶部21に記憶されている楽曲情報310の運動種別を読み出し、読み出した運動種別の情報を表示部22に表示し、設定対象となる運動種別の選択操作を受付ける(ステップS11)。
【0031】
ユーザは操作部23を操作し、例えば、運動種別「ジョギング」の選択を行い、テンポ入力操作子10を腕に装着し、ジョギングを開始する。制御部26は、操作部23を介して運動種別「ジョギング」の選択操作を受付けると(ステップS11:YES)、テンポ入力操作子10から運動情報を受信したか否か判断する(ステップS12)。テンポ入力操作子10の制御部14は、検出部11により、ユーザの腕の振りに応じた各軸に加わる加速度データ(ax,ay,az)を一定時間毎に検出し(ステップS21:YES)、検出した加速度データを含む運動情報を通信部12を介して本体装置20へ送信する。
【0032】
本体装置20の制御部26は、テンポ入力操作子10から送信される運動情報を通信部25を介して受信すると(ステップS12:YES)、受信した運動情報に含まれる各軸の加速度データ(ax,ay,az)に基づいて運動テンポを求める(ステップS13)。具体的には、制御部26は、まず、受信した時系列の運動情報毎に、運動情報に含まれる各軸の加速度データ(ax,ay,az)を合成した加速度(a)=(ax+ay+az)1/2を算出する。そして、算出された各加速度(a)の経時的変化を表す波形において、加速度(a)が極大値となるタイミング、つまり、加速度(a)における傾き(微分値)が正から負へ変化するタイミングを加速度ピークとして検出する。
【0033】
次に、制御部26は、検出した隣接する一対の加速度ピーク間の時間間隔(以下、ピーク時間間隔と言う)を求め、所定数(例えば過去3回分)毎のピーク時間間隔を用いて各加速度ピークにおけるピーク時間間隔の移動平均値を算出すると共に、予め定められた演算式により各平均値を運動テンポ(単位:BPM)に変換する。このようにして、運動種別「ジョギング」に対する運動テンポとして、例えば「150」が求められると、制御部26は、運動種別「ジョギング」と運動テンポ「150」とを記憶部21内のユーザ設定情報330に登録する(ステップS14)。
【0034】
なお、本体装置20の制御部26は、ステップS11において、ユーザから操作部23を介して運動種別の選択操作を一定時間内に受付けなかった場合(ステップS11:NO)、又は、ステップS12において、一定時間内にテンポ入力操作子10から運動情報を受信できなかった場合(ステップS12:NO)、処理を終了する。なお、この場合には、制御部26は、初期設定処理が正しく行われなかったことを表示部22に表示するようにしてもよい。
【0035】
また、テンポ入力操作子10の制御部14は、ユーザによって電源がオフにされるまで(ステップS23:NO)、ステップS21以下の処理を繰り返し行い、ステップS21において、検出部11により各軸の加速度が検出されない場合(ステップS21:NO)や、ステップS23において、ユーザによって電源がオフにされた場合には(ステップS23:NO)、処理を終了する。
【0036】
(再生制御処理)
図5は、再生制御処理を示す動作フローである。以下の説明において、ユーザにより再生制御処理の開始を指示する操作が本体装置20の操作部23を介してなされ、ユーザがテンポ入力操作子10を装着して運動を開始したものとする。また、ユーザの運動により、図4のテンポ入力操作子10の処理と同様の処理が、再生制御処理においてもなされているものとして以下説明する。
【0037】
本体装置20の制御部26は、テンポ入力操作子10から通信部25を介して運動情報を受信すると(ステップS31:YES)、受信した運動情報に基づいて、ユーザが行っている運動の運動テンポを求める(ステップS32)。運動テンポを求める方法は、上述した初期設定処理のステップS13と同様であり、この場合、運動テンポとして例えば「155」が求められたものとする。制御部26は、ユーザの運動の運動テンポとして「155」を求めると、記憶部21からユーザ設定情報330を読み出し、運動テンポ「155」に対応する運動種別をユーザ設定情報330に基づいて推定する(ステップS33)。
【0038】
この例では、ユーザ設定情報330に設定されている運動テンポは、150、120、80である。本実施形態では、これらの運動テンポと求めた運動テンポ「155」との差分が最も小さい運動テンポ「150」に対応づけられている運動種別「ジョギング」を、ユーザが行った運動の運動種別として推定する。
【0039】
なお、求めた運動テンポとの差分が同じ運動種別が複数存在する場合には、例えば、過去に推定された当該複数の運動種別のうち、推定頻度が最も高い運動種別を選択するようにしてもよいし、予めユーザが優先的に適用する運動種別の順位を設定した情報に基づいて運動種別を選択するなど、運動種別を一意に特定するための条件に基づいて運動種別を推定するようにする。
【0040】
次に、制御部26は、記憶部21から運動別楽曲情報310を読み出し、運動別楽曲情報310と求めた運動テンポを用いて、推定した運動種別に対応する楽曲データの選択を行う(ステップS34)。つまり、運動別楽曲情報310において、ステップS33で推定された運動種別「ジョギング」に対応する楽曲情報は、楽曲1、楽曲2、楽曲3、楽曲4である。これらの楽曲情報のうち、求めた運動テンポ「155」を含む楽曲2の楽曲データが、ユーザが行っている運動の運動種別と運動のペースに対応する楽曲データであると制御部26によって判断される。
【0041】
制御部26は、ステップS34において選択した楽曲情報「楽曲2」の楽曲データを記憶部21から読み出し、当該楽曲データの楽音信号を生成し、予めユーザによって設定された音量レベルに従って当該楽音信号を音声出力部24で増幅して放音する(ステップS35)。
【0042】
なお、ステップS31において、制御部26は、テンポ入力操作子10から所定時間内に運動情報を通信部25を介して受信できなかった場合(ステップS31:NO)、再生制御処理を終了する。この場合には、制御部26は、ユーザの運動に応じた再生制御処理を行うことができなかったことを示す情報を表示部22に表示するようにしてもよいし、運動種別が特定できなかった場合に再生する楽曲データとして予め設定された楽曲データを再生するようにしてもよい。
【0043】
(再生中の音量制御処理)
次に、楽曲データを再生中の音量レベルの制御について以下説明する。なお、本実施形態では、運動種別を推定した後、音量制御情報320において設定されている当該運動種別に対応する積算パラメータが示す数の加速度(a)を時系列にRAMに記憶するように構成する。上述の例においては、運動種別「ジョギング」に対応する楽曲2が再生制御対象となっており、楽曲2には、ジョギングのランク「2」が設定されている。ジョギングのランク2に対応する積算パラメータとして音量制御情報320には「8」が設定されているので、加速度(a)が求められる毎に、当該加速度(a)のタイミング以前の8個の加速度(a)がRAMに記憶されるようにする。以下、図6に示す音量制御処理の動作フローに従って音量制御処理を説明する。
【0044】
制御部26は、テンポ入力操作子10から受信した運動情報に基づく加速度(a)から加速度ピークを検出した場合(ステップS41:YES)、推定した運動種別「ジョギング」、ランク「2」に対応する積算パラメータ「8」を読み出し、RAMに記憶されている時系列の加速度(a)のうち、一定の条件を満たす加速度(a)のタイミング、つまり、加速度ピークのタイミング以前に記憶された8個の加速度(a)を積算対象として読み出す(ステップS42)。
【0045】
そして、制御部26は、読み出した加速度(a)の各データを積算し、求めた積算値を音量レベルに変換するための所定の演算式により音量レベルを決定し、予め定められた時間だけ決定した音量レベルで楽音信号を放音するように音声出力部24を制御する(ステップS43)。つまり、加速度(a)の積算値を、テンポ入力操作子10が動かされた強さとし、その強さに応じて再生中の楽曲の音量レベルが制御される。
【0046】
ここで、図7は、楽曲データの再生中にテンポ入力操作子10から運動情報を順次受信し、制御部26が求めた加速度(a)の波形例を示している。この図においては、t10のタイミングの加速度(a)が加速度ピークtpとして検出される。この加速度ピークにおける音量レベルを求めるための積算対象となる加速度(a)は、tp〜t2までの8個の加速度(a)となり、tp〜t2までの各加速度(a)が積算される。このようにして、加速度ピークが検出される毎に、加速度ピークにおける音量レベルを当該加速度ピーク以前の加速度(a)の積算値により逐次求めるようにする。
【0047】
そして、制御部26は、楽曲データの再生を終了するまで(ステップS44:NO)、ステップS41〜S43の処理を繰り返し行い、楽曲データの再生が終了したときに(ステップS44:YES)、音量制御処理を終了する。なお、ステップS41において、制御部26は、加速度ピークが検出されるまでは(ステップS41:NO)、再生中の音量レベルに従って楽音信号を音声出力部24で増幅して放音を行う。
【0048】
上記した実施形態では、初期設定処理により、運動種別毎にユーザが実際に運動を行うことで自分に適した運動テンポを設定することができる。また、楽曲を聴きながら運動する場合には、ユーザが行っている運動がどの運動種別であるかが運動中の運動テンポから推定され、推定された運動種別と運動テンポとに対応する楽曲データが自動的に再生される。これにより、ユーザは、運動開始前に、自分で楽曲を選択する操作を行うことなく、自分の運動ペースで運動するだけで、その運動に適した楽曲を再生させることができる。また、上記した実施形態では、ユーザが装着したテンポ入力操作子10を動かす強さの積算値に応じて、再生中の音量レベルが自動調整されるので、加速度のピークの瞬時値に左右されて、過度に音量レベルが変動することなく、ユーザは、ユーザの運動の大きさを適正に反映した音量レベルを聴取することができる。
【0049】
<変形例>
本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよく、各変形例を組み合わせて実施してもよい。以下、本発明に係る実施形態の変形例について説明する。
【0050】
(1)上述した実施形態において、楽曲データの再生中、ユーザの運動テンポが、運動種別を推定したときの運動テンポから変化した場合には、運動テンポが変化する毎に対応する運動種別を推定するようにしてもよい。この場合には、図5のステップS35において楽曲データの再生を開始し、当該楽曲データの再生が終了するまでステップS32からステップS35までの処理を繰り返し行うようにする。
このように構成することにより、例えば、ユーザがジョギングを開始し、途中からウォーキングに移行した場合等、変化したユーザの運動テンポと対応する運動種別に適した楽曲データが自動で再生される。そのため、ユーザは運動種別を変えて運動を行う際に、本体装置20を操作することなく、変更した運動種別に応じた楽曲を聴きながら運動を続けることができる。
なお、運動テンポが変化したときに、その運動テンポに応じた楽曲データをすぐに再生せず、運動テンポが変化してから一定時間経過後もその運動テンポで運動が行われている場合に、その運動テンポに対応する運動種別の楽曲データを再生するようにしてもよい。
また、上記では、楽曲データの再生中にユーザの運動テンポが変化した場合に、その運動テンポに応じた運動種別の楽曲データを再生する例を説明したが、再生中の楽曲を変えずに楽曲のテンポを運動テンポに応じて変化させるようにしてもよいし、運動テンポに応じて積算パラメータを調整するようにしてもよい。
【0051】
(2)上述した実施形態では、ユーザが、運動種別毎に、予め運動を行って自分に適した運動テンポを設定する例であったが、例えば、性別や年齢等の属性が同じ複数人が運動種別毎に運動を行って運動テンポを検証した検証データを外部装置によって解析した結果を属性別のユーザ設定情報として予め本体装置20に記憶させてもよいし、インターネット等の通信回線を介して本体装置20が取得できるようにしてもよい。このように構成することで、楽音再生装置1を利用するユーザは、運動種別毎に運動テンポを設定する初期設定処理を行うことなく、ユーザの属性を本体装置20に設定するだけで、自分が行った運動に対応する運動種別が推定され、その運動種別に応じた楽曲データを再生させることができる。
【0052】
(3)上述した実施形態では、利用者の運動状態を表す物理量として、3軸の加速度センサを用いて加速度を検出する例を説明したが、1軸や2軸の加速度センサであってもよい。また、運動に伴って周期的に時間変化する物理量であれば、速度、変位、角速度、傾斜、方位(地磁気)、圧力等の各種物理量を検出するようにしてもよいし、検出した各種物理量を組合わせて利用者の運動状態を推定するようにしてもよい。
例えば山等、気圧の高低差がある場所をユーザが運動する場合には、気圧センサと加速度センサを用いてユーザがどの位置で運動を行っているかを推定し、ユーザが運動している位置と運動種別(走行、歩行など)に応じた楽曲データの再生制御を行うように構成してもよい。この場合には、運動種別毎の運動テンポと運動位置に対応する楽曲情報を運動別楽曲情報310に記憶するように構成してもよい。
また、上述した実施形態では、加速度の時間波形に現れる加速度ピークの時間間隔を、利用者の運動状態を表す物理量(時間波形)の特徴点として検出したが、計測する物理量との関係で各物理量の時間波形に周期的に現れる特徴点であれば、ゼロクロス点、変曲点、当該物理量(或いはその積分値、累積値)が所定の閾値を上回る点などを検出するようにしてもよい。
【0053】
(4)上述した実施形態では、運動種別と運動テンポとを対応づけてユーザ設定情報を記憶する例であったが、テンポ入力操作子10から入力された加速度データに基づく加速度(a)の波形データを運動種別毎に記憶するようにしてもよい。この場合には、再生制御処理において、ユーザが行った運動に対して検出された加速度データに基づく加速度(a)の波形を生成し、生成した波形と類似するユーザ設定情報の波形に対応する運動種別が推定されるように構成してもよい。
【0054】
(5)上述した実施形態では、本体装置20は携帯機器を例に説明したが、例えばPC(Personal Computer)やカラオケ装置等、携帯機器以外の装置であってもよい。また、実施形態では、楽音再生装置1は、本体装置20とテンポ入力操作子10とで構成されている例を説明したが、本体装置20とテンポ入力操作子10とが一体となっていてもよい。
【0055】
(6)また、上述した実施形態の音量制御処理では、加速度ピークにおける音量レベルとして当該加速度ピーク以前の各加速度(a)を、運動種別に応じた積算パラメータの数だけ積算し、予め定められた時間だけ積算値に応じた音量レベルに制御する例であったが、加速度(a)の波形における加速度ピークの傾きに応じて音量レベルを変化させる態様を制御してもよい。加速度ピークにおける傾きを加速度(a)の波形から算出してもよいが、本変形例では、以下の方法により加速度ピークにおける傾きを特定する。例えば、図8(a)に示す時系列の加速度(a)の波形において、加速度(a)が極小値となるタイミングt1から加速度ピークtpの間には3個の加速度(a)が含まれている。また、図8(b)に示す時系列の加速度(a)の波形において、加速度(a)が極小値となるタイミングt1から加速度ピークtpの間には、12個の加速度(a)が含まれている。図8(a)と(b)の波形とでは加速度ピークtpにおける傾きが異なっているが、加速度ピークにおける傾きの程度は、加速度(a)の極小値のタイミングから加速度ピークまでの時間、即ち、加速度ピークまでに含まれる加速度(a)の数によって特定することができる。つまり、テンポ入力操作子10が素早く動かされたときは、図8(a)に示すように加速度ピークまでの加速度(a)のデータ数が少なく、加速度ピークにおける傾きは急峻になるが、テンポ入力操作子10がゆっくり動かされたときは、図8(b)に示すように加速度ピークまでの加速度(a)のデータ数が多くなり、傾きは緩やかになる。従って、加速度ピークまでの加速度(a)の数によりテンポ入力操作子10がどのような態様で動かされたかを推定することができる。以下、本変形例における音量レベルの制御例を説明する。
【0056】
本体装置20は、一定値以上の加速度(a)を有する加速度ピークが検出された場合には、当該加速度ピークより前の極小値となる加速度(a)のうち、当該加速度ピークの直近の加速度(a)から当該加速度ピークまでの加速度(a)の数をカウントする。そして、本体装置20は、カウントした加速度(a)の数が、運動種別に対応する積算パラメータを基準として予め定められた第1閾値以下である場合には、テンポ入力操作子10が素早く動かされたと判断する。本体装置20は、この場合には、例えばスタッカートの演奏態様で、積算パラメータに基づいて加速度(a)を積算した積算値に応じた音量レベルに制御する。また、本体装置20は、カウントした加速度(a)の数が、当該積算パラメータを基準として予め定められた第2閾値(>第1閾値)以上である場合には、テンポ入力操作子10がゆっくり動かされたと判断し、例えばレガートの演奏態様で、積算パラメータに基づいて加速度(a)を積算した積算値に応じた音量レベルに制御する。
【0057】
(7)上述した実施形態では、ユーザの運動状態を検出するテンポ入力操作子10をユーザの体の一つの部位に装着する例であったが、複数の部位にテンポ入力操作子10を各々装着し、各テンポ入力操作子10が検出した各運動情報を用いてユーザの運動種別を推定するように構成してもよい。この場合、実施形態と同様の運動別楽曲情報を本体装置20において記憶すると共に、例えば、図9に示すように、初期設定処理において、運動種別毎に、テンポ入力操作子10が装着された部位と当該部位における運動テンポをユーザ設定情報として設定する。なお、この図の例では、運動種別毎に3回分の運動テンポを部位毎に設定する例であるが、運動テンポの設定は1回でもよいし4回以上であってもよい。
【0058】
初期設定処理の後、ユーザが、テンポ入力操作子10を装着し、所望の運動を行うと、装着された各テンポ入力操作子10はユーザの運動による加速度データを運動情報として、各々のテンポ入力操作子10を示す識別情報と共に本体装置20へ送信する。本体装置20は、各テンポ入力操作子10から加速度データを受信し、テンポ入力操作子10毎に、受信した加速度データに基づいて加速度(a)を算出し、加速度ピークを求め、運動テンポを算出する。本体装置20は、図9のユーザ設定情報から、各テンポ入力操作子10に対応する運動テンポの組合せに対応する運動種別を選択し、選択した運動種別に対応する楽曲データを再生するようにする。
なお、運動開始前に、テンポ入力操作子10を装着した部位をユーザが操作部23を介して入力するように構成し、入力された部位の組合せを有するユーザ設定情報の運動種別の中から、求めた運動テンポの組合せに対応する運動種別を選択するように構成してもよい。例えば、ユーザ設定情報において、テンポ入力操作子10の装着部位(例えば、腕と足など)が同じである複数の運動種別と、当該装着部位と異なる部位(例えば、腕と胴など)が設定された複数の運動種別が記憶されている場合には、この構成により、テンポ入力操作子10の装着部位を容易に特定できるので、ユーザが行っている運動の種別をより的確に推定することができる。
【0059】
(8)上述した実施形態では、加速度ピークの時間間隔に基づく運動テンポを用いてユーザの運動種別を推定する例であったが、運動テンポに加えて、加速度(a)の振幅や周波数スペクトルを用いて運動種別を推定するようにしてもよい。この場合には、初期設定処理において、本体装置20が、テンポ入力操作子10から受信した加速度データに基づく加速度(a)の振幅を求めると共に、加速度(a)について周波数解析を行う。本体装置20は、ユーザが選択した運動種別に、振幅と周波数解析の結果を運動テンポと対応づけてユーザ設定情報として記憶する。初期設定処理後、ユーザが運動を行った際に、本体装置20は、当該運動時における加速度データをテンポ入力操作子10から受信し、受信した加速度データに基づく加速度(a)の運動テンポ、振幅、周波数スペクトルを求め、これらの組合せに対応する運動種別をユーザ設定情報から選択するように構成する。このように、楽音再生装置1は、各運動種別に対応する運動テンポと振幅と周波数解析結果とを対応づけた設定情報を記憶し、ユーザが運動した際に検出された運動情報に基づいて運動テンポと振幅を求めると共に、運動情報について周波数解析を行い、当該運動テンポと振幅と周波数解析結果に対応する運動種別を前記設定情報から選択し、選択した運動種別をユーザが行った運動の運動種別として推定する。
【0060】
(9)上述した実施形態では、運動の特性を表すパラメータとして運動テンポを用いて運動種別を推定する例であったが、運動テンポ以外のパラメータをも用いて運動種別を推定するようにしてもよい。以下、運動テンポに加え、運動の強さや運動の鋭さ等の運動の特性に応じて運動種別を推定する例について説明する。本変形例では、テンポ入力操作子10から受信した加速度データに基づく加速度(a)のピーク時間間隔、加速度ピークのピーク値と加速度ピークの鋭さを、運動種別を推定するための運動の特性を表すパラメータとして用いる例である。この例では、加速度ピークのピーク値を運動の強さ、加速度ピークの鋭さ(加速度(a)の波形において、例えば、加速度値がピーク値を所定値(例えば2の平方根)で除算したときの値であるときの立ち上がり時の傾き(正)と立ち下がり時の傾き(負)とが成す角度、あるいは当該加速度値となる時刻で定まる時間幅)を運動の鋭さとし、各値に応じた運動の強さと運動の鋭さを示す各パラメータが予め定義され、楽音再生装置1に予め記憶されるよう構成する。また、ユーザ設定情報330において、運動種別毎に、運動テンポと運動の強さと運動の鋭さとが予め対応づけて記憶されるように構成する。
楽音再生装置1は、加速度(a)のピーク時間間隔から運動テンポを求めると共に、例えば、加速度ピークの一つまたは複数の平均の値を加速度ピークのピーク値として求め、更に、加速度ピークの鋭さを求める。楽音再生装置1は、求めた加速度ピークのピーク値に対応する運動の強さと、求めた加速度ピークの鋭さに対応する運動の鋭さをユーザ設定情報330から選択する。そして、楽音再生装置1は、求めた運動テンポ、運動の強さおよび運動の鋭さに対応する運動種別をユーザ設定情報330から推定する。
本変形例によれば、例えば、運動の種別が異なるウォーキングと腹筋運動とでは運動のテンポが同じであっても運動の強さや運動の鋭さ等の運動の質が異なるため、これらの運動の特性を表すパラメータを用いて多次元的に運動種別を解析することで、運動種別をより適切に推定することができる。
【0061】
また、本変形例では、ユーザ設定情報330において運動テンポ、運動の強さ及び運動の鋭さを運動種別と対応づけて記憶する例であったが、楽音再生装置1のユーザ設定情報330において運動種別毎の運動の強さを表すパラメータだけを記憶し、受信した加速度データに基づく加速度(a)の加速度ピークのピーク値に対応する運動の強さと対応する運動種別をユーザ設定情報330から推定するようにしてもよい。また、楽音再生装置1において、ユーザ設定情報330において運動種別毎の運動の鋭さを表すパラメータだけを記憶し、加速度(a)の加速度ピークの鋭さに対応する運動の鋭さと対応する運動種別をユーザ設定情報330から推定するようにしてもよい。
【0062】
(10)また、上述した実施形態では、運動種別毎に運動テンポに応じた楽曲情報が直接対応付けて記憶されている例であったが、楽曲を特徴付ける属性(ジャンル、調性、音量の変化幅、演奏パート数等)と運動種別とを対応づけて記憶し、推定された運動種別に応じた属性の楽曲の中から運動テンポに応じた楽曲を選択するようにしてもよい。例えば、腹筋運動等、筋力トレーニング系の運動種別の場合には、強いビート感を有する楽曲の中から楽曲を選択し、ジョギング等の軽快なテンポで運動する運動種別の場合には、軽快感や疾走感を有する楽曲の中から楽曲を選択し、ウォーキング等のリラックス系の運動種別の場合には、癒しやヒーリング感を有する楽曲の中から楽曲を選択するようにしてもよい。この場合には、各属性に応じた楽曲データと当該楽曲データのテンポが楽音再生装置1に予め記憶するように構成してもよい。
なお、上記実施形態及び変形例において、楽音再生装置1において楽曲データが予め記憶されている例を説明したが、例えば、楽音再生装置1が有線又は無線を介してインターネット等の通信回線に接続できる構成である場合には、運動種別と運動テンポに応じた楽曲名を選択し、通信回線を介して選択した楽曲名の楽曲データを取得してもよいし、運動種別に対応する属性の楽曲データを通信回線を介して取得し、取得した楽曲データの中から運動テンポに応じた楽曲を選択するようにしてもよい。
【0063】
(11)上述した実施形態及び変形例における楽音再生装置によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネットなどの通信手段を用いて楽音再生装置にダウンロードさせることも可能である。
【符号の説明】
【0064】
1・・・楽音再生装置、10・・・テンポ入力操作子、11・・・検出部、12,25・・・通信部、13,23・・・操作部、14,26・・・制御部、20・・・本体装置、21・・・記憶部、22・・・表示部、24・・・音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各運動種別に対応する楽曲データを記憶する楽曲情報記憶手段と、
前記運動種別毎に、運動の特性を表す予め定義されたパラメータを設定情報として記憶する設定情報記憶手段と、
利用者に装着又は把持され、利用者の運動状態を表す物理量の運動情報を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された運動情報に基づいて前記パラメータを算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記パラメータと前記設定情報とに基づいて、前記利用者が行った運動の運動種別を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された前記運動種別に対応する前記楽曲データを前記楽曲情報記憶手段から選択し、選択した楽曲データを再生手段に再生させる再生制御手段と
を備えることを特徴とする楽音再生装置。
【請求項2】
前記設定情報記憶手段は、前記運動種別の運動のペースを表す運動テンポを含む前記設定情報を記憶し、
前記算出手段は、前記検出手段によって検出された運動情報に基づいて、前記利用者が行っている運動の運動テンポを算出し、
前記推定手段は、前記算出手段により算出された運動テンポと前記設定情報とに基づいて、前記利用者が行った運動の運動種別を推定することを特徴とする請求項1に記載の楽音再生装置。
【請求項3】
前記検出手段が検出した前記運動情報を積算する対象範囲を表す積算パラメータを前記運動種別毎に記憶する記憶手段を有し、
前記再生制御手段は、前記楽曲データの再生中に前記検出手段が検出した時系列の前記運動情報のうち、一定の条件を満たす運動情報が検出されたタイミング以前の運動情報を、前記運動種別に対応する前記積算パラメータに基づいて積算し、その積算値に応じた音量レベルに制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の楽音再生装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記楽曲データの再生中において前記検出手段が検出した前記利用者の運動情報に基づいて、当該楽曲データの再生中における当該利用者の運動テンポを算出し、
前記再生制御手段は、前記算出手段によって算出された前記運動テンポに基づいて、再生中の前記楽曲データのテンポを制御することを特徴とする請求項2又は3に記載の楽音再生装置。
【請求項5】
コンピュータを、
各運動種別に対応する楽曲データを記憶する楽曲情報記憶手段と、
前記運動種別毎に、運動の特性を表す予め定義されたパラメータを設定情報として記憶する設定情報記憶手段と、
利用者に装着又は把持され、利用者の運動状態を表す物理量の運動情報を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された運動情報に基づいて前記パラメータを算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記パラメータと前記設定情報とに基づいて、前記利用者が行った運動の運動種別を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定された前記運動種別に対応する前記楽曲データを前記楽曲情報記憶手段から選択し、選択した楽曲データを再生手段に再生させる再生制御手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−22242(P2012−22242A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161634(P2010−161634)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】