説明

構造物調査システムおよびこれに用いる位置測定装置

【課題】 図面がなくとも調査でき、劣化損傷の判定を調査員が行い、その位置情報を機械的に入力することで、精度良く調査できる構造物調査システムおよび位置情報を取り扱いが容易で作業負担を軽減できる構造物調査システムに用いる位置測定装置を提供すること。
【解決手段】 構造物1の調査対象となる外壁2の外形をトータルステーション6で測定して外形情報をコンピュータ3に記憶させた後、調査員5が劣化損傷部位を点検してその種別を判定し、判定した部位に自動追尾機能を備えたトータルステーション6の反射部7を位置させて長さ情報または面積情報を得てコンピュータ3に劣化損傷の位置(位置情報とは、構造物における劣化損傷部位の位置をいう)とともに記憶する。
これにより、外壁2の外形情報は測定で求められ、劣化損傷部位の点検とその種別の判定を調査員5が行って短時間に確実に判定し、劣化損傷部位の位置情報をトータルステーション6の反射部7を位置させて求め、調査精度を向上し、ひび割れ長さや劣化面積を精度良く集計する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は構造物調査システムおよびこれに用いる位置測定装置に関し、建築物などの構造物に生じる浮き、剥離、ひび割れなどの劣化損傷を判定してその種別とともに、位置情報を記憶できるようにしたもので、劣化損傷の判定を調査員が行い、位置情報を自動的に得ることで、広範囲の調査を正確かつ短時間に行うことができるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
建築物や橋梁などの構造物は、構築後の経年変化などで劣化や損傷が生じることからその状態を診断し、調査し、その結果に基づいて補修や改修工事を行う必要がある。
【0003】
このような補修改修のためには、構造物に発生する劣化損傷である浮き、剥離、ひび割れなどの劣化の種別を判定し、劣化面積、ひび割れの長さなどを集計する必要があり、種々の方法が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1の構造物の劣化調査方法では、調査対象の図面のCADデータをペン入力コンピュータに記憶させておき、現場に持ち込んだペン入力コンピュータの画面上に観察した劣化状態の劣化データを直接記入することで入力し、入力された劣化データを集計するようにしている。
【0005】
また、特許文献2の壁面調査システムでは、調査対象の壁面に沿って昇降移動される調査端末機に壁面を打撃して打撃音を発生させる打撃手段と、打撃音を集音するマイクロフォンと、壁面を撮像する撮像手段とを搭載し、この調査端末機に端末コンピュータを接続し、端末コンピュータに壁面画像を表示する表示器、遠隔操作の制御を行う調査端末機制御部、基準打撃音データを記憶する記憶部、この基準打撃音データと集音した打撃音データを比較して診断データを作成する診断データ作成部を設け、管理コンピュータに調査対象の白図面データを記憶する記憶部を設けて端末コンピュータからの診断データを処理して診断結果を診断結果合成建物図面データとして作成し、診断結果を合成した図面を出力するようにしている。
【0006】
さらに、特許文献3の壁面の点検調査支援システムでは、壁面の設計図および型枠割付図を記憶し且つタッチパネルで覆われたディスプレイを有する可搬型コンピュータに、畳重図表示手段で設計図および型枠割付図を畳重してディスプレイに表示し、変状入力手段で壁面の変状を位置決めしつつタッチパネル経由で入力し、変状図作成手段で畳重図上の変状の入力座標から壁面変状図を作成するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−279439号公報
【特許文献2】特開2007−139707号公報
【特許文献3】特開2005−227829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような外壁の劣化の種別・形状・寸法を判定し、劣化面積、ひび割れの長さなどを集計するこれまでの方法では、特許文献1〜3いずれの方法でも調査対象とする壁面の図面を予め用意する必要があり、構造物の建設後調査までの年数が長い場合などには、簡単に入手できない場合があり、新たに作成して入力することは大変である。
【0009】
また、特許文献1,3の方法では、可搬型のコンピュータの画面上に直接劣化損傷の情報を手書きで入力する必要があり、入力情報の精度を確保することが難しく、劣化面積やひび割れの長さなどの算出に誤差が生じ易いという問題がある。
【0010】
さらに、特許文献2の方法では、劣化損傷の種別を打撃音を発生させ、基準と比較して判定することから、判定できる種別が限られ、細かい浮きなどを判定することができないことや調査端末機を遠隔操作して壁面に沿って昇降させて調査することから平坦な外壁への適用はできるものの、庇などの出っ張った部分や逆に引っ込んだ部分があると、調査できないなどの問題もある。
【0011】
この発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、調査対象の図面がなくとも調査でき、劣化損傷の種別とは別に、位置情報を機械的に入力することで、劣化箇所の形状・寸法および面積やひび割れの長さなどを精度良く入力することができる構造物調査システムを提供しようとするものである。
【0012】
また、この構造物調査システムにおいて位置情報を得る場合に取り扱いが容易で調査員の作業負担を軽減できる構造物調査システムに用いる位置測定装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、鋭意検討を重ねたところ構造物に生じる劣化損傷の種別の判断を自動調査機などで機械的に行おうとすると、複雑且つ高度な機械を用意する必要となることから、機械に比べ広範囲の判断が短時間にできる専門の調査員に判断を任せることで、効率良く判定できるようにし、判定した劣化損傷の補修すべき範囲を知るために必要な劣化箇所の面積やひび割れ長さなどの算出に必要な位置情報を機械的に測定して入力することで測定精度の向上を図ることが構造物調査システムとしては有効であることがわかり、この発明を完成したものであり、その具体的な構成は、以下の通りである。
なお、位置情報とは、構造物における劣化損傷部位の位置をいう、以下同じ。
【0014】
すなわち、この発明の請求項1記載の構造物調査システムは、構造物の劣化損傷具合を点検判定し、その種別・形状・寸法および位置情報をコンピュータに記憶する構造物調査システムであって、調査対象となる構造物の外形を測定して調査構造物の外形情報をコンピュータに記憶した後、調査員が前記調査構造物に沿って移動しながら劣化損傷部位を点検してその種別を判定し、劣化損傷と判定した劣化損傷部位に調査員が自動追尾機能を備えたレーザー測距手段の反射部を少なくとも2箇所に位置させて長さ情報または面積情報を得てコンピュータに記憶するとともに、劣化損傷の種別・形状・寸法をコンピュータに入力して記憶するようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
この発明の請求項2記載の構造物調査システムは、請求項1記載の構成に加え、得られた構造物の前記外形情報を、前記コンピュータに入力した当該構造物の図面情報と校正して用いるようにしたことを特徴とするものである。
【0016】
この発明の請求項3記載の構造物調査システムは、請求項1または2記載の構成に加え、前記劣化損傷の種別ごとに、長さ情報または面積情報をコンピュータで集計して出力手段に出力するようにしたことを特徴とするものである。
【0017】
この発明の請求項4記載の構造物調査システムは、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記劣化損傷と判定された種別のうち面積で表示すべきものに対しては、少なくとも2点の位置を測定することで閉じた空間としてコンピュータに面積情報を記憶する一方、長さで表示すべきものに対しては、少なくとも2点の位置を測定することで2点以上を結ぶ長さとしてコンピュータに長さ情報を記憶するように構成したことを特徴とするものである。
【0018】
この発明の請求項5記載の構造物調査システムは、請求項1〜4のいずれかに記載の構成に加え、前記劣化損傷部位の種別・形状・寸法および位置情報とともに、メモ情報をコンピュータに記憶可能に構成したことを特徴とするものである。
【0019】
この発明の請求項6記載の構造物調査システムは、請求項1〜5のいずれかに記載の構成に加え、前記劣化損傷は、種別としてタイル面、塗装面、モルタル面、その他としてコンピュータに入力して記憶するようにする一方、タイル面についてはタイル陶片浮き、タイル下地浮き、押出、欠損、ひび割れ、その他を区別し、塗装面については塗膜浮き、塗膜剥離、押出、欠損、ひび割れ、その他を区別し、モルタル面についてはモルタル浮き、モルタル下地浮き、押出、ひび割れ、その他を区別し、それぞれをコンピュータに記憶するように構成したことを特徴とするものである。
【0020】
この発明の請求項7記載の構造物調査システムに用いる位置測定装置は、構造物の劣化損傷具合を点検判定し、その種別をコンピュータに入力するとともに、劣化損傷部位の位置情報をコンピュータに記憶するための位置を測定する構造物調査システムの位置測定装置であって、この位置測定装置を、自動追尾機能を備えたレーザー測距方式の測距本体部と劣化損傷部位に位置させてレーザーを反射する反射部とで構成し、この反射部は、全方向反射プリズムが指示棒の先端部に設けられ、この全方向反射プリズムの劣化損傷部に位置させる側にカバーを取付けるとともに、カバーを構造物に当接させて測定位置を指示する突起部を設けたことを特徴とするものである。
【0021】
この発明の請求項8記載の構造物調査システムに用いる位置測定装置は、請求項7記載の構成に加え、前記指示棒に、位置測定開始をコンピュータに指令する測定指示手段を設けたことを特徴とするものである。
【0022】
この発明の請求項9記載の構造物調査システムに用いる位置測定装置は、請求項7または8記載の構成に加え、前記反射部を、構造物に沿って移動する移動体に当該反射部の荷重とバランスさせて荷重を軽減するバランスアーム機構を介して取り付けるとともに、この反射部を前記指示棒で劣化損傷部位に走査可能に構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
この発明の請求項1記載の構造物調査システムによれば、構造物の劣化損傷具合を点検判定し、その種別・形状・寸法および位置情報をコンピュータに記憶する構造物調査システムであって、調査対象となる構造物の外形を測定して調査構造物の外形情報をコンピュータに記憶した後、調査員が前記調査構造物に沿って移動しながら劣化損傷部位を点検してその種別を判定し、劣化損傷と判定した劣化損傷部位に調査員が自動追尾機能を備えたレーザー測距手段の反射部を少なくとも2箇所に位置させて長さ情報または面積情報と位置情報を得てコンピュータに記憶するとともに、劣化損傷の種別・形状・寸法をコンピュータに入力して記憶するようにしたので、構造物の外形情報を測定することでコンピュータに記憶させることができ、図面がない場合でも調査対象を定めることができる。また、劣化損傷部位であるかどうかの点検とその種別の判定を調査員が行うことで、短時間に確実に判定することができる。さらに、劣化損傷部位の位置情報をレーザー測距手段の反射部を少なくとも2箇所位置させて求めて長さ情報や面積情報を得ることで、精度良くひび割れ長さや劣化面積を計測することができる。
【0024】
この発明の請求項2記載の構造物調査システムによれば、得られた構造物の前記外形情報を、前記コンピュータに入力した当該構造物の図面情報と校正して用いるようにしたので、実測した構造物の外形情報と図面情報と校正することで、一層高精度の調査対象の外形情報を得ることができる。
【0025】
この発明の請求項3記載の構造物調査システムによれば、前記劣化損傷の種別ごとに、長さ情報または面積情報をコンピュータで集計して出力手段に出力するようにしたので、コンピュータで劣化情報の種別と長さ情報や面積情報を集計することができ、短時間に構造物の調査結果を得ることができる。
【0026】
この発明の請求項4記載の構造物調査システムによれば、前記劣化損傷と判定された種別のうち面積で表示すべきものに対しては、少なくとも2点の位置を測定することで閉じた空間としてコンピュータに面積情報を記憶する一方、長さで表示すべきものに対しては、少なくとも2点の位置を測定することで2点以上を結ぶ長さとしてコンピュータに長さ情報を記憶するように構成したので、劣化損傷の種別を判定して情報を入力しておくことで、必要な位置情報を測定すればその面積情報あるいは長さ情報としてコンピュータに記憶させることができ、調査に必要な情報を容易に得ることができる。
【0027】
この発明の請求項5記載の構造物調査システムによれば、前記劣化損傷部位の種別・形状・寸法および位置情報とともに、メモ情報をコンピュータに記憶可能に構成したので、メモ情報を劣化損傷の調査結果に加えてコンピュータに記憶しておくことで、一層充実した調査を行うことができる。
【0028】
この発明の請求項6記載の構造物調査システムによれば、前記劣化損傷は、種別としてタイル面、塗装面、モルタル面、その他としてコンピュータに入力して記憶するようにする一方、タイル面についてはタイル陶片浮き、タイル下地浮き、押出、欠損、ひび割れ、その他を区別し、塗装面については塗膜浮き、塗膜剥離、押出、欠損、ひび割れ、その他を区別し、モルタル面についてはモルタル浮き、モルタル下地浮き、押出、ひび割れ、その他を区別し、それぞれをコンピュータに記憶するように構成したので、このような種別を予め定めて区別してコンピュータに入力することで、調査を効率的に行うことができるとともに、調査員による調査を均質化することができる。
【0029】
この発明の請求項7記載の構造物外壁調査システムに用いる位置測定装置によれば、構造物の劣化損傷具合を点検判定し、その種別をコンピュータに入力するとともに、劣化損傷部位の位置情報をコンピュータに記憶するための位置を測定する構造物調査システムの位置測定装置であって、この位置測定装置を、自動追尾機能を備えたレーザー測距方式の測距本体部と劣化損傷部位に位置させてレーザーを反射する反射部とで構成し、この反射部は、全方向反射プリズムが指示棒の先端部に設けられ、この全方向反射プリズムの劣化損傷部に位置させる側にカバーを取付けるとともに、カバーを構造物に当接させて測定位置を指示する突起部を設けたので、レーザー測距方式の反射部の全方向プリズムの外壁側をカバーで覆うことで、位置を測定する場合に構造物に当てる場合の損傷を防止することができ、現場作業での取り扱いを容易にすることができるとともに、カバーに設けた突起部によって正確に位置合わせして劣化損傷部を計測して位置・形状・寸法の情報を得ることができる。
【0030】
この発明の請求項8記載の構造物調査システムに用いる位置測定装置によれば、前記指示棒に、位置測定開始をコンピュータに指令する測定指示手段を設けたので、指示棒で測定すべき位置を指示すると同時に、測定の指令を発信でき、調査作業を円滑に行うことができる。
【0031】
この発明の請求項9記載の構造物調査システムに用いる位置測定装置によれば、前記反射部を、構造物に沿って移動する移動体に当該反射部の荷重とバランスさせて荷重を軽減するバランスアーム機構を介して取り付けるとともに、この反射部を前記指示棒で劣化損傷部位に走査可能に構成したので、全方向プリズムを備えた反射部の重量をバランスアーム機構でバランスさせることができ、劣化損傷部位の位置情報の測定のための調査員の作業負担を大幅に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の構造物調査システムの一実施の形態にかかる調査原理を示す概略説明図である。
【図2】この発明の構造物調査システムの一実施の形態にかかるトータルステーションおよびコンピュータの概略ブロック図である。
【図3】この発明の構造物調査システムの一実施の形態にかかる外壁調査のフロー図である。
【図4】この発明の構造物調査システムの一実施の形態にかかる劣化損傷部位の種別・形状・寸法および位置測定の概略説明図である。
【図5】この発明の構造物調査システムの一実施の形態にかかる劣化損傷の項目一覧の説明図である。
【図6】この発明の構造物調査システムの一実施の形態にかかるタイル浮きの場合およびひび割れの場合の測定位置の説明図である。
【図7】この発明の構造物調査システムの一実施の形態にかかる集計結果の説明図である。
【図8】この発明の構造物調査システムに用いる位置測定装置の一実施の形態にかかる反射部の外観図、360度プリズムの平面図および正面図である。
【図9】この発明の構造物調査システムに用いる位置測定装置の一実施の形態にかかる反射部のカバーの概略正面斜視図および概略背面斜視図である。
【図10】この発明の構造物調査システムに用いる位置測定装置の一実施の形態にかかる1人乗りチェア型ゴンドラに設置した場合の概略正面図および概略側面図である。
【図11】この発明の構造物調査システムに用いる位置測定装置の一実施の形態にかかるデッキ型ゴンドラに設置した場合の概略正面図および概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、この発明の構造物調査システムおよびこれに用いる位置測定装置の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
この構造物調査システムでは、構造物1の外壁2の外形情報を計測してコンピュータ3に記憶させた後、外壁2に発生する劣化損傷を外壁2に沿って昇降されるゴンドラなどの作業床4に搭乗した調査員5によって劣化損傷具合を点検して劣化損傷の種別を判定し、この劣化損傷の種別を調査員5がコンピュータ3に入力するとともに、劣化損傷部位の位置情報をレーザー測距手段であるトータルステーション(TS)6を用い、360度プリズムを備えた反射部7を劣化損傷部位に位置させ、この反射部7を自動追尾機能で追尾させて劣化損傷部位の位置情報および長さ情報または面積情報をコンピュータ3に入力するようにして調査するものである。また、コンピュータ3では、得られた劣化損傷の情報を集計し、劣化損傷の種別ごとや外壁2ごとに集計して出力することもできるようにしてある。
【0034】
すなわち、この構造物調査システムでは、調査ロボットなどのように劣化損傷の種別の判定を機械化せずに専門の調査員の目視および打診などによる優れた判断力を利用し、劣化損傷と判定された部位の位置情報や長さ情報あるいは面積情報を機械的に測定(測量)することで、測定精度を高めることができるようにしたものであり、外壁2の外形情報についても図面などがない場合でも実測(測量)することで対応できるようにしている。
【0035】
したがって、この構造物調査システムでは、データの入力や演算処理を行うコンピュータ3と、レーザー測距手段であるトータルステーション(TS)6およびレーザーを反射して測定位置を定める反射部7とが用いられるほか、補助的に調査員による調査のため外壁2に沿って昇降移動や横行移動するゴンドラ装置などの作業床4が用いられる。
【0036】
コンピュータ3は、可搬型のパーソナルコンピュータ(PC)で構成され、制御部31によって入力情報に基づきソフトウェアによる演算処理が行われ、記憶部32には、ソフトウェアが記憶されるほか外壁2の外形情報、劣化損傷種別および形状・寸法情報、劣化損傷位置情報、ひび割れ長さおよび劣化損傷面積情報、メモ情報などが記憶され、入力部33のキーボードやタッチペンなどから情報を入力することができ、表示部34のモニタなどに各情報や演算結果などが表示されるとともに、出力部35に出力されるようになっている。
【0037】
レーザー測距手段を構成するトータルステーション(TS)6は、測距本体部に角度を測定する測角部61、距離を測定する測距部62、反射部7を自動追尾する自動追尾部63を備え、これらを制御するとともに、演算処理を行う制御部(座標演算部、距離演算部)64およびソフトウェアなどや各種情報を記憶する記憶部65を備えており、さらに、入力部66、表示部67、出力部68によって測定や演算処理に必要な情報の入力やその結果の表示および出力などができるようになっている。
【0038】
なお、このトータルステーション6とコンピュータ3との間では、無線による通信が可能とされ、例えばBluetooth方式で通信できるようにしてある。
【0039】
次に、このような携帯型コンピュータ3およびトータルステーション(TS)6および360度プリズムを備えた反射部7を用いて行う外壁2の劣化損傷調査について、図3に示すフロー図に沿って説明する。
【0040】
まず、調査対象とする外壁2の外形情報を得るため、図1に示すように、トータルステーション(TS)6を、外壁2全体を望むことができる地上に設置し(S1)、外壁2の左上端P1、右上端P2、左下端P3の3点を地上のトータルステーション6から観測して測量し、その位置座標からP1−P2間距離、P2−P3間距離を測距する(S2)。
【0041】
この観測する外壁2の位置は、外壁2のCADデータがある場合には、外壁2の図面と整合することができる位置であれば、任意の位置を観測位置に設定しても良く、図面がない場合には、外壁2の外形を定めることができる点を観測して測量すればよく、3点に限らず、外形に応じて必要な点の測量を行うようにすれば良い。
【0042】
次に、携帯型コンピュータ3と専用ソフトを起動し(S3)、建物の外壁のCADデータが準備できている場合(S4)には、これを呼び出し(S5)、CADデータと観測したP1、P2の座標との位置合わせや尺度・角度の調整を行って校正する。
【0043】
一方、図面の準備ができていない場合には、トータルステーション6で測距したP1−P2間距離、P2−P3間距離から建物外形を自動作図して入力し、外形情報として記憶させる(S6)。
【0044】
そして、トータルステーション6と携帯型コンピュータ3との通信を可能な状態にする(S7)。
【0045】
さらに、トータルステーション6の設置位置を求めるため、後方公会法でP1、P2を視準し、高さおよびP1、P2の位置座標を確定する(S8)。
こうして地上での外壁調査の準備が終了した後、外壁2の調査を開始する。
【0046】
ゴンドラ足場または高所作業車などの外壁2に沿って移動できる作業床4に調査員が乗り、調査対象位置に移動する(S9)。
【0047】
調査員は目視および打診法により劣化損傷部位を特定し、その位置に必要に応じてチョークなどでマーキングする(S10)。
【0048】
この劣化損傷部位の判定は、例えば図4(a)示すように、劣化損傷の種別は、例えば、目視および打診棒8を用いる打診法によって行い、タイルのひび割れについては、目視で判定し、その幅についても測定ないし目視で判定し、また、タイル陶片浮きについては打診することで判定でき、これらの位置を必要に応じてマーキングする。
【0049】
外壁2の劣化損傷の種別は、外壁面の違いよりタイル面、塗装面、モルタル面、その他とする一方、それぞれの外壁面に対して、タイル面についてはタイル陶片浮き、タイル下地浮き、押出、欠損、ひび割れ、その他を区別し、塗装面については塗膜浮き、塗膜剥離、押出、欠損、ひび割れ、その他を区別し、モルタル面についてはモルタル浮き、モルタル下地浮き、押出、ひび割れ、その他を区別して判定するようにし、これらの種別および区別は、例えば図5に劣化損傷項目一覧を示すように、コンピュータ3に予め項目として入力して記憶させておき、これらを選択することで種別情報として入力できるようにしてある。
【0050】
こうして劣化損傷部位の種別を判定するとともに、その位置を特定した後、劣化損傷部位の位置情報を測定する。
【0051】
このため携帯型コンピュータ3のソフトウェア上でトータルステーション6を反射部7の360度プリズムの自動追尾モードに設定する(S11)。
【0052】
こうしてトータルステーション6による360度プリズム71が自動追尾されることを確認する(S12)。
【0053】
この後、コンピュータ3上で劣化損傷項目一覧をモニタに表示させて劣化損傷の種別を選択して入力する(S13)。なお、この種別の入力とともに、必要に応じてコンピュータ3の入力部33のタッチペンなどを利用してメモ情報を入力し、記憶させる。このメモ情報としては、例えば窓などの開口部の奥行き方向の劣化損傷であることなど、後の改修工事などに必要な情報をメモしておく。
【0054】
この選択された劣化損傷部位の位置の測定を開始する。
この位置測定には、反射部7の360度プリズム71を指示棒72の先端部に取り付けるとともに、指示棒72の基端部には、トータルステーション6に測定指示手段としてスイッチ73を設けた位置測定装置を用意する。
【0055】
そして、この指示棒72を介して作業床4から調査員5が劣化損傷部位の位置を特定できる3角形、矩形、多角形などの角部やひび割れの始点、中間点、終点などに360度プリズム71を位置させ、スイッチ73で位置の測定を指示しながら各点で測定を行う。
【0056】
例えば、タイルの陶片浮きの場合には、図6(a)に示すように、4角形の頂点である角部の4点の位置を、自動追尾機能を利用してトータルステーション6で測定し、通信機能を用いてコンピュータ3に直接入力する。また、ひび割れの場合には、図6(b)に示すように、始点、中間点、終点の3点の位置を、自動追尾機能を利用してトータルステーション6で測定し、通信機能を用いてコンピュータ3に直接入力する(S14)。
【0057】
こうして作業床4を移動しながら調査対象の外壁2の全面に渡って劣化損傷部位の種別の判定と、判定した劣化損傷部位の位置をトータルステーション6と360度プリズム7とによる自動追尾でコンピュータ3に取り込むことを繰り返して調査が終了する(S15)。
【0058】
こうして現場での外壁面の調査が終了した後、事務所にコンピュータ3を持ち帰り、劣化損傷部位の種別ごとに、長さ情報または面積情報を集計し、出力部35からプリンタなどに出力する(S16)。
【0059】
この劣化損傷部位の集計は、例えば図7に示すように、構造物1の外壁2の「東面」であること、外装材の種別が「タイル面」であること、損傷の種別が「タイル下地浮き」であること、タイルのサイズが「0.1×0.1m」であること、観測順の番号に対応した損傷部位の「2辺の長さ」、「面積」および「タイル数」が集計されて表示されるとともに、損傷種別が異なる「押し出し」や「欠損」についてもそれぞれ集計されて表示される。
【0060】
このような構造物外壁調査システムによれば、構造物1の調査対象となる外壁2の外形をトータルステーション6で測定して調査外壁面の外形情報をコンピュータ3に記憶させた後、調査員5が調査外壁面に沿って作業床4で移動しながら劣化損傷部位を点検してその種別を判定し、劣化損傷と判定した劣化損傷部位に調査員5が自動追尾機能を備えたレーザー測距手段であるトータルステーション6の反射部7を少なくとも3箇所に位置させて長さ情報または面積情報を得てコンピュータ3に記憶するとともに、劣化損傷の種別をコンピュータ3に入力して記憶するようにしたので、外壁2の外形情報を測定することでコンピュータ3に記憶させることができ、図面がない場合でも調査対象を定めることができる。
【0061】
また、劣化損傷部位であるかどうかの点検とその種別の判定を調査員5が行うことで、短時間に確実に判定することができる。
【0062】
さらに、劣化損傷部位の位置情報をレーザー測距手段であるトータルステーション6の反射部7を少なくとも2箇所位置させて求めて長さ情報や面積情報を得ることで、精度良くひび割れ長さや劣化面積を計測することができる。
【0063】
また、この構造物外壁調査システムによれば、得られた構造物外壁面の外形情報を、コンピュータ3に入力した構造物1の図面情報と校正して用いるようにしたので、実測した外壁2の外形情報と図面情報と校正することで、一層高精度の調査対象の外形情報を得ることができる。
【0064】
さらに、この構造物調査システムによれば、劣化損傷の種別ごとに、長さ情報または面積情報をコンピュータで集計して出力手段35に出力するようにしたので、コンピュータ3で劣化情報の種別と長さ情報や面積情報を集計することができ、短時間に外壁調査結果を得ることができる。
【0065】
また、この構造物調査システムによれば、劣化損傷と判定された種別のうち面積で表示すべきものに対しては、少なくとも2点の位置を測定することで閉じた空間としてコンピュータに面積情報を記憶する一方、長さで表示すべきものに対しては、少なくとも2点の位置を測定することで2点以上を結ぶ長さとしてコンピュータに長さ情報を記憶するように構成したので、劣化損傷の種別を判定して種別情報を入力しておくことで、必要な位置情報を測定すればその面積情報あるいは長さ情報としてコンピュータに記憶させることができ、調査に必要な情報を容易に得ることができる。
【0066】
さらに、この構造物調査システムによれば、劣化損傷部位の種別および位置情報とともに、メモ情報をコンピュータに記憶可能に構成したので、メモ情報を劣化損傷の調査結果に加えてコンピュータ3に記憶しておくことで、一層充実した調査を行うことができる。
【0067】
また、この構造物外壁調査システムによれば、劣化損傷は、種別としてタイル面、塗装面、モルタル面、その他としてコンピュータに入力して記憶するようにする一方、タイル面についてはタイル陶片浮き、タイル下地浮き、押出、欠損、ひび割れ、その他を区別し、塗装面については塗膜浮き、塗膜剥離、押出、欠損、ひび割れ、その他を区別し、モルタル面についてはモルタル浮き、モルタル下地浮き、押出、ひび割れ、その他を区別し、それぞれをコンピュータに記憶するように構成したので、このような種別を予め定めて区別してコンピュータ3に入力してあるので、調査を効率的に行うことができるとともに、調査員による調査を均質化することができる。
【0068】
次に、この構造物調査システムに用いる位置測定装置について、図8〜図11に基づき説明する。
この位置測定装置10は、すでに説明した自動追尾機能を備えたトータルステーション6と自動追尾されてレーザーを反射する反射部7とで基本的に構成されるものであり、反射部7の360度プリズム71を外壁調査に適した構造としてある。なお、360度プリズムは、図8に示すように、既存のものであり、複数のプリズムを組合わせることで、全方向に反射できるようにしたものである。
【0069】
この位置測定装置10の反射部7では、指示棒72の先端部に取り付けられる360度プリズム71に外壁2側に、図9に示すように、カバー11が取り付けられて外壁2側の側面のほぼ半周が側面カバー11aで覆われ、上端面が上面カバー11bで覆われており、側面カバー11aに測定位置を指示する円錐状の突起部11cが側方に突出して設けてある。
【0070】
これにより、側面カバー11aの側方に突出した突起部11cを劣化損傷部位の位置情報を得るための位置に位置合わせすればよく、調査員が簡単に測定位置に反射部7を合わせることができ、測定精度を均一に保つことができる。
【0071】
また、カバー11で反射部7の360度プリズム71を覆うことで、プリズム71が直接外壁2に当ることがなく、作業床4から調査員5が指示棒72を介して位置測定を行う場合でも損傷を防止することができる。
【0072】
一方、反射部7は、外壁2と反対側のほぼ反周には、カバー11が設けられてないので、トータルステーション6の自動追尾よる位置測定に何ら支障がなく、360度プリズム71でレーザーを反射することができる。
【0073】
次に、このような指示棒72の先端部に360度プリズム71を取り付け、その外壁2側のほぼ半周を覆うカバー11を設けた位置測定装置10の反射部7は、1箇所の劣化損傷部位に対して少なくとも2回の位置測定が行われることから、外壁2の全体の調査には、調査員5が繰り返し測定位置を指示しなければならず、そのための負担がかなり大きくなってしまう。
【0074】
そこで、位置測定装置10Aでは、測定位置の指示のための調査員の負担を軽減できるようにしてあり、作業床4として1人乗りのチェア型ゴンドラ4Aに適用した場合を図10に、2人以上が作業できるデッキ型ゴンドラ4Bに適用した場合を図11に、それぞれ示した。
【0075】
この位置測定装置10Aでは、バランスアーム機構12が用いられ、バランスアーム機構12の先端部に反射部7の指示棒72の中間部が取り付けてあり、バランスアーム機構12の基端固定部12aがチェア型ゴンドラ4Aの支柱41に固定されたり、ゴンドラ4Bの背面上部に水平に取り付けたガイドバー42に沿って移動可能な移動体43にバランスアーム機構12の基端固定部12aが取り付けられ、作業床4内での調査員5の移動に追従してバランスアーム機構12を横移動できるようにしてある。
【0076】
このバランスアーム機構12は、例えば3本のアーム12b,12c,12dを備えており、基端固定部12aに水平軸回りに回動可能に第1アーム12bが取り付けられ、第1アーム12bの先端部に第2アーム12cが水平軸周りに回動可能に取り付けてある。そして、第2アーム12cの先端部に水平軸回りに回動可能な第1回転ブロック12eを介して第3アーム12dの基端部が鉛直軸回りに回動可能に取り付けられ、第3アーム12dの先端部に直交する2軸回りに回動可能な第2回転ブロック12fを介して反射部7の指示棒72が取り付けてあり、各回動軸回りに釣り合いばねなどの図示しないバランス機構を装備することで、反射部7の荷重を軽減できるようにしてある。
【0077】
このバランスアーム機構12を介して反射部7を取り付けることで、反射部7の全荷重を調査員5が支持することなく測定位置に360度プリズム71を位置させることができ、大幅に調査員の負担を軽減することができる。
【0078】
なお、バランスアーム機構12の構成は、上記の形態に限らず、回動軸や回転ブロックを増設したり、省略しても良く、荷重をバランスして作業できるアーム機構であれば、他のバランス機構と組みわせて構成したものでも良い。
【0079】
また、このバランスアーム機構12では、劣化損傷部位の種別や位置情報などを入力するコンピュータ3の取付台13が第2アーム12cに取り付けてあり、調査員5が直接持たずに調査情報の入力ができるようにしてある。
【0080】
このような構造物調査システムに用いる位置測定装置によれば、劣化損傷部位の位置情報をコンピュータ3に記憶するための位置を測定する位置測定装置10を、自動追尾機能を備えたレーザー測距方式の測距本体部であるトータルステーション6と劣化損傷部位に位置させてレーザーを反射する反射部7とで構成し、この反射部7は、全方向反射プリズム71が指示棒72の先端部に設けられ、この全方向反射プリズム71の劣化損傷部に位置させる側にカバー11を取付けるとともに、カバー11に外壁に当接させて測定位置を指示する突起部11cを設けたので、レーザー測距方式のトータルステーション6の反射部7の全方向プリズム71の外壁2側をカバー11で覆うことで、位置を測定する場合に外壁面に当てる場合の損傷を防止することができ、現場作業での取り扱いを容易にすることができるとともに、カバー11に設けた突起部11cによって正確に位置合わせして劣化損傷部を計測して位置情報を得ることができる。
【0081】
また、この構造物調査システムに用いる位置測定装置10によれば、指示棒72に、位置測定開始をコンピュータ3に指令する測定開始指示手段としてスイッチ73を設けたので、指示棒72で測定すべき位置を指示すると同時に、測定開始手段であるスイッチ73で測定開始の指示を発信でき、調査作業を円滑に行うことができる。
【0082】
さらに、この構造物調査システムに用いる位置測定装置10Aによれば、反射部7を、構造物1の外壁2に沿って移動する移動体であるデッキ型ゴンドラ4A,4Bに反射部7の荷重とバランスさせて荷重を軽減するバランスアーム機構12を介して取り付けるとともに、この反射部7を指示棒72で劣化損傷部位に走査可能に構成したので、全方向プリズム71を備えた反射部7の重量をバランスアーム機構12でバランスさせることができ、劣化損傷部位の位置情報の測定のための調査員の作業負担を大幅に軽減することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 構造物
2 外壁
3 コンピュータ
4 作業床
4A チェア型ゴンドラ
4B デッキ型ゴンドラ
5 調査員
6 トータルステーション(TS)
7 反射部
8 打診棒
10 位置測定装置
11 カバー
11a 側面カバー
11b 上面カバー
11c 突起部
10A 位置測定装置
12 バランスアーム機構
12a 基端固定部
12b 第1アーム
12c 第2アーム
12d 第3アーム
12e 第1回転ブロック
12f 第2回転ブロック
13 取付台
31 制御部
32 記憶部
33 入力部
34 表示部
35 出力部
41 支柱
42 ガイドバー
43 移動体
61 測角部
62 測距部
63 自動追尾部
64 制御部
65 記憶部
66 入力部
67 表示部
68 出力部
71 360度プリズム
72 指示棒
73 スイッチ(測定開始指示手段)
P1 外壁の外形測定位置
P2 外壁の外形測定位置
P3 外壁の外形測定位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の劣化損傷具合を点検判定し、その種別および位置情報をコンピュータに記憶する構造物調査システムであって、
構造物の調査対象となる外形を測定して調査構造物の外形情報をコンピュータに記憶した後、
調査員が前記調査構造物に沿って移動しながら劣化損傷部位を点検してその種別を判定し、
劣化損傷と判定した劣化損傷部位に調査員が自動追尾機能を備えたレーザー測距手段の反射部を少なくとも2箇所に位置させて長さ情報または面積情報と位置情報を得てコンピュータに記憶するとともに、劣化損傷の種別をコンピュータに入力して記憶するようにしたことを特徴とする構造物調査システム。
【請求項2】
得られた構造物の前記外形情報を、前記コンピュータに入力した当該構造物の図面情報と校正して用いるようにしたことを特徴とする請求項1記載の構造物調査システム。
【請求項3】
前記劣化損傷の種別ごとに、長さ情報または面積情報と位置情報をコンピュータで集計して出力手段に出力するようにしたことを特徴とする請求項1または2記載の構造物調査システム。
【請求項4】
前記劣化損傷と判定された種別のうち面積で表示すべきものに対しては、少なくとも2点の位置を測定することで閉じた空間としてコンピュータに面積情報を記憶する一方、長さで表示すべきものに対しては、少なくとも2点の位置を測定することで2点以上を結ぶ長さとしてコンピュータに長さ情報を記憶するように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の構造物調査システム。
【請求項5】
前記劣化損傷部位の種別および位置情報とともに、メモ情報をコンピュータに記憶可能に構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の構造物調査システム。
【請求項6】
前記劣化損傷は、種別としてタイル面、塗装面、モルタル面、その他としてコンピュータに入力して記憶するようにする一方、
タイル面についてはタイル陶片浮き、タイル下地浮き、押出、欠損、ひび割れ、その他を区別し、
塗装面については塗膜浮き、塗膜剥離、押出、欠損、ひび割れ、その他を区別し、
モルタル面についてはモルタル浮き、モルタル下地浮き、押出、ひび割れ、その他を区別し、
それぞれをコンピュータに記憶するように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の構造物調査システム。
【請求項7】
構造物の劣化損傷具合を点検判定し、その種別をコンピュータに入力するとともに、劣化損傷部位の位置情報をコンピュータに記憶するための位置を測定する構造物調査システムの位置測定装置であって、
この位置測定装置を、自動追尾機能を備えたレーザー測距方式の測距本体部と劣化損傷部位に位置させてレーザーを反射する反射部とで構成し、
この反射部は、全方向反射プリズムが指示棒の先端部に設けられ、この全方向反射プリズムの劣化損傷部に位置させる側にカバーを取付けるとともに、カバーを構造物に当接させて測定位置を指示する突起部を設けたことを特徴とする構造物調査システムに用いる位置測定装置。
【請求項8】
前記指示棒に、位置測定をコンピュータに指令する測定指示手段を設けたことを特徴とする請求項7記載の構造物調査システムに用いる位置測定装置。
【請求項9】
前記反射部を、構造物に沿って移動する移動体に当該反射部の荷重とバランスさせて荷重を軽減するバランスアーム機構を介して取り付けるとともに、この反射部を前記指示棒で劣化損傷部位に走査可能に構成したことを特徴とする請求項7または8記載の構造物調査システムに用いる位置測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−180007(P2011−180007A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45236(P2010−45236)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000229689)日本ビソー株式会社 (30)
【Fターム(参考)】