説明

構造的に変性されたシリカ

構造的に被覆されたシリカは、適当な混合容器中で、熱分解シリカに水及び被覆剤を吹き付けかつ混合し、次いで粉砕し、その後にこの生成物をコンディショニングすることにより製造できる。この構造的に被覆されたシリカはラッカー中の艶消し剤として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造的に被覆されたシリカ、その製造方法及びその使用に関する。
【0002】
エーロゲルのような構造化されたシリカは、DE 24 14 478に記載されている。このシリカは、水を空気分散熱分解シリカに混入し、かつ均一に分配させ、得られた粉末状の混合物を乾燥することにより製造される。
【0003】
このシリカは、沈殿する傾向が強く、かつ再分散が不可能であるか又は困難であるという欠点を有する。
【0004】
刊行物DE 15 92 863は、有機変性した沈殿シリカを記載しており、この沈殿シリカは、例えばワックスで被覆されており、かつ艶消剤として使用することができる。この公知のシリカは、多様なラッカー系中で不十分な透明性を示す。高い水分量のために、このシリカは水分硬化性ポリウレタン系中では使用できない。艶消し仕上げを行うことが困難なラッカー系、例えばポリウレタン及びエポキシラッカー系は、公知のシリカを用いて十分に艶消しすることができない。
【0005】
従って、本発明の課題は、このような欠点を示さないシリカを製造することである。
【0006】
本発明は構造的に被覆されたシリカを提供する。これは1〜30質量%の炭素含有量を有する。本発明によるこのシリカは、80〜450m/gのBET表面積を有することができる。これは、10〜100g/lの圧密化された嵩密度を有することができる。DBP値は200〜150である。
【0007】
本発明によるシリカの4%の濃度の水性懸濁液は、6〜8のpHを有することができる。
【0008】
構造的に被覆されたとの表現は、最終製品が出発製品よりもより高度に構造化されていて、かつさらに被覆されていることを意味する。構造的に被覆されたシリカは、出発シリカよりも高いDBP値を有する。
【0009】
本発明によるこの構造的に被覆されたシリカは、適当な混合容器中で、熱分解シリカに水及び被覆剤を吹き付けかつ混合し、次いで粉砕し、その後に乾燥することにより製造できる。
【0010】
公知のすべての熱分解シリカは、この熱分解シリカとして使用できる。
【0011】
本発明の有利な実施態様の場合には、表1による熱分解シリカを使用できる。
【0012】
熱分解シリカは、Ullmann's Encyklopadie der technischen Chemie 4th edition, vol. 21, pages 464 et seq. (1982)に開示されている。
【0013】
これらは、蒸発可能な金属又はメタロイド化合物、例えば四塩化ケイ素を水素及び酸素を有するガスで火炎中で燃焼させる火炎加水分解法により製造される。
【0014】
表1 AEROSILの物理化学データ
【0015】
【表1】

【0016】
表1に記載された熱分解シリカの中から、(AEROSIL OX50を除いて)有利に全てのタイプのアエロジルの未圧密化されたバリエーションが使用できる。
【0017】
水性分散液又はエマルションの形のワックス及び/又は有機変性ポリシロキサンが、被覆剤として使用できる。本発明により使用するためのワックスの水性分散液又はエマルションは次のワックスを有する:
ポリエチレンホモポリマー及びコポリマーワックス;数平均分子量700〜10000g/mol、80〜140℃の滴点を有する。
【0018】
PTFEワックス;30000〜2000000g/mol、特に100000〜1000000g/molの分子量を有するポリテトラフルオロエチレン。
【0019】
ポリプロピレンホモポリマー及びコポリマーワックス;数平均分子量700〜10000g/mol、80〜160℃の滴点を有する。
【0020】
アミドワックス;アンモニア又はエチレンジアミンと飽和及び不飽和脂肪酸との反応により製造される。この脂肪酸は、例えばステアリン酸、獣脂酸、パルミチン酸又はエルカ酸である。
【0021】
FTパラフィン;数平均分子量400〜800g/mol、80〜125℃の滴点を有する。
【0022】
酸及びC22〜C36の炭素鎖長のカルボン酸とのエステルワックスを含むモンタンワックス。このエステルワックスは、モンタンワックスと、1種又は数種の多価アルコール、例えばエタンジオール、ブタン−1,3−ジオール又はプロパン−1,2,3−トリオールとの反応生成物である。
【0023】
天然ワックス、例えばカルナウバワックス又はカンデリラワックス。
【0024】
石油の精製の間に製造されるマクロ結晶又は微結晶パラフィン。このパラフィンの滴点は45〜65℃であり、微結晶ワックスの滴点は73〜100℃である。
【0025】
モンタンアルコールのソルビタンエステル。
【0026】
更に、次のものを使用することができる:
チーグラー金属触媒を用いて製造したC〜C18−α−オレフィンのホモポリマー又はコポリマー及び次のグループから選択される、助剤としての1種又は数種の他のワックス
− PEワックス、
− PTFEワックス、
− PPワックス、
− アミドワックス、
− FTパラフィン、
− モンタンワックス、
− 天然ワックス
− マクロ結晶及び微結晶パラフィン、
− 極性ポリオレフィンワックス又は
− ソルビタンワックス
チーグラーメタロセン触媒を用いて製造したC〜C18−α−オレフィンのホモポリマー又はコポリマーは有利に次の特性を有している:
滴点(Dp):80〜165℃ 90〜155℃
酸価(AV):0〜50mgKOH/g
密度:0.87〜1.03g/cm
170℃での溶融物の粘度:10〜100000mPas
適当なポリオレフィンワックスはエチレン又はプロピレンのホモポリマーであるか又はエチレン及びプロピレンのそれぞれの又は1種又は複数の1−オレフィンとのコポリマーである。
【0027】
本発明により使用のためのポリシロキサンは次のものであることができる:
次の水中油型エマルション
有機変性されたポリシロキサン(有機変性:C〜C−アルコール及びEO/POポリエーテル)
近似的平均Mw:1000〜5000g/mol
(疎水性シリカで充填)エマルションの活性物質含有量:約20%
水及び被覆剤の混入の際にシリカの容積は極めてわずかに減少するだけであるため、エアーディスペンサー処理された熱分解シリカ中に当初存在する一次粒子の会合は実質的に保持されると想定される。水及び被覆剤の負荷の結果として、シリカの表面の部分的溶解が生じるため、溶解したシリカが存在する。これは、引き続く乾燥の間に一次粒子を一緒に全ての接触点で結合させる。
【0028】
このように、Kistlerエーロゲルに相当する、分散が安定しかつ高いマクロ孔容量を有しかつ極めて低い見掛け密度(嵩密度)を有する物質が、熱分解シリカから、水及び被覆剤で負荷し、引き続き乾燥させることにより製造される。
【0029】
更に、空気中の熱分解シリカの充填密度により決定される、見掛けのストラクチャーが水及び被覆剤の混入前に存在し、前記ストラクチャーはその見掛け密度(嵩密度)により表され、このストラクチャーは本発明による方法により得られる生成物に明らかに影響を及ぼすことが見出された:出発生成物がより嵩張っていれば、得られた最終生成物は更に嵩張る。
【0030】
本発明による生成物を製造するために10〜130、有利に15〜80、特に約20g/lの圧密化された嵩密度を有する熱分解シリカを使用することが有利であることが判明した。
【0031】
更に、大きな表面積を有し、従って小さな一次粒子を有する熱分解シリカを選択することが有利であることが判明した。本発明による製造の有利な実施態様の場合には、100〜480、特に250〜410m/gのBET表面積を有するシリカを使用する。
【0032】
水及び被覆剤5〜20、特に7〜15質量%が導入され、かつ一様分布でシリカ中に混合されていれば、一次粒子の完全な濡れを達成できる。混合された水を乾燥により再び除去しなければならないため、経済的理由から最少量の水を使用するのが好ましい。しかしながら、この必要量はある程度、使用する混合方法に依存する。
【0033】
本発明によるストラクチャーの構築は、塩基性化合物、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、水溶性アミン、水ガラス等を水及び被覆剤に添加する場合に、著しく促進することができる。この添加量は、7〜14、有利に8〜12、特に10〜11のpH値が水中で調節されるように選択するのが好ましい。
【0034】
この使用したアルカリは、シリカの溶解促進剤として作用し、プロセス生成物のマクロ多孔性を増大させる。
【0035】
アルカリ化合物の代わりに、遊離シリカ又は加水分解シリカ及び/又はアルカリを遊離する物質を水及び被覆剤に添加することもできる。実際に、例えばシリケート溶液の酸性化又はイオン交換により製造されたか、又は有機ケイ素化合物の加水分解により製造された遊離シリカ、例えばテトラメチルシリケートも同様に、ストラクチャーの構築を促進する。加水分解によりアルカリとシリカとに遊離する物質はナトリウムメチルシリコネートである。
【0036】
水及び被覆剤のシリカ中での一様分布は、20〜100、有利に40〜70、特に50〜60℃の温度でシリカと撹拌により混合しているシリカ中/シリカ上に滴下又は噴霧により添加することにより実施できる。撹拌による混合は、有利に撹拌により行われる。
【0037】
水を混合する他の方法は、例えば下降管を用いて、流動化した材料流の形でシリカ中に水及び被覆剤を吹き付けることよりなる。
【0038】
適度に高めた温度で水の負荷を実施することも有利であることが判明した。これは、被覆剤に混合する水を予熱するか、又はシリカを予熱する化、又は両方の成分を予熱することにより達成することができる。このように、被覆剤に混合する水は、20〜100、有利に50〜100、特に90〜100℃の温度を有することができる。
【0039】
ストラクチャーの構築は、シーリングされた空間中で負荷されたシリカを短時間スチーミングすることにより促進することもできる。このスチーミングは水の特に良好な分配を生じさせる。シーリングされた容器中で、約5〜60、有利に10〜30、特に約20分間、水の沸点までの温度、有利に50〜80℃、特に約60℃で、乾燥の前に、水で負荷されたシリカをスチーミングすることが有利であることが判明した。
【0040】
水と被覆剤との分配を改善する他の方法は、水及び被覆剤で負荷したシリカを、例えばピン付きミル又はエアジェットミル中で粉砕することからなる。
【0041】
このシリカは次いで乾燥され、その間に予備形成されたストラクチャーはおそらく一次粒子を介して固定され、その表面は、溶解したシリカで被覆されているか又は遊離シリカで被覆されている。
【0042】
乾燥のタイプはあまり重要ではない。
【0043】
常に乾燥粉末の状態を有するシリカ及び被覆剤の製造された混合物は、例えばトレー、ディス、ビュットナー、連続流動又はマイクロ波乾燥機中で乾燥することができる。しかしながら、水及び被覆剤で負荷されたシリカは、別個のプロセス工程で保存するため、スチーム又はエアジェットミル中で同時に粉砕及び乾燥することができる。
【0044】
水及び被覆剤で負荷した後に得られた粉末混合物で別個の乾燥を実施する場合に、引き続きピン付きミル又はエアジェットミル中で乾式粉砕することができる。
【0045】
本発明によるシリカは、特にラッカー中の艶消し剤として使用できる。これは次の利点を有する:
沈殿しない、又は再分散が容易、
艶消し効果は損なわれない、
触感の改善、
透明ラッカーのより高い透明性が可能、
低い水分含有量、従って、水分硬化性PU系(ポリウレタン系)中で使用できる、
チキソトロピーが低いために、良好な流動性。
【0046】
本発明によるシリカは、特にポリウレタンラッカーに使用できる。
【0047】
実施例
本発明により構造的に被覆されたシリカの製造
次の物理学的特性を有する親水性熱分解シリカ(Aerosil 300)を使用した:
BETによる比表面積[m/g]:290.0
pH:4.2
圧密化された密度[g/l]:35
乾燥による減量[%]:0.8
DBP値[%]:305.0
炭素含有量[%]:0
鋤羽ミキサーを混合容器として使用する。この被覆剤は室温で2つの流動ノズルを用いて吹き付ける。
【0048】
次の生成物が被覆剤として使用される:
被覆剤A
被覆剤AはEP 0 341 383 A2から公知であり、かつこれはワックスエマルションであり、かつ次のように製造される:
このワックスエマルションは、スチームで加熱することがでるオートクレーブ中で製造され、かつ分散装置を用いて準備される。この中で、アルキルポリグリコールエーテル(Marlowet(R) GFW)4.8質量部を100℃でまず、約100℃の水81.0質量部中に溶解させる。次いで、低圧ポリエチレンワックス14.2質量部を添加し、この混合物を130℃に加熱する。130℃に達する際に、この分散装置をスイッチオンし、かつこの混合物を30分間分散させる。この温度を、この期間、130〜140℃に維持する。分散装置をスイッチオフし、かつ約110℃に冷却した後、最終エマルションを排出させた。
【0049】
このポリエチレンワックスは、次の物理特性により特徴付けられる:
平均分子量 1000
凝固点 100〜104℃
滴点 110〜117℃
密度(g/cm) 0.93
このエマルションは次いで必要なpHに調節される。
【0050】
被覆剤B
被覆剤BはEP 0 341 383 A2から公知である。これはワックスエマルションであり、次のように製造される:
このワックスエマルションは、スチームで加熱することがでるオートクレーブ中で製造され、かつ分散装置を用いて準備される。この中で、アルキルポリグリコールエーテル(Marlowet(R) GFW)4.8質量部を100℃でまず、約100℃の水81.0質量部中に溶解させる。次いで、低圧ポリエチレンワックス14.2質量部を添加し、この混合物を130℃に加熱する。130℃に達する際に、この分散装置をスイッチオンし、かつこの混合物を30分間分散させる。この温度を、この期間の間、130〜140℃に維持する。分散装置をスイッチオフし、かつ約110℃に冷却した後、最終エマルションを排出させた。
【0051】
この使用されたポリエチレンワックスは、次の特性により特徴付けられる:
平均分子量 2700
凝固点 92〜96℃
滴点 102〜110℃
密度(g/cm) 0.92
このエマルションは次いで必要なpHに調節される。
【0052】
被覆剤C
被覆剤Cは、水210gに溶解された水性ポリシロキサンエマルション656.4gからなり、これは必要なpHに調節される。
【0053】
このポリシロキサンエマルションは次の物理化学的特性を有する:
【0054】
【表2】

【0055】
被覆剤D
被覆剤Dは、水116gで希釈された水性アルキルエステル/ポリジメチルシロキサンエマルション503.0gからなり、これは必要なpHに調節される。
【0056】
このアルキルエステル/ポリジメチルシロキサンエマルションは次の物理化学的特性を有する:
【0057】
【表3】

【0058】
被覆剤E
被覆剤Eはエステルワックス及びカルナウバワックスと水346gの水性エマルション365.6gからなる。この混合物は、10.6のpHに調節される。
【0059】
エステルワックス、カルナウバワックス、乳化剤及び水のエマルションは次の組成を有する:
【0060】
【表4】

【0061】
この使用されたエマルションは次の物理化学的特性を有する:
【0062】
【表5】

【0063】
比較例
比較のために、被覆剤の代わりに水(アルカリで調節)だけを実施例8に使用した。
【0064】
表2
湿った材料の製造
【0065】
【表6】

【0066】
表3
湿った材料の粉砕及び乾燥
【0067】
【表7】

【0068】
表4
物理化学的データ
【0069】
【表8】

【0070】
物理化学的特性の測定
BET比表面積
BET表面積はDIN66131に従って窒素を用いて測定される。
【0071】
圧密化された密度
この圧密化された密度DIN ISO 787/XIに基づく方法を用いて測定
圧密化された密度の測定のための基本
圧密化された密度(以前には圧密化された容積)は、一定の条件下での圧密化容積計中で圧密化した後の粉末の質量及び容積の商に等しい。DIN ISO 787/XIによると、圧密化された密度はg/cmで示される。この酸化物の極めて低い圧密化された密度のため、この値をg/lで示す。更に、乾燥及びスクリーニング操作を行わず、圧密化プロセスも繰り返さない。
【0072】
圧密化された密度の測定のための装置
圧密化容積計
メスシリンダー
実験室用はかり(0.01gを計測できる)
圧密化された密度の測定方法
空隙なくかつ表面が水平となるように、酸化物200±10mlを圧密化容積計のメスシリンダー中に入れる。
【0073】
メスシリンダー中の試料の質量は0.01gの精度で測定される。試料を有するこのメスシリンダーを、タンピング容積計のメスシリンダーホルダー中に入れ、1250回突き落とす。
【0074】
この圧密化された酸化物の容積を、1mlの精度で読み取る。
【0075】
圧密化された密度測定の評価
【0076】
【数1】

【0077】
pH
このpHは4%の濃度の水性分散液中で測定し、疎水性酸化物の場合には水:メタノール1:1中で測定する。
【0078】
pHの測定のための試薬
蒸留水又は脱イオン水、pH>5.5
メタノール、AR
緩衝溶液pH7.00pH4.66
pHの測定のための装置
実験室用はかり(0.1gを計測できる)
ビーカー、250ml
磁気攪拌機
磁気ロッド、長さ4cm
pH複合電極
pH器具
ディスペンセット(Dispensette)、100ml
pHの測定のための器具
pHの測定のためのこの方法はDIN/ISO 787/IXに基づく:校正:pHの測定の前に前記器機を緩衝溶液で校正する。数回の測定を連続して行う場合には、1回の校正手順で十分である。
【0079】
親水性酸化物4gを、ディスペンセットを用いて水96g(96ml)を有する250mlのガラスビーカーに入れ、pH電極をその中に浸しながら、磁気攪拌機を用いて5分間撹拌する(速度は約1000min−1)。
【0080】
疎水性酸化物4gを、250mlビーカー中でメタノール48g(61ml)をと共に撹拌し、この懸濁物を水48g(48ml)で希釈し、pH電極をその中に浸しながら磁気攪拌機を用いて5分間撹拌する(速度、約1000min−1)。
【0081】
攪拌機を止めた後に、1分間の待機時間の後に、pHを読み取る。この結果は小数点1桁まで記録される。
【0082】
乾燥による減量
DIN ISO 787IIに記載された10gの量を最初に秤量するのとは異なり、1gの量を乾燥による減量の測定のために使用した。ふたを置き、冷却する。第2の乾燥は実施しない。
【0083】
約1gの試料を0.1mgの精度で、粉塵生成を避けながら、105℃で乾燥したすりガラスふたを有する計量皿中で秤量し、及び105℃で2時間乾燥庫中で乾燥する。冷却後にブルーシリカゲル上のデシケーター中においてふたと共に、前記皿を再度秤量する。
【0084】
【数2】

【0085】
この結果は小数点1桁まで記録される。
【0086】
強熱減量
強熱減量を測定するための装置
るつぼふた付き磁製るつぼ
マッフル炉
分析用はかり(0.1mgを計測できる)
デシケーター
強熱減量の測定のために使用する方法
DIN55921とは異なり、予め乾燥していない基材を0.1mgの精度で、予め強熱したふた付きの磁製るつぼ中に量り取り、1000℃で2時間マッフル炉中で強熱する。粉塵の生成を回避する努力を行わなければならないマッフル炉が詰めたい間に、秤量した試料を前記マッフル炉に入れることが有利であることが明らかとなった。前記炉をゆっくりと加熱することにより、磁製るつぼ中の著しい空気乱流は回避される。
【0087】
1000℃に加熱した後に、この加熱を更に2時間続けた。次に、このるつぼにふたを被せ、このるつぼをブルーシリカゲル上のデシケーター中に置き、質量に関するロスを測定する。
【0088】
強熱減量の測定の評価
強熱減量は105℃で2時間乾燥した試料に関して、次の式にを計算のために使用する:
【0089】
【数3】

【0090】
=秤量された初期質量(g)
LOD=乾燥による減量(%)
=強熱された試料の質量(g)
この結果は小数点1桁まで記録される。
【0091】
DBP値
DBP値の決定のための装置
上皿はかり
プラスチックビーカー(250ml)
計量ユニットを備えたブラベンダープラストグラフ
試薬
ジブチルフタレート(工業的)
方法
1. カットオフポイントをチェックする。
【0092】
− 計量ポンプなしでプラストグラフをスイッチオンする。
【0093】
− 操作セクション用の保護バルブを開ける(ディスプレーの下)。
【0094】
− 「Func」ボタンを押し、ディスプレーはカットオフ値「1000」とアラーム「AlH.A.」とを交互に切り替える、5秒後にディスプレーは再び標準モードを表す。
2. 校正
− 計量ポンプなしでプラストグラフをスイッチオンする。
【0095】
− 配合装置をスイッチオンする(両方のスタートボタンを同時に押す)。
【0096】
− 「Cal」ボタンを1回押し、次に「Funk」ボタンを押す;ディスプレーを現在のゼロ点と「Lo S.C.」とを交互に切り替える。
【0097】
− 「Cal」ボタンを再び押し、4秒(校正)後に機器は現在の全範囲「10000」と「Fu S.C.」とを表示する。
【0098】
− 「Cal」ボタンを再度び押し、4秒(校正)後に機器は摩擦補正したゼロ点「tare」を表示する。
【0099】
− 「Cal」ボタンを再度び押し、5秒間待つ。
【0100】
− 必要な場合に、「カットオフポイント」及び「校正」の手順を測定を行う前に1日1回実施する。
【0101】
3. 測定
− 試料12.5gをプラスチックビーカー中に量り取り、配合チャンバに入れる。指示があれば、この重量はこの値とは異なることができる(例えば8又は20g)。DBP測定ユニットをスイッチオンする。充填手順(ディスプレーF)が完了した後すぐに、プラストグラフは使用のために準備される。
【0102】
− スタートボタンを押したと同時に測定が開始される。
【0103】
− プリセットされたカットオフポイント(1000)に達するまで、計量ユニットはDBP4ml/minを計量する。
【0104】
− この器具は自動的にスイッチオフされる。
【0105】
− DBP消費量だけを、計量ユニットの表示から読み取ることができる。
【0106】
計算
【0107】
【数4】

【0108】
ラッカー中の本発明によるシリカの使用
本発明による実施例1〜7によるシリカを、多様なラッカー系中で試験した。この試験の結果を次の表5〜8に記載した。
【0109】
表5は、黒色焼き付けラッカーDUPLEX D 1326中で使用した本発明による実施例1〜7によるシリカの作用を示し、かつこれをDE 24 14 478による艶消し剤と比較した。
【0110】
この焼き付けラッカーDUPLEX 1326は、DuPont Coatingsの市販品である。この結合剤のベースはアルキド/メラミン樹脂である。特性:黒色顔料を添加されたアルキル/メラミン樹脂焼き付けラッカー、高光沢、オリジナルの用途:自動車ビヒクル(HGV)大量製造ラッカー。これは標準試験系で、特にグラインドメータ値及び艶消し効果の試験のために使用される。
【0111】
これは、平均艶消し性を有する顔料添加された工業用ラッカーのためのモデルとして使用される。同等の光沢レベル(60反射計値)を、秤量された量の変化により全ての製品に対して設定した。
【0112】
この結果を次に示す:
表中の値から、被覆及び低いグラインドメータ値(粒子サイズ)の存在にもかかわらず、高い艶消し効果の傷害が示されないことが観察された。
【0113】
表6は、懸濁した粒子試験のためにNC試験ラッカー中で使用した本発明による実施例1〜7によるシリカの作用を示し、かつこれをDE 24 14 478による艶消し剤と比較した。NC試験ラッカーを、艶消し剤の沈殿挙動の試験のためだけに使用した。これは次の組成を有する。
【0114】
【表9】

【0115】
この結果を次に示す:
ほとんど全ての被覆された試料は、著しく改善された懸濁した粒子挙動を示す。いくつかは、全く沈殿が観察されなかった(実施例3及び4)。
【0116】
表7は、DDブルーストリークラッカーP(DD blue-streak lacquer P)中で使用した本発明による実施例1〜7によるシリカの作用を示し、かつこれをDE 24 14 478による艶消し剤と比較した。このブルーストリークラッカーは2成分ポリウレタンラッカーであり、艶消し作用の試験のために特に使用される。これは、艶消し仕上げを提供するのが困難な顔料添加されていない木材及び家具用ラッカーのモデルとして使用される。光沢の度合い(反射計値)に関する艶消し剤の直接的作用は、常に全ての生成物の同じ量を秤量することにより得られる。
【0117】
ブルーストリークラッカーは次の組成を有する:
【0118】
【表10】

【0119】
この結果を次に示す:
全ての試料は低いチキソトロピーを有し、かつこのラッカー系に関してわずかな又はゼロの流動学的効果を示すだけである。これはラッカー加工特性に関して有利な効果である。
【0120】
表8は、標準ワックス分離試験における本発明による実施例1〜7によるシリカの作用を示す。この試験は、全ての被覆剤がラッカー中でシリカ上に残って沈殿するのを避けるために適用され、かつ除去できないかどうかを調査するために用いられる。この目的のために、被覆されたシリカは、高めた温度でエトキシプロピルアセテート中で貯蔵される。生成物がこの試験に合格したならば、この結果が全てのラッカー系中で当てはまる可能性が高いことが予想できる。この結果は、被覆剤の剥離がこのどのようなシリカにも検出できなかったことを示す。
【0121】
表5
【0122】
【表11】

【0123】
表6
【0124】
【表12】

【0125】
表7
【0126】
【表13】

【0127】
表8
秤量された溶剤の量:エトキシプロピルアセテート35g、秤量された艶消し剤の量:1g
手動で混合
乾燥庫中で50℃で一晩中貯蔵
【0128】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造的に被覆されたシリカ。
【請求項2】
10〜30質量%の炭素含有量を有する、請求項1記載の構造的に被覆されたシリカ。
【請求項3】
80〜450m/gのBET表面積を有する、請求項1記載の構造的に被覆されたシリカ。
【請求項4】
10〜60g/lの嵩密度を有する、請求項1又は2記載の構造的に被覆されたシリカ。
【請求項5】
2.4〜3.8のDBP値を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の構造的に被覆されたシリカ。
【請求項6】
適当な混合容器中で熱分解シリカに水及び被覆剤を吹き付けかつ混合し、次いで粉砕しかつ引き続き乾燥させる、請求項1から4までのいずれか1項記載の構造的に被覆されたシリカの製造方法。
【請求項7】
ラッカー中での艶消し剤としての、請求項1から4までのいずれか1項記載の構造的に被覆されたシリカの使用。
【請求項8】
請求項1から4までのいずれか1項記載の構造的に被覆されたシリカを含有する、ラッカー及び/又はラッカー系。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分解シリカに、適当な混合容器中で、水及び被覆剤を吹き付け、かつ混合し、次いで粉砕し、引き続き乾燥させる構造的に被覆されたシリカの製造方法において、反応混合物のpH値が7〜14であることを特徴とする、構造的に被覆されたシリカの製造方法。
【請求項2】
塩基性化合物、遊離シリカ、加水分解シリカ及び/又はアルカリを遊離する物質からなるグループから選択される少なくとも1種の化合物を反応混合物中に存在させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
アンモニア、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム及び/又は水溶性アミンからなるグループから選択される塩基性化合物を反応混合物中に存在させる、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載の方法により得られたシリカ。
【請求項5】
10〜30質量%の炭素含有量を有する、請求項4記載のシリカ。
【請求項6】
80〜450m/gのBET表面積を有する、請求項4又は5記載のシリカ。
【請求項7】
10〜100g/lの圧密化された嵩密度を有する、請求項4から6までのいずれか1項記載のシリカ。
【請求項8】
2.4〜3.8のDBP値を有する、請求項5から7までのいずれか1項記載のシリカ。
【請求項9】
ラッカー中での艶消し剤としての、請求項4から8までのいずれか1項記載のシリカの使用。
【請求項10】
請求項4から8までのいずれか1項記載のシリカを含有する、ラッカー及び/又はラッカー系。

【公表番号】特表2006−521411(P2006−521411A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−559676(P2004−559676)
【出願日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012380
【国際公開番号】WO2004/055120
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(501073862)デグサ アクチエンゲゼルシャフト (837)
【氏名又は名称原語表記】Degussa AG
【住所又は居所原語表記】Bennigsenplatz 1, D−40474 Duesseldorf, Germany
【Fターム(参考)】