説明

標本作製装置および標本作成方法

【課題】装置の構造を複雑化することなく、染色動作を行うことが可能な標本作製装置を提供することを目的とする。
【解決手段】スライドガラスを収納するためのカセットを収容するカセット収容部と、
カセット収容部から供給されたカセットに塗沫部で塗沫処理されたスライドガラスを挿入するスライドガラス挿入部と、スライドガラスが挿入されたカセットに対して染色処理を行う染色部と、カセット収容部から供給されるカセットにスライドガラスが収容されているか否かを検知するスライドガラス検知部と、を備え、スライドガラス検知部が、カセットにスライドガラスが収納されていることを検知した場合、カセットを染色部へ搬送して染色処理を行う、標本作製装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標本作製装置および標本作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試料の塗抹処理および染色処理を行う標本作製装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、スライドガラスへの血液の塗抹処理から染色処理までを自動的に行う血液塗抹標本作製装置が開示されている。この特許文献1に開示された血液塗抹標本作製装置では、スライドガラスへの血液の塗抹処理から染色処理までを自動的に行う自動標本作製動作と、スライドガラスへの血液の塗抹処理を行わずに別途準備された塗抹済みのスライドガラスについて染色処理のみを行う手動染色動作とを行うことが可能である。そして、自動標本作製動作の場合には、スライドガラスが収納されていない空のカセットをカセット収容部(搬送部)にセットし、手動染色動作の場合には、カセットを染色部に供給するためのカセット割り込み供給部材に、別途準備された塗抹済みのスライドガラスが収納された割り込み用カセットをセットする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−271390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された血液塗抹標本作製装置では、手動染色動作を行うために、カセットを染色部に供給するためのカセット割り込み供給部材を別途設ける必要があるため、装置の構造が複雑であった。また、カセット割り込み供給部材にはカセットを1つしかセットできないため、多数のカセット(塗抹済みスライドガラスを収納したカセット)について手動染色を行う場合、操作が面倒であった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、塗抹処理および染色動作を行うことが可能な標本作製装置において、装置の構造を複雑化することなく、塗抹済みスライドガラスを収納したカセットを受け入れて、塗抹処理を行わないで染色処理を行うことが可能な標本作製装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による標本作製装置は、スライドガラスを収納するためのカセットを収容するカセット収容部と、カセット収容部から供給されたカセットに塗沫部で塗沫処理されたスライドガラスを挿入するスライドガラス挿入部と、スライドガラスが挿入されたカセットに対して染色処理を行う染色部と、カセット収容部から供給されるカセットにスライドガラスが収容されているか否かを検知するスライドガラス検知部と、を備え、
スライドガラス検知部が、カセットにスライドガラスが収納されていることを検知した場合、カセットを染色部へ搬送して染色処理を行う
【0008】
この第1の局面による標本作製装置において、好ましくは、カセット収容部からスライドガラス挿入部に供給されるカセットにスライドガラスが収納されている場合、カセットを染色部へ搬送して染色処理を行い、カセット収容部からスライドガラス挿入部に供給されるカセットにスライドガラスが収納されていない場合、塗抹処理を行うとともに、スライドガラス挿入部において、塗抹済みのスライドガラスをカセットに挿入した後、塗抹済みのスライドガラスが挿入されたカセットを染色部へ搬送して染色処理を行う。このように構成すれば、塗抹済みのスライドガラスが収納されたカセットをカセット収容部にセットすれば、染色動作のみからなる染色動作を行うことができるとともに、スライドガラスが収納されていない空のカセットをカセット収容部にセットすれば、塗抹処理および染色処理からなる自動標本作製動作を行うことができるので、1つの動作フローで、自動標本作製動作と、染色処理のみを行う染色動作との両方に対応することができる。これにより、自動標本作製動作を行いながら、染色動作を行うことができるので、染色動作を行うために別途操作設定を行う必要がない。その結果、操作をより簡略化することができる。
【0009】
この発明の第2の局面による標本作製方法は、塗抹標本を作製する標本作製装置における標本作製方法であって、カセット収容部から供給されるカセットにスライドガラスが収容されているか否かを検知し、前記カセットにスライドガラスが収容されていない場合は、そのカセットに塗抹部で塗抹処理されたスライドガラスを挿入して染色部に搬送し、染色部で前記カセットに対して染色処理を行い、カセット収容部から供給されるカセットにスライドガラスが収容されている場合は、そのカセットを染色部に搬送し、染色部で前記カセットに対して染色処理を行う
【発明の効果】
【0010】
この発明による標本作製装置では、上記のように、カセット収容部からスライドガラス挿入部に供給されるカセットにスライドガラスが収納されている場合、カセットを染色部へ搬送するように構成することによって、染色動作のみを行う手動染色動作の際に、塗抹済みのスライドガラスが収納されたカセットを自動標本作製モードの場合と同じカセット収容部にセットするだけで、その塗抹済みのスライドガラスが収納されたカセットが染色部に搬送されるので、染色動作を行うことができる。これにより、染色動作のみを行う場合のために、別途、カセットを染色部に供給するための部材を設ける必要がないので、装置の構造が複雑化するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態による血液塗抹標本作製装置および搬送装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による血液塗抹標本作製装置の内部構造を示した平面図である。
【図3】図2に示した第1実施形態による血液塗抹標本作製装置に用いるカセットおよびスライドガラスを示した斜視図である。
【図4】図2に示した第1実施形態による血液塗抹標本作製装置に用いるカセットおよびスライドガラスを示した斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態による血液塗抹標本作製装置の自動標本作製モードでの動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態による血液塗抹標本作製装置のマニュアル染色モードでの動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態による自動標本作製モードでの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による血液塗抹標本作製装置および搬送装置の全体構成を示した斜視図であり、図2は、図1に示した第1実施形態による血液塗抹標本作製装置の内部構造を示した平面図である。また、図3および図4は、図2に示した第1実施形態による血液塗抹標本作製装置に用いるカセットおよびスライドガラスを示した斜視図である。まず、図1〜図4を参照して、第1実施形態による血液塗抹標本作製装置100および搬送装置200の全体構成について説明する。なお、第1実施形態では、本発明の標本作製装置を血液塗抹標本作製装置100に適用した例について説明する。
【0013】
まず、第1実施形態では、図1に示すように、血液塗抹標本作製装置100の前面に、搬送装置200が設置されている。この搬送装置200は、血液(試料)が収容された試験管151を収納する検体ラック150を血液塗抹標本作製装置100に自動的に搬送するために設けられている。また、血液塗抹標本作製装置100は、タッチパネルからなる表示操作部101と、起動スイッチ102と、電源スイッチ103と、カバー104と、制御部105とを含んでいる。表示操作部101は、画面上で血液塗抹標本作製装置100の自動標本作製モードまたは染色モードのいずれかの標本作製モードの設定を行うモード設定部としての機能と、装置の動作状況や警告などを表示する表示部としての機能とを有する。なお、この表示操作部101は、本発明の「モード設定部」および「表示部」の一例である。また、制御部105は、血液塗抹標本作製装置100に内蔵されており、CPUやメモリを含む。この制御部105は、血液塗抹標本作製装置100の動作制御を行うために設けられている。また、血液塗抹標本作製装置100には、血液が収容された試験管151を搬送装置200側から血液塗抹標本作製装置100側に搬送するためのハンド部材160が設けられている。血液が収容された試験管151には、ゴム栓151aが装着されている。
【0014】
また、血液塗抹標本作製装置100は、図2に示すように、吸引分注機構部1と、塗抹部2と、樹脂製のカセット3と、カセット収容部4と、カセット搬送部5と、スライドガラス挿入部6と、染色部7と、貯留部8とを備えている。吸引分注機構部1は、ハンド部材160(図1参照)によって血液塗抹標本作製装置100側に搬送された試験管151から血液を吸引するとともに、吸引した血液をスライドガラス10に滴下する機能を有する。この吸引分注機構部1は、試験管151から血液を吸引するためのピアサ(吸引針)1aと、吸引した血液をスライドガラス10に分注するためのピペット1bと、ピアサ1aおよびピペット1bに接続されるシリンジポンプ1cと、ピアサ1aとシリンジポンプ1cとの間の流路を開閉するためのバルブ1dと、ピペット1bとシリンジポンプ1cとの間の流路を開閉するためのバルブ1eとを含んでいる。
【0015】
また、塗抹部2は、スライドガラス10を分注・塗抹位置90に供給するとともに、スライドガラス10に滴下された血液を塗抹して乾燥し、かつ、スライドガラス10に印字を行うために設けられている。この塗抹部2には、スライドガラス供給部2aと、スライドガラス収納部2bと、引きガラス2cと、送りベルト2dおよび2eと、ファン2fと、移動片2gおよび2iと、印字部2hとが設けられている。
【0016】
スライドガラス供給部2aは、2つのスライドガラス収納部2bに収納されたスライドガラス10を、図示しない取出機構および送りベルト2dを用いて、送りベルト2e上に供給する機能を有する。送りベルト2eは、スライドガラス10を分注・塗抹位置90および乾燥位置91aおよび91bに搬送するように構成されている。引きガラス2cは、分注・塗抹位置90でスライドガラス10に分注された血液を塗抹することができるように、スライドガラス10に当接する位置に移動可能で、かつ、スライドガラス10の長手方向に移動可能に構成されている。ファン2fは、乾燥位置91aおよび91bに搬送されたスライドガラス10の塗抹された血液を乾燥するために設けられている。移動片2gは、スライドガラス10を乾燥位置91bから印字部2hに移動させるために設けられている。印字部2hは、プリンタからなり、スライドガラス10のフロスト部10aに、検体番号、日付、受付番号、氏名などを印字するために設けられている。移動片2iは、印字後のスライドガラス10をスライドガラス挿入部6側に移動させて、カセット3に挿入するために設けられている。
【0017】
また、樹脂製のカセット3は、塗抹が施されたスライドガラス10および染色工程で用いる液体(染色液)を収容することが可能なように構成されている。具体的には、カセット3は、図3および図4に示すように、スライドガラス収納孔3aと、染色液吸引分注孔3bと、仕切部3cおよび3dと、スライドガラス支持部3eと、磁石に吸着可能な金属製の2つの磁石吸着部材3fと、搬送ベルト係合部3gと、側面部3hとを含んでいる。スライドガラス収納孔3aと、染色液吸引分注孔3bとは、内部で繋がっている。
【0018】
また、図2に示すように、カセット収容部4は、カセット3を搬入するために設けられており、送り込みベルト4aを含んでいる。また、カセット収容部4には、カセット収容部4の待機位置92に配置されたカセット3が所定の規定数量(たとえば、10個)あるか否かを検知するためのカセット残量検知センサ4bと、カセット収容部4の待機位置92にカセット3があるか否かを検知するためのカセット有無検知センサ4cとが設けられている。このカセット残量検知センサ4bおよびカセット有無検知センサ4cは、反射型の光センサにより構成されている。なお、カセット残量検知センサ4bは、本発明の「カセット残量検知部」の一例であり、カセット有無検知センサ4cは、本発明の「カセット有無検知部」の一例である。
【0019】
カセット搬送部5は、カセット収容部4から搬入されたカセット3をスライドガラス挿入部6および染色部7に搬送するために設けられている。このカセット搬送部5は、水平方向に移動可能なカセット搬送部材5aと、カセット搬送部材5aを水平方向に移動させるための駆動ベルト5bとを含んでいる。カセット搬送部材5aは、駆動ベルト5bと一体的に移動されるように、駆動ベルト5bに取り付けられている。なお、駆動ベルト5bは、図示しない駆動モータにより駆動される。また、カセット搬送部材5aには、カセット3の側面部3h(図3参照)を押しながら搬送する搬送爪5c(図2参照)が設けられている。
【0020】
スライドガラス挿入部6は、塗抹および印字が施されたスライドガラス10をカセット3のスライドガラス収納孔10aに収納するために設けられている。このスライドガラス挿入部6には、カセット3を水平方向に配置してスライドガラス10を挿入可能な状態にするためのカセット方向移動部材6aが設けられている。このカセット方向移動部材6aは、所定の方向に回動することにより水平方向位置と垂直方向位置とに移動可能に構成されている。さらに、スライドガラス挿入部6には、スライドガラス挿入部6に位置するカセット3にスライドガラス10が収納されているか否かを検知するためのスライドガラス検知センサ60が設けられている。このスライドガラス検知センサ60は、発光部60aと受光部60bとからなる透過型の光センサにより構成されている。なお、このスライドガラス検知センサ60は、本発明の「スライドガラス検知部」の一例である。
【0021】
染色部7は、カセット搬送部材5aにより搬送されたカセット3の染色液吸引分注孔3bに染色液を供給することにより、塗抹済みのスライドガラス10に染色処理を施すために設けられている。この染色部7は、カセット搬送部材5aにより搬送されたカセット3を染色部7に送り込むための送り込み部材7aと、送り込み部材7aから送り込まれたカセット3を搬送するための搬送ベルト7bと、カセット3に対して染色液の供給および排出を行うための第1〜第5吸引排出部7c〜7gと、染色済のスライドガラス10を乾燥するためのファン7hと、カセット3を搬送ベルト7bから貯留部8の搬送ベルト8a側へ送り出すための送り出し機構部7iと、第2吸引排出部7dにおいてスライドガラス10を乾燥するためのファン7jとを含んでいる。
【0022】
また、貯留部8は、染色部7により染色されたスライドガラス10が収納されたカセット3を保管するために設けられている。この貯留部8には、送り出し機構部7iにより染色部7の搬送ベルト7bから送り出されたカセット3を貯留部8の搬送ベルト8bに送り込むための送り込み部材8aと、送り込み部材8aから送り込まれたカセット3を搬送するための搬送ベルト8bとが設けられている。
【0023】
次に、第1実施形態による血液塗抹標本作製装置100の動作について説明する。なお、第1実施形態による血液塗抹標本作製装置100の動作制御は、図1に示した制御部105により行われる。すなわち、制御部105は、スライドガラス検知センサ60による検知情報と設定された標本作製モードとに基づいて標本作製動作を制御する。
【0024】
図5は、本発明の第1実施形態による血液塗抹標本作製装置の自動標本作製モードでの動作を説明するためのフローチャートである。次に、図1〜図5を参照して、第1実施形態による血液塗抹標本作製装置100の自動標本作製モードでの動作について説明する。まず、スライドガラス10が収納されていない空のカセット3をカセット収容部4にセットする。そして、起動スイッチ102(図1参照)が押されて血液塗抹標本装置100が起動された状態で、タッチパネルからなる表示操作部101(図1参照)に表示された標本作製モードのうち、自動標本作製モードボタンを押す。これにより、カセット3の搬送ベルト係合部3g(図3参照)がカセット収容部4の送り込みベルト4aに係合された状態でカセット3が搬送されて、カセット待機位置92に送り込まれる。そして、自動標本作製モードが開始される。
【0025】
この第1実施形態による自動標本作製モードでは、まず、図5に示すフローチャートのステップS1において、カセット収容部4(図2参照)のカセット待機位置92に配置されたカセット3が、1つずつカセット搬送部5によりスライドガラス挿入部6に搬送される。すなわち、カセット搬送部5を構成するカセット搬送部材5aが、その搬送爪5bによりカセット3の側面部3hを押しながら移動することによって、カセット3はスライドガラス挿入部6に搬送される。カセット搬送部材5aの移動は、図示しない駆動モータにより駆動ベルト5bを移動させることにより行う。
【0026】
そして、ステップS2において、スライドガラス挿入部6で、まず、スライドガラス検知センサ60を用いて、カセット3のスライドガラス収納孔3aにスライドガラス10が収納されているか否かが判断される。そして、カセット3にスライドガラス10が収納されていると判断された場合には、ステップS3において、標本作製動作を停止する。これにより、自動標本作製モードに設定されている場合に、誤ってスライドガラス10が収納されたカセット3がスライドガラス挿入部6に搬送されてきた場合に、スライドガラス挿入部6において、そのスライドガラス10が収納されたカセット3に重ねてスライドガラス10が挿入されるという誤動作を防止することができる。この場合、ステップS4において、スライドガラス10が収納されたカセット3を、染色部7に搬送した後、貯留部8に搬送する。この際、染色部7では、染色処理を行わずに、スライドガラス10が収納されたカセット3を貯留部8に移動させる。このように、自動標本作製モードの際に、誤ってスライドガラス10が収納されたカセット3がスライドガラス挿入部6に搬送されてきた場合には、スライドガラス挿入処理および染色処理を行うことなく、スライドガラスが収納されたカセットを貯留部に搬送する。
【0027】
この後、ステップS5において、カセット有無検知センサ4cを用いて、カセット収容部4にカセット3が存在するか否かが判断される。そして、カセット収容部4にカセット3が存在すると判断された場合には、ステップS1からの動作が繰り返される。すなわち、カセット収容部4にカセット3が存在すると判断された場合には、自動的に自動標本作製動作に復帰する。また、カセット収容部4にカセット3が存在しないと判断された場合には、自動標本作製モードを終了する。なお、ステップS2において、スライドガラス10が収納されていないと判断された場合には、ステップS6において、以下の吸引分注動作および塗抹動作を行う。
【0028】
吸引分注動作としては、まず、図1に示すように、血液検体が収容された試験管151が収納された検体ラック150を搬送装置200の搬入部201にセットする。これにより、検体ラック150は、搬送装置200の取り出し部202に搬送される。この後、血液塗抹標本作製装置100のハンド部材160が、検体ラック150の血液が収容された試験管151を把持する。そして、ハンド部材160を上昇させることにより試験管151を持ち上げるとともに、ハンド部材160を回動させることにより試験管151を撹拌した後、図2に示す吸引分注機構部1に試験管151を配置する。そして、ピアサ1aを試験管151のゴム栓151aに突き刺して血液を吸引する。この吸引動作の際には、バルブ1dを開放状態(オン状態)にするとともに、バルブ1eを遮断状態(オフ状態)にする。血液の吸引動作を終了した後、バルブ1dを遮断状態(オフ状態)にするとともに、バルブ1eを開放状態(オン状態)にする。この後、ピペット1bを図2に示した分注・塗抹位置90に移動させた後、ピペット1bからスライドガラス10に血液を滴下(分注)する。
【0029】
また、塗抹部2による塗抹動作は、上記した吸引分注機構部1による吸引分注動作と並行して、または、吸引分注動作の後に行われる。この塗抹部2では、スライドガラス10を分注・塗抹位置90に供給するとともに、スライドガラス10に滴下された血液を塗抹して乾燥し、かつ、スライドガラス10に印字を行う。具体的には、スライドガラス供給部2aの2つのスライドガラス収納部2bに収納されたスライドガラス10が、図示しない取り出し機構および送りベルト2dにより、送りベルト2e上に供給される。そして、送りベルト2eにより、スライドガラス10が分注・塗抹位置90に搬送される。なお、このスライドガラス10を分注・塗抹位置90に搬送する動作は、上記した吸引分注動作の前に行われている。この状態で、スライドガラス10にピペット1bを用いて血液の滴下(分注)が行われる。
【0030】
その後、引きガラス2cが、スライドガラス10に当接するように移動されるとともに、スライドガラス10の長手方向に往復移動されることにより、分注・塗抹位置90でスライドガラス10に滴下された血液が塗抹される。この後、塗抹されたスライドガラス10は、送りベルト2eにより乾燥位置91aに搬送される。そして、乾燥位置91aにおいて、ファン2fにより、スライドガラス10の塗抹された血液が冷風乾燥される。このスライドガラス10の冷風乾燥は、隣接する2つの乾燥位置91aおよび91bで2回行われる。その後、移動片2gにより、塗抹済みのスライドガラス10が印字部2hに移動される。そして、印字部2hにおいて、スライドガラス10のフロスト部10aに、検体番号、日付、受付番号、氏名などが印字される。その後、移動片2iにより、印字後のスライドガラス10がスライドガラス挿入部6側に移動される。
【0031】
上記した吸引分注動作および塗抹動作が終了した後、ステップS7において、カセット3へのスライドガラス10の挿入動作が行われる。具体的には、カセット方向移動部材6aを所定の方向に回動させることにより、カセット3を垂直方向位置から水平方向位置(図2の2点鎖線の位置)に移動させてスライドガラス10を挿入可能な状態にする。この状態で、塗抹部2の移動片2iを前進移動させることにより、塗抹済みのスライドガラス10をカセット3のスライドガラス収納孔3aに挿入する。これにより、カセット3に、塗抹済みのスライドガラス10が収納される。この後、カセット方向移動部材6aを上記所定の方向とは逆方向に回動させることにより、カセット3を元の垂直方向位置に戻す。そして、スライドガラス検知センサ60により、カセット3に塗抹済みのスライドガラス10が適切に収納されていることが検知された後、ステップS8において、塗抹済みのスライドガラス10が収納されたカセット3が、カセット搬送部材5aにより染色部7に搬送される。
【0032】
次に、ステップS9において、染色部7で染色処理を行う。染色処理としては、まず、第1吸引排出部7cにより、カセット3のスライドガラス収納孔3aから塗抹済みのスライドガラス10を持ち上げるとともに、カセット3の染色液吸引分注孔3bにメタノールを分注する。そして、塗抹済みのスライドガラス10をカセット3に戻した後、塗抹済みのスライドガラス10が収納されたカセット3が1つずつ、送り込み部材7aにより搬送ベルト7bに載せられる。そして、搬送ベルト7bにより、カセット3が第2吸引排出部7dに搬送される。第2吸引排出部7dでは、カセット3のスライドガラス収納孔3aから塗抹済みのスライドガラス10を持ち上げるとともに、スライドガラス10の塗抹面にファン7jによる送風を約1秒〜約60秒当てて塗抹面上の液体成分を蒸発させることによって乾燥させる。なお、第1吸引排出部7cにより塗抹済みのスライドガラス10がメタノールに浸漬されてから第2吸引排出部7dによりスライドガラス10が持ち上げられるまでの時間(浸漬時間)は、約20〜120秒である。
【0033】
この後、染色処理(メイグリュンワルド・ギムザ2重染色処理)が施される。まず、第2吸引排出部7dにおいて、カセット3の染色液吸引分注孔3bからメタノールが吸引されて排出された後、スライドガラスカセット3のスライドガラス収納孔3aにスライドガラス10を戻す。次に、カセット3の染色液吸引分注孔3bからメイグリュンワルド液(主成分はメタノール99%)が分注され、塗抹済みのスライドガラス10をメイグリュンワルド液に浸漬する。これにより、メイグリュンワルド・ギムザ2重染色処理が開始される。そして、カセット3が搬送ベルト7bにより搬送されながら、塗抹済みのスライドガラス10は、約1分〜約5分間、染色処理として、メイグリュンワルド液に浸漬される。そして、第3吸引排出部7eにより、カセット3の染色液吸引分注孔3bからメイグリュンワルド液が吸引されて排出された後、カセット3の染色液吸引分注孔3bにメイグリュンワルド希釈液が分注される。そして、カセット3が搬送ベルト7bにより搬送されながら、塗抹済みのスライドガラス10は、約1分〜約5分間、メイグリュンワルド希釈液に浸漬される。そして、第4吸引排出部7fにより、カセット3の染色液吸引分注孔3bからメイグリュンワルド希釈液が吸引されて排出された後、カセット3の染色液吸引分注孔3bにギムザ希釈液が分注される。そして、カセット3が搬送ベルト7bにより搬送されながら、塗抹済みのスライドガラス10は、約1分〜約20分間、ギムザ希釈液に浸漬される。
【0034】
さらに、第5吸引排出部7gにより、カセット3の染色液吸引分注孔3bからギムザ希釈液が吸引されて排出された後、カセット3の染色液吸引分注孔3bに対して洗浄液が分注および吸引されて染色済みのスライドガラス10が水洗される。その後、染色済みのスライドガラス10は、ファン7hにより乾燥される。
【0035】
そして、ステップS10において、染色済みのスライドガラス10が収納されたカセット3は、送り出し機構部7iにより、搬送ベルト7bから貯留部8の搬送ベルト8a側へ順次送り出される。そして、貯留部8の送り込み部材8aにより、カセット3を貯留部8の搬送ベルト8bに送り込む。これにより、送り込み部材8aから送り込まれたカセット3は、搬送ベルト8bにより貯留部8に搬送されて保管される。
【0036】
次に、ステップS11において、カセット収容部4のカセット待機位置92におけるカセット3の数量が所定の規定数量(たとえば、10個)以上あるか否かがカセット残量検知センサ4bを用いて判断される。そして、カセット待機位置92のカセット3の数量が所定の規定数量に満たないと判断された場合には、ステップS12において、表示操作部101(図1参照)に、「カセットを補充してください」などのカセット3の補充を促すメッセージが表示される。これにより、カセットを補充する必要があることを容易にユーザに知らせることが可能となる。この後、上記したステップS5に進み、カセット収容部4にカセット3が存在するか否かがカセット有無検知センサ4cを用いて判断され、カセット3が存在する場合は、ステップS1に戻り、カセット3が存在しない場合は、自動標本作製モードを終了する。このように制御すれば、カセット収容部4にカセット3が存在しない場合に、動作を行わないように制御することが可能になる。
【0037】
図6は、本発明の第1実施形態による血液塗抹標本作製装置のマニュアル染色モードでの動作を説明するためのフローチャートである。次に、図1〜図4および図6を参照して、第1実施形態による血液塗抹標本作製装置のマニュアル染色モードでの動作について説明する。なお、このマニュアル染色モードは、本発明の「染色モード」の一例である。 このマニュアル染色モードは、スライドガラス10への血液の塗抹処理を行わずに、別途準備された塗抹済みのスライドガラス10について染色処理のみを行う場合に用いる。
【0038】
まず、別途準備された塗抹済みのスライドガラス10が収納されたカセット3を、上記した自動標本作製モードの場合と同様、カセット収容部4にセットする。そして、起動スイッチ102(図1参照)が押されて血液塗抹標本装置100が起動された状態で、タッチパネルからなる表示操作部101(図1参照)に表示された標本作製モードのうち、マニュアル染色モードボタンを押す。これにより、カセット3の搬送ベルト係合部3g(図3参照)がカセット収容部4の送り込みベルト4aに係合された状態でカセット3が搬送されて、カセット待機位置92に送り込まれる。そして、マニュアル染色モードが開始される。
【0039】
この第1実施形態によるマニュアル染色モードでは、まず、図6に示すフローチャートのステップS21において、カセット収容部4(図2参照)のカセット待機位置92のカセット3が、1つずつカセット搬送部5によりスライドガラス挿入部6に搬送される。そして、ステップS22において、スライドガラス挿入部6で、まず、スライドガラス検知センサ60を用いて、カセット3のスライドガラス収納孔3aにスライドガラス10が収納されているか否かが判断される。そして、カセット3にスライドガラス10が収納されていると判断された場合には、ステップS23において、カセット搬送部5によりカセット3を染色部7に搬送する。これにより、マニュアル染色モードの際に、別途準備された塗抹済みのスライドガラス10を収納したカセット3をカセット収容部4にセットするだけで、マニュアル染色動作を行うことが可能になる。そして、ステップS24において、上記した自動標本作製モードのステップS9(図5参照)で説明した染色処理と同様の染色処理を行う。その後、ステップS25において、染色処理済みのスライドガラス10が収納されたカセット3を貯留部8に搬送する。
【0040】
なお、ステップS22において、スライドガラス10が収納されていないと判断された場合には、ステップS25に移り、染色処理を行わずにカセット3を貯留部8に搬送する。これにより、マニュアル染色モードの際に、カセット収容部4に誤ってスライドガラス10が収納されていないカセット3をセットした場合にも、誤って染色処理を行うことがない。
【0041】
この後、ステップS26において、カセット有無検知センサ4cを用いて、カセット収容部4にカセット3が存在するか否かが判断され、カセット3が存在すると判断された場合には、ステップS21に戻って処理が繰り返される。また、カセット3が存在しないと判断された場合には、マニュアル染色モードを終了する。
【0042】
第1実施形態では、上記のように、自動標本作製モードまたはマニュアル染色モードの標本作製モードを設定することが可能なタッチパネルからなる表示操作部101と、スライドガラス検知センサ60による検知情報と設定された標本作製モードとに基づいて標本作製動作を制御する制御部105とを設けるとともに、表示操作部101によりマニュアル染色モードに設定されている場合に、制御部105により、カセット収容部4からスライドガラス挿入部6に供給されるカセット3を染色部7へ搬送して染色処理を行うように制御することによって、塗抹済みのスライドガラス10が収納されたカセット3を、自動標本作製モードの場合と同じカセット収容部4にセットするだけでマニュアル染色動作を行うことができる。これにより、マニュアル染色動作を行うために、別途、カセット3を染色部7に供給するための部材を設ける必要がないので、装置の構造が複雑化するのを防止することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、上記のように、スライドガラス検知センサ60を、スライドガラス挿入部6に配置するとともに、スライドガラス挿入部6に位置するカセット3にスライドガラス10が収納されているか否かを検知するように構成することによって、1つのスライドガラス検知センサ60により、自動標本作製モードおよび染色モードの際に、カセット収容部4からスライドガラス挿入部6に搬送されてきたカセット3にスライドガラス10が収納されているか否かを検知することができるとともに、自動標本作製モードの際に、スライドガラス挿入部6においてカセット3に塗抹済みのスライドガラス10が適切に挿入されたか否かを検知することができる。これにより、自動標本作製モードおよび染色モードの際に、カセット収容部4からスライドガラス挿入部6に搬送されてきたカセット3にスライドガラス10が収納されているか否かを検知するためのスライドガラス検知センサと、自動標本作製モードの際にスライドガラス挿入部6においてカセット3に塗抹済みのスライドガラス10が適切に挿入されたか否かを検知するためのスライドガラス検知センサとを別個に設ける必要がないので、これによっても、装置の構造が複雑化するのを防止することができる。
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態による自動標本作製モードでの動作を説明するためのフローチャートである。図7を参照して、この第2実施形態による自動標本作製モードでは、上記第1実施形態による自動標本作製モードと異なり、カセット3にスライドガラス3が収納されている場合には、標本作製動作を停止することなく、染色処理を行う例について説明する。なお、第2実施形態による自動標本作製モードの動作制御は、第1実施形態と同様、図1に示した制御部105により行われる。
【0044】
具体的には、まず、カセット3をカセット収容部4にセットする。そして、起動スイッチ102(図1参照)が押されて血液塗抹標本装置100が起動された状態で、タッチパネルからなる表示操作部101(図1参照)に表示された標本作製モードのうち、自動標本作製モードボタンを押す。これにより、カセット3の搬送ベルト係合部3g(図3参照)がカセット収容部4の送り込みベルト4aに係合された状態でカセット3が搬送されて、カセット待機位置92に送り込まれる。そして、第2実施形態による自動標本作製モードが開始される。
【0045】
この第2実施形態による自動標本作製モードでは、まず、図7に示したフローチャートのステップS31において、カセット搬送部5(図2参照)によりカセット収容部4からスライドガラス挿入部6へカセット3を搬送する。そして、ステップS32において、スライドガラス検知センサ60を用いて、カセット3にスライドガラス10が収納されているか否かが判断される。カセット3にスライドガラス10が収納されていないと判断された場合には、ステップS33において、吸引分注機構部1で血液をスライドガラス10に分注するとともに、塗抹部2で血液をスライドガラス10に塗抹する。
【0046】
この後、ステップS34において、スライドガラス挿入部6で、塗抹済みのスライドガラス10をカセット3に挿入する。次に、ステップS35において、カセット搬送部5によりカセット3を染色部7に搬送し、ステップS36において、染色処理を行う。なお、ステップS32においてカセット3にスライドガラス10が収納されていると判断された場合には、制御部105は、染色処理のみを行う場合であると判断し、ステップS35において、カセット搬送部5によりカセット3を染色部7に搬送させる。そして、ステップS36において、カセット3に収納されたスライドガラス10に対して染色処理を実行する。その後、ステップS37において、染色済みのスライドガラス10が収納されたカセット3を貯留部8に搬送する。
【0047】
その後、ステップS38において、カセット有無検知センサ4cを用いて、カセット収容部4にカセット3が存在するか否かが判断される。カセット収容部4にカセット3が存在すると判断された場合には、ステップS31からの処理が繰り返され、カセット収容部4にカセット3が存在しないと判断された場合には、第2実施形態による自動標本作製モードを終了する。
【0048】
第2実施形態による自動標本作製モードでは、上記のように、カセット収容部4からスライドガラス挿入部6に供給されるカセット3にスライドガラス10が収納されている場合には、カセット3を染色部7へ搬送して染色処理を行い、カセット収容部4からスライドガラス挿入部6に供給されるカセット3にスライドガラス10が収納されていない場合には、塗抹処理を行うとともに、スライドガラス挿入部6において、塗抹済みのスライドガラス10がカセット3に挿入された後、その塗抹済みのスライドガラス10が挿入されたカセット3を染色部7へ搬送して染色処理を行うことによって、塗抹済みのスライドガラス10が収納されたカセット3をカセット収容部4にセットすれば、染色処理のみからなるマニュアル染色動作を行うことができるとともに、スライドガラス10が収納されていない空のカセット3をカセット収容部4にセットすれば、塗抹処理および染色処理からなる自動標本作製動作を行うことができる。これにより、1つの動作フローで、自動標本作製動作と、染色処理のみを行うマニュアル染色動作との両方に対応することができるので、自動標本作製動作を行いながら、マニュアル染色動作を行うことができる。その結果、マニュアル染色動作を行うために別途操作設定を行う必要がないので、上記第1実施形態に比べて、操作をより簡略化することができる。
【0049】
また、第2実施形態では、上記第1実施形態と同様、塗抹済みのスライドガラス10が収納されたカセット3を、自動標本作製モードの場合と同じカセット収容部4にセットするだけで、マニュアル染色動作を行うことができるので、マニュアル染色動作を行うために、別途、カセット3を染色部7に供給するための部材を設ける必要がない。これにより、装置の構造が複雑化するのを防止することができる。
【0050】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0051】
たとえば、上記実施形態では、本発明の標本作製装置を、血液塗抹標本作製装置に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、血液塗抹標本作製装置以外の標本作製装置に適用してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、スライドガラス10がカセット3に収納されているか否かを検知する1つのスライドガラス検知センサ60を、スライドガラス挿入部6に設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、スライドガラス挿入部以外の部分にスライドガラス検知センサを設けてもよい。たとえば、スライドガラス挿入部6とカセット収容部4との間、および、スライドガラス挿入部6と染色部7との間にそれぞれ1つずつスライドガラス検知センサを配置してもよい。この場合、スライドガラス挿入部6とカセット収容部4との間に配置されたスライドガラス検知センサを用いて、自動標本作製モードでのカセット3にスライドガラス10が収納されていないことの検知およびマニュアル染色モードでのカセット3にスライドガラス10が収納されていることの検知を行う。また、スライドガラス挿入部と染色部との間に配置されたスライドガラス検知センサを用いて、自動標本作製モードでのカセット3にスライドガラス10が適切に挿入されたことの検知を行う。なお、上記実施形態では、染色部7での染色処理において、最初にメタノールで塗抹済スライドガラスを処理するようにしているが、このメタノール処理を省略しても良い。その場合、第1吸引排出部7cを省略することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 吸引分注機構部
2 塗抹部
3 カセット
4 カセット収容部
4b カセット残量検知センサ(カセット残量検知部)
4c カセット有無検知センサ(カセット有無検知部)
5 カセット搬送部
6 スライドガラス挿入部
7 染色部
8 貯留部
10 スライドガラス(標本)
60 スライドガラス検知センサ(スライドガラス検知部)
100 血液塗抹標本作製装置(標本作製装置)
101 表示操作部(モード設定部、表示部)
105 制御部
200 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドガラスを収納するためのカセットを収容するカセット収容部と、
カセット収容部から供給されたカセットに塗沫部で塗沫処理されたスライドガラスを挿入するスライドガラス挿入部と、
スライドガラスが挿入されたカセットに対して染色処理を行う染色部と、
カセット収容部から供給されるカセットにスライドガラスが収容されているか否かを検知するスライドガラス検知部と、を備え、
スライドガラス検知部が、カセットにスライドガラスが収納されていることを検知した場合、カセットを染色部へ搬送して染色処理を行う、標本作製装置。
【請求項2】
スライドガラス検知部が、カセットにスライドガラスが収納されていないことを検知した場合、塗抹処理を行うとともに、スライドガラス挿入部において、塗抹済みのスライドガラスをカセットに挿入した後、塗抹済みのスライドガラスが挿入されたカセットを染色部へ搬送して染色処理を行う、請求項1に記載の標本作製装置。
【請求項3】
塗抹標本を作製する標本作製装置における標本作製方法であって、カセット収容部から供給されるカセットにスライドガラスが収容されているか否かを検知し、前記カセットにスライドガラスが収容されていない場合は、そのカセットに塗抹部で塗抹処理されたスライドガラスを挿入して染色部に搬送し、染色部で前記カセットに対して染色処理を行い、カセット収容部から供給されるカセットにスライドガラスが収容されている場合は、そのカセットを染色部に搬送し、染色部で前記カセットに対して染色処理を行う標本作成方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−162784(P2009−162784A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105787(P2009−105787)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【分割の表示】特願2003−426155(P2003−426155)の分割
【原出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】