説明

標的化遺伝子療法

【課題】 低酸素誘導性発現制御配列に対して機能的に結合した、疾患に対して活性を有する種をコードしている少なくとも一つの遺伝子を含む核酸構築物を提供する。
【解決手段】 疾患に対する活性を有する種をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む、プロドラッグ活性化系の如き核酸構築体であって、低酸素状態誘導性発現制御配列に機能的に連結された構築体、および低酸素状態が存在する疾患の治療のためのそれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低酸素誘導性発現制御配列、該配列を含む核酸構築物、並びに標的細胞が低酸素によって影響を受ける抗癌療法および他の種類の療法の選択的標的化のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
バイル(Vail)およびハート(Hart)(1993)(非特許文献1)は、メラニン細胞において選択的に活性であるある種の遺伝子プロモーターを用いて、インビトロおよびマウスインビボにおいて黒色腫細胞に対して特異的にリポーター遺伝子の遺伝子発現を支配した方法を記載している。該プロモーターおよびβ−ガラクトシダーゼ遺伝子から成る構築物はマウスに直接的に注射され、そしてリポーター遺伝子は黒色腫細胞においておよび若干の正常メラニン細胞において発現されたが、周囲の正常組織では発現されなかった。しかしながら、組織特異的プロモーターは、それらが標的としうる腫瘍に必然的に限定されるし、そして更に、(上記バイルおよびハートにおいて記述されたような)関与した組織の正常細胞を標的としやすい。
【0003】
癌は、血液供給が不足しがちであり、しばしば、正常組織からそれらを区別する低酸素および壊死の部分を有する。この特徴は、更に、低酸素濃度のために腫瘍を耐放射線性にし、そしてX線処置はあまり有効でなくなる。エリスロポイエチンに対する遺伝子などの若干の遺伝子は、低酸素によって調節されることが知られている。エリスロポイエチンは赤血球形成を調節し、したがって血中酸素含量を調節するホルモンである。ヒトエリスロポイエチン発現の組織特異的低酸素誘導性エンハンサーとして機能するシス活性化DNA配列が同定された(セメンザ(Semenza)ら、1991年;非特許文献2)。マウスエリスロポイエチン遺伝子に対して3’に位置したDNAエンハンサー配列は、種々の異種プロモーターに対して酸素調節発現を与えることが分かった(プー(Pugh)ら、1991年;非特許文献3)。更に、エリスロポイエチン発現を制御する酸素感知系(oxygen−sensing system)は、哺乳動物細胞中の広範囲にわたって存在することが実証された(マクスウェル(Maxwell)ら、1993年;非特許文献4)。
【0004】
低酸素関連調節因子の第二の例は、マウスホスホグリセリン酸キナーゼ遺伝子プロモーターに対して5’に位置する調節因子である。該調節因子の配列は公表されているが(マクバーニー(McBurney)ら、1991年;非特許文献5)、その低酸素誘導性はこれまで考察されたことも文献で定義されたこともなかった。ここで、該調節因子の天然配列は低酸素誘導特性を有することが本発明者によって確認された。関与するヌクレオチドが同定され、そして本発明者は、該配列の反復により、発現が調節される遺伝子の誘導が増加することを示した。更に、本発明者は、組織特異的プロモーター下でのインターロイキン−2遺伝子の使用が、腫瘍の特異的標的化に有効な方策であることを示した。
【0005】
【非特許文献1】Vile R.G. & hart I.R. (1993), Cancer Research, Vol. 53, p. 962-967
【非特許文献2】Semenza G.L., Nejjfelt M.K., Chi S.M & Antonarakis S.E (1991), Proc Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 88, p.5680-5684
【非特許文献3】Pugh C. W., Tam C.C., Jones R.W & Ratcliffe P. J. (1991), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 88, p. 10553-10557
【非特許文献4】Maxwell P.H., Pugh C.W. & Ratcliffe P.J. (1993), Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol. 90, p. 2423-2427
【非特許文献5】McBurney M.W., Sutherland L.C., Adra C.N., Leclair B. et al., (1991), Nucleic Acids Research, Vol. 19, no. 20, p5755-5761
【発明の開示】
【0006】
低酸素下で活性化されるようになる抗癌薬はあるが(ワークマン(Workman)およびストラトフォード(Stratford)、1993年)、薬物の酵素活性化が低酸素下で大きく増加する薬物活性化系の使用は、はるかに優れた治療効果を与える。
【0007】
本発明は、低酸素誘導性発現制御配列に対して機能的に結合した、疾患に対して活性を有する種をコードしている少なくとも一つの遺伝子を含む核酸構築物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
該構築物が適当な宿主細胞中に存在する場合、該遺伝子の発現は、酸素添加濃度によって調節される。好ましくは、発現制御配列はプロモーターまたはエンハンサーである。低酸素条件下の宿主細胞中において、遺伝子の発現は開始されるかまたはアップレギュレーションされるが、酸素正常状態(正常酸素濃度)の条件下では、遺伝子は一層低レベルで発現されるかまたは全く発現されない。発現レベルは、低酸素の程度によって変化しうる。したがって、治療活性を有する遺伝子産物は、疾患に冒された細胞、例えば腫瘍細胞を標的とすることができる。
【0009】
本発明による構築物中の遺伝子によってコードされる種は、例えば、腫瘍に対する免疫応答において活性であることが知られているインターロイキン−2(IL−2)などのサイトカインでありうる。抗腫瘍作用を有する他の分子をコードしている遺伝子もまた用いることができる。
【0010】
本発明による構築物中の遺伝子によってコードされる種は、例えば、腫瘍に対する免疫応答において活性であることが知られているインターロイキン−2(IL−2)などのサイトカインでありうる。抗腫瘍作用を有する他の分子をコードしている遺伝子もまた用いることができる。
【0011】
本発明による構築物の好ましい実施態様において、遺伝子によってコードされる種は、比較的不活性な薬物をもっと強力なものに変換するプロドラッグ活性化系、例えば、チミジンホスホリラーゼ酵素である。ヒト乳癌細胞中へのチミジンホスホリラーゼ遺伝子のトランスフェクションは、5−デオキシ−5FUに対する癌細胞の感受性を大きく増加させることが分かった(実施例8を参照されたい)。チミジンホスホリラーゼ遺伝子は、これまで、遺伝子療法のための薬剤として報告されたことがなかった。用いることができるもう一つのプロドラッグ活性化系は、プロドラッグ5−フルオロシトシン(5−FC)を活性化して抗腫瘍薬5−フルオロウラシル(5−FU)を生成するシトシンデアミナーゼである。本発明において用いるためのプロドラッグ活性化系のもう一つの例は、薬物SR4233を活性化するシトクロムp450である(ワルトン(Walton)ら、1992年)。
【0012】
本発明による構築物は、2個以上の遺伝子および2種類以上の遺伝子を含むことができる。追加の遺伝子は、疾患に対する活性を有する更に別の種をコードしていてよいし、またはそれらは他の活性を有する遺伝子産物を有していてよい。
【0013】
低酸素誘導性プロモーターまたはエンハンサーは、本明細書中で論評されたものから選択されうるし、またはそれらは他の低酸素誘導性プロモーターまたはエンハンサーであってよい。他の低酸素誘導性プロモーターまたはエンハンサーが発見され;酸素感知系が哺乳動物細胞中の広範囲にわたって存在し、そして多数の遺伝子が低酸素制御下にあるらしいことが予想される。
【0014】
好ましくは、本発明による核酸構築物は、発現制御配列に対して低酸素誘導性を与える少なくとも一つの低酸素応答要素を含む。例えば、低酸素誘導性を増加させるように、したがって低酸素下において1種類またはそれ以上の遺伝子の誘導を増加させるように、2個またはそれ以上の低酸素応答要素を結合させてもよい。低酸素応答要素は、本明細書中で論評されたものの中から選択されうるし、またはそれらは他の低酸素応答要素であってよい。上記のように、酸素感知系は哺乳動物細胞中の広範囲にわたって存在し、しかも他の低酸素応答要素が見いだされると予想される。
【0015】
下記の低酸素応答要素は、本発明による構築物中で用いることができる。
(a)マウスエリスロポイエチン(Epo)遺伝子に対して3’に位置する転写エンハンサーの下記の部分:
【化1】

(b)マウスホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)遺伝子の5’フランキング配列の下記部分の一つ:
【化2】

【0016】
これらのPGK配列は、これまで、低酸素誘導性を有すると認識されていなかった。
これらの配列はいずれも、ヒト遺伝子中に相対物を有し且つ種間で高度に保存されている。それらもまた十分に特性決定されている。
【0017】
したがって、本発明は、更に、核酸配列
【化3】

またはそれらに対して実質的に相同な核酸配列を含む低酸素誘導性発現制御配列を提供する。これらの配列は、EMBLデータベースにおいて受託番号M18735、ヌクレオチド631〜654および634〜651で見いだされうる。
【0018】
本発明による構築物は、上記に与えられたEpoまたはPGK配列の一方の2個以上、例えば、3個またはそれ以上のコピーを含んでいてもよい。付加的にまたはこれに代えて、EpoまたはPGK−1エンハンサーまたはフランキング配列のより長い部分を構築物中で用いることができ、そのより長い部分は低酸素応答要素および周囲配列の一部分を含む。
低酸素誘導性発現制御配列および低酸素応答要素は、治療的に標的にされる特定の組織若しくは細胞種において機能性であるように選択することができ、またはそれらは広範囲の組織若しくは細胞種において作用するように選択することができる。
【0019】
本発明は、更に、低酸素が原因若しくは徴候であるまたはさもなければ存在する疾患に罹患している患者の治療において用いるための本明細書中に記載の核酸構築物を提供する。或いは、本発明は、低酸素が原因若しくは徴候であるまたはさもなければ存在する疾患に罹患している患者の治療方法であって、該患者に対して本明細書中に記載の核酸構築物を投与することを含む上記方法を提供する。
【0020】
該核酸構築物は、癌患者を治療するのに有用である。低酸素腫瘍細胞において、生理学的刺激は、疾患に対する活性を有する遺伝子が発現されるようなものである。全部の細胞が遺伝子を取り込みそのスイッチを入れることは極めて難しいかもしれないが、実験は、細胞の10%がチミジンホスホリラーゼ遺伝子を発現する場合でも、他の細胞に対する作用が存在し、全細胞集団の感受性が10倍増加することを示している。これは、傍観者的作用として知られており、おそらくは、抗癌薬の活性代謝産物が一つの細胞から別の細胞へと通過するためである。
【0021】
この薬物は増殖性細胞を死滅させるので、正常組織に対する毒性は癌細胞に対するよりもはるかに少ないはずである。しばしば、付近の正常細胞もまた遺伝子を発現し、そして活性薬物若しくはサイトカインまたは遺伝子によってコードされる他の種は、正常細胞から腫瘍中へ拡散することができる。
【0022】
本発明者は、低酸素誘導性エンハンサーの制御下の遺伝子による細胞の安定的および一過性トランスフェクションの両方を実証した。一過性トランスフェクションは数日間持続するだけであるが、安定的にトランスフェクションされた遺伝子は細胞ゲノム中に挿入され、そして無期限に持続しうる。安定的トランスフェクションは本発明の治療的用途に不可欠であることが立証されるであろうが、一過性トランスフェクションで十分である可能性もある。
【0023】
本発明による構築物の治療目的の投与は、充実腫瘍中への直接的DNA注射によって行うことができる。腫瘍細胞、皮膚細胞および筋細胞を含めた若干の種類の細胞は裸のDNAを取り込み、腫瘍細胞は特によく取り込む。したがって、構築物は裸のDNAプラスミドの形で投与することができる。或いは、レトロウイルスなどの他のベクターを用いてもよい。
【0024】
適当な治療計画は、罹患部位中へのDNAの直接注射、およびプロドラッグ活性化系をコードしている構築物の場合、場合により放射線療法と組合わされたプロドラッグの投与を指示するであろう。
【0025】
本発明は、腫瘍細胞を標的とすることに関して上記に記載されているが、それは更に、例えば、冠状動脈疾患および発作を含めた低酸素症が起こる他の種類の疾患において有用である。核酸構築物は、適当な薬物のためのプロドラッグ活性化系をコードしている遺伝子を含むことができ、または該遺伝子はサイトカイン若しくは成長因子をコードすることができる。血管成長因子は、低酸素部分での新規の血管形成を刺激するのに用いることができ、そして該部分が血管再生されるようになった時に、該構築物による成長因子の発現は自動的にスイッチが切られる。
【0026】
本発明者は、細胞系HepG2およびa23(a23は非Epo生産性細胞である)において、マウスEpoエンハンサー配列の欠失分析および突然変異分析を行った。一過性トランスフェクション実験は、α1グロビンリポーター遺伝子に対して1.4kb5’側に位置する完全なまたは部分的エンハンサー配列を有するプラスミドを用いて行われた。
96ヌクレオチドエンハンサー配列のヌクレオチド5〜12、21〜24および33〜34に対応する増強のための三つの臨界的部位を決定した(マウスEpoエンハンサー:EMBL受託番号X73471)。三つの領域は全て、上記実験でのエンハンサー機能に無条件に必要であった。しかしながら総体的に、実験は、1〜25または1〜26ヌクレオチド配列が低酸素誘導性作用を有することを示した(EMBL、X73471、ヌクレオチド407〜431または432)。1〜26ヌクレオチド配列による誘導性作用はまた、MELおよびHeLa細胞に対して実証された。これらは、1〜96ヌクレオチドエンハンサー配列を有するプラスミドを用いる酸素調節リポーター遺伝子発現を支持できないことが従来分かっている(マクスウェルら、1993年)。現在、合計19種類の細胞系(いくつかは未報告)が本発明者によって試験されたが、配列1〜26によるリポーター遺伝子発現の酸素依存性変化を調節する能力を欠いていることが分かったものはなかった。したがって、従来、低酸素誘導性応答は哺乳動物細胞において普遍的ではないということが示唆されたが、現在ではそれは普遍的であるらしいと考えられる。
【0027】
ヒトEpoエンハンサーの最近の研究はまた、配列の少なくとも三つの臨界的剖分を決定している(セメンザら、1992年およびブランチャード(Blanchard)ら、1992年)。
【0028】
以下の実施例は、本発明者による実験的実証を含み、これは本発明の種々の態様が作用する方式を示す。
【実施例1】
【0029】
マウスEpoエンハンサーからの下位配列の隣接SV40プロモーターに対する作用
図1(A)は、試験プラスミドの構造を示すものであって、EはEpoエンハンサー配列を表し、SV40pはSV40初期プロモーターを表し、そしてGHは本成長ホルモン遺伝子の本体を表す。各試験プラスミドにおいて用いられるEpoエンハンサー配列(E)は、ヒストグラムの対応する棒の下方に示されている。α1グロビン遺伝子のみを含有するコトランスフェクトプラスミド(pBSα-)を用いてトランスフェクション効率を補正した。発現は、酸素正常状態細胞内でのエンハンサーなしのpSVGHのものに標準化させたもので、独立の3実験の平均値±標準偏差を表す(B)。誘導性活性は、配列1〜25により全ての細胞型内にもたらされる。誘導性活性は、この配列のコンカテマー化によりはるかに増加し、それは酸素正常状態細胞(1〜25)2および(1〜25)5内にある程度の構成性活性をももたらした。対照的に、配列25〜60によっては、いずれの細胞型内にも構成性活性も誘導性活性ももたらされなかった。この配列のコンカテマーを方向(25〜60)3および(60〜25)4のいずれでも試験したが、いずれも何の作用も有さなかった。モノマー配列1〜60は、HepG2細胞およびa23内ではモノマー配列1〜25よりも活性であったが、MEL細胞内ではそうではなかった。
【実施例2】
【0030】
PGK−1遺伝子およびLDH−A遺伝子内の酸素調節制御要素
実施例3〜6では以下の材料および方法を用いた。
細胞系および培養条件
用いた細胞系は、ウシ胎児血清(10%)、グルタミン(2mM)、ペニシリン(50ユニット/ml)および硫酸ストレプトマイシン(50μg/ml)を補充したアール塩を含む最小必須培地中で増殖させたHepG2(ヒト肝癌)、HeLa(ヒト子宮頸癌)およびL細胞(マウス線維芽細胞)であった。内因性遺伝子発現のアッセイ用に、および核抽出物の調製のために、細胞を約70%集密度まで増殖させた。次いで、培地を交換して細胞を次の条件に14〜16時間さらした:(1)酸素正常状態(20%酸素、5%CO2および75%N2);(2)低酸素状態(Napco 7100インキュベーター内で1%酸素、5%CO2および94%N2);(3)シクロヘキシミド(100μM)を含む低酸素状態;(4)二塩化コバルト(50μM)を含む酸素正常状態;(5)シアン化物(100μM)を含む酸素正常状態;(6)シアン化物(100μM)を含む低酸素状態。
【0031】
一過性トランスフェクション
全ての実験において、リポーターとしてヒトα1グロビン(α)またはヒト成長ホルモン(GH)のいずれかを含有する試験プラスミド(10〜100μg)
を先に記載されたエレクトロポレーション(Pughら,1991)を用いて対照プラスミド(10〜50μg)とともにコトランスフェクトした。その発現が低酸素状態によって変わることのない対照プラスミドは、試験プラスミドがGHを含有するときのヒトα1グロビン遺伝子;または試験プラスミドがαグロビン遺伝子を含有する場合にはFGH(ヒト成長ホルモン遺伝子に連結したマウスフェリチンプロモーターからなる融合遺伝子)のいずれかであった。
【0032】
試験プラスミドの設計の詳細は次の通りである。基本構築体(pPGKGH)に用いたマウスPGK−15’フランキング配列は、−523bp(1=翻訳開始)のEcoRI部位から−21bpのTaq1部位まで延びているpDEneo内のPGK−1配列の502bp断片であった。pLDHGH内のマウスLDH−A遺伝子配列は、公表された配列から誘導したオリゴヌクレオチドを用いて、233bp断片(転写開始部位から−186から+47まで)のマウスゲノミックDNAからのPCR増幅により生じさせた。トランスフェクション用のプラスミドDNAをセシウム勾配法で精製し、全てのプラスミドの重要な要素のヌクレオチド配列を直接配列決定法により確認した。
【0033】
エレクトロポレーション後、トランスフェクトした細胞を100mmペトリ皿内の8mlの培地中に一様にまいて酸素正常状態または低酸素状態で平行して14〜16時間インキュベートするか、または上記の化学物質にさらした。
【0034】
RNA分析
RNAを抽出し、RNアーゼ保護により分析し、そして先に記載された通りに定量した(Pughら,1991)。一過性トランスフェクション材料のアッセイについては、3〜10μgのRNAを、120bpのGH mRNAおよび試験または対照プラスミドがαグロビンを含有するかどうかに依存して132bp(α132)または97bp(α97)のαグロビンmRNAのいずれかを保護するプローブとの二重ハイブリダイゼーションに付した。
【0035】
内因性PGK−1遺伝子発現のアッセイについては、HepG2細胞から抽出した50μgのRNAを、ヒトPGK−1遺伝子のエクソン3の5’末端からの121bp並びに隣接するイントロンの68bp(標準的方法によるゲノミックDNAのPCRおよびクローニングにより得られたもの)からなるリボプローブとハイブリダイズさせた。内因性LDH−A遺伝子発現のアッセイについては、L細胞から得られた25μgのRNAを、マウスLDH−A遺伝子のエクソン1の5’末端からの47bp並びに隣接する5’フランキング配列(標準的方法によるゲノミックDNAのPCRおよびクローニングにより得られたもの)からなるリボプローブとハイブリダイズさせた。これらの実験において、K562細胞(αグロビンmRNAを豊富に発現するヒトEpo細胞系)から抽出した少量(0.5μg)のRNAをハイブリダイゼーション前に各サンプルに加え、そしてそれらサンプルをPGK−1プローブまたはLDH−Aプローブの他にα97プローブで同時にプローブした。これは、サンプル加工およびゲル負荷が検体間で同等であることを確認する手段を提供した。
【0036】
核抽出物
細胞を急速に冷却し、氷冷リン酸緩衝生理食塩水中に採取し、そして2000gで沈降させた。Dignam の手順を改変した手順を用いて核抽出物を調製した。
【0037】
簡単に説明すると、細胞を緩衝液A(10mMトリス−HCl pH7.4、10mM KCl、1.5mM MgCl2)中で10分間膨潤させ、Dounceホモジナイザを用いて溶解させ、そして緩衝液C(20mMトリス−HCl pH7.4、420mM KCl、1.5mM MgCl2、20%グリセロール)中で30分間抽出した。核破片を10000gで沈降させて上澄み液を緩衝液D(20mMトリス−HCl pH7.4、100mM KCl、0.2mM EDTA、20%グリセロール)に対して2時間透析した。全操作は予備冷却した緩衝液を用いて4℃で行った。更に、緩衝液AおよびCは、フッ化フェニルメチルスルホニル,0.5mM;アプロチニン,1μg/ml;ロイペプチン,1μg/ml;ペプスタチン,1μg/ml;オルトバナジウム酸ナトリウム,1mM;ベンズアミジン,0.5mM;レバミゾール,2mM;βグリセロホスフェート,10mM;DTT,0.5mMを含有した。オルトバナジウム酸ナトリウムおよびDTTは、緩衝液Dにも加えた。透析後、核抽出物のアリコートをドライアイス/エタノール浴内で凍結して−70℃で保存した。
【0038】
電気泳動移動度シフトアッセイ
プローブまたは競合剤として用いるオリゴヌクレオチドは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動により精製した。標識化は、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて(ガンマー32P)ATP(3000Ci/mmol)で行った。標識オリゴヌクレオチドを4倍モル過剰の相補鎖とアニーリングした。未標識オリゴヌクレオチドは等モル量でアニーリングした。
結合反応は、50mM KCl、1m MMgCl2、0.5mM EDTA、5mM DTT、5%グリセロール、および0.15〜0.30μgの音波処理したポリdldCを含有する20μl容量中で行った。核抽出物(特に断らない限り5μg)をこの混合液と共に室温で5分間インキュベートしてから、プローブ(約0.5ng)および特異的競合剤を加えた。インキュベーションを更に10分間続けた。反応液を4℃で5%ポリアクリルアミドを用いて0.3×TBE(4℃でpH7.3)中で電気泳動(12.5v/cm)した。
【実施例3】
【0039】
PGK−1およびLDH−A遺伝子発現のRNA分析
HepG2細胞内での内因性ヒトPGK−1遺伝子の発現およびL細胞内での内因性マウスLDH−A遺伝子の発現をRNA分析によりアッセイした。細胞を酸素正常状態(20%O2)、低酸素状態(1%O2)およびシクロヘキシミド100μM)、酸素正常状態および二塩化コバルト50pM、酸素正常状態およびシアン化物100μM、低酸素状態およびシアン化物100μMに16時間さらした。50mgのRNAを各ハイブリダイゼーション反応に用いた。各遺伝子について、低酸素状態およびコバルトへの暴露の両方で、2〜3倍の遺伝子発現の誘導がもたらされた。タンパク質合成阻害物質のシクロヘキシミドは、低酸素状態への応答を無くしてしまった。シアン化物は、低酸素状態応答に影響を及ぼさず、酸素正常状態での発現を誘導しなかっただけでなく、低酸素状態による誘導も妨げなかった。
【実施例4】
【0040】
内因性PGK−1遺伝子およびLDH−A遺伝子の低酸素状態誘導性発現を司る配列の位置
PGK−1遺伝子およびLDH−A遺伝子の5’フランキング配列の一部分を成長ホルモン受容体遺伝子に連結させた。PGK−1エンハンサー/プロモーター領域からの502bp断片(pPGKGH)またはLDH−Aプロモーターからの233bp配列(pLDHGH)のいずれかを含有する融合遺伝子をトランスフェクトしたHepG2細胞内での発現を、実施例3で用いた通りの低酸素状態、酸素正常状態等の条件にさらした後に、測定した。各場合において、低酸素状態誘導性発現がそれら配列によりもたらされ、それぞれの内因性遺伝子についてよりも幾分高いレベルの誘導性が認められた。これら配列の誘導作用をSV40ウイルスプロモーター、αグロビンプロモーター、フェリチンプロモーターおよび単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーターと対比したが、いずれもこの特性を有さなかった。応答はHepG2細胞に特異的なものではなく、類似の誘導性応答がトランスフェクトされたHeLa細胞内でも得られた。
【0041】
この実施例では、5μgのRNAを各ハイブリダイゼーション反応に用い、そしてα132およびGHプローブを用いてトランスフェクトされた対照および試験プラスミドの発現をそれぞれ検出した。
【実施例5】
【0042】
PGK−1エンハンサー領域の欠失分析
図2(A)は、エンハンサーを含有する253bpEcoRI−Spel断片(EMBL受託番号M18735、ヌクレオチド417〜676)の部分ヌクレオチド配列を示す。この配列の5’末端からの欠失の位置(D)が矢印で示されている。図2(B)は、EcoRI−Spel断片およびその欠失によりリポーターに付与された低酸素状態発現の酸素正常状態発現に対する比率を示している。値は、別々の3トランスフェクションの平均値であり、棒はSEMを表す。
【0043】
一連の欠失は、図2に示す通りに行った。低酸素状態誘導の最も大きな減少は、D9とD11の間の20bpの欠失で起こった。この領域の機能的重要性は、D9とD11の位置の間の18bpが除去されたpPGKGH融合遺伝子はもはや低酸素状態誘導性を示さないという発見により確認された。
【実施例6】
【0044】
PGKエンハンサーの酸素調節要素の機能的分析
この特定された配列(実施例5に記載した18bp配列)の機能的特徴を分析するために、チミジンキナーゼ−成長ホルモン融合遺伝子内の単純ヘルペスチミジンキナーゼプロモーターのTATAボックスの5’側10bpの部位にオリゴヌクレオチドをクローン化した。それが欠失するとPGKGH構築体の低酸素状態誘導が無くなってしまう18bp要素(P18)は、いずれの方向に配置しても低酸素状態に対する応答性を付与することができた。コンカテマーは、モノマーよりも強力に作用した。P18を24bp要素(P24)に延長しても活性は高くならなかった。
【実施例7】
【0045】
PGK−1低酸素状態プロモーターでの細胞の安定的トランスフェクション
HeLa細胞をエレクトロポレーションによりスーパーコイルプラスミドDNAでトランスフェクトした。安定的にトランスフェクトした細胞をG418培地中での増殖により選択した。2種のプラスミドをトランスフェクトした。1番目は細胞表面マーカーCD2の遺伝子に連結した低酸素状態プロモーターを含有し、そして2番目はシトシンデアミナーゼの遺伝子に連結した同じ低酸素状態プロモーター並びにネオマイシン耐性領域に連結した構成的に働くプロモーター(SV40初期領域プロモーター)を含有した。このトランスフェクション実験に用いた低酸素状態プロモーターは、3コピーの活性配列P24がSpe−1部位において挿入された、マウスPGK−1 5’フランキング配列からの456bp Sph−1/Taq−1断片からなるものであった。
【0046】
この系は、信号経路突然変異細胞を作ることを可能とするように設計したものである。本質的には、CD2遺伝子およびシトシンデアミナーゼ遺伝子は選択マーカーとして用いられており、そしてネオマイシン耐性遺伝子はトランスフェクトされたプラスミドを保持し続ける手段、従って、トランスフェクトされた遺伝子ではなく応答を失った細胞を選択する手段を提供している。本発明に従えば、選択マーカーの原理を用いて不必要な細胞を死滅させることができる。
【0047】
トランスフェクション後、細胞を2週間増殖させてプールを21%酸素(酸素正常状態)または1%酸素(低酸素状態)のいずれかで16時間のインキュベーションに付した。マーカー遺伝子発現をRNA分析により定量した。21%酸素に対して1%酸素では約10倍多い発現が認められた。すなわち、選択マーカー遺伝子は、低酸素状態誘導性プロモーターの制御下にあった。
【実施例8】
【0048】
ヒト乳癌細胞系のチミジンホスホリラーゼ遺伝子でのトランスフェクション
細胞系MCF−7のヒト乳癌細胞をチミジンホスホリラーゼの遺伝子でトランスフェクトした。チミジンホスホリラーゼは、比較的不活性な薬物をはるかに強力な物質に転化することができる。この遺伝子は、低酸素状態誘導性プロモーター/エンハンサーとつなぐのに適している。
【0049】
一般原則として、遺伝子を癌細胞内にトランスフェクトすると、それらは異なるレベルで発現されるであろうから、それら細胞の幾つかの異なるクローンを研究してその可変性を見ることは重要である。
【0050】
薬物感受性実験の結果を図3〜7に示す。−7、−4、−12、+4および+16は、全てチミジンホスホリラーゼ遺伝子でトランスフェクトされたMCF−7の誘導体である。
【0051】
図3は、乳癌中の親細胞系MCF−7(WT)およびチミジンホスホリラーゼの遺伝子でトランスフェクトされたそれからの誘導体についての生存曲線を示す。薬物5FUに対するそれらの感受性は、比較的僅かしか相違していない。しかしながら、トランスフェクタント(−4)は、5−デオキシ 5FUdRに対して200倍近く感受性が高い(図4)。
図5は、クローン−12および−4がその野生型に比較して薬物5−デオキシ5FUdRに対して特に感受性であることを示している。他の2種のトランスフェクタント−7および+4および−16は、野生型よりも僅かに感受性である。
【0052】
対数目盛であるので、トランスフェクタント−12と−4についてはIC50(増殖を50%だけ阻害するのに要求される薬物の濃度)が100倍を越えて低いことが注目される。従って、1遺伝子の高レベルの発現は、化学療法に対してこれら細胞を100倍も感受性にすることができる。明らかに、発現のレベルに依存する変動があるので、本発明者らは、できるだけ高くスイッチオンできることを欲する。プロドラッグ5−デオキシ 5FUdRは5FUに分解されるので、図6において5FUに対する細胞の感受性を比較すると、実際に非常に僅かの相違しか存在しないことが分かる。これは、重要なのは下流で起こる事象よりもむしろ活性化段階であることを意味している。
【0053】
最後に、薬物が癌細胞により活性化されると、それは、普通は耐性であろうがその薬物の活性型がこれを打ち負かすことができる他の細胞に移るであろう。証明するために、感受性細胞(−4細胞)と野生型細胞を一緒に混合した。図7から、薬物活性化遺伝子を発現する細胞が20%しかない場合でも、IC50が11.6μMから1.5μMに落ちる、即ち、感受性が1対数分、つまり10倍増加することが分かる。すなわち、遺伝子治療においては、全ての細胞にその遺伝子を発現させる必要ななく、多分20%だけでよいであろう。
【0054】
このことは、標的チミジンホスホリラーゼ遺伝子が抗癌剤を活性化させるメカニズムとして有用であること、および一部の細胞における過剰発現であっても、これら細胞だけでなく隣接する細胞にも薬物感受性を付与できることを証明するものである。
【実施例9】
【0055】
PGK−1低酸素状態誘導性要素および種々のプロモーターでの細胞の安定的トランスフェクション
PGK−1低酸素状態応答要素をPGK−1遺伝子プロモーター(M3)、9−27遺伝子プロモーター(9−3C)およびチミジンキナーゼ遺伝子プロモーター(sTK5)について評価した。
【0056】
これらの構築体は、実施例7に記載したものに類似したものであった。プロモーターおよびPGK−1低酸素状態応答要素を内皮CD2表面タンパク質および負の選択マーカーであるシトシンデアミナーゼをコードする遺伝子の上流に配置した。9−27およびチミジンキナーゼプロモーターをそれぞれP18 PGK−1要素の3コピーと共に用い、そしてPGK−1遺伝子プロモーターをP24PGK−1要素の3コピーと共に用いた。
【0057】
安定的トランスフェクタントを、厳しい低酸素状態(0.001%および0%O2)および種々のレベルの酸素(0.1、1、2、5および20%O2)に対するそれらの応答について試験した。トランスフェクトされたCD2の細胞表面発現は、蛍光標識抗CD2抗体を用いて分析した。標識細胞は、蛍光活性化細胞選別装置でCD2発現についてアッセイした。
【0058】
CD2産生の増加は、低酸素状態の長さおよび厳しさに依存した。厳しい低酸素状態の後は、トランスフェクトされた株内でのCD2発現はその後のエアレーション後に増加しただけであった(低酸素状態後5時間で最大)のに対して、あまり厳しくない低酸素状態後では、CD2発現は低酸素状態の直後にピークに達した。
【0059】
1%O2はCD2発現を誘導したが、厳しい低酸素状態(<5ppm)と同じ度合いではなかった。5%および20%O2は、いかなるCD2誘導ももたらさなかった。
CD2発現は、再酸素化後24時間続いた。
【0060】
図8a、bおよびcは、M3、sTK5および9−3Cそれぞれについての、5%、2%、1%、0.001%(N2、殆ど酸素なし)、0%O2(AnO2)でのCD2誘導データを示している。nは行った実験の数を表わす。CD2発現は、処理直後(0h)および処理後5時間(5h)に測定した。
【実施例10】
【0061】
低酸素状態誘導性プロドラッグ感受性化
細菌性シトシンデアミナーゼはシトシンのウラシルへの転化を触媒するので、プロドラッグ5−フルオロシトシン(5−FC)を抗腫瘍剤5−フルオロウラシル(5−FU)に変換することができる。
【0062】
実施例9に記載したトランスフェクトされた細胞(9−3CおよびM3)を5−FCに対する感受性について試験した。細胞を低酸素状態にさらした(16時間)後、5−FCまたは5−FUにさらして(24時間)から、96時間増殖させた。
【0063】
結果を図9aおよびbに示す(WtはトランスフェクトされていないHT1080細胞を表す)。M3および9−3C細胞系は、低酸素状態後に5−FCに対して有意に大きくより感受性となった(図9a)。対照(Wt)または低酸素状態処理若しくは酸素正常状態処理後のトランスフェクタント細胞における5−FU感受性に有意差はなかった(図9b)。
【実施例11】
【0064】
マウス内での in vivo 実験
腫瘍細胞(HT1080細胞)をPGK−1低酸素状態応答要素を含有するプロモーターに連結したCD2遺伝子を含有するDNA構築体(実施例9に記載したもの)でトランスフェクトした。約100万個のトランスフェクトされた細胞をマウスの皮膚の下に移植した。その後、腫瘍を切開して組織学的に切片化した。抗CD2抗体で染色すると、マーカー遺伝子の低酸素状態誘導性発現が示された。
【0065】
参考文献
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】(A)は、試験プラスミドの構造を示し、(B)は誘導性活性を示す。
【図2】(A)は、エンハンサーを含有する253bpEcoRI−Spel断片の部分ヌクレオチド配列を示し、(B)は、EcoRI−Spel断片およびその欠失によりリポーターに付与された低酸素状態発現の酸素正常状態発現に対する比率を示す。
【図3】チミジンホスホリラーゼ遺伝子でトランスフェクトされたMCF−7の誘導体の5FUに対する薬物感受性実験の結果を示す。
【図4】チミジンホスホリラーゼ遺伝子でトランスフェクトされたMCF−7の誘導体の5’−DFURに対する薬物感受性実験の結果を示す。
【図5】チミジンホスホリラーゼ遺伝子でトランスフェクトされたMCF−7の誘導体の5’−デオキシ−5−FURに対する薬物感受性実験の結果を示す。
【図6】5FUに対する細胞の感受性を示すグラフである。
【図7】感受性細胞(−4細胞)と野生型細胞を混合比と、IC50との関係を示すグラフである。
【図8】M3、sTK5および9−3Cそれぞれについての、5%、2%、1%、0.001%、0%O2でのCD2誘導データを示す。
【図9】トランスフェクトされた細胞(9−3CおよびM3)を5−FCに対する感受性についてのデータを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マウスLDH−Aコード配列以外のコード配列に機能的に連結した、マウスLDH−A遺伝子のヌクレオチド−186と+47の間、またはマウスLDH−A遺伝子の低酸素応答性フラグメントを含むラクテートデヒドロゲナーゼ配列である低酸素応答要素を含んでなる核酸構築物。
【請求項2】
2以上の低酸素応答要素を含む請求項5に記載の核酸構築物。
【請求項3】
配列番号1に記載のエリスロポイエチン配列である2以上の低酸素応答要素を含む核酸構築物。
【請求項4】
(a)マウスLDH−A遺伝子のヌクレオチド−186とヌクレオチド+47の間、またはマウスLDH−A遺伝子の低酸素応答性フラグメントを含む低酸素誘導性発現制御配列を準備するステップと、
(b)マウスLDH−A以外の所望の遺伝子産物をコードする核酸配列を準備するステップと、
(c)前記低酸素誘導性発現制御配列を前記核酸配列に機能的に連結するステップと
を含む、請求項1に記載の核酸構築物を調製するための方法。
【請求項5】
前記所望の遺伝子産物が、プロドラッグを活性型薬剤に転換させる酵素である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記酵素が、シトシンデアミナーゼである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記所望の遺伝子産物が、サイトカインである請求項4記載の方法。
【請求項8】
低酸素応答要素を含んでなる核酸構築物を調製するための方法であって、前記低酸素応答要素は、配列番号1に記載のエリスロポイエチン配列である2以上の低酸素誘導性発現制御配列を含み、前記エリスロポイエチン配列は、他のエリスロポイエチン配列とは機能的に連結せず、前記低酸素誘導性発現制御配列は所望の遺伝子産物をコードする核酸配列に機能的に連結していることを特徴とし、
(a)配列番号1に記載のエリスロポイエチン配列である2以上の低酸素誘導性発現制御配列を準備するステップと、ここで、前記低酸素誘導性発現制御配列は他のエリスロポイエチン配列とは連結していない、
(b)所望の遺伝子産物をコードする核酸配列を準備するステップと、
(c)前記低酸素誘導性発現制御配列を核酸配列に機能的に連結するステップと
を含む、方法。
【請求項9】
前記所望の遺伝子産物が、プロドラッグを活性型薬剤に転換させる酵素である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記酵素が、シトシンデアミナーゼである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記所望の遺伝子産物が、サイトカインである請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−314331(P2006−314331A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221936(P2006−221936)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【分割の表示】特願平7−521087の分割
【原出願日】平成7年2月15日(1995.2.15)
【出願人】(500129007)オックスフォード バイオメディカ(ユーケイ)リミテッド (5)
【Fターム(参考)】