説明

標示板

【課題】標示板を安定した状態で積み重ねることができ、しかも外力を受けても互いにずれ動くことが無い標示板を提供する。
【解決手段】標示板1は、プラスチック製のベース2と、ベース2の前面側に配置される薄板状の標示体3と、折りたたみ自在の支持脚4とを備える。ベース2のベース本体14は、前面が標示体3の支持面30を構成する本体部21と、本体部21の後面の左右から後ろ向きに突設される一対の縦片23とを一体に備える。本体部21の後面と左右一対の縦片23とで、閉脚姿勢の支持脚4の収容凹部72を区画する。閉脚姿勢の支持脚4を、側面視におけるベース本体14の外郭線内に収容する。標示板1の積み重ね状態において互いに接触する接触面を、ベース2の前後面の四隅の近傍に形成する。ベース2の前後面に、互いに凹凸係合するスタック凹部およびスタック凸部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「工事中」や「追突注意」などの各種情報を標示する標示板に関する。具体的には、前面に情報の標示体を保持するベースと、ベースに対して折りたたみ自在に連結された支持脚とを備え、ベースに対して支持脚を開脚して、ベースおよび支持脚の下端を接地させることにより、設置面上に起立できる標示板に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の標示板は、例えば特許文献1に公知である。そこでは、鋼鉄製の四角枠状のベースと、ベースに抜き差し可能に装着された透過シートおよび反射面構成シートと、ベースに対して前後に回動自在に連結された支持脚などで、標示板を構成している。「工事中」などの情報標示は透過シートに設けてあり、反射面構成シートは透過シートの後方に配置されている。以上の構成によれば、透過シートを交換するだけで、標示板が標示する情報を変更することができる。また、比較的高価な反射面構成シートを透過シートで覆って保護することにより、反射面構成シートの耐久性を向上させることができる。
【0003】
特許文献2の標示板のベースはブロー成形品からなり、外枠を構成する上下左右のフレームと、上下のフレームを繋ぐ一本の縦方向繋ぎ部と、左右のフレームを繋ぐ四本の横方向繋ぎ部などを一体に備える格子状に形成されている。左右のフレームの後面には、回動軸嵌合凹部を備える断面略円弧状の突起が突設されている。支持脚に設けた回動軸を、回動軸嵌合凹部に嵌合することにより、支持脚がベースに対して折りたたみ自在に連結してある。
【0004】
特許文献2のプラスチック製のベースは、特許文献1の鋼鉄製のベースに比べて軽量であるから、比較的容易に持ち運ぶことができる。また、ベースをプラスチック製にすると、標示板を積み重ねるときの、標示板どうしの衝突音を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4060651号公報
【特許文献2】特開2005−325527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1、2に係る標示板は、いずれも折りたたんだ状態の支持脚がベースの後面側に突出するので、標示板を積み重ねた状態における姿勢の安定性に問題がある。例えば、標示板の前面を下にして積み重ねるときは、下側の標示板の支持脚の上に、上側の標示板のベースを載せることになる。そのため、上下のベースの間に隙間が生じ、ベースの隙間の側に人が寄り掛かった場合や物が落下した場合などに、標示板が上下にぐらつく。標示板の前面を上にして積み重ねるときも、同様の不都合を招く。
【0007】
また、特許文献1の標示板では、ベースが四角枠状に形成してあるため、ベースに装着した標示体(透過シートと反射面構成シート)の後面が、周縁部を除いて露出する。そのため、前方あるいは後方からの風圧を受けて、標示体が前後に凹み変形し易く、短期間で使用不能となるおそれがある。特許文献2の標示板においても、ベースが四角枠状の外枠と複数本の繋ぎ部とで格子状に形成してあるため、標示体の後面の大部分が露出し、特許文献1の標示板と同様に、標示体が短期間で変形しやすい。
【0008】
本発明の目的は、標示板を安定した状態で積み重ねることができ、しかも外力を受けても互いにずれ動くことが無い標示板を提供することにある。また本発明の目的は、標示体が風圧を受けて変形するのを解消して、標示体の劣化を防止できる標示板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、プラスチック製のベース2と、ベース2の前面側に配置される薄板状の標示体3と、ベース2に対して折りたたみ自在に連結された支持脚4とを備え、ベース2に対して支持脚4を開脚して、ベース2および支持脚4の下端を接地させることにより、設置面上に起立できる標示板に関する。ベース2のベース本体14は、前面が標示体3の支持面30を構成する本体部21と、本体部21の後面の左右から後ろ向きに突設される一対の縦片23とを一体に備える。本体部21の後面と左右一対の縦片23とで、閉脚姿勢の支持脚4の収容凹部72を区画する。閉脚姿勢の支持脚4を、側面視におけるベース本体14の外郭線内に収容することを特徴とする。
【0010】
複数の標示板を、その前後面が接触する向きに積み重ねた状態において、互いに接触する接触面73・74を、ベース2の前後面の四隅の近傍に形成する。
【0011】
ベース2の前後面に、互いに凹凸係合するスタック凹部75およびスタック凸部76を設ける。標示板を積み重ねた状態において、スタック凹部75およびスタック凸部76が互いに凹凸係合して、標示板のずれ動きを規制できる。
【0012】
ベース2の後面に、支持脚4に係合して支持脚4を閉脚姿勢に保持する保持突起70を設ける。保持突起70がスタック凸部76を兼ねている。
【0013】
ベース本体14が、上下方向を押出方向とする押出成形品からなる。標示体3の後面の全体を支持面30で支持する。
【0014】
ベース本体14の本体部21を、前後方向を厚み方向とする中空枠状に形成する。本体部21の内部に、本体部21の前後壁を繋ぐ複数の補強壁29を一体に設ける。
【0015】
ベース本体14の左右に紐通し部35を設ける。紐通し部35を、ベース本体14の外壁を貫通するように取り付けられた結束バンドで構成する。
【0016】
支持脚4を、ベース2の後方に開く開脚姿勢と、収容凹部72に収容される閉脚姿勢との間で、水平な回動軸55を中心として回動自在に構成する。支持脚4をベース本体14の縦片23に対して、支持脚4と縦片23を挿通するボルト56で連結し、ボルト56が回動軸55を兼ねる。ボルト56の頭部59を、背面視におけるベース本体14の外郭線内に位置させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、閉脚姿勢にした支持脚4を収容凹部72に収容して、側面視におけるベース本体14の外郭線内に支持脚4が収容されるようにした。このように、支持脚4をベース本体14の外郭線内に収容すると、標示板1を積み重ねた状態において、上下に隣接するベース2どうしを直接接触させることができる。したがって、一群の標示板1の積み重ね姿勢を安定でき、たとえ、積み重ねた標示板1の周縁部に人が寄り掛かったような場合でも、標示板1が上下にぐら付くのを確実に防止できる。
【0018】
ベース2の前後面の四隅の近傍に、互いに接触する接触面73・74を形成した標示板1によれば、複数の標示板1を積み重ねた状態において、ベース2の端部寄りを支持できるので、複数の標示板1をさらに安定した状態で積み重ねることができる。
【0019】
ベース2の前後面に、スタック凹部75およびスタック凸部76を設けた標示板1によれば、標示板1を積み重ねた状態においてスタック凹部75とスタック凸部76を互いに凹凸係合させて、標示板1が全周囲方向へずれ動くのを確実に規制して、ずれの無い整然とした積み重ね姿勢を維持することができる。標示板1の自重のみで、スタック凹部75とスタック凸部76の係合状態を維持して、整然とした積み重ね姿勢を維持できるので、輸送時における荷崩れ防止のための構造を簡素化できる。また、積み重ね姿勢が整然としたものであると、標示板1を積み重ねて保管する際の占有スペースを小さくできる。
【0020】
支持脚4を閉脚姿勢に保持する保持突起70を設けると、標示板1を設置場所へ運び込み、あるいは設置場所から撤収するような場合に、支持脚4が不用意に開脚状態になるのを規制できる。したがって、標示板1の運搬や取り扱いを安全に、しかも簡便に行える。また、保持突起70がスタック凸部76を兼ねていると、両者を別々に設ける場合に比べてベース2の形状を単純化して、ベース2の製造コストを削減できる。
【0021】
ベース本体14を上下方向の押出成形品で構成すると、押出成形品の表裏の少なくともいずれかを、連続する壁面で構成することができる。したがって、連続する壁面を標示体3の支持面30とすることにより、標示体3の後面の全体を支持面30で支持して、標示体3が後方からの風圧に晒されるのを解消できる。また、標示体3が前方から風圧を受けたとき、標示体3を支持面30で受け止めることができる。したがって、標示体3が前後に凹み変形するのを解消して劣化を防止でき、長期にわたって標示体3を使用することができる。また、ベース本体14を押出成形品で形成すると、ブロー成形や射出成形などで形成する場合に比べて、長尺なベース本体14をより少ないコストで容易に製造することができる。
【0022】
中空枠状に形成した本体部21の前後壁を複数の補強壁29で繋ぐと、重量を大きく増加させることなくベース本体14の構造強度を高めることができる。また、前後方向の外力に対する曲げ強度を向上して、標示板1の耐久性を向上できる。
【0023】
ベース本体14の左右に紐通し部35を設けると、紐通し部35を利用して標示板1を電柱や支柱などに縛り付けて起立させることができる。そのため、例えば設置場所が不整地であったり、設置場所に溝や突起物があるような場合でも、標示板1を設置場所に起立させることができる。また、市販されている結束バンドを利用して紐通し部35を構成することにより、紐通し部35を安価に構成でき、その分だけ標示板1の製造コストを節約できる。
【0024】
支持脚4をベース本体14の縦片23にボルト56で連結し、ボルト56が回動軸55を兼ねるようにすると、ボルト56を取り外すだけで、支持脚4をベース2から簡単に分離できる。したがって、形成素材が異なる構造体を分別して廃棄する必要がある場合に、ベース2と支持脚4との分別作業を簡単に行える。また、ボルト56の頭部59が、背面視におけるベース本体14の外郭線内に位置させてあると、標示板1を運搬しあるいは取り扱う際に、ボルト56の頭部59が衣服に引っ掛かったり、他物に衝突するのをよく防止して、作業の安全性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】回動軸の構造を示す標示板の横断平面図である。
【図2】起立状態における標示板の斜視図である。
【図3】標示体とキャップを分離した標示板の正面図である。
【図4】標示板の背面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】図4のB−B線断面図である。
【図7】図4のC−C線断面図である。
【図8】標示板の側面図である。
【図9】標示板の隅部の斜視図である。
【図10】積み重ね状態の標示板を示す図である。
【図11】積み重ね状態の標示板の隅部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施形態) 図1から図11に、本発明に係る標示板を道路工事用標示板に適用した実施形態を示す。図2に示すように標示板1は、プラスチック製のベース2と、ベース2の前面側に保持される薄板状の標示体3と、ベース2に対して前後に開閉自在に連結された支持脚4とを備える。ベース2に対して支持脚4を開脚して、ベース2および支持脚4の下端を路面に接地させることにより、標示板1を路面上に起立させることができる。なお、本実施形態における前後、左右、上下とは、各図に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0027】
図3に示すように標示体3は、プラスチック製の透明な保護シート7と、「工事中」の文字が記された反射シート8とを前後に並べて構成される。図1に示すように反射シート8は、金属製の基体9の前面にフィルム状の反射材10を貼り付けて構成されており、反射材10の前面に「工」、「事」、「中」の各文字の形のラベルが貼り付けてある。保護シート7は、反射材10の前面を覆って風雨等から保護する。
【0028】
図3に示すようにベース2は、ベース2の主体となる上下に長いベース本体14と、ベース本体14の上端に装着される左右横長のキャップ15と、ベース本体14の下端に装着される門型の脚部材16とで構成してある。各部材14〜16はいずれもプラスチックを素材として作製される。ベース本体14は、上下方向を押出方向とする押出成形品であり、キャップ15および脚部材16は射出成形品である。
【0029】
図1に示すようにベース本体14は、本体部21と、本体部21の前面の左右端に突設された一対の標示体保持部22と、本体部21の後面の左右端に突設された一対の縦片23とを一体に備える。標示体保持部22および縦片23は、本体部21の上下方向の全長にわたって形成されている。
【0030】
本体部21は、前後方向を厚み方向とする中空枠状に形成されており、その内部には、本体部21の前後壁を繋ぐ複数の補強壁29が一体に設けられている。補強壁29は、前後壁に直交して上下に伸びる壁面で構成されて、左右方向へ等間隔に配置されている。本体部21の前面は、標示体3の支持面30を構成している。
【0031】
標示体保持部22および縦片23は、上下に伸びる中空枠からなる。一対の標示体保持部22の対向面側と支持面30の左右端との間には、標示体3の左右端を挿入するための装填溝32が形成してある。縦片23は断面略矩形状に形成されており、その内部には、縦片23の上下方向の全長にわたって、金属製の角パイプからなる補強枠34が挿入されている。補強枠34でベース本体14を補強することにより、上下に長いベース本体14の構造強度を一段と増強できる。
【0032】
図4に示すように、各縦片23の上下二箇所には紐通し部35が設けられており、この紐通し部35に挿通した紐状体等を電柱等に結び付けることにより、ベース2を電柱等に縛り付けて起立させることができる。紐通し部35は市販の結束バンドであり、縦片23および補強枠34の左右壁を貫通するように取り付けてある。
【0033】
図5および図6に示すようにキャップ15は、ベース本体14の上端部に着脱自在に外嵌装着されて、ビス38でベース本体14に固定される。ビス38は、キャップ15の外側方から、キャップ15および縦片23の外側壁を貫通して、縦片23の内部の補強枠34にねじ込まれる。キャップ15の下部に、ベース本体14の上端部を受け入れる凹部39が形成されている。キャップ15をベース本体14の上端に装着した状態において、凹部39は標示体3の上端をも同時に受け入れて、標示体3の上端が遊動するのを規制している(図5参照)。
【0034】
図5および図7に示すように脚部材16は、ベース本体14の下端部に外嵌装着されて、ビス44でベース本体14に固定される。ビス44は、脚部材16の外側方から、脚部材16および縦片23の外側壁を貫通して、縦片23の内部の補強枠34にねじ込まれる。脚部材16の上部に、ベース本体14の下端部を受け入れる凹部45が形成されている。凹部45は、標示体3の下端をも同時に受け入れて、標示体3の下端が遊動するのを規制している(図5参照)。
【0035】
ベース2に標示体3を装着するときは、図3に示すようにベース本体14からキャップ15を分離し、保護シート7および反射シート8を、ベース本体14の上端側から、標示体保持部22の左右の装着溝32に挿入する。保護シート7および反射シート8の下端が、脚部材16の凹部45の底面に接当するまで、シート7・8を下向きに挿入し、最後にキャップ15を再装着することにより、標示体3をベース2に分離不能に装着することができる。装着状態における標示体3の四辺は、左右の装着溝32と上下の凹部39・45に挿入されて、標示体保持部22、キャップ15および脚部材16で覆われるので、標示体3の縁部で手などを切るおそれがない。
【0036】
図4に示すように支持脚4は、上下に伸びる左右一対の縦フレーム51と、縦フレーム51どうしを繋いで左右に伸びる上下一対の横フレーム52とを一体に備える。各フレーム51・52は金属製の角パイプからなり、フレーム51・52どうしは溶接により連結されている。
【0037】
各縦フレーム51の上端部が、水平な回動軸55でベース本体14に連結される。図1に示すように回動軸55は、縦片23の外側方から差し込まれて縦片23、補強枠34および縦フレーム51を左右に貫通するボルト56で構成される。縦フレーム51の内側面から突出するボルト56の雄ねじ部57にナット58をねじ込んで、縦片23と縦フレーム51とが締結してある。縦片23と縦フレーム51との間には、ボルト56に外嵌する円筒状のスペーサ60が配置されている。ボルト56の頭部59は、背面視におけるベース本体14の外郭線内に位置させてある。
【0038】
支持脚4は、回動軸55を中心に回動して、ベース2の後方に開く開脚姿勢(図8に二点鎖線で示す)と、支持脚4の全体がベース本体14に近接する閉脚姿勢(図8に破線で示す)との間で、開閉自在に構成されている。図2および図8において符号66は、支持脚4の所定以上の開脚を規制するための規制アームである。規制アーム66の一端は、ベース本体14の縦片23に連結され、規制アーム66の他端は、支持脚4の縦フレーム51に連結されている。規制アーム66は、例えばボルトとナットを用いて、あるいはブラインドリベットを使用して、縦片23および縦フレーム51に連結することができる。
【0039】
図7に示すように、閉脚姿勢における支持脚4の縦フレーム51は、その前面および外側面が、脚部材16の外面で受け止められる。また、脚部材16の後部左右に設けた保持突起70が、縦フレーム51の後面に係合して、支持脚4が遊動不能に保持される。支持脚4を後方へ引っ張って、保持突起70を乗り越えさせることにより、支持脚4を閉脚姿勢から開脚姿勢に変えることができる。
【0040】
図1に示すように、閉脚姿勢における支持脚4は、一対の縦片23の内側面と本体部21の後面とで区画される収容凹部72に収容される。収容凹部72は、ベース本体14の上下方向の全長にわたって形成されている。支持脚4の左右寸法は、収容凹部72の左右寸法すなわち一対の縦片23の左右対向間隔よりも小さく設定されている。また、支持脚4の前後寸法は、収容凹部72の前後寸法すなわち縦片23の前後寸法よりも小さく設定されており、閉脚姿勢における支持脚4は、側面視におけるベース本体14の外郭線内に収容される。
【0041】
支持脚4を収容凹部72に収容すると、標示板1を積み重ねた際に、上下に隣接する標示板1のベース2どうしを直接接触させることができ、支持脚4が隣接する標示板1に接触することは無い。図3および図4に示すように、ベース2の前後面の四隅には、標示板1を積み重ねたときに互いに接触する接触面73・74が配置されている。これら接触面73・74は、キャップ15および脚部材16の前後面の左右端に形成されている。前側の各接触面73にはスタック凹部75が形成され、後側の各接触面74にはスタック凸部76が形成されている。脚部材16に形成されたスタック凸部76は、支持脚4の保持突起70を兼ねる(図7参照)。図9に示すように、スタック凹部75およびスタック凸部76の外側面は、前方から後方へ内向きに傾斜している。したがって、スタック凹部75とスタック凸部76を大まかに位置決めした状態で標示板1を積み重ねることにより、標示板1を自重で先の傾斜面に沿って移動させて適正な載置姿勢にすることができ、積み重ね作業を簡便に行うことができる。
【0042】
図10および図11は、標示板1の前面が下になるように、複数の標示板1を路面上に積み重ねた状態を示す。ここでは、上下に隣接する標示板1の接触面73・74どうしが接触することにより、上側の標示板1のベース2の四隅が、下側の標示板1のベース2で支持されている。一番下の標示板1は、ベース2の前面四隅の接触面73が路面に接触することにより、路面で支持されている。また、接触面73・74に設けたスタック凹部75とスタック凸部76とが凹凸係合することにより、図10における左右方向(標示板1の上下方向)、および図11における左右方向(標示板1の左右方向)への標示板1のずれ動きが規制されている。
【0043】
以上のように、本実施形態では、閉姿勢における支持脚4を、側面視におけるベース本体14の外郭線内に収容し、標示板1を積み重ねた際に、ベース2の前後面の四隅の接触面73・74どうしが接触するようにした。したがって、一群の標示板1の積み重ね姿勢を安定でき、たとえ、積み重ねた標示板1の周縁部に人が寄り掛かったような場合でも、標示板1が上下にぐら付くのを確実に防止できる。また、積み重ね状態において互いに凹凸係合するスタック凹部75およびスタック凸部76を設けたので、標示板1が全周囲方向へずれ動くのを確実に規制して、ずれの無い整然とした積み重ね姿勢を維持することができる。
【0044】
本実施形態では、接触面73・74をベース2の四隅にのみ設けたが、例えば、キャップ15および脚部材16の左右方向の全長にわたって接触面73・74を形成することができる。また、ベース本体14にも接触面73・74を形成して、接触面73・74を周回状に形成することができる。前側の接触面73にスタック凸部76を設け、後側の接触面74にスタック凹部75を設けることができる。また、ベース2の前面および後面において、スタック凹部75とスタック凸部76が混在していてもよい。例えば、前側上部の接触面73と後側下部の接触面74とにスタック凹部75を設け、前側下部の接触面73と後側上部の接触面74とにスタック凸部76を設けることができる。
【0045】
支持脚4は縦フレーム51と横フレーム52との組み合わせである必要は無く、例えば一枚の板状体で支持脚4を構成することができる。回動軸55は、ボルト56以外にリベットなどで構成することができる。紐通し部35は、ベース本体14の本体部21やキャップ15などに設けることもできる。また紐通し部35は、結束バンドである必要は無く、例えば縦片23に溶着固定した合成樹脂製のリング体を紐通し部35とすることができる。あるいは、紐状体を挿通可能な挿通孔をベース本体14に形成し、これを紐通し部35とすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 標示板
2 ベース
3 標示体
4 支持脚
14 ベース本体
15 キャップ
16 脚部材
21 本体部
23 縦片
29 補強壁
30 支持面
35 紐通し部
51 縦フレーム
52 横フレーム
55 回動軸
56 ボルト
59 頭部
70 保持突起
72 収容凹部
73 接触面
74 接触面
75 スタック凹部
76 スタック凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製のベース(2)と、ベース(2)の前面側に配置される薄板状の標示体(3)と、ベース(2)に対して折りたたみ自在に連結された支持脚(4)とを備えており、
ベース(2)に対して支持脚(4)を開脚して、ベース(2)および支持脚(4)の下端を接地させることにより、設置面上に起立できる標示板であって、
ベース(2)のベース本体(14)は、前面が標示体(3)の支持面(30)を構成する本体部(21)と、本体部(21)の後面の左右から後ろ向きに突設される一対の縦片(23)とを一体に備えており、
本体部(21)の後面と左右一対の縦片(23)とで、閉脚姿勢の支持脚(4)の収容凹部(72)が区画されており、
閉脚姿勢の支持脚(4)が、側面視におけるベース本体(14)の外郭線内に収容してあることを特徴とする標示板。
【請求項2】
複数の標示板を、その前後面が接触する向きに積み重ねた状態において、互いに接触する接触面(73・74)が、ベース(2)の前後面の四隅の近傍に形成してある請求項1に記載の標示板。
【請求項3】
ベース(2)の前後面に、互いに凹凸係合するスタック凹部(75)およびスタック凸部(76)が設けられており、
標示板を積み重ねた状態において、スタック凹部(75)およびスタック凸部(76)が互いに凹凸係合して、標示板のずれ動きを規制できる請求項1または2に記載の標示板。
【請求項4】
ベース(2)の後面に、支持脚(4)に係合して支持脚(4)を閉脚姿勢に保持する保持突起(70)が設けられており、
保持突起(70)がスタック凸部(76)を兼ねている請求項3記載の標示板。
【請求項5】
ベース本体(14)が、上下方向を押出方向とする押出成形品からなり、
標示体(3)の後面の全体が支持面(30)で支持されている請求項1から4のいずれかに記載の標示板。
【請求項6】
ベース本体(14)の本体部(21)が、前後方向を厚み方向とする中空枠状に形成されており、
本体部(21)の内部に、本体部(21)の前後壁を繋ぐ複数の補強壁(29)が一体に設けられている請求項5に記載の標示板。
【請求項7】
ベース本体(14)の左右に紐通し部(35)が設けられており、
紐通し部(35)が、ベース本体(14)の外壁を貫通するように取り付けられた結束バンドで構成されている請求項1から6のいずれかに記載の標示板。
【請求項8】
支持脚(4)が、ベース(2)の後方に開く開脚姿勢と、収容凹部(72)に収容される閉脚姿勢との間で、水平な回動軸(55)を中心として回動自在に構成されており、
支持脚(4)がベース本体(14)の縦片(23)に対して、支持脚(4)と縦片(23)を挿通するボルト(56)で連結されて、ボルト(56)が回動軸(55)を兼ねており、
ボルト(56)の頭部(59)が、背面視におけるベース本体(14)の外郭線内に位置させてある請求項1から7のいずれかに記載の標示板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−172379(P2012−172379A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34923(P2011−34923)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【出願人】(501075464)株式会社 第一興産 (5)
【Fターム(参考)】