説明

標識柱及び反射シート

【課題】 品質を長期にわたって維持することができ、かつ、メンテナンス性の向上を図った標識柱及び反射シートを提供する。
【解決手段】 柱本体10と、柱本体10の外周面に螺旋状に貼り付けられる反射シート30と、を備える標識柱1において、反射シート30は、複数のミシン目31あるいはスリットにより複数の部分に分割可能に構成されており、分割可能な部分のうちの任意の部分がミシン目31あるいはスリットに沿って他の部分から切り離せるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路等に設置される標識柱及び標識柱に用いられる反射シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、道路のセンターライン,車線変更線又は分離帯等には、車両の運転者や歩行者に車線や歩道を識別させる等の目的で標識柱が設置されている。そして、夜間における視認性を向上させるために、柱本体の外周面に反射シートが貼り付けられた標識柱が知られている。一般的には、反射シートは柱本体に対して複数枚貼り付けられているが、貼り付け作業を簡略化にするために、1枚の反射シートを柱本体に対して螺旋状に貼り付けたものも知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、1枚の反射シートを柱本体に螺旋状に貼り付けた標識柱の場合、貼り付け作業は簡略化されるものの、製品の品質が長く保たれないことがある。また、メンテナンスに関しても好ましくない面がある。これらの点について、図6及び図7を参照して説明する。図6は従来例に係る標識柱に車両が衝突した様子を示す外観図である。図7は従来例に係る標識柱に何度も車両が衝突した場合の標識柱の様子を示す外観図である。この従来例に係る標識柱200は、柱本体の外周面に対して、1本の反射シート201が螺旋状に貼り付けられている。
【0004】
一般的に、道路等に設置される標識柱には、車両などが衝突する場合がある。図6には、従来例に係る標識柱200に対して車両100が衝突した様子が示されている。なお、この従来例では、柱本体は、弾性変形可能に構成され、車両が衝突した場合には変形するが、車両が通過すると元の状態に戻るように構成されている。標識柱200に対して、車両の衝突が何度も繰り返されると、反射シート201の一部(端部、または千切れた部分)が柱本体の表面から剥がれてしまうことがある。図7には、反射シート201の端部が剥がれた様子が示されている。図中、201aは、反射シート201のうち柱本体の表面から剥がれた部分である。
【0005】
反射シート201の一部が剥がれると、その後の車両の衝突の繰り返しや、風雨に晒されることによって、剥離は進行していく。この従来例では、上記の通り、反射シートは一枚のみであるので、剥離の進行により、反射シート201全体が、柱本体の表面から剥がれてしまう。これにより、夜間の視認性が著しく低下してしまい、製品本来の品質が保たれなくなってしまう。
【0006】
また、上記従来例の場合、反射シート201が1枚のみで構成されるため、その一部が劣化して、交換しなければならない場合には、反射シート全体を交換する必要がある。従って、メンテナンス性が悪く、コストも高くなってしまう。
【0007】
その他に関連する技術として、特許文献2,3に開示されたものがある。
【特許文献1】特開2003−328327号公報
【特許文献2】特許第2581399号公報
【特許文献3】特開平7−76810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、品質を長期にわたって維持することができ、かつ、メンテナンス性の
向上を図った標識柱及び反射シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0010】
すなわち、本発明の標識柱は、
柱本体と、
該柱本体の外周面に螺旋状に貼り付けられる反射シートと、
を備える標識柱において、
前記反射シートは、複数のミシン目あるいはスリットにより複数の部分に分割可能に構成されており、分割可能な部分のうちの任意の部分がミシン目あるいはスリットに沿って他の部分から切り離せるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の反射シートは、
標識柱の柱本体の外周面に螺旋状に貼り付けられる反射シートにおいて、
複数のミシン目あるいはスリットにより複数の部分に分割可能に構成されており、分割可能な部分のうちの任意の部分がミシン目あるいはスリットに沿って他の部分から切り離せるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、反射シートは、柱本体の外周面に螺旋状に貼り付けられるため、貼り付け作業が簡略化され、しかも、反射シートの一部が剥がれてしまっても、剥がれた部分を含む一部分のみ切り離せるため、剥離の進行を抑制できる。また、交換が必要な部分を部分的に交換できるので、メンテナンスの面でも優れている。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、品質を長期にわたって維持することができ、かつ、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0015】
図1〜図5を参照して、本発明の実施例に係る標識柱及び反射シートについて説明する。図1は本発明の実施例に係る標識柱の正面図である。図2は本発明の実施例に係る反射シートの外観図である。図3は本発明の実施例に係る反射シートの変形例を示す外観図である。なお、図2,3は柱本体に貼り付ける前の反射シートを示している。図4は本発明の実施例に係る標識柱に車両が衝突した様子を示す外観図である。図5は本発明の実施例に係る標識柱に何度も車両が衝突した場合の標識柱の様子を示す外観図である。
【0016】
<標識柱>
特に、図1を参照して、本発明の実施例に係る標識柱全体の構成について説明する。図示のように、本実施例に係る標識柱1は、柱本体10と、柱本体10を支える台座20と、柱本体10の外周面に貼り付けられる反射シート30とを備えている。
【0017】
柱本体10は、内部中空の円筒状あるいは中実の円柱状の部材である。また、柱本体10は、車両が衝突した場合には屈曲し、車両が離れると元に戻るように、弾性変形可能に構成されている。また、柱本体10は、車両が衝突しても、双方に傷が付いてしまわない
ように、柔軟性を有している。これらを満足する素材としては、熱可塑性エラストマーなどが好適に用いられる。
【0018】
台座20は、柱本体10を支えるもので、円錐台形状の部材である。そして、標識柱1が所望の箇所に固定されるタイプの場合には、台座20は、不図示のアンカーなどにより地面に固定される。また、標識柱1が持ち運び自在なタイプの場合には、台座20は、単に地面の上に載置される。いずれの場合においても、台座20により支えられる柱本体10は、地面に対して略垂直となる。
【0019】
<反射シート>
特に、図1〜図3を参照して、本発明の実施例に係る反射シートについて、更に詳細に説明する。反射シート30は、夜間においても、車両のライト等からの光を反射して、遠方からでも運転者に標識の位置を容易に認識させるためのものである。本実施例においては、1つの標識柱1に対して、1枚の反射シート30が貼り付けられる。また、この反射シート30は、柱本体10の外周面に螺旋状に貼り付けられる。このように、1枚のみ反射シート30が貼り付けられることから、貼り付け作業は1度で済み、貼り付け作業を簡易化できる。また、反射シート30は螺旋状に貼り付けられることから、どの方向からでも、高さ方向に平行に複数の反射シートが備えられているように見える。これにより、高さ方向に平行に複数の反射シートが設けられた一般的な標識柱と同様の視覚的効果が得られる。
【0020】
なお、反射シート30は、反射面の裏側に予め接着剤が塗布されている反射テープであっても良いし、貼り付ける際に、別途、接着剤を塗布するものであっても良い。
【0021】
そして、本実施例に係る反射シート30においては、複数のミシン目31が設けられている。ミシン目31は、図2に示すように、反射シート30の長手方向に対して角度θだけ傾くように設けられている。また、ミシン目31は互いに平行となるように、等間隔に設けられている。これら複数のミシン目31によって、反射シート30は複数の部分に分割できるように構成されている。従って、反射シート30が柱本体10に貼り付けられた状態であっても、ミシン目31に沿って、他の部分が貼り付けられたままの状態で、一部のみを剥がすことができる。
【0022】
また、本実施例では、反射シート30は、柱本体10の表面に、柱本体10の軸心に対して角度θだけ傾くように、螺旋状に貼り付けられる(図1参照)。そして、ミシン目31同士のピッチP(図2参照)は、柱本体10の直径をDとすると、おおよそ、
P=π×D/cosθ
を満たすように設定される。
【0023】
このように設定することで、反射シート30が柱本体10に貼り付けられた状態においては、各ミシン目31は、それぞれ等間隔、かつ柱本体10の軸心に対して垂直となるように配置される。これにより、反射シート30の両端(この両端部もミシン目31により切り離された部分となる)は、いずれも柱本体10の端面に対して平行にすることができる。従って、反射シート30の両端を柱本体10の端に隙間なく貼り付けることができるし、端から隙間を設けるように貼り付けたとしても、外観の見た目は良い。
【0024】
なお、図2に示す例では、ミシン目31により、反射シート30の一部を部分的に切り離せるように構成する場合を示したが、図3に示すように、スリット32によって、反射シート30aの一部を部分的に切り離せるように構成することもできる。すなわち、図3に示す反射シート30aには、複数のスリット32が設けられている。このスリット32の配置関係などについては、上記ミシン目31の場合と同様である。図3中の(A)に示
した図は、スリット32の部分(丸で囲った部分)を横から見た拡大図である。図示のように、スリット32の部分においては、反射シート30aの肉厚が他の部分に比べて半分程度になるように構成されており、スリット32に沿って簡単に切り離せるように構成されている。このように、上記ミシン目の代わりにスリットを設けることもできる。
【0025】
<本実施例の優れた点>
本実施例によれば、反射シート30の貼り付け作業が1度で済むため、貼り付け作業が簡略化され、しかも、反射シートの一部が剥がれてしまっても、剥がれた部分を含む一部分のみを切り離せるため、剥離の進行を抑制できる。この点について、図4及び図5を参照してより詳しく説明する。
【0026】
本実施例に係る標識柱1に車両100が衝突した場合には、柱本体10は弾性変形により、図4に示すように屈曲するが、車両100が離れると元の状態に戻る。このとき、標識柱1及び車両100の双方とも傷などが付いてしまうことはない。しかしながら、標識柱1への車両の衝突が繰り返されたりすると、反射シート30の一部が柱本体10の表面から剥がれてしまうことがある。反射シート30の一部が剥がれると、その後、更に車両100の衝突が繰り返されたり、風雨に晒されたりすることで、剥離は進行していく。しかし、本実施例に係る標識柱1の場合には、反射シート30の一部をミシン目31(あるいはスリット32)に沿って部分的に切り離す(剥がす)ことができるため、剥離の進行を防ぐことができる。図5中、符号35は、反射シート30のうちの切り離された部分を示している。
【0027】
なお、反射シート30の一部が剥がれた場合には、剥離がミシン目31(あるいはスリット32)を越えてしまわないように、人為的な作業により、剥がれた部分を含む部分をミシン目31(あるいはスリット32)に沿って剥がしてしまうのが望ましい。ただし、ミシン目31(あるいはスリット32)があれば、その両側を繋ぎとめる力がそもそも弱いので、ミシン目31(あるいはスリット32)の部分で、剥離の進行自体を抑制することができる。
【0028】
より好ましくは、剥離が進行して、剥離された部分がミシン目31(あるいはスリット32)に到達すると、自然にミシン目31(あるいはスリット32)に沿って、切り離されて、剥がれ落ちるようにしておくのが望ましい。
【0029】
以上のように、反射シート30の一部が剥がれてしまっても、剥離の進行を抑制することができる。そして、反射シート30の一部を部分的に切り離しても、他の部分が残っていれば、夜間における視認性をそれほど低下させてしまうこともない。従って、製品本来の品質を長期にわたり維持させることができる。
【0030】
また、反射シート30の一部が機能しなくなった場合には、反射シート30の一部を部分的に交換することができるので、メンテナンスの面でも優れており、コストを抑えることもできる。
【0031】
(その他)
上記実施例においては、柱本体が弾性変形可能に構成される場合を例にして説明したが、金属など弾性変形しないタイプの標識柱にも、本実施例に係る反射シートを適用できる。また、反射シートに設けるミシン目あるいはスリットの配置例として、これらが反射シートの長手方向に所定角度θだけ傾くようにし、かつそれぞれ等間隔かつ平行に配置される場合を例にして説明したが、ミシン目あるいはスリットの配置の仕方は、上記実施例で示したものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は本発明の実施例に係る標識柱の正面図である。
【図2】図2は本発明の実施例に係る反射シートの外観図である。
【図3】図3は本発明の実施例に係る反射シートの変形例を示す外観図である。
【図4】図4は本発明の実施例に係る標識柱に車両が衝突した様子を示す外観図である。
【図5】図5は本発明の実施例に係る標識柱に何度も車両が衝突した場合の標識柱の様子を示す外観図である。
【図6】図6は従来例に係る標識柱に車両が衝突した様子を示す外観図である。
【図7】図7は従来例に係る標識柱に何度も車両が衝突した場合の標識柱の様子を示す外観図である。
【符号の説明】
【0033】
1 標識柱
10 柱本体
20 台座
30,30a 反射シート
31 ミシン目
32 スリット
100 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱本体と、
該柱本体の外周面に螺旋状に貼り付けられる反射シートと、
を備える標識柱において、
前記反射シートは、複数のミシン目あるいはスリットにより複数の部分に分割可能に構成されており、分割可能な部分のうちの任意の部分がミシン目あるいはスリットに沿って他の部分から切り離せるように構成されていることを特徴とする標識柱。
【請求項2】
標識柱の柱本体の外周面に螺旋状に貼り付けられる反射シートにおいて、
複数のミシン目あるいはスリットにより複数の部分に分割可能に構成されており、分割可能な部分のうちの任意の部分がミシン目あるいはスリットに沿って他の部分から切り離せるように構成されていることを特徴とする反射シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−342506(P2006−342506A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166603(P2005−166603)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(502145313)ユニマテック株式会社 (169)
【Fターム(参考)】