説明

標識設置方法

【課題】 車両の前方を監視するセンサの取付角度を調整する基準点をなす標識を設置する標識設置方法において、センサを車両に取付る角度の調整が、その前方に広大な空間を必要とすることなく、狭い空間であっても簡易かつ正確に実施できる標識設置によるセンサの取付角度調整方法を実現することを課題とする。
【解決手段】 紐23の一端をトランクカバー12に固定し、トランクカバー12を開いた状態で、紐23を車両10に付された基準点上を通過するように車両前方に延ばし、車両前方に延ばされた紐23を基準にして標識21を設置することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用レーダ装置等のセンサの取付角度を調整するための基準点をなす標識を設定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】車両用レーダ装置は、車両の前部に搭載されて、前方に向けてミリ波帯の電波ビームやレーザビームを放射し、被検出物体による反射ビームを受信して、被検出物体の有無および被検出物体までの位置(距離,方向)などを検出するものである。また、車両用レーダ装置では、車両の前部から前方に向けて放射されるビーム物体の方向を検出する場合、ビームの放射方向を正確に把握する必要があるため、レーダ装置を車両の前部に正確な角度で取付ける必要がある。
【0003】従来の車両用レーダ装置では、車両の前方に、調整の基準点をなす標識として、車両用レーダ装置から放射されるビームを反射する反射部材等を配置し、その反射ビームを車両用レーダ装置で検出し、反射ビームの電界強度分布(例えばピーク点の位置)による測角結果を見ながら、車両用レーダ装置の車両の前部への取付角度を調整している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような車両用レーダ装置の取付角度調整作業においては、基準点をなす標識を車両に対して所定方向に、また更に所定距離に正確に設定する必要がある。
【0005】しかしレーダを取付ける車両は車種毎に形や大きさが異なるため標識の設定位置も調整毎に微調整が必要で、また車両自体を所定の位置に正確に停止させる必要があるため、その作業も複雑であるという問題がある。
【0006】本発明は、このような問題を解決するもので、例えば車両用レーダ装置等のセンサの車両への取付角度の調整が、簡易かつ正確に実施できるようにすることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、車両の前方を監視するセンサの取付角度を調整するための基準点をなす標識を設置する標識設置方法において、紐の一端をトランクカバーに固定し、前記トランクカバーを開いた状態で、前記紐を車両に付された基準点上を通過するように車両前方に延ばし、前記車両前方に延ばされた紐を基準にして前記標識を設置することを特徴とするものである。
【0008】また、前記紐におけるトランクから所定長さの位置を基準にして前記標識を設置することを特徴とするものである。
【0009】また、前記基準を、車両のボンネットに設置されたエンブレムとすることを特徴とするものである。
【0010】また、車両の前方を監視するセンサの取付角度を調整するための基準点をなす標識を設置する標識設置方法において、トランクカバーにレーダ光線を照射するレーダ光源を設置し、前記トランクカバーを開いた状態で、所定角度開かれたボンネットに付された基準点の所定高さ上をレーダ光が通過するように前記レーダ光線の向きを調整し、前記車両が設置された平面上における前記レーダ光の照射点を基準にして前記標識を設置することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態に係る車両用レーダ装置の取付角度調整方法について、図面を参照して説明する。
【0012】図1は本発明の第1の実施の形態に係る車両用レーダ装置の取付角度調整方法を示す全体構成図(角度調整中における、標識であるコーナリフレクタ21を設定完了した状態の各構成を示す)で、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【0013】尚、図中の構成部品は本発明に係る主要な部材を主に示している。
【0014】本発明の第1の実施の形態に係る車両用レーダ装置の取付角度調整方法では、図1に示した状態で取付角度の調整が行われる。紐23の一端を固定する固定機構部40がトランク12(開かれた状態にあるトランク12)の上部中央(エンブレム等のマーク位置相当)に設置されている。そして紐23は、一端が固定機構部40に固定され、他端が車両前方の予め定める間隔(車両からの距離)L10の位置にある車両が置かれた地面(基準面)の交点Pに達するよう直線状に延びている(紐23の所定位置に印が付され、この印部分で紐23を地面に着けることにより、この状態となる)。また紐23は、トランク12の中央(固定機構部40の位置)とボンネットの中央11a(エンブレム)の真上ですぐ近くの位置を通るように延びている。つまり紐23は、車両10の直進走行方向に延び、車両10の幅方向の中心を通る線を形成する。この交点Pから横方向(進行方向に対して直角方向で基準線と直角)のオフセットL1ずらした位置にレーダ装置20の標識となるコーナリフレクタ21が配置されている。
【0015】尚、レーダ装置20は、車両10の前部に、車両10の中心からオフセットL1分横方向にずらされて取付けられている。レーダ装置20の車両10への取付角度は、このコーナリフレクタ21にレーダ装置20からビームを放射し、コーナリフレクタ21による反射ビームを受信して、この反射ビームの受信電界強度がピーク値になる放射角度がレーダ装置の放射ビームの中心方向として、その取付角度が調整される。つまり、本実施例の場合、反射ビームの受信電界強度が最大となるようにしてレーダ装置20を固定することにより、車両10の直進走行方向とレーダ装置20のビーム放射方向が一致することとなる。
【0016】次に、車両用レーダ装置の取付角度調整方法における構成品である固定機構部40について、図2を参照して説明する。
【0017】図2は固定機構部40の断面図である。
【0018】固定機構部40は、図2に示すように、紐23を挿入して保持するホルダー42と、ホルダー42を取付保持するベース41と、ベース41をトランク12の上部中央に載置する弾性力を有するゴム系の素材等で成形された吸盤43等により構成され、車両10の開かれた状態にあるトランク12の上部中央(エンブレム等のマーク位置相当)に固定されている。尚、この固定は、調整の際に一時的に固定すればよいので、シート状の磁石や両面テープを用いて固定しても良い。
【0019】また、本実施の形態に係わる固定機構部40にこだわることなく、粘着テープ等を用いて、紐23の一端をトランク12の上部中央に貼りつけて固定しても良い。
【0020】ホルダー42は、中央部に紐23を挿通する穴42a、先端部にテーパー状の突起部42a、後端部にはベース41に当接する当たり面42dと紐23の端部23aを嵌め込む当たり面42cのある凸形状の座グリ孔を有する突起部等が設けられた金属材等で形成されたものである。このホルダー42は、ベース41のテーパー状の穴41aにテーパー状の突起部42aが嵌め込まれることにより、ホルダー42の穴42aに挿入された紐23の位置が、よりトランク12の上部中央に近くセッティングされて位置精度が高くされている。
【0021】ベース41は、ホルダー42の突起部42aが挿入勘合されて設置されるテーパー状の穴41aが設けられた角柱形状の金属材等で形成されたもので、ベース41の下部面には吸盤43が接着固定され、吸盤43を介してトランク12の上部中央に載置されている。
【0022】次にレーダ装置20の車両10への固定構造について説明する。図3は車両用レーダ装置20の角度調整機構部30の構造を示す詳細図で、(a)は背面図、(b)は側部断面図である。
【0023】レーダ装置20は、図3に示すように、角度調整機構部30を介して角度調整可能に車両10に固定される。この角度調整機構部30は、レーダ装置20の取付フレーム部20aに固定されたホルダー32と、レーダ装置20を位置決め保持する取付ボルト35,36,37と、レーダ装置20を保持するスプリング34と、レーダ装置20の角度調整用支持軸38と、レーダ装置20を保持して車両10に搭載するブラケット31等より構成されている。ホルダー32は、中央部にネジ部32aが設けられた弾性力を有する樹脂材等で形成され、レーダ装置20の取付フレーム部20aに取付固定されている。スプリング34は、ブラケット31とホルダー32との間に設置され、レーダ装置20をブラケット31に取付ボルト35,36,37を介して、スプリング34の弾性による反力で保持するバネ材等で形成されたものである。
【0024】そして、角度調整機構部30は、取付ボルト35,36,37のそれぞれのネジ部をねじ込む(又はねじ緩め)ことにより、支持軸38を支点として、レーダ装置20の角度を調整するものである。例えば、図3R>3(b)に示す角度調整された回転角R1は、ホルダー32のネジ部32aにねじ込まれた取付ボルト35のネジ部35aを緩めて、レーダ装置20の取付フレーム部20aに設置固定されたホルダー32をスプリング34の反力を介して、図中の右方向に移動して調整する。
【0025】次に、レーダ装置20の取付角度調整方法について説明する。図4は車両用レーダ装置20の取付角度調整方法に用いた電気構成を示すブロック図である。
【0026】レーダ装置20からのビームは、コーナリフレクタ21に放射され、コーナリフレクタ21よる反射ビームが放射ビームと平行してレーダ装置20に反射される。この反射ビームは、受信アンテナ60で受信され高周波増幅器61によって増幅される。そして高周波増幅器61の出力信号は、フィルタ62に与えられる。フィルタ62によって反射ビームの周波数成分のみを有する信号のみが抽出されて濾波される。フィルタ62からの出力は、包絡線検波器63に与えられて包絡線信号が得られる。整流回路64は、包絡線検波器63の出力を整流し、これによって受信された反射ビームの受信強度を表す信号が得られる。整流回路64の出力は、アナログ/ディジタル変換器65によってディジタル信号に変換され、マイクロコンピュータなどによって実現される処理回路66に与えられ演算処理される。そして処理回路66は、演算処理結果、つまり反射ビームの受信強度を表示手段67に表示する。作業者は、この表示画面の受信レベルが、最大電界強度になるように、図3に示す角度調整機構部30で調整し、レーダ装置20の取付角度を設定する。尚、ビーム放射方向を走査するスキャン型レーダの場合は、直接取付角度を調整するのではなく反射ビームの受信強度が最大となるビーム放射方向を記憶回路68に記憶しておき、この記憶値を用いてレーダ装置20の検出結果を演算により補正する方法も可能である。また、これら回路構成は、レーダ装置20のもつ回路を利用することも可能である。
【0027】この角度調整時における許容角度範囲は、次による。
【0028】まず、紐23により車両10の前方の交点Pを定めて、車両の直線走行方向の中心となる軸線が設定されるが、この設定された角度の誤差を、例えば0.5度以内に抑えるためには、間隔L10を、例えばほぼ10mとすると、交点Pのずれた位置は87mm以内であり、トランク12とボンネット11の間隔を、例えばほぼ3mとすると、ボンネット11の中央部11aのずれた位置はほぼ26mm以内であれば良い。この値は、充分設定可能な値であるので、間隔L10を、10m以内にすることが可能となる。従って、角度調整機構部30によるレーダ装置20の調整誤差を0.5度以内に抑えれば、レーダ装置20の取付角度は、1度以内に抑えることが可能となる。
【0029】次に、車両用レーダ装置の取付角度調整方法の手順について、図5を参照して説明する。図5はレーダ装置20の取付角度調整方法の手順を示すフローチャート図であり、調整はこのフローチャートに示すステップ順に行われる。
【0030】ステップS1;車両10を、平坦で地上水平基準面Aに近い路上に設置し、車両10の前方の5m〜10mの範囲内の所定位置(L10)に、コーナリフレクタ21を仮設置する。
【0031】ステップS2;車両10のトランク12をほぼ直角になる位置まで開き、その上部中央(エンブレム等のマーク位置相当)に紐23の端を固定した固定機構部40を吸盤43を介して載置する。
【0032】ステップS3;固定機構部40に取付けた紐23を車両前方の仮設置したコーナリフレクタ21の路面付近まで伸ばす。
【0033】ステップS4;伸ばされた紐23に、ボンネット11の上面が接触する程度の位置までボンネット11を開ける。
【0034】ステップS5;この紐23がボンネット11の上面中央11aを通過するように、紐23を左右にコーナリフレクタ21の路面付近で動かし、車両の直進走行方向の軸線を設定する。
【0035】ステップS6;この紐23のコーナリフレクタ21付近における路面に接する交点Pに印を付ける。尚、紐23の所定位置(路面に着ける位置を示す)に印を付けた例の場合、この印の部分を路面に設け、その交点Pに印を付ける。
【0036】ステップS7;この交点Pの位置からレーダ装置20のオフセット分(L1)ずらした位置にコーナリフレクタ21を設置する。
【0037】ステップS8;車両10の前部に仮取付けされたレーダ装置20から、このコーナリフレクタ21へビームを放射し、コーナリフレクタ21からの反射ビームをレーダ装置20が、受信するようにする。
【0038】ステップS9;この受信した信号を表示手段67の表示画面に表示する。この表示画面を見ながら、コーナリフレクタ21からの反射ビームが、最大受信強度になるように、図3に示す角度調整機構部30でレーダ装置20の取付角度を調整し、レーダ装置20を固定する。
【0039】これにより、本車両用レーダ装置の取付角度調整方法では、容易にコーナリフレクタ21の設置が正確にできることにより、レーダ装置20の角度調整精度が向上し、車両の直進走行方向の軸線とレーダ装置の軸線とのずれによる、隣接走行車線の車両を検出するなどの不具合が防止でき、またその作業も容易なものとなる。また、車両の前方に広大な空間を必要とすることなく、狭い空間で簡易かつ正確にレーダ装置20の取付角度を調整できる。
【0040】次に、本発明の第2の実施の形態に係る車両用レーダ装置の取付角度調整方法について、図面を参照して説明する。
【0041】図7は本発明の第2の実施の形態に係る車両用レーダ装置の取付角度調整方法を示す全体構成図(角度調整中における、標識であるコーナリフレクタ21を設定完了した状態の各構成を示す)で、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【0042】尚、図中の構成部品は本発明に係る主要な部材を主に示している。
【0043】本発明の第2の実施の形態に係る車両用レーダ装置の取付角度調整方法は、図7及び図8に示すように、第1の実施の形態に係るものに対し、車両10の直進走行方向の中心である軸線を設定する手段として用いられた紐23の替わりにレーザポインタ51の出射するレーザ光線25を用いたもので、このレーザポインタ51を保持し角度調整を行う取付機構部50等を付加したものである。
【0044】本発明の第2の実施の形態に係る車両用レーダ装置の取付角度調整方法では、図7に示した状態で取付角度の調整が行われる。レーザ光線25が投光されるレーザポインタ51を固定する取付機構部50がトランク12(開かれた状態にあるトランク12)の上部中央(エンブレム等のマーク位置相当)に設置されている。そしてレーザポインタ51からのレーザ光線25が、車両10の幅方向の中心を通る線上で車両前方の予め定める距離L10の位置にある車両が置かれた地面(基準面)の交点Pに照射するようにレーザポインタ51が設置されている。
【0045】そのために、レーザ光線25が、トランク12の中央(取付機構部50の位置)とボンネットの中央11a(エンブレム)の真上ですぐ近くの位置を通るようにレーザポインタ51の取付状態が調整されている。この交点Pから横方向(進行方向に対して直角方向で基準線と直角)のオフセットL1ずらした位置にレーダ装置20の標識となるコーナリフレクタ21が配置されている。
【0046】尚、レーダ装置20は、車両10の前部に、車両10の中心からオフセットL1分横方向にずらされて取付けられている。レーダ装置20の車両10への取付角度は、このコーナリフレクタ21にレーダ装置20からビームを放射し、コーナリフレクタ21による反射ビームを受信して、この反射ビームの受信電界強度がピーク値になる放射角度がレーダ装置の放射ビームの中心方向として、その取付角度が調整される。つまり、本実施例の場合、反射ビームの受信電界強度が最大となるようにしてレーダ装置20を固定することにより、車両10の直進走行方向とレーダ装置20のビーム放射方向が一致することとなる。
【0047】次に、車両用レーダ装置の取付角度調整方法における構成品である取付機構部50について、図8を参照して説明する。
【0048】図8は取付機構部50の詳細図で、(a)は側面図、(b)は背面図である。
【0049】取付機構部50は、図8に示すように、レーザポインタ51を挿入して保持するホルダー52と、ホルダー52のネジ孔52bに捩じ込んでレーザポインタ51を固定するツマミ59と、ホルダー52に取付られた回転機能を有するジョイント53と、ジョイント53をベース54に押圧固定する上板55と、上板55とベース54を連結するヒンジ58と、上板55の押圧に用いられるツマミ56と、ジョイント53を介してレーザポインタ51を保持するベース54と、ベース54をトランク12の上部中央に載置する弾性力を有するゴム系の素材等で成形された吸盤57等により構成されている。そして取付機構部50は、車両10の開かれた状態にあるトランク12の上部中央(エンブレム等のマーク位置相当)に固定されている。尚、この固定は、調整の際に一時的に固定すればよいので、シート状の磁石や両面テープを用いて固定しても良い。また、本実施の形態に係わる取付機構部50にこだわることなく、レーザポインタ51を保持し、左右上下方向の回転機能を有した構造であれば良い。
【0050】この取付機構部50は、ホルダー52に保持されたレーザポインタ51からのレーザ光線25の投光角度を左右上下方向に回転調整するもので、回転時にはツマミ56を緩めて、上板55によるジョイント53の突起部53bへの押圧を緩めて、突起部53bとベース54の凹み部54aとの接触部を滑らせて、ジョイント53を回転させる。このジョイント53の回転で、ジョイント53が取付固定されているホルダー52が回転する。即ち、ホルダー52に保持されているレーザポインタ51が回転することになる。そして、所定角度に固定する時にはツマミ56を締め付けて、上板55によるジョイント53の突起部53bへの押圧を強めて、突起部53bとベース54の凹み部54aとの接触部の滑りを止めて、ジョイント53を固定させる。
【0051】ホルダー52は、中央部にレーザポインタ51を挿入して保持する穴52c、上部面にレーザポインタ51を固定するツマミ59が捩じ込まれるネジ孔52b、下部面にジョイント53のネジ部53aが捩じ込まれるネジ孔52aがそれぞれ設けられた角柱形状に金属材等で形成されたものである。
【0052】ベース54は、中央部にはホルダー52に取付固定されたジョイント53の球形状の突起部53bを上板55とで挟み込んで保持するための半球状の凹み部54aが、左側面には上板55と連結される回転機能を有するヒンジ58が取付けられ、側部右側には上板55を押圧するツマミ56のネジ部55aが捩じ込まれるネジ孔54bがそれぞれ設けられた厚板形状に金属材等で形成されたものである。このベース54の下部面には吸盤57が接着固定され、吸盤57を介してトランク12の上部中央に載置されている。
【0053】ジョイント53は、ホルダー52に取付固定するネジ部53aと、回転機能を有する球形状の突起部53bが設けられた金属材等で形成されたものである。ホルダー52に取付固定されたジョイント53は、突起部53bがベース54と上板55により挟み込まれ、ツマミ56による上板55の突起部53bへの押圧で、突起部53bの表面とベース54の凹み部54aとの接触部の滑りが止められて、固定される。
【0054】レーダ装置20とその電気構成は、第1の実施の形態に係るものと同一なので、レーザポインタ51のレーザ光線25による車両の直線走行方向の軸線設定角度の誤差に関する説明以外は、その説明を省略する。
【0055】まず、レーザ光線25の投光により車両10の前方の交点Pを定めて、車両の直線走行方向の中心となる軸線が設定されるが、この設定された角度の精度は、第1の実施の形態に係るものに対し、レーザ光線25の投光精度と取付機構部50による角度調整精度とから、さらに向上したものとなる。
【0056】次に、車両用レーダ装置の取付角度調整方法の手順について、図9を参照して説明する。図9はレーダ装置20の取付角度調整方法の手順を示すフローチャート図であり、調整はこのフローチャートに示すステップ順に行われる。
【0057】ステップS1;車両10を、平坦で地上水平基準面Aに近い路上に設置し、車両10の前方の5m〜10mの範囲内の所定位置(L10)に、コーナリフレクタ21を仮設置する。
【0058】ステップS2;車両10のトランク12をほぼ直角になる位置まで開き、その上部中央(エンブレム等のマーク位置相当)にレーザポインタ51を取付固定した取付機構部50を吸盤57を介して載置する。
【0059】ステップS3;取付機構部50に取付けたレーザポインタ51のレーザ光線25が車両前方の仮設置したコーナリフレクタ21の路面付近まで投光できるように、取付機構部50によりレーザポインタ51の回転角度を調整する。
【0060】ステップS4;投光されたレーザ光線25に、ボンネット11の上面が接触する程度の位置までボンネット11を開ける。
【0061】ステップS5;このレーザ光線25がボンネット11の上面中央11aを通過するように、取付機構部50によりレーザポインタ51の左右方向の回転角度を調整し、車両の直進走行方向の軸線を設定する。
【0062】ステップS6;このレーザ光線25のコーナリフレクタ21付近における路面への照射する交点Pに印を付ける。
【0063】ステップS7;この交点Pの位置からレーダ装置20のオフセット分(L1)ずらした位置にコーナリフレクタ21を設置する。
【0064】ステップS8;車両10の前部に仮取付けされたレーダ装置20から、このコーナリフレクタ21へビームを放射し、コーナリフレクタ21からの反射ビームをレーダ装置20が、受信するようにする。
【0065】ステップS9;この受信した信号を表示手段67の表示画面に表示する。この表示画面を見ながら、コーナリフレクタ21からの反射ビームが、最大受信強度になるように、図3に示す角度調整機構部30でレーダ装置20の取付角度を調整し、レーダ装置20を固定する。
【0066】これにより、本車両用レーダ装置の取付角度調整方法では、左右上下方向の回転機能を有する取付機構部50にレーザポインタ51を保持して、レーザポインタ51のレーザ光線25により車両の直線走行方向の中心となる軸線を設定しているため、コーナリフレクタ21の設置が、より正確にできることにより、レーダ装置20の角度調整精度がより向上し、車両の直進走行方向の軸線とレーダ装置の軸線とのずれによる、隣接走行車線の車両を検出するなどの不具合が防止でき、またその作業もより容易なものとなる。また、車両の前方に広大な空間を必要とすることなく、狭い空間で簡易かつ正確にレーダ装置20の取付角度を調整できる。
【0067】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、本車両用レーダ装置の取付角度調整方法では、車両のトランクとボンネットをそれぞれ開き、紐又はレーダ光源の光を用いて、トランクの上部中央とボンネットの中央とを結んだ延長線上の路面に当接する交点を定め、車両の直線走行方向の中心となる軸線を設定しているため、車両用レーダ装置の角度調整に用いられる標識の設置が、より正確にできることにより、レーダ装置20の角度調整精度が向上し、車両の直進走行方向の軸線とレーダ装置の軸線とのずれによる、隣接走行車線の車両を検出するなどの不具合が防止でき、またその作業もより容易なものとなる。また、車両の前方に広大な空間を必要とすることなく、狭い空間で簡易かつ正確にレーダ装置20の取付角度を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両用レーダ装置の取付角度調整方法を示す全体構成図である。
【図2】固定機構部40の断面図である。
【図3】車両用レーダ装置20の角度調整機構部30の構造を示す詳細図である。
【図4】車両用レーダ装置の取付角度調整方法に用いた電気構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る車両用レーダ装置の取付角度調整方法の手順を示すフローチャート図である。
【図6】車両用レーダ装置の取付角度調整方法による受信電界強度の分布を示す曲線図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る車両用レーダ装置の取付角度調整方法を示す全体構成図である。
【図8】取付機構部50の構造を示す詳細図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係る車両用レーダ装置の取付角度調整方法の手順を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
10・・・車両
11・・・ボンネット
12・・・トランク
20・・・車両用レーダ装置20
21・・・コーナリフレクタ
23・・・紐
25・・・レーザポインタのレーザ光線
30・・・車両用レーダ装置の角度調整機構部
31・・・ブラケット
32・・・ホルダー
34・・・スプリング
35,36,37・・・取付ボルト
38・・・角度調整用支持軸
40・・・紐の固定機構部
41・・・ベース
42・・・ホルダー
43・・・吸盤
50・・・レーザポインタの取付機構部
51・・・レーザポインタ
52・・・ホルダー
53・・・ジョイント
54・・・ベース
55・・・上板
56・・・ツマミ
57・・・吸盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の前方を監視するセンサの取付角度を調整するための基準点をなす標識を設置する標識設置方法において、紐の一端をトランクカバーに固定し、前記トランクカバーを開いた状態で、前記紐を車両に付された基準点上を通過するように車両前方に延ばし、前記車両前方に延ばされた紐を基準にして前記標識を設置することを特徴とする標識設置方法。
【請求項2】 前記紐におけるトランクから所定長さの位置を基準にして前記標識を設置することを特徴とする請求項1記載の標識設置方法。
【請求項3】 前記基準を、車両のボンネットに設置されたエンブレムとすることを特徴とする請求項1記載の標識設置方法。
【請求項4】 車両の前方を監視するセンサの取付角度を調整するための基準点をなす標識を設置する標識設置方法において、トランクカバーにレーダ光線を照射するレーダ光源を設置し、前記トランクカバーを開いた状態で、所定角度開かれたボンネットに付された基準点の所定高さ上をレーダ光が通過するように前記レーダ光線の向きを調整し、前記車両が設置された平面上における前記レーダ光の照射点を基準にして前記標識を設置することを特徴とする標識設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2001−235536(P2001−235536A)
【公開日】平成13年8月31日(2001.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−48860(P2000−48860)
【出願日】平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】