説明

模型回転翼航空機の回転翼、及びその回転翼の製造方法

【課題】模型回転翼航空機に適用可能であり、実機により近いリアル性を有する回転翼、及びその回転翼の製造方法を提供する。
【解決手段】円筒状で所望の長さのアルミ合金管10を、ロール成形により、断面が翼断面形になるように成形する。これにより、模型回転翼航空機用の回転翼5aを中空構造に構成することができる。このため、回転翼5aは、重量が大幅に低減されたものとなる。そのような回転翼5aによれば、アルミ合金特有(金属特有)の重量感や重厚感をかもし出しつつ、金属素材につきまとう重量の問題も回避できる。しかも、回転翼5aは、アルミ合金管10を成形することで一層構造(一体構造)となり、強度も充分なものとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型回転翼航空機の回転翼、及びその回転翼の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転翼航空機として、例えば、ヘリコプター、ジャイロプレーン、オートジャイロ、ジャイロダイン等がある。
特に、模型回転翼航空機の代表的なものとしては、例えばラジコンヘリコプターがある。
【0003】
ラジコンヘリコプターは、実機(実物大)のヘリコプターと同様に駆動源(例えばエンジン)を搭載し、その駆動源の駆動力により空中に飛翔するとともに挙動が制御される。より具体的に、機体を浮上させるための主回転翼と、主回転翼の回転力の反動で機体が逆方向に回転するのを制御するための尾回転翼とを有し、少なくともその主回転翼及び尾回転翼の回転が制御されることによって、飛翔及び挙動の制御が実現される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−091059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、模型回転翼航空機の代表例としてのラジコンヘリコプターは、実機のヘリコプターと動作原理において何ら変わるところはなく、例えばラジコンヘリコプターの愛好家も、ラジコンヘリコプターに実機のヘリコプター同様のリアル性(例えば重量感や重厚感)を求める場合が多い。
【0006】
しかしながら、ラジコンヘリコプターは、実機のヘリコプターと比較して大きさの点では小さいものになるということもあり、リアル性はどうしても劣ってしまう。
また、ラジコンヘリコプターにおいてはより軽量な素材を使用する必要があり、実機のヘリコプターに使用されるような素材が、そのままラジコンヘリコプターに使用できるとは限らなかった。この点も、ラジコンヘリコプターにおいてリアル性が失われる要因であると考えられる。
【0007】
例えば、ラジコンヘリコプターの回転翼としては、カーボンファイバー、グラスファイバー、或いは木材(バルサ材)からなるものが主流となっている。そのような素材は、軽量で強度が大きいので、ラジコンヘリコプターの回転翼の素材としては好適である。尚、ラジコンヘリコプターの回転翼の素材としてだけではなく、模型航空機(例えばラジコン飛行機)全般にて翼の素材として好適である。
【0008】
一方、カーボンファイバー、グラスファイバー、或いは木材(バルサ材)等の素材にてラジコンヘリコプターの回転翼を構成した場合、実機のヘリコプターに近いリアル性がかもし出されないということがあり、ラジコンヘリコプターの愛好家の要望が満たされていなかった。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、模型回転翼航空機に適用可能であり、実機により近いリアル性を有する回転翼、及びその回転翼の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本願第1発明に係る回転翼(模型回転翼航空機の回転翼)は、所望の寸法で細長状のアルミ合金管が、長手方向の一端から見た断面が翼断面形を有する形状に成形されてなるものである。尚、この回転翼は、例えばラジコンヘリコプターにおいては、主回転翼(メインロータブレード)として用いることもできるし尾回転翼(テールロータブレード)として用いることもできる。
【0011】
また、アルミ合金とは、アルミニウムを主成分とする合金である。アルミニウム自体は軽い一方で柔らかい金属であり、例えば銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、ニッケルなどと合金にすることで強度の高い金属材料(アルミ合金)となる。このようなアルミ合金は、軽量で強度が高く、金属であるが故金属特有の重量感や重厚感も得られ、模型回転翼航空機(特にラジコンヘリコプター)の回転翼としては好ましい材料である。
【0012】
とは言え、例えばカーボンファイバー、グラスファイバー、或いは木材(バルサ材)等と比較して比重は大きく、やはり重量の点が問題となる。即ち、模型回転翼航空機の回転翼の素材として単にアルミ合金を採用しても、重量の点から模型回転翼航空機ーの飛翔が難しくなるか、或いは不可能となってしまう。
【0013】
この点、本願第1発明に係る回転翼は、アルミ合金管、即ちアルミ合金からなる筒状の材料を成形してなるものであるため、中空構造のもの(内部に空洞を有するもの)となる。即ち、回転翼の内部は空洞となってその部分には金属(アルミ合金)が存在しないように構成されるため、回転翼全体の重量を大幅に低減させることができる。したがって、前述のような重量の問題は解決できる。
【0014】
また、本願第1発明に係る回転翼はアルミ合金管をもとに形成されるものであるため、継ぎ目のない一層構造(一体構造)となり、強度も充分なものとなる。
さらに、もとから空洞状(筒状)であるアルミ合金管が成形されるというごく簡単な構成で、前述のような中空構成、及び一層構造(一体構造)が実現される。このため、製造工数や製造コストの点でも非常に有利である。即ち、製造工数や製造コストを抑えることが可能である。尚、成形の手法としては、いわゆるロール成形を適用することができる。また、例えばアルミ合金管の長さ、肉厚、断面寸法等は、回転翼を搭載する模型回転翼航空機の大きさ等に応じて、その模型回転翼航空機の回転翼として求められる長さ及び翼断面形の大きさ(面積)に合致したものとすれば良い。また、翼断面形については規格や標準が定められているため、その規格や標準に沿うようにすれば良い。
【0015】
このように、本願第1発明に係る回転翼は、模型回転翼航空機(例えばラジコンヘリコプター)において問題なく使用できるように軽量に構成され、かつ、重量感や重厚感をかもし出すことができるものである。このため、本願第1発明によれば、模型回転翼航空機において、実機に近いリアル性が得られ、例えばラジコンヘリコプターの愛好家の要望にも応えることができる。しかも、より安価に製造することも可能である。
【0016】
また、本願第2発明に係る回転翼は、アルミ合金からなる所望の寸法の長方形状板が、長手方向の一端から見た断面が翼断面形を有するように筒状に成形されるとともに長辺部同士が接着されてなるものである。尚、この回転翼は、例えばラジコンヘリコプターにおいては、主回転翼(メインロータブレード)として用いることもできるし尾回転翼(テールロータブレード)として用いることもできる。
【0017】
本願第2発明に係る回転翼は、アルミ合金からなる長方形状板の成形によって形成されたものであり、特に筒状に成形されたものであるため、本願第1発明と同様に中空構造となり大幅な軽量化を図ることができる。このため、本願第2発明に係る回転翼によれば、本願第1発明と同様に模型回転翼航空機(例えばラジコンヘリコプター)において問題なく使用でき、かつ、重量感や重厚感をかもし出すことができる。したがって、模型回転翼航空機において、実機に近いリアル性が得られる。
【0018】
また、本願第3発明は、模型回転翼航空機の回転翼の製造方法であって、所望の寸法で細長状のアルミ合金管を、長手方向の一端から見た断面が翼断面形を有するように成形して前記回転翼となすことを特徴とするものである。
【0019】
このような製造方法によれば、前述したような本願第1発明に係る回転翼を、成形という簡単な工程によって製造することができる。したがって、製造工数や製造コストを抑えることが可能である。
【0020】
また、本願第4発明に係る製造方法は、アルミ合金からなる所望の寸法の長方形状板を、長手方向の一端から見た断面が翼断面形を有するように筒状に成形するとともに長辺部同士を接着することによって前記回転翼となすことを特徴とする製造方法である。
【0021】
このような製造方法によれば、前述したような本願第2発明に係る回転翼を、成形という簡単な工程によって製造することができる。したがって、製造工数や製造コストを抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態のラジコンヘリコプター1の外観図である。
【図2】本実施形態のメインロータブレード5aの外観及び側断面を表す図面である。
【図3】本実施形態のメインロータブレード5aの製造方法(ロール成形)を表す図面である。
【図4】本実施形態におけるメインロータブレード5aの重量特性を表す図面である。
【図5】本実施形態のメインロータブレード5aの製造方法(プレス加工)を表す図面である。
【図6】メインロータブレード5aの他の製造方法を表す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明を適用した模型回転翼航空機の代表例としてのラジコンヘリコプターの一例を示す外観図である。尚、図1において、紙面左側を前方とし、紙面右側を後方とし、紙面上側を上方とし、紙面下側を下方とする。
【0024】
図1に示すラジコンヘリコプター1は、機体2と、脚部3と、テールパイプ4と、メインロータ5と、テールロータ6と、尾翼7と、を中心に構成される。
機体2における前部下方には、図示は省略するが、駆動力を発生するエンジン、各種制御を行う制御装置等が搭載される。
【0025】
脚部3は、機体2の下方に設けられ、接地時(着陸時)にその機体2を支持するものである。
メインロータ5は、略鉛直上方に延びてエンジンの駆動により回転する出力軸8と、一対の主回転翼(以下、メインロータブレードとも記載する)5a,5aとを備えている。メインロータブレード5a,5aは、出力軸8に取り付けられており、その出力軸8の回転とともに回転して揚力を発生する。
【0026】
テールロータ6は、テールパイプ4の後端側に設けられ、紙面における表裏の方向に延びる回転軸9と、一対の尾回転翼(以下、テールロータブレードとも記載する)6a,6aとを備えている。テールロータブレード6a,6aは、回転軸9を中心に回転可能に取り付けられている。テールロータ6は、メインロータ5の回転に同期するように回転し、そのメインロータ5の回転に伴って発生するトルク(ヨーイング)を打ち消して機体2の挙動を安定させる機能を有する。
【0027】
尾翼7は、例えば操縦性の向上のために設けられる。
図2は、本発明のメインロータブレード5aの外観及び側断面を表す図面である。図2(a)がメインロータブレード5aの外観を表し、図2(b)がメインロータブレード5aの側断面を示す。尚、図2(b)の側断面は、図2(a)におけるX矢視図である。換言すれば、メインロータブレード5aをその長手方向の一端からみた場合の断面図である。尚、図2(a)において、Aは翼長を示し、Bは翼幅を示す。
【0028】
図2(b)に示すように、メインロータブレード5aは翼断面形を有する。翼断面形については周知なものであるため、ここでは詳しい説明を省略する。
特に、本実施形態におけるメインロータブレード5aは、アルミ合金からなるものであり、また、図2(b)に示すように、内部に空洞を有するように構成されている。即ち、中空構造を有している。
【0029】
次に、このような本実施形態におけるメインロータブレード5aの製造方法について図3を用いて説明する。尚、図3において、紙面上側を上方とし、紙面下側を下方とする。
本実施形態のメインロータブレード5aは、円筒状のアルミ合金管10をもとにして製造されるものである。
【0030】
図3には、アルミ合金管10の側断面を示しており、そのアルミ合金管10は、紙面の表裏方向に翼長A(図2参照)と同じ長さを有する。また、アルミ合金管10の直径、及び肉厚は、例えば翼幅B(図2参照)に合わせて決定される。
【0031】
そして、本実施形態に係る製造方法では、図3に示すようなアルミ合金管10を、ロール成形により、断面が翼断面形になるように成形する。より具体的には、アルミ合金管10を図示しない送り装置により送り出しつつ、そのアルミ合金管10に上下方向から圧力を加えるとともにその圧力の大きさを調整する。これにより、アルミ合金管10を上下方向に押しつぶすようにして、翼型に成形する。尚、このような成形は、アルミ合金管10についての1回の送り動作で完了するようにしても良いし、複数回の送り動作を経て完了するようにしても良い。後者の場合、即ち、アルミ合金管10を、複数回の成形工程で徐々に翼型に成形するようにしても良い。
【0032】
図4は、本実施形態に係るメインロータブレード5aの重量特性を表した図である。
ここでは、異なる素材から作成した5種類のメインロータブレードを試料(1)〜(5)として用意し、その重量を比較した。試料(1),(2)が、本発明を適用した例(以下、それぞれ、発明適用例1,2とも記載する)であり、試料(3)〜(5)が比較例(以下、それぞれ、比較例1,2,3とも記載する)である。尚、試料(1)〜(5)のメインロータブレードにおいては、翼長Aが570mm、翼幅Bが50mmとなるように統一した。また、翼断面形も統一した。
【0033】
発明適用例1(試料(1))のメインロータブレードは、アルミ合金管10の肉厚tが0.8mmであるものを用いて作成したものであり、重量は130gであった。
発明適用例2(試料(2))のメインロータブレードは、アルミ合金管10の肉厚tが1.0mmであるものを用いて作成したものであり、重量は160gであった。
【0034】
比較例1(試料(3))のメインロータブレードは、アルミ合金の無垢材を用いたものである。つまり、アルミ合金を用いる点では発明適用例1,2と同一であるが、一方で中空構造を有しないように構成した。このような比較例1のメインロータブレードでは、重量は400gであった。
【0035】
比較例2(試料(4))のメインロータブレードは、従来より例えばラジコンヘリコプターの回転翼(メインロータブレード)の素材として主流となっているカーボンファイバーを用いたものである。このような比較例2のメインロータブレードでは、重量は120gであった。
【0036】
比較例3(試料(5))のメインロータブレードは、同じくラジコンヘリコプターの回転翼(メインロータブレード)の素材として主流となっている木材(バルサ材)を用いたものである。尚、比較例3のメインロータブレードは、被覆材としてのフィルムで全体が覆われているものである。このような比較例3のメインロータブレードでは、重量は140gであった。
【0037】
図4から分かるように、アルミ合金の無垢材を用いてメインロータブレード5aを構成しようとすれば(試料(3)参照)、重量の点で問題となることが分かる。つまり、メインロータブレード5aの素材として単にアルミ合金を採用しただけでは、重量が大きくなりすぎてしまい、ラジコンヘリコプター1の飛翔が難しくなるか、不可能となってしまう。
【0038】
この点、本実施形態では、円筒状のアルミ合金管10を成形することで、メインロータブレード5aを中空構造となるよう形成しており、図4の発明適用例1,2に示すように、全体の重量を大幅に低減させることができる。この結果、従来より主流となっている、例えば比較例2(試料(4))に示すようなカーボンファイバーからなるメインロータブレードや、比較例3(試料(5))に示すような木材(バルサ材)からなるメインロータブレードと比較しても、重量は同程度となっている。このため、例えばラジコンヘリコプター1のメインロータブレード5aとして、充分に適用可能である。勿論、ラジコンヘリコプター1のテールロータブレード6aとしても適用可能である。また、アルミ合金管10の成形により製造されることから、継ぎ目のない一層構造(一体構造)となり、強度も充分なものとなる。
【0039】
そして、本実施形態のメインロータブレード5aによれば、アルミ合金特有(金属特有)のリアル性(重量感や重厚感)が得られ、ラジコンヘリコプター1において、実機のヘリコプターに近いリアル性を得ることができるようになる。このため、ラジコンヘリコプター1にも実機に近いリアル性を求めるような、ラジコンヘリコプターの愛好家の要望を満たすことができる。
【0040】
また、本実施形態のメインロータブレード5aでは、もとから空洞状(筒状)であるアルミ合金管10が成形されるというごく簡単な構成で、前述のような中空構成、及び一層構造(一体構造)が実現されるため、製造工数や製造コストを抑えることが可能である。また、中空構造を有することから素材の使用量を抑えることができ、近年課題となっているCO2削減にも寄与することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図5を用いて説明する。
【0041】
本第2実施形態は、図5に示すように、アルミ合金管10を加工することでメインロータブレード5aを製造する点では第1実施形態と同様であるが、プレス加工によりメインロータブレード5aを製造するようにしている点で、ロール成形を用いている第1実施形態と異なる。
【0042】
即ち、本第2実施形態では、所望の寸法のアルミ合金管10を金型により塑性加工し、メインロータブレード5aを得るようにしている。アルミ合金管10をもとに塑性加工してメインロータブレード5aを製造することで、第1実施形態の場合と同様に、中空構造かつ一層構造(一体構造)のメインロータブレード5aを製造することができる。
【0043】
尚、第1実施形態のロール成形の場合と比較すれば、本第2実施形態のプレス加工の場合のほうが、そのプレス加工の特性上、より短時間でメインロータブレード5aを製造し得るようになる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について図6を用いて説明する。
【0044】
本第3実施形態では、図6に示すように、アルミ合金板11を成形して、メインロータブレード5aを製造するようにしている。
図6には、アルミ合金板11の側断面を示しており、そのアルミ合金板11は、紙面の表裏方向に翼長A(図2参照)と同じ長さを有する。アルミ合金板11の幅寸法は、翼幅B(図2参照)及び翼断面の外形の長さに合わせて決定される。
【0045】
そして、図6に示すようなアルミ合金板11を、ロール成形により、翼断面形に成形する。そして、翼断面形に成形した後、アルミ合金板11の長辺11a同士は、プレス加工により接着する。
【0046】
このような本第3実施形態によれば、第1実施形態と同様、中空構造のメインロータブレード5aを製造することができる。したがって、ラジコンヘリコプター1に適用可能なように軽量となり、しかもアルミ合金特有(金属特有)のリアル性(重量感や重厚感)が得られるメインロータブレード5aを提供することができる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内において種々の形態をとることができる。
例えば、上記実施形態では、ラジコンヘリコプター1の回転翼(メインロータブレード5a、テールロータブレード6a)の場合について説明したが、本発明は、模型回転翼航空機全般に適用できる。例えば、ジャイロプレーン、オートジャイロ、ジャイロダイン等における回転翼に適用することもできる。
【0048】
また、上記実施形態では、円筒状のアルミ合金管10をもとにメインロータブレード5aが製造される例について説明したが、アルミ合金管10は円筒状のものに限られない。例えば断面が四角状かつ筒状のアルミ合金管からメインロータブレード5aが製造されるようにしても良い。また、場合によっては、断面が三角状かつ筒状のアルミ合金管からメインロータブレード5aが製造されるようにしても良い。その他、例えば断面が台形であっても良いし、通常入手し得るようなものであれば、材料として使用し得る。
【0049】
また、上記実施形態では、メインロータブレード5aが製造される例について説明したが、テールロータブレード6aも同様に翼断面形を有するものであり、テールロータブレード6aの製造にも適用することができる。
【0050】
また、上記実施形態のメインロータブレード5aにおいて、熱処理を施すようにしても良い。熱処理により、例えば強度をより向上させることが可能である。
また、上記実施形態のメインロータブレード5aにおいて、メッキ処理を施すようにしても良い。メッキ処理により、例えば耐食性を向上させることができる。また、より滑らかで光沢のある仕上がり面を得ることができ、付加価値をつけることができる。また、仕上がり面を滑らかにできることから、回転時の翼回りの空気の流れが乱れてしまうようなことを防止でき、回転翼としての本来の機能を高めることができる。
【0051】
また、上記実施形態のメインロータブレード5aにおいて、表面を研磨したり、塗装を施したり、フィルムで表面を被覆したりするなどの処理を加えても良いことは勿論である。
【0052】
また、上記第1、第2実施形態において、長手方向の両端が閉じたような(内部が密閉されたような)アルミ合金管10を用いることも考えられる。この場合においては、加工の際にアルミ合金管10内部の空気が外部に抜けるように、アルミ合金管10の側面に微小の空気穴を設けておいてそのアルミ合金管10をメインロータブレード5aの形状に加工するようにしても良い。このようにすれば、内部の空気圧が過剰に上昇することが防止され、加工が容易になるとともに、内部からの過剰な空気圧によりメインロータブレード5aが変形してしまうようなことを防止することができる。ただ、内部の空気圧が上昇する場合のメリットも考えられる。この点については後述する。
【0053】
また、アルミ合金管10の側面に空気穴を設けることなくそのアルミ合金管10を低温下で加工することで、加工中に限ってはアルミ合金管10内部の空気圧の上昇を抑えるような方法も考えられる。このような方法によれば、加工中は内部の空気圧が過剰に上昇することが抑制され、加工が容易となる。尚、加工後、常温下に置いた場合には、低温から常温への温度上昇に伴って内部の空気圧が上昇することが考えられる。
【0054】
内部が密閉状態であるようなアルミ合金管10を用いるメリットとしては、以下のような点が考えられる。
具体的に、アルミ合金管10をメインロータブレード5aの形状に塑性加工した際、内部の体積が小さくなることで内部圧が上昇することが考えられるが、これにより、メインロータブレード5aの内部から外部に向かって圧力がかかるため、メインロータブレード5aにおいて、外部からの不要な圧力に対する耐性を持たせることができる。つまり、メインロータブレード5aの製造後に、そのメインロータブレード5aを不要に変形させるような力が外部から加わったとしても、内部からの空気圧のおかげで、容易には変形しないようにすることができる。また、外部からの不要な力によって仮にメインロータブレード5aの一部がへこんでしまったような場合でも、内部からの空気圧が復帰力として働き、へこんだ部分が元の正常な形状に戻るようなことも考えられる。尚、この場合においても、メインロータブレード5aについて、熱処理やメッキ処理などを施しても良い。また、表面を研磨したり、塗装を施したり、フィルムで表面を被覆したりするなどの処理を加えても良い。
【0055】
また、上記実施形態において、メインロータブレード5aの製造後に、そのメインロータブレード5aの長手方向の両端をふさぐなどして中空部分を密閉構造としつつ、かつその中空部分の空気圧を高めるような工程を加えても良い。
【符号の説明】
【0056】
1…ラジコンヘリコプター、2…機体、3…脚部、4…テールパイプ、5…メインロータ、5a…メインロータブレード、6…テールロータ、6a…テールロータブレード、7…尾翼、8…出力軸、9…回転軸、10…アルミ合金管、11…アルミ合金板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
模型回転翼航空機の回転翼であって、
所望の寸法で細長状のアルミ合金管が、長手方向の一端から見た断面が翼断面形を有する形状に成形されてなるものであることを特徴とする回転翼。
【請求項2】
模型回転翼航空機の回転翼であって、
アルミ合金からなる所望の寸法の長方形状板が、長手方向の一端から見た断面が翼断面形を有するように筒状に成形されるとともに長辺部同士が接着されてなるものであることを特徴とする回転翼。
【請求項3】
模型回転翼航空機の回転翼の製造方法であって、
所望の寸法で細長状のアルミ合金管を、長手方向の一端から見た断面が翼断面形を有するように成形して前記回転翼となすことを特徴とする製造方法。
【請求項4】
模型回転翼航空機の回転翼の製造方法であって、
アルミ合金からなる所望の寸法の長方形状板を、長手方向の一端から見た断面が翼断面形を有するように筒状に成形するとともに長辺部同士を接着することによって前記回転翼となすことを特徴とする製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−201999(P2010−201999A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47899(P2009−47899)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【特許番号】特許第4402160号(P4402160)
【特許公報発行日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(309000037)
【Fターム(参考)】