説明

模様形成方法

【課題】形成される模様の自由度が高く、斬新な凹凸模様面が得られ、かつ廃棄物削減にも寄与できる模様形成方法を提供する。
【解決手段】水性樹脂及び粉粒体を必須成分とし、前記粉粒体が塗材中に30〜80重量%含まれ、塗材の固形分が50〜95重量%、粘度が50〜1500Pa・s、チクソトロピーインデックスが3.0以上である塗材を、平均膜厚が0.5〜15mmとなるように基材に塗装した後、塗材が未乾燥のうちに、塗材の平均膜厚に対し0.5倍以上の幅を有する押圧具を用いて塗膜を押圧し凹凸模様を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物内外装面等における模様形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物内外装面等に対し塗装によって種々の凹凸模様を形成する方法が提案されている。例えば、樹脂発泡体等からなる目地材または型紙を被塗面に貼り付けた上から、合成樹脂エマルション等の結合材と着色材や骨材等を含有させた仕上塗材を塗付した後、目地材を除去する方法がある(特許文献1等)。このような方法では、陶磁器タイル調、レンガ調等の格子状の目地模様を形成することができる。
【0003】
しかしながら、特許文献1等に記載の工法において、目地材を使用する場合は形成される模様が直線を基本とするものに限定されてしまい、型紙を使用する場合は決められた形状の繰り返しになってしまう等、模様の自由度には限界がある。また、特許文献1等に記載の工法において、一度使用した目地材や型紙は再利用が難しいため、廃棄せざるを得ないというのが現状であり、廃棄物削減の見地からはあまり好ましいものではない。
【0004】
【特許文献1】特開平10−266517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような問題点に鑑みなされたものであり、形成される模様の自由度が高く、斬新な凹凸模様面が得られ、かつ廃棄物削減にも寄与できる模様形成方法を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、特定塗材を塗装した後、その未乾燥塗膜に対し特定押圧具を用いて模様を形成する方法に想到し、本発明を完成させるに到った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.水性樹脂及び粉粒体を必須成分とし、前記粉粒体が塗材中に30〜80重量%含まれ、塗材の固形分が50〜95重量%、粘度が50〜1500Pa・s、チクソトロピーインデックスが3.0以上である塗材を、平均膜厚が0.5〜15mmとなるように基材に塗装した後、
塗材が未乾燥のうちに、塗材の平均膜厚に対し0.5倍以上の幅を有する押圧具を用いて塗膜を押圧し凹凸模様を形成することを特徴とする模様形成方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、形成される模様の自由度が高く、斬新な凹凸模様面を得ることができる。さらに本発明は、従来の工法とは異なり目地材を使用しないため、廃棄物削減にも寄与できるものである。
【0009】
具体的に本発明では、特定の粉粒体構成、塗材固形分及び粘性を有する塗材を使用し、その塗材の未乾燥塗膜に対して、特定の幅を有する押圧具を用いて塗膜を押圧する。このような方法によれば、まず、押圧時に押圧具の形状に対応する凹部が形成されるとともに、押圧部周辺の塗材が適度に盛り上がる。押圧具を塗材から引き離す際には、押圧具に塗材が付着しにくく、さらに押圧によって得られた塗膜形状が形崩れせず、押圧後においてもその形状が保持される。そのため、凹部(押圧部)と凸部(非押圧部)との境界が明瞭となり、凹凸模様にメリハリが出てくるものである。
本発明では、押圧具の形状を適宜設定したり、また押圧のパターン等を種々変化させることにより、従来にはない斬新な凹凸模様面を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0011】
本発明の塗装方法は、主に建築物の内外装用として有用であり、内外壁、天井、床等を構成する各種基材表面に対して適用することができる。具体的にその基材としては、例えば、天然平板、合板等の木質基材、石膏ボード、コンクリート、モルタル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、石綿セメント板、ALC板、サイディング板、押出成形板、鋼板、プラスチック板等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、パテ、シーラー、サーフェーサー、フィラー等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや壁紙が貼り付けられたものでもよい。
【0012】
本発明では、上述の如き基材に対し、まず以下に示す塗材を塗装する。
【0013】
本発明で使用する塗材は、水性樹脂及び粉粒体を必須成分とするものである。このうち水性樹脂はバインダーとして作用するものであり、水分散性樹脂及び/または水溶性樹脂を使用することができる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル・酢酸ビニル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂、アクリル・シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0014】
このような水性樹脂は、塗膜形成時に架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。架橋反応性水性樹脂の使用によって、耐水性等の塗膜物性を高めることができる。具体的な架橋反応としては、例えばカルボキシル基と金属イオン、カルボキシル基とカルボジイミド基、カルボキシル基とエポキシ基、カルボキシル基とアジリジン基、カルボキシル基とオキサゾリン基、水酸基とイソシアネート基、カルボニル基とヒドラジド基、エポキシ基とヒドラジド基、エポキシ基とアミノ基、等の組み合わせが挙げられる。
【0015】
粉粒体としては、例えば、寒水石、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、タルク、バライト粉、珪砂、砂利、ガラスビーズ、樹脂ビーズ、金属粒、あるいは岩石、ガラス、陶磁器、貝殻、焼結体、コンクリート、モルタル、プラスチック、ゴム等の破砕品等の骨材が挙げられる。これらに着色を施したものも使用することができる。
【0016】
また、通常塗材に使用可能な着色顔料や体質顔料、中空粒子も粉粒体として使用することができる。
【0017】
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(ベンガラ)、黄色酸化鉄、酸化鉄、酸化珪素、群青、コバルトグリーン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化インジウム、アルミナ等の無機着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機着色顔料、パール顔料、アルミニウム顔料、蛍光顔料等が挙げられる。
【0018】
体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、カオリン、陶土、チャイナクレー、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土等が挙げられる。
【0019】
塗材における粉粒体の比率は、塗材中に通常30〜80重量%、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは50〜75重量%とする。塗材における粉粒体の混合量が30重量%より少ない場合は、押圧具に塗材が引っ付きやすくなり、また塗材が垂れやすくなるため、押圧時の塗膜形状が保持され難く、押圧による凹部形成が困難となる。粉粒体が80重量%より多い場合は、基材への塗着性、密着性等が損われやすくなる。
【0020】
このような粉粒体については、その30重量%以上(好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上)が粒子径1μm以上(好ましくは10μm以上、より好ましくは50μm以上)となるように粒度を調整することが望ましい。このような粒度調整によって、メリハリのある凹凸模様を確実に得ることができる。なお、粉粒体の粒子径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いてふるい分けを行い得られる値である。
【0021】
本発明における塗材は、上述の成分を常法により均一に混合して得ることができる。水性樹脂と粉粒体の混合比率は、粉粒体量が上記条件を満たす範囲内で適宜設定すればよいが、通常は水性樹脂の固形分100重量部に対し、粉粒体を200〜2000重量部(好ましくは300〜1500重量部)とすればよい。本発明における塗材では、透明性を有するバインダーを使用するため、粉粒体として着色骨材及び/または着色顔料を使用することにより、種々の色相を表出することができる。
【0022】
本発明における塗材においては、必要に応じ、増粘剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、造膜助剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、繊維、吸着剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等の各種添加剤を混合することもできる。また、水を適宜混合することもできる。
【0023】
塗材の固形分は、通常50〜95重量%(好ましくは60〜92重量%、より好ましくは65〜90重量%)である。このような高固形分に塗材を調製することにより、押圧により安定した模様が形成できる。また、塗膜肉痩せが抑制でき、立体的な意匠性を十分に表出することができる。塗材の固形分が低すぎる場合は、押圧による凹部形成が困難となり、明瞭な凹凸感が得られ難い。
【0024】
塗材の粘度は、通常50〜1500Pa・s、好ましくは100〜1000Pa・s、より好ましくは200〜800Pa・sである。また、塗材のチキソトロピーインデックス(TI値)は、通常3.0以上、好ましくは4.0〜8.0、より好ましくは5.0〜7.0である。塗材の粘度及びTI値をこのような範囲内に調製することにより、押圧時の作業性、押圧部の仕上り性等を高めることができる。塗材の粘度が低すぎる場合は、押圧により変化した塗膜形状が保持されず、凹部と凸部との境界が不明瞭となる。塗材の粘度が高すぎる場合は、押圧作業を効率的に行うことができない。塗材のTI値が低すぎる場合は、押圧具に塗材が引っ付きやすくなる。また、押圧により変化した塗膜形状が保持されず、凹部と凸部との境界が不明瞭となる。
なお、ここに言う粘度は、温度23℃において、BH型粘度計で測定した2rpmにおける粘度(2回転目の指針値)であり、TI値は、下記式により求められる値である。
<式> TI値=η1/η2
(式中、η1は2rpmにおける見掛けの粘度(Pa・s:2回転目の指針値)、η2は20rpmにおける見掛けの粘度(Pa・s:4回転目の指針値)を示す。測定温度は23℃。)
【0025】
本発明では、以上のような塗材を平均膜厚が0.5〜15mm(好ましくは1〜12mm)となるように基材に塗装する。塗材の平均膜厚が小さすぎる場合は、押圧による凹凸感が乏しくなる。塗材の平均膜厚が大きすぎると、乾燥性やコスト面等において不利となり、また基材への負荷が大きくなるおそれがある。
なお、本発明における塗膜の平均膜厚は、塗装直後の未乾燥塗膜における膜厚の平均値である。
【0026】
塗装方法としては、公知の方法を採用することができる。具体的には、吹付け塗装、ローラー塗装、刷毛塗り、コテ塗り等の方法を採用することができる。この際、ある程度塗膜厚みを変化させておいてもよい。また、塗装後、塗面をデザインローラー、刷毛、櫛、へら等で処理してもよい。
【0027】
次いで、塗材の塗装後、塗材が未乾燥のうちに、塗材の平均膜厚に対し0.5倍以上の幅を有する押圧具を用いて、塗膜を押圧する。本発明では、このような特定形状の押圧具を使用することにより、押圧時に押圧具の形状に対応する凹部が形成されるとともに、押圧部周辺の塗材が適度に盛り上がり、その塗材の形状は押圧後も保持される。このような作用により、凹部(押圧部)と凸部(非押圧部)との境界が明瞭となり、メリハリのある凹凸模様を得ることができる。なお、本発明における押圧具の幅とは、押圧具底面の短尺方向の寸法のことである。
【0028】
押圧具としては、塗材の平均膜厚に対し0.5倍以上の幅を有するものが使用できるが、その幅が1.0倍以上、さらには1.5倍以上の押圧具を使用すれば、凹凸模様のメリハリ感をいっそう際立たせることができる。押圧具の幅の上限は特に限定されないが、通常は塗材の平均膜厚に対し50倍以下の範囲内であればよい。
【0029】
押圧具の一例を図1に示す。
図1の押圧具では、本体Aに把手Bが取り付けられている。図1の押圧具において、把手Bは押圧作業を効率良く行う目的で取り付けられているが、本体Aのみで押圧が可能であれば把手Bは省略することもできる。
本体Aの幅10は塗材の平均膜厚よりも大きく設定されている。本体Aの底面は図2に示すような形状を有するものである。本体Aの材質は特に限定されず、例えば、プラスチック、木材、金属等が挙げられる。本体Aと塗材が接する部分には、必要に応じ離型剤等による処理を行っておいてもよい。
高さ11は、塗材の平均膜厚より大であることが望ましい。このような態様であれば、押圧部周辺の盛り上がりが適度なものとなる。
【0030】
押圧具の別の一例を図3に示す。図3の押圧具は、台形状の底面(図4)を有するもので、その幅は漸次的に変化している。このような押圧具の場合、少なくとも最大幅の部分(幅12)において、その幅が塗材の平均膜厚よりも大であればよいが、最少幅の部分(幅13)においても、その幅が塗材の平均膜厚よりも大であれば、より望ましい効果が得られる。また、押圧具の幅が変化している場合は、押圧部周辺の塗材の盛り上がりにも変化が生じるため、凹凸模様の境界部がいっそう明瞭なものとなる。
【0031】
この他、本発明では図5に示すような種々の形状の押圧具を使用することができる。
【0032】
押圧具によって塗膜を押圧するタイミングは、塗膜が未乾燥状態であり、押圧によって変形可能な時間内であればよい。塗膜最表面が乾燥した状態(指触乾燥の状態)であっても、塗膜の内部が未乾燥の状態(硬化乾燥前の状態)であれば、押圧は可能である。押圧は、本体Aを水、溶剤等に浸した後に行うこともできる。
【0033】
押圧を行った後は、そのまま塗膜を乾燥すればよい。乾燥は通常、常温(5〜40℃程度)で行えばよい。常温で乾燥を行う場合は通常、塗付後24時間以上の乾燥時間を設けることにより、硬化塗膜を形成することができる。なお、塗材の乾燥は、必要に応じ高温下で行うこともできる。
【0034】
本発明では、押圧具の形状を適宜設定したり、また押圧のパターン等を種々変化させることにより、従来にはない斬新な凹凸模様面を得ることができる。
【0035】
本発明では、垂直面であっても垂れ等が発生せず、明瞭な凹凸模様を得ることができる。そのため、本発明の方法は、とりわけ壁面等に対して好ましく適用できるものである。
【0036】
本発明では、塗材の乾燥後、必要に応じクリヤー塗料や撥水剤等を塗付することもできる。このうち、クリヤー塗料としては、例えばアクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、アクリルシリコン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料等が挙げられる。このようなクリヤー塗料は、艶消し剤の配合等によって艶の程度を調整することもできる。また、本発明の効果を阻害しない限り、着色を施すこともできる。撥水剤としては、アルコキシシラン化合物やシリコーン樹脂等を主成分とするもの等が使用できる。
このようなクリヤー塗料や撥水剤等を塗付する方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り等が採用できる。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
なお、塗材の製造においては以下の原料を使用した。
・樹脂:アクリル樹脂エマルション、固形分50重量%、最低造膜温度20℃)
・着色顔料:酸化チタン分散液(固形分70重量%、粒子径0.3μm)
・体質顔料:重質炭酸カルシウム(粒子径5〜10μm)
・骨材1:寒水石(粒子径0.1〜0.3mm)
・骨材2:着色珪砂(茶色・赤色・淡黄色の混合物、粒子径0.1〜0.2mm)
・骨材3:天然雲母(粒子径0.8〜1.2mm)
・骨材4:貝殻片(粒子径2〜4mm)
・造膜助剤1:2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート
・造膜助剤2:エチレングリコールモノブチルエーテル
・増粘剤1:セルロース系増粘剤(固形分100重量%)
・増粘剤2:ポリウレタン系増粘剤(固形分50重量%)
・消泡剤:シリコーン系消泡剤(固形分50重量%)
【0038】
(実施例1)
樹脂200重量部に対し、着色顔料を40重量部、体質顔料を150重量部、骨材1を280重量部、造膜助剤1を14重量部、水を60重量部、増粘剤1を5重量部、消泡剤を3重量部常法により均一に混合して塗材1を製造した。この塗材1において、塗材中の粉粒体比率は61重量%、固形分は75重量%、粘度は500Pa・s、TI値は5.5であった。
【0039】
予めシーラー塗装が施されたスレート板(90×90cm)に対し、塗材1をコテ塗りした。このとき、未乾燥塗膜の平均膜厚(10箇所の平均値を算出)は5mmであった。次いで、図3に示す形状の押圧具(幅10〜30mm、高さ30mm、長さ200mm)を用いて、未乾燥塗膜の表面を連続的に押圧し、図6に示すパターンを形成させた。24時間乾燥後、その仕上り性を確認したところ、押圧部と非押圧部との境界が明瞭で、メリハリのある凹凸模様を得ることができた。なお、塗装作業及び乾燥は、すべて温度23℃・相対湿度50%下で行った。
【0040】
(実施例2)
樹脂200重量部に対し、骨材2を400重量部、骨材3を15重量部、骨材4を20重量部、造膜助剤1を10重量部、水を30重量部、増粘剤1を1重量部、消泡剤を3重量部常法により均一に混合して塗材2を製造した。この塗材2において、塗材中の粉粒体比率は64重量%、固形分は79重量%、粘度は350Pa・s、TI値は5.3であった。
塗材1に替えて塗材2を使用した以外は、実施例1と同様の方法で模様面を形成した。未乾燥塗膜の平均膜厚は6mmであった。実施例2では、押圧部と非押圧部との境界が明瞭で、メリハリのある凹凸模様を得ることができた。
【0041】
(比較例1)
樹脂200重量部に対し、着色顔料を40重量部、体質顔料を150重量部、骨材1を280重量部、造膜助剤1を4重量部、造膜助剤2を10重量部、水を60重量部、増粘剤2を6重量部、消泡剤を3重量部常法により均一に混合して塗材3を製造した。この塗材3において、塗材中の粉粒体比率は61重量%、固形分は75重量%、粘度は100Pa・s、TI値は2.8であった。
塗材1に替えて塗材3を使用した以外は、実施例1と同様の方法で模様面を形成した。未乾燥塗膜の平均膜厚は5mmであった。比較例1では、押圧部と非押圧部との境界が形崩れしてしまった。
【0042】
(比較例2)
樹脂200重量部に対し、着色顔料を40重量部、体質顔料を150重量部、骨材1を280重量部、造膜助剤2を14重量部、水を60重量部、増粘剤1を1重量部、消泡剤を3重量部常法により均一に混合して塗材4を製造した。この塗材4において、塗材中の粉粒体比率は61重量%、固形分は75重量%、粘度は45Pa・s、TI値は3.6であった。
塗材1に替えて塗材4を使用した以外は、実施例1と同様の方法で模様面を形成した。未乾燥塗膜の平均膜厚は5mmであった。比較例2では、押圧部と非押圧部との境界が形崩れしてしまった。
【0043】
(比較例3)
押圧具として、幅2mm、高さ30mm、長さ200mmの直方体の形状からなるものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で模様面を形成した。未乾燥塗膜の平均膜厚は5mmであった。比較例3では、実施例1のような明瞭な凹凸模様は得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】押圧具の一例を示す図である。
【図2】押圧具(図1)の底面を示す図である。
【図3】押圧具の別の一例を示す図である。
【図4】押圧具(図3)の底面を示す図である。
【図5】押圧具の別の一例を示す図(底面図)である。
【図6】本発明による模様面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
A:本体
B:把手
10:幅
11:高さ
12:幅
13:幅
14:高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性樹脂及び粉粒体を必須成分とし、前記粉粒体が塗材中に30〜80重量%含まれ、塗材の固形分が50〜95重量%、粘度が50〜1500Pa・s、チクソトロピーインデックスが3.0以上である塗材を、平均膜厚が0.5〜15mmとなるように基材に塗装した後、
塗材が未乾燥のうちに、塗材の平均膜厚に対し0.5倍以上の幅を有する押圧具を用いて塗膜を押圧し凹凸模様を形成することを特徴とする模様形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−334525(P2006−334525A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−163341(P2005−163341)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000180287)エスケー化研株式会社 (227)
【Fターム(参考)】