説明

横形製袋充填機におけるエンドシール部のしわ取り装置

【課題】エンドシール時に発生するフィルムのしわを良好に防止できる装置を提供する。
【解決手段】挟持部材14は、フィルム搬送路と交差する両外側方から内方に向けて移動し、シールバー1,2によるエンドシール動作によって所定量押し潰された筒状フィルム5の両側縁部をシールバー1,2を挟む前後位置でフィルム当接部19により挟持して外側方に向けて引っ張る。押え部材4は、筒状フィルム5をシールバー1,2で挟持する際にシールバー1,2を挟む前後位置において筒状フィルム5のエンドシール位置に近接した位置で筒状フィルム5の幅方向中央部を所定範囲に亘って挟む第1押え部6と、その第1押え部6の両側において第1押え部6による筒状フィルム5の押え位置からフィルム搬送方向に向けて離間し、シールバー1,2の側面との間に挟持部材14による挟持部位を含む空所Sを設けて筒状フィルム5の幅方向両側を挟む第2押え部7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状に製袋した筒状フィルム中に物品を所定間隔毎に送り込んで包装を行なう横形製袋充填機において、筒状フィルムにエンドシールを施す際にしわの発生を防止するしわ取り装置の改良技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
横形製袋充填機でエンドシールするに際してフィルムのしわの発生を防止するものとして、特許文献1に係る装置では、エンドシール機構における上下シール部材によって筒状フィルムをヒートシールする直前に、シール部材の両側に配設されたフィルム矯正部材が、筒状フィルムと接触して筒状フィルムのしわを取り除くようにしている。又、特許文献2に係る装置では、上下のエンドシーラで包装用フィルムを挟持する前にエンドシールされる部分の両側の縁部を挟持し、次いで、該縁部を外方に引っ張った状態でエンドシーラによりフィルムをシールするようにしている。
【0003】
例えば、あられ類やピーナッツ等の豆菓子類を小袋に小分け包装した物品、或いは、1枚又は数枚単位のせんべいなどを袋で個包装したもの等、それらの物品を複数個単位でトレー内に収容した集合物品として横形製袋充填機でピロー包装することが行なわれている。このような集合物品のように、袋幅が大きな寸法に設定された包装部では、上記のいずれの方式を採用しても、エンドシール時に発生するフィルムのしわを袋幅全体に亘って防止することが困難なことが多く、特に袋幅方向の左右で内容物の上方の膨らみが異なる場合等においてしわの防止が一層困難なものとなっていた。それにより袋のシール不良を誘発して密封性が低下し或いは包装の見栄えを損ねて商品価値を低下させる等、包装不良品を発生させる一要因となっていた。
【特許文献1】特開2004−238042号公報
【特許文献2】特公平2−30926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記した従来の問題点に鑑み、特に袋幅が大きな寸法のもので袋内に収容された物品上方の膨らみが左右異なる場合その他で従来ではしわの発生を防止することが困難であった物品の包装にあっても、エンドシール時に発生するフィルムのしわを良好に防止できる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明にかかる横形製袋充填機のエンドシール部のしわ取り装置は、筒状フィルム5中に供給された物品を挟む前後位置で、該筒状フィルム5を挟持して下流側に向けて移動しつつ筒状フィルム5にエンドシールを施す一対のシールバー1,2を備え、挟持部材14と押え部材4とで構成されている。挟持部材14は、フィルム搬送路と交差する両外側方から内方に向けて移動し、前記シールバー1,2によるエンドシール動作によって所定量押し潰された筒状フィルム5の両側縁部をシールバー1,2を挟む前後位置でフィルム当接部19により挟持して外側方に向けて引っ張る。押え部材4は、前記筒状フィルム5をシールバー1,2で挟持する際にシールバー1,2を挟む前後位置において筒状フィルム5のエンドシール位置に近接した位置で該筒状フィルム5の幅方向中央部を所定範囲に亘って挟む第1押え部6と、その第1押え部6の両側であって該第1押え部6による筒状フィルム5の押え位置からフィルム搬送方向に向けて離間し、シールバー1,2の側面との間に前記挟持部材14のフィルム当接部19による挟持部位を含む空所Sを設けて筒状フィルム5の幅方向両側を挟む第2押え部7とを備えている。
【0006】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記挟持部材14はそのフィルム当接部19を支持する弾性変形可能な指部20を有している。
請求項1又は請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記挟持部材14のフィルム当接部19は弾性部材からなり、挟持部材14は筒状フィルム5をそのフィルム当接部19で挟持して横滑りしつつ引っ張るようにしている。
【0007】
請求項1〜3のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項4の発明にかかる押え部材4において、第2押え部7は第1押え部6の左右両端部から筒状フィルム5の幅方向両側縁部に向けてシールバー1,2から離間する傾斜状に延在するように形成している。
【0008】
請求項1〜4のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項5の発明において、前記押え部材4の第2押え部7は筒状フィルム5の挟み込み間隔が筒状フィルム5の幅方向側縁部に向けて広がるように設定した押え面9を備えている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、第1押え部6で筒状フィルム5の幅方向中央部のしわの発生を防止し、又、第1押え部6による押え位置よりシールバー1,2から離間した部位を第2押え部7で押さえることにより、エンドシール位置から筒状フィルム5に収容された物品の前後両端部までの所定領域について筒状フィルム5を両側から挟入で押し拡げた状態とし、シールバー1,2で筒状フィルム5を挟持した際にも第1押え部6及び第2押え部7では筒状フィルム5が挟持されることなく一対の押え部材4の相互には所定の隙間Gが形成されるので、筒状フィルム5を挟持部材14で挟持して引っ張る効果を最大限に得ることができる。従って、袋幅が大きな寸法となる物品の包装にあっても、エンドシール時に発生するフィルムのしわを袋幅全体に亘ってなくし、包装の見栄えを損ねることなく、良好な包装状態とすることができる。特に、袋幅の左右で高さが異なる等で上方の膨らみが不均一な物品の包装への適用効果が大である。
【0010】
請求項2の発明では、挟持部材14で筒状フィルム5を挟持する際に指部20が弾性変形するため、挟持部位の上下厚のバラツキや左右の挟持厚の違いに対応して挟持部材14の指部20が筒状フィルム5になじんで確実に筒状フィルム5の側縁部を挟持でき、筒状フィルム5のしわの発生を一層良好に防止することができる。
【0011】
請求項3の発明では、挟持部材14で筒状フィルム5を挟持した際に、そのフィルム当接部19の弾性部材を筒状フィルム5の表面で横滑りさせるようにしても筒状フィルム5を傷付けることがなく、筒状フィルム5との適度な摩擦力によって筒状フィルム5を伸ばすようにしてより良好にしわの発生を防止することができる。
【0012】
請求項4の発明では、第1押え部6と第2押え部7とからなる押え部材4を一つの簡単な構成部材にすることができるとともに、シールバー1,2と第2押え部7との間の空所Sを略平面状に張った状態としてしわの発生を良好に防止することができる。
【0013】
請求項5の発明では、押え部材4の第2押え部7により筒状フィルム5を幅方向に向けてフラットに押えないで隙間Gの広がりにより筒状フィルム5の幅方向両側でその押えを緩めるので、筒状フィルム5の側縁部を挟持して外側方へ引っ張る際に筒状フィルム5の側縁部のしわ伸ばしを確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
横形製袋充填機においては、フィルムロールから引き出された帯状フィルムが筒状フィルムとして成形された後にその筒状フィルムにセンタシールが施され、又、その筒状フィルム中に物品が所定間隔毎に供給され、その筒状フィルム5が物品とともに図1(a)(b)に示すエンドシール装置まで送られてくるのに合わせて、上下のシールバー1,2が互いに同期して昇降するとともに筒状フィルム5の搬送方向に沿って進退する所謂ボックスモーション運動を行って、筒状フィルム5中の物品を挟む前後位置を順次上下のシールバー1,2で挟持して下流側へ移動しつつ、筒状フィルム5の搬送方向に対し交差する方向となる筒状フィルム5の幅方向に向けてエンドシールを施すとともにカッターにより筒状フィルムを切断し、ピロー包装品を得るようになっている。
【0015】
図2(a)(b)及び図2(c)(d)に示すように、筒状フィルム5の搬送方向上流側と下流側となる両側面夫々に取着された板状の押え部材4は、筒状フィルム5の幅方向中央部でシールバー1,2による筒状フィルム5のエンドシール位置に近接する位置を幅方向へ直線状に押えるように延在する第1押え部6と、その第1押え部6の両端部から一体的に折曲され、筒状フィルム5の幅方向両側縁部に向うに従いシールバー1,2からフィルム搬送方向に向けて次第に離間するよう傾斜して直線状に延び、前記筒状フィルム5の幅方向両側を押える第2押え部7とを有している。第2押え部7とシールバー1,2との間には空所Sが形成され、空所Sは上下方向及び外側方へ開放されている。上下のシールバー1,2で筒状フィルム5を挟持した際に、上下一対の押え部材4において、第1押え部6の押え面8はシールバー1,2に隣接して互いに平行に延出してそれらの間に所定の隙間Gが形成されているとともに、第2押え部7の押え面9は、それらの間の挟み込み間隔の隙間Gが筒状フィルム5の幅方向の外側方に向かうに従い次第に広がるように直線状に傾斜して配置されるよう形成されている。又、上下一対の押え部材4は、筒状フィルム5を前記対向隙間Gで挟み込んだ時に筒状フィルム5の幅方向両側縁部間の略全域を押えることが可能な寸法に設定されており、その時の筒状フィルム5の幅寸法より僅かに小さいかそれ以上の長さに設定されていることが好ましい。
【0016】
前記筒状フィルム5の搬送路の左右となる外側方において、前記上下のシールバー1,2が筒状フィルム5の搬送方向前後に進退移動するのと一体で進退移動可能に夫々配設された固定台10に対し幅方向へ移動可能に支持された一対の可動軸11の内端部には可動台12が取着され、その可動台12にはシールバー1,2の上流側と下流側とにおける幅方向両側に配設された上下一対の挟持部材14を有する挟持手段13とその挟持部材14を開閉動させる作動手段としてのエアシリンダ15とが取り付けられている。この挟持手段13においては、支軸16を中心に上下方向へ回動可能に支持された上下一対の開閉板17に夫々前記挟持部材14が取着され、上下の開閉板17が挟持部材14とともにねじりコイルばね18の付勢力により上下方向へ開くようになっている。各挟持部材14においては、板ばねなどからなる弾性変形可能な指部20の先端部に、クッションゴムなどの弾性部材からなるフィルム当接部19が着脱交換可能に取着されている。前記エアシリンダ15には両開閉板17間に対し進退移動する円錐状の頭部21が設けられ、図2(b)に示すようにその頭部21が両開閉板17間から後退して挟持部材14が開いた状態から図3(b)に示すように頭部21が両開閉板17間を前進すると、ねじりコイルばね18の付勢力に抗して上下の開閉板17が挟持部材14とともに互いに閉じるようになっている。前記可動台12は挟持手段13及びエアシリンダ15とともに引張コイルばね22の付勢力により前進し、この可動台12に連結された操作ワイヤ23が図示しない 引張機構によって引かれると、引張コイルばね22の付勢力に抗して可動台12が挟持手段13及びエアシリンダ15とともに後退するようになっている。
【0017】
なお、エアシリンダ15の作動を制御することによって挟持手段13による筒状フィルム5の挟持タイミングは必要に応じて変更設定可能である。
図1(a)に示すようにシールバー1,2の上流側と下流側とにおける筒状フィルム5の搬送路を挟む両側で後退位置にある上下一対の挟持部材14が、図1(b)に示すエンドシール動作に連動して、前記押え部材4によって形成された空所Sに向けて前進した後に、図3(a)に示すように上下のシールバー1,2により筒状フィルム5を挟持する直前に上下の挟持部材14における指部20に設けたフィルム当接部19で筒状フィルム5の幅方向両側縁部を挟持して、挟持部材14を外側方へ引っ張る。その際に、フィルム当接部19の弾性部材が筒状フィルム5の表面と適度な摩擦力をもって引張方向の挟持位置を変化させて外側方へ引っ張る。上下のシールバー1,2が相互に近接して上下の押え部材4が筒状フィルム5を挟み込む際には、筒状フィルム5は前記押え部材4の第1押え部6と第2押え部7との夫々の押え面8,9により筒状フィルム5が張られた状態で挟み込まれる。次に、図3(c)に示すように、上下のシールバー1,2により筒状フィルム5を挟持した直後に上下の挟持部材14のフィルム当接部19が筒状フィルム5の幅方向両側縁部を離す。上下のシールバー1,2が筒状フィルム5を挟持しても筒状フィルム5が上下の押え部材4間の隙間Gに保持されるように構成されているので、挟持部材14での引張作用はシールバー1,2で筒状フィルム5を挟持する寸前まで得ることができ、シール時には筒状フィルム5を常に展張した状態に保持できる。なお、上下の押え部材4において、第1押え部6は筒状フィルム5の幅方向中央部でエンドシール部に近接した位置を押え、第2押え部7は筒状フィルム5の幅方向両側で第1押え部6よりシールバー1,2からフィルム搬送方向に沿う方向へ離間する位置を押えるようにして筒状フィルム5を上下から挟み込む。従って、袋幅が大きく包装が求められる物品の包装にあっても、エンドシール時に発生するフィルムのしわを袋幅全体に亘ってなくし、包装の見栄えを損ねることなく、良好な包装状態とすることができる。
【0018】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 押え部材4においては、第1押え部6と第2押え部7とを一体的に設けたが、それらを互いに分割して配置してもよい。
【0019】
・ 押え部材4においては、第2押え部7を第1押え部6から延出させて傾斜させることなく第1押え部6と平行に直線状に設けてシールバー1,2と第2押え部7との間に空所Sを設けてもよい。
【0020】
・ 挟持部材14の進退と挟持部材14の開閉動とを共通の駆動源によって連動させるようにしてもよい。
・ 挟持手段13を筒状フィルム5に対し進退動する構成は、実施形態のワイヤ作動方式に代えてエアシリンダやモータによる作動方式その他各種の方式を採用することができる。
【0021】
・ 押え部材4においては、上下の第2押え部7の押え面9を上下方向へ傾斜させることなく互いに平行に直線状に設けてそれらの押え面9間の隙間Gを上下の第1押え部6の押え面8間の隙間Gから同一寸法で連続させて設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)はしわ取り装置を採用したエンドシール装置を示す部分正面図、(b)は同じく部分側面図。
【図2】(a)はシールバーの噛合い途中状態を示す部分正面図、(b)は(a)の部分拡大正面図、(c)は同じく部分平面図、(d)は(c)の部分拡大平面図。
【図3】(a)はシールバーの噛合い完了直前状態を示す部分正面図、(b)は(a)の部分拡大正面図、(c)は同じく噛合い完了状態を示す部分正面図、(d)は(c)の部分拡大正面図。
【符号の説明】
【0023】
1,2…シールバー、4…押え部材、5…筒状フィルム、6…第1押え部、7…第2押え部、14…挟持部材、19…フィルム当接部、20…指部、S…空所、G…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状フィルム中に供給された物品を挟む前後位置で、該筒状フィルムを挟持して下流側に向けて移動しつつ筒状フィルムにエンドシールを施す一対のシールバーを備えた横形製袋充填機において、
フィルム搬送路と交差する両外側方から内方に向けて移動し、前記シールバーによるエンドシール動作によって所定量押し潰された筒状フィルムの両側縁部をシールバーを挟む前後位置でフィルム当接部により挟持して外側方に向けて引っ張る挟持部材と、
前記筒状フィルムをシールバーで挟持する際にシールバーを挟む前後位置において筒状フィルムのエンドシール位置に近接した位置で該筒状フィルムの幅方向中央部を所定範囲に亘って挟む第1押え部と、その第1押え部の両側であって該第1押え部による筒状フィルムの押え位置からフィルム搬送方向に向けて離間し、シールバーの側面との間に前記挟持部材のフィルム当接部による挟持部位を含む空所を設けて筒状フィルムの幅方向両側を挟む第2押え部とを備えた押え部材と
から構成した横形製袋充填機におけるエンドシール部のしわ取り装置。
【請求項2】
前記挟持部材はそのフィルム当接部を支持する弾性変形可能な指部を有する請求項1に記載の横形製袋充填機におけるエンドシール部のしわ取り装置。
【請求項3】
前記挟持部材のフィルム当接部は弾性部材からなり、挟持部材は筒状フィルムをそのフィルム当接部で挟持して横滑りしつつ引っ張るようにした請求項1又は請求項2に記載の横形製袋充填機におけるエンドシール部のしわ取り装置。
【請求項4】
前記押え部材において第2押え部は第1押え部の左右両端部から筒状フィルムの幅方向両側縁部に向けてシールバーから離間する傾斜状に延在するように形成した請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の横形製袋充填機におけるエンドシール部のしわ取り装置。
【請求項5】
前記押え部材の第2押え部は筒状フィルムの挟み込み間隔が筒状フィルムの幅方向側縁部に向けて広がるように設定した押え面を備えた請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の横形製袋充填機におけるエンドシール部のしわ取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−6455(P2010−6455A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171127(P2008−171127)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】