説明

横断防止柵

【課題】ビームが凸凹しないように見えるように取り付けることができ、かつビームの交換も容易に行える横断防止柵を提供する。
【解決手段】地面に一定の間隔で立設される複数本の支柱6−2と、隣り合う支柱6に両端部が固定されるパイプ状のビーム7とでなる横断防止柵である。支柱6−2にジョイント嵌合穴6cを形成し、このジョイント嵌合穴6cに、左右位置のビーム7の中心穴7aにそれぞれ挿入する四角ジョイント8を左右方向にスライド可能に嵌合する。左右位置のビーム7の端部に形成したねじ挿通長穴7bにねじ12をそれぞれ挿通させ、四角ジョイント8に形成した雌ねじ8aにそれぞれねじ込むことで、ジョイント嵌合穴6cに嵌合した四角ジョイント8に、左右位置のビーム7の端部をそれぞれ固定するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横断防止柵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図8(a)のように、道路や公園等で、歩行者の横断を防止するための横断防止柵20を設置したものがある(特許文献1参照)。また、図8(b)のように、道路の車線の横断を防止するための横断防止柵21を設置したものもある(特許文献2参照)。
【0003】
このような横断防止柵20,21は、一般的には、地面に所定の間隔で立てた複数本の支柱22の上部に跨って、歩行者が跨ぎにくい高さのビーム(横梁)23を取り付けたものである。
【0004】
このようなビーム23は、自動車等が接触すると曲がって変形することから、交換できるように取り付ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−13112号公報
【特許文献2】特開2001−81746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば2m程度の長さのビーム23の端部は、通常、支柱22の上部にねじ止めするブラケットで押さえ込んで取り付けるものが多い。このため、横断防止柵を長い距離(数10m〜数100m)で設置すると、ブラケットの出っ張りで、ビーム23が2m毎に凸凹するように見えるので、景観上の観点から改善が要望されている。
【0007】
本発明は、前記要望に応えるためになされたもので、ビームが凸凹しないように見えるように取り付けることができ、かつビームの交換も容易に行える横断防止柵を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、地面に一定の間隔で立設される複数本の支柱と、隣り合う支柱に両端部が固定されるパイプ状のビームとでなる横断防止柵において、前記支柱にジョイント嵌合穴が形成され、このジョイント嵌合穴に、左右位置のビームの中心穴にそれぞれ挿入されるジョイントが左右方向にスライド可能に嵌合される一方、前記左右位置のビームの端部に形成されたねじ挿通穴にねじをそれぞれ挿通させ、前記ジョイントに形成された雌ねじにそれぞれねじ込むことで、前記ジョイント嵌合穴に嵌合させたジョイントに、左右位置のビームの端部をそれぞれ固定することを特徴とする横断防止柵を提供するものである。
【0009】
前記ジョイント嵌合穴とジョイントは相対的に回転できない真円以外の形状であり、前記ビームの中心穴は円形状である構成とすることができる。
【0010】
前記ビームのねじ挿通穴は、ジョイントをスライド操作したときに、ジョイントの端部が前記ジョイント嵌合穴に引っ掛かる長さに設定された長穴である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、支柱のジョイント嵌合穴にジョイントを嵌合させ、このジョイントに、左右位置のビームの中心穴をそれぞれ挿入する。その後、左右位置のビームの端部のねじ挿通穴にねじをそれぞれ挿通させ、ジョイントの雌ねじにそれぞれねじ込むことで、ジョイント嵌合穴に嵌合させたジョイントに、左右位置のビームの端部をねじでそれぞれ固定する。これにより、ビームの端部に従来のブラケットのような出っ張りが無いことから、凸凹しないように見えるように取り付けることができるので、景観が損なわれなくなる。
【0012】
また、交換時に、交換するビームを取り外す際は、ねじを外してジョイントをスライドさせれば、交換するビームの中心穴からジョイントが抜け出るので、隣り合う支柱の間から交換するビームを軸直交方向に取外すことができる。新品のビームは、逆の手順で、隣り合う支柱の間から取り付け直すことができる。このように、ビームの中心穴に挿入するジョイントによって左右位置のビームを連結することで、従来のブラケットのような出っ張り(凹凸)による景観が損なわれないようにしている構成であるにもかかわらず、隣り合う支柱の間からのビームの取り外し・取り付けが簡単に行えるから、メンテナンス性に優れるようになる。
【0013】
一方、ジョイント嵌合穴とジョイントを相対的に回転できない真円以外の形状、例えば多角形状とすれば、この部分でビームの回り止めができる。また、ジョイントが多角形状でビームの中心穴が円形状であれば、ねじでビームの端部をジョイントに固定するときに、ビームがジョイント側に引き寄せられて、中心穴の内面がジョイントの角部分に接触するので、ジョイントに対するビームのガタツキが防止できるようになる。
【0014】
また、ビームのねじ挿通穴を長穴とすれば、取り外すビーム側のねじを外し、取り外さないビーム側のねじを緩め、緩めたねじの頭を指等で押すことで、ジョイントを取り外さないビーム側にスライド操作する。すると、ジョイントの端部がジョイント嵌合穴に引っ掛かった位置で、緩めたねじが長穴の内縁部に当て止められるから、ジョイントは、交換するビームの中心穴からは抜け出るが、ジョイント嵌合穴で保持された状態であるから、交換しないビームは、このジョイントで落下しないように保持されるようになる。これにより、交換しないビームを手等で支えておく必要がないから、この点からもメンテナンス性に優れるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の横断防止柵であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図2】横断防止柵の側面断面図である。
【図3】(a)は図1(b)のA位置における支柱の上部の正面図、(b)は(a)の底面図である。
【図4】(a)は図1(b)のA位置におけるビームの交換時の支柱の上部の正面図、(b)は(a)の底面図である。
【図5】(a)は図1(b)のB位置における支柱の上部の正面図、(b)は(a)の底面図である。
【図6】(a)は支柱単体の上部の側面図、(b)は図3(a)のI−I線断面図である。
【図7】(a)は四角ジョイントの底面図、(b)は(a)の側面図、(c)はビームの要部底面図、(d)は端部ビームの底面図、(e)は変形例の支柱の上部の断面図、(f)は(e)の平面断面図である。
【図8】(a)(b)はそれぞれ背景技術の横断防止柵の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1の横断防止柵1は、図の右方向に適宜の長さ(数m〜数100m)で設置した横断防止柵1(R)の左端部と、図の左方向に適宜の長さ(数m〜数100m)で設置した横断防止柵1(L)の右端部との間に、ボラードと呼ばれる車止め用の空間Sが設けられた部分を示している。
【0017】
図2のように、車道2と縁石3で分離された歩道4の地面には、地中のコンクリート基礎で支持されて、歩道4に沿って一定の間隔(例えば2m)で複数本の支柱6が一定の高さ(例えば地上高さ750〜850mm)で略垂直状態に立設されている。図1では、左端の支柱を符号6−1とし、この支柱6−1の右側に隣り合う支柱を符号6−2として区別する。なお、支柱6−2の右側に隣り合う支柱(図示しないが符号6−3とする。)の図示は省略している。また、特に区別をする必要が無いときは、単に支柱6とする。
【0018】
支柱6は、図3(b)のように、平面視で略T字形状であり、縦壁部6aが車道2側で、車道2と直角な方向を向くとともに、横壁部6bが歩道4側で、歩道4と平行な方向を向くように立設されている。支柱6の上端部には、図3(a)のように、天板10が溶接固定されている。
【0019】
支柱6の縦壁部6aには、図6(a)のように、上下2本のビーム7の取り付け高さ位置(例えば700〜800mmと400〜500mm)に、多角形状(本例では四角形状)のジョイント嵌合穴6cがそれぞれ貫通形成されている。
【0020】
このジョイント嵌合穴6cには、図6(b)、図7(a)(b)のように、多角形(本例では四角形状)のジョイント(以下、四角ジョイントと称する。)8が左右方向にスライド可能に嵌合されている。なお、ジョイント嵌合穴6cとジョイント8は、多角形以外に、相対的に回転できない真円以外の形状であればよい。例えば、楕円形や半円形であってもよい。
【0021】
ビーム7は、外形が円形のパイプ状であり、ビーム7の中心穴7aは円形である。なお、ビーム7は、外形が多角形のパイプであってもよく、また、ビーム7の中心穴7aは、ジョイント8の形状に合致する多角形であってもよい。
【0022】
ビーム7の端部の中心穴7aは、支柱6の縦壁部6aのジョイント嵌合穴6cに嵌合された四角ジョイント8の端部に挿入されるようになる。
【0023】
ビーム7の端部には、取り付け時に底面となる位置に、図7(c)のように、軸方向に長い長穴であるねじ挿通長穴7bが形成されている。
【0024】
四角ジョイント8には、図7(a)(b)のように、ビーム7のねじ挿通長穴7bに対向する位置に、雌ねじ8aが形成されている。
【0025】
そして、支柱6−1と支柱6−2との間においては、ビーム7(L)の左右の端部の中心穴7aを、支柱6−1の縦壁部6aの四角ジョイント8の左端部と、支柱6−2の縦壁部6aの四角ジョイント8の右端部にそれぞれ挿入させる。その後、ビーム7(L)の左右の端部のねじ挿通長穴7bにねじ12をそれぞれ挿通させ、対応する四角ジョイント8の雌ねじ8aにそれぞれねじ込むことで、各四角ジョイント8に、ビーム7(L)の左右の端部がそれぞれ固定されるようになる。
【0026】
図3のように、支柱6−2とその右側に隣り合う支柱6−3(不図示)との間のビーム7(R)の左端部の中心穴7aを、支柱6―2の縦壁部6aの四角ジョイント8の右端部に挿入させる。また、ビーム7(R)の右端部の中心穴7aを、支柱6―3(不図示)の縦壁部6aの四角ジョイント8の左端部に挿入させる。その後、ビーム7(R)の左右の端部のねじ挿通長穴7bにねじ12をそれぞれ挿通させ、対応する四角ジョイント8の雌ねじ8aにそれぞれねじ込むことで、各四角ジョイント8に、ビーム7(R)の左右の端部が固定されるようになる。このようにして、支柱6−2の右側に設置された全ての支柱6−3,…の間にビーム7を取り付けることができる。
【0027】
図5のように、支柱6−1の四角ジョイント8の左部分にはビーム7が無いので、この四角ジョイント8の左端部に、カバーの役割をする図7(d)のような端部ビーム9を挿入する。そして、ねじ挿通穴9aにねじ12を挿通させ、四角ジョイント8の雌ねじ8aにねじ込むことで、四角ジョイント8の左端部に端部ビーム9が固定されるようになる。なお、ねじ挿通穴9aは長穴ではなく、丸穴である。
【0028】
支柱6等の各部品は、基本的には鉄やステンレスのような金属製が好ましいが、強度や耐久性があれば合成樹脂製であってもかまわない。
【0029】
次に、四角ジョイント8の長さとビーム7のねじ挿通長穴7bの長さとの関係を説明する。図3の状態から図4のように、例えば、交換のために取り外すビーム7(L)の右端部のねじ12を外し、取り外さないビーム7(R)の左端部のねじ12を少し緩める。
【0030】
そして、緩めたねじ12の頭を指等で右方Dに押すことで、四角ジョイント8を取り外さないビーム7(R)側にスライド操作する。
【0031】
このとき、四角ジョイント8の左端部8bが縦壁部6aのジョイント嵌合穴6cに引っ掛かった位置で、緩めたねじ12がねじ挿通長穴7bの内縁部7cに当て止められるように、四角ジョイント8の長さとビーム7のねじ挿通長穴7bの長さとを設定している。
【0032】
前記のような横断防止柵1であれば、支柱6−1,6−2の間において、支柱6−1,6−2の各縦壁部6aのジョイント嵌合穴6cに四角ジョイント8を嵌合させ、この四角ジョイント8の各端部に、左位置のビーム7(L)の左右の端部の中心穴7aをそれぞれ挿入する。その後、左位置のビーム7(L)の左右の端部のねじ挿通長穴7bにねじ12をそれぞれ挿通させ、四角ジョイント8の雌ねじ8aにそれぞれねじ込むことで、四角ジョイント8の各端部に、左位置のビーム7(L)の左右の端部をねじ12でそれぞれ固定する。
【0033】
また、支柱6−2とその右隣りの支柱6−3との間も同様にして、右位置のビーム7(R)を固定する。なお、支柱6−1の四角ジョイント8の左端部には、端部ビーム9をねじ12で固定する。
【0034】
これにより、ビーム7の端部に従来のブラケットのような出っ張りが無いことから、凸凹しないように見えるように取り付けることができるので、景観が損なわれなくなる。
【0035】
また、交換時に、変形等して交換するビーム7(L)を取り外す際は、図4のように、ビーム7(L)の右端部のねじ12を外し、ビーム7(R)の左端部のねじ12を少し緩める。この状態で、緩めたねじ12の頭を指等で押すことで四角ジョイント8を矢印D方向にスライドさせれば、交換するビーム7(L)の中心穴7aから四角ジョイント8の左端部が抜け出る。さらに、図5のように、ビーム7(L)の左端部のねじ12を外し、端部ビーム9とともに四角ジョイント8を矢印F方向にスライドさせて抜き取れば、交換するビーム7(L)の中心穴7aから四角ジョイント8の右端部が抜け出る。
【0036】
これにより、隣り合う支柱6−1,6−2の間から、交換するビーム7(L)を軸直交方向に取り外すことができる。新品のビーム7は、逆の手順で、隣り合う支柱6−1,6−2の間から取り付け直すことができる。
【0037】
なお、支柱6−2その右隣りの支柱6−3との間も同様にして、支柱6−2とその右隣りの支柱6−3との間から、交換するビーム7(R)を軸直交方向に取外すことができ、新品のビーム7は、逆の手順で、支柱6−2その右隣りの支柱6−3との間から取り付け直すことができる。
【0038】
このように、ビーム7の中心穴7aに挿入する四角ジョイント8によって左右位置のビーム7を連結する。これにより、従来のブラケットのような出っ張り(凹凸)による景観が損なわれないようにしている構成であるにもかかわらず、隣り合う支柱6の間からのビーム7の取り外し・取り付けが簡単に行えるから、メンテナンス性に優れるようになる。
【0039】
また、ジョイント嵌合穴6cと四角ジョイント8を多角形状とすれば、この部分でビーム7の回り止めができる。加えて、ビーム7の中心穴7aが円形状であれば、ねじ12でビーム7の端部を四角ジョイント8に固定するときに、ビーム7が四角ジョイント8側に引き寄せられて〔図6(b)の矢印G参照〕、中心穴7aの内面が四角ジョイント8の角部分に接触する。これにより、四角ジョイント8に対するビーム7のガタツキが防止できるようになる。
【0040】
さらに、ビーム7のねじ挿通長穴7bは、四角ジョイント8をスライド操作したときに、四角ジョイント8の端部がジョイント嵌合穴6cに引っ掛かる長さに設定した長穴である。したがって、取り外すビーム7側のねじ12を外し、取り外さないビーム7側のねじ12を少し緩め、緩めたねじ12の頭を指等で押すことで、四角ジョイント8を、取り外さないビーム7側にスライド操作する。
【0041】
すると、四角ジョイント8の端部が縦壁部6aのジョイント嵌合穴6cに引っ掛かった位置で、緩めたねじ12がねじ挿通長穴7bの内縁部に当て止められる。したがって、四角ジョイント8は、交換するビーム7の中心穴7aからは抜け出るが、ジョイント嵌合穴6cで保持された状態であるから、交換しないビーム7は、この四角ジョイント8で落下しないように保持されるようになる。これにより、交換しないビーム7を手等で支えておく必要がないから、この点からもメンテナンス性に優れるようになる。
【0042】
前記実施形態では、支柱6の縦壁部6aにジョイント嵌合穴6cを形成したが、図7(e)(f)のように、円筒状の支柱6にジョイント嵌合穴6cを形成し、このジョイント嵌合穴6cに四角ジョイント8をスライド可能の嵌合させることもできる。なお、支柱6は、円筒状に限らず、四角筒状等の多角筒状であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 横断防止柵
6 支柱
6a 縦壁部
6c ジョイント嵌合穴
7 ビーム
7a 中心穴
7b ねじ挿通長穴
8 四角ジョイント
8a 雌ねじ
12 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に一定の間隔で立設される複数本の支柱と、隣り合う支柱に両端部が固定されるパイプ状のビームとでなる横断防止柵において、
前記支柱にジョイント嵌合穴が形成され、このジョイント嵌合穴に、左右位置のビームの中心穴にそれぞれ挿入されるジョイントが左右方向にスライド可能に嵌合される一方、
前記左右位置のビームの端部に形成されたねじ挿通穴にねじをそれぞれ挿通させ、前記ジョイントに形成された雌ねじにそれぞれねじ込むことで、前記ジョイント嵌合穴に嵌合させたジョイントに、左右位置のビームの端部をそれぞれ固定することを特徴とする横断防止柵。
【請求項2】
前記ジョイント嵌合穴とジョイントは相対的に回転できない真円以外の形状であり、前記ビームの中心穴は円形状であることを特徴とする請求項1に記載の横断防止柵。
【請求項3】
前記ビームのねじ挿通穴は、ジョイントをスライド操作したときに、ジョイントの端部が前記ジョイント嵌合穴に引っ掛かる長さに設定された長穴であることを特徴とする請求項1または2に記載の横断防止柵。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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