横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ
【課題】スペーサとして積層柱を用いて、微小荷重域での変位量が大きく局所的な荷重に対しても十分な耐性を有し、セルギャップを一定に保つことができる横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを提供する。
【解決手段】基板上に、短辺および長辺を有する長方形状の開口部を備える遮光部と、開口部に形成された複数色の画素部着色部と、遮光部上に形成された複数色の非画素部着色部を有し、開口部の長辺方向に隣接する画素部着色部の色が同色である着色層と、遮光部上に形成され各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の積層柱と、積層柱を構成する非画素部着色部のうち最上層の非画素部着色部の厚みが0.4μm〜2.0μmの範囲内で、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅をw1、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅をwzとしたとき、0.2<wz/w1<0.6の関係を満たすこと。
【解決手段】基板上に、短辺および長辺を有する長方形状の開口部を備える遮光部と、開口部に形成された複数色の画素部着色部と、遮光部上に形成された複数色の非画素部着色部を有し、開口部の長辺方向に隣接する画素部着色部の色が同色である着色層と、遮光部上に形成され各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の積層柱と、積層柱を構成する非画素部着色部のうち最上層の非画素部着色部の厚みが0.4μm〜2.0μmの範囲内で、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅をw1、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅をwzとしたとき、0.2<wz/w1<0.6の関係を満たすこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサとして複数色の着色部が積層された積層柱を有する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置の動作モードには、対向する一対の透明基材に平行に配向した液晶分子を透明基材に対して垂直な方向に電界をかけ駆動するツイステッド・ネマティック(Twisted Nematic:TN)方式や、透明基材に対して平行な方向に電界をかける横電界駆動(In Plain Switching:IPS)方式等がある。このような液晶表示装置の動作モードの中でも、近年、液晶ディスプレイとした際に視野角が広いといった利点から液晶表示装置の動作モードとして、IPS方式が普及してきている。
【0003】
一般に、IPS方式用カラーフィルタは、基板上に遮光部、着色層、透明保護層およびスペーサが形成されたものである。このIPS方式用カラーフィルタでは、着色層の表面を平坦化するため、かつ、着色層から液晶層への汚染物質の溶出を防ぐため、通常、着色層上に透明保護層(オーバーコート層とも称する。)が形成される。
【0004】
従来、スペーサの形成方法としては、ガラス、アルミナ又はプラスチック等からなる一定サイズの球状又は棒状粒子を多数散在させる方法が用いられてきたが、スペーサとして粒子を散在させる方法では、スペーサの分布が偏り易い等の種々の問題点があった。
これら粒子状スペーサの問題点を解消する方法として、フォトレジストを用いてフォトリソグラフィー法によりフォトスペーサを形成する方法が開示されている。
また、スペーサとして、複数色の着色部が積層された積層柱を用いる方法も開示されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
【0005】
ここで、スペーサには、微小な荷重に対して容易に変形する特性が要求される。これは以下の理由によるものである。
例えば液晶が低温に置かれた場合、液晶表示装置を構成する部材はすべて収縮しようとし、構成する部材の中では液晶材料の収縮率が最も大きいため、基板間のギャップが狭くなる方向に収縮することとなる。このとき、スペーサの変形がギャップの狭まりに追従できなくなると、液晶表示装置内部に負圧が生じ、その結果液晶表示装置内に真空気泡(低温発泡)が発生し易くなるからである。
また、例えば液晶表示装置が用いられる際、バックライトから発せられる熱によって、液晶表示装置に熱がかかる。この場合、液晶表示装置を構成する部材は全て膨張しようとし、この場合においても、構成する部材の中で、液晶材料の膨張率が最も大きいことから、基板間のギャップが広くなる方向に膨張することとなる。このとき、上記と同様に、スペーサの変形が、ギャップの広がりに追従できなくなると、液晶セル内部に圧力が生じ、その結果、基板と液晶層との間に隙間ができる。これにより、隙間から液晶材料が溢れ出すこととなり、その溢れ出した液晶材料が重力によって液晶セルから流れ落ち、むら(重力むら)が生じることとなるからである。
【0006】
また近年、液晶表示装置の大画面化が進み、特に液晶テレビに適用される液晶表示装置では大画面化の傾向が強くなっており、広い基板の全域にわたってセルギャップを均一に維持する必要性が高くなってきた。
さらに近年、液晶表示装置の製造工程を簡素化し生産性を向上させるために、室温下でセル圧着を行う方法が提案されており、中でも、ワンドロップフィル(One Drop Fill:ODF)法が主流になりつつなる。ODF法は、カラーフィルタまたは対向基板のような液晶パネル基板に所定量の液晶を滴下し、もう一方の液晶パネル基板を真空下で所定のセルギャップを維持できる状態で対峙させ、貼り合せる方法である。このようなセル圧着法(特にODF法)の場合、セル圧着時に塑性変形を起こさず、均一なセルギャップを形成できるスペーサが求められている。
【0007】
一方、スペーサには、強い力を加え、その後力を除去した後の変位量が小さいことも要求される。これは、局所的に液晶セルに荷重が加えられた場合、例えば指押し試験等の耐圧試験等において、力が除去された後の変位量が大きい場合には、表示不良が発生する可能性があるからである。
【0008】
上記の微小な荷重に対して容易に変形する特性および局所的な荷重に対して変形しにくい特性の2つの特性は相反するものであることから、それぞれの特性を有するスペーサを形成することが困難であり、微小な荷重に対して変形が大きく、強い力に対する変位量の小さい液晶表示装置を形成することが困難であった。
特に、上記フォトスペーサの場合、一般的にはその形状がフォトスペーサの厚み方向に連続的に変化するものとなり、形成可能な形状が制限されるため、得られる変形特性も制限されることとなり、上記2つの特性を両立するのが困難であった。
【0009】
また、近年では、上記2つの特性を両立させるために、高さの異なる2種類のフォトスペーサを設けることが提案されている。
しかしながら、IPS方式用カラーフィルタの製造において、透明保護層と高さの異なる2種類のフォトスペーサとをそれぞれ形成する場合、工程数が増え、生産効率やコスト面での問題があった。
また、高さの高いフォトスペーサと高さの低いフォトスペーサとの高さの差としては、上記2つの特性を両立させるためには、0.2μm〜0.4μm程度に設定する必要がある。そのため、フォトスペーサの面内均一性を維持することが困難であるという問題もあった。
さらに、上記積層柱においても、高さの異なる2種類の積層柱を設けることが提案されているが(例えば特許文献2参照)、この場合でも、高さの差を上記範囲に設定する必要があり、面内均一性を維持することが困難である。
【0010】
【特許文献1】特開平5−196946号公報
【特許文献2】特開2006−23733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記積層柱では、上記フォトスペーサと比較して、その形状を容易に変化させることができるので、所望の変形特性を得ることができると考えられる。しかしながら、高さの異なる積層柱を設けることと荷重特性との関係については提案がなされているものの(例えば特許文献2参照)、積層柱の形状と変形特性との関係についてはほとんど提案されていないのが現状である。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、スペーサとして積層柱を用いたものであり、微小荷重域での変位量が大きく、また局所的な荷重に対しても十分な耐性を有し、さらにセルギャップを一定に保つことが可能である、高品質な横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、上記基板上にパターン状に形成され、短辺および長辺を有する長方形状の開口部を備える遮光部と、上記開口部に形成された複数色の画素部着色部、および、上記遮光部上に形成され、上記複数色の画素部着色部と同色の複数色の非画素部着色部を有し、上記開口部の長辺方向に隣接する上記画素部着色部の色が同色である着色層と、表示領域内の上記遮光部上に形成され、上記各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の積層柱と、上記着色層および上記積層柱を覆うように形成された透明保護層とを有する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタであって、上記積層柱が、長辺方向に隣接する上記開口部に挟まれる積層柱形成領域に形成され、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最上層の上記非画素部着色部の厚みが0.4μm〜2.0μmの範囲内であり、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最下層の上記非画素部着色部の上記積層柱形成領域での上記開口部の長辺方向の幅をw1、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最上層の上記非画素部着色部の上記積層柱形成領域での上記開口部の長辺方向の幅をwzとしたとき、0.2<wz/w1<0.6の関係を満たすことを特徴とする横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを提供する。
【0014】
本発明においては、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みが所定の範囲であり、比較的厚いといえる。また、積層柱形成領域内における開口部の長辺方向の幅について、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最下層の非画素部着色部の幅に対する最上層の非画素部着色部の幅の比が所定の範囲であり、最上層の非画素部着色部の幅が比較的狭く、最下層の非画素部着色部の幅が比較的広いといえる。したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際には、最上層の非画素部着色部によって、その荷重が支えられることとなり、積層柱の変形をより生じやすくすることができる。これにより、例えば重力むらや低温発泡等が生じるのを抑制することができる。一方、液晶表示装置に大きな荷重がかけられた場合には、最下層の非画素部着色部によっても、加えられた荷重を支えることとなることから、積層柱がその荷重に対して大きな抗力を有する。したがって、液晶表示装置に用いた際には局所的な荷重に対しても十分な耐性を有するものとすることができ、またセルギャップを一定にすることが可能な横電界液晶駆動方式用カラーフィルタとすることが可能である。
【0015】
上記発明においては、表示領域内の上記遮光部上に形成され、上記積層柱よりも高さが低く、上記各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の第2の積層柱をさらに有し、上記積層柱が形成されている部位のスペーサ高さと上記第2の積層柱が形成されている部位のスペーサ高さとの差が0.5μm以上であり、表示領域内にて、上記積層柱の個数密度が、上記積層柱および上記第2の積層柱の全体の個数密度の40%〜80%の範囲内であることが好ましい。本発明によれば、上記積層柱を、低荷重条件下での変形量が大きく、高荷重条件下での変形量が小さい変形特性を有するものとすることができる。そのため、上記積層柱よりも高さの低い第2の積層柱を形成する場合、従来とは異なり、第2の積層柱の高さを上記範囲のように比較的低くし、また、積層柱の個数密度を上記範囲のように比較的多くすることが可能である。
【0016】
また、本発明においては、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部の積層数が3層以上であり、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最上層の上記非画素部着色部以外の2層以上の上記非画素部着色部が、上記非画素部着色部と同色の上記画素部着色部と連続的に形成されていることが好ましい。非画素部着色部が画素部着色部と連続的に形成されていることにより、その非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積を比較的広いものとすることできる。非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積が比較的広ければ、その非画素部着色部上に積層される他の非画素部着色部の厚みを比較的厚くすることができる。これにより、積層柱の高さを比較的高くすることができる。このため、積層柱を覆うように透明保護層が形成されていても、スペーサ高さを十分に大きなものとすることができる。したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際には、セルギャップが均一であり、表示品位に優れたものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、微小荷重域での変位量が大きく、重力むらや低温発泡等の発生が抑制され、また局所的な荷重に対しても十分な耐性を有し、さらにはセルギャップを一定に保つことが可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタについて詳細に説明する。
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタは、基板と、上記基板上にパターン状に形成され、短辺および長辺を有する長方形状の開口部を備える遮光部と、上記開口部に形成された複数色の画素部着色部、および、上記遮光部上に形成され、上記複数色の画素部着色部と同色の複数色の非画素部着色部を有し、上記開口部の長辺方向に隣接する上記画素部着色部の色が同色である着色層と、表示領域内の上記遮光部上に形成され、上記各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の積層柱と、上記着色層および上記積層柱を覆うように形成された透明保護層とを有する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタであって、上記積層柱が、長辺方向に隣接する上記開口部に挟まれる積層柱形成領域に形成され、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最上層の上記非画素部着色部の厚みが0.4μm〜2.0μmの範囲内であり、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最下層の上記非画素部着色部の上記積層柱形成領域での上記開口部の長辺方向の幅をw1、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最上層の上記非画素部着色部の上記積層柱形成領域での上記開口部の長辺方向の幅をwzとしたとき、0.2<wz/w1<0.6の関係を満たすことを特徴とするものである。
【0019】
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタについて図面を参照しながら説明する。図1は本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの一例を示す概略平面図であり、図2は図1におけるA−A線断面図、図3は図1におけるB−B線断面図である。なお、図1において、透明保護層は省略されている。
【0020】
図1〜図3に例示する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ1は、基板2と、基板2上に形成され、短辺および長辺を有する長方形状の開口部12を備える遮光部3と、開口部12に形成された赤、緑および青の3色の画素部着色部(4R,4G,4B)および遮光部3上に形成された赤、緑および青の3色の非画素部着色部(5R,5G,5B)を有し、開口部12の長辺方向mに隣接する画素部着色部(4R,4G,4B)の色が同色である着色層と、遮光部3上に形成され、赤、緑および青の3色の非画素部着色部(5R,5G,5B)が積層された積層柱6と、着色層および積層柱を覆うように形成された透明保護層7とを有している。また、積層柱6は、長辺方向mに隣接する開口部12に挟まれる積層柱形成領域13に形成されている。
【0021】
また、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、最上層(3層目)の緑色非画素部着色部5Gの厚み(t)が所定の範囲内となり、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、最下層(1層目)の赤色非画素部着色部5Rの積層柱形成領域13での開口部の長辺方向mの幅(w1)に対する最上層(3層目)の緑色非画素部着色部5Gの積層柱形成領域13での開口部の長辺方向mの幅(wz)の比(wz/w1)が所定の範囲内となっている。
【0022】
図1〜図3に例示するような本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを用いた液晶表示装置において、微小な荷重がかけられた場合、積層柱6上の透明保護層7と、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、最上層(3層目)の緑色非画素部着色部5Gとに荷重がかかることとなる。ここで、本発明においては、最上層の非画素部着色部の厚みが所定の範囲内であり、比較的厚いといえる。また、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅に対する最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅の比が所定の範囲内であり、一般に積層柱が形成される遮光部の幅等は所定の範囲内であるので、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅も自ずと所定の範囲内となり、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅は比較的狭いといえる。すなわち、最上層の非画素部着色部の平面視面積は比較的小さいといえる。したがって、最上層の非画素部着色部の厚みが所定の範囲内であり、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅に対する最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅の比が所定の範囲内であることにより、上記荷重に対する抗力を小さくすることができる。そのため、微小な荷重がかけられた場合、最上層の緑色非画素部着色部5Gは変形しやすく、液晶表示装置の変位量を大きなものとすることができる。
【0023】
さらに、積層柱6を覆うように透明保護層7が形成されている。この透明保護層の形成方法としては、透明保護層用感光性樹脂組成物を塗布する方法が一般的である。透明保護層の形成時において、遮光部、着色層および積層柱が形成された基板上に透明保護層用感光性樹脂組成物を塗布すると、透明保護層用感光性樹脂組成物が、積層柱の頂部から画素部着色部上に流れ落ちるレベリングが生じる。そのため、積層柱6が形成されている部位の透明保護層7の上底面積を、積層柱6を構成する最上層の緑色非画素部着色部5Gの平面視面積よりも、小さくすることができる。これにより、微小な荷重がかけられた場合に、この荷重に対する抗力をより小さくすることができ、積層柱6が形成されている部位の変形を生じやすくすることができる。
【0024】
一方、上記液晶表示装置において、大きな荷重がかけられた場合、その荷重は、積層柱6上の透明保護層7と、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、最上層(3層目)の緑色非画素部着色部5G、2層目の青色非画素部着色部5Bおよび最下層(1層目)の赤色非画素部着色部5Rとによって、支えられることとなる。したがって、液晶表示装置にかかる荷重は分散される。ここで、本発明においては、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅に対する最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅の比が所定の範囲内であり、一般に積層柱が形成される遮光部の幅等は所定の範囲内であるので、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅も自ずと所定の範囲内となり、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅は比較的狭く、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅は比較的広いといえる。すなわち、最上層の非画素部着色部の平面視面積は比較的小さく、最下層の非画素部着色部の平面視面積は比較的大きいといえる。このように、最下層の非画素部着色部の平面視面積が比較的大きいので、最下層(1層目)の赤色非画素部着色部5Rの高さ(厚み)より下方への液晶表示装置の変位が起こりづらく、それ以上の液晶表示装置の変位を少ないものとすることができる。
【0025】
したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを用いることにより、低温発泡や重力むら等のないものとすることができ、かつ、局所的な荷重がかけられた場合であっても、変形等のない、高品質な液晶表示装置を得ることができる。
【0026】
また、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを用いて、セル圧着法、特にODF法により液晶表示装置を製造する場合には、積層柱が形成されている部位は低荷重条件下での変形量が大きいので、セル圧着の際に、圧力むらを緩和または吸収することによって基板全体にわたり荷重を均一化し、ギャップむらの発生を防止することができる。また、圧縮荷重後の開放後も、セルギャップを維持することができる。
【0027】
さらに、液晶表示装置が大面積である場合でも、積層柱が形成されている部位は低荷重条件下での変形量が大きいので、セルギャップを均一に維持することができる。したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタは、液晶テレビに好適に利用することができる。
【0028】
また、積層柱を構成する最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が比較的狭く、平面視面積が比較的小さいと、例えば、積層柱を覆うようにポリイミド膜を形成し、ポリイミド膜にラビング処理を施して、配向膜を形成する場合、ラビング処理の際に、最上層の非画素部着色部が剥がれてしまうおそれがある。これに対し、本発明においては、積層柱を覆うように透明保護層が形成されているので、ラビング処理等による最上層の非画素部着色部の剥がれを抑制することができる。
【0029】
さらに、積層柱が遮光部上に形成されているので、積層柱が形成されることにより表示品質が低下するのを防ぐことができる。したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際には、着色層の輝度低下等が生じることが少ないものとすることができる。
【0030】
本発明における積層柱は2層以上の非画素部着色部が積層されたものであるので、着色層形成時に同時に積層柱を形成することができる。したがって、積層柱を形成するために、別途、積層柱形成工程を行う必要がなく、簡便なプロセスでスペーサを形成することができる。よって、横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの低コスト化を図ることができる。
【0031】
また、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタは、表示領域内の遮光部上に形成され、上記積層柱よりも高さが低く、各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の第2の積層柱をさらに有していてもよい。
【0032】
図4は本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図であり、図5は図4におけるC−C線断面図、図3は図4におけるD−D線断面図、図6は図4におけるE−E線断面図である。なお、図4において、透明保護層は省略されている。
図3および図4〜図6に例示する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ1は、基板2と、基板2上に形成され、短辺および長辺を有する長方形状の開口部12を備える遮光部3と、開口部12に形成された赤、緑および青の3色の画素部着色部(4R,4G,4B)および遮光部3上に形成された赤、緑および青の3色の非画素部着色部(5R,5G,5B)を有し、開口部12の長辺方向mに隣接する画素部着色部(4R,4G,4B)の色が同色である着色層と、遮光部3上に形成され、赤、緑および青の3色の非画素部着色部(5R,5G,5B)が積層された積層柱6と、遮光部3上に形成され、積層柱6よりも高さが低く、赤、緑および青の3色の非画素部着色部(5R,5G,5B)が積層された第2の積層柱8と、着色層、積層柱および第2の積層柱を覆うように形成された透明保護層7とを有している。積層柱6は、長辺方向mに隣接する開口部12に挟まれる積層柱形成領域13に形成されている。また、第2の積層柱8が形成されている部位のスペーサ高さh2が、積層柱6が形成されている部位のスペーサ高さh1よりも低くなっている。
【0033】
従来、高さの異なる2種類のスペーサを形成する場合、高さの高い高スペーサを低荷重条件下での変形量が大きい変形特性を有するものとし、高さの低い低スペーサを高荷重条件下での変形量が小さい変形特性を有するものとしていた。これらの特性を両立させるために、高スペーサおよび低スペーサの高さの差や高スペーサおよび低スペーサの個数密度は制限される傾向にあり、具体的には、高スペーサおよび低スペーサの高さの差は比較的小さく、高スペーサの個数密度が低スペーサの個数密度よりも少なくなるように、設定されていた。
これに対し本発明においては、上述したように、上記積層柱を、低荷重条件下での変形量が大きく、高荷重条件下での変形量が小さい変形特性を有するものとすることができる。すなわち、本発明における積層柱は、従来の高さの異なる2種類のスペーサにそれぞれ要求される特性を兼ね備えることができる。そのため、上記積層柱よりも高さの低い第2の積層柱を形成する場合には、従来と比較して、第2の積層柱の高さを低くし、また、積層柱の個数密度を第2の積層柱の個数密度よりも多くすることが可能である。このように、第2の積層柱の高さを比較的低く設計することが可能であるため、生産安定性を高くすることができる。
【0034】
なお、「画素部着色部」とは、基板上の遮光部の開口部に形成されるものであり、基板上の遮光部の開口部に配置された着色部の部分をいう。また、「非画素部着色部」とは、遮光部上に形成されるものであり、遮光部上に配置された着色部の部分をいう。複数色の画素部着色部の色と複数色の非画素部着色部の色とはそれぞれ同色である。
【0035】
また、「開口部の長辺方向に隣接する画素部着色部の色が同色である」とは、開口部の長辺方向に、同色の画素部着色部が隣接するように配列され、開口部の短辺方向に、異色の画素部着色部が隣接するように配列されていることをいう。例えば図1においては、開口部の長辺方向mに、赤色画素部着色部4Rが隣接し、緑色画素部着色部4Gが隣接し、青色画素部着色部4Bが隣接するように、各画素部着色部が配列されている。また、開口部の短辺方向nに、赤色画素部着色部4Rおよび青色画素部着色部4Bが隣接し、青色画素部着色部4Bおよび緑色画素部着色部4Gが隣接し、図示しないが緑色画素部着色部4Gおよび赤色画素部着色部4Rが隣接するように、各画素部着色部が赤、青、緑の順に繰り返し配列されている。
【0036】
「表示領域」とは、図1に例示するように、開口部12に形成される画素部着色部(4R、4G、4B)とこれらの画素部着色部(4R、4G、4B)間に形成された遮光部3(画素間遮光部)とで画定される領域をいう。画素部着色部(4R、4G、4B)が配列された着色層の外周を囲むように形成された遮光部(額縁遮光部)が設けられている領域は表示領域ではないとする。本発明において、積層柱は、表示領域内の遮光部、すなわち画素間遮光部上に形成されている。
【0037】
「積層柱形成領域」とは、長辺方向に隣接する開口部に挟まれる領域であり、かつ、積層柱が形成される領域である。また、「長辺方向に隣接する開口部に挟まれる領域」とは、長辺方向に隣接する開口部にのみ挟まれ、開口部の短辺に隣接する領域をいう。例えば図1においては、積層柱形成領域13は、長辺方向mに隣接する開口部12にのみ挟まれ、開口部12の短辺に隣接する領域であり、積層柱6が形成される領域となる。
また、「積層柱が、積層柱形成領域に形成されている」とは、積層柱を構成する各非画素部着色部が、平面視上、積層柱形成領域で重なるように形成されることをいう。
【0038】
また、「積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚み」とは、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みであって、最上層の非画素部着色部の厚みのうち最大の厚みをいう。例えば図3において、最上層の非画素部着色部の厚みはtである。
【0039】
「積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅」とは、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最下層の非画素部着色部を、基板の直上方向から正視した場合の、積層柱形成領域内における幅であって、開口部の長辺方向の幅をいう。例えば図1〜図6において、最下層の非画素部着色部(5R)の積層柱形成領域13での開口部の長辺方向mの幅はw1である。また、例えば図7〜図9において、最下層の非画素部着色部(5R)の積層柱形成領域13での開口部の長辺方向mの幅はw1であり、開口部の長辺方向mの遮光部3の幅と等しくなる。なお、図8は図7におけるF−F線断面図、図9は図7におけるG−G線断面図である。
このように、本発明においては、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が、開口部の長辺方向の遮光部の幅と等しくなる場合がある。
また、「積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅」とは、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部を、基板の直上方向から正視した場合の、積層柱形成領域内における幅であって、開口部の長辺方向の幅をいう。例えば図1〜図9において、最上層の非画素部着色部(5G)の積層柱形成領域13での開口部の長辺方向mの幅はwzである。
【0040】
「積層柱を構成する非画素部着色部の平面視面積」とは、積層柱を構成する各非画素部着色部を、基板の直上方向から正視した場合の面積をいう。
【0041】
「積層柱または第2の積層柱の高さ」とは、遮光部の表面から垂直方向に、積層柱または第2の積層柱の頂部までの距離のうち最長の距離をいう。例えば図1〜図9において、積層柱6の高さはd1である。また例えば図4〜図6において、第2の積層柱8の高さはd2である。
また、「積層柱または第2の積層柱が形成されている部位のスペーサ高さ」とは、画素部着色部上に形成された透明保護層の表面から垂直方向に、積層柱上に形成された透明保護層の頂部までの距離のうち最長の距離をいう。例えば図1〜図9において、積層柱6が形成されている部位のスペーサ高さはh1である。また例えば図4〜図6において、第2の積層柱8が形成されている部位のスペーサ高さはh2である。
【0042】
以下、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの各構成について説明する。
【0043】
1.積層柱
本発明における積層柱は、表示領域内の遮光部上に複数形成され、各色の非画素部着色部が2層以上積層されたものである。
【0044】
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みは、0.4μm〜2.0μmの範囲内であり、好ましくは0.5μm〜1.5μmの範囲内、さらに好ましくは0.5μm〜1.0μmの範囲内である。上記最上層の非画素部着色部の厚みが厚いほど、低荷重条件下での変形量を大きくすることができると考えられる。しかしながら、最上層の非画素部着色部の厚みが厚いと、着色層を構成する画素部着色部の厚みも厚くなることから、最上層の非画素部着色部の厚みの上限は、着色層を構成する画素部着色部の厚みに応じて決定される。また、着色層を構成する画素部着色部は、各着色部用感光性樹脂組成物を塗布し、露光および現像することにより形成されるので、着色部用感光性樹脂組成物のレベリング作用によって、最上層の非画素部着色部の厚みは着色層を構成する画素部着色部の厚みよりも薄くなる傾向にある。そのため、最上層の非画素部着色部の厚みの上限は、着色層を構成する画素部着色部の厚みの上限よりも薄くなる傾向にある。したがって、最上層の非画素部着色部の厚みの上限は上記の値程度とされる。また、最上層の非画素部着色部の厚みが上記範囲よりも厚いと、着色層を構成する画素部着色部と同時に最上層の非画素部着色部を形成するのが困難となる場合があるともいえる。さらに、最上層の非画素部着色部の厚みが厚すぎると、例えば配向膜形成時にラビング処理を行う場合には、積層柱上に透明保護層が形成されていても、最上層の非画素部着色部が剥がれるおそれがある。一方、最上層の非画素部着色部の厚みが上記範囲よりも薄いと、低荷重条件下での変形量を大きくすることが困難となる場合がある。
【0045】
また、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅をw1、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅をwzとしたとき、0.2<wz/w1<0.6の関係が成立している。一般に、積層柱が形成される遮光部の幅等は所定の範囲内であり、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅は、開口部の長辺方向の遮光部の幅以下となるように設計されるため、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅も自ずと所定の範囲内となるように制限される。そのため、上記の幅の比が大きいと、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が比較的広くなり、上記の幅の比が小さいと、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が比較的狭くなるといえる。よって、上記の幅の比が上記範囲よりも大きい場合には、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が比較的広くなり、低荷重条件下での変形量を大きくすることが困難となる場合がある。一方、上記の幅の比が上記範囲よりも小さい場合には、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が比較的狭くなり、パターニングが困難となる場合がある。
【0046】
最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅w1は、上記の幅の比を満たしていればよいが、具体的には60μm〜120μm程度とすることができる。
また、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅wzは、上記の幅の比を満たしていればよいが、具体的には、10μm〜60μm程度とすることができる。
【0047】
最下層以外および最上層以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅は、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅よりも広いことが好ましい。最下層以外および最上層以外の非画素部着色部上に、最上層の非画素部着色部を積層するのが容易となるからである。
また、最下層以外および最上層以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅は、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅よりも狭いことが好ましい。最下層の非画素部着色部上に、最下層以外および最上層以外の非画素部着色部を積層するのが容易となるからである。
【0048】
最下層以外および最上層以外の非画素部着色部のうち、下層の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅と上層の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅とは等しくても異なっていてもよいが、中でも、下層の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が上層の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅よりも広いことが好ましい。下層上に上層を積層するのが容易となるからである。
【0049】
最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積と最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積との関係としては、上記の幅の比を満たしていればよく、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積が、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積よりも大きいことが好ましい。
【0050】
また、最下層以外および最上層以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積は、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積よりも大きいことが好ましい。最下層以外および最上層以外の非画素部着色部上に最上層の非画素部着色部を積層するのが容易となるからである。
【0051】
一方、最下層以外および最上層以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積は、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積と等しくてもよく異なっていてもよい。積層柱を所望の高さおよび所望の強度とすることができれば特に限定されるものではなく、具体的には、最下層以外および最上層以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積が、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積と等しくてもよく、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積よりも大きくてもよく、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積よりも小さくてもよい。例えば図1〜図3において、2層目の非画素部着色部(5B)の積層柱形成領域13での平面視面積は、1層目(最下層)の非画素部着色部(5R)の積層柱形成領域13での平面視面積よりも大きくなっている。一方、例えば図7〜図9において、2層目の非画素部着色部(5B)の積層柱形成領域13での平面視面積は、1層目(最下層)の非画素部着色部(5R)の積層柱形成領域13での平面視面積よりも小さくなっている。
【0052】
さらに、最下層以外および最上層以外の非画素部着色部のうち、下層の積層柱形成領域での平面視面積と上層の積層柱形成領域での平面視面積とは等しくても異なっていてもよい。積層柱を所望の高さおよび所望の強度とすることができれば特に限定されるものではなく、具体的には、下層の積層柱形成領域での平面視面積が、上層の積層柱形成領域での平面視面積と等しくてもよく、上層の積層柱形成領域での平面視面積よりも大きくてもよく、上層の積層柱形成領域での平面視面積よりも小さくてもよい。
【0053】
積層柱を構成する各非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積の大きさとしては、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの用途や種類等に応じて適宜選択されるものである。
【0054】
積層柱の高さとしては、各色の非画素部着色部の厚みや積層数に応じて異なるものであるが、2.0μm〜10.0μm程度で設定され、好ましくは2.5μm〜8.5μmの範囲内、より好ましくは3.5μm〜7.5μmの範囲内である。
【0055】
また、積層柱が形成されている部位の遮光部の表面から透明保護層の頂部までの高さとしては、各色の非画素部着色部および透明保護層の厚みや非画素部着色部の積層数に応じて異なるものであるが、2.0μm〜10.0μm程度で設定され、好ましくは2.5μm〜8.5μmの範囲内、より好ましくは3.5μm〜7.5μmの範囲内である。
なお、「積層柱が形成されている部位の遮光部の表面から透明保護層の頂部までの高さ」とは、積層柱が形成されている部位の遮光部の表面から垂直方向に、透明保護層の頂部までの距離のうち最長の距離をいう。
【0056】
積層柱が形成されている部位のスペーサ高さとしては、所望のセルギャップを形成することができるものであればよいが、具体的には、2.5μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましく、なかでも2.5μm〜4.5μmの範囲内であることが好ましく、特に3.0μm〜4.0μmの範囲内であることが好ましい。上記スペーサ高さが上記範囲よりも低いと、セルギャップの制御が困難であり、また上記スペーサ高さが上記範囲よりも高いと、積層柱の形成が困難になるからである。
【0057】
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部以外の非画素部着色部は、これらの非画素部着色部と同色の画素部着色部と、連続的に形成されていてもよく、非連続的に形成されていてもよい。
【0058】
なお、「非画素部着色部が、この非画素部着色部と同色の画素部着色部と連続的に形成されている」とは、非画素部着色部が、同色の画素部着色部と連続して一体に形成されていることをいう。例えば図1〜図9において、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、1層目の赤色非画素部着色部5Rが、赤色画素部着色部4Rと連続して一体に形成されており、2層目の青色非画素部着色部5Bが、青色画素部着色部4Bと連続して一体に形成されている。
【0059】
一方、「非画素部着色部が、この非画素部着色部と同色の画素部着色部と非連続的に形成されている」とは、非画素部着色部が、同色の画素部着色部と分離して形成されていることをいう。例えば図10および図11において、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、1層目の赤色非画素部着色部5Rが、赤色画素部着色部4Rと接していなく分離して形成されており、2層目の青色非画素部着色部5Bが、青色画素部着色部4Bと接していなく分離して形成されている。
なお、図11は図10におけるH−H線断面図であり、図10において透明保護層は省略されている。
【0060】
中でも、積層柱を構成する非画素部着色部の積層数が3層以上である場合、最上層の非画素部着色部以外の2層以上の非画素部着色部が、これらの非画素部着色部と同色の画素部着色部と、連続的に形成されていることが好ましい。非画素部着色部が同色の画素部着色部と連続的に形成されていることにより、その非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積を比較的大きいものとし、その非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅を比較的広くすることが容易となるからである。また、非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積が比較的大きければ、その非画素部着色部上に積層される他の非画素部着色部の厚みを比較的厚くすることができる。これにより、積層柱の高さを比較的高くすることができる。このため、積層柱を覆うように透明保護層が形成されていても、スペーサ高さを十分に大きなものとすることができる。したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際には、セルギャップが均一であり、表示品位に優れたものとすることができる。
【0061】
ここで、最上層の非画素部着色部以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積が比較的大きいことにより、上述した効果を発揮する理由は以下のとおりである。
すなわち、積層柱の形成方法としては、非画素部着色部の形成に用いられる各色の着色部用感光性樹脂組成物を塗布する方法が用いられる。例えば、2層目の非画素部着色部の形成時において、1層目の非画素部着色部上に2色目の感光性樹脂組成物を塗布すると、2色目の着色部用感光性樹脂組成物を塗布した直後には、1層目の非画素部着色部および遮光部の上に比較的均一な厚みで2色目の着色部用感光性樹脂組成物の塗膜が形成される。そして、1層目の非画素部着色部上の2色目の着色部用感光性樹脂組成物の塗膜は、徐々に低い位置へと流れ落ちるレベリングを生じる。同様に、3層目の非画素部着色部の形成時においても、1層目および2層目の非画素部着色部上の3色目の着色部用感光性樹脂組成物の塗膜は、レベリングを生じる。
このとき、最上層の非画素部着色部以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積が比較的大きいことにより、その平面視面積の大きい非画素部着色部上に他の非画素部着色部を積層する際に、他の非画素部着色部の形成に用いられる着色部用感光性樹脂組成物のレベリングを抑制することができる。したがって、積層柱の高さを高いものとすることができる。このため、積層柱を覆うように透明保護層が形成されていても、スペーサ高さを高いものとすることができるのである。
【0062】
非画素部着色部の積層数が3層以上である場合、最上層の非画素部着色部以外の2層以上の非画素部着色部としては、最上層の非画素部着色部以外であれば、いずれの2層以上の非画素部着色部であってもよい。例えば、非画素部着色部の積層数が3層である場合、最上層(3層目)の非画素部着色部以外の2層以上の非画素部着色部は、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部となる。
【0063】
例えば、非画素部着色部の積層数が3層であり、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部がこれらの非画素部着色部と同色の画素部着色部と連続的に形成されている場合としては、図1〜図9に例示するように、1層目の赤色非画素部着色部5Rが、赤色画素部着色部4Rと連続的に形成され、かつ、2層目の青色非画素部着色部5Bが、青色画素部着色部4Bと連続的に形成されている場合を挙げることができる。
【0064】
また、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部は、通常、この非画素部着色部と同色の画素部着色部と、非連続的に形成される。
【0065】
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部以外の非画素部着色部の形成位置としては、これらの非画素部着色部が積層柱形成領域に形成されていればよい。
【0066】
最上層の非画素部着色部以外の非画素部着色部の形成位置としては、これらの非画素部着色部が、積層柱形成領域内のみに形成されていてもよい。例えば図10および図11において、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、1層目の赤色非画素部着色部5Rおよび2層目の青色非画素部着色部5Bが、積層柱形成領域13内のみに形成されている。
【0067】
また、最上層の非画素部着色部以外の非画素部着色部の形成位置としては、これらの非画素部着色部が、積層柱形成領域と、この積層柱形成領域の開口部の短辺方向に隣接する隣接領域のうち少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されていてもよい。
例えば図1〜図3において、積層柱6が、長辺方向mに隣接する開口部12に挟まれる積層柱形成領域13に形成されており、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、1層目の赤色非画素部着色部5Rおよび2層目の青色非画素部着色部5Bは、積層柱形成領域13、および、この積層柱形成領域13の開口部の短辺方向nに隣接する隣接領域14に、帯状に形成されている。
【0068】
例えば、非画素部着色部の積層数が3層である場合であって、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部が、積層柱形成領域と、この積層柱形成領域の開口部の短辺方向に隣接する隣接領域のうち少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されている場合、図8に例示するように、1層目の非画素部着色部(5R)が積層柱形成領域13内のみに形成され、2層目の非画素部着色部(5B)が積層柱形成領域13および積層柱形成領域13の開口部の短辺方向nに隣接する片側の隣接領域14に帯状に形成されていてもよい。また、図2に例示するように、1層目の非画素部着色部(5R)が積層柱形成領域13および片側の隣接領域14に帯状に形成され、2層目の非画素部着色部(5B)が積層柱形成領域13内のみに形成されていてもよい。さらに、図12に例示するように、1層目の非画素部着色部(5R)が積層柱形成領域13および一方の片側の隣接領域14に帯状に形成され、2層目の非画素部着色部(5B)が積層柱形成領域13および他方の片側の隣接領域14に帯状に形成されていてもよい。また、図13に例示するように、1層目の非画素部着色部(5R)および2層目の非画素部着色部(5B)が、積層柱形成領域13および一方の片側の隣接領域14に帯状に形成され、隣接領域14にて積層されていてもよい。さらに、図14に例示するように、1層目の非画素部着色部(5R)および2層目の非画素部着色部(5B)が、積層柱形成領域13および両側の隣接領域14に帯状に形成され、隣接領域14にて積層されていてもよい。
なお、図12〜図14は、積層柱を含む開口部の短辺方向の断面図である。
【0069】
中でも、非画素部着色部の積層数が3層である場合には、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部の少なくとも一方が、積層柱形成領域および少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されていることが好ましい。1層目の非画素部着色部が、積層柱形成領域および少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されている場合には、2層目の非画素部着色部の形成時において、2色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から隣接領域方向にレベリングするのを抑制することができる。このため、2層目の非画素部着色部の厚みを厚いものとすることができる。また、2層目の非画素部着色部が、積層柱形成領域および少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されている場合には、3層目の非画素部着色部の形成時において、3色目の着色部用感光性樹脂組成物が、積層柱形成領域から隣接領域方向にレベリングするのを抑制することができる。このため、3層目の非画素部着色部の厚みを厚いものとすることができる。このように、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部の少なくとも一方が、積層柱形成領域および少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されていることにより、積層柱の高さを高いものとすることができる。
【0070】
なお、「隣接領域」とは、上記積層柱形成領域の開口部の短辺方向に隣接する領域であり、上記積層柱形成領域の開口部の短辺方向の両側に隣接する領域をいう。例えば図1において、隣接領域14は、積層柱形成領域13の開口部の短辺方向nの両側に隣接する領域となる。
【0071】
また、「非画素部着色部が、積層柱形成領域および隣接領域に帯状に形成されている」とは、非画素部着色部が、積層柱形成領域および隣接領域にて一体に形成されていることをいう。例えば図1〜図6において、赤色非画素部着色部5Rが積層柱形成領域13および隣接領域14にて一体に形成されている。また、例えば図4〜図9において、青色非画素部着色部5Bが積層柱形成領域13および隣接領域14にて一体に形成されている。
【0072】
最上層の非画素部着色部の形成位置としては、上記の幅の比を満たし、最上層の非画素部着色部が積層柱形成領域に形成されていればよく、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの用途等に応じて適宜設定される。
【0073】
非画素部着色部の積層数が3層である場合であって、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部が、積層柱形成領域と、この積層柱形成領域の開口部の短辺方向に隣接する隣接領域のうち少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されている場合、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部のそれぞれの積層柱形成領域および隣接領域での開口部の短辺方向の幅としては、2層目の非画素部着色部および3層目の非画素部着色部の形成時に、2色目および3色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から隣接領域方向にレベリングするのを抑制することが可能であれば特に限定されるものではない。具体的には、上記幅は、30μm以上であることが好ましく、なかでも35μm〜75μmの範囲内であることが好ましく、特に45μm〜65μmの範囲内であることが好ましい。1層目の非画素部着色部の幅が上記範囲内であることにより、2層目の非画素部着色部の形成時に、2色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から隣接領域方向にレベリングすることを抑制することができるからである。このため、上記積層柱の高さを十分な高さとすることができる。また、2層目の非画素部着色部の幅が上記範囲内であることにより、3層目の非画素部着色部の形成時に、3色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から隣接領域方向にレベリングするのを抑制することができるからである。このため、積層柱の高さを十分な高さとすることができる。
なお、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部のそれぞれの積層柱形成領域および隣接領域での開口部の短辺方向の幅とは、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部のそれぞれについて、開口部の短辺方向の長さのうち最大の長さをいう。
【0074】
積層柱形成領域の位置としては、長辺方向に隣接する開口部に挟まれる領域であればよい。中でも、非画素部着色部の積層数が3層である場合、1層目の非画素部着色部または2層目の非画素部着色部と同色の画素部着色部が形成される開口部に挟まれる領域であることが好ましく、特に、1層目の非画素部着色部と同色の着色部が形成される開口部に挟まれる領域であることが好ましい。
積層柱形成領域が、2層目の非画素部着色部と同色の画素部着色部が形成される開口部に挟まれる領域である場合には、3層目の非画素部着色部の形成時において、2層目の非画素部着色部と同色の画素部着色部が、積層柱形成領域を挟む開口部に形成されている。このため、3色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から開口部の長辺方向にレベリングするのを抑制することができる。このため、3層目の非画素部着色部の厚みを厚いものとすることができ、積層柱の高さを高いものとすることができる。
また、積層柱形成領域が、1層目の非画素部着色部と同色の画素部着色部が形成される開口部に挟まれる領域である場合には、2層目の非画素部着色部の形成時において、2色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から開口部の長辺方向にレベリングするのを抑制することができる。また、3層目の非画素部着色部の形成時において、1層目の非画素部着色部と同色の画素部着色部が、積層柱形成領域を挟む開口部に形成されているため、3色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から開口部の長辺方向にレベリングするのを抑制することができる。このため、2層目の非画素部着色部および3層目の非画素部着色部の厚みを厚いものとすることができ、積層柱の高さをより高いものとすることができる。
【0075】
積層柱を構成する非画素部着色部は、後述する着色層をも構成するものである。ここで、着色層は、各着色部用感光性樹脂組成物を塗布し、露光および現像することにより形成される。このため、積層柱を構成する非画素部着色部の積層数が3層である場合であって、開口部に形成される各画素部着色部が赤、青および緑の順番で形成される場合、すなわち、最初に塗工される1色目の着色部用感光性樹脂組成物が赤であり、次に塗工される2色目の着色部用感光性樹脂組成物が青であり、最後に塗工される3色目の着色部用感光性樹脂組成物が緑である場合には、1層目の非画素部着色部が赤、2層目の非画素部着色部が青、3層目の非画素部着色部が緑となる。したがって、積層柱を構成する各非画素部着色部の色はそれぞれ異なり、開口部に形成される各色の画素部着色部の形成順により決定される。
【0076】
積層柱は、各色の非画素部着色部が2層以上積層されたものである。各色の非画素部着色部の積層数としては、2層以上であればよく、3層、4層、またはそれ以上であってもよい。中でも、非画素部着色部の積層数は3層であることが好ましい。横電界液晶駆動方式用カラーフィルタは、通常、赤、緑および青の3色の画素部着色部が配列された着色層を有するものであり、これらの画素部着色部と同色の3色の非画素部着色部を積層することにより、有意な高さの積層柱を得ることができるからである。
【0077】
積層柱の構成としては、各色の非画素部着色部が2層以上積層されたものであれば特に限定されるものではない。なお、各色の非画素部着色部については、後述する着色層の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
【0078】
また、積層柱は、表示領域内の遮光部上に形成されていればよいが、中でも、規則的に形成されていることが好ましい。これにより、ギャップ精度をより一層向上させることができるからである。
【0079】
また、後述の第2の積層柱が形成されている場合、表示領域内にて、積層柱の個数密度は、積層柱および第2の積層柱の全体の個数密度の40%〜80%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50%〜75%の範囲内、さらに好ましくは50%〜70%の範囲内である。積層柱の個数密度が上記範囲内であることにより、セルギャップの均一性に優れたものとすることができるからである。本発明においては、上述したように、上記積層柱が所望の変形特性を有するので、積層柱の個数密度を比較的多くすることが可能となるのである。
【0080】
2.第2の積層柱
本発明においては、表示領域内の遮光部上に、上記積層柱よりも高さが低く、各色の画素部着色部が2層以上積層された複数の第2の積層柱がさらに形成されていてもよい。
【0081】
第2の積層柱が形成されている部位のスペーサ高さは、積層柱が形成されている部位のスペーサ高さよりも低い。積層柱が形成されている部位のスペーサ高さと、第2の積層柱が形成されている部位のスペーサ高さとの差としては、0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5μm〜1.0μmの範囲内、さらに好ましくは0.5μm〜0.7μmの範囲内である。上記スペーサ高さの差が上記範囲であれば、第2の積層柱の高さを比較的低く設計することが可能であり、生産安定性を高めることができる。本発明においては、上述したように、上記積層柱が所望の変形特性を有するので、第2の積層柱の高さを比較的低く設計することが可能となるのである。
【0082】
また、第2の積層柱が形成されている部位の遮光部の表面から透明保護層の頂部までの高さとしては、各色の非画素部着色部および透明保護層の厚みや非画素部着色部の積層数に応じて異なるものであるが、1.5μm〜9.5μm程度で設定され、好ましくは2.5μm〜8.5μmの範囲内、より好ましくは3.5μm〜6.5μmの範囲内である。
【0083】
さらに、第2の積層柱が形成されている部位のスペーサ高さとしては、具体的には、1.5μm〜5.5μmの範囲内であることが好ましく、中でも1.5μm〜4.5μmの範囲内であることが好ましく、特に1.5μm〜3.5μmの範囲内であることが好ましい。
【0084】
第2の積層柱を構成する各非画素部着色部の厚み、幅、平面視面積等については、上記スペーサ高さの差を上記範囲とすることができれば、特に限定されるものではない。
【0085】
第2の積層柱は、通常、長辺方向に隣接する開口部に挟まれる第2の積層柱形成領域に形成される。例えば図4〜図6において、第2の積層柱8は、長辺方向mに隣接する開口部12に挟まれる第2の積層柱形成領域15に形成されている。
【0086】
第2の積層柱を構成する各非画素部着色部は、これらの非画素部着色部と同色の画素部着色部と、連続的に形成されていてもよく、非連続的に形成されていてもよい。例えば図4〜図6において、第2の積層柱8を構成する非画素部着色部のうち、1層目の赤色非画素部着色部5Rは同色の赤色画素部着色部4Rと非連続的に形成され、2層目の青色非画素部着色部5Bは同色の青色画素部着色部4Bと連続的に形成され、3層目の緑色非画素部着色部5Gは同色の緑色画素部着色部4Gと連続的に形成されている。
【0087】
なお、「非画素部着色部が、この非画素部着色部と同色の画素部着色部と連続的に形成されている」および「非画素部着色部が、この非画素部着色部と同色の画素部着色部と非連続的に形成されている」については、上記積層柱の項に記載したものと同様である。
【0088】
第2の積層柱を構成する各非画素部着色部の形成位置としては、これらの非画素部着色部が第2の積層柱形成領域に形成されていればよい。具体的には、非画素部着色部が、第2の積層柱形成領域内のみに形成されていてもよく、第2の積層柱形成領域と、この第2の積層柱形成領域の開口部の短辺方向に隣接する第2の隣接領域のうち少なくとも片側の第2の隣接領域に帯状に形成されていてもよい。例えば図4〜図6において、第2の積層柱8を構成する非画素部着色部のうち、1層目の赤色非画素部着色部5Rは、第2の積層柱形成領域15内のみに形成されており、2層目の青色非画素部着色部5Bは、第2の積層柱形成領域15とこの第2の積層柱形成領域15の開口部の短辺方向nに隣接する第2の隣接領域16とに帯状に形成されており、3層目の緑色非画素部着色部5Gは、第2の積層柱形成領域15内のみに形成されている。
【0089】
なお、「第2の隣接領域」とは、上記第2の積層柱形成領域の開口部の短辺方向に隣接する領域であり、上記第2の積層柱形成領域の開口部の短辺方向の両側に隣接する領域をいう。
また、「非画素部着色部が、第2の積層柱形成領域および第2の隣接領域に帯状に形成されている」とは、非画素部着色部が、第2の積層柱形成領域および第2の隣接領域にて一体に形成されていることをいう。
【0090】
第2の積層柱形成領域の位置としては、長辺方向に隣接する開口部に挟まれる領域であり、上記積層柱形成領域以外の領域であればよい。
【0091】
第2の積層柱は、各色の非画素部着色部が2層以上積層されたものである。各色の非画素部着色部の積層数としては、2層以上であればよく、3層、4層、またはそれ以上であってもよい。中でも、非画素部着色部の積層数は3層であることが好ましい。第2の積層柱を構成する各非画素部着色部の色はそれぞれ異なり、開口部に形成される各色の画素部着色部の形成順により決定される。
【0092】
第2の積層柱の構成としては、各色の非画素部着色部が2層以上積層されたものであれば特に限定されるものではない。なお、各色の非画素部着色部については、後述する着色層の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
【0093】
また、第2の積層柱は、表示領域内の遮光部上に形成されていればよいが、中でも、規則的に形成されていることが好ましい。これにより、ギャップ精度をより一層向上させることができるからである。
【0094】
3.着色層
本発明における着色層は、後述する遮光部が備える開口部に形成された複数色の画素部着色部と、遮光部上に形成され、画素部着色部と同色の複数色の非画素部着色部とを有するものである。また、着色層において、画素部着色部は、長辺方向に隣接する画素部着色部の色が同色となるように、配置されている。
【0095】
さらに、画素部着色部および非画素部着色部の色としては、複数色であればよく、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色、赤(R)、緑(G)、青(B)、黄(Y)の4色、赤(R)、緑(G)、青(B)、黄(Y)、シアン(C)の5色等とすることができる。
【0096】
各色の画素部着色部および非画素部着色部は、各色の顔料や染料等の着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものであり、フォトリソグラフィー法により形成されるものである。
【0097】
赤(R)の画素部着色部および非画素部着色部に用いられる着色剤としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
緑(G)の画素部着色部および非画素部着色部に用いられる着色剤としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青(B)の画素部着色部および非画素部着色部に用いられる着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
【0098】
また、バインダ樹脂としては、透明な樹脂が用いられ、好ましくは所望の弾性変形率を有する樹脂が用いられる。各着色部用感光性樹脂組成物には、異なる弾性変形率を有する樹脂を用いてもよい。中でも、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最下層の非画素部着色部および同色の画素部着色部と、最上層の非画素部着色部および同色の画素部着色部とには、互いに異なる弾性変形率を有する樹脂を用いることが好ましい。具体的には、最下層の非画素部着色部および同色の画素部着色部に用いられる樹脂の弾性変形率が、最上層の非画素部着色部および同色の画素部着色部に用いられる樹脂の弾性変形率よりも小さいことが好ましい。最下層の非画素部着色部および同色の画素部着色部に用いられる樹脂を変形しにくいものとすることにより、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際、大きな荷重に対する耐性を高めることができ、セルギャップの均一性を高めることができるからである。
【0099】
画素部着色部および非画素部着色部に用いられるバインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、着色剤および感光性樹脂を含有する着色部用感光性樹脂組成物に、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0100】
各色の画素部着色部の厚みは、通常、1μm〜5μm程度で設定される。
【0101】
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みを所定の範囲とするためには、最上層の非画素部着色部および同色の画素部着色部を形成するための着色部用感光性樹脂組成物を塗布するのが完了した後、減圧により乾燥を開始するまでの時間を、比較的短くすることが好ましい。具体的には、上記の時間を60秒以下とすることが好ましい。これにより、着色部用感光性樹脂組成物のレベリングを抑制し、最上層の非画素部着色部の厚みを所定の範囲とすることが容易となる。
【0102】
4.遮光部
本発明における遮光部は、基板上にパターン状に形成され、短辺および長辺を有する長方形状の開口部を備えるものである。
【0103】
遮光部の開口部の形状は、短辺および長辺を有する長方形状であればよく、例えば長方形であってもよく、長方形と接するように囲まれる形状であってもよい。長方形と接するように囲まれる形状としては、具体的には、図15(a)および(b)に例示するような長方形の角部に切り欠きを有する形状の開口部12、図15(c)に例示するような楕円形の開口部12、図15(d)に例示するような多角形の開口部12を挙げることができる。
【0104】
遮光部としては、例えば、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrOx膜(xは任意の数)およびCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrOx膜(xは任意の数)、CrNy膜(yは任意の数)およびCr膜が3層積層されたものであってもよい。中でも、遮光部の膜厚を比較的厚くすることができるという点で、遮光部は黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものであることが好ましい。
【0105】
遮光部が黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、遮光部用感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
【0106】
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、着色剤および感光性樹脂を含有する遮光部用感光性樹脂組成物に、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0107】
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
【0108】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2μm〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものである場合は0.5μm〜2μm程度で設定される。
【0109】
5.透明保護層
本発明に用いられる透明保護層は、上記着色層および積層柱を覆うように形成されるものである。
【0110】
透明保護層に用いられる材料としては、上記着色層、積層柱および遮光部から、液晶層への汚染物質の溶出の防止することができ、上記着色層表面を平坦性に優れたものとすることができるものであればよい。このような材料としては、カラーフィルタの透明保護層として一般的に使用されるものを用いることができる。例えば、架橋型樹脂をベースとした化学増幅型感光性樹脂、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型感光性樹脂等や、少なくとも紫外線照射によりラジカル成分を発生する光重合開始剤と、分子内にC=Cなるアクリル基を有し、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する成分と、その後の現像により未露光部が溶解可能となる官能基(例えば、アルカリ溶液による現像の場合は酸性基をもつ成分)とを含有するアクリル系ネガ型感光性樹脂を挙げることができるが、通常、アクリル系ネガ型感光性樹脂が用いられる。
上記アクリル系ネガ型感光性樹脂に用いられるアクリル基を有する成分のうち、比較的低分子量の多官能アクリル分子としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、テトラメチルペンタトリアクリレート(TMPTA)等が挙げられる。また、高分子量の多官能アクリル分子としては、スチレン−アクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体の一部のカルボン酸基部分にエポキシ基を介してアクリル基を導入したポリマー等が挙げられる。
【0111】
また、ノボラック樹脂をベース樹脂としたポジ型感光性樹脂を用いることもできる。
【0112】
上記材料を含む透明保護層用感光性樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等を使用することができる。
【0113】
透明保護層の厚みとしては、0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.1μm〜5μmの範囲内とすることが好ましい。上記範囲内であることにより、上記遮光部、着色層および積層柱から、液晶層への汚染物質の溶出を抑制することができるからである。
【0114】
積層柱上に形成された透明保護層の厚みを比較的厚くするためには、透明保護層用感光性樹脂組成物を塗布するのが完了した後、減圧により乾燥を開始するまでの時間を、比較的短くすることが好ましい。具体的には、上記の時間を60秒以下とすることが好ましい。これにより、透明保護層用感光性樹脂組成物のレベリングを抑制し、積層柱上に形成された透明保護層の厚みを所定の範囲とすることが容易となる。
【0115】
6.基板
本発明に用いられる基板の材料としては、従来からカラーフィルタに用いられているものを用いることができる。このような材料としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明な無機基板、および、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明な樹脂基板等を挙げることができる。なかでも本工程において無機基板を用いることが好ましく、無機材料のなかでもガラス基板を用いることが好ましい。さらには、上記ガラス基板のなかでも無アルカリタイプのガラス基板を用いることが好ましい。上記無アルカリタイプのガラス基板は寸度安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、かつ、ガラス中にアルカリ成分を含まないことから、液晶表示装置用のカラーフィルタに好適に用いることができるからである。
【0116】
基板は、透明な基板であってもよく、または、反射性の基板や白色に着色したものであってもよいが、本発明においては通常透明なものが用いられる。
【0117】
7.その他の構成
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタは、上記の基板、遮光部、着色層、積層柱および透明保護層を有するものであればよく、必要に応じて透明電極層、配向膜、表示領域外積層柱等の他の構成を有していてもよい。
【0118】
本発明においては、上記基板の遮光部、着色層および積層柱が形成されている面とは反対側の面に透明電極層が形成されていてもよい。
透明電極層の形成材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化錫等が挙げられる。
透明電極層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が好ましく用いられる。
また、透明電極層の膜厚としては、通常、100Å〜500Å程度で設定される。
【0119】
また、本発明においては、透明保護層上に配向膜が形成されていてもよい。
配向膜としては、液晶分子を配向させる配向機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、光配向膜、ラビング配向膜などが挙げられる。
本発明においては、透明保護層が形成されていることにより、ラビング処理の際の積層柱の剥がれを抑制することが可能である。
【0120】
さらに、本発明においては、上記の積層柱および第2の積層柱以外に、表示領域外に、各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の表示領域外積層柱が形成されていてもよい。
【0121】
8.横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法
図16は、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
まず、図16(a)に示すように、基板2上に開口部12を備える遮光部3を形成する。
【0122】
次いで、図16(b)に示すように、開口部12に赤色画素部着色部4Rを形成するとともに、積層柱形成領域13に積層柱を構成する赤色非画素部着色部5Rを同時に形成し、かつ、第2の積層柱形成領域15に第2の積層柱を構成する赤色非画素部着色部5Rを同時に形成する。このとき、積層柱を構成する赤色非画素部着色部5Rを同色の赤色画素部着色部4Rと連続的に形成する。また、このとき、積層柱形成領域13および隣接領域14に赤色非画素部着色部5Rを帯状に形成する。
【0123】
次いで、図16(c)に示すように、開口部12に青色画素部着色部4Bを形成するとともに、積層柱形成領域13に積層柱を構成する青色非画素部着色部5Bを同時に形成し、かつ、第2の積層柱形成領域15に第2の積層柱を構成する青色非画素部着色部5Bを同時に形成する。このとき、積層柱および第2の積層柱を構成する青色非画素部着色部5Bを同色の青色画素部着色部4Bと連続的に形成する。また、このとき、積層柱形成領域13および隣接領域14に青色非画素部着色部5Bを帯状に形成し、かつ、第2の積層柱形成領域15および第2の隣接領域16に青色非画素部着色部5Bを帯状に形成する。さらに、この際、積層柱および第2の積層柱を構成する青色非画素部着色部5Bは、積層柱および第2の積層柱を構成する赤色非画素部着色部5R上に形成される。
【0124】
次に、図16(d)に示すように、開口部12に緑色画素部着色部4Gを形成するとともに、積層柱形成領域13に積層柱を構成する緑色非画素部着色部5Gを同時に形成し、かつ、第2の積層柱形成領域15に第2の積層柱を構成する緑色非画素部着色部5Gを同時に形成する。このとき、第2の積層柱を構成する緑色非画素部着色部5Gを同色の緑色画素部着色部4Gと連続的に形成する。また、この際、積層柱および第2の積層柱を構成する緑色非画素部着色部5Gは、積層柱および第2の積層柱を構成する青色非画素部着色部5B上に形成される。さらに、この際、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の緑色非画素部着色部5Gの厚みが所定の範囲内となり、かつ、最下層の赤色非画素部着色部5Rの積層柱形成領域13での開口部の長辺方向の幅に対する最上層の緑色非画素部着色部5Gの積層柱形成領域13での開口部の長辺方向の幅が所定の範囲内となるように、緑色非画素部着色部5Gが形成される。
【0125】
続いて、図示しないが、着色層および積層柱を覆うように、透明保護層を形成する。
このようにして、横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを作製することができる。
【0126】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0127】
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(硬化性樹脂組成物の調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63重量部、アクリル酸(AA)を12重量部、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEMA)を6重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88重量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2´-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)を7重量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、さらに100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、さらにメタクリル酸グリシジル(GMA)を7重量部、トリエチルアミンを0.4重量部、およびハイドロキノンを0.2重量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
次に下記の材料を室温で攪拌、混合して硬化性樹脂組成物とした。
【0128】
<硬化性樹脂組成物の組成>
・上記共重合樹脂溶液(固形分50%):16重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399):24重量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70):4重量部
・2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン:4重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:52重量部
【0129】
(遮光部の形成)
まず、下記分量の成分を混合し、サンドミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調製した。
・黒色顔料:23重量部
・高分子分散材(ビックケミー・ジャパン(株) Disperbyk111):2重量部
・溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル):75重量部
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光部用組成物を得た。
【0130】
<遮光部用組成物の組成>
・上記黒色顔料分散液:61重量部
・上記硬化性樹脂組成物:20重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:30重量部
【0131】
そして、厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株) AN材)上に上記遮光層用組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、遮光層を形成した。この遮光層を、超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光部を形成すべき領域に膜厚1.5μmの遮光部を形成した。得られた遮光部は、開口部の長辺方向の幅が100μmであった。
【0132】
(着色層および積層柱の形成)
上記のようにして遮光部を形成した基板上に、下記組成の赤色硬化性樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布し、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥した。次いで、赤色硬化性樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて着色層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色硬化性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。その後、基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより、加熱処理を施して、赤色画素を形成すべき開口部および積層柱形成に必要な領域に赤色のレリーフパターンを形成した。この赤色のパターンは、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が80μmであった。
【0133】
次に、下記組成の緑色硬化性樹脂組成物を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、緑色画素を形成すべき開口部および積層柱形成に必要な領域に緑色のレリーフパターンを形成した。この緑色のパターンは、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が75μmであった。さらに、下記組成の青色硬化性樹脂組成物を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、青色画素を形成すべき開口部および積層柱形成に必要な領域に青色のレリーフパターンを形成した。この青色のパターンは、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が34μmであった。これにより、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色からなる着色層を形成した。
【0134】
<赤色硬化性樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントレッド177:10重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部
・上記硬化性樹脂組成物:5重量部
・酢酸-3-メトキシブチル:82重量部
【0135】
<緑色硬化性樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントグリーン36:10重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部
・上記硬化性樹脂組成物:5重量部
・酢酸-3-メトキシブチル:82重量部
【0136】
<青色硬化性樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントブルー15:6:10重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部
・上記硬化性樹脂組成物:5重量部
・酢酸-3-メトキシブチル:82重量部
【0137】
(透明保護層の形成)
上記のようにして着色層および積層柱を形成した基板上に、上記硬化性樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布を行った後に、減圧による乾燥を行い、乾燥塗膜2μmの塗布膜を形成した。この硬化性樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて透明保護層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、硬化性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。その後基板を200℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して透明保護層を形成した。
【0138】
(評価)
得られたカラーフィルタにおいて、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みは1.4μmであり、wz/w1は0.43であった。また、遮光部の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さは6.4μmであり、着色層上の透明保護層の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さ(スペーサ高さ)は3.5μmであった。
【0139】
上記のようにして得られたカラーフィルタの積層柱の圧縮特性を微小硬度計(フィッシャー社製H100−V)を用い、下記の2つの条件にて測定し、最大の変形量を測定した。
<低荷重条件>
・平面圧子:100μm角
・荷重:9秒間で0mNから20mNまで荷重を高くし、その後5秒間保持を行った。
<高荷重条件>
・平面圧子:100μm角
・荷重:90秒間で0mNから200mNまで荷重を高くし、その後5秒間保持を行った。
【0140】
上記のようにして得られたカラーフィルタの透明保護層上にポリイミドよりなる配向膜を形成した。次いで、TFTを形成したガラス基板上にIPS液晶を必要量滴下し、上記カラーフィルタを重ね合わせ、UV硬化性樹脂をシール材として用い、常温で0.3kgf/cm2の圧力をかけながら400mJ/cm2の照射量で露光することにより接合して、セル組みし、液晶表示装置を得た。
得られた液晶表示装置において画面表示を行い、セルギャップばらつきによるムラの判定を行った。さらに、液晶表示装置上に10mmφの金属片を置き、金属片の上から20kgf/cm2の荷重を1分間加えた後に荷重を除去し、1分後のムラを観察した。
【0141】
[実施例2]
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みを0.5μmとし、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅について、最下層(1層目)の非画素部着色部の幅w1を72μm、2層目の非画素部着色部の幅を68μm、最上層(3層目)の非画素部着色部の幅wzを16μmとした。wz/w1=0.22であった。また、遮光部の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さを6.0μm、着色層上の透明保護層の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さ(スペーサ高さ)を3.3μmとした。上記以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
得られたカラーフィルタについて、積層柱の圧縮特性を実施例1に記載の方法により測定した。
【0142】
次に、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、実施例1に記載の方法により、セルギャップばらつきによるムラの判定および観察を行った。
【0143】
[比較例1]
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みを0.3μmとし、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅について、最下層(1層目)の非画素部着色部の幅w1を72μm、2層目の非画素部着色部の幅を68μm、最上層(3層目)の非画素部着色部の幅wzを18μmとした。wz/w1=0.25であった。また、遮光部の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さを6.1μm、着色層上の透明保護層の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さ(スペーサ高さ)を3.35μmとした。上記以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
得られたカラーフィルタについて、積層柱の圧縮特性を実施例1に記載の方法により測定した。
【0144】
次に、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、実施例1に記載の方法により、セルギャップばらつきによるムラの判定および観察を行った。
【0145】
[比較例2]
積層柱部の最上部着色層の膜厚を0.8μmとし、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅について、最下層(1層目)の非画素部着色部の幅w1を60μm、2層目の非画素部着色部の幅を56μm、最上層(3層目)の非画素部着色部の幅wzを49μmとした。wz/w1=0.82であった。また、遮光部の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さを5.9μm、着色層上の透明保護層の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さ(スペーサ高さ)を3.52μmとした。上記以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
得られたカラーフィルタについて、積層柱の圧縮特性を実施例1に記載の方法により測定した。
【0146】
次に、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、実施例1に記載の方法により、セルギャップばらつきによるムラの判定および観察を行った。
【0147】
[比較例3]
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みを2.2μmとし、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅について、最下層(1層目)の非画素部着色部の幅w1を72μm、2層目の非画素部着色部の幅を68μm、最上層(3層目)の非画素部着色部の幅wzを66μmとした。wz/w1=0.92であった。また、遮光部の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さを8.9μm、着色層上の透明保護層の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さ(スペーサ高さ)を3.54μmとした。上記以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
得られたカラーフィルタについて、積層柱の圧縮特性を実施例1に記載の方法により測定した。
【0148】
次に、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、実施例1に記載の方法により、セルギャップばらつきによるムラの判定および観察を行った。
【0149】
[比較例4]
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みを0.8μmとし、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅について、最下層(1層目)の非画素部着色部の幅w1を85μm、2層目の非画素部着色部の幅を70μm、最上層(3層目)の非画素部着色部の幅wzを13μmとした。wz/w1=0.15であった。また、遮光部の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さを8.9μm、着色層上の透明保護層の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さ(スペーサ高さ)を3.54μmとした。上記以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
得られたカラーフィルタについて、積層柱の圧縮特性を実施例1に記載の方法により測定した。
【0150】
次に、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、実施例1に記載の方法により、セルギャップばらつきによるムラの判定および観察を行った。
【0151】
[評価]
実施例1,2および比較例1〜4の評価結果を表1に示す。
【0152】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの一例を示す概略平面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】図1におけるB−B線断面図および図4におけるD−D線断面図である。
【図4】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略平面図である。
【図5】図4におけるC−C線断面図である。
【図6】図4におけるE−E線断面図である。
【図7】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略平面図である。
【図8】図7におけるF−F線断面図である。
【図9】図7におけるG−G線断面図である。
【図10】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略平面図である。
【図11】図10におけるH−H線断面図である。
【図12】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図13】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図14】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図15】本発明における開口部を説明する説明図である。
【図16】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
【符号の説明】
【0154】
1 … 横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ
2 … 基板
3 … 遮光部
4 … 着色層
4R … 赤色画素部着色部
4G … 緑色画素部着色部
4B … 青色画素部着色部
5R … 赤色非画素部着色部
5G … 緑色非画素部着色部
5B … 青色非画素部着色部
6 … 積層柱
7 … 透明保護層
8 … 第2の積層柱
d1 … 積層柱の高さ
h1 … 積層柱が形成されている部位のスペーサ高さ
t … 最上層の非画素部着色部の厚み
w1 … 最下層の非画素部着色部の幅
wz … 最上層の非画素部着色部の幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサとして複数色の着色部が積層された積層柱を有する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置の動作モードには、対向する一対の透明基材に平行に配向した液晶分子を透明基材に対して垂直な方向に電界をかけ駆動するツイステッド・ネマティック(Twisted Nematic:TN)方式や、透明基材に対して平行な方向に電界をかける横電界駆動(In Plain Switching:IPS)方式等がある。このような液晶表示装置の動作モードの中でも、近年、液晶ディスプレイとした際に視野角が広いといった利点から液晶表示装置の動作モードとして、IPS方式が普及してきている。
【0003】
一般に、IPS方式用カラーフィルタは、基板上に遮光部、着色層、透明保護層およびスペーサが形成されたものである。このIPS方式用カラーフィルタでは、着色層の表面を平坦化するため、かつ、着色層から液晶層への汚染物質の溶出を防ぐため、通常、着色層上に透明保護層(オーバーコート層とも称する。)が形成される。
【0004】
従来、スペーサの形成方法としては、ガラス、アルミナ又はプラスチック等からなる一定サイズの球状又は棒状粒子を多数散在させる方法が用いられてきたが、スペーサとして粒子を散在させる方法では、スペーサの分布が偏り易い等の種々の問題点があった。
これら粒子状スペーサの問題点を解消する方法として、フォトレジストを用いてフォトリソグラフィー法によりフォトスペーサを形成する方法が開示されている。
また、スペーサとして、複数色の着色部が積層された積層柱を用いる方法も開示されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。
【0005】
ここで、スペーサには、微小な荷重に対して容易に変形する特性が要求される。これは以下の理由によるものである。
例えば液晶が低温に置かれた場合、液晶表示装置を構成する部材はすべて収縮しようとし、構成する部材の中では液晶材料の収縮率が最も大きいため、基板間のギャップが狭くなる方向に収縮することとなる。このとき、スペーサの変形がギャップの狭まりに追従できなくなると、液晶表示装置内部に負圧が生じ、その結果液晶表示装置内に真空気泡(低温発泡)が発生し易くなるからである。
また、例えば液晶表示装置が用いられる際、バックライトから発せられる熱によって、液晶表示装置に熱がかかる。この場合、液晶表示装置を構成する部材は全て膨張しようとし、この場合においても、構成する部材の中で、液晶材料の膨張率が最も大きいことから、基板間のギャップが広くなる方向に膨張することとなる。このとき、上記と同様に、スペーサの変形が、ギャップの広がりに追従できなくなると、液晶セル内部に圧力が生じ、その結果、基板と液晶層との間に隙間ができる。これにより、隙間から液晶材料が溢れ出すこととなり、その溢れ出した液晶材料が重力によって液晶セルから流れ落ち、むら(重力むら)が生じることとなるからである。
【0006】
また近年、液晶表示装置の大画面化が進み、特に液晶テレビに適用される液晶表示装置では大画面化の傾向が強くなっており、広い基板の全域にわたってセルギャップを均一に維持する必要性が高くなってきた。
さらに近年、液晶表示装置の製造工程を簡素化し生産性を向上させるために、室温下でセル圧着を行う方法が提案されており、中でも、ワンドロップフィル(One Drop Fill:ODF)法が主流になりつつなる。ODF法は、カラーフィルタまたは対向基板のような液晶パネル基板に所定量の液晶を滴下し、もう一方の液晶パネル基板を真空下で所定のセルギャップを維持できる状態で対峙させ、貼り合せる方法である。このようなセル圧着法(特にODF法)の場合、セル圧着時に塑性変形を起こさず、均一なセルギャップを形成できるスペーサが求められている。
【0007】
一方、スペーサには、強い力を加え、その後力を除去した後の変位量が小さいことも要求される。これは、局所的に液晶セルに荷重が加えられた場合、例えば指押し試験等の耐圧試験等において、力が除去された後の変位量が大きい場合には、表示不良が発生する可能性があるからである。
【0008】
上記の微小な荷重に対して容易に変形する特性および局所的な荷重に対して変形しにくい特性の2つの特性は相反するものであることから、それぞれの特性を有するスペーサを形成することが困難であり、微小な荷重に対して変形が大きく、強い力に対する変位量の小さい液晶表示装置を形成することが困難であった。
特に、上記フォトスペーサの場合、一般的にはその形状がフォトスペーサの厚み方向に連続的に変化するものとなり、形成可能な形状が制限されるため、得られる変形特性も制限されることとなり、上記2つの特性を両立するのが困難であった。
【0009】
また、近年では、上記2つの特性を両立させるために、高さの異なる2種類のフォトスペーサを設けることが提案されている。
しかしながら、IPS方式用カラーフィルタの製造において、透明保護層と高さの異なる2種類のフォトスペーサとをそれぞれ形成する場合、工程数が増え、生産効率やコスト面での問題があった。
また、高さの高いフォトスペーサと高さの低いフォトスペーサとの高さの差としては、上記2つの特性を両立させるためには、0.2μm〜0.4μm程度に設定する必要がある。そのため、フォトスペーサの面内均一性を維持することが困難であるという問題もあった。
さらに、上記積層柱においても、高さの異なる2種類の積層柱を設けることが提案されているが(例えば特許文献2参照)、この場合でも、高さの差を上記範囲に設定する必要があり、面内均一性を維持することが困難である。
【0010】
【特許文献1】特開平5−196946号公報
【特許文献2】特開2006−23733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記積層柱では、上記フォトスペーサと比較して、その形状を容易に変化させることができるので、所望の変形特性を得ることができると考えられる。しかしながら、高さの異なる積層柱を設けることと荷重特性との関係については提案がなされているものの(例えば特許文献2参照)、積層柱の形状と変形特性との関係についてはほとんど提案されていないのが現状である。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、スペーサとして積層柱を用いたものであり、微小荷重域での変位量が大きく、また局所的な荷重に対しても十分な耐性を有し、さらにセルギャップを一定に保つことが可能である、高品質な横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、上記基板上にパターン状に形成され、短辺および長辺を有する長方形状の開口部を備える遮光部と、上記開口部に形成された複数色の画素部着色部、および、上記遮光部上に形成され、上記複数色の画素部着色部と同色の複数色の非画素部着色部を有し、上記開口部の長辺方向に隣接する上記画素部着色部の色が同色である着色層と、表示領域内の上記遮光部上に形成され、上記各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の積層柱と、上記着色層および上記積層柱を覆うように形成された透明保護層とを有する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタであって、上記積層柱が、長辺方向に隣接する上記開口部に挟まれる積層柱形成領域に形成され、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最上層の上記非画素部着色部の厚みが0.4μm〜2.0μmの範囲内であり、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最下層の上記非画素部着色部の上記積層柱形成領域での上記開口部の長辺方向の幅をw1、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最上層の上記非画素部着色部の上記積層柱形成領域での上記開口部の長辺方向の幅をwzとしたとき、0.2<wz/w1<0.6の関係を満たすことを特徴とする横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを提供する。
【0014】
本発明においては、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みが所定の範囲であり、比較的厚いといえる。また、積層柱形成領域内における開口部の長辺方向の幅について、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最下層の非画素部着色部の幅に対する最上層の非画素部着色部の幅の比が所定の範囲であり、最上層の非画素部着色部の幅が比較的狭く、最下層の非画素部着色部の幅が比較的広いといえる。したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際には、最上層の非画素部着色部によって、その荷重が支えられることとなり、積層柱の変形をより生じやすくすることができる。これにより、例えば重力むらや低温発泡等が生じるのを抑制することができる。一方、液晶表示装置に大きな荷重がかけられた場合には、最下層の非画素部着色部によっても、加えられた荷重を支えることとなることから、積層柱がその荷重に対して大きな抗力を有する。したがって、液晶表示装置に用いた際には局所的な荷重に対しても十分な耐性を有するものとすることができ、またセルギャップを一定にすることが可能な横電界液晶駆動方式用カラーフィルタとすることが可能である。
【0015】
上記発明においては、表示領域内の上記遮光部上に形成され、上記積層柱よりも高さが低く、上記各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の第2の積層柱をさらに有し、上記積層柱が形成されている部位のスペーサ高さと上記第2の積層柱が形成されている部位のスペーサ高さとの差が0.5μm以上であり、表示領域内にて、上記積層柱の個数密度が、上記積層柱および上記第2の積層柱の全体の個数密度の40%〜80%の範囲内であることが好ましい。本発明によれば、上記積層柱を、低荷重条件下での変形量が大きく、高荷重条件下での変形量が小さい変形特性を有するものとすることができる。そのため、上記積層柱よりも高さの低い第2の積層柱を形成する場合、従来とは異なり、第2の積層柱の高さを上記範囲のように比較的低くし、また、積層柱の個数密度を上記範囲のように比較的多くすることが可能である。
【0016】
また、本発明においては、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部の積層数が3層以上であり、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最上層の上記非画素部着色部以外の2層以上の上記非画素部着色部が、上記非画素部着色部と同色の上記画素部着色部と連続的に形成されていることが好ましい。非画素部着色部が画素部着色部と連続的に形成されていることにより、その非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積を比較的広いものとすることできる。非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積が比較的広ければ、その非画素部着色部上に積層される他の非画素部着色部の厚みを比較的厚くすることができる。これにより、積層柱の高さを比較的高くすることができる。このため、積層柱を覆うように透明保護層が形成されていても、スペーサ高さを十分に大きなものとすることができる。したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際には、セルギャップが均一であり、表示品位に優れたものとすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明においては、微小荷重域での変位量が大きく、重力むらや低温発泡等の発生が抑制され、また局所的な荷重に対しても十分な耐性を有し、さらにはセルギャップを一定に保つことが可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタについて詳細に説明する。
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタは、基板と、上記基板上にパターン状に形成され、短辺および長辺を有する長方形状の開口部を備える遮光部と、上記開口部に形成された複数色の画素部着色部、および、上記遮光部上に形成され、上記複数色の画素部着色部と同色の複数色の非画素部着色部を有し、上記開口部の長辺方向に隣接する上記画素部着色部の色が同色である着色層と、表示領域内の上記遮光部上に形成され、上記各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の積層柱と、上記着色層および上記積層柱を覆うように形成された透明保護層とを有する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタであって、上記積層柱が、長辺方向に隣接する上記開口部に挟まれる積層柱形成領域に形成され、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最上層の上記非画素部着色部の厚みが0.4μm〜2.0μmの範囲内であり、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最下層の上記非画素部着色部の上記積層柱形成領域での上記開口部の長辺方向の幅をw1、上記積層柱を構成する上記非画素部着色部のうち、最上層の上記非画素部着色部の上記積層柱形成領域での上記開口部の長辺方向の幅をwzとしたとき、0.2<wz/w1<0.6の関係を満たすことを特徴とするものである。
【0019】
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタについて図面を参照しながら説明する。図1は本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの一例を示す概略平面図であり、図2は図1におけるA−A線断面図、図3は図1におけるB−B線断面図である。なお、図1において、透明保護層は省略されている。
【0020】
図1〜図3に例示する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ1は、基板2と、基板2上に形成され、短辺および長辺を有する長方形状の開口部12を備える遮光部3と、開口部12に形成された赤、緑および青の3色の画素部着色部(4R,4G,4B)および遮光部3上に形成された赤、緑および青の3色の非画素部着色部(5R,5G,5B)を有し、開口部12の長辺方向mに隣接する画素部着色部(4R,4G,4B)の色が同色である着色層と、遮光部3上に形成され、赤、緑および青の3色の非画素部着色部(5R,5G,5B)が積層された積層柱6と、着色層および積層柱を覆うように形成された透明保護層7とを有している。また、積層柱6は、長辺方向mに隣接する開口部12に挟まれる積層柱形成領域13に形成されている。
【0021】
また、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、最上層(3層目)の緑色非画素部着色部5Gの厚み(t)が所定の範囲内となり、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、最下層(1層目)の赤色非画素部着色部5Rの積層柱形成領域13での開口部の長辺方向mの幅(w1)に対する最上層(3層目)の緑色非画素部着色部5Gの積層柱形成領域13での開口部の長辺方向mの幅(wz)の比(wz/w1)が所定の範囲内となっている。
【0022】
図1〜図3に例示するような本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを用いた液晶表示装置において、微小な荷重がかけられた場合、積層柱6上の透明保護層7と、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、最上層(3層目)の緑色非画素部着色部5Gとに荷重がかかることとなる。ここで、本発明においては、最上層の非画素部着色部の厚みが所定の範囲内であり、比較的厚いといえる。また、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅に対する最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅の比が所定の範囲内であり、一般に積層柱が形成される遮光部の幅等は所定の範囲内であるので、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅も自ずと所定の範囲内となり、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅は比較的狭いといえる。すなわち、最上層の非画素部着色部の平面視面積は比較的小さいといえる。したがって、最上層の非画素部着色部の厚みが所定の範囲内であり、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅に対する最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅の比が所定の範囲内であることにより、上記荷重に対する抗力を小さくすることができる。そのため、微小な荷重がかけられた場合、最上層の緑色非画素部着色部5Gは変形しやすく、液晶表示装置の変位量を大きなものとすることができる。
【0023】
さらに、積層柱6を覆うように透明保護層7が形成されている。この透明保護層の形成方法としては、透明保護層用感光性樹脂組成物を塗布する方法が一般的である。透明保護層の形成時において、遮光部、着色層および積層柱が形成された基板上に透明保護層用感光性樹脂組成物を塗布すると、透明保護層用感光性樹脂組成物が、積層柱の頂部から画素部着色部上に流れ落ちるレベリングが生じる。そのため、積層柱6が形成されている部位の透明保護層7の上底面積を、積層柱6を構成する最上層の緑色非画素部着色部5Gの平面視面積よりも、小さくすることができる。これにより、微小な荷重がかけられた場合に、この荷重に対する抗力をより小さくすることができ、積層柱6が形成されている部位の変形を生じやすくすることができる。
【0024】
一方、上記液晶表示装置において、大きな荷重がかけられた場合、その荷重は、積層柱6上の透明保護層7と、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、最上層(3層目)の緑色非画素部着色部5G、2層目の青色非画素部着色部5Bおよび最下層(1層目)の赤色非画素部着色部5Rとによって、支えられることとなる。したがって、液晶表示装置にかかる荷重は分散される。ここで、本発明においては、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅に対する最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅の比が所定の範囲内であり、一般に積層柱が形成される遮光部の幅等は所定の範囲内であるので、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅も自ずと所定の範囲内となり、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅は比較的狭く、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅は比較的広いといえる。すなわち、最上層の非画素部着色部の平面視面積は比較的小さく、最下層の非画素部着色部の平面視面積は比較的大きいといえる。このように、最下層の非画素部着色部の平面視面積が比較的大きいので、最下層(1層目)の赤色非画素部着色部5Rの高さ(厚み)より下方への液晶表示装置の変位が起こりづらく、それ以上の液晶表示装置の変位を少ないものとすることができる。
【0025】
したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを用いることにより、低温発泡や重力むら等のないものとすることができ、かつ、局所的な荷重がかけられた場合であっても、変形等のない、高品質な液晶表示装置を得ることができる。
【0026】
また、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを用いて、セル圧着法、特にODF法により液晶表示装置を製造する場合には、積層柱が形成されている部位は低荷重条件下での変形量が大きいので、セル圧着の際に、圧力むらを緩和または吸収することによって基板全体にわたり荷重を均一化し、ギャップむらの発生を防止することができる。また、圧縮荷重後の開放後も、セルギャップを維持することができる。
【0027】
さらに、液晶表示装置が大面積である場合でも、積層柱が形成されている部位は低荷重条件下での変形量が大きいので、セルギャップを均一に維持することができる。したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタは、液晶テレビに好適に利用することができる。
【0028】
また、積層柱を構成する最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が比較的狭く、平面視面積が比較的小さいと、例えば、積層柱を覆うようにポリイミド膜を形成し、ポリイミド膜にラビング処理を施して、配向膜を形成する場合、ラビング処理の際に、最上層の非画素部着色部が剥がれてしまうおそれがある。これに対し、本発明においては、積層柱を覆うように透明保護層が形成されているので、ラビング処理等による最上層の非画素部着色部の剥がれを抑制することができる。
【0029】
さらに、積層柱が遮光部上に形成されているので、積層柱が形成されることにより表示品質が低下するのを防ぐことができる。したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際には、着色層の輝度低下等が生じることが少ないものとすることができる。
【0030】
本発明における積層柱は2層以上の非画素部着色部が積層されたものであるので、着色層形成時に同時に積層柱を形成することができる。したがって、積層柱を形成するために、別途、積層柱形成工程を行う必要がなく、簡便なプロセスでスペーサを形成することができる。よって、横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの低コスト化を図ることができる。
【0031】
また、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタは、表示領域内の遮光部上に形成され、上記積層柱よりも高さが低く、各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の第2の積層柱をさらに有していてもよい。
【0032】
図4は本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図であり、図5は図4におけるC−C線断面図、図3は図4におけるD−D線断面図、図6は図4におけるE−E線断面図である。なお、図4において、透明保護層は省略されている。
図3および図4〜図6に例示する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ1は、基板2と、基板2上に形成され、短辺および長辺を有する長方形状の開口部12を備える遮光部3と、開口部12に形成された赤、緑および青の3色の画素部着色部(4R,4G,4B)および遮光部3上に形成された赤、緑および青の3色の非画素部着色部(5R,5G,5B)を有し、開口部12の長辺方向mに隣接する画素部着色部(4R,4G,4B)の色が同色である着色層と、遮光部3上に形成され、赤、緑および青の3色の非画素部着色部(5R,5G,5B)が積層された積層柱6と、遮光部3上に形成され、積層柱6よりも高さが低く、赤、緑および青の3色の非画素部着色部(5R,5G,5B)が積層された第2の積層柱8と、着色層、積層柱および第2の積層柱を覆うように形成された透明保護層7とを有している。積層柱6は、長辺方向mに隣接する開口部12に挟まれる積層柱形成領域13に形成されている。また、第2の積層柱8が形成されている部位のスペーサ高さh2が、積層柱6が形成されている部位のスペーサ高さh1よりも低くなっている。
【0033】
従来、高さの異なる2種類のスペーサを形成する場合、高さの高い高スペーサを低荷重条件下での変形量が大きい変形特性を有するものとし、高さの低い低スペーサを高荷重条件下での変形量が小さい変形特性を有するものとしていた。これらの特性を両立させるために、高スペーサおよび低スペーサの高さの差や高スペーサおよび低スペーサの個数密度は制限される傾向にあり、具体的には、高スペーサおよび低スペーサの高さの差は比較的小さく、高スペーサの個数密度が低スペーサの個数密度よりも少なくなるように、設定されていた。
これに対し本発明においては、上述したように、上記積層柱を、低荷重条件下での変形量が大きく、高荷重条件下での変形量が小さい変形特性を有するものとすることができる。すなわち、本発明における積層柱は、従来の高さの異なる2種類のスペーサにそれぞれ要求される特性を兼ね備えることができる。そのため、上記積層柱よりも高さの低い第2の積層柱を形成する場合には、従来と比較して、第2の積層柱の高さを低くし、また、積層柱の個数密度を第2の積層柱の個数密度よりも多くすることが可能である。このように、第2の積層柱の高さを比較的低く設計することが可能であるため、生産安定性を高くすることができる。
【0034】
なお、「画素部着色部」とは、基板上の遮光部の開口部に形成されるものであり、基板上の遮光部の開口部に配置された着色部の部分をいう。また、「非画素部着色部」とは、遮光部上に形成されるものであり、遮光部上に配置された着色部の部分をいう。複数色の画素部着色部の色と複数色の非画素部着色部の色とはそれぞれ同色である。
【0035】
また、「開口部の長辺方向に隣接する画素部着色部の色が同色である」とは、開口部の長辺方向に、同色の画素部着色部が隣接するように配列され、開口部の短辺方向に、異色の画素部着色部が隣接するように配列されていることをいう。例えば図1においては、開口部の長辺方向mに、赤色画素部着色部4Rが隣接し、緑色画素部着色部4Gが隣接し、青色画素部着色部4Bが隣接するように、各画素部着色部が配列されている。また、開口部の短辺方向nに、赤色画素部着色部4Rおよび青色画素部着色部4Bが隣接し、青色画素部着色部4Bおよび緑色画素部着色部4Gが隣接し、図示しないが緑色画素部着色部4Gおよび赤色画素部着色部4Rが隣接するように、各画素部着色部が赤、青、緑の順に繰り返し配列されている。
【0036】
「表示領域」とは、図1に例示するように、開口部12に形成される画素部着色部(4R、4G、4B)とこれらの画素部着色部(4R、4G、4B)間に形成された遮光部3(画素間遮光部)とで画定される領域をいう。画素部着色部(4R、4G、4B)が配列された着色層の外周を囲むように形成された遮光部(額縁遮光部)が設けられている領域は表示領域ではないとする。本発明において、積層柱は、表示領域内の遮光部、すなわち画素間遮光部上に形成されている。
【0037】
「積層柱形成領域」とは、長辺方向に隣接する開口部に挟まれる領域であり、かつ、積層柱が形成される領域である。また、「長辺方向に隣接する開口部に挟まれる領域」とは、長辺方向に隣接する開口部にのみ挟まれ、開口部の短辺に隣接する領域をいう。例えば図1においては、積層柱形成領域13は、長辺方向mに隣接する開口部12にのみ挟まれ、開口部12の短辺に隣接する領域であり、積層柱6が形成される領域となる。
また、「積層柱が、積層柱形成領域に形成されている」とは、積層柱を構成する各非画素部着色部が、平面視上、積層柱形成領域で重なるように形成されることをいう。
【0038】
また、「積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚み」とは、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みであって、最上層の非画素部着色部の厚みのうち最大の厚みをいう。例えば図3において、最上層の非画素部着色部の厚みはtである。
【0039】
「積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅」とは、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最下層の非画素部着色部を、基板の直上方向から正視した場合の、積層柱形成領域内における幅であって、開口部の長辺方向の幅をいう。例えば図1〜図6において、最下層の非画素部着色部(5R)の積層柱形成領域13での開口部の長辺方向mの幅はw1である。また、例えば図7〜図9において、最下層の非画素部着色部(5R)の積層柱形成領域13での開口部の長辺方向mの幅はw1であり、開口部の長辺方向mの遮光部3の幅と等しくなる。なお、図8は図7におけるF−F線断面図、図9は図7におけるG−G線断面図である。
このように、本発明においては、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が、開口部の長辺方向の遮光部の幅と等しくなる場合がある。
また、「積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅」とは、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部を、基板の直上方向から正視した場合の、積層柱形成領域内における幅であって、開口部の長辺方向の幅をいう。例えば図1〜図9において、最上層の非画素部着色部(5G)の積層柱形成領域13での開口部の長辺方向mの幅はwzである。
【0040】
「積層柱を構成する非画素部着色部の平面視面積」とは、積層柱を構成する各非画素部着色部を、基板の直上方向から正視した場合の面積をいう。
【0041】
「積層柱または第2の積層柱の高さ」とは、遮光部の表面から垂直方向に、積層柱または第2の積層柱の頂部までの距離のうち最長の距離をいう。例えば図1〜図9において、積層柱6の高さはd1である。また例えば図4〜図6において、第2の積層柱8の高さはd2である。
また、「積層柱または第2の積層柱が形成されている部位のスペーサ高さ」とは、画素部着色部上に形成された透明保護層の表面から垂直方向に、積層柱上に形成された透明保護層の頂部までの距離のうち最長の距離をいう。例えば図1〜図9において、積層柱6が形成されている部位のスペーサ高さはh1である。また例えば図4〜図6において、第2の積層柱8が形成されている部位のスペーサ高さはh2である。
【0042】
以下、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの各構成について説明する。
【0043】
1.積層柱
本発明における積層柱は、表示領域内の遮光部上に複数形成され、各色の非画素部着色部が2層以上積層されたものである。
【0044】
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みは、0.4μm〜2.0μmの範囲内であり、好ましくは0.5μm〜1.5μmの範囲内、さらに好ましくは0.5μm〜1.0μmの範囲内である。上記最上層の非画素部着色部の厚みが厚いほど、低荷重条件下での変形量を大きくすることができると考えられる。しかしながら、最上層の非画素部着色部の厚みが厚いと、着色層を構成する画素部着色部の厚みも厚くなることから、最上層の非画素部着色部の厚みの上限は、着色層を構成する画素部着色部の厚みに応じて決定される。また、着色層を構成する画素部着色部は、各着色部用感光性樹脂組成物を塗布し、露光および現像することにより形成されるので、着色部用感光性樹脂組成物のレベリング作用によって、最上層の非画素部着色部の厚みは着色層を構成する画素部着色部の厚みよりも薄くなる傾向にある。そのため、最上層の非画素部着色部の厚みの上限は、着色層を構成する画素部着色部の厚みの上限よりも薄くなる傾向にある。したがって、最上層の非画素部着色部の厚みの上限は上記の値程度とされる。また、最上層の非画素部着色部の厚みが上記範囲よりも厚いと、着色層を構成する画素部着色部と同時に最上層の非画素部着色部を形成するのが困難となる場合があるともいえる。さらに、最上層の非画素部着色部の厚みが厚すぎると、例えば配向膜形成時にラビング処理を行う場合には、積層柱上に透明保護層が形成されていても、最上層の非画素部着色部が剥がれるおそれがある。一方、最上層の非画素部着色部の厚みが上記範囲よりも薄いと、低荷重条件下での変形量を大きくすることが困難となる場合がある。
【0045】
また、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅をw1、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅をwzとしたとき、0.2<wz/w1<0.6の関係が成立している。一般に、積層柱が形成される遮光部の幅等は所定の範囲内であり、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅は、開口部の長辺方向の遮光部の幅以下となるように設計されるため、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅も自ずと所定の範囲内となるように制限される。そのため、上記の幅の比が大きいと、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が比較的広くなり、上記の幅の比が小さいと、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が比較的狭くなるといえる。よって、上記の幅の比が上記範囲よりも大きい場合には、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が比較的広くなり、低荷重条件下での変形量を大きくすることが困難となる場合がある。一方、上記の幅の比が上記範囲よりも小さい場合には、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が比較的狭くなり、パターニングが困難となる場合がある。
【0046】
最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅w1は、上記の幅の比を満たしていればよいが、具体的には60μm〜120μm程度とすることができる。
また、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅wzは、上記の幅の比を満たしていればよいが、具体的には、10μm〜60μm程度とすることができる。
【0047】
最下層以外および最上層以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅は、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅よりも広いことが好ましい。最下層以外および最上層以外の非画素部着色部上に、最上層の非画素部着色部を積層するのが容易となるからである。
また、最下層以外および最上層以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅は、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅よりも狭いことが好ましい。最下層の非画素部着色部上に、最下層以外および最上層以外の非画素部着色部を積層するのが容易となるからである。
【0048】
最下層以外および最上層以外の非画素部着色部のうち、下層の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅と上層の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅とは等しくても異なっていてもよいが、中でも、下層の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が上層の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅よりも広いことが好ましい。下層上に上層を積層するのが容易となるからである。
【0049】
最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積と最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積との関係としては、上記の幅の比を満たしていればよく、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積が、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積よりも大きいことが好ましい。
【0050】
また、最下層以外および最上層以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積は、最上層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積よりも大きいことが好ましい。最下層以外および最上層以外の非画素部着色部上に最上層の非画素部着色部を積層するのが容易となるからである。
【0051】
一方、最下層以外および最上層以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積は、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積と等しくてもよく異なっていてもよい。積層柱を所望の高さおよび所望の強度とすることができれば特に限定されるものではなく、具体的には、最下層以外および最上層以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積が、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積と等しくてもよく、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積よりも大きくてもよく、最下層の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積よりも小さくてもよい。例えば図1〜図3において、2層目の非画素部着色部(5B)の積層柱形成領域13での平面視面積は、1層目(最下層)の非画素部着色部(5R)の積層柱形成領域13での平面視面積よりも大きくなっている。一方、例えば図7〜図9において、2層目の非画素部着色部(5B)の積層柱形成領域13での平面視面積は、1層目(最下層)の非画素部着色部(5R)の積層柱形成領域13での平面視面積よりも小さくなっている。
【0052】
さらに、最下層以外および最上層以外の非画素部着色部のうち、下層の積層柱形成領域での平面視面積と上層の積層柱形成領域での平面視面積とは等しくても異なっていてもよい。積層柱を所望の高さおよび所望の強度とすることができれば特に限定されるものではなく、具体的には、下層の積層柱形成領域での平面視面積が、上層の積層柱形成領域での平面視面積と等しくてもよく、上層の積層柱形成領域での平面視面積よりも大きくてもよく、上層の積層柱形成領域での平面視面積よりも小さくてもよい。
【0053】
積層柱を構成する各非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積の大きさとしては、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの用途や種類等に応じて適宜選択されるものである。
【0054】
積層柱の高さとしては、各色の非画素部着色部の厚みや積層数に応じて異なるものであるが、2.0μm〜10.0μm程度で設定され、好ましくは2.5μm〜8.5μmの範囲内、より好ましくは3.5μm〜7.5μmの範囲内である。
【0055】
また、積層柱が形成されている部位の遮光部の表面から透明保護層の頂部までの高さとしては、各色の非画素部着色部および透明保護層の厚みや非画素部着色部の積層数に応じて異なるものであるが、2.0μm〜10.0μm程度で設定され、好ましくは2.5μm〜8.5μmの範囲内、より好ましくは3.5μm〜7.5μmの範囲内である。
なお、「積層柱が形成されている部位の遮光部の表面から透明保護層の頂部までの高さ」とは、積層柱が形成されている部位の遮光部の表面から垂直方向に、透明保護層の頂部までの距離のうち最長の距離をいう。
【0056】
積層柱が形成されている部位のスペーサ高さとしては、所望のセルギャップを形成することができるものであればよいが、具体的には、2.5μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましく、なかでも2.5μm〜4.5μmの範囲内であることが好ましく、特に3.0μm〜4.0μmの範囲内であることが好ましい。上記スペーサ高さが上記範囲よりも低いと、セルギャップの制御が困難であり、また上記スペーサ高さが上記範囲よりも高いと、積層柱の形成が困難になるからである。
【0057】
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部以外の非画素部着色部は、これらの非画素部着色部と同色の画素部着色部と、連続的に形成されていてもよく、非連続的に形成されていてもよい。
【0058】
なお、「非画素部着色部が、この非画素部着色部と同色の画素部着色部と連続的に形成されている」とは、非画素部着色部が、同色の画素部着色部と連続して一体に形成されていることをいう。例えば図1〜図9において、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、1層目の赤色非画素部着色部5Rが、赤色画素部着色部4Rと連続して一体に形成されており、2層目の青色非画素部着色部5Bが、青色画素部着色部4Bと連続して一体に形成されている。
【0059】
一方、「非画素部着色部が、この非画素部着色部と同色の画素部着色部と非連続的に形成されている」とは、非画素部着色部が、同色の画素部着色部と分離して形成されていることをいう。例えば図10および図11において、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、1層目の赤色非画素部着色部5Rが、赤色画素部着色部4Rと接していなく分離して形成されており、2層目の青色非画素部着色部5Bが、青色画素部着色部4Bと接していなく分離して形成されている。
なお、図11は図10におけるH−H線断面図であり、図10において透明保護層は省略されている。
【0060】
中でも、積層柱を構成する非画素部着色部の積層数が3層以上である場合、最上層の非画素部着色部以外の2層以上の非画素部着色部が、これらの非画素部着色部と同色の画素部着色部と、連続的に形成されていることが好ましい。非画素部着色部が同色の画素部着色部と連続的に形成されていることにより、その非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積を比較的大きいものとし、その非画素部着色部の積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅を比較的広くすることが容易となるからである。また、非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積が比較的大きければ、その非画素部着色部上に積層される他の非画素部着色部の厚みを比較的厚くすることができる。これにより、積層柱の高さを比較的高くすることができる。このため、積層柱を覆うように透明保護層が形成されていても、スペーサ高さを十分に大きなものとすることができる。したがって、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際には、セルギャップが均一であり、表示品位に優れたものとすることができる。
【0061】
ここで、最上層の非画素部着色部以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積が比較的大きいことにより、上述した効果を発揮する理由は以下のとおりである。
すなわち、積層柱の形成方法としては、非画素部着色部の形成に用いられる各色の着色部用感光性樹脂組成物を塗布する方法が用いられる。例えば、2層目の非画素部着色部の形成時において、1層目の非画素部着色部上に2色目の感光性樹脂組成物を塗布すると、2色目の着色部用感光性樹脂組成物を塗布した直後には、1層目の非画素部着色部および遮光部の上に比較的均一な厚みで2色目の着色部用感光性樹脂組成物の塗膜が形成される。そして、1層目の非画素部着色部上の2色目の着色部用感光性樹脂組成物の塗膜は、徐々に低い位置へと流れ落ちるレベリングを生じる。同様に、3層目の非画素部着色部の形成時においても、1層目および2層目の非画素部着色部上の3色目の着色部用感光性樹脂組成物の塗膜は、レベリングを生じる。
このとき、最上層の非画素部着色部以外の非画素部着色部の積層柱形成領域での平面視面積が比較的大きいことにより、その平面視面積の大きい非画素部着色部上に他の非画素部着色部を積層する際に、他の非画素部着色部の形成に用いられる着色部用感光性樹脂組成物のレベリングを抑制することができる。したがって、積層柱の高さを高いものとすることができる。このため、積層柱を覆うように透明保護層が形成されていても、スペーサ高さを高いものとすることができるのである。
【0062】
非画素部着色部の積層数が3層以上である場合、最上層の非画素部着色部以外の2層以上の非画素部着色部としては、最上層の非画素部着色部以外であれば、いずれの2層以上の非画素部着色部であってもよい。例えば、非画素部着色部の積層数が3層である場合、最上層(3層目)の非画素部着色部以外の2層以上の非画素部着色部は、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部となる。
【0063】
例えば、非画素部着色部の積層数が3層であり、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部がこれらの非画素部着色部と同色の画素部着色部と連続的に形成されている場合としては、図1〜図9に例示するように、1層目の赤色非画素部着色部5Rが、赤色画素部着色部4Rと連続的に形成され、かつ、2層目の青色非画素部着色部5Bが、青色画素部着色部4Bと連続的に形成されている場合を挙げることができる。
【0064】
また、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部は、通常、この非画素部着色部と同色の画素部着色部と、非連続的に形成される。
【0065】
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部以外の非画素部着色部の形成位置としては、これらの非画素部着色部が積層柱形成領域に形成されていればよい。
【0066】
最上層の非画素部着色部以外の非画素部着色部の形成位置としては、これらの非画素部着色部が、積層柱形成領域内のみに形成されていてもよい。例えば図10および図11において、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、1層目の赤色非画素部着色部5Rおよび2層目の青色非画素部着色部5Bが、積層柱形成領域13内のみに形成されている。
【0067】
また、最上層の非画素部着色部以外の非画素部着色部の形成位置としては、これらの非画素部着色部が、積層柱形成領域と、この積層柱形成領域の開口部の短辺方向に隣接する隣接領域のうち少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されていてもよい。
例えば図1〜図3において、積層柱6が、長辺方向mに隣接する開口部12に挟まれる積層柱形成領域13に形成されており、積層柱6を構成する非画素部着色部のうち、1層目の赤色非画素部着色部5Rおよび2層目の青色非画素部着色部5Bは、積層柱形成領域13、および、この積層柱形成領域13の開口部の短辺方向nに隣接する隣接領域14に、帯状に形成されている。
【0068】
例えば、非画素部着色部の積層数が3層である場合であって、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部が、積層柱形成領域と、この積層柱形成領域の開口部の短辺方向に隣接する隣接領域のうち少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されている場合、図8に例示するように、1層目の非画素部着色部(5R)が積層柱形成領域13内のみに形成され、2層目の非画素部着色部(5B)が積層柱形成領域13および積層柱形成領域13の開口部の短辺方向nに隣接する片側の隣接領域14に帯状に形成されていてもよい。また、図2に例示するように、1層目の非画素部着色部(5R)が積層柱形成領域13および片側の隣接領域14に帯状に形成され、2層目の非画素部着色部(5B)が積層柱形成領域13内のみに形成されていてもよい。さらに、図12に例示するように、1層目の非画素部着色部(5R)が積層柱形成領域13および一方の片側の隣接領域14に帯状に形成され、2層目の非画素部着色部(5B)が積層柱形成領域13および他方の片側の隣接領域14に帯状に形成されていてもよい。また、図13に例示するように、1層目の非画素部着色部(5R)および2層目の非画素部着色部(5B)が、積層柱形成領域13および一方の片側の隣接領域14に帯状に形成され、隣接領域14にて積層されていてもよい。さらに、図14に例示するように、1層目の非画素部着色部(5R)および2層目の非画素部着色部(5B)が、積層柱形成領域13および両側の隣接領域14に帯状に形成され、隣接領域14にて積層されていてもよい。
なお、図12〜図14は、積層柱を含む開口部の短辺方向の断面図である。
【0069】
中でも、非画素部着色部の積層数が3層である場合には、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部の少なくとも一方が、積層柱形成領域および少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されていることが好ましい。1層目の非画素部着色部が、積層柱形成領域および少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されている場合には、2層目の非画素部着色部の形成時において、2色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から隣接領域方向にレベリングするのを抑制することができる。このため、2層目の非画素部着色部の厚みを厚いものとすることができる。また、2層目の非画素部着色部が、積層柱形成領域および少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されている場合には、3層目の非画素部着色部の形成時において、3色目の着色部用感光性樹脂組成物が、積層柱形成領域から隣接領域方向にレベリングするのを抑制することができる。このため、3層目の非画素部着色部の厚みを厚いものとすることができる。このように、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部の少なくとも一方が、積層柱形成領域および少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されていることにより、積層柱の高さを高いものとすることができる。
【0070】
なお、「隣接領域」とは、上記積層柱形成領域の開口部の短辺方向に隣接する領域であり、上記積層柱形成領域の開口部の短辺方向の両側に隣接する領域をいう。例えば図1において、隣接領域14は、積層柱形成領域13の開口部の短辺方向nの両側に隣接する領域となる。
【0071】
また、「非画素部着色部が、積層柱形成領域および隣接領域に帯状に形成されている」とは、非画素部着色部が、積層柱形成領域および隣接領域にて一体に形成されていることをいう。例えば図1〜図6において、赤色非画素部着色部5Rが積層柱形成領域13および隣接領域14にて一体に形成されている。また、例えば図4〜図9において、青色非画素部着色部5Bが積層柱形成領域13および隣接領域14にて一体に形成されている。
【0072】
最上層の非画素部着色部の形成位置としては、上記の幅の比を満たし、最上層の非画素部着色部が積層柱形成領域に形成されていればよく、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの用途等に応じて適宜設定される。
【0073】
非画素部着色部の積層数が3層である場合であって、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部が、積層柱形成領域と、この積層柱形成領域の開口部の短辺方向に隣接する隣接領域のうち少なくとも片側の隣接領域に帯状に形成されている場合、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部のそれぞれの積層柱形成領域および隣接領域での開口部の短辺方向の幅としては、2層目の非画素部着色部および3層目の非画素部着色部の形成時に、2色目および3色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から隣接領域方向にレベリングするのを抑制することが可能であれば特に限定されるものではない。具体的には、上記幅は、30μm以上であることが好ましく、なかでも35μm〜75μmの範囲内であることが好ましく、特に45μm〜65μmの範囲内であることが好ましい。1層目の非画素部着色部の幅が上記範囲内であることにより、2層目の非画素部着色部の形成時に、2色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から隣接領域方向にレベリングすることを抑制することができるからである。このため、上記積層柱の高さを十分な高さとすることができる。また、2層目の非画素部着色部の幅が上記範囲内であることにより、3層目の非画素部着色部の形成時に、3色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から隣接領域方向にレベリングするのを抑制することができるからである。このため、積層柱の高さを十分な高さとすることができる。
なお、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部のそれぞれの積層柱形成領域および隣接領域での開口部の短辺方向の幅とは、1層目の非画素部着色部および2層目の非画素部着色部のそれぞれについて、開口部の短辺方向の長さのうち最大の長さをいう。
【0074】
積層柱形成領域の位置としては、長辺方向に隣接する開口部に挟まれる領域であればよい。中でも、非画素部着色部の積層数が3層である場合、1層目の非画素部着色部または2層目の非画素部着色部と同色の画素部着色部が形成される開口部に挟まれる領域であることが好ましく、特に、1層目の非画素部着色部と同色の着色部が形成される開口部に挟まれる領域であることが好ましい。
積層柱形成領域が、2層目の非画素部着色部と同色の画素部着色部が形成される開口部に挟まれる領域である場合には、3層目の非画素部着色部の形成時において、2層目の非画素部着色部と同色の画素部着色部が、積層柱形成領域を挟む開口部に形成されている。このため、3色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から開口部の長辺方向にレベリングするのを抑制することができる。このため、3層目の非画素部着色部の厚みを厚いものとすることができ、積層柱の高さを高いものとすることができる。
また、積層柱形成領域が、1層目の非画素部着色部と同色の画素部着色部が形成される開口部に挟まれる領域である場合には、2層目の非画素部着色部の形成時において、2色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から開口部の長辺方向にレベリングするのを抑制することができる。また、3層目の非画素部着色部の形成時において、1層目の非画素部着色部と同色の画素部着色部が、積層柱形成領域を挟む開口部に形成されているため、3色目の着色部用感光性樹脂組成物が積層柱形成領域から開口部の長辺方向にレベリングするのを抑制することができる。このため、2層目の非画素部着色部および3層目の非画素部着色部の厚みを厚いものとすることができ、積層柱の高さをより高いものとすることができる。
【0075】
積層柱を構成する非画素部着色部は、後述する着色層をも構成するものである。ここで、着色層は、各着色部用感光性樹脂組成物を塗布し、露光および現像することにより形成される。このため、積層柱を構成する非画素部着色部の積層数が3層である場合であって、開口部に形成される各画素部着色部が赤、青および緑の順番で形成される場合、すなわち、最初に塗工される1色目の着色部用感光性樹脂組成物が赤であり、次に塗工される2色目の着色部用感光性樹脂組成物が青であり、最後に塗工される3色目の着色部用感光性樹脂組成物が緑である場合には、1層目の非画素部着色部が赤、2層目の非画素部着色部が青、3層目の非画素部着色部が緑となる。したがって、積層柱を構成する各非画素部着色部の色はそれぞれ異なり、開口部に形成される各色の画素部着色部の形成順により決定される。
【0076】
積層柱は、各色の非画素部着色部が2層以上積層されたものである。各色の非画素部着色部の積層数としては、2層以上であればよく、3層、4層、またはそれ以上であってもよい。中でも、非画素部着色部の積層数は3層であることが好ましい。横電界液晶駆動方式用カラーフィルタは、通常、赤、緑および青の3色の画素部着色部が配列された着色層を有するものであり、これらの画素部着色部と同色の3色の非画素部着色部を積層することにより、有意な高さの積層柱を得ることができるからである。
【0077】
積層柱の構成としては、各色の非画素部着色部が2層以上積層されたものであれば特に限定されるものではない。なお、各色の非画素部着色部については、後述する着色層の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
【0078】
また、積層柱は、表示領域内の遮光部上に形成されていればよいが、中でも、規則的に形成されていることが好ましい。これにより、ギャップ精度をより一層向上させることができるからである。
【0079】
また、後述の第2の積層柱が形成されている場合、表示領域内にて、積層柱の個数密度は、積層柱および第2の積層柱の全体の個数密度の40%〜80%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは50%〜75%の範囲内、さらに好ましくは50%〜70%の範囲内である。積層柱の個数密度が上記範囲内であることにより、セルギャップの均一性に優れたものとすることができるからである。本発明においては、上述したように、上記積層柱が所望の変形特性を有するので、積層柱の個数密度を比較的多くすることが可能となるのである。
【0080】
2.第2の積層柱
本発明においては、表示領域内の遮光部上に、上記積層柱よりも高さが低く、各色の画素部着色部が2層以上積層された複数の第2の積層柱がさらに形成されていてもよい。
【0081】
第2の積層柱が形成されている部位のスペーサ高さは、積層柱が形成されている部位のスペーサ高さよりも低い。積層柱が形成されている部位のスペーサ高さと、第2の積層柱が形成されている部位のスペーサ高さとの差としては、0.5μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.5μm〜1.0μmの範囲内、さらに好ましくは0.5μm〜0.7μmの範囲内である。上記スペーサ高さの差が上記範囲であれば、第2の積層柱の高さを比較的低く設計することが可能であり、生産安定性を高めることができる。本発明においては、上述したように、上記積層柱が所望の変形特性を有するので、第2の積層柱の高さを比較的低く設計することが可能となるのである。
【0082】
また、第2の積層柱が形成されている部位の遮光部の表面から透明保護層の頂部までの高さとしては、各色の非画素部着色部および透明保護層の厚みや非画素部着色部の積層数に応じて異なるものであるが、1.5μm〜9.5μm程度で設定され、好ましくは2.5μm〜8.5μmの範囲内、より好ましくは3.5μm〜6.5μmの範囲内である。
【0083】
さらに、第2の積層柱が形成されている部位のスペーサ高さとしては、具体的には、1.5μm〜5.5μmの範囲内であることが好ましく、中でも1.5μm〜4.5μmの範囲内であることが好ましく、特に1.5μm〜3.5μmの範囲内であることが好ましい。
【0084】
第2の積層柱を構成する各非画素部着色部の厚み、幅、平面視面積等については、上記スペーサ高さの差を上記範囲とすることができれば、特に限定されるものではない。
【0085】
第2の積層柱は、通常、長辺方向に隣接する開口部に挟まれる第2の積層柱形成領域に形成される。例えば図4〜図6において、第2の積層柱8は、長辺方向mに隣接する開口部12に挟まれる第2の積層柱形成領域15に形成されている。
【0086】
第2の積層柱を構成する各非画素部着色部は、これらの非画素部着色部と同色の画素部着色部と、連続的に形成されていてもよく、非連続的に形成されていてもよい。例えば図4〜図6において、第2の積層柱8を構成する非画素部着色部のうち、1層目の赤色非画素部着色部5Rは同色の赤色画素部着色部4Rと非連続的に形成され、2層目の青色非画素部着色部5Bは同色の青色画素部着色部4Bと連続的に形成され、3層目の緑色非画素部着色部5Gは同色の緑色画素部着色部4Gと連続的に形成されている。
【0087】
なお、「非画素部着色部が、この非画素部着色部と同色の画素部着色部と連続的に形成されている」および「非画素部着色部が、この非画素部着色部と同色の画素部着色部と非連続的に形成されている」については、上記積層柱の項に記載したものと同様である。
【0088】
第2の積層柱を構成する各非画素部着色部の形成位置としては、これらの非画素部着色部が第2の積層柱形成領域に形成されていればよい。具体的には、非画素部着色部が、第2の積層柱形成領域内のみに形成されていてもよく、第2の積層柱形成領域と、この第2の積層柱形成領域の開口部の短辺方向に隣接する第2の隣接領域のうち少なくとも片側の第2の隣接領域に帯状に形成されていてもよい。例えば図4〜図6において、第2の積層柱8を構成する非画素部着色部のうち、1層目の赤色非画素部着色部5Rは、第2の積層柱形成領域15内のみに形成されており、2層目の青色非画素部着色部5Bは、第2の積層柱形成領域15とこの第2の積層柱形成領域15の開口部の短辺方向nに隣接する第2の隣接領域16とに帯状に形成されており、3層目の緑色非画素部着色部5Gは、第2の積層柱形成領域15内のみに形成されている。
【0089】
なお、「第2の隣接領域」とは、上記第2の積層柱形成領域の開口部の短辺方向に隣接する領域であり、上記第2の積層柱形成領域の開口部の短辺方向の両側に隣接する領域をいう。
また、「非画素部着色部が、第2の積層柱形成領域および第2の隣接領域に帯状に形成されている」とは、非画素部着色部が、第2の積層柱形成領域および第2の隣接領域にて一体に形成されていることをいう。
【0090】
第2の積層柱形成領域の位置としては、長辺方向に隣接する開口部に挟まれる領域であり、上記積層柱形成領域以外の領域であればよい。
【0091】
第2の積層柱は、各色の非画素部着色部が2層以上積層されたものである。各色の非画素部着色部の積層数としては、2層以上であればよく、3層、4層、またはそれ以上であってもよい。中でも、非画素部着色部の積層数は3層であることが好ましい。第2の積層柱を構成する各非画素部着色部の色はそれぞれ異なり、開口部に形成される各色の画素部着色部の形成順により決定される。
【0092】
第2の積層柱の構成としては、各色の非画素部着色部が2層以上積層されたものであれば特に限定されるものではない。なお、各色の非画素部着色部については、後述する着色層の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
【0093】
また、第2の積層柱は、表示領域内の遮光部上に形成されていればよいが、中でも、規則的に形成されていることが好ましい。これにより、ギャップ精度をより一層向上させることができるからである。
【0094】
3.着色層
本発明における着色層は、後述する遮光部が備える開口部に形成された複数色の画素部着色部と、遮光部上に形成され、画素部着色部と同色の複数色の非画素部着色部とを有するものである。また、着色層において、画素部着色部は、長辺方向に隣接する画素部着色部の色が同色となるように、配置されている。
【0095】
さらに、画素部着色部および非画素部着色部の色としては、複数色であればよく、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色、赤(R)、緑(G)、青(B)、黄(Y)の4色、赤(R)、緑(G)、青(B)、黄(Y)、シアン(C)の5色等とすることができる。
【0096】
各色の画素部着色部および非画素部着色部は、各色の顔料や染料等の着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものであり、フォトリソグラフィー法により形成されるものである。
【0097】
赤(R)の画素部着色部および非画素部着色部に用いられる着色剤としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
緑(G)の画素部着色部および非画素部着色部に用いられる着色剤としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。これらの顔料もしくは染料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
青(B)の画素部着色部および非画素部着色部に用いられる着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
【0098】
また、バインダ樹脂としては、透明な樹脂が用いられ、好ましくは所望の弾性変形率を有する樹脂が用いられる。各着色部用感光性樹脂組成物には、異なる弾性変形率を有する樹脂を用いてもよい。中でも、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最下層の非画素部着色部および同色の画素部着色部と、最上層の非画素部着色部および同色の画素部着色部とには、互いに異なる弾性変形率を有する樹脂を用いることが好ましい。具体的には、最下層の非画素部着色部および同色の画素部着色部に用いられる樹脂の弾性変形率が、最上層の非画素部着色部および同色の画素部着色部に用いられる樹脂の弾性変形率よりも小さいことが好ましい。最下層の非画素部着色部および同色の画素部着色部に用いられる樹脂を変形しにくいものとすることにより、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを液晶表示装置に用いた際、大きな荷重に対する耐性を高めることができ、セルギャップの均一性を高めることができるからである。
【0099】
画素部着色部および非画素部着色部に用いられるバインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、着色剤および感光性樹脂を含有する着色部用感光性樹脂組成物に、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0100】
各色の画素部着色部の厚みは、通常、1μm〜5μm程度で設定される。
【0101】
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みを所定の範囲とするためには、最上層の非画素部着色部および同色の画素部着色部を形成するための着色部用感光性樹脂組成物を塗布するのが完了した後、減圧により乾燥を開始するまでの時間を、比較的短くすることが好ましい。具体的には、上記の時間を60秒以下とすることが好ましい。これにより、着色部用感光性樹脂組成物のレベリングを抑制し、最上層の非画素部着色部の厚みを所定の範囲とすることが容易となる。
【0102】
4.遮光部
本発明における遮光部は、基板上にパターン状に形成され、短辺および長辺を有する長方形状の開口部を備えるものである。
【0103】
遮光部の開口部の形状は、短辺および長辺を有する長方形状であればよく、例えば長方形であってもよく、長方形と接するように囲まれる形状であってもよい。長方形と接するように囲まれる形状としては、具体的には、図15(a)および(b)に例示するような長方形の角部に切り欠きを有する形状の開口部12、図15(c)に例示するような楕円形の開口部12、図15(d)に例示するような多角形の開口部12を挙げることができる。
【0104】
遮光部としては、例えば、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものや、クロム、酸化クロム等の金属薄膜等が挙げられる。この金属薄膜は、CrOx膜(xは任意の数)およびCr膜が2層積層されたものであってもよく、また、より反射率を低減させたCrOx膜(xは任意の数)、CrNy膜(yは任意の数)およびCr膜が3層積層されたものであってもよい。中でも、遮光部の膜厚を比較的厚くすることができるという点で、遮光部は黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものであることが好ましい。
【0105】
遮光部が黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものである場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、遮光部用感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法等を挙げることができる。
【0106】
上記の場合であって、遮光部の形成方法として印刷法やインクジェット法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース樹脂、カルボキシメチルセルロース樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
また、上記の場合であって、遮光部の形成方法としてフォトリソグラフィー法を用いる場合、バインダ樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系、ポリ桂皮酸ビニル系、もしくは環化ゴム系等の反応性ビニル基を有する感光性樹脂が用いられる。この場合、着色剤および感光性樹脂を含有する遮光部用感光性樹脂組成物に、光重合開始剤を添加してもよく、さらには必要に応じて増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を添加してもよい。
【0107】
一方、遮光部が金属薄膜である場合、この遮光部の形成方法としては、遮光部をパターニングすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、フォトリソグラフィー法、マスクを用いた蒸着法、印刷法等を挙げることができる。
【0108】
遮光部の膜厚としては、金属薄膜の場合は0.2μm〜0.4μm程度で設定され、黒色着色剤をバインダ樹脂中に分散または溶解させたものである場合は0.5μm〜2μm程度で設定される。
【0109】
5.透明保護層
本発明に用いられる透明保護層は、上記着色層および積層柱を覆うように形成されるものである。
【0110】
透明保護層に用いられる材料としては、上記着色層、積層柱および遮光部から、液晶層への汚染物質の溶出の防止することができ、上記着色層表面を平坦性に優れたものとすることができるものであればよい。このような材料としては、カラーフィルタの透明保護層として一般的に使用されるものを用いることができる。例えば、架橋型樹脂をベースとした化学増幅型感光性樹脂、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型感光性樹脂等や、少なくとも紫外線照射によりラジカル成分を発生する光重合開始剤と、分子内にC=Cなるアクリル基を有し、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する成分と、その後の現像により未露光部が溶解可能となる官能基(例えば、アルカリ溶液による現像の場合は酸性基をもつ成分)とを含有するアクリル系ネガ型感光性樹脂を挙げることができるが、通常、アクリル系ネガ型感光性樹脂が用いられる。
上記アクリル系ネガ型感光性樹脂に用いられるアクリル基を有する成分のうち、比較的低分子量の多官能アクリル分子としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、テトラメチルペンタトリアクリレート(TMPTA)等が挙げられる。また、高分子量の多官能アクリル分子としては、スチレン−アクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体の一部のカルボン酸基部分にエポキシ基を介してアクリル基を導入したポリマー等が挙げられる。
【0111】
また、ノボラック樹脂をベース樹脂としたポジ型感光性樹脂を用いることもできる。
【0112】
上記材料を含む透明保護層用感光性樹脂組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等を使用することができる。
【0113】
透明保護層の厚みとしては、0.1μm〜10μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.1μm〜5μmの範囲内とすることが好ましい。上記範囲内であることにより、上記遮光部、着色層および積層柱から、液晶層への汚染物質の溶出を抑制することができるからである。
【0114】
積層柱上に形成された透明保護層の厚みを比較的厚くするためには、透明保護層用感光性樹脂組成物を塗布するのが完了した後、減圧により乾燥を開始するまでの時間を、比較的短くすることが好ましい。具体的には、上記の時間を60秒以下とすることが好ましい。これにより、透明保護層用感光性樹脂組成物のレベリングを抑制し、積層柱上に形成された透明保護層の厚みを所定の範囲とすることが容易となる。
【0115】
6.基板
本発明に用いられる基板の材料としては、従来からカラーフィルタに用いられているものを用いることができる。このような材料としては、例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明な無機基板、および、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明な樹脂基板等を挙げることができる。なかでも本工程において無機基板を用いることが好ましく、無機材料のなかでもガラス基板を用いることが好ましい。さらには、上記ガラス基板のなかでも無アルカリタイプのガラス基板を用いることが好ましい。上記無アルカリタイプのガラス基板は寸度安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、かつ、ガラス中にアルカリ成分を含まないことから、液晶表示装置用のカラーフィルタに好適に用いることができるからである。
【0116】
基板は、透明な基板であってもよく、または、反射性の基板や白色に着色したものであってもよいが、本発明においては通常透明なものが用いられる。
【0117】
7.その他の構成
本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタは、上記の基板、遮光部、着色層、積層柱および透明保護層を有するものであればよく、必要に応じて透明電極層、配向膜、表示領域外積層柱等の他の構成を有していてもよい。
【0118】
本発明においては、上記基板の遮光部、着色層および積層柱が形成されている面とは反対側の面に透明電極層が形成されていてもよい。
透明電極層の形成材料としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化亜鉛、酸化錫等が挙げられる。
透明電極層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により薄膜を形成し、フォトリソグラフィー法によりパターニングする方法が好ましく用いられる。
また、透明電極層の膜厚としては、通常、100Å〜500Å程度で設定される。
【0119】
また、本発明においては、透明保護層上に配向膜が形成されていてもよい。
配向膜としては、液晶分子を配向させる配向機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、光配向膜、ラビング配向膜などが挙げられる。
本発明においては、透明保護層が形成されていることにより、ラビング処理の際の積層柱の剥がれを抑制することが可能である。
【0120】
さらに、本発明においては、上記の積層柱および第2の積層柱以外に、表示領域外に、各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の表示領域外積層柱が形成されていてもよい。
【0121】
8.横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法
図16は、本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
まず、図16(a)に示すように、基板2上に開口部12を備える遮光部3を形成する。
【0122】
次いで、図16(b)に示すように、開口部12に赤色画素部着色部4Rを形成するとともに、積層柱形成領域13に積層柱を構成する赤色非画素部着色部5Rを同時に形成し、かつ、第2の積層柱形成領域15に第2の積層柱を構成する赤色非画素部着色部5Rを同時に形成する。このとき、積層柱を構成する赤色非画素部着色部5Rを同色の赤色画素部着色部4Rと連続的に形成する。また、このとき、積層柱形成領域13および隣接領域14に赤色非画素部着色部5Rを帯状に形成する。
【0123】
次いで、図16(c)に示すように、開口部12に青色画素部着色部4Bを形成するとともに、積層柱形成領域13に積層柱を構成する青色非画素部着色部5Bを同時に形成し、かつ、第2の積層柱形成領域15に第2の積層柱を構成する青色非画素部着色部5Bを同時に形成する。このとき、積層柱および第2の積層柱を構成する青色非画素部着色部5Bを同色の青色画素部着色部4Bと連続的に形成する。また、このとき、積層柱形成領域13および隣接領域14に青色非画素部着色部5Bを帯状に形成し、かつ、第2の積層柱形成領域15および第2の隣接領域16に青色非画素部着色部5Bを帯状に形成する。さらに、この際、積層柱および第2の積層柱を構成する青色非画素部着色部5Bは、積層柱および第2の積層柱を構成する赤色非画素部着色部5R上に形成される。
【0124】
次に、図16(d)に示すように、開口部12に緑色画素部着色部4Gを形成するとともに、積層柱形成領域13に積層柱を構成する緑色非画素部着色部5Gを同時に形成し、かつ、第2の積層柱形成領域15に第2の積層柱を構成する緑色非画素部着色部5Gを同時に形成する。このとき、第2の積層柱を構成する緑色非画素部着色部5Gを同色の緑色画素部着色部4Gと連続的に形成する。また、この際、積層柱および第2の積層柱を構成する緑色非画素部着色部5Gは、積層柱および第2の積層柱を構成する青色非画素部着色部5B上に形成される。さらに、この際、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の緑色非画素部着色部5Gの厚みが所定の範囲内となり、かつ、最下層の赤色非画素部着色部5Rの積層柱形成領域13での開口部の長辺方向の幅に対する最上層の緑色非画素部着色部5Gの積層柱形成領域13での開口部の長辺方向の幅が所定の範囲内となるように、緑色非画素部着色部5Gが形成される。
【0125】
続いて、図示しないが、着色層および積層柱を覆うように、透明保護層を形成する。
このようにして、横電界液晶駆動方式用カラーフィルタを作製することができる。
【0126】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0127】
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(硬化性樹脂組成物の調製)
重合槽中にメタクリル酸メチル(MMA)を63重量部、アクリル酸(AA)を12重量部、メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル(HEMA)を6重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を88重量部仕込み、攪拌し溶解させた後、2,2´-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)を7重量部添加し、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、さらに100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、さらにメタクリル酸グリシジル(GMA)を7重量部、トリエチルアミンを0.4重量部、およびハイドロキノンを0.2重量部添加し、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
次に下記の材料を室温で攪拌、混合して硬化性樹脂組成物とした。
【0128】
<硬化性樹脂組成物の組成>
・上記共重合樹脂溶液(固形分50%):16重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社 SR399):24重量部
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ社 エピコート180S70):4重量部
・2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン:4重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:52重量部
【0129】
(遮光部の形成)
まず、下記分量の成分を混合し、サンドミルにて十分に分散し、黒色顔料分散液を調製した。
・黒色顔料:23重量部
・高分子分散材(ビックケミー・ジャパン(株) Disperbyk111):2重量部
・溶剤(ジエチレングリコールジメチルエーテル):75重量部
次に、下記分量の成分を十分混合して、遮光部用組成物を得た。
【0130】
<遮光部用組成物の組成>
・上記黒色顔料分散液:61重量部
・上記硬化性樹脂組成物:20重量部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル:30重量部
【0131】
そして、厚み1.1mmのガラス基板(旭硝子(株) AN材)上に上記遮光層用組成物をスピンコーターで塗布し、100℃で3分間乾燥させ、遮光層を形成した。この遮光層を、超高圧水銀ランプで遮光パターンに露光した後、0.05wt%水酸化カリウム水溶液で現像し、その後、基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより加熱処理を施して遮光部を形成すべき領域に膜厚1.5μmの遮光部を形成した。得られた遮光部は、開口部の長辺方向の幅が100μmであった。
【0132】
(着色層および積層柱の形成)
上記のようにして遮光部を形成した基板上に、下記組成の赤色硬化性樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布し、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥した。次いで、赤色硬化性樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて着色層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、赤色硬化性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。その後、基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより、加熱処理を施して、赤色画素を形成すべき開口部および積層柱形成に必要な領域に赤色のレリーフパターンを形成した。この赤色のパターンは、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が80μmであった。
【0133】
次に、下記組成の緑色硬化性樹脂組成物を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、緑色画素を形成すべき開口部および積層柱形成に必要な領域に緑色のレリーフパターンを形成した。この緑色のパターンは、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が75μmであった。さらに、下記組成の青色硬化性樹脂組成物を用いて、赤色のレリーフパターン形成と同様の工程で、青色画素を形成すべき開口部および積層柱形成に必要な領域に青色のレリーフパターンを形成した。この青色のパターンは、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅が34μmであった。これにより、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色からなる着色層を形成した。
【0134】
<赤色硬化性樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントレッド177:10重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部
・上記硬化性樹脂組成物:5重量部
・酢酸-3-メトキシブチル:82重量部
【0135】
<緑色硬化性樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントグリーン36:10重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部
・上記硬化性樹脂組成物:5重量部
・酢酸-3-メトキシブチル:82重量部
【0136】
<青色硬化性樹脂組成物の組成>
・C.I.ピグメントブルー15:6:10重量部
・ポリスルホン酸型高分子分散剤:3重量部
・上記硬化性樹脂組成物:5重量部
・酢酸-3-メトキシブチル:82重量部
【0137】
(透明保護層の形成)
上記のようにして着色層および積層柱を形成した基板上に、上記硬化性樹脂組成物をスピンコーティング法により塗布を行った後に、減圧による乾燥を行い、乾燥塗膜2μmの塗布膜を形成した。この硬化性樹脂組成物の塗布膜から100μmの距離にフォトマスクを配置してプロキシミティアライナにより2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて透明保護層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。次いで、0.05wt%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像し、硬化性樹脂組成物の塗布膜の未硬化部分のみを除去した。その後基板を200℃の雰囲気中に30分間放置することにより加熱処理を施して透明保護層を形成した。
【0138】
(評価)
得られたカラーフィルタにおいて、積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みは1.4μmであり、wz/w1は0.43であった。また、遮光部の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さは6.4μmであり、着色層上の透明保護層の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さ(スペーサ高さ)は3.5μmであった。
【0139】
上記のようにして得られたカラーフィルタの積層柱の圧縮特性を微小硬度計(フィッシャー社製H100−V)を用い、下記の2つの条件にて測定し、最大の変形量を測定した。
<低荷重条件>
・平面圧子:100μm角
・荷重:9秒間で0mNから20mNまで荷重を高くし、その後5秒間保持を行った。
<高荷重条件>
・平面圧子:100μm角
・荷重:90秒間で0mNから200mNまで荷重を高くし、その後5秒間保持を行った。
【0140】
上記のようにして得られたカラーフィルタの透明保護層上にポリイミドよりなる配向膜を形成した。次いで、TFTを形成したガラス基板上にIPS液晶を必要量滴下し、上記カラーフィルタを重ね合わせ、UV硬化性樹脂をシール材として用い、常温で0.3kgf/cm2の圧力をかけながら400mJ/cm2の照射量で露光することにより接合して、セル組みし、液晶表示装置を得た。
得られた液晶表示装置において画面表示を行い、セルギャップばらつきによるムラの判定を行った。さらに、液晶表示装置上に10mmφの金属片を置き、金属片の上から20kgf/cm2の荷重を1分間加えた後に荷重を除去し、1分後のムラを観察した。
【0141】
[実施例2]
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みを0.5μmとし、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅について、最下層(1層目)の非画素部着色部の幅w1を72μm、2層目の非画素部着色部の幅を68μm、最上層(3層目)の非画素部着色部の幅wzを16μmとした。wz/w1=0.22であった。また、遮光部の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さを6.0μm、着色層上の透明保護層の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さ(スペーサ高さ)を3.3μmとした。上記以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
得られたカラーフィルタについて、積層柱の圧縮特性を実施例1に記載の方法により測定した。
【0142】
次に、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、実施例1に記載の方法により、セルギャップばらつきによるムラの判定および観察を行った。
【0143】
[比較例1]
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みを0.3μmとし、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅について、最下層(1層目)の非画素部着色部の幅w1を72μm、2層目の非画素部着色部の幅を68μm、最上層(3層目)の非画素部着色部の幅wzを18μmとした。wz/w1=0.25であった。また、遮光部の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さを6.1μm、着色層上の透明保護層の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さ(スペーサ高さ)を3.35μmとした。上記以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
得られたカラーフィルタについて、積層柱の圧縮特性を実施例1に記載の方法により測定した。
【0144】
次に、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、実施例1に記載の方法により、セルギャップばらつきによるムラの判定および観察を行った。
【0145】
[比較例2]
積層柱部の最上部着色層の膜厚を0.8μmとし、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅について、最下層(1層目)の非画素部着色部の幅w1を60μm、2層目の非画素部着色部の幅を56μm、最上層(3層目)の非画素部着色部の幅wzを49μmとした。wz/w1=0.82であった。また、遮光部の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さを5.9μm、着色層上の透明保護層の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さ(スペーサ高さ)を3.52μmとした。上記以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
得られたカラーフィルタについて、積層柱の圧縮特性を実施例1に記載の方法により測定した。
【0146】
次に、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、実施例1に記載の方法により、セルギャップばらつきによるムラの判定および観察を行った。
【0147】
[比較例3]
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みを2.2μmとし、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅について、最下層(1層目)の非画素部着色部の幅w1を72μm、2層目の非画素部着色部の幅を68μm、最上層(3層目)の非画素部着色部の幅wzを66μmとした。wz/w1=0.92であった。また、遮光部の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さを8.9μm、着色層上の透明保護層の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さ(スペーサ高さ)を3.54μmとした。上記以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
得られたカラーフィルタについて、積層柱の圧縮特性を実施例1に記載の方法により測定した。
【0148】
次に、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、実施例1に記載の方法により、セルギャップばらつきによるムラの判定および観察を行った。
【0149】
[比較例4]
積層柱を構成する非画素部着色部のうち、最上層の非画素部着色部の厚みを0.8μmとし、積層柱形成領域での開口部の長辺方向の幅について、最下層(1層目)の非画素部着色部の幅w1を85μm、2層目の非画素部着色部の幅を70μm、最上層(3層目)の非画素部着色部の幅wzを13μmとした。wz/w1=0.15であった。また、遮光部の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さを8.9μm、着色層上の透明保護層の表面から積層柱上の透明保護層の頂部までの高さ(スペーサ高さ)を3.54μmとした。上記以外は、実施例1と同様にしてカラーフィルタを作製した。
得られたカラーフィルタについて、積層柱の圧縮特性を実施例1に記載の方法により測定した。
【0150】
次に、実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
得られた液晶表示装置について、実施例1に記載の方法により、セルギャップばらつきによるムラの判定および観察を行った。
【0151】
[評価]
実施例1,2および比較例1〜4の評価結果を表1に示す。
【0152】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの一例を示す概略平面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】図1におけるB−B線断面図および図4におけるD−D線断面図である。
【図4】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略平面図である。
【図5】図4におけるC−C線断面図である。
【図6】図4におけるE−E線断面図である。
【図7】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略平面図である。
【図8】図7におけるF−F線断面図である。
【図9】図7におけるG−G線断面図である。
【図10】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略平面図である。
【図11】図10におけるH−H線断面図である。
【図12】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図13】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図14】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図15】本発明における開口部を説明する説明図である。
【図16】本発明の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
【符号の説明】
【0154】
1 … 横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ
2 … 基板
3 … 遮光部
4 … 着色層
4R … 赤色画素部着色部
4G … 緑色画素部着色部
4B … 青色画素部着色部
5R … 赤色非画素部着色部
5G … 緑色非画素部着色部
5B … 青色非画素部着色部
6 … 積層柱
7 … 透明保護層
8 … 第2の積層柱
d1 … 積層柱の高さ
h1 … 積層柱が形成されている部位のスペーサ高さ
t … 最上層の非画素部着色部の厚み
w1 … 最下層の非画素部着色部の幅
wz … 最上層の非画素部着色部の幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上にパターン状に形成され、短辺および長辺を有する長方形状の開口部を備える遮光部と、前記開口部に形成された複数色の画素部着色部、および、前記遮光部上に形成され、前記複数色の画素部着色部と同色の複数色の非画素部着色部を有し、前記開口部の長辺方向に隣接する前記画素部着色部の色が同色である着色層と、表示領域内の前記遮光部上に形成され、前記各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の積層柱と、前記着色層および前記積層柱を覆うように形成された透明保護層とを有する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタであって、
前記積層柱が、長辺方向に隣接する前記開口部に挟まれる積層柱形成領域に形成され、
前記積層柱を構成する前記非画素部着色部のうち、最上層の前記非画素部着色部の厚みが0.4μm〜2.0μmの範囲内であり、
前記積層柱を構成する前記非画素部着色部のうち、最下層の前記非画素部着色部の前記積層柱形成領域での前記開口部の長辺方向の幅をw1、前記積層柱を構成する前記非画素部着色部のうち、最上層の前記非画素部着色部の前記積層柱形成領域での前記開口部の長辺方向の幅をwzとしたとき、0.2<wz/w1<0.6の関係を満たすことを特徴とする横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ。
【請求項2】
表示領域内の前記遮光部上に形成され、前記積層柱よりも高さが低く、前記各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の第2の積層柱をさらに有し、
前記積層柱が形成されている部位のスペーサ高さと前記第2の積層柱が形成されている部位のスペーサ高さとの差が0.5μm以上であり、
表示領域内にて、前記積層柱の個数密度が、前記積層柱および前記第2の積層柱の全体の個数密度の40%〜80%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ。
【請求項3】
前記積層柱を構成する前記非画素部着色部の積層数が3層以上であり、前記積層柱を構成する前記非画素部着色部のうち、最上層の前記非画素部着色部以外の2層以上の前記非画素部着色部が、前記非画素部着色部と同色の前記画素部着色部と連続的に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ。
【請求項1】
基板と、前記基板上にパターン状に形成され、短辺および長辺を有する長方形状の開口部を備える遮光部と、前記開口部に形成された複数色の画素部着色部、および、前記遮光部上に形成され、前記複数色の画素部着色部と同色の複数色の非画素部着色部を有し、前記開口部の長辺方向に隣接する前記画素部着色部の色が同色である着色層と、表示領域内の前記遮光部上に形成され、前記各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の積層柱と、前記着色層および前記積層柱を覆うように形成された透明保護層とを有する横電界液晶駆動方式用カラーフィルタであって、
前記積層柱が、長辺方向に隣接する前記開口部に挟まれる積層柱形成領域に形成され、
前記積層柱を構成する前記非画素部着色部のうち、最上層の前記非画素部着色部の厚みが0.4μm〜2.0μmの範囲内であり、
前記積層柱を構成する前記非画素部着色部のうち、最下層の前記非画素部着色部の前記積層柱形成領域での前記開口部の長辺方向の幅をw1、前記積層柱を構成する前記非画素部着色部のうち、最上層の前記非画素部着色部の前記積層柱形成領域での前記開口部の長辺方向の幅をwzとしたとき、0.2<wz/w1<0.6の関係を満たすことを特徴とする横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ。
【請求項2】
表示領域内の前記遮光部上に形成され、前記積層柱よりも高さが低く、前記各色の非画素部着色部が2層以上積層された複数の第2の積層柱をさらに有し、
前記積層柱が形成されている部位のスペーサ高さと前記第2の積層柱が形成されている部位のスペーサ高さとの差が0.5μm以上であり、
表示領域内にて、前記積層柱の個数密度が、前記積層柱および前記第2の積層柱の全体の個数密度の40%〜80%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ。
【請求項3】
前記積層柱を構成する前記非画素部着色部の積層数が3層以上であり、前記積層柱を構成する前記非画素部着色部のうち、最上層の前記非画素部着色部以外の2層以上の前記非画素部着色部が、前記非画素部着色部と同色の前記画素部着色部と連続的に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の横電界液晶駆動方式用カラーフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−210935(P2009−210935A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55497(P2008−55497)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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