説明

樹枝状ポリマーを含む難燃性組成物。

【課題】樹枝状ポリマーを含む難燃性組成物を提供すること。
【解決手段】
本発明は、
a)直鎖若しくは分枝鎖の3価若しくは4価アルコール、及び直鎖の5価若しくは6価アルコールから成る群から選択された少なくとも1つのポリオール、
b)少なくとも1つメラミンを含むの化合物、並びに
c)水酸基によって置換された少なくとも1つの樹状ポリマー、
の反応によって得られた生成物、並びにこれらの生成物を含む難燃性組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹枝状ポリマーを含む新規難燃性組成物、及びポリマー、好ましくは熱可塑性ポリマー中でのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
難燃剤はポリマー物質(合成又は天然の)に、ポリマーの難燃性能を強化するために添加される。その組成に依存して、難燃剤は、固相、液相、又は気相で、化学的に、例えば窒素の遊離による泡立ちとして、及び/又は物理的に、泡の被膜を作ることにより作用する。難燃剤は例えば加熱、分解、発火又は火炎拡散など特定の段階の間に、燃焼工程を妨げる。
【0003】
特許文献1は、所望によりポリマー担体材料の添加を伴う、メラミンを含む化合物とポリオールとの押出機での反応による、メラミンベースの難燃剤の製造のための方法を開示している。ピロリン酸メラミン及びペンタエリトリトールは1成分難燃剤として組み合せられ、そして容器中で175℃ないし275℃で加熱した。この方法の明らかな不利点は、難燃剤の製造に少なくとも0.5時間から4時間までの加工時間を必要とする事に起因する。
【0004】
メラミンベースの難燃剤の製造のための方法は特許文献2に開示されている。この文献は、ペンタエリトリトール及びリン酸メラミンを含む粉末のブレンドが製造される方法を開示している。これらの粉末のブレンドは、しかしながら、例えば配合又は射出形成の間などポリマー中の粉末ブレンド加工の間、発泡が起きる事から、ポリマー組成物生産のためのそれらの適用性において、強く制限される。
【0005】
深刻な問題が、ホスホン酸エステル群を含有する1成分難燃剤が、水和されやすいことに起因する。これらの難燃剤添加物がポリプロピレンのようなポリマー材料とブレンドされる場合、それらの感湿性が、ポリマーの難燃効果の低下及び電気絶縁特性の減少をもたらすポリマーマトリクスからの難燃剤分子の多量の滲出を引き起こす。
【0006】
ポリマーの難燃性組成物の耐水性向上には様々な方法が知られている。それらは、ポリビニルアセテートのようなポリマーの部分的なリン酸化、ビニルピロリドンとコモノマーとのコポリマーを用いた酸源APP粒子の酸源のような極性難燃性成分のカプセル化、界面活性剤(非イオン性又はイオン性)を用いた難燃剤の改良、又はポリオール(極性種)の、酸化ジアルキル錫、ジアルコキシジアルキル錫又はポリオールアルキル炭酸塩のような他のチャー形成物での置き換えを含む。
【0007】
特許文献3には、メラミンを含む化合物とポリオールの反応によるメラミンベースの難燃剤の製造のための方法であって、メラミンを含む化合物はリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン及びポリリン酸メラミンから成る群から選択された化合物を含み、並びにポリオールはペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール及びトリペンタエリトリトールから成る群から選択されるところの方法が開示されている。この反応は、メラミンを含む化合物とポリオールの分子量比が1.0:1.0ないし4.0:1.0で押出機での反応押出しにより行われ、そして反応は200℃ないし300℃の温度で実行される。
【0008】
先行技術による方法で得られた組成物は、上昇させた温度での水中保管試験(滲出試験)において、限られた耐性しか有しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,010,137号明細書
【特許文献2】国際公開第00/68337号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2004/055029号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、メラミンベースの難燃剤及び高い流動性を有するそのマスターバッチの製造のための改善された方法を提供することである。
【0011】
本発明の特定の目的は、難燃性能(難燃規格UL94V−0)及び機械的特性を保ちながら耐水性を向上させた、ポリマーの難燃性組成物の製造にある。
【0012】
所望によりポリマー担体材料の添加を伴う、メラミンを含む化合物、ポリオール及び、4より多いOH官能基を持つ付加的なポリマー成分の間の反応により得られる膨張性難燃剤(INFR)に関する本発明により、これらの目的は達成される。メラミンベースの難燃剤は高い耐水性の難燃性ポリマー組成物の製造に特に好適である。メラミンベースの難燃剤のより高い熱安定性のため、前記ポリマー組成物は特許文献1に開示されたポリマー組成物と比較して高い温度で成型する事ができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、
a)直鎖若しくは分枝鎖の3価若しくは4価アルコール、直鎖の5価若しくは6価アルコール、炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状アルドース、及び炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状ケトースから成る群から選択された、少なくとも1つのポリオール、b)少なくとも1つの、メラミンを含む化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された少なくとも1つの樹枝状ポリマー、
の反応により得られた生成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の記載で使用される一般的な用語は、特に指定のない限り次のように定義する。
【0015】
直鎖若しくは分枝鎖の3価アルコールは、例えば、グリセロール又はトリメチロールエタンである。
【0016】
直鎖の4価アルコールは、例えば、エリトリトール及びその3つの異性体、例えばD−、L−及びメソ−エリトリトールである。
【0017】
分枝鎖の4価アルコールは、例えば、ペンタエリトリトールである。
【0018】
直鎖の5価若しくは6価アルコールは、例えば、D(+)−及びL(−)−アラビトール、アドニトール、若しくはキシリトールのような直鎖のペンチトールから、又はD−ソルビトール、D−マンニトール若しくはズルシトールのような直鎖のヘキシトールから誘導される。
【0019】
炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状アルドース、及び炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状ケトースは、例えば、D(−)−及びL(+)−エリトロース若しくはD(−)−及びL(+)−トレオースのような炭素原子数4のアルドース、D(−)−及びL(+)アラビノース、D(−)−リボース若しくはD(+)−キシロースのような炭素原
子数5のアルドース、D(+)−グルコース、D(+)−マンノース若しくはD(+)−ガラクトースのような炭素原子数6のアルドース、又はフルクトース若しくはL(−)−ソルボースのような炭素原子数6のケトース、及びそれらのエピマー体から誘導される。
【0020】
用語メラミンを含む化合物は、メラミン構造、すなわち1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン(シアヌル酸トリアミド)又はその縮合物が存在しているどのような化合物もその範囲に含む。その定義はメラミンのモノマー、オリゴマー若しくはポリマー化合物、メラミンの縮合物、又はメラミンとホスホン酸の縮合物に当てはまる。
【0021】
好ましいメラミンを含む化合物は、シアヌル酸メラミン、リン酸メラミン、リン酸ジメラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ホウ酸メラミン、リン酸アンモニウムメラミン、ポリリン酸アンモニウムメラミン、ピロリン酸アンモニウムメラミン、メレム、メラム又はメロン又は、メレム、メラム若しくはメロンのポリリン酸塩である。
【0022】
上記で述べた型のメラミンを含む化合物は既知である。それらのいくつかは市販されている。
【0023】
ヒドロキシル基により置換された樹枝状ポリマーは、デンドリマー、通常のデンドロン、デンドリグラフト、又はハイパーブランチ状ポリマーを含む、どのような樹枝状ポリマーをもその範囲に含む。
【0024】
デンドリマー、デンドロン、デンドリグラフト又はハイパーブランチ状ポリマーの製造及び特性解析は既知である。デンドリマー及びデンドロンの例及びそれらの合成方法は、米国特許第4,507,466号明細書、米国特許第4,588,120号明細書、米国特許第4,568,737号明細書、米国特許第4,587,329号明細書、米国特許第4,632,337号明細書、米国特許第4,694,064号明細書、米国特許第4,713,975号明細書、米国特許第4,737,550号明細書、米国特許第4,871,779号明細書及び米国特許第4,857,599号明細書から知られている。
【0025】
ハイパーブランチ状ポリマーの例及びその合成方法は米国特許第5,418,301号明細書から知られている。
【0026】
いくつかの樹枝状ポリマーは例えばパーストープ社( www.perstorp.co
)から市販されている。
【0027】
好ましい樹枝状ポリマーは、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリアルキレンイミン、ポリアミドアミン、ポリエーテルアミド、ポリアリーレン、ポリアルキレン、芳香族ポリアルキレン、ポリアリールアセチレン及び/又はリン若しくはケイ素含有デンドリマー又はそれらの組み合わせに基づいたデンドリマーである。
【0028】
好ましい実施態様によると、パーストープ社から「ボルトーン(登録商標:Boltorn)」という商標名の下に市販されている、ヒドロキシル基により置換された樹枝状ポリマーが特に好適である。これら樹枝状ポリマーは、多官能性のコアから成るポリエステル型のものであり、該コアから枝が広がって多くの末端ヒドロキシル基を有する高度に分岐した特有の構造を与える。コアはトリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール又はそれらの誘導体のような誘導体から成る。ハイパーブランチ状構造は、2,2−ジメチロールプロピオン酸(Bis−MPA)から構築される。好適な製品は
・ボルトーンH20(16個の末端ヒドロキシル基、公称分子量1750 g/ mol
、非晶質、Tg:25℃)
・ボルトーンH2003(12個の末端ヒドロキシル基、公称分子量2300 g/m
ol、部分的に脂肪酸で終端、Tg:−5℃)
・ボルトーンH2004(6個の末端ヒドロキシル基、公称分子量3100 g /mo
l、Tg:−35℃、室温で液体、23℃での粘度は15Pas)
・ボルトーンH30(32個の末端ヒドロキシル基、公称分子量3600 g/ mol
、非晶質、Tg:35℃)
・ボルトーンH40(64個の末端ヒドロキシル基、公称分子量7300 g/ mol
、非晶質、Tg:40℃)
【0029】
ボルトーンH20の代表的な構造式を以下に示す。
【化1】

【0030】
別の好ましい実施態様によると、P.フローリング、J.Polymer Scienc
e:パートA:ポリマーケミストリー、42巻、3110−3115頁(2004年)に記載されている通り、ヒドロキシル基で置換された樹枝状ポリマーが特に好適である。
【0031】
好適な樹枝状ポリマーは、環状無水物とジイソプロパノールアミンの開始反応、従って、1個の−COOH基及び2個の−OH基を有する第三アミドが生成及び、それに続く重縮合から得られる。
【0032】
好適な環状無水物はシス−1,2−シクロヘキサン−ジカルボン酸無水物(HHPA)、シス−1,2−シクロヘキセ−4−エン−ジカルボン酸無水物(THPA)、フタル酸無水物(PA)、コハク酸無水物(SA)、1−オクテ−2−エン−コハク酸無水物(OSA)及びグルタル酸無水物(GA)である。例えば、ジイソブタノールアミン又はジシクロヘキサノールアミンなどの他のアミンも使用し得る。
【0033】
これらのポリマーはディー・エス・エムコーポレーション(ディー・エス・エムハイブレイン社、www.dms.com)から「ハイブレイン(登録商標:Hybrane)」という商標名の下に市販されている。ハイブレイン(HYBRANE)ポリマーは、幅広い分子量分布を有する。分子量は1000ないし10000の範囲内であり、3ないし5の多分散度を有する。好ましい製品は次の通りである。
・ハイブレインP1000(フタル酸無水物+ジイソプロパノールアミン、5. 5OH
基、重量平均分子量:800)
・ハイブレインS1200(フタル酸無水物+ジイソプロパノールアミン、8OH基、重量平均分子量:1200)
・ハイブレインH1500(ヘキサヒドロフタル酸無水物+ジイソプロパノール アミン、8OH基、重量平均分子量:1500)
・ハイブレインPS2550(フタル酸無水物+ジイソプロパノールアミン+ス テアリン酸、4OH基、4ステアロイル基、重量平均分子量:2500)
【0034】
フタル酸無水物及びジイソプロパノールアミンから得られるハイブレイン製品のコア構造の代表的な構造式を以下に与える。
【化2】

【0035】
好ましい実施態様によると、本発明は、
a)直鎖若しくは分枝鎖の3価若しくは4価アルコール、
b)メラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート及びメラミンポリホスフェートから成る群から選択された少なくとも1つのメラミン化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された少なくとも1つの樹枝状ポリマー、
の反応により得られた生成物に関する。
【0036】
特に好ましい実施態様によると、本発明は、
a)ペンタエリトリトール及びジペンタエリトリトールから成る群から選択された4価アルコール、
b)メラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート及びメラミンポリホスフェートから成る群から選択されたメラミン化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された、ポリエステル又はポリアミド型の樹枝状ポリマー、
の反応により得られた生成物に関する。
【0037】
非常に好ましい実施態様によると、本発明は、
a)ペンタエリトリトール及びジペンタエリトリトールから成る群から選択された4価アルコール、
b)メラミンホスフェート及びメラミンピロホスフェートから成る群から選択されたメラ
ミン化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換されたポリエステル又はポリアミド型の樹枝状ポリマー、
の反応により得られた生成物に関する。
【0038】
極めて非常に好ましい実施態様によると、本発明は、
a)ペンタエリトリトール、
b)メラミンホスフェート、並びに
c)トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール及びエトキシ化ペンタエリトリトール及び連鎖延長されたジメチロールプロピオン酸、又は環状カルボン酸無水物とジイソプロパノールアミンの重縮合生成物から成る群から選択された開始剤化合物から形成された、樹枝状ポリエステル
の反応により得られた生成物に関する。
【0039】
本発明による生成物は、反応混合又は反応配合法、特に、成分a),b)及びc)、並びに所望により、更なる添加物及びポリマーを混合して、そして溶融する通常の混合機での反応押出法により得られる。
【0040】
反応生成物中に存在する成分a)、b)及びc)の量は、幅広い限度内で変化し得る。成分a)の好ましい範囲は、約10.0ないし50.0質量%、成分b)の好ましい範囲は、約40.0ないし80.0質量%及び成分c)の好ましい範囲は、約0.1ないし10.0質量%である。
【0041】
特に好ましい実施態様によると、成分a)の範囲は、約15.0ないし40.0質量%、成分b)の範囲は、約50.0ないし75.0質量%及び成分c)の範囲は、約0.1ないし10.0質量%である。
【0042】
特に好ましい実施態様によると、成分a)の範囲は約15.0ないし30.0質量%、成分b)は約60.0ないし75.0質量%及び成分c)は約0.1ないし10.0質量%である。
【0043】
本発明による生成物は、その優れた熱安定性を特徴とする。本発明の記載の文脈では、熱安定性はメラミンベースの難燃剤の加熱時の発泡に対する耐性の程度として定義される。より正確な難燃性組成物の熱安定性の区別のために、熱質量分析(TGA)及び示差走査熱量測定(DSC)のような物理化学的方法を使用し得る。
【0044】
成分a)、b)及びc)の反応は、約100℃ないし300℃の間の温度で実行され得る。しかしながら、完全な変換のためには、反応は200℃より高い温度で実行されなければならない。
【0045】
反応のための最大温度は、300℃より低い温度で選択される。好ましくは、反応は、220℃ないし280℃の温度範囲で行う。220℃ないし280℃では反応速度と反応生成物の分解との良いバランス得られる。より好ましくは、反応は230℃ないし260℃の温度で行う。この温度範囲で生成されたメラミンベースの難燃剤の熱安定性は優れている。
【0046】
反応のための時間は一般的に1分ないし1時間、好ましくは1ないし20分である。
【0047】
本発明の生成物は、例えば合成ポリマー、特に熱可塑性プラスチックなどのポリマーに対し難燃性能を与えることに極めて優れている。上に定義した成分a)、b)及びc)に加
え、ポリマー材料を担体樹脂として押出機に加えることは有利であるということが見出されている。特に270℃より低い温度での押出成形機操作の場合、難燃性組成物中30質量%以下のポリマーの存在で、より一定の押出量が達成される。ポリマー全般の量は少なく、例えば、難燃性組成物の全質量に関して、5.0ないし30.0質量%、特に5.0ないし20.0%に維持されるべきである。
【0048】
本発明の好ましい実施態様では、成分a)、b)及びc)の押出反応は、ポリマー成分の存在下、特に5.0ないし20.0質量%のポリマーの存在下で行われる。
【0049】
押出温度、好ましくは300℃より低い加工温度での溶融加工に対して好適などのような型のポリマー材料も選択され得る。一般的に、ポリマー又は担体樹脂は、難燃性を必要とするポリマーマトリクス材料に従い選択される。ポリプロピレン及びポリエチレンは、それが非常に入手し易く、そして加工し易いために第一選択肢である。この点において、高密度ポリエチレン、HDPEを使用することで、淡色の難燃性ポリマー組成物製造のために有利である、淡色のメラミンベースの難燃剤ペレットを製造し得ることが見出された。別の実施態様において、ポリプロピレンの使用は有利であることが見出されている。高い流動性及び複合材料の優れた難燃性能及び機械的特性が組み合わされた、許容できる色の難燃剤マスターバッチが得られる。更に、ポリマーを使用することで、メラミンベースの難燃剤のペレットが容易に得られる。
【0050】
本発明のポリマー組成物のために好適なその他のポリマーは、300℃より低い温度、好ましくは280℃よりも低い温度で加工されるポリマーである。
【0051】
本発明の更なる実施態様は、
A)
a)直鎖若しくは分枝鎖の3価若しくは4価アルコール、直鎖の5価若しくは6価アルコール、炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状のアルドース、及び炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状のケトースから成る群から選択された、少なくとも1つのポリオール、
b)少なくとも1つの、メラミンを含む化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された少なくとも1つの樹枝状ポリマー、
の反応により得られた生成物、並びに
B)ポリマー基質、
を含む難燃性組成物である。
【0052】
B)に従う好適なポリマー基質は、以下のような合成ポリマーから成る。
1.モノ−及びジオレフィンのポリマー、例えばポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニルシクロヘキサン、ポリイソプレン又はポリブタジエン及びまた、シクロオレフィンの、例えばシクロペンテン又はノルボルネンの重合体;及び又、ポリエチレン(所望により架橋され得る)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE−HMW)、超高分子量の高密度ポリエチレン(HDPE−UHMW)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、及び線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、(VLDPE)及び(ULDPE)。
【0053】
ポリオレフィン、すなわち前の段落において例示したモノオレフィンのポリマー、特にポリエチレン及びポリプロピレンは、様々な方法によりそしてとりわけ以下の方法により製造され得る:
a)ラジカル重合によって(通常は高圧下において及び高温度において)。
b)触媒存在下。ここで該触媒は、通常、周期表のIVb、Vb、VIb又はVIII群
の金属の一つ以上を含む。このような金属は一般的に、一つ以上の置換基又は配位子、例えば、π−又はσ−配位し得る酸化物、ハロゲン化物、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル基、アルケニル基及び/又はアリール基を有する。このような金属錯体は遊離形態であるか、又は担体に、例えば活性化塩化マグネシウム、チタン(III)クロリド、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素に固定され得る。このような触媒は、重合化媒体中に可溶又は不溶であり得る。該触媒は、重合においてそのまま活性であり得るか、又は他の活性化剤、例えば金属アルキル、金属ヒドリド、金属アルキルハライド、金属アルキルオキシドまたは金属アルキルオキサンが使用され得る。このことは、特に周期表のIa、IIa及び/又はIIIa群の金属にあてはまる。該活性化剤は、例えば、他のエステル、エーテル、アミン又はシリルエーテル基で変性され得る。このような触媒系は、通常、フィリップス、スタンダード・オイル・インディアナ、チーグラー (チーグラ
ー・ナッタ)、TNZ(デュポン)、メタロセン又はシングルサイト触媒(SSC)として既知である。
【0054】
2.1)で言及されたポリマーの混合物、例えばポリプロピレンとポリイソブチレン、ポリプロピレンとポリエチレン(例えば、PP/HDPE、PP/LDPE)の混合物、及び異なる型のポリエチレンの混合物(例えば、LDPE/HDPE)。
【0055】
3.モノ−及びジオレフィンの互いの又は他のビニルモノマーとのコポリマー、例えばエチレン/プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)及びそれの低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブテン−1コポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブテン−1コポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキサンコポリマー、エチレン/シクロオレフィンコポリマー、例えば、エチレン/ノルボルネン(COC)、1−オレフィンがその場で生成されるエチレン/1−オレフィンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/ビニルシクロヘキセンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エチレン/アクリル酸コポリマー及びそれらの塩(アイオノマー)及び又エチレンと、プロピレン及びへキサジエン、ジシクロペンタジエン又はエチリデンノルボルネンのようなジエンとのターポリマー;及び又は、そのようなコポリマーの互いの及び1)で言及したポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン−エチレン/プロピレンコポリマー、LDPE−エチレン/酢酸ビニルコポリマー、LDPE−エチレン/アクリル酸コポリマー、LLDPE−エチレン/酢酸ビニルコポリマー、LLDPE−エチレン/アクリル酸コポリマー及び交互又はランダム構造のポリアルキレン−一酸化炭素コポリマー及びそれらの他のポリマー及びそれらと他のポリマー、例えばポリアミドとの混合物。
【0056】
4.ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。
【0057】
5.芳香族ビニルモノマー、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、例えばp−ビニルトルエンなどのビニルトルエンの全ての異性体、エチルスチレン、プロピルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンの全ての異性体、及びそれらの混合物から誘導された芳香族ホモポリマー及びコポリマーであり、ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチック立体構造を有し得;好ましいものは、アタクチックポリマーである。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0058】
6.ホモポリマー及びコポリマーはシンジオタクチック、アイソタクチック、ヘミ−アイソタクチック又はアタクチック立体構造を有し;好ましいものは、アタクチックポリマー
である。ステレオブロックポリマーもまた含まれる。
【0059】
6a.既に言及された芳香族ビニルモノマーとエチレン、プロピレン、ジエン、ニトリル、酸、マレイン酸無水物、マレイン酸アミド、酢酸ビニル、塩化ビニル及びアクリル酸誘導体及びその混合物から選択されたコモノマーを含むコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/エチレン(インターポリマー)、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート及びメタクリレート、スチレン/マレイン酸無水物、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;スチレンコポリマー及び他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーからなる高耐衝撃性の混合物;及び又、スチレンのブロックコポリマー、例えば、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン−ブチレン/スチレン又はスチレン/エチレン−プロピレン/スチレン。
【0060】
6b.6.)で言及されたポリマーの水素化により製造された水素化芳香族ポリマー、特にアタクチックポリスチレンを水素化することにより製造され、しばしばポリビニルシクロヘキサン(PVCH)としても言及されるポリシクロヘキシルエチレン(PCHE)。
【0061】
6c.6a.)で言及されたポリマーの水素化により製造された水素化芳香族ポリマー。
【0062】
7.芳香族ビニルモノマーのグラフトコポリマー、例えばポリブタジエンにスチレン、ポリブタジエン/スチレン又はポリブタジエン/アクリロニトリルコポリマーにスチレン、ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリル(又はメタクリロニトリル);ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレート;ポリブタジエンにスチレン及びマレイン酸無水物;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリル及びマレイン酸無水物又はマレイン酸イミド;ポリブタジエンにスチレン及びマレイン酸イミド、ポリブタジエンにスチレン及びアルキルアクリレート又はアルキルメタクリレート、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーにスチレン及びアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレート又はポリアルキルメタクリレートにスチレン及びアクリロニトリル;アクリレート/ブタジエンコポリマーにスチレン及びアクリロニトリル、並びにそれらの6)に言及されたコポリマーとの混合物、例えば、いわゆるABS、MBS、ASA又はAESポリマーとして既知のもの。
【0063】
8.α,β−不飽和酸から誘導されたポリマー及び、ポリアクリレート及びポリメタクリレートのようなそれらの誘導体、又はブチルアクリレートで耐衝撃改善されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド及びポリアクリロニトリル。
【0064】
9.8)で言及されたモノマーの互いの又は他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/ビニルハライドコポリマー又はアクリロニトリル/アルキルメタクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0065】
10.不飽和アルコール及びアミンから誘導されたポリマー又はそれらのアシル誘導体又はアセタール、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレエート又はポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート又はポリアリルメラミン;及び1で言及されたオレフィンとそれらのコポリマー。
【0066】
11.ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまた
はビスグリシジルエーテルとそれらのコポリマーのような環式エーテルのホモポリマー及びコポリマー。
【0067】
12.ポリオキシメチレン、及び又コモノマー、例えばエチレンオキシドを含むポリオキシメチレンのようなポリアセタール;熱可塑性ポリウレタン、アクリレートまたはMBSで変性されたポリアセタール。
【0068】
13.ポリフェニレンオキシド及びスルフィド、及びそれらのスチレンポリマー又はポリアミドとの混合物。
【0069】
14.ジアミンとジカルボン酸から及び/又はアミノカルボン酸又は対応するラクタムから誘導されたポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレン、ジアミン及びアジピン酸から誘導された芳香族ポリアミド;ポリアミド6/I(ポリヘキサメチレンイソフタルイミド)、MXD(m−キシリレンジアミン);へキサメチレンジアミン及びイソフタル酸及び/又はテレフタル酸及び所望により、変性剤としてのエラストマーから製造されたポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド又はポリ−m−フェニレンイソフタルアミド。上述されたポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマー又は化学的に結合されたか又はグラフトされたエラストマーとの、又は例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールのようなポリエーテルとのブロックコポリマー。又、EPDM又はABSで変性されたポリアミド又はコポリアミド;及び加工の間に縮合されたポリアミド(「RIMポリアミド系」)。
【0070】
使用され得るポリアミド及びコポリアミドの例は、とりわけ、ε−カプロラクタム、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、2−メチル−ペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、m−キシリレンジアミン又はビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン;及び又、例えば70ないし95%のポリアミド6/6及び5ないし30%のポリアミド6/Iから成るポリアミド66/6Iのような半−芳香族(semi−aromatic)ポリアミド;及び又いくらかのポリアミド6/6が置き換えられている、例えば60ないし89%のポリアミド6/6、5ないし30%のポリアミド6/I及び1ないし10%の他の脂肪族ポリアミドからなるトリコポリマー;後者は例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12又はポリアミド6/12の単位から成り得る。従ってこのようなトリコポリマーはポリアミド66/6I/6、ポリアミド66/6I/11、ポリアミド66/6I/12、ポリアミド66/6I/610又はポリアミド66/6I/612と指定される。
【0071】
15.ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン及びポリベンズイミダゾール。
【0072】
16.ジカルボン酸とジアルコールから及び/又はヒドロキシカルボン酸又は対応するラクトンから誘導されたポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレート(PAN)及びポリヒドロキシベンゾエート、及び又末端ヒドロキシル基を有するポリエーテルから誘導されたブロックポリエーテルエステル;及び又、ポリカーボネート又はMBSで変性されたポリエステル。
【0073】
17.ポリカーボネート及びポリエステルカーボネート。
【0074】
18.ポリケトン
【0075】
19.ポリスルホン、ポリエーテルスルホン及びポリエーテルケトン。
【0076】
20.前述したポリマーの混合物(ポリブレンド)、例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDM又はABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6及びコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO、PBT/PC/ABS又はPBT/PET/PC。
【0077】
熱可塑性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、発泡性ポリスチレン(EPS)、発泡ポリスチレン(XPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)又はABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)型ポリマーブレンド又はPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)型ポリマーブレンド又はPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/耐衝撃性ポリスチレン)型ポリマーブレンド、特にポリアミド、ポリエステル又はPPE/HIPSブレンドであるところの組成物が好ましい。
【0078】
充填剤又は強化剤を含む本発明によるポリマー組成物、例えば、充填剤入りのポリエチレン、ポリスチレン及び特にタルクが充填されたポリプロピレンなどが特に好ましい。
【0079】
本発明の好ましい実施態様は、
A)
a)ペンタエリトリトール及びジペンタエリトリトールから成る群から選択された4価アルコール、
b)メラミンホスフェート及びメラミンピロホスフェートから成る群から選択されたメラミン化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された、ポリエステル又はポリアミド型樹枝状ポリマー、
の反応により得られる生成物、並びに
B)熱可塑性ポリマー基質、
を含む難燃性組成物に関する。
【0080】
本発明の非常に好ましい実施態様は、
A)
a)ペンタエリトリトール、
b)メラミンホスフェート、並びに
c)トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール及びエトキシ化ペンタエリトリトール及び連鎖延長されたジメチロールプロピオン酸又は環状カルボン酸無水物とジイソプロパノールアミンの重縮合生成物から成る群から選択された開始剤化合物から形成された樹枝状ポリエステル、
の反応により得られた生成物、並びに
B)ポリエチレン、ポリプロピレン及び耐衝撃性のポリスチレンから成る群から選択された熱可塑性ポリマー基質、
を含む難燃性組成物に関する。
【0081】
本発明は更に、上記で定義した成分a)、b)及びc)の反応により得られる生成物に加
え、d)ポリマー安定剤並びにリン原子含有難燃剤、更なる窒素原子含有難燃剤、ハロゲン化された難燃剤及び無機の難燃剤のような追加の難燃剤から成る群から選択された更なる添加物を含む組成物に関連する。
【0082】
安定剤は好ましくはハロゲン原子を含有せず、ニトロキシル安定剤、ニトロン安定剤、アミン酸化物安定剤、ベンゾフラノン安定剤、ホスファイト及びホスホナイト安定剤、キノンメチド安定剤及び2、2’−アルキリデンビスフェノールのモノアクリレートエステル安定剤から選択される。
【0083】
本成分d)としての追加の難燃剤は、既知の成分であるか、市販品であるか又は既知の方法で手に入れ得る。
【0084】
成分b)について上記で定義したメラミン化合物に加えて、代表的なリン原子含有難燃剤は、例えば:
テトラフェニルレゾルシノールジホスフィット(フィロルフレックス(登録商標:FYROLFLEX)RDP、アクゾノベル(Akzo Nobel)社製)、テトラキス(ヒ
ドロキシメチル)ホスホニウムスルフィド、トリフェニルホスフェート、ジエチル−N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノメチルホスホネート、リン酸のヒドロキシアルキルエステル、アンモニウムポリホスフェート(APP)又は(ホスタフラム(登録商標:HOSTAFLAM)AP750)、レゾルシノールジホスフェートオリゴマー(RDP)、ホスファゼン難燃剤及びエチレンジアミンジホスフェート(EDAP)である。
【0085】
更に窒素原子含有難燃剤は、例えば、ポリイソシアヌレート、イソシアヌル酸のエステル又はイソシアヌレートのようなのイソシアヌレート難燃剤である。代表的な例は、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシメチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドロキシ−n−プロピル)イソシアヌレート又はトリグリシジルイソシアヌレートのようなヒドロキシアルキルイソシアヌレートである。
【0086】
更なる例は、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコールウリル、メラミンシアヌレート、ウレアシアヌレート及びアンモニウムポリホスフェートである。
【0087】
代表的な有機ハロゲン難燃剤は、例えば:
ポリ臭素化ジフェニルオキシド(DE−60F,グレートレイクスコーポレーション社製)、デカブロモジフェニルオキシド(DBDPO;セイテックス(登録商標:SAYTEX)102E)、トリス[3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル]ホスフェート(PB370(登録商標)、エフエムシーコーポレーション製)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、クロレンド酸、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、ポリ−β−クロロエチルトリホスホネート混合物、ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(PE68)、臭素化エポキシ樹脂、エチレン−ビス(テトラブロモフタルイミド)(セイテックス(登録商標:SAYTEX)BT−93)、ビス(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタン(デクロレイン プラス(登録商標:DECLORANE PLUS)、塩素化パラフィン、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサクロロシクロペンタジエン誘導体、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン(FF680)、テトラブロモ−ビスフェノールA(セイテックス(登録商標:SAYTEX)RB100)、エチレンビス−(ジブロモ−ノルボルナンジカルボキシイミド)(セイテックス(登録商標:SAYTEX)BN−451)、ビス−(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタン、PTFE、トリス−(2,3−ジブロモプロピル)−イソシアヌレート及びエチレン−ビス−テトラブロモフタルイミドである。
【0088】
上記で言及した難燃剤は、通常、無機(水)酸化物相乗剤と組み合わされる。この使用において最も一般的なものは、Al(OH)3又はAlOOHのような(水)酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛又は酸化アンチモン、例えばSb23又はSb25である。ホウ素化合物及びケイ酸塩も好適である。
【0089】
上記で言及したように、本発明に従った組成物は、更に、例えば、顔料、染料、可塑剤、抗酸化剤、チキソトロープ剤、均展補助剤、塩基性補助安定剤、金属不動態化剤、金属酸化物、有機リン化合物、更なる光安定剤及びそれらの混合物、特に顔料、フェノール系抗酸化剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール及び/又は2−(2−ヒドロキ
シフェニル)−1,3,5−トリアジン群のUV吸収剤から選択された1種以上の慣用の添加剤を付加的に含み得る。
【0090】
本発明の更なる実施態様は、
ポリオールとメラミンを含む化合物との反応によるメラミンベースの難燃剤の製造のための方法であって、
a)直鎖若しくは分枝鎖の3価若しくは4価アルコール、直鎖の5価若しくは6価アルコール、炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状アルドース、及び炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状ケトースから成る群から選択された、少なくとも1つのポリオール、b)少なくとも1つの、メラミンを含む化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された少なくとも1つの樹枝状ポリマー、
をポリマー存在下反応させること、及び所望により更に加工すること、を特徴とする方法に関する。
【0091】
従って本発明は、合成ポリマーに、特に熱可塑性ポリマーに難燃性能を与えるための本発明による難燃剤の使用、及び少なくとも1つの本発明記載の難燃剤が合成ポリマー中に配合されるか又はそれらの表面に適用される、合成ポリマーに難燃性能を与える方法にも関する。
【0092】
上記に定義した、成分a)、b)及びc)を含む反応生成物、並びに所望の更なる成分のポリマー成分B)への配合は、粉末形態での乾式混合又は例えば不活性溶媒中、水中又は油中での溶液、分散液又は懸濁液の形態での湿式混合のような既知の方法により行われる。添加剤成分a)、b)及びc)並びに所望の更なる添加物は、例えば、成形の前後に配合されるか、又は、溶解又は分散した添加剤又は添加剤混合物をポリマー材料に適用することによっても、それに続く溶剤又は懸濁剤/分散剤の蒸発を伴うか伴わずに配合され得る。それらは、乾燥混合物、ペレット若しくは粉末として、又は溶液若しくは分散液若しくは懸濁液若しくは溶融物として加工装置(例えば押出機、内部ミキサー等)へ直接加えられる。
【0093】
ポリマー成分B)への添加剤成分の添加は、ポリマーが融解されそして添加剤と混合される、全ての慣用の混合機で行うことができる。好適な機械は当業者に知られている。これらは主にミキサー、混練機、押出機である。
【0094】
特に好ましい加工機は2軸押出機、例えば2重反転又は共回転の2軸押出機である。他の加工機械は遊星歯車押出機、環状押出機又はコニーダーである。真空が適用できる、少なくとも1つの気体又は蒸気除去部が備えられた加工機を使用することも可能である。
【0095】
好適な押出機または混練機は、例えば、Handbuch der Kunststoffextrusion、1巻Grundlagen、F.ヘンセン、W.ナップ、Hポテ
ンテ編、1989年、3−7頁、ISBN:3−446−14339−4(2巻Extrusionsanlagen 1986年、ISBN3−446−14329−7)に記載されている。
【0096】
例えば、スクリューの長さは1ないし60スクリュー直径、好ましくは35ないし48スクリュー直径である。スクリューの回転速度は、好ましくは10ないし600回転/分(rpm)、極めて好ましくは25ないし300rpmである。
【0097】
最大処理量はスクリュー直径、回転速度、駆動力に依存する。本発明の方法は、言及したパラメータを変化させること又は使用量を供給する計算機を使用することで、最大処理量より低い水準でも行うことができる。
【0098】
複数の成分を加える場合、それらは予混合するか個別に加え得る。
【0099】
添加剤成分a)、b)及びc)及び所望による更なる添加剤はマスターバッチ(「濃縮物」)の形態でポリマーに添加することもできる。このような操作で、ポリマーは粉末、顆粒、溶液及び懸濁液の形態又はラテックスの形態で使用され得る。
【0100】
前期配合は成形操作の前又はその間に行い得る。ここに記載された本発明の添加剤を含有する材料は、好ましくは成型品、例えば、回転成型品、射出成型品、異形材など、及び特に繊維、スパンメルト不織布、フィルム又は発泡体などの製造のために使用される。
【0101】
従って、本発明は更に、本発明の組成物から成る、パイプ、ワイヤー及びケーブル、繊維、スパンメルト不織布又は発泡体のような成型品又は押出品に関する。
【0102】
以下の実施例は本発明を説明する(パーセンテージは質量パーセントを表す。):
【実施例】
【0103】
実施例1:国際公開第2004/055029号パンフレットによる参考例組成物
メラミンホスフェート(メラポア(登録商標:Melapur)、MP)及びペンタエリトリトールをハイシアミキサーで、モル比1.8:1.0で予混合した。得られた予混合物を、スクリュー速度20ないし100rpmで操作の2軸押出機(φ=25mm、L/D=42、真空脱気装置が取り付けられている。)に供給した。追加のポリプロピレン(PP、モプレン(登録商標:Moplen)HF500N、バセル社製)を、15質量%のPP濃度で押出機に供給した(表1を参照)。押出機の平均温度は230ないし260℃であり、滞留時間は1ないし4分、平均では2.5分であった。メラミンホスフェートとペンタエリトリトールとの反応を終了させるため、得られた押出物はペレット状に切り、続く押出を行う前に230ないし260℃で乾燥した。
【0104】
実施例2:本発明の組成物
メラミンホスフェート、ペンタエリトリトール及びヒドロキシル基で置換された樹枝状ポリマーは表1で与えられる値に従い、予混合した。材料は例1のものと類似の方法で加工した。
【表1】

【0105】
実施例1及び2に従って得られたペレットは、予備安定化(0.3%のイルガノックスB225、0.05%のステアリン酸カルシウム塩)したPP(モプレン(登録商標:Moplen)HF500N)と、結果として得られるペレットが、安定したPP70%及び参考例組成物に従う成分a)及びb)の合計が30%、並びに、安定したPP70%及び本発明の組成物に従う成分a)、b)及びc)の合計30%を含有するような量で、2軸押出機(φ=25mm;L/D=42)で混合した。
【0106】
UL試験の短冊状試験片(1.6mm)を、得られたペレットの射出成形により製造した。UL94−V試験を(DIN EN 60695−11−10)に従って行った。付加的に、70℃の温水中での1週間の保管(滲出試験、UL746Cとの比較)後、UL−94試験を行った。表2は滲出試験による質量減少のデータを同様に含有する。
【表2】

【0107】
滲出前、全ての試料は最良のU−94分類:V−0を達成した。参考例組成物1及び2と比較して、本発明による全ての組成物(発明の組成物1−6)は滲出による質量損失の著しい減少を示した。本発明の組成物の滲出後の難燃性能は、減少した全燃焼時間(5個の試験片、2回の点火)の値及びV−1(UL−94に従う)分類の増大したパーセンテージ(5個の試験片)に反映された通り改善された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)直鎖若しくは分枝鎖の3価若しくは4価アルコール、直鎖の5価若しくは6価アルコ
ール、炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状アルドース、及び炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状ケトースから成る群から選択された、少なくとも1つのポリオール、b)少なくとも1つの、メラミンを含む化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された少なくとも1つの樹枝状ポリマー、
の反応によって得られた生成物。
【請求項2】
a)直鎖若しくは分枝鎖の3価もしくは4価アルコール、
b)メラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート及びメラミンポリホスフェートから成る群から選択されたメラミン化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された少なくとも1つの樹枝状ポリマー、
の反応によって得られた請求項1に記載の生成物。
【請求項3】
a)ペンタエリトリトール及びジペンタエリトリトールから成る群から選択された4価アルコール、
b)メラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート及びメラミンポリホスフェートから成る群から選択されたメラミン化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された、ポリエステル又はポリアミド型樹枝状ポリマー、
の反応によって得られた請求項1に記載の生成物。
【請求項4】
a)ペンタエリトリトール及びジペンタエリトリトールから成る群から選択された4価アルコール、
b)メラミンホスフェート及びメラミンピロホスフェートから成る群から選択されたメラミン化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された、ポリエステル又はポリアミド型樹枝状ポリマー、
の反応によって得られた請求項1に記載の生成物。
【請求項5】
a)ペンタエリトリトール、
b)メラミンホスフェート、並びに
c)トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール及びエトキシ化ペンタエリトリトール及び連鎖延長されたジメチロールプロピオン酸又は環状カルボン酸無水物とジイソプロパノールアミンの重縮合生成物から成る群から選択された開始剤化合物から形成された樹枝状ポリエステル、
の反応によって得られた請求項1に記載の生成物。
【請求項6】
A)
a)直鎖若しくは分枝鎖の3価若しくは4価アルコール、直鎖の5価若しくは6価アルコール、炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状アルドース、及び炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状ケトースから成る群から選択された、少なくとも1つのポリオール、
b)少なくとも1つの、メラミンを含む化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された少なくとも1つの樹枝状ポリマー、
の反応によって得られた生成物、並びに
B)ポリマー基質
を含む、請求項1に記載の難燃性組成物。
【請求項7】
A)
a)ペンタエリトリトール及びジペンタエリトリトールから成る群から選択された4価アルコール、
b)メラミンホスフェート及びメラミンピロホスフェートから成る群から選択されたメラミン化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された、ポリエステル又はポリアミド型樹枝状ポリマー、
の反応によって得られた生成物、並びに
B)熱可塑性ポリマー基質、
を含む、請求項6に記載の難燃性組成物。
【請求項8】
A)
a)ペンタエリトリトール、
b)メラミンホスフェート、並びに
c)トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール及びエトキシ化ペンタエリトリトール及び連鎖延長されたジメチロールプロピオン酸又は環状カルボン酸無水物とジイソプロパノールアミンの重縮合生成物から成る群から選択された開始剤化合物から形成された樹枝状ポリエステル、
の反応によって得られた生成物、並びに
B)ポリエチレン、ポリプロピレン及び耐衝撃性ポリスチレンから成る群から選択された熱可塑性ポリマー基質、
を含む、請求項6に記載の難燃性組成物。
【請求項9】
成分a)、b)及びc)に加えて、ポリマー安定剤及び付加的な難燃剤から成る群から選択されたd)更なる添加剤を含む、請求項6に記載の難燃性組成物。
【請求項10】
請求項6に記載の難燃性組成物を含む成形品。
【請求項11】
ポリオールとメラミンを含む化合物との反応によるメラミンベースの難燃剤の製造方法であって、
a)直鎖若しくは分枝鎖の3価若しくは4価アルコール、直鎖の5価若しくは6価アルコール、炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状アルドース、及び炭素原子数4ないし6の直鎖若しくは環状ケトースから成る群から選択された、少なくとも1つのポリオール、b)少なくとも1つの、メラミンを含む化合物、並びに
c)ヒドロキシル基によって置換された少なくとも1つの樹枝状ポリマー、
をポリマーの存在下で反応させることを特徴とする方法。
【請求項12】
反応押出法により、熱可塑性ポリマーの存在下で成分a)、b)及びc)を反応させることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
2軸押出機にて、熱可塑性ポリマーの存在下で成分a)、b)及びc)を反応させることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の生成物のポリマーへの配合を含む、該ポリマーに難燃性を与える方法。

【公表番号】特表2010−512438(P2010−512438A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540709(P2009−540709)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063159
【国際公開番号】WO2008/071575
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】