樹脂と紙との複合ケース
【課題】商品セットの作業性、陳列効果、持ち運びへの配慮がなされている優れた樹脂と紙との複合ケースを提供する。
【解決手段】平面視横長状の紙製のカップ部と、前記カップ部に内周壁面に倣う態様で差し込まれる樹脂製の上側カバー部とから構成され、前記カップ部の構成壁面の下部に段落ち部を設けると共に、前記上側カバー部の下端に外側折り曲げ片を設け、上側カバー部をカップ部に差し込んだときには、上記段落ち部に外側折り曲げ片が落ち込み、前記段落ち部の上端と外側折り曲げ片の上端との係止により、カップ部に対して上側カバー部が抜け止め状態に成る。
【解決手段】平面視横長状の紙製のカップ部と、前記カップ部に内周壁面に倣う態様で差し込まれる樹脂製の上側カバー部とから構成され、前記カップ部の構成壁面の下部に段落ち部を設けると共に、前記上側カバー部の下端に外側折り曲げ片を設け、上側カバー部をカップ部に差し込んだときには、上記段落ち部に外側折り曲げ片が落ち込み、前記段落ち部の上端と外側折り曲げ片の上端との係止により、カップ部に対して上側カバー部が抜け止め状態に成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂と紙の組み合わせによる商品セットの作業性、陳列効果、持ち運び、環境に優れた樹脂と紙との複合ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャンプー等のボトル容器包装体としては、例えば特許文献1に示すようなものがある。
【0003】
このボトル容器包装体は、外装ケース内に左右に間隔を開けて2本のボトル容器を並接し、これら2本のボトル容器間へ斜めに入る保持片であって、容器ホルダの背面台紙の高さ方向の途中部から隣接するボトル容器の胴体部間を通ってボトル容器の肩部付近まで斜め上方へ延接され、さらに、外装ケースの開閉用フラップの後方側へ向けて折り曲げられて、隣接するボトル容器のキャップ間を通って上縁が外装ケースの開閉用フラップに当接された保持片を容器ホルダの背面台紙を切り起して形成し、保持片と外装ケースの正面板間にチューブ容器を倒立した状態に収容している。
【0004】
したがって、このボトル容器包装体によると、複数のボトル容器の横方向への移動を効率的に拘束可能なものとなる。
【0005】
ところが、上記の容器包装体は、包装体として最も重要な機能である、商品セットの作業性、陳列効果、持ち運びへの配慮についてはほとんど配慮されていない。なお、この種の容器包装体では、環境についても配慮すべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−230869号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明では、商品セットの作業性、陳列効果、持ち運びへの配慮がなされている優れた樹脂と紙との複合ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(請求項1記載の発明)
この発明の樹脂と紙との複合ケースは、平面視横長状の紙製のカップ部と、前記カップ部に内周壁面に倣う態様で差し込まれる樹脂製の上側カバー部とから構成され、前記カップ部の構成壁面の下部に段落ち部を設けると共に、前記上側カバー部の下端に外側折り曲げ片を設け、上側カバーをカップ部に差し込んだときには、上記段落ち部に外側折り曲げ片が落ち込み、前記段落ち部の上端と外側折り曲げ片の上端との係止により、カップ部に対して上側カバー部が抜け止め状態に成る。
【0009】
(請求項2記載の発明)
この発明の樹脂と紙との複合ケースは、上記請求項1記載の発明に関し、前記段落ち部は、カップ部の入り口及びその付近において紙を二枚重ねして形成され、前記入り口から離れた部分は一枚のみで形成され、これらの厚みによって生じる段差により構成されている。
【0010】
(請求項3記載の発明)
この発明の樹脂と紙との複合ケースは、上記請求項1又は2記載の発明に関し、前記段落ち部に外側折り曲げ片が落ち込んだ瞬間には、両者の当たりにより、衝突音を発するようにしてある。
【発明の効果】
【0011】
この発明は上記のような構成であり、次の効果を有する。
【0012】
この発明の樹脂と紙との複合ケースによると、商品セットの作業性、陳列効果、持ち運びへの配慮がなされている優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】樹脂と紙との複合ケースのカップ部にシャンプー、コンディショナー、トリートメントを入れた状態を示す斜視図。
【図2】カップ部に上側カバー部を取り付ける直前の斜視図。
【図3】カップ部と上側カバー部を取り付けた状態の斜視図。
【図4】図1のA−A断面図。
【図5】カップ部の展開図(裏面図)。
【図6】(1)〜(7)はカップ部の組立の工程図。
【図7】上側カバー部の展開図。
【図8】紙製のカップ部に樹脂製の上側カバー部3を密に外挿すると共に、両者を抜け止め手段により分離しないようにした複合ケース1の斜視図。
【図9】前記カップ部に上側カバー部を外挿させる直前の複合ケースの斜視図。
【図10】図8のB−B断面図。
【図11】前記カップ部の前面部を切り開らき、前記切り開いた状態の前記前面部を前に倒した状態の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の樹脂と紙との複合ケースを実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は樹脂と紙との複合ケース1にカップ部にシャンプー90、コンディショナー91、トリートメント92を入れた状態を示す斜視図、図2はカップ部2に上側カバー部3を取り付け直前の斜視図、図3はカップ部2と上側カバー部3を取り付けた状態の斜視図、図4は図1のA−A断面図、図5はカップ部の展開図、図6の(1)〜(7)はカップ部2の組立の工程図、図7は上側カバー部3の展開図を示している。
【0016】
(この樹脂と紙との複合ケース1の基本的構成について)
この複合ケース1は、図1や図2に示すように、平面視横長状の紙製のカップ部2と、前記カップ部2に内周壁面に倣う態様で差し込まれる樹脂製(環境についての配慮する場合は好ましくはポリプロピレン)の上側カバー部3とから構成されており、前記カップ部2の構成壁面の下部に段落ち部35を設けると共に、前記上側カバー部3の下端に外側折り曲げ片25を設け、上側カバー部3をカップ部2に差し込んだときには、上記段落ち部35に外側折り曲げ片25に落ち込み、前記段落ち部の上端と外側折り曲げ片25の上端との係止により、カップ部2に対して上側カバー部3が抜け止め状態に成るようにしてある。
【0017】
前記段落ち部35は、図3や図4に示すように、カップ部2の入り口及びその付近においては紙を二枚重ねして(カップ部2の上部から下部までに至る外側紙35aと、カップ部2の上部から下部までに至らない内側紙35b)形成され、前記入り口から離れた部分においては一枚のみで形成され、これらの厚みによって生じる段差により構成されている。
【0018】
外側折り曲げ片25は、図4に示すように、前面部20と後面部22の下端部を外側に折り曲げるようにして構成されている。
【0019】
そして、図2の状態から図3の状態に示すように、上記段落ち部35に外側折り曲げ片25が落ち込んだ瞬間には、両者の当たりにより、「衝突音」を発するようにしてある。
【0020】
ここで、上記カップ部2の底形状は、図1に示すように、配列される全商品(シャンプー90、コンディショナー91、トリートメント92)の略底形状よりも僅かに大きく設定してある。なお、僅かに大きく設定する理由は、段落ち部35と外側折り曲げ片25の係止が全域で行なわれるようにするためである。
【0021】
(複合ケース1を構成するカップ部2について)
カップ部2は、図5に示すように、上面視において前面部20と後面部22とが平行になっており、横面部21、21は先端側に尖った形状となっている。そして正面視においては、前側の辺が中央部のみ凹んだ状態となっており、その他の辺については同じ高さで形成されている。このように前側の辺が中央のみ凹んだ状態としているのは、商品をできるだけ隠すことなく見せるようにするためである。
【0022】
ここで、このカップ部2は、図5に示した紙片を折り曲げ線に基づいて折り込むことにより形成される。
【0023】
このカップ部2は、図5に示すように、本体Aの周りに紙片ア、ウ、エ、オ、カ、タ、チと、本体Bの周りに紙片イ、キ、ク、ケ、コ、サ、ツ、テにより構成されており、更に紙片相互間には折り曲げ線(一部符号を入れている)を形成してある。
図6において
(1)は展開した状態のカップ部2である。
(2)前記(1)の状態から紙片ア、イに接着部Sを形成する。
(3)前記(2)の状態から紙片ア、イを、折り曲げ線ア’、イ’で谷折して、本体A, Bに接着する。
(4)前記(3)の状態から、紙片ウは折り曲げ線ウ’で、紙片エは折り曲げ線エ’で、紙片オ、カは折り曲げ線カ’で、紙片キ、クは折り曲げ線ク’で、紙片ケは折り曲げ線ケ’で、紙片コ、サは折り曲げ線サ’で、それぞれ谷折りする。
(5)前記(4)の状態から紙片オとクとコを、オ’とク’とコ’の折り曲げ線で谷折りし、折られた部分の表側にそれぞれ接着部Sを形成する。また、紙片シの裏側(背面側)にも接着部を設ける。
(6)前記(5)の状態から折り目B及び折り目Cをそれぞれ谷折すると共に、紙片シを、すき間Aに入れて(紙片アと紙片ウにそれぞれ接着しない様にして)、本体Aに固定する(紙片シの裏側が本体Aに固定されることになる)。この状態で、紙片ウとク、エとオ、ケとコ、紙片シと本体Aが接着状態になる。
(7)前記(6)の状態(折り畳み状態)でカップ部2が完成する。これを外側に向かって開けると、カップ部2が完成する。
【0024】
(複合ケース1を構成する上側カバー部3について)
上側カバー部3は、図1や図7に示すように、前面部20と、後面部22と、横面部21、21、21、21と、接着部S1、S1、外側折り曲げ片25、25、折曲頂部26と、取手部23とから構成されている。
【0025】
この上側カバー3を組み立てる場合、以下のようにする。
(1)先ず、折曲頂部26で折り曲げる。この状態では前面部20における横面部21と、後面部22における横面部21とが対向した状態となっている。
(2)左右の接着部S1を折り曲げる態様で、前面部20における横面部21と、後面部22における横面部21とを接着部S1で一体化する。
(3)外側折り曲げ片25、25を外側に折り曲げる。
【0026】
以上のようにすると、上記カップ部2の上部開口に上側カバー部3が密に挿入され、前記挿入状態において段落ち部35と外側折り曲げ片25との係止により抜け止め状態が確保される。
【0027】
(この樹脂と紙との複合ケース1の優れた点について)
(1)商品セットの作業性について
この複合ケース1の使用において、例えばシャンプー90、コンディショナー91、トリートメント92のセットをカップ部2の所定位置にセットし、次いでカップ部2に上側カバー部3を簡単に被せるだけである。また、カップ部2に上側カバー部3を完全に差し込むと、段落ち部35の上端と外側折り曲げ片25の上端との係止により抜け止め状態となる。そして、この際においての当たりにより衝突音が発生する。
【0028】
したがって、作業者は衝突音が発した時点で確実に抜け止め状態となり、カップ部2に対して上側カバー部3が不用意に抜けないことを感知できることになる。
(2)陳列効果について
クリアーなポリプロピレン樹脂は弾性があるため、商品とのフィット感があり、透明性を活かした陳列効果が期待できる。
【0029】
また、カップ部2の正面を凹型にすることで、商品をできるだけ隠すことなく見せることができ、より高いアピールが可能になる。
【0030】
(3)環境への配慮について
複合ケース1は、紙製のカップ部2と、ポリプロピレン製の上側カバー部3のみで構成されているから、環境についての配慮がなされている。
【0031】
(4)持ち運びについて
またポリプロピレン性の上側カバー3の上端付近に、取手部23を設けてあるから、持ち運びしやすい。
【0032】
(その他)
上記実施例では、樹脂と紙の組み合わせによる商品セットは、上記実施例に限られるものではない。
【実施例2】
【0033】
図8は紙製のカップ部2’に樹脂製の上側カバー部3’を密に外挿すると共に、両者を抜け止め手段4’により分離しないようにした複合ケース1’の斜視図、図9は前記カップ部2’に上側カバー部3’を外挿させる直前の複合ケース1’の斜視図、図10は図8のB−B断面図、図11は前記カップ部2’の前面部20’を切り開らき、前記切り開いた状態の前記前面部20’を前に倒した状態の正面図を示している。
【0034】
上記複合ケース1’は、図1や図2に示すように、段落ち部35の上端と外側折り曲げ片25の上端との係止により抜け止め状態にしているものであるが、この形態のものは、抜け止め手段4として、カップ部2’側の逆三角形状の孔部41と、上側カバー部3’の下方部に設けられた円形状の突起部40(中央部が折れる)とから構成されている。
【0035】
ここで、この形態では、図10に示すように、カップ部2’の底に平行に組み込んだ商品保持片5で商品を保持するようにしてある。この商品保持片5は、図9及び図10に示すよう、カップ部2’の周壁内面を構成する内側紙35b’、35b’を利用して形成されている。
【0036】
すなわち、前面部20’及び後面部22’を構成する外・内側紙35a’、35a’、35b’、35b’のうち、内側紙35b’、35b’のみを切って、上下二本の保持片50、51を形成すると共にその一方を右開き(または左開き)と、他方を左開き(又は右開き)に、なるようにしている。そして、上記の上側の保持片50、50相互を、下側の保持片51、51相互を、それぞれ糊付け等することにより商品保持片5を形成させ、この商品保持片5とカップ部2’の側部により、商品は倒れることなく確実に保持される。
【符号の説明】
【0037】
1 複合ケース
1’ 複合ケース1’
2 カップ部
2’ カップ部
20 前面部
20’ 前面部
21 横面部
22 後面部
22’ 後面部
23 取手部
24 開口部
25 外側折曲げ片
3 上側カバー部
3’ 上側カバー部
35 段落ち部
35a 外側紙
35b 内側紙
35a’ 外側紙
35b’ 内側紙
4 抜け止め手段
40 突起部
41 孔部
5 商品保持片
50 保持片
51 保持片
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂と紙の組み合わせによる商品セットの作業性、陳列効果、持ち運び、環境に優れた樹脂と紙との複合ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャンプー等のボトル容器包装体としては、例えば特許文献1に示すようなものがある。
【0003】
このボトル容器包装体は、外装ケース内に左右に間隔を開けて2本のボトル容器を並接し、これら2本のボトル容器間へ斜めに入る保持片であって、容器ホルダの背面台紙の高さ方向の途中部から隣接するボトル容器の胴体部間を通ってボトル容器の肩部付近まで斜め上方へ延接され、さらに、外装ケースの開閉用フラップの後方側へ向けて折り曲げられて、隣接するボトル容器のキャップ間を通って上縁が外装ケースの開閉用フラップに当接された保持片を容器ホルダの背面台紙を切り起して形成し、保持片と外装ケースの正面板間にチューブ容器を倒立した状態に収容している。
【0004】
したがって、このボトル容器包装体によると、複数のボトル容器の横方向への移動を効率的に拘束可能なものとなる。
【0005】
ところが、上記の容器包装体は、包装体として最も重要な機能である、商品セットの作業性、陳列効果、持ち運びへの配慮についてはほとんど配慮されていない。なお、この種の容器包装体では、環境についても配慮すべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−230869号公報(図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明では、商品セットの作業性、陳列効果、持ち運びへの配慮がなされている優れた樹脂と紙との複合ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(請求項1記載の発明)
この発明の樹脂と紙との複合ケースは、平面視横長状の紙製のカップ部と、前記カップ部に内周壁面に倣う態様で差し込まれる樹脂製の上側カバー部とから構成され、前記カップ部の構成壁面の下部に段落ち部を設けると共に、前記上側カバー部の下端に外側折り曲げ片を設け、上側カバーをカップ部に差し込んだときには、上記段落ち部に外側折り曲げ片が落ち込み、前記段落ち部の上端と外側折り曲げ片の上端との係止により、カップ部に対して上側カバー部が抜け止め状態に成る。
【0009】
(請求項2記載の発明)
この発明の樹脂と紙との複合ケースは、上記請求項1記載の発明に関し、前記段落ち部は、カップ部の入り口及びその付近において紙を二枚重ねして形成され、前記入り口から離れた部分は一枚のみで形成され、これらの厚みによって生じる段差により構成されている。
【0010】
(請求項3記載の発明)
この発明の樹脂と紙との複合ケースは、上記請求項1又は2記載の発明に関し、前記段落ち部に外側折り曲げ片が落ち込んだ瞬間には、両者の当たりにより、衝突音を発するようにしてある。
【発明の効果】
【0011】
この発明は上記のような構成であり、次の効果を有する。
【0012】
この発明の樹脂と紙との複合ケースによると、商品セットの作業性、陳列効果、持ち運びへの配慮がなされている優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】樹脂と紙との複合ケースのカップ部にシャンプー、コンディショナー、トリートメントを入れた状態を示す斜視図。
【図2】カップ部に上側カバー部を取り付ける直前の斜視図。
【図3】カップ部と上側カバー部を取り付けた状態の斜視図。
【図4】図1のA−A断面図。
【図5】カップ部の展開図(裏面図)。
【図6】(1)〜(7)はカップ部の組立の工程図。
【図7】上側カバー部の展開図。
【図8】紙製のカップ部に樹脂製の上側カバー部3を密に外挿すると共に、両者を抜け止め手段により分離しないようにした複合ケース1の斜視図。
【図9】前記カップ部に上側カバー部を外挿させる直前の複合ケースの斜視図。
【図10】図8のB−B断面図。
【図11】前記カップ部の前面部を切り開らき、前記切り開いた状態の前記前面部を前に倒した状態の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の樹脂と紙との複合ケースを実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は樹脂と紙との複合ケース1にカップ部にシャンプー90、コンディショナー91、トリートメント92を入れた状態を示す斜視図、図2はカップ部2に上側カバー部3を取り付け直前の斜視図、図3はカップ部2と上側カバー部3を取り付けた状態の斜視図、図4は図1のA−A断面図、図5はカップ部の展開図、図6の(1)〜(7)はカップ部2の組立の工程図、図7は上側カバー部3の展開図を示している。
【0016】
(この樹脂と紙との複合ケース1の基本的構成について)
この複合ケース1は、図1や図2に示すように、平面視横長状の紙製のカップ部2と、前記カップ部2に内周壁面に倣う態様で差し込まれる樹脂製(環境についての配慮する場合は好ましくはポリプロピレン)の上側カバー部3とから構成されており、前記カップ部2の構成壁面の下部に段落ち部35を設けると共に、前記上側カバー部3の下端に外側折り曲げ片25を設け、上側カバー部3をカップ部2に差し込んだときには、上記段落ち部35に外側折り曲げ片25に落ち込み、前記段落ち部の上端と外側折り曲げ片25の上端との係止により、カップ部2に対して上側カバー部3が抜け止め状態に成るようにしてある。
【0017】
前記段落ち部35は、図3や図4に示すように、カップ部2の入り口及びその付近においては紙を二枚重ねして(カップ部2の上部から下部までに至る外側紙35aと、カップ部2の上部から下部までに至らない内側紙35b)形成され、前記入り口から離れた部分においては一枚のみで形成され、これらの厚みによって生じる段差により構成されている。
【0018】
外側折り曲げ片25は、図4に示すように、前面部20と後面部22の下端部を外側に折り曲げるようにして構成されている。
【0019】
そして、図2の状態から図3の状態に示すように、上記段落ち部35に外側折り曲げ片25が落ち込んだ瞬間には、両者の当たりにより、「衝突音」を発するようにしてある。
【0020】
ここで、上記カップ部2の底形状は、図1に示すように、配列される全商品(シャンプー90、コンディショナー91、トリートメント92)の略底形状よりも僅かに大きく設定してある。なお、僅かに大きく設定する理由は、段落ち部35と外側折り曲げ片25の係止が全域で行なわれるようにするためである。
【0021】
(複合ケース1を構成するカップ部2について)
カップ部2は、図5に示すように、上面視において前面部20と後面部22とが平行になっており、横面部21、21は先端側に尖った形状となっている。そして正面視においては、前側の辺が中央部のみ凹んだ状態となっており、その他の辺については同じ高さで形成されている。このように前側の辺が中央のみ凹んだ状態としているのは、商品をできるだけ隠すことなく見せるようにするためである。
【0022】
ここで、このカップ部2は、図5に示した紙片を折り曲げ線に基づいて折り込むことにより形成される。
【0023】
このカップ部2は、図5に示すように、本体Aの周りに紙片ア、ウ、エ、オ、カ、タ、チと、本体Bの周りに紙片イ、キ、ク、ケ、コ、サ、ツ、テにより構成されており、更に紙片相互間には折り曲げ線(一部符号を入れている)を形成してある。
図6において
(1)は展開した状態のカップ部2である。
(2)前記(1)の状態から紙片ア、イに接着部Sを形成する。
(3)前記(2)の状態から紙片ア、イを、折り曲げ線ア’、イ’で谷折して、本体A, Bに接着する。
(4)前記(3)の状態から、紙片ウは折り曲げ線ウ’で、紙片エは折り曲げ線エ’で、紙片オ、カは折り曲げ線カ’で、紙片キ、クは折り曲げ線ク’で、紙片ケは折り曲げ線ケ’で、紙片コ、サは折り曲げ線サ’で、それぞれ谷折りする。
(5)前記(4)の状態から紙片オとクとコを、オ’とク’とコ’の折り曲げ線で谷折りし、折られた部分の表側にそれぞれ接着部Sを形成する。また、紙片シの裏側(背面側)にも接着部を設ける。
(6)前記(5)の状態から折り目B及び折り目Cをそれぞれ谷折すると共に、紙片シを、すき間Aに入れて(紙片アと紙片ウにそれぞれ接着しない様にして)、本体Aに固定する(紙片シの裏側が本体Aに固定されることになる)。この状態で、紙片ウとク、エとオ、ケとコ、紙片シと本体Aが接着状態になる。
(7)前記(6)の状態(折り畳み状態)でカップ部2が完成する。これを外側に向かって開けると、カップ部2が完成する。
【0024】
(複合ケース1を構成する上側カバー部3について)
上側カバー部3は、図1や図7に示すように、前面部20と、後面部22と、横面部21、21、21、21と、接着部S1、S1、外側折り曲げ片25、25、折曲頂部26と、取手部23とから構成されている。
【0025】
この上側カバー3を組み立てる場合、以下のようにする。
(1)先ず、折曲頂部26で折り曲げる。この状態では前面部20における横面部21と、後面部22における横面部21とが対向した状態となっている。
(2)左右の接着部S1を折り曲げる態様で、前面部20における横面部21と、後面部22における横面部21とを接着部S1で一体化する。
(3)外側折り曲げ片25、25を外側に折り曲げる。
【0026】
以上のようにすると、上記カップ部2の上部開口に上側カバー部3が密に挿入され、前記挿入状態において段落ち部35と外側折り曲げ片25との係止により抜け止め状態が確保される。
【0027】
(この樹脂と紙との複合ケース1の優れた点について)
(1)商品セットの作業性について
この複合ケース1の使用において、例えばシャンプー90、コンディショナー91、トリートメント92のセットをカップ部2の所定位置にセットし、次いでカップ部2に上側カバー部3を簡単に被せるだけである。また、カップ部2に上側カバー部3を完全に差し込むと、段落ち部35の上端と外側折り曲げ片25の上端との係止により抜け止め状態となる。そして、この際においての当たりにより衝突音が発生する。
【0028】
したがって、作業者は衝突音が発した時点で確実に抜け止め状態となり、カップ部2に対して上側カバー部3が不用意に抜けないことを感知できることになる。
(2)陳列効果について
クリアーなポリプロピレン樹脂は弾性があるため、商品とのフィット感があり、透明性を活かした陳列効果が期待できる。
【0029】
また、カップ部2の正面を凹型にすることで、商品をできるだけ隠すことなく見せることができ、より高いアピールが可能になる。
【0030】
(3)環境への配慮について
複合ケース1は、紙製のカップ部2と、ポリプロピレン製の上側カバー部3のみで構成されているから、環境についての配慮がなされている。
【0031】
(4)持ち運びについて
またポリプロピレン性の上側カバー3の上端付近に、取手部23を設けてあるから、持ち運びしやすい。
【0032】
(その他)
上記実施例では、樹脂と紙の組み合わせによる商品セットは、上記実施例に限られるものではない。
【実施例2】
【0033】
図8は紙製のカップ部2’に樹脂製の上側カバー部3’を密に外挿すると共に、両者を抜け止め手段4’により分離しないようにした複合ケース1’の斜視図、図9は前記カップ部2’に上側カバー部3’を外挿させる直前の複合ケース1’の斜視図、図10は図8のB−B断面図、図11は前記カップ部2’の前面部20’を切り開らき、前記切り開いた状態の前記前面部20’を前に倒した状態の正面図を示している。
【0034】
上記複合ケース1’は、図1や図2に示すように、段落ち部35の上端と外側折り曲げ片25の上端との係止により抜け止め状態にしているものであるが、この形態のものは、抜け止め手段4として、カップ部2’側の逆三角形状の孔部41と、上側カバー部3’の下方部に設けられた円形状の突起部40(中央部が折れる)とから構成されている。
【0035】
ここで、この形態では、図10に示すように、カップ部2’の底に平行に組み込んだ商品保持片5で商品を保持するようにしてある。この商品保持片5は、図9及び図10に示すよう、カップ部2’の周壁内面を構成する内側紙35b’、35b’を利用して形成されている。
【0036】
すなわち、前面部20’及び後面部22’を構成する外・内側紙35a’、35a’、35b’、35b’のうち、内側紙35b’、35b’のみを切って、上下二本の保持片50、51を形成すると共にその一方を右開き(または左開き)と、他方を左開き(又は右開き)に、なるようにしている。そして、上記の上側の保持片50、50相互を、下側の保持片51、51相互を、それぞれ糊付け等することにより商品保持片5を形成させ、この商品保持片5とカップ部2’の側部により、商品は倒れることなく確実に保持される。
【符号の説明】
【0037】
1 複合ケース
1’ 複合ケース1’
2 カップ部
2’ カップ部
20 前面部
20’ 前面部
21 横面部
22 後面部
22’ 後面部
23 取手部
24 開口部
25 外側折曲げ片
3 上側カバー部
3’ 上側カバー部
35 段落ち部
35a 外側紙
35b 内側紙
35a’ 外側紙
35b’ 内側紙
4 抜け止め手段
40 突起部
41 孔部
5 商品保持片
50 保持片
51 保持片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視横長状の紙製のカップ部と、前記カップ部に内周壁面に倣う態様で差し込まれる樹脂製の上側カバー部とから構成され、前記カップ部の構成壁面の下部に段落ち部を設けると共に、前記上側カバー部の下端に外側折り曲げ片を設け、上側カバー部をカップ部に差し込んだときには、上記段落ち部に外側折り曲げ片が落ち込み、前記段落ち部の上端と外側折り曲げ片の上端との係止により、カップ部に対して上側カバー部が抜け止め状態に成ることを特徴とする樹脂と紙との複合ケース。
【請求項2】
前記段落ち部は、カップ部の入り口及びその付近において紙を二枚重ねして形成され、前記入り口から離れた部分は一枚のみで形成され、これらの厚みによって生じる段差により構成されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂と紙との複合ケース。
【請求項3】
前記段落ち部に外側折り曲げ片が落ち込んだ瞬間には、両者の当たりにより、衝突音を発するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂と紙との複合ケース。
【請求項1】
平面視横長状の紙製のカップ部と、前記カップ部に内周壁面に倣う態様で差し込まれる樹脂製の上側カバー部とから構成され、前記カップ部の構成壁面の下部に段落ち部を設けると共に、前記上側カバー部の下端に外側折り曲げ片を設け、上側カバー部をカップ部に差し込んだときには、上記段落ち部に外側折り曲げ片が落ち込み、前記段落ち部の上端と外側折り曲げ片の上端との係止により、カップ部に対して上側カバー部が抜け止め状態に成ることを特徴とする樹脂と紙との複合ケース。
【請求項2】
前記段落ち部は、カップ部の入り口及びその付近において紙を二枚重ねして形成され、前記入り口から離れた部分は一枚のみで形成され、これらの厚みによって生じる段差により構成されていることを特徴とする請求項1記載の樹脂と紙との複合ケース。
【請求項3】
前記段落ち部に外側折り曲げ片が落ち込んだ瞬間には、両者の当たりにより、衝突音を発するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2記載の樹脂と紙との複合ケース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−254360(P2010−254360A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108375(P2009−108375)
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月27日(2009.4.27)
【出願人】(000202154)相互印刷紙器株式会社 (43)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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