説明

樹脂ボトル類の搬送装置

【課題】 搬送が停滞してもトラブルなくアキュームして対応しながら下流側の状況に合わせて安定して搬送できるようにする。
【解決手段】 左右一対の無端搬送帯2、3が形成する搬送面4の相対向する縁部4a、4aにて、プリフォーム1を含む樹脂ボトル類をその口部1a近傍に設けられたリング1b部にて両側から吊持ち搬送するのに、搬送される樹脂ボトル類1のリング1bの両側に位置して、搬送される樹脂ボトル類1の各無端搬送帯2、3側への偏りを規制する規制ガイド5、6を設け、搬送される樹脂ボトル類1が無端搬送帯2、3に接触するのを防止するようにして、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口部近傍にリングを持ったプリフォームを含む樹脂ボトル類の搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)といった材料よりなる樹脂ボトルの多くが、射出成形機にて予備成形体であるプリフォームを成形し、成形したプリフォームを延伸ブロー成形することにより製造されている。また、プリフォームは一旦除冷してからブロー成形に供され、ブロー成形ではプリフォームを予備加熱した後に成形している。
【0003】
プリフォームの生産性は高く、これを多数無傷で取り扱って必要な工程を経るのに、口部近傍に設けられるリングを利用して吊持ち支持して搬送することが行われている。もっとも、ブロー成形後の樹脂ボトルも同様に搬送されている。
【0004】
このようなプリフォームを含む樹脂ボトル類を搬送する方法として、一対のレールによって樹脂ボトル類を吊持った状態でエアなどにて押し進める押動搬送方式が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、一対の搬送チエンによって樹脂ボトル類をそのリング部にて左右から吊持ち搬送するチエン搬送方式も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平10−250842号公報
【特許文献2】特開2003−176010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、成形後のプリフォームは一旦パレタイジングして倉庫などに放置し、自然冷却を図ったものとして貯蔵しておき、それを必要に応じ搬出して順次デパレタイジングしながらブロー成形に供するいわゆる貯留方式に代えて、プリフォームの成形、冷却、予備加熱、ブロー成形といった一連の工程を1つの生産ライン上で連続的に行い生産性を高め、省スペース化、省力化、低コスト化を図ることが考えられる。
【0006】
しかし、前記従来のエアなどによる押動搬送方式では、断続搬送になったり、エアによる押動速度に制限があったりして、高速搬送ができず高い生産性に対応するのが困難である。
【0007】
また、プリフォームの生産性は、その後のブロー成形による樹脂ボトルの生産性に比べて格段に高い。このため、樹脂ボトル類を一連の生産ラインの各工程間で搬送するのに、各部にトラブルなどによる作業や搬送に停滞があると、プリフォーム成形工程からの搬送ライン上では特に、上流側から下流側にプリフォームが密集するアキューム状態が起こりやすい。
【0008】
しかし、前記従来のチエン搬送方式において、前記のようなアキューム状態が生じると、停滞するプリフォームに傷が付いたり、回転して他のプリフォームのリングの上に乗り上げて斜めになって互いに乱れたり、上方へ飛び出して落下したりする。これらは、製品の歩留まりや生産性を低下させる原因になる。
【0009】
そこで、本発明者らがプリフォームの搬送につき種々に実験をし検討を重ねたところ、プリフォームの搬送が停滞すると、図5に示すように前後のプリフォームaはそのリングa1どうしで押し合い千鳥状に並んで左右へ広がろうとする。また、このときプリフォームaは左右への広がりにより、矢印cで示す方向に走行する左右の搬送チエンb、bのどちらかに交互に圧接して広がり限界となって安定する筈のところ、搬送チエンb、bとの間の摩擦により図に矢印dで示す方向に回転させられることが判明した。搬送中のプリフォームaの傷は前記搬送チエンbとの接触のほか、前記回転によって他のプリフォームaのリングの上に乗り上げて斜めになったり上方へ飛び出すなど乱れながらプリフォームaどうしや搬送チエンbと複雑に接触し合うことが原因していると思われるし、前記上方への飛び出しによって搬送チエンから離脱して落下することも多々ある。
【0010】
本発明の目的は、このような新たな知見に基づき、搬送が停滞してもトラブルなくアキュームして対応しながら下流側の状況に合わせて安定して搬送できる樹脂ボトル類の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の樹脂ボトル類の搬送装置は、左右一対の無端搬送帯が形成する搬送面の相対向する縁部にて、プリフォームを含む樹脂ボトル類をその口部近傍に設けられたリング部にて両側から吊持ち搬送する樹脂ボトル類の搬送装置において、搬送される樹脂ボトル類のリングの両側に位置して、搬送される樹脂ボトル類の各無端搬送帯側への偏りを規制する規制ガイドを設け、搬送される樹脂ボトル類が無端搬送帯に接触するのを防止するようにしたことを1つの特徴としている。
【0012】
このような構成では、左右一対の無端搬送帯がその搬送面の相対向し合う縁部により、樹脂ボトル類をその口部近傍にあるリング部にて左右から吊持つことを、周回駆動状態にて連続的に行い樹脂ボトル類を下流に向け吊持ち搬送することができる。この搬送が下流側の状況によって滞留すると、樹脂ボトル類は千鳥状になって左右の無端搬送帯間で左右に広がろうとするが、その広がりで無端搬送帯の相対向し合う部分に接触する前に、樹脂ボトル類のリングがその両側に位置する規制ガイドに当接することにより広がり限界を与えるので、無端搬送帯に接触することも、回転させられることもなくその場に安定して待機させながら、下流の状況に応じ通常の搬送状態に自然に回復させられる。
【0013】
本発明の樹脂ボトル類の搬送装置は、また、左右一対の無端搬送帯が形成する搬送面の相対向する縁部にて、プリフォームを含む樹脂ボトル類をその口部近傍に設けられたリング部にて両側から吊持ち搬送する樹脂ボトル類の搬送装置において、搬送される樹脂ボトル類のリングとこのリングの下の胴部との両側に位置して、樹脂ボトル類の各無端搬送帯側への偏りを規制する上下2段の規制ガイドを設け、搬送される樹脂ボトル類が無端搬送帯に接触するのを防止するようにしたことを他の特徴としている。
【0014】
このような構成では、左右一対の無端搬送帯がその搬送面の相対向し合う縁部により、樹脂ボトル類をその口部近傍にあるリング部にて左右から吊持つことを、周回駆動状態にて連続的に行い樹脂ボトル類を下流に向け吊持ち搬送することができる。この搬送が下流側の状況によって滞留すると、樹脂ボトル類は千鳥状になって左右の無端搬送帯間で左右に広がろうとするが、その広がりで無端搬送帯の相対向し合う部分に接触する前に、樹脂ボトル類のリングおよび胴部がそれらの両側に位置する上下の規制ガイドに当接することにより、樹脂ボトル類の上下2箇所にて広がり限界を与えるので、無端搬送帯に接触することも、回転させられることもなくその場により安定して待機させながら、下流の状況に応じ通常の搬送状態に自然に回復させられる。
【0015】
各無端搬送帯が搬送チエンであり、水平面上を周回駆動されるもので、それぞれのリンクに設けられたトッププレートが縦向きで対向し合い、それらの上縁が搬送面を形成している、さらなる構成では、
搬送チエンであることによって、搬送ベルトと異なりガイドによる案内を受けてトッププレートが所定の周回経路に沿って並んだ安定した搬送面を、その相対向する縁部を開放して形成することができ、樹脂ボトル類を安定して吊持ち搬送することができ、特に、水平面上を周回駆動されて縦向きとなるトッププレートの上縁が搬送面を形成するので、特別なトッププレートを必要としない利点があるし、樹脂ボトル類のリングを含む口の部分を左右の搬送チエンの上部に出して吊持ち搬送するので、リングの規制ガイドによる案内が簡単に行える。
【0016】
トッププレートの対向し合う面に上下縁間が窪んだ凹部を有している、さらなる構成では、
各搬送チエンのトッププレートはその凹部によって、樹脂ボトル類と狭い間隔で対向して搬送しながらも接触する確率を少なくし、万一接触したときでも接触面積が少なく傷を付け難くなる。
【0017】
各搬送チエンが、トッププレートがなす平面方向と、これに直角な方向とに湾曲できるように、リンクどうしが連結されている、さらなる構成では、
トッププレートの平面方向の湾曲により、無端搬送チエンの直線、湾曲、屈曲といった自由な搬送経路を持った前記平面上での周回駆動を可能にしながら、前記平面方向と直角な方向の湾曲により、垂直面上での湾曲径路や屈曲径路を持った搬送径路が必要に応じ得られる。
【0018】
左右の規制ガイドとリングとの間の間隙は、左右の無端搬送帯の相対向し合う部分と搬送される樹脂ボトル類との最小間隙よりも小さい、さらなる構成では、
樹脂ボトル類が左右の規制ガイド間と、左右の無端搬送帯間を吊持ち搬送されるときの停滞により、千鳥状に左右に広がろうとするとき、対向間隔の大きな無端搬送帯でなく、対向間隔の小さな規制ガイドの側に先に当接することを保証することができる。
【0019】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴はそれ単独で、あるいは可能な範囲で種々な組み合わせで複合して採用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の樹脂ボトル類の搬送装置の1つの特徴によれば、一対の無端搬送帯による搬送が停滞しても、無端搬送帯との接触やそれによる回転をリング部に対向した規制ガイドにより防止してその場に安定して待機させながら、下流の状況に応じ通常の搬送状態に自然に回復させられるので、樹脂ボトル類に傷が付いたり、飛び出して落下したりすることによる歩留まりの低下なしに、上流側と下流側に生じる作業や搬送の差を吸収して互いが悪影響し合うのを防止することができる。
【0021】
本発明の樹脂ボトル類の搬送装置の他の特徴によれば、一対の無端搬送帯による搬送が停滞しても、無端搬送帯との接触やそれによる回転をリング部と胴部に対向する上下2箇所の規制ガイドによって確実に防止してその場により安定して待機させながら、下流の状況に応じ通常の搬送状態に自然に回復させられるので、樹脂ボトル類に傷が付いたり、飛び出して落下したりすることによる歩留まりの低下なしに、上流側と下流側に生じる作業や搬送の差を確実に吸収して互いが悪影響し合うのをより防止することができる。
【0022】
各無端搬送帯が搬送チエンで、水平面上を周回駆動され各トッププレートが縦向きで対向し合い、それらの上縁が搬送面を形成している、さらなる構成によれば、
トッププレートが所定の周回経路に沿って形成する安定した搬送面の相対向する縁部が開放されてそのまま樹脂ボトル類の安定な吊持ちと搬送とをするので、特別なトッププレートが要らないし、樹脂ボトル類のリングが搬送チエンの上に出て規制ガイドによる案内が簡単に行える。
【0023】
トッププレートの対向し合う面に上下縁間が窪んだ凹部を有している、さらなる構成によれば、
各搬送チエンのトッププレートが、その凹部により樹脂ボトル類と接触しにくく、万一接触しても傷を付け難い。
【0024】
各搬送チエンが、トッププレートがなす平面方向と、これに直角な方向とに湾曲できるように、リンクどうしが連結されている、さらなる構成によれば、
直線、湾曲、屈曲といった自由な搬送経路を持った水平面上での周回駆動を可能にしながら、水平面と直角な方向の湾曲により、垂直面上での湾曲径路や屈曲径路を持った搬送径路が必要に応じ得られ、立体搬送が可能になる。
【0025】
左右の規制ガイドとリングとの間の間隙が、左右の無端搬送帯の相対向し合う部分と搬送される樹脂ボトル類との最小間隙よりも小さい、さらなる構成によれば、
樹脂ボトル類の搬送が停滞して千鳥状に左右に広がろうとするとき、間隔の差から無端搬送帯でなく規制ガイドの側に先に当接することを保証し、アキューム状態における樹脂ボトル類の安全と安定を確実に図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図1〜図4を参照して本発明の実施の形態に係る樹脂ボトル類の搬送装置について説明し、本発明の理解に供する。なお、本実施の形態は本発明を具体化した一例であって本発明の特許請求の範囲の記載内容を限定するものではない。
【0027】
本実施の形態の樹脂ボトル類の搬送装置は、図1〜図4に示すような、樹脂ボトルの予備成形体であるプリフォーム1をその口部1aの近傍にあるいわゆるサポートリング1b部にて、左右一対の無端搬送帯2、3により両側から吊持って搬送する場合の一例である。しかし、本発明はこれに限られることはなく、プリフォーム1からブロー成形されてリング1b部が残っている図示しない樹脂ボトルの搬送にも適用できる。また、吊持つことができればサポートリング1b以外の目的で設けられるどのようなリングでもよいし、これに類するフランジを持ったものでもその材料や容器であるかどうかにかかわらず適用できる。
【0028】
本実施の形態に係る樹脂ボトル類の搬送装置は、図1〜図3に示す例のように、左右一対の無端搬送帯2、3が形成する搬送面4の相対向する縁部4a、4aにて、プリフォーム1を図1に示すようにその口部1aの近傍に設けられたサポートリング1b部にて両側から吊持ち図2に示す用に搬送する樹脂ボトル類の搬送装置であるが、特に、搬送されるプリフォーム1のサポートリング1bの両側に位置して、搬送されるプリフォーム1の各無端搬送帯2、3側への偏りを規制する図1〜図3に示すように示すような規制ガイド5、6を設けることにより、搬送されるプリフォーム1が無端搬送帯2、3に接触するのを防止するようにしている。左右一対の無端搬送帯2、3は、図2、図3に途中部分を示し、両端部の図示を省略しているが、省略した両端部の一方側に回転駆動部、他方側に従動駆動部を少なくとも有して、それらの間に周回できるように張設されている。これによって、各無端搬送帯2、3はそれぞれの回転駆動部からの回転を伝達されて、それぞれの従動回転部の従動回転を伴い周回駆動される。
【0029】
このような左右一対の無端搬送帯2、3は周回駆動により、搬送始端側から供給されるプリフォーム1を搬送面4、4の相対向する縁部4a、4a上に順次に受け入れながら、それらプリフォーム1をその口部1aの近傍にあるサポートリング1b部にて左右から吊持ち連続的に下流側に向け搬送する。この搬送が下流側の状況によって滞留すると、プリフォーム1は図3に示すように密集して行きアキューム状態になる。これが進行して押し合い状態になるとプリフォーム1は既述したように千鳥状になって左右の無端搬送帯2、3間で左右に広がろうとする。しかし、このような広がりによってプリフォーム1が無端搬送帯2、3の相対向し合う部分に接触する前に、プリフォーム1のサポートリング1bがその両側に位置する規制ガイド5、6に当接することにより、規制ガイド5、6がプリフォーム1に対して広がり限界を与えて、プリフォーム1が無端搬送帯2、3に接触するのを阻止する。従って、プリフォーム1は回転させられることも、他に乗り上げることも、上方に飛び出して落下することもない。これにより、プリフォーム1はその場に安定して待機するアキューム状態となり、下流の状況に応じ通常の搬送状態に自然に回復させられる。この結果、プリフォーム1に傷が付いたり、乱れたり、飛び出して落下したりすることによる歩留まりの低下なしに、上流側と下流側に生じる作業や搬送の差を吸収して互いが悪影響し合うのを防止することができる。プリフォーム1は滞留中は周回移動する搬送面4と摺接するが、搬送面4はサポートリング1bの両側に対して同じ向きに摺動するので、プリフォーム1が回転する原因にはならない。
【0030】
以上のような点から、本実施の形態は、プリフォーム1の成形、冷却、予備加熱、ブロー成形といった一連の工程を1つの生産ライン上で連続的に行い生産性を高め、省スペース化、省力化、低コスト化を図るのに好適である。
【0031】
ここで、左右の規制ガイド5、6とサポートリング1bとの間の間隙S1は、図1に示すように左右の無端搬送帯2、3の相対向し合う部分と搬送されるプリフォーム1との最小間隙S2よりも小さく設定するのが好適である。このようにすると、間隙S1とS2との大きさの差により、プリフォーム1が千鳥状に左右に広がろうとするとき、プリフォーム1との対向間隔S2の大きな無端搬送帯2、3でなく、対向間隙S1の小さな規制ガイド5、6の側に先に当接することを保証することができる。この結果、アキューム状態におけるプリフォーム1の安全と安定を確実に図れる。このような点から間隙S1の寸法は0mmでもよいが、停止状態の規制ガイド5、6にプリフォーム1が接触して回転したり傷付いたりしないために適当な間隔を設けるのが好適である。
【0032】
本実施の形態では、さらに、より好適な態様として、図1に示すように前記したプリフォーム1の上部に対する規制ガイド5、6に加え、プリフォーム1の胴部1cの両側に位置して、プリフォーム1の各無端搬送帯2、3側への偏りを規制する下部の規制ガイド7、8も設けて、この規制ガイド7、8によってもプリフォーム1が無端搬送帯2、3の相対向し合う部分に接触するのを防止するようにしている。
【0033】
具体的には、プリフォーム1の搬送が下流側の状況によって滞留し、プリフォーム1が千鳥状になって左右の無端搬送帯2、3間で左右に広がろうとするとき、その広がりでプリフォーム1が無端搬送帯2、3の相対向し合う部分に接触する前に、プリフォーム1のサポートリング1bおよび胴部1cがそれらの両側に位置する上部の規制ガイド5、6と下部の規制ガイド7、8とに当接することにより、プリフォーム1の上下2箇所にて広がり限界を与えることになる。この結果、無端搬送帯2、3に接触することも、回転させられることもなくプリフォーム1をその場により安定して待機させながらアキュームを図り、下流の状況に応じ通常の搬送状態に自然に回復させられる。
【0034】
原理的には、プリフォーム1に対するガイドによる広がり規制は、プリフォーム1のどの部分に対して行ってもよい。しかし、サポートリング1bに対して行うと、それが最大径部であるので、規制しやすい。同時に、サポートリング1bは搬送面4によって支持される支持基点部分であるので、広がり規制時における停止しているガイドとの接触と、周回移動し続ける搬送面4との接触とによりプリフォーム1を不安定にする外力が働くのを抑えやすく好適である。これによっても、上部の規制ガイド5、6によるプリフォーム1の広がり規制時、プリフォーム1は規制ガイド5、6の一方側に当接するので、万一にも横振れなどすると胴部1cが無端搬送帯2、3に接触することが考えられるが、上記のようにプリフォーム1の胴部1cに対しても下部の規制ガイド7、8によって広がり規制をすることでそのような懸念を払拭することができる。
【0035】
ここで、上部の規制ガイド5、6とプリフォーム1との間隙S1と、下部の規制ガイド7、8とプリフォーム1との間隙S1とは、同じ大きさでもよい。しかし、プリフォーム1との接触は傷付き防止のために少ないほどよい。このため、一方の間隙S1を他方の間隙S1よりも少し大きくして、大きな隙間S1を持つ側は、小さな隙間S1を持つ側が優先的に働いた後に、プリフォーム1が接触することで補助的に働くようにすればよい。本実施の形態では上記のようにプリフォーム1の広がり規制が好適に行える上部の規制ガイド5、6が優先的に働くように、それらのプリフォームとの間隙S1を、下部の規制ガイド7、8のプリフォーム1との間隙S1よりも小さく設定している。
【0036】
また、上部の規制ガイド5、6は図1〜図3に示すように、搬送面4からそれによって吊持ち搬送されるプリフォーム1の口部1aよりも高く設けてある。これにより、搬送中のプリフォーム1の口部1aがまわりから触れたり、他のものが干渉したりするようなことを防止することができる。しかし、プリフォーム1の広がり規制のためにはサポートリング1bの厚みと同程度でも十分であり、プリフォーム1の万一の浮き上りに対応する場合でも、図4に示す例の規制ガイド5、6のようにサポートリング1bの厚みよりも数倍程度高いもので十分である。
【0037】
さらに好適には、各無端搬送帯2、3は搬送チエンとするのがよく、特に、図1〜図3に示し、図4に示す例のように、水平面上を周回駆動されるもので、それぞれのリング11に設けられたトッププレート11aが縦向きで対向し合い、それらの上縁で搬送面4を形成するのが好適である。このように、無端搬送帯2、3が搬送チエンであることによって、搬送ベルトと異なり図示例のようなガイド12による案内を受けてトッププレート11aが所定の周回経路に沿って並んだ安定した搬送面4を、その相対向する縁部4aを開放して形成することができ、プリフォーム1を安定して吊持ち搬送することができる。特に、水平面上を周回駆動されて縦向きとなるトッププレート11aの上縁が搬送面4を形成することにより、特別なトッププレート11aを必要としない利点がある。また、プリフォーム1のサポートリング1bを含む口部1aの部分を左右の搬送チエンである無端搬送帯2、3の上部に出して吊持ち搬送するので、リングの規制ガイドによる案内が簡単に行える。
【0038】
本実施の形態のガイド12は図示例のような横断面を有した形材よりなり、図1〜図3に示すように無端搬送帯2の搬送側となる往周回径路2aと非搬送側となる復周回経路2bとの間、および無端搬送帯3の搬送側となる往周回径路3aと非搬送側となる復周回経路3bとの間にそれぞれ位置している。これにより、ガイド12はその両側面で外向きに開口するチャンネル部12a、12aによって、無端搬送帯2、3の各リング11をそれぞれの往周回経路2a、3aと復周回径路2b、3bとで案内し、支持する。このために、無端搬送帯2、3はそれらのリング11の連結部とトッププレート11aとの間にそれらが案内されるチャンネル部12aの上下に対向し合う開口縁12bと係合する凹部11bを有している。各開口縁12bには凹部11bとの間の摩擦を軽減するために樹脂製のスライダ13を被せ付けてある。
【0039】
ガイド12は、また、上下面の中央部にもチャンネル部12c、12dを有し、このチャンネル部12c、12dに頭部を嵌め合わせたボルト14を利用して、前記各規制ガイド5、6、7、8をナット15で締結し固定している。図1〜図3に示す規制ガイド5、6は背の高いほぼ帯状の形材を用いていることに関し、ガイド12に直接固定せず、ガイド12に固定したほぼL型の取り付け基台16に対し、仲介部材17を介して取付けてある。これに対し、平板状とした規制ガイド7、8と、図4に示す規制ガイド5、6とは、ガイド12に直接固定してある。しかし、このような規制ガイド5〜8の取り付け構造はどのようにしてもよい。
【0040】
また、トッププレート11aの対向し合う面には上下縁間が窪んだ凹部11cを設けてある。このようなトッププレート11aはその凹部11cによって、プリフォーム1を狭い間隔で対向して搬送しながら接触する確率を少なくし、万一接触するようなことがあっても、接触面積が少なく傷を付け難くい。
【0041】
さらに、無端搬送帯2、3は、トッププレート11aがなす平面方向と、これに直角な方向とに湾曲できるように、リング11どうしを連結している。このような連結は、例えば、1つずつのリング11において周回方向で見た前後に設けた、図4に示すような雌連結部11dと雄連結部11eとを隣接するリング11どうしで嵌め合せて、図4に仮想線で示したステー21により連結するのに、ステー21を通す一方を図4に雄連結部11e側に設けているような長穴22などとすることによって行うことができ、ステー21と長穴22とが作る遊びによってトッププレート11aの平面と直角な方向への湾曲や屈曲ができるフレキシビリティを与えられる。このようなフレキシビリティの許容度を高めるために、本例では、雌連結部11d、雄連結部11eの双方に、図4に示すような互いの干渉を逃がす面取り部11d1、11e1を設けてある。
【0042】
このようなフレキシビリティのある無端搬送帯2、3はそれらを張設する駆動回転部および従動回転部であるスプロケット間をフリーにすると、安定した搬送面4は得られないが、上記のようなガイド12によりその往周回経路2a、3aと、復周回径路2b、3bにて連続に案内することにより直進などする安定した搬送面4が得られる。逆にいうと、ガイド12の案内でトッププレート11aの平面に直角な方向へ所定の径路で湾曲させ、また屈曲させられる。従って、トッププレート11aの平面方向の湾曲により、無端搬送帯2、3の直線、湾曲、屈曲といった自由な搬送経路を持った水平面上での周回駆動を可能にしながら、前記平面方向と直角な方向の湾曲により、垂直面上での湾曲径路や屈曲径路を持った搬送径路が必要に応じて得られ、水平面上の搬送だけでなく、立体搬送が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、樹脂ボトルやその予備成形体であるプリフォームの搬送に実用でき、特に、搬送停滞時のアキューム性に優れ、プリフォームの成形、冷却、予備加熱、ブロー成形といった一連の工程を1つの生産ライン上で連続的に行い生産性を高め、省スペース化、省力化、低コスト化を図るのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態に係る樹脂ボトル類の搬送装置の1つの例を示す要部断面図。
【図2】図1の装置による通常の搬送状態を示す斜視図。
【図3】図1の装置による停滞時の搬送状態を示す斜視図。
【図4】本発明の実施の形態に係る樹脂ボトル類の搬送装置の別の例を示す要部斜視図。
【図5】従来装置での停滞した搬送状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0045】
1 プリフォーム
1a 口部
1b サポートリング
1c 胴部
2、3 無端搬送帯
4 搬送面
4a 縁部
5、6、7、8 規制ガイド
11 リンク
11a トッププレート
11c 凹部
11d 雌連結部
11e 雄連結部
14 ボルト
21 ステー
22 長穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の無端搬送帯が形成する搬送面の相対向する縁部にて、プリフォームを含む樹脂ボトル類をその口部近傍に設けられたリング部にて両側から吊持ち搬送する樹脂ボトル類の搬送装置において、
搬送される樹脂ボトル類のリングの両側に位置して、搬送される樹脂ボトル類の各無端搬送帯側への偏りを規制する規制ガイドを設け、搬送される樹脂ボトル類が無端搬送帯に接触するのを防止するようにしたことを特徴とする樹脂ボトル類の搬送装置。
【請求項2】
左右一対の無端搬送帯が形成する搬送面の相対向する縁部にて、プリフォームを含む樹脂ボトル類をその口部近傍に設けられたリング部にて両側から吊持ち搬送する樹脂ボトル類の搬送装置において、
搬送される樹脂ボトル類のリングとこのリングの下の胴部との両側に位置して、樹脂ボトル類の各無端搬送帯側への偏りを規制する上下2段の規制ガイドを設け、搬送される樹脂ボトル類が無端搬送帯に接触するのを防止するようにしたことを特徴とする樹脂ボトル類の搬送装置。
【請求項3】
各無端搬送帯は搬送チエンであり、水平面上を周回駆動されるもので、それぞれのリンクに設けられたトッププレートが縦向きで対向し合い、それらの上縁が搬送面を形成している請求項1、2のいずれか1項に記載の樹脂ボトル類の搬送装置。
【請求項4】
トッププレートの対向し合う面に上下縁間が窪んだ凹部を有している請求項3に記載の樹脂ボトル類の搬送装置。
【請求項5】
各搬送チエンは、トッププレートがなす平面方向と、これに直角な方向とに湾曲できるように、リンクどうしが連結されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂ボトル類の搬送装置。
【請求項6】
左右の規制ガイドとリングとの間の間隙は、左右の無端搬送帯の相対向し合う部分と搬送される樹脂ボトル類との最小間隙よりも小さい請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂ボトル類の搬送装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−21854(P2006−21854A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199457(P2004−199457)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(000178826)日本山村硝子株式会社 (140)
【Fターム(参考)】