説明

樹脂型導光板用組成物、これで形成される導光板を含むバックライトユニット及び該バックライトユニットを備える液晶表示装置

【課題】基材との接着力に優れ、収縮が少なく、局所輝度制御が可能なモジュール型バックライトユニットに適用可能な導光板を簡単な硬化方式で形成することができ、且つ、厚膜形成が可能である樹脂型導光板用組成物、これで形成される導光板を含むバックライトユニット及び上記バックライトユニットを備える液晶表示装置を提供する。
【解決手段】式(1)で表されるウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーと、ヒドロキシ基またはカルボキシル基を有する水素結合型(メタ)アクリレートと、式(I)の最大収縮率が15%以下であるアクリル系単量体と、光重合開始剤と、を含むことを特徴とする樹脂型導光板用組成物。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂型導光板用組成物、これで形成される導光板を含むバックライトユニット及び該バックライトユニットを備える液晶表示装置に関し、具体的に、基材との接着力に優れ収縮が少ない局所輝度制御(Local dimming)が可能なモジュール型バックライトユニットに適用可能な導光板を簡単な硬化方式で形成することができ、厚膜形成が可能な樹脂型導光板用組成物、これで形成される導光板を含むバックライトユニット及び該バックライトユニットを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、小型化、軽量化及び低消費電力などの長所からノート型パソコン及びモニターのみならず、TV、屋外電光掲示板など様々な分野で多用されている。液晶表示装置は、液晶パネル及びバックライトユニット(Backlight unit)を含む。バックライトユニットは、液晶パネルに光を提供して、光は液晶パネルを透過することになる。このとき、液晶パネルは、光の透過率を調節して映像を表示することになる。バックライトユニットは、光源が配置される形態によってエッジ型(Edgetype)と直下型(Direct type)に分類される。エッジ型において、光源は液晶パネルの側面に配置されており、導光板は、液晶パネルの背面に配置されており液晶パネルの側面から提供される光を液晶パネルの背面に導く。これと異なり、前記直下型は、液晶パネルの背面に複数の光源が備えられて、複数の光源から発光される光が直接に液晶パネルの背面に提供される。前記光源としては、EL(Electro Luminescence)、CCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp)、HCFL(Hot Cathode Fluorescent Lamp)、発光ダイオード(LED)などが使用される。これらのうち発光ダイオードは、消費電力が低く発光効率に優れるという長所を有することから最近その使用が増えている。
【0003】
図1は、エッジ型発光ダイオードのバックライトユニットの構造を示す。発光ダイオードがエッジ型に適用される場合、発光ダイオード30は、プリント回路基板10に実装され、導光板40−Aの側面に固定される。導光板40−Aは、複数の発光ダイオード30から入射される光が複数回の全反射によって導光板40−A内に進みつつ導光板40−Aの広い領域に広がることで液晶パネルに面光源を提供する。反射板20は、導光板40−Aの背面に位置し、導光板40−Aの背面を通過した光を液晶パネルの方に反射させることで光の輝度を向上させる。しかし、このようなエッジ型は、構造上の局所輝度制御、すなわち不要の部分のランプを部分的に消す技術的適用が困難である。
【0004】
これに対して直下型の場合、図2のようにプリント回路基板10及び反射板20の前面に発光ダイオード30を構成して、発光ダイオードを部分的にオン/オフすることができることから局所輝度制御が可能である。しかし、輝度の均一性のために発光ダイオード30の個数が増えることから、局所輝度制御の消費電力を減少させることが困難である。
【0005】
上述の問題を解決するために、考案されたものが図3のような局所輝度制御が可能なモジュール型バックライト構造である。図3のようなバックライトユニットは、エッジ型構造であるが直下型構造と同様にプリント回路基板10及び反射板20の前面に発光ダイオード30を規則的に構成することで、発光ダイオード30の個数を減らしつつ局所輝度制御の効果を得ることができるという長所がある。しかし、このとき発光ダイオードから生成される光を側面にもれなく分散させるために導光板を要するが、発光ダイオードプリント回路基板の前面に導光板を取り付けられないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の問題を解決するために、本発明の目的は、基材との接着力に優れ、収縮が少なく、局所輝度制御が可能なモジュール型バックライトユニットに適用可能な導光板を簡単な硬化方式で形成することができ、且つ、厚膜形成が可能である樹脂型導光板用組成物、これで形成される導光板を含むバックライトユニット及び前記バックライトユニットを備える液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、本発明は、2価のポリオール及び2価のイソシアネートを反応させて得られる化合物とヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート単量体とを反応させて得られる下記式(1)で表されるウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーと、ヒドロキシ基またはカルボキシル基を有する水素結合型(メタ)アクリレートと、下記式(I)の最大収縮率が15%以下であるアクリル系単量体と、光重合開始剤と、を含むことを特徴とする樹脂型導光板用組成物を提供する。
【化1】


[式中、Rは、前記2価のポリオールから末端のヒドロキシ基を除いた構造を示し、Rは、前記2価のイソシアネートから末端のイソシアネート基を除いた構造を示し、Rは、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)又は(1−5)で表される基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示す。]
【化2】


[式中、nは1〜10の整数を示す。]
【数1】

【0008】
上記ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量は、2,000〜5,000とすることができる。
【0009】
上記水素結合型(メタ)アクリレートは、下記式(2)または(3)で表される化合物であることが好ましい。
【化3】


[式中、R11は、炭素数1〜10のアルカンジイル基若しくはヘテロアルカンジイル基、炭素数3〜8のシクロアルカンジイル基、フェニレン基、炭素数1〜10のアルキルフェニレン基またはリン原子を示し、R12は、ヒドロキシ基またはカルボキシ基を示し、R13は、水素原子またはメチル基を示す。]
【化4】


[式中、R21は、炭素数1〜10のアルキル基若しくはヘテロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基、炭素数1〜10のアルキルフェニル基またはリン原子を示し、R23は、水素原子またはメチル基を示す。]
【0010】
上記水素結合型(メタ)アクリレートは、酸無水物とヒドロキシ基含有する(メタ)アクリレート単量体との反応によって形成される酸変性(メタ)アクリレートオリゴマーであることが好ましい。
【0011】
上記酸変性(メタ)アクリレートオリゴマーは、下記式(4−1)、(4−2)、(4−3)、(4−4)、(4−5)又は(4−6)で表される化合物であることが好ましい。
【化5】


[式中、R31は、各々独立に水素原子またはメチル基を示し、R32は、各々独立に下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)又は(1−5)で表される基を示し、R33は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和アルキル基、ヘテロアルキル基、ベンジル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはハロゲン元素を示し、R34は、各々独立に炭素数1〜10の飽和または不飽和アルキル基を示す。]
【化6】


[式中、nは1〜10の整数を示す。]
【0012】
上記ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーは、樹脂型導光板用組成物100質量部に対して10〜70重量部含まれることが好ましい。
【0013】
上記水素結合型(メタ)アクリレートは、樹脂型導光板用組成物100質量部に対して10〜40重量部含まれることが好ましい。
【0014】
上記アクリル系単量体は、樹脂型導光板用組成物100質量部に対して10〜60重量部含まれることが好ましい。
【0015】
上記樹脂型導光板用組成物は、上記式(I)の最大収縮率が20%以上の3官能以上の(メタ)アクリレート硬化剤をさらに含むことが好ましい。
【0016】
上記樹脂型導光板用組成物は、上記アクリル系単量体を2種類以上含み、下記式(II)で計算される最大収縮率が3〜7%であることが好ましい。
【数2】


[式中、iは、前記樹脂型導光板用組成物に含まれるアクリル系単量体の種類の数を示し、含まれる順に関係なく各アクリル系単量体を第nの単量体とし、XnSnは、XnとSnの積を示し、Xnは、第nの単量体の質量分率を示し、Snは、上記式(I)で計算される第nの単量体の最大収縮率を示す。]
【0017】
上記樹脂型導光板用組成物は、紫外線安定剤または熱安定剤をさらに含むことが好ましい。
【0018】
上記2価のポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン変性ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール及びポリテトラメチルグリコールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0019】
上記2価のイソシアネートは、トルエン−2,4−ジイソシアネート及び異性体、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2−ビス−4’−プロパンイソシアネート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)−フマル酸、1,6−へキサンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルー4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0020】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、発光ダイオードと、上記発光ダイオードがカバーされるように本発明の樹脂型導光板用組成物で反射板上に形成される導光板と、を含むことを特徴とするバックライトユニットを提供する。
【0021】
上記導光板の厚さは、0.2〜2mmであることが好ましい。
【0022】
本発明の他の目的を達成するためには、本発明は、本発明のバックライトユニットを備えることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の樹脂型導光板用組成物によれば、1mm以上の厚膜の形成が可能であることから、発光ダイオードの位置に関係なく本発明の樹脂型導光板用組成物を塗布して簡単な硬化方式で点光源を面光源に変える導光板を形成することができる。また、本発明の樹脂型導光板用組成物は、エッジ型と直下型とを混合した局所輝度制御が可能なモジュール型バックライト構造における導光板を形成することに使用することができる。さらに、本発明の樹脂型導光板用組成物は、硬化収縮が少なく接着力に優れるのみならず、色座標の変化がない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】エッジ型発光ダイオードバックライトユニットの構造を示す図である。
【図2】直下型発光ダイオードバックライトユニットの構造を示す図である。
【図3】エッジ型と直下型を混合したモジュール型発光ダイオードバックライトユニットの構造を示す図である。
【図4】発光ダイオードに本発明の組成物で導光板を形成しない状態からの発光模様を示す図である。
【図5】発光ダイオードに本発明の組成物で導光板を形成した状態からの発光模様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」及びそれに対応する「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。
【0026】
本発明の樹脂型導光板用組成物は、ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーと、水素結合型(メタ)アクリレートと、アクリル系単量体と、光開始剤と、を含む。
【0027】
本発明の樹脂型導光板用組成物は、接着力に優れ収縮率が小さいのみならず、厚膜の形成が可能であることから、本発明の樹脂型導光板用組成物によれば、エッジ型と直下型を混合した局所輝度制御(Local dimming)が可能なモジュール型バックライトユニットにて発光ダイオードをカバーする導光板を形成することができる。
【0028】
上記ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーは、樹脂型導光板用組成物の収縮率を制御するとともに、透明性及び機械的特性を向上させる。
【0029】
上記ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーは、2価のポリオール及び2価のイソシアネートを反応させて得られる化合物と、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート単量体と、を反応させて得ることができる。すなわち、2価のポリオールを過量の2価のイソシアネートと反応させてイソシアネート末端基を有する化合物を製造し、これをヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレート単量体と反応させることで、上記ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーを得ることができる。
【0030】
上記2価のポリオールとしては、数平均分子量が1500以上であるものを用いることが好ましい。具体的には、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン変性ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール及びポリテトラメチルグリコールからなる群より選択される少なくとも一種を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0031】
上記2価のイソシアネートとしては、具体的には、トルエン−2,4−ジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2−ビス−イソシアネートプロパン、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)−フマレート、1,6−へキサンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート及び1,3−キシレンジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも一種を用いることができ、好ましくは、2,4−トルエンジイソシアネート及びその異性体、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも一種を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
上記ヒドロキシ基を含む(メタ)アクリレート単量体としては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0033】
上記ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーを製造する過程では、反応性を向上させるために触媒を用いることができ、反応安定性及び貯蔵安定性を向上させるために重合禁止剤を用いることができる。
【0034】
上記触媒としては、具体的には、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、1,4−ジアザビスシクロ−(2,2,2)−オクタン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチル−メタンジアミンなどの3次アミン;ジブチルティンジラウレート、ジブチルティンジブトキシド、ジ−(2−エチルへキシル)ティンオキサイド、ジブチルティンジイソオクチルマレート、ジブチルティンビス−(アセチルアセトネート)、ブチルティントリクロライド、トリブチルティンシアネートなどのティン系触媒群;から1種以上を選択して用いることができ、好ましくは、ジブチルティンジラウレートを用いることができる。
【0035】
上記重合禁止剤としては、例えば、メトキシヒドロキノン、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノンなどのフェノール型重合禁止剤を少量用いることができる。
【0036】
上記ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーは、下記式(1)で表すことができる。
【0037】
【化7】

【0038】
式中、Rは、上記2価のポリオールから末端のヒドロキシ基を除いた構造を示し、Rは、上記2価のイソシアネートから末端のイソシアネート基を除いた構造を示し、Rは、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)又は(1−5)で表される基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示す。なお、下記式中、nは1〜10の整数を示す。
【0039】
【化8】

【0040】
上記ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量は、2,000〜5,000であることが好ましい。数平均分子量が2,000以上であると、硬化収縮率を一層低減させることができ、数平均分子量が5,000以下であると、樹脂型導光板用組成物の粘度上昇を抑制し、作業性が向上する。
【0041】
上記ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーは、樹脂型導光板用組成物100質量部に対して10〜70重量部含まれることが好ましく、20〜60重量部含まれることがより好ましい。10重量部以上であると、硬化後の樹脂型導光板用組成物の機械的物性が一層向上し、70重量部以下であると、樹脂型導光板用組成物の接着力が向上するとともに粘度上昇が抑制され、作業性が向上する。
【0042】
上記水素結合型(メタ)アクリレートは、基材とイオン結合を形成するか、基材の一部と物理的に結合して、接着力を与えることができる。
【0043】
上記水素結合型(メタ)アクリレートは、水素結合を形成することができるものであれば制限なく用いることができるが、好ましくは、ヒドロキシ基またはカルボキシル基を含む(メタ)アクリレートを用いることができる。
【0044】
上記水素結合型(メタ)アクリレートは、下記式(2)または(3)で表される化合物であることが好ましい。
【0045】
【化9】

【0046】
式中、R11は、炭素数1〜10のアルカンジイル基若しくはヘテロアルカンジイル基、炭素数3〜8のシクロアルカンジイル基、フェニレン基、炭素数1〜10のアルキルフェニレン基またはリン原子を示し、R12は、ヒドロキシ基またはカルボキシ基を示し、R13は、水素原子またはメチル基を示す。
【0047】
【化10】

【0048】
式中、R21は、炭素数1〜10のアルキル基若しくはヘテロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基、炭素数1〜10のアルキルフェニル基またはリン原子を示し、R23は、水素原子またはメチル基を示す。
【0049】
式(2)で表される水素結合型(メタ)アクリレートのうち、ヒドロキシ基が導入された(メタ)アクリレートの具体的な例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0050】
式(2)で表される水素結合型(メタ)アクリレートのうち、カルボキシル基が導入された(メタ)アクリレートの具体的な例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。
【0051】
上記水素結合型(メタ)アクリレートは、酸無水物とヒドロキシ基含有する(メタ)アクリレート単量体との反応によって形成される、酸変性(メタ)アクリレートオリゴマーであってもよい。
【0052】
上記酸無水物としては、環状酸無水物が好ましく、上記ヒドロキシ基を含有する(メタ)アクリレート単量体としては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0053】
上記酸変性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、下記式(4−1)、(4−2)、(4−3)、(4−4)、(4−5)又は(4−6)で表される化合物が挙げられる。
【0054】
【化11】

【0055】
式中、R31は、各々独立に水素原子またはメチル基を示し、R32は、各々独立に上記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)又は(1−5)で表される基を示し、R33は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和アルキル基、ヘテロアルキル基、ベンジル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはハロゲン元素を示し、R34は、各々独立に炭素数1〜10の飽和または不飽和アルキル基を示す。
【0056】
式(3)で表される水素結合型(メタ)アクリレートは、エポキシ官能基を有する単量体と(メタ)アクリル酸とを反応させて製造することができる。
【0057】
上記エポキシ官能基を有する単量体は、単官能が好ましいが、分子量が大きい場合には、多官能であってもよい。上記エポキシ官能基を有する単量体としては、具体的には、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、ノニルフェノールグリシジルエーテル、ポリビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリビスフェノールFジグリシジルエーテル、ポリビスフェノールSジグリシジルエーテル、ポリビスフェノールADジグリシジルエーテルなどを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0058】
上記エポキシ官能基を有する単量体と(メタ)アクリル酸との反応時には、触媒を用いることができる。該触媒としては、3次アミン系、4次アンモニウム塩系、無機アルカリ塩系、リン系触媒を用いることができ、具体的には、トリエチルアミン、ピリジン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリエチルアミンベンジルクロライド、トリエチルアミンベンジルブロマイド、トリブチルアミンベンジルクロライド、トリブチルアミンベンジルブロマイド、テトラブチルアミンクロライド、テトラブチルアミンブロマイド、トリフェニルホスフィン、オクチル酸クロムなどを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0059】
上記水素結合型(メタ)アクリレートとしては、上述した化合物を単独または混合して用いることができる。
【0060】
上記水素結合型(メタ)アクリレートは、樹脂型導光板用組成物100質量部に対して10〜40重量部含まれることが好ましく、15〜35重量部含まれることがより好ましい。上記水素結合型(メタ)アクリレートの含有量が10重量部以上であると、樹脂型導光板用組成物の接着力が一層向上し、40重量部以下であると、相溶性が向上する。
【0061】
上記アクリル系単量体は、樹脂型導光板用組成物の物性には悪影響を及ばないともに作業性のために樹脂型導光板用組成物の粘度を下げる役割を果たす。
【0062】
上記アクリル系単量体は、式(I)の最大収縮率が15%以下のものを用いることができ、好ましくは、最大収縮率が3〜10%であるものを用いることができる。最大収縮率が3%未満であると、反応性があまりにも低すぎて硬化度を上げにくく、最大収縮率が10%を超えると、硬化速度は速いが硬化度が低くて十分な物性を得られ難くなる。
【0063】
【数3】

【0064】
上記式(I)の最大収縮率は、硬化度が100%であるときを仮定して示したものである。通常、収縮率は下記の式(A)に示すように、硬化前の比重に対する硬化前と硬化後の比重差の比で示すことができるが、上記式(I)を用いて簡便に収縮率を予想することができ、上記式(I)の最大収縮率と硬化度の積は、下記式(A)の収縮率と同様な結果を示す。
【0065】
【数4】

【0066】
最大収縮率が15%以下のアクリル系単量体としては、具体的には、2−フェノキシエチルアクリレート(13%)、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(12.4%)、トリデシルアクリレート(9.2%)、オクチルデシルアクリレート(12.6%)イソボニルアクリレート(11.8%)、2−(2−エトキシエトキシ)アクリレート(13.4%)、イソデシルアクリレート(11.6%)、カプロラクトンアクリレート(6.1%)、ラウリールアクリレート(9.9%)、ステアリックアクリレート(6.7%)、メトキシポリエチレングリコール600モノアクリレート(2.1%)、ノニルフェノールエチレンオキサイド(4モル)アクリレート(4.1%)、ノニルフェノールエチレンオキサイド(8モル)アクリレート(2.2%)、メトキシポリエチレングリコール600モノアクリレート(1.8%)、イソデシルメタアクリレート(10.7%)、ステアリックメタアクリレート(6.3%)、2−フェノキシエチルメタアクリレート(12%)、イソボニルメタアクリレート(11%)、トリデシルメタアクリレート(8.6%)などを用いることができる。
【0067】
上記アクリル系単量体は、樹脂型導光板用組成物100質量部に対して10〜60重量部含まれることが好ましく、20〜50重量部含まれることがより好ましい。10重量部以上である場合、樹脂型導光板用組成物の粘度上昇が抑制され、コーティング性が良好となる。また、60重量部以下である場合、樹脂型導光板用組成物の機械的物性及び接着力が一層向上する。
【0068】
上記光開始剤は、液状樹脂を光照射により固体状に硬化する役割を有する。
【0069】
上記光開始剤は、化学構造または分子結合エネルギーの差による分子の分解によってラジカルが生成されるType1型開始剤と、3次アミンと共存して用いられる水素奪還型のType2型開始剤と、がある。
【0070】
上記Type1型開始剤の具体的な例としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチルジクロロアセトフェノン、4−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン類;アシルホスフィンオキサイド類;チタノセン化合物;などが挙げられる。
【0071】
上記Type2型開始剤の具体的な例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチルエーテル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾール−4‘−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−メチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン;などが挙げられる。
【0072】
上記光開始剤は、これらを単独または混合して用いることができ、Type1型とType2型を併用してもよい。
【0073】
上記光開始剤は、樹脂型導光板用組成物100質量部に対して0.1〜10重量部で含まれることが好ましく、0.2〜3重量部で含まれることがより好ましい。上記光開始剤の含有量が0.2重量部以上であると、硬化が十分に進行し、良好な機械的物性及び接着力が得られる。また、3重量部以下であると、硬化収縮が抑制され、接着力不良や割れ現象の発生が一層抑制される。
【0074】
上記樹脂型導光板用組成物は、硬化性の向上のために3官能以上の(メタ)アクリレート硬化剤をさらに含むことができる。
【0075】
上記3官能以上の(メタ)アクリレート硬化剤は、上記式(I)の最大収縮率が20%以上であることが好ましい。具体的には、グリセロールプロピル付加トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジイソシアネートと反応したペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレートウレタンオリゴマー、ジイソシアネートと反応したジペンタ(メタ)アクリレートウレタンオリゴマーなどを用いることができる。
【0076】
上記3官能以上の(メタ)アクリレート硬化剤は、樹脂型導光板用組成物100質量部に対して1〜5重量部で含まれることが好ましい。1重量部以上であると、硬化性の向上が顕著に得られ、5重量部以下であると、硬化収縮が抑制され、カールの発生による器具損傷等を十分に防止することができる。
【0077】
上記樹脂型導光板用組成物は、必要に応じて紫外線安定剤、熱安定剤を含むことができる。
【0078】
上記紫外線安定剤は、硬化された樹脂型導光板用組成物の持続的な紫外線露出による分解を防ぐために、紫外線を遮断するか吸収する役割を果たす。
【0079】
上記紫外線安定剤は、作用機序によって、吸収剤、消光剤(Quenchers)、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS;Hindered Amine Light Stabilizer)に分けられる。また、化学構造によって、サリチル酸フェニル(Phenyl Salicylates、吸収剤)、ベンゾフェノン(Benzophenone、吸収剤)、ベンゾトリアゾール(Benzotriazole、吸収剤)、ニッケル誘導体(消光剤)、遊離基捕捉剤(Radical Scavenger)などに分けられる。上記紫外線安定剤としては、樹脂型導光板用組成物の初期色相を大きく変化させない紫外線安定剤であれば特に限定するものではない。
【0080】
上記熱安定剤は、商業的に適用することができるポリフェノール系、ホスファイト系、ラクトン系などをすべて用いることができる。
【0081】
上記紫外線安定剤と上記熱安定剤は、硬化性に影響を及ばない水準で適切に含量を調整して用いることができる。
【0082】
上記樹脂型導光板用組成物は、上記紫外線安定剤または上記熱安定剤以外に、当業界で通常用いられる添加剤を本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて含量を調節して添加することができる。
【0083】
上記樹脂型導光板用組成物は、アクリル系単量体を2種類以上含むことができ、このとき、下記の式(II)で計算される最大収縮率が3〜7%であることが好ましい。下記式(II)によって、多種のアクリル系単量体が混合されている場合の最大収縮率を計算することができる。
【0084】
【数5】

【0085】
式中、iは、上記樹脂型導光板用組成物に含まれるアクリル系単量体の種類の数を示し、含まれる順に関係なく各アクリル系単量体を第nの単量体とし、XnSnは、XnとSnの積を示し、Xnは、第nの単量体の質量分率を示し、Snは、上記式(I)で計算される第nの単量体の最大収縮率を示す。
【0086】
上記最大収縮率が増加すると、接着力は減少して硬化性は速くなり、最大収縮率が減少すると逆の傾向を示す。紫外線照射による硬化度は、収縮率と同様の傾向を示すが、最大収縮率が7%未満である樹脂型導光板用組成物は硬化度が90%以上の結果を示し、各種の高温テストの時の後硬化によるカール問題を除去することができる。
【0087】
本発明のバックライトユニットは、発光ダイオードと、該発光ダイオードがカバーされるように反射板上に形成される導光板と、を含む。導光板は、上記樹脂型導光板用組成物で形成される。
【0088】
図3は、局所輝度制御が可能なエッジ型バックライトユニットの構造を示す。図3を参照すると、バックライトユニットは、プリント回路基板10と、反射板20と、発光ダイオード30と、導光板40−Bとを含むことができる。また、図3には示されなかったが、上記導光板40−Bの上面に積層される拡散板、拡散フィルム、集光フィルム、反射型偏光フィルムなどをさらに含むことができる。
【0089】
図3と同様なエッジ型と直下型が混合される構造のモジュール型バックライトユニットは、発光ダイオードがプリント回路基板10及び反射板20の前面に分布されていることから導光板を装着しにくくなる。しかし、本発明の樹脂型導光板用組成物によれば、反射板20の上面に発光ダイオード30の高さ以上で平坦に塗布、硬化させて、導光板40−Bを形成することができる。
【0090】
上記導光板40−Bの厚さは、0.2〜2mmであることができる。上記導光板40−Bは、点光源を面光源に転換する役割を果たし、接着力に優れるのみならず硬化収縮が小さくて色座標の変化がない。
【0091】
図4は、発光ダイオードに本発明の樹脂型導光板用組成物で導光板を形成してない状態からの発光模様を示す図であり、図5は、本発明の樹脂型導光板用組成物で導光板を形成した状態からの発光模様を示す図である。図4及び図5に示すように、本発明の樹脂型導光板用組成物で形成される導光板は、点光源を面光源に転換する役割を果たす。
【0092】
また、本発明の液晶表示装置は、上記バックライトユニットを備える。すなわち、上記液晶表示装置は、本発明の樹脂型導光板用組成物で形成される導光板を含むバックライトユニットを備える。上記液晶表示装置もその構造に制限はなく、本発明の技術分野で公知の構造を採用することができる。
【実施例】
【0093】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0094】
<製造例1:ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーの製造>
攪拌器、加熱マントル、冷却管、温度調節装置が備える2000mlガラス反応器に平均分子量2,000のポリプロピレングリコール(HANNONG CHEMICAL INC、PPG 2000)400g、イソホロンジイソシアネート(バイエル社、IPDI)111g、ジブチルティンジラウレート(アルケマ、Fascat 4202)0.1gを反応器に入れて温度を70℃に維持しつつ反応を3時間進行した。このとき、湿式分析法によるNCO%は4.9%であった。反応器温度を常温に冷却させて2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(コグニス社、2−HEMA)107.2g、イソボルネオールアクリレート(大阪有機社、IBXA)71g、スミライザーGP(住友化学)0.7g、メトキシヒドロキノン(イーストマン社、HQMME)0.8g、ジブチルティンジラウレート(アルケマ、Fascat 4202)0.2gを投入して75℃で反応を6時間進行し、イソシアネート特性ピーク(2260cm−1)が完全に消えた後、反応を終結した。得られたウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーの樹脂粘度は、34,000cp(25℃)であった。また、ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量は2,700であり、上記式(I)の最大収縮率は0.86%であった。
【0095】
【化12】

【0096】
<製造例2:ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーの製造>
攪拌器、加熱マントル、冷却管、温度調節装置が備える2000mlガラス反応器に平均分子量3,000のポリテトラメチレングリコール(韓国ポリオール社、PTMG 3000)600g、ヘキサメチレンジイソシアネート(バイエル社、Desmodur W)131g、ジブチルティンジラウレート(アルケマ、Fascat 4202)0.1gを反応器に入れて反応温度を70℃に維持しつつ反応を3時間進行した。このとき、湿式分析法によるNCO%は3.5%であった。反応器温度を常温に冷却させて2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(コグニス社、2−HEMA)107.2g、イソボルネオールアクリレート(大阪有機社、IBXA)93.3g、スミライザーGP(住友化学)0.7g、メトキシヒドロキノン(イーストマン社、HQMME)0.8g、ジブチルティンジラウレート(アルケマ、Fascat 4202)0.2gを投入して75℃で反応を6時間進行し、イソシアネート特性ピーク(2260cm−1)が完全に消えた後、反応を終結した。得られたウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーの樹脂粘度は、95,000cp(25℃)であった。また、ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量は3,800であり、上記式(I)による最大収縮率は0.28%であった。
【0097】
【化13】

【0098】
<製造例3:ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーの製造>
攪拌器、加熱マントル、冷却管、温度調節装置が備える2000mlガラス反応器に平均分子量4,000のポリエチレングリコール(HANNONG CHEMICAL INC、PEG 4000(F))800g、イソホロンジイソシアネート(バイエル社、IPDI)111g、ジブチルティンジラウレート(アルケマ、Fascat 4202)0.1gを反応器に入れて反応温度を70℃に維持しつつ3時間進行した。このとき、湿式分析法によるNCO%は2.7%であった。反応器温度を常温に冷却させて2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(コグニス社、2−HEMA)107.2g、イソボルネオールアクリレート(大阪有機社、IBXA)115.5g、スミライザーGP(住友化学)0.7g、メトキシヒドロキノン(イーストマン社、HQMME)0.8g、ジブチルティンジラウレート(アルケマ、Fascat 4202)0.2gを投入して75℃で反応を6時間進行し、イソシアネート特性ピーク(2260cm−1)が完全に消えた後、反応を終結した。得られたウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーの樹脂粘度は、125,000cp(25℃)であった。また、ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量は4,700であり、上記式(I)による最大収縮率は0.14%であった。
【0099】
【化14】

【0100】
<製造例4:水素結合型(メタ)アクリレートの製造>
攪拌器、加熱マントル、冷却管、温度調節装置が備える2000mlガラス反応器に2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機社)730g、無水フタル酸(愛敬油化社)740g、トリエチルアミン(DAE JUNG Chemical)10g、メトキシヒドロキノン(イーストマン社、HQMME)1gを反応器に投入して攪拌し、反応温度を80℃まで上げ反応を3時間進行して、すべての固体原料が液状に変わった後、常温まで自然冷却して反応を20時間進行した。FT−IR上の酸無水物の特性ピーク(1760−1周りの2個にピーク)が完全に消えた後、反応を終結させた。得られた水素結合型(メタ)アクリレートの酸価は190mg KOH/gであって、樹脂粘度は11000cp(25℃)であり、上記式(I)による最大収縮率は8.8%であった。
【0101】
【化15】

【0102】
<製造例5:水素結合型(メタ)アクリレートの製造>
攪拌器、加熱マントル、冷却管、温度調節装置が備える1000mlガラス反応器にフェノールグリシジルエーテル(堺化学社、PGE、99%)450g、アクリル酸(LG化学社、AA)216g、トリフェニルホスフィン(純正化学、TPP)0.6g、メトキシヒドロキノン(イーストマン社、HQMME)0.4gを投入して、90℃で反応を6時間進行した。酸価が1mg KOH/g未満となった後、反応を終了した。得られた水素結合型(メタ)アクリレートの樹脂粘度は200cpであり、分子量は222であり、式(I)による最大収縮率は11%であった。
【0103】
【化16】

【0104】
<実施例1〜6及び比較例1〜4:樹脂型導光板組成物の製造>
下記の表1の組成で、上記製造例で製造した化合物を用いて当業界で公知の方法で樹脂型導光板用組成物を製造した。
【0105】
【表1】

【0106】
<実験例1:接着力測定>
図4と同様の構造物に、実施例及び比較例の樹脂型導光板組成物を1.5mmの厚さにテーブルコーティングして、窒素雰囲気下でブラックライトランプにより350mJ/cmで1次硬化した後、メタルハライドランプにより1J/cmの光量で2次硬化して、試片製作を行った。製作された各試片について、インストロン社のUTMを用いてTテストを行った。2mm/minの速度で接着力を測定して最大、最小値を除いた残りの平均値を用いて、ガラスと金属の2種間の接着力を平価してその結果を下記の表2に示した。
【0107】
<実験例2:初期色値の測定>
実験例1と同様の方法で製作された試片を基材と分離してガラス板に貼り、日本電色工業のSpectro color meter SE200を用いて透過モードでガラス板と試片の色値を測定してΔE*abを求めた。その結果を下記の表2に示した。
【0108】
<実験例3:硬化度及び収縮率の測定>
実験例1と同様の方法で製作された試片の樹脂部位を略1g取って、正確に重さ(W)を測定した後、10gのエチルアセテート溶液に24時間放置して、この試片を60℃のオーブンにて4時間乾燥した後、重さ(W)を測定した。硬化度は下記の式(III)で、実際収縮率は下記の式(IV)で計算した。
硬化度(%)=(W/W)×100 (III)
実際収縮率(%)={硬化度(%)×式(II)の最大収縮率(%)}/100 (IV)
【0109】
<実験例4:耐光性の測定>
実験例1と同様の方法で製作された試片をコアテック社のCT−UVT装備(UV−B、280〜360nm)に100時間放置して耐光性テストを行った。日本電色社のSpectro color meter SE200を用いて透過モードで初期値と耐光性テストの後の色値を測定して、下記式(V)によりΔE*abを求めた。その結果を下記の表2に示した。
ΔE*ab={(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2 (V)
【0110】
<実験例5:高温高湿平価>
実験例1と同様の方法で製作された試片を、60℃、湿度95%の恒温恒湿室に500時間放置後、初期色差値との差を測定し、ΔE*ab値で示した。その結果を下記の表2に示す。
【0111】
【表2】

【0112】
表2に示すように、本発明の樹脂型導光板組成物を用いて導光板を形成した場合、接着力に優れるのみならず収縮率も小さく、導光板を形成した後及び紫外線または高温高湿に長時間放置した後にも色値の変化が小さいことが分かる。
【符号の説明】
【0113】
10…プリント回路基板、20…反射板、30…発光ダイオード、40−A…導光板、40−B…樹脂型導光板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2価のポリオール及び2価のイソシアネートを反応させて得られる化合物とヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート単量体とを反応させて得られる、下記式(1)で表されるウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーと、
ヒドロキシ基またはカルボキシル基を有する水素結合型(メタ)アクリレートと、
下記式(I)の最大収縮率が15%以下であるアクリル系単量体と、
光重合開始剤と、
を含むことを特徴とする樹脂型導光板用組成物。
【化1】


[式中、Rは、前記2価のポリオールから末端のヒドロキシ基を除いた構造を示し、Rは、前記2価のイソシアネートから末端のイソシアネート基を除いた構造を示し、Rは、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)又は(1−5)で表される基を示し、Rは水素原子またはメチル基を示す。]
【化2】


[式中、nは1〜10の整数を示す。]
【数1】

【請求項2】
前記ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーの数平均分子量が2,000〜5,000であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂型導光板用組成物。
【請求項3】
前記水素結合型(メタ)アクリレートが下記式(2)または(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂型導光板用組成物。
【化3】


[式中、R11は、炭素数1〜10のアルカンジイル基若しくはヘテロアルカンジイル基、炭素数3〜8のシクロアルカンジイル基、フェニレン基、炭素数1〜10のアルキルフェニレン基またはリン原子を示し、R12は、ヒドロキシ基またはカルボキシ基を示し、R13は、水素原子またはメチル基を示す。]
【化4】


[式中、R21は、炭素数1〜10のアルキル基若しくはヘテロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基、炭素数1〜10のアルキルフェニル基またはリン原子を示し、R23は、水素原子またはメチル基を示す。]
【請求項4】
前記水素結合型(メタ)アクリレートが、酸無水物とヒドロキシ基含有する(メタ)アクリレート単量体との反応によって形成される酸変性(メタ)アクリレートオリゴマーであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂型導光板用組成物。
【請求項5】
前記酸変性(メタ)アクリレートオリゴマーが、下記式(4−1)、(4−2)、(4−3)、(4−4)、(4−5)又は(4−6)で表される化合物であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂型導光板用組成物。
【化5】


[式中、R31は、各々独立に水素原子またはメチル基を示し、R32は、各々独立に下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)又は(1−5)で表される基を示し、R33は、各々独立に水素原子、炭素数1〜10の飽和若しくは不飽和アルキル基、ヘテロアルキル基、ベンジル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはハロゲン元素を示し、R34は、各々独立に炭素数1〜10の飽和または不飽和アルキル基を示す。]
【化6】


[式中、nは1〜10の整数を示す。]
【請求項6】
前記ウレタン−(メタ)アクリレートオリゴマーが、樹脂型導光板用組成物100質量部に対して10〜70重量部含まれることを特徴とする請求項1に記載の樹脂型導光板用組成物。
【請求項7】
前記水素結合型(メタ)アクリレートが、樹脂型導光板用組成物100質量部に対して10〜40重量部含まれることを特徴とする請求項1に記載の樹脂型導光板用組成物。
【請求項8】
前記アクリル系単量体が、樹脂型導光板用組成物100質量部に対して10〜60重量部含まれることを特徴とする請求項1に記載の樹脂型導光板用組成物。
【請求項9】
前記樹脂型導光板用組成物が、前記式(I)の最大収縮率が20%以上の3官能以上の(メタ)アクリレート硬化剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂型導光板用組成物。
【請求項10】
前記樹脂型導光板用組成物は、前記アクリル系単量体を2種類以上含み、下記式(II)で計算される最大収縮率が3〜7%であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂型導光板用組成物。
【数2】


[式中、iは、前記樹脂型導光板用組成物に含まれるアクリル系単量体の種類の数を示し、含まれる順に関係なく各アクリル系単量体を第nの単量体とし、
XnSnは、XnとSnの積を示し、
Xnは、第nの単量体の質量分率を示し、
Snは、前記式(I)で計算される第nの単量体の最大収縮率を示す。]
【請求項11】
前記樹脂型導光板用組成物が、紫外線安定剤または熱安定剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の樹脂型導光板用組成物。
【請求項12】
前記2価のポリオールが、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン変性ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール及びポリテトラメチルグリコールからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂型導光板用組成物。
【請求項13】
前記2価のイソシアネートが、トルエン−2,4−ジイソシアネート及び異性体、キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2−ビス−イソシアネートプロパン、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)−フマル酸、1,6−へキサンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルー4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート及び4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂型導光板用組成物。
【請求項14】
発光ダイオードと、前記発光ダイオードがカバーされるように請求項1〜13のいずれか一項に記載の樹脂型導光板用組成物で反射板上に形成される導光板と、を含むことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項15】
前記導光板の厚さが0.2〜2mmであることを特徴とする請求項14に記載のバックライトユニット。
【請求項16】
請求項14に記載のバックライトユニットを備えることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−252144(P2011−252144A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95321(P2011−95321)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(503454506)東友ファインケム株式会社 (42)
【Fターム(参考)】