説明

樹脂射出圧縮成形方法、および、射出圧縮成形装置

【課題】 装置や金型の構成を複雑化・大型化することなく、厚肉な熱可塑性の樹脂成形物を製造することができる樹脂射出圧縮成形方法を提供する。
【解決手段】 金型の固定側が熱可塑性樹脂で溶融充填されるキャビティとスライドコアを有する金型、および、射出成形機を用いて、熱可塑性樹脂を圧縮して射出成形体を得る樹脂射出圧縮成形方法であって、スライドコアが、熱可塑性樹脂が溶融充填される際に樹脂量と連動して後退しながらスライドし、さらに、樹脂供給開始後に金型充填容量の20%から80%の樹脂を射出スクリューの先端側に貯留し、射出スクリューの回転により、樹脂を可塑化しながら射出シリンダーから注入した後に、さらに、射出スクリューの先端側に貯留した溶融樹脂で金型充填容量の80%から20%を高速射出し、スライドコアを固定側にスライドさせて、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形体を成形する樹脂射出圧縮成形方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂射出圧縮成形方法に関する。さらに、本発明は、圧縮射出成型装置、および樹脂射出圧縮成形体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂を用いた成形方法は、射出成形法、押出成形法、圧縮成形方法などあり、工業製品として広く一般的に用いられている。
【0003】
従来、切削用のブロックや丸棒等の素材として、押出成形による樹脂成形品が得られていた。しかしながら、この方法では、生産速度が遅いために生産性が非常に悪いものであった。また、収縮率の小さい無機充填材を混合すると収縮率の大きい熱可塑性樹脂とのその収縮率の差から、成形品の内部に発生するボイドサイズが大きくなり、または素材表面にクラックが起こる場合があるので、肉厚樹脂成形体にはなり得なかった。
【0004】
また、圧縮成形においては、まず熱可塑性樹脂の粉末を金型内に投入した後に、該樹脂の溶融温度まで加熱した後に加圧し、固化温度以下まで冷却して型から成形品を取り出すことにより実施されてきた。しかしながら、粉末を溶融し、加圧する際に、十分に脱気することが難しく、ボイドを多く含むため、良好な樹脂成形体を得ることが難しかった。また脱気のために金型を十分に加圧し、徐々に冷却させるため、この方法では、生産速度が遅いために生産性が非常に悪いものであった。
【0005】
一方、射出成形はプラスチックの成形品を得るための最も広く用いられる成形方法である。しかしながら、通常の射出成形で得られる成形品は肉薄品であり、肉厚にするとヒケだけではなく、内層部分にボイドができるという問題点があった。
【0006】
例えば、特許文献1には、固定側の型板、可動側の型板、及び、スライドコアを有する金型を備え、第1工程でキャビティ内に樹脂を射出後、固定側の型板及び可動側の型板の型締め圧力を解除し、第2工程で押込み手段によってキャビティ内の上記スライドコアの位置を相対的に変化させた後に、再型締めをする機構を備えた射出成型方法が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、固定金型と可動金型とで形成されたキャビティ内へ、射出成形機のスクリューを回転させることにより、樹脂を50から500kg/cmの充填圧で金型内に充填し(充填工程)、ついでピストンにより500から3000kg/cmの範囲(ピストン圧)で加圧しながら固化温度以下に冷却し(圧縮・冷却工程)、固化後、脱型する(脱型工程)ことを特徴とする射出圧縮成形方法が記載されている。
【0008】
また、特許文献3には金型に対して、型締方向とは異なる方向に運動するスライドコアを有するスライド機構を設け、溶融した熱可塑性樹脂を金型キャビティに注入して成形をする方法が記載されている。この方法において、前記スライド機構を介して金型キャビティ内の樹脂を圧縮することを特徴とする樹脂成型方法とこの方法を実施するための装置が開示されている。
【0009】
しかしながら、以上のような背景技術には、次のような不都合がある。
【0010】
まず、特許文献1記載の技術では、第1項工程の樹脂射出後に固定側の型板及び可動側の型板の型締め圧力を解除するために、いまだ溶融状態である熱可塑性樹脂が再度膨張し、ボイドやクラックを発生させることとなる。ボイドやクラックが製品中にあると強度不足から破損といった不具合となる。
【0011】
また、特許文献2記載の技術では、キャビティへ充填される樹脂圧が弱く、キャビティ内に空隙や樹脂内部にボイドが残り、このまま圧縮・冷却・固化・脱型しても、充填率が低く成形品の中にボイドやクラックが多く発生する。
【0012】
また、特許文献3記載の技術では、射出充填時にパーティングが開いていることから、樹脂漏れを起こして樹脂を挟んだり、充填不足になったりする。そのため樹脂漏れを起こさないようにするためには、金型全体をインロー構造とする必要があり、金型形状が非常に複雑となる。この結果、高価金型となるばかりか、故障が起こりやすくなる。更に、この方法では、製品の全体でなく極一部のみに圧力をかけるので、比較的に均一肉厚の圧力がかからない製品部分の補完的機能であるため、肉厚の樹脂成形物を作成するには向かない。
【0013】
上記したように、今まで用いられてきた成形方法では、肉厚の熱可塑性からなる樹脂成形体の内層部分にボイドが発生し、満足な成形品を得るのには不充分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開昭58−151228号公報
【特許文献2】特開平10−296812号公報
【特許文献3】特開平9−323340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、装置や金型の構成を複雑化・大型化することなく、厚肉な熱可塑性の樹脂成形物を製造することができる樹脂射出圧縮成形方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、金型の固定側が熱可塑性樹脂で溶融充填されるキャビティとスライドコアを有する金型、および、射出成形機を用いて、熱可塑性樹脂を圧縮して射出成形体を得る樹脂射出圧縮成形方法であって、スライドコアが、熱可塑性樹脂が溶融充填される際に樹脂量と連動して後退しながらスライドし、さらに、樹脂供給開始後に金型充填容量の20%から80%の樹脂を射出スクリューの先端側に貯留し、射出スクリューの回転により、樹脂を可塑化しながら射出シリンダーから注入した後に、さらに、射出スクリューの先端側に貯留した溶融樹脂で金型充填容量の80%から20%を高速射出し、スライドコアを固定側にスライドさせて、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形体を成形する樹脂射出圧縮成形方法である。
【0017】
本発明のもうひとつの圧縮樹脂射出成形方法は、金型の固定側が熱可塑性樹脂で溶融充填されるキャビティとスライドコアを有する金型、および、射出成形機を用いて、熱可塑性樹脂を圧縮して射出成形体を得る樹脂射出圧縮成形方法であって、
(1)射出スクリューの先端側に貯留した金型充填容量の20%から80%の溶融樹脂を、射出シリンダーから高速射出を行い、その後で、
(2)樹脂供給開始後に樹脂を射出スクリューの先端側に貯留し、射出スクリューの回転により、樹脂を可塑化しながら射出シリンダーから注入した後に、さらに、
(3)射出スクリューの先端側に貯留した溶融樹脂を高速射出し、スライドコアを固定側にスライドさせて、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形体を成形する樹脂射出圧縮成形方法であって、
工程(2)と工程(3)で用いられる樹脂量の総計が金型充填容量の80%から20%であり、スライドコアが、熱可塑性樹脂が溶融充填される際に樹脂量と連動して後退しながらスライドする樹脂射出圧縮成形方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、ボイドやクラックの少ない肉厚の熱可塑性樹脂成形体が得ることができる。
【0019】
本発明により、金型サイズに対して、かなり大きな射出シンリンダーを用意する必要がなく、経済的なメリットが大きい。
【0020】
本発明により、装置や金型の構成を複雑化・大型化することなく、ボイドやクラックの少ない肉厚の熱可塑性樹脂成形体が得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の樹脂射出圧縮成形方法に用いられる金型の一例を示す一部外観断面図である。
【図2】本発明の圧縮樹脂射出成形方法による成形要領を示すフローチャートの一例と、その一部外観断面図である。
【図3】実施例1によって得られる樹脂ブロック149である。
【図4】実施例2記載の成形要領を示すフローチャートの追加部分である。
【図5】実施例7記載のスライドコアの追加図である。スライドコア中心部133aとスライドコアア外周部133bに2層に分かれている。
【図6】実施例9記載のスライドコアの追加図である。スライドコアの中心部がキャビティ側で少なくとも1箇所外周部に広がり分割されている。
【図7】本発明の実施例10記載のスライドコアの追加図である。スライドコア中心部とスライドコアア外周部に3層に分かれている。
【図8】本発明の圧縮樹脂射出成形方法による射出成形装置全体の外観断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法について説明する。
【0023】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法は、金型の固定側が熱可塑性樹脂で溶融充填されるキャビティとスライドコアを有する金型、および、射出成形機を用いて、熱可塑性樹脂を圧縮して射出成形体を得る樹脂射出圧縮成形方法であって、スライドコアが、熱可塑性樹脂が溶融充填される際に樹脂量と連動して後退しながらスライドし、さらに、樹脂供給開始後に金型充填容量の20%から80%の樹脂を射出スクリューの先端側に貯留し、射出スクリューの回転により、樹脂を可塑化しながら射出シリンダーから注入した後に、さらに、射出スクリューの先端側に貯留した溶融樹脂で金型充填容量の80%から20%を高速射出し、スライドコアを固定側にスライドさせて、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形体を成形する樹脂射出圧縮成形方法である。
【0024】
図1は、本発明の樹脂射出圧縮成形方法に用いられる金型の一例を示す一部外観断面図である。図2は、本発明の圧縮樹脂射出成形方法による成形要領を示すフローチャートの一例とそれに対応する装置の一部外観断面図である。図8は圧縮樹脂射出成形方法による射出成形装置全体の外観断面図の一例である。以下、本発明の圧縮樹脂射出成形方法を、図面を参照しながら説明するが、本発明は、図面に記載された実施態様に限定されるものではない。
【0025】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、スライドコアは、熱可塑性樹脂が溶融充填される際に樹脂量と連動して後退しながらスライドする。本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、例えば、図1、図2に示したように、金型の固定側が熱可塑性の溶融樹脂170で溶融充填されるキャビティ132と、金型の可動側が熱可塑性樹脂が溶融充填される際に支持体のバネ137により支えられながら樹脂量と連動して一部が後退するスライドするスライドコア133を有する金型を用いる。スライドコア133を樹脂量に連動して支える支持体は、特に限定されず、バネ、高弾性のゴム、空気圧シリンダー、油圧シリンダーでもよい。
【0026】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、樹脂供給開始後に金型充填容量の20%から80%の樹脂を射出スクリュー191の先端側に貯留し、好ましくは、金型充填容量の20%から50%の樹脂を可塑化してスクリュー191の先端側に貯留する。
【0027】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、好ましくは、樹脂供給開始後に射出スクリューの先端側に貯留した樹脂と、高速射出する樹脂の総計が、金型充填容量と同量である。
【0028】
さらに、本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、射出スクリューの回転により、樹脂を可塑化しながら射出シリンダーから注入する。好ましくは、射出スクリューの回転により可塑化しながら射出シリンダー192からキャビティ132に溶融樹脂をイントルージョン成形する。
【0029】
さらに、本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、射出スクリューの先端側に貯留した溶融樹脂で金型充填容量の80%から20%を高速射出し、スライドコアを固定側にスライドさせて、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形体を成形する。
【0030】
本発明において、高速射出とは、金型内充填時間が0.5秒以下、あるいは、射出速度 1000mm/秒以上である射出成形法であり、射出成形機の射出シリンダー192内の溶融樹脂170を、短時間で金型内に注入する方法である。
【0031】
圧縮射出成形において、成形機の大きさには一定の大きさが決められており、金型の厚み方向を厚く充填するのは、射出スクリューが小さすぎて、1回の射出では目標のキャビティを充填することは出来ない。そこで、射出スクリューの回転により可塑化しながら注入することで、射出スクリュー径の大きさよりも多くの樹脂を入れることは出来るが、速度が遅くかつ圧力が不足する。そこで、高速射出することにより、充填速度を高めてかつ高圧で保圧することで、ボイドやクラックの少なく。充填率の高い肉厚の樹脂ブロックを得ることができる。
【0032】
本発明のもうひとつの圧縮樹脂射出成形方法は、金型の固定側が熱可塑性樹脂で溶融充填されるキャビティとスライドコアを有する金型、および、射出成形機を用いて、熱可塑性樹脂を圧縮して射出成形体を得る樹脂射出圧縮成形方法であって、
(1)射出スクリューの先端側に貯留した金型充填容量の20%から80%の溶融樹脂を、射出シリンダーから高速射出を行い、その後で、
(2)樹脂供給開始後に樹脂を射出スクリューの先端側に貯留し、射出スクリューの回転により、樹脂を可塑化しながら射出シリンダーから注入した後に、さらに、
(3)射出スクリューの先端側に貯留した溶融樹脂を高速射出し、スライドコアを固定側にスライドさせて、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形体を成形する樹脂射出圧縮成形方法であって、
工程(2)と工程(3)で用いられる樹脂量の総計が金型充填容量の80%から20%であり、スライドコアが、熱可塑性樹脂が溶融充填される際に樹脂量と連動して後退しながらスライドする樹脂射出圧縮成形方法である。
【0033】
本発明のもうひとつの圧縮樹脂射出成形方法では、樹脂射出圧縮成形する前に、図4に示すフローを追加したように樹脂供給開始後に射出スクリュー191の先端側に貯留した溶融樹脂を金型充填容量の20%から80%を高速射出する。本発明のもうひとつの圧縮樹脂射出成形方法では、金型充填容量の50%から80%を高速射出することが好ましい。例えば粘度の高い樹脂においては、流動性が低いので、あらかじめ高速射出でおおよその樹脂を高速充填した後、不足分を射出スクリュー191の回転により可塑化しながら射出シリンダー192からキャビティ132に溶融樹脂を注入射出で充填した後、さらに高速射出で樹脂を充填することで、粘度の高い樹脂を高充填した樹脂149を得ることが出来る。
【0034】
本発明において、高速射出とは、金型内充填時間が0.5秒以下、あるいは、射出速度 1000mm/秒以上である射出成形法であり、射出成形機の射出シリンダー192内の溶融樹脂170を、短時間で金型内に注入する方法である。
【0035】
本発明のもうひとつの圧縮樹脂射出成形方法では、好ましくは、工程(1)、工程(2)、工程(3)で用いられる樹脂量の総計が、金型充填容量と同量である。
【0036】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、好ましくは、キャビティ外周部が箱状固化された状態を作り、次に、射出スクリューの回転により可塑化しながら金型充填容量の樹脂の充填されたのち、さらに、高速射出を行なった後に、スライドコアを固定側にスライドさせる。
【0037】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、例えば、1段階でキャビティ132の外周部が箱状固化された状態を作り、第2段階で射出スクリュー191の回転により可塑化しながら金型充填容量の樹脂の充填されたのち、第3段階で高速射出を行なった後に、スライドコア133を固定側にスライドさせることが好ましい。
【0038】
さらには、本発明の樹脂射出圧縮成形方法において、射出スクリュー191の先端側に貯留した溶融樹脂で、高速射出を行なったあとに、0.1秒後から10秒後にスライドコア133を固定側にスライドさせることが好ましく、さらに好ましくは、樹脂射出圧縮成形方法において、射出スクリュー191の先端側に貯留した溶融樹脂で、高速射出を行なったあとに、1秒後から3秒後にスライドコア133を固定側にスライドさせる。
【0039】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、好ましくは、スライドコアを固定側にスライドさせる機構が、突き出しロッド構造である。
【0040】
例えば、スライドコア133を固定側にスライドさせる機構が、突き出しロッド構造であることが好ましい。金型や樹脂ブロック149のサイズに合わせて、突き出しロットの本数は1以上であり複数かつ長さが同一のであってもよく、キャビティ132内の樹脂を圧縮することができればよい。また、突き出しロッドの太さはや形状に特に縛りはなく、金型内部でスムーズな動きが出来ればよい。また、突き出しロッドを突き出す動力は、電気でも油圧でもよく、成形機外の動力を用いてもよい。
【0041】
さらには、前記記載の樹脂射出圧縮成形方法において、スライドコア133を固定側にスライドさせる機構が、突き出しロッド136と伴に金型の可動側取付板121であることが好ましい。このとき、スペーサーブロック130と可動側型板122が直接接合する必要はなく、スペーサーブロックに付属したバネ137などの支持体により、可動側型板122が固定側のストリッパープレート102に押し付けていればよい。
【0042】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、好ましくは、スライドコアが中心部と外周部の2層に分割され、中心部が外周部より0.1mmから5mm固定側によりスライドする。例えば、図5に示すようにスライドコア133が中心部133aと外周部133bの2層に分割され、中心部が外周部より0.1mmから5mm固定側によりスライドすることが好ましい。
【0043】
好ましくは、樹脂ブロック149の中心部は最も遅くまで溶融状態とし、スライドコアの中心部133aが外周部133bより固定側にスライドすることで、樹脂ブロック149の中心部をより圧縮することができ、ボイドの発生を抑制することができる。まだ溶融している樹脂が残る中心部のみを特に圧縮することが好ましい。
【0044】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、さらに好ましくは、中心部が外周部より0.2mmから2mm固定側によりスライドすることが好ましい。さらにより好ましくは、中心部が外周部より0.3mmから1mm固定側によりスライドすることが好ましい。
【0045】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、例えば、図5に示すように、スライドコア133が中心部133aと外周部133bの2層に分割され、中心部が外周部より射出製品厚みの1/10から1/100だけ固定側によりスライドすることが好ましい。さらに好ましくは、1/20から1/100だけ固定側によりスライドすることが好ましい。さらに好ましくは、1/50から1/100だけ固定側によりスライドすることが好ましい。
【0046】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、例えば、図6に示すように、スライドコア133の中心部がキャビティ側で少なくとも1箇所が1mmから5mm外周部に広がり分割することが好ましい。
【0047】
また、例えば、図6に示すように、スライドコア中心部133aがキャビティ側で少なくとも1箇所1mmから5mm外周部133bへ広がり分割されているであることが好ましい。スライドコア中心部133a広がりを持つことで、スライドコア中心部133aが常に外周部133bより固定側によりスライドすることができるので、樹脂ブロック149の中心部を効率よく圧縮することができる。
【0048】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、さらに好ましくは、樹脂射出圧縮成形装置において、スライドコア中心部133aがキャビティ側で少なくとも2箇所2mmから4mmスライドコア外周部133bへ広がり分割されているであることが好ましい。さらにより好ましくは、樹脂射出圧縮成形装置において、スライドコア中心部133aがキャビティ側で少なくとも、4箇所2mmから4mmスライドコア外周部133bに広がり分割されているであることが好ましい。
【0049】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、好ましくは、スライドコアが中心部と内周部と外周部の3層以上に分割されている。
【0050】
例えば、図7に示すように、スライドコア中心部133aとスライドコア内周部133cとスライドコア外周部133bの3層以上に分割されていることであることが好ましい。また、スライドコア133が左、中央、右と3分割以上に分割されてもよく、上、中央、下と3分割以上に分割されてもよく、スライドコア133の分割が非対称でもよい。樹脂ブロック149が大きなサイズになったときは、樹脂ブロック149内部の溶融状態も大きくなるので、より中心部を段階的に強く圧縮するのが好ましく、3層以上に分割されていることであることが好ましい。
【0051】
さらに、本発明の圧縮樹脂射出成形方法では、熱可塑性樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン11、芳香族ナイロン、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリスチレン、芳香族ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、アクロニトリルブタジエンスチレン、ポリアミドイミド、ポリエーテルサルホンこれの混合体また共重合体が好ましい。熱可塑性樹脂は、無機充填材として、ガラス繊維、ガラスフレーク、タルク、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭素繊維、活性炭、活性炭素繊維、カーボンを1つまたは2以上混合していてもよい。その混合率は、好ましくは、0から80%である。さらに、無機充填材の混合率は、10から50%がより好ましい。
【0052】
本発明の圧縮樹脂射出成形方法から得られる成形体は、樹脂ブロック149の樹脂射出圧縮成形体に含まれる長さ0.2mm以上のボイドの全体積が、成形体の全体積の0.1%以下であることが好ましい。さらに、成形体に含まれる長さ0.2mm以上のボイドの全体積が、樹脂射出圧縮成形体の全体積の0.05%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、成形体に含まれる長さ0.1mm以上のボイドの全体積が、樹脂射出圧縮成形体の全体積の0.05%以下である。
【0053】
次に、本発明の圧縮樹脂射出成形方法の例示として、図2の射出工程の動きに沿って図1の金型内部の動きを図8の射出成形装置全体図と伴に説明する。
【0054】
ステップ10:可動側を固定側に移動し、金型を締める。
【0055】
ステップ20:スプールブッシュ103を通して溶融状態の樹脂170が、図8の射出成形装置全体図のように射出スクリュー191の回転により溶融した状態のまま射出シリンダー192から、スプールランナー105を通って、キャビティ132に到達して、スライドコア133をバネ137の支えを受けながら樹脂量に連動して可動側に後退させながら、全充填量の50%の樹脂を充填する。
【0056】
通常、射出成形において射出スクリューの直径の大きさによって、射出容量が定まるが、大きな樹脂ブロック149を作る際には、かなり大きな射出スクリュー設備が必要となる。このとき、射出スクリュー191の大きさに関係なく大容量の樹脂を射出スクリューの回転により可塑化された樹脂が投入されることによって、キャビティ132に充填することができる。
【0057】
ステップ30:その後、キャビティ132内に全充填量の50%を高速射出した樹脂で充填する。このときスライドコア133はバネ137の支えを受けながら樹脂量に連動して可動側に後退しかつ、高速射出で充填され保圧を十分にかけることができるので、キャビティ132内に隙間のない樹脂充填が可能となる。
【0058】
ステップ40:その後、油圧シリンダー183により可動側に突き出しロッド136が押し出されて、133が固定側にスライドして、キャビティ内の樹脂ブロック149が圧縮されることで、ボイドの少ない樹脂が得られる。
【0059】
ステップ50:油圧シリンダー183により可動側に突き出しロッド136が後退し、弛緩させる。
【0060】
ステップ60:型締機構184により可動側が後退して、型開きをするさらに油圧シリンダー183により可動側に突き出しロッド136が押し出されて、バネ137とスライドコア133が固定側にスライドして、キャビティ内の樹脂ブロック149が取り出される。
【実施例】
【0061】
ボイドの有無および大きさの測定方法
DAGE(デイジ)社のサブミクロンフォーカスX線検査装置XD7500NT950を用いて測定した。
【0062】
実施例1
図1に、実施例1で用いた金型の外観断面図を示した。図2に、実施例1の成形要領を示すフローチャートと、それの一部外観断面図を示した。図3に、実施例1によって得られる樹脂ブロック149を示した。実施例1で用いた射出装置全体の模式図は図8に示した。
【0063】
樹脂ブロック149は横50mm×縦50mm×厚さ25mmの直方体を、射出成形機190を用いて成形した。ここでは樹脂としてナイロン6を用いた。ステップ10から60で用いた射出機の型締力は100tである。ステップ20の樹脂充填量は80%で、ステップ30の樹脂充填量は20%である。
【0064】
樹脂充填後0.1秒後にステップ40で突き出しロッド136を用いて、5tの力でスライドコア133を固定側にスライドさせることで圧縮し、ステップ50で突き出しロッド136を可動側にスライドして弛緩した後、ステップ60で金型を開いたあと、スライドコア133とバネ137を固定側にスライドさせて樹脂ブロック149を取り出した。
【0065】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1,2に示した。得られた樹脂ブロック149において0.2mm以上のボイドは見受けられなかった。0.1〜0.2mmのボイドは0.03%見受けられた。
【0066】
実施例2
実施例1において、素材をナイロン66に代えて、ステップ10の後に図4に示すステップ15として、高速射出を樹脂充填量は20%行い、残りの樹脂量80%のうち20%をステップ20で行い、残り80%をステップ30で実施した。樹脂充填後3秒後に圧縮した以外は実施例1と同様である。
【0067】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1,2に示した。樹脂ブロック149において0.2mm以上のボイドは見受けられなかった。0.1〜0.2mmのボイドは0.02%見受けられた。
【0068】
実施例3
実施例2において、素材をナイロン12、横50mm×縦50mm×厚さ15mmの直方体に代えて、ステップ10の後にステップ15として、高速射出を樹脂充填量は60%行い、残りの樹脂量40%のうち80%をステップ20で行い、残り20%をステップ30で実施した。樹脂充填後4秒後ステップ40で圧縮した以外は実施例2と同様である。
【0069】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1に示した。樹脂ブロック149において0.2mm以上のボイドは見受けられなかった。また、得られた樹脂ブロック149を1分以内に裁断すると、樹脂の色相の違いから製品樹脂の外部が箱状に形成されていた。
【0070】
実施例4
実施例1において、素材を芳香族ナイロン(ナイロン9T)に代えて、ステップ20の樹脂充填量は50%で、ステップ30の樹脂充填量は50%であり、樹脂充填後7秒後にステップ40で圧縮した以外は実施例1と同様に実施した。
【0071】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1に示した。得られた樹脂ブロック149おいて0.2mm以上のボイドは見受けられなかった。
【0072】
実施例5
実施例1において、素材をポリブチレンテレフタレートに代えて、かつ横50mm×縦50mm×厚さ10mmの直方体としてステップ20の樹脂充填量は20%で、ステップ30の樹脂充填量は80%であり、樹脂充填後10秒後にステップ40で圧縮した以外は実施例1と同様に実施した。
【0073】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1に示した。得られた樹脂ブロック149おいて0.2mm以上のボイドは見受けられなかった。
【0074】
実施例6
実施例1において、素材をポリプロピレンに代えて、ステップ20の樹脂充填量は60%で、ステップ30の樹脂充填量は40%であり、樹脂充填後0.2秒後にステップ40で圧縮した可動側取付板121と同時に突き出しロッド136を用いて、スライドコア133を固定側にスライドさせることで圧縮し、ステップ50でスライドコア133を可動側にスライドして弛緩した後、ステップ60で型を開いたあと、スライドコア133とバネ137で樹脂ブロック149を取り出した以外は実施例1と同様に実施した。
【0075】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1に示した。樹脂ブロック149おいて0.2mm以上のボイドは見受けられなかった。
【0076】
実施例7
実施例1において、素材をポリフェニレンサルファイドに代えて、図5に示すようにスライドコア中心部133aとスライドコアア外周部133bに2層に分かれており、ステップ40で圧縮した際に、スライドコア中心部133aがスライドコアア外周部133bより0.1mm固定側にスライドしていた以外は実施例1と同様に実施した。
【0077】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1に示した。得られた樹脂ブロック149おいて0.2mm以上のボイドは見受けられなかった。
【0078】
実施例8
実施例7において、素材をナイロン6/ガラス繊維=60:40に代えて、ステップ40で圧縮した際に、スライドコア中心部133aがスライドコアア外周部133bより成形品の厚み25mmに対し2.5mm固定側にスライドしていた以外は、実施例7と同様に実施した。
【0079】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1に示した。得られた樹脂ブロック149おいて0.2mm以上のボイドは見受けられなかった。
【0080】
実施例9
実施例7において、素材をナイロン6/炭素繊維(CF)=85:15に代えた。さらに、図6に示すようにスライドコア中心部133aとスライドコアア外周部133bに2層に分かれており、かつスライドコア中心部133aがキャビティ側で少なくとも1箇所2.0mm外周部に広がり分割されて、スライドコア中心部133aがスライドコアア外周部133bより0.5mm固定側にスライドした以外は実施例7と同様に実施した。
【0081】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1,2に示した。得られた樹脂ブロック149おいて、0.2mm以上のボイドは見受けられなかった。0.1〜0.2mmのボイドは0.03%見受けられた。
【0082】
実施例10
実施例7において、素材をポリフェニレンサルファイド/水酸化マグネシウム=50:50、横70mm×縦70mm×厚さ20mmの直方体に代えた。さらに、図7に示すようにスライドコアが3層に分かれており、かつスライドコア中心部133aがスライドコア内周部133cより成形品の厚み25mmに対し0.8mm固定側にスライドした。さらに、スライドコア外周部133bがスライドコア内周部133cより成形品の厚み25mmに対し0.3mm固定側にスライドした以外は実施例7と同様に実施した。
【0083】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1,2に示した。得られた樹脂ブロック149おいて0.2mm以上のボイドは見受けられなかった。0.1〜0.2mmのボイドは0.04%見受けられた。
【0084】
実施例11
実施例1において、突き出しロッド136を用いて、7tの力でスライドコア133を固定側にスライドさせることで圧縮し、かつ可塑性樹脂をポリエーテルイミドとした以外は実施例1と同様に実施した。
【0085】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1に示した。得られた樹脂ブロック149おいて0.2mm以上のボイドは見受けられなかった。
【0086】
比較例1
実施例1において、ステップ20のみで射出スクリュー191の回転により可塑化しながらキャビティ132に溶融樹脂170を注入し樹脂充填量を100%とした以外は実施例1と同様に実施した。
【0087】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1,2に示した。得られた製品において0.2mm以上のボイドが全樹脂量の1.5%見られた。0.1mm〜0.2mmのボイドが3.2%見られた。
【0088】
比較例2
実施例2において、ステップ10の後に図4に示すステップ15として、高速射出を樹脂充填量は20%行い、残りの樹脂量80%をステップ20のみで射出スクリュー191の回転により可塑化しながらキャビティ132に溶融樹脂170を注入し(ステップ30は実施していない)、樹脂充填量を100%とした以外は実施例2と同様に実施した。
【0089】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1に示した。得られた製品において0.2mm以上のボイドが全樹脂量の2.1%見られた。
【0090】
比較例3
実施例1において、ステップ10のあとステップ30のみで高速射出で溶融樹脂170を注入したが(ステップ20は実施していない)、樹脂量が不足したので高速射出を4回繰り返した。
【0091】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1に示した。得られた製品において0.2mm以上のボイドが全樹脂量の3.0%見られた。
【0092】
比較例4
実施例1において、ステップ20で射出スクリュー191の回転により可塑化しながら、キャビティ132に溶融樹脂170を注入し、樹脂充填量95%を行った。次にステップ30において、高速射出で樹脂充填量5%を行った以外は実施例1と同様に実施した。
【0093】
樹脂ブロックのボイドの有無および大きさを表1,2に示した。得られた製品において0.2mm以上のボイドが全樹脂量の3.5%見られた。0.1mm〜0.2mmのボイドが全樹脂量の5.2%見られた。
【0094】
【表1】

【0095】
【表2】

【符号の説明】
【0096】
100:断熱版
101:固定側型板
102:ストリッパープレート
103:スプールブッシュ
105:スプールランナー
107:エジェクタガイド
109:引っ張りリンク
110:パーティングロック
111:ストップボトル
121:可動側取付板
122:可動側型板
130:スペーサーブロック
132:キャビティ
133:スライドコア
133a:スライドコア中心部
133b:スライドコア外周部
133c:スライドコア内周部
134:入れ子
135a,d,c,d,e,f:エジェクタープレート
136:突き出しロッド
137:バネ
138:スライドコア広がり部分
149:樹脂ブロック
150:ヒーター
151:水管
170:溶融樹脂
181:油圧ポンプ
183:油圧シリンダー
184:型締機構
190:射出成形機
191:射出スクリュー
192:射出シリンダー
193:ホッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型の固定側が熱可塑性樹脂で溶融充填されるキャビティとスライドコアを有する金型、および、射出成形機を用いて、熱可塑性樹脂を圧縮して射出成形体を得る樹脂射出圧縮成形方法であって、スライドコアが、熱可塑性樹脂が溶融充填される際に樹脂量と連動して後退しながらスライドし、さらに、樹脂供給開始後に金型充填容量の20%から80%の樹脂を射出スクリューの先端側に貯留し、射出スクリューの回転により、樹脂を可塑化しながら射出シリンダーから注入した後に、さらに、射出スクリューの先端側に貯留した溶融樹脂で金型充填容量の80%から20%を高速射出し、スライドコアを固定側にスライドさせて、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形体を成形する樹脂射出圧縮成形方法。
【請求項2】
樹脂供給開始後に射出スクリューの先端側に貯留した樹脂と、高速射出する樹脂の総計が、金型充填容量と同量である請求項1記載の樹脂射出圧縮成形方法。
【請求項3】
金型の固定側が熱可塑性樹脂で溶融充填されるキャビティとスライドコアを有する金型、および、射出成形機を用いて、熱可塑性樹脂を圧縮して射出成形体を得る樹脂射出圧縮成形方法であって、
(1)射出スクリューの先端側に貯留した金型充填容量の20%から80%の溶融樹脂を、射出シリンダーから高速射出を行い、その後で、
(2)樹脂供給開始後に樹脂を射出スクリューの先端側に貯留し、射出スクリューの回転により、樹脂を可塑化しながら射出シリンダーから注入した後に、さらに、
(3)射出スクリューの先端側に貯留した溶融樹脂を高速射出し、スライドコアを固定側にスライドさせて、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形体を成形する樹脂射出圧縮成形方法であって、
工程(2)と工程(3)で用いられる樹脂量の総計が金型充填容量の80%から20%であり、スライドコアが、熱可塑性樹脂が溶融充填される際に樹脂量と連動して後退しながらスライドする樹脂射出圧縮成形方法。
【請求項4】
工程(1)、工程(2)、工程(3)で用いられる樹脂量の総計が、金型充填容量と同量である請求項3記載の樹脂射出圧縮成形方法。
【請求項5】
キャビティ外周部が箱状固化された状態を作り、次に、射出スクリューの回転により可塑化しながら金型充填容量の樹脂の充填されたのち、さらに、高速射出を行なった後に、スライドコアを固定側にスライドさせる請求項1から4に記載の樹脂射出圧縮成形方法。
【請求項6】
スライドコアを固定側にスライドさせる機構が、突き出しロッド構造である請求項1から5に記載の樹脂射出圧縮成形方法。
【請求項7】
スライドコアが中心部と外周部の2層に分割され、中心部が外周部より0.1mmから5mm固定側によりスライドする請求項1から6に記載の樹脂射出圧縮成形方法。
【請求項8】
スライドコアが中心部と内周部と外周部の3層以上に分割されている請求項1から6に記載の樹脂射出圧縮成形方法。
【請求項9】
請求項1から8に記載の樹脂射出圧縮成形方法により得られる樹脂射出圧縮成形体。
【請求項10】
樹脂射出圧縮成形体に含まれる長さ0.2mm以上のボイドの全体積が、樹脂射出圧縮成形体の全体積の0.1%以下である請求項9に記載の樹脂射出圧縮成形体。
【請求項11】
金型の固定側が熱可塑性樹脂で溶融充填されるキャビティとスライドコアを有する金型、および、射出成形機からなり、スライドコアが、熱可塑性樹脂が溶融充填される際に樹脂量と連動して後退しながらスライドし、さらに、樹脂供給開始後に金型充填容量の20%から80%の樹脂を射出スクリューの先端側に貯留し、射出スクリューの回転により、樹脂を可塑化しながら射出シリンダーから注入した後に、さらに、射出スクリューの先端側に貯留した溶融樹脂で金型充填容量の80%から20%を高速射出し、スライドコアを固定側にスライドさせて、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形体を成形する射出圧縮成形装置。
【請求項12】
金型の固定側が熱可塑性樹脂で溶融充填されるキャビティとスライドコアを有する金型、および、射出成形機からなり、
(1)射出スクリューの先端側に貯留した金型充填容量の20%から80%の溶融樹脂を、射出シリンダーから高速射出を行い、その後で、
(2)樹脂供給開始後に樹脂を射出スクリューの先端側に貯留し、射出スクリューの回転により、樹脂を可塑化しながら射出シリンダーから注入した後に、さらに、
(3)射出スクリューの先端側に貯留した溶融樹脂を高速射出し、スライドコアを固定側にスライドさせて、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形体を成形し、
工程(2)と工程(3)で用いられる樹脂量の総計が金型充填容量の80%から20%であり、スライドコアが、熱可塑性樹脂が溶融充填される際に樹脂量と連動して後退しながらスライドして、熱可塑性樹脂の射出圧縮成形体を成形する射出圧縮成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−78913(P2013−78913A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220730(P2011−220730)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000222406)東洋プラスチック精工株式会社 (12)
【Fターム(参考)】