説明

樹脂微粒子分散液の製造方法

【課題】高品位画像を形成可能なトナーの製造に利用できる粒度分布幅が狭い樹脂微粒子の分散液の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】溶融工程と、得られる溶融状態の樹脂粒子に所定の割合で第1水性媒体を添加する転相乳化工程と、該高圧樹脂微粒子分散液に第2水性媒体を添加する希釈工程と、徐冷徐減圧工程とを含み、第1水性媒体の添加位置での圧力P2とその直前及び直後での圧力P1及びP3がP1>P3>P2を満たし、第2水性媒体の添加位置での圧力P5とその直前及び直後の圧力P4及びP6がP4>P6>P5を満たし、溶融工程、転相乳化工程及び希釈工程と徐冷徐減圧工程との両工程の滞留時間T1、T2及びT3がT2>T3>T1及びT2=(1.2〜2.0)×T1の関係を充足することを特徴とする樹脂微粒子分散液の製造方法により、上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂微粒子分散液の製造方法に関する。
この製造方法により製造される樹脂微粒子分散液は、電子写真方式の画像形成装置の現像剤として用いられるトナーを製造するための中間体として使用できる。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において静電潜像を現像する現像剤として用いられるトナーの製造方法としては、混練粉砕法が広く知られている。混練粉砕法は、トナー材料である結着樹脂及び着色剤などを溶融混練して溶融混練物を作製し、該溶融混練物を粉砕することによってトナーを製造する方法である。このような混練粉砕法によって得られるトナーは、粒度分布幅が広く、そのため高品位の画像が得られないという問題がある。
【0003】
特許文献1には、ポリエステル樹脂などの合成樹脂からなる樹脂微粒子が水性媒体中に分散してなる樹脂微粒子分散液を製造する方法が開示されている。
特許文献1に開示される方法を適用してトナーを製造する場合、以下のように行われる:先ず、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含む溶融混練物を有機溶剤に溶解して所定の粘度の混練物溶液を調製する。次に、混練物溶液に水を加えてせん断力を付与しながら転相乳化を行い、着色樹脂微粒子が水性媒体中に分散してなる樹脂微粒子分散液を得る。そして、樹脂微粒子分散液に含まれる着色樹脂微粒子を凝集させることによりトナー母粒子の分散液を得て、分散液からトナー母粒子を分離することによってトナーを得る。
このようにしてトナーを製造することによって、粒度分布幅がある程度狭いトナーを得ることができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される樹脂微粒子分散液の製造方法では、有機溶剤を使用するため、有機溶剤を除去する工程が必要となるが、製造されるトナーから有機溶剤を完全に除去することは困難である。そして、残留した有機溶剤は、画像品質に悪影響を及ぼしてしまう。更に、有機溶剤の使用は環境汚染、安全性、臭気の問題を生じさせる。
【0005】
一方、特許文献2には、結着樹脂と着色剤とを含む溶融混練物を加熱加圧下で溶融させ、そこに水性媒体を加えてせん断力を付与しながら転相乳化を行い、着色樹脂微粒子が水性媒体中に分散してなる樹脂微粒子分散液を得る工程を含むトナーの製造方法が開示されている。特許文献2に開示されるトナーの製造方法では、有機溶剤を用いることなく、粒度分布幅が或る程度狭い着色樹脂微粒子が分散される樹脂微粒子分散液を得ることができる。
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示されるトナーの製造方法では、転相乳化によって得られる樹脂微粒子分散液中の着色樹脂微粒子は、粒度分布幅が充分に狭いものであるとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−139884号公報
【特許文献2】特開2002−351140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、粒度分布幅が狭い樹脂微粒子の分散液を製造する方法を提供することである。
また、本発明の別の目的は、高品位の画像を形成することができるトナーの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
特許文献2に開示されるトナーの製造方法で、転相乳化によって得られる樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子の粒度分布がシャープでない理由は、
i)二軸混練機に水を注入する際、水の粘度が低いので、トナー用の結着樹脂など弾性率の高い樹脂を用いた場合、溶融状態の樹脂と水との混合が不安定になるため、
ii)加熱加圧下で転相乳化を行って樹脂微粒子分散液を得た後、樹脂微粒子分散液を冷却及び減圧して常温常圧に戻すとき、着色樹脂微粒子の分散状態が不安定になり、着色樹脂微粒子同士の固着が発生して粗大化するため、
と推測された。
【0010】
したがって、上記課題を解決するため、本発明は、
体積平均粒径が0.1〜6mmの樹脂粒子を加熱加圧条件下でせん断力を付与しながら溶融状態にする溶融工程と、
得られる溶融状態の樹脂粒子に加熱加圧条件下で該樹脂粒子100重量部に対し10〜45重量部の割合で第1の水性媒体を添加し、せん断力を付与することにより高圧樹脂微粒子分散液を調製する転相乳化工程と、
前記高圧樹脂微粒子分散液に加熱加圧条件下で希釈用の第2の水性媒体を添加する希釈工程と、
希釈された高圧樹脂微粒子分散液を前記樹脂粒子のガラス転移温度以下及び大気圧まで徐冷及び徐減圧することにより、体積平均粒径が0.1〜2μmで粒径の変動係数(CV値)が30以下の樹脂微粒子が水性媒体中に分散してなる常圧樹脂微粒子分散液を調製する徐冷徐減圧工程と
をこの順に含み、
前記溶融工程、前記転相乳化工程及び前記希釈工程を、加圧条件が個別に調整可能な複数の区域から構成される装置において実施し、
前記溶融状態の樹脂粒子への前記第1の水性媒体の添加を行う区域での圧力P2とその直前及び直後の区域での圧力P1及びP3がP1>P3>P2の関係にあり、
前記高圧樹脂微粒子分散液への前記第2の水性媒体の添加を行う区域での圧力P5とその直前及び直後の区域での圧力P4及びP6がP4>P6>P5の関係にあり、
前記溶融工程内の滞留時間T1、前記転相乳化工程内の滞留時間T2及び前記希釈工程内と前記徐冷徐減圧工程内の合計の滞留時間T3がT2>T3>T1及びT2=(1.2〜2.0)×T1の関係を充足することを特徴とする樹脂微粒子分散液の製造方法を提供する。
【0011】
本発明はまた、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー材料混合物を溶融混練して溶融混練物を形成する溶融混練工程と、
前記溶融混練物を粗粉砕して体積平均粒径0.1〜6mmの粗粉砕樹脂微粒子を形成する粗粉砕工程と、
上記樹脂微粒子分散液の製造方法により樹脂微粒子の水性分散液を調製する樹脂微粒子分散液調製工程と、
前記樹脂微粒子分散液を加熱下で撹拌しながら該分散液中の樹脂微粒子を凝集融着させて融着樹脂粒子の分散液を得る樹脂微粒子凝集融着工程と、
固液分離により水性媒体を除去して融着樹脂粒子を分離する融着樹脂粒子分離工程と
を含んでなることを特徴とする融着樹脂粒子からなる電子写真用トナーの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、有機溶剤を使用することなく、粒度分布幅が狭い樹脂微粒子の分散液を容易に製造できる。
また、本発明によれば、高品位の画像を形成し得るシャープな粒度分布を有する電子写真用トナーを容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の一形態である樹脂微粒子分散液の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】本発明の樹脂微粒子分散液の製造方法に用いられる押出混練機1の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の一形態であるトナーの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<樹脂微粒子分散液の製造方法>
本発明の樹脂微粒子分散液の製造方法は、
体積平均粒径が0.1〜6mmの樹脂粒子を加熱加圧条件下でせん断力を付与しながら溶融状態にする溶融工程と、
得られる溶融状態の樹脂粒子に加熱加圧条件下で該樹脂粒子100重量部に対し10〜45重量部の割合で第1の水性媒体を添加し、せん断力を付与することにより高圧樹脂微粒子分散液を調製する転相乳化工程と、
前記高圧樹脂微粒子分散液に加熱加圧条件下で希釈用の第2の水性媒体を添加する希釈工程と、
希釈された高圧樹脂微粒子分散液を前記樹脂粒子のガラス転移温度以下及び大気圧まで徐冷及び徐減圧することにより、体積平均粒径が0.1〜2μmで粒径の変動係数(CV値)が30以下の樹脂微粒子が水性媒体中に分散してなる常圧樹脂微粒子分散液を調製する徐冷徐減圧工程と
をこの順に含み(一形態として図1を参照)、
前記溶融工程、前記転相乳化工程及び前記希釈工程は、加圧条件が個別に調整可能な複数の区域から構成される装置(一形態として図2を参照)において実施され、
前記溶融状態の樹脂粒子への前記第1の水性媒体の添加を行う区域での圧力P2とその直前及び直後の区域での圧力P1及びP3がP1>P3>P2の関係にあり、
前記高圧樹脂微粒子分散液への前記第2の水性媒体の添加を行う区域での圧力P5とその直前及び直後の区域での圧力P4及びP6がP4>P6>P5の関係にあり、
前記溶融工程内の滞留時間T1、前記転相乳化工程内の滞留時間T2及び前記希釈工程内と前記徐冷徐減圧工程内の合計の滞留時間T3がT2>T3>T1及びT2=(1.2〜2.0)×T1の関係を充足することを特徴とする。
【0015】
上記の樹脂微粒子分散液の製造方法においては、第1の水性媒体及び希釈用の第2の水性媒体の添加を、それぞれ圧力についての関係式P1>P3>P2及びP4>P6>P5を満たす区域(又は位置)で行うことにより、水性媒体の逆流や、排出口側への染み出しが抑えられ、また突沸等に起因する粗大粒子の形成が抑えられるので、シャープな粒径分布(粒径の変動係数(CV値)が例えば30以下、好ましくは25以下、例えば5〜30、5〜25、8〜30、8〜25)を有する樹脂微粒子の分散液が得られる。
【0016】
以下、本発明の樹脂微粒子分散液の製造方法をより詳細に説明する。
[溶融工程]
本発明の樹脂微粒子分散液の製造方法においては、樹脂粒子は、第1の水性媒体の添加前に溶融状態とする必要がある。第1の水性媒体が供給される前に樹脂粒子が溶融されていないと、次の「転相乳化工程」で転相乳化が十分に行われず、サブミクロンオーダーの樹脂微粒子が形成できず、形成する樹脂微粒子の粒度分布幅が広くなってしまう。
溶融工程において、加熱温度は、一般には、樹脂粒子を構成する樹脂の軟化点のうち最も高い軟化点以上、樹脂の熱分解温度のうち最も低い熱分解温度未満の温度である。混練温度は、例えば、軟化点の+5℃〜+40℃であり、樹脂粒子を構成する樹脂の種類にもよるが、通常は80〜180℃程度、好ましくは100〜150℃程度である。
【0017】
圧力は、例えば0.15〜1.0MPaであり、好ましくは0.2〜0.8MPaである。
樹脂粒子の体積平均粒径は、例えば0.1〜6mm、好ましくは0.5〜5mmであり得、粒径の変動係数(CV値)は、例えば15〜50、好ましくは15〜35であり得る
樹脂粒子は、例えばトナー材料混合物を溶融混練して得られた溶融混練物を粗粉砕した粗粉砕着色樹脂粒子であり得る。
【0018】
[転相乳化工程]
転相乳化工程は、加熱加圧下で、溶融状態の樹脂粒子に第1の水性媒体を添加し、せん断力を付与することにより、転相乳化を生じさせると共に樹脂粒子を微粒化させて、体積平均粒径0.1〜2.0μmの樹脂微粒子が第1の水性媒体中に分散される高圧樹脂微粒子分散液を得る工程である。ここで、転相乳化とは、樹脂粒子中に水性媒体が分散する状態から、水性媒体中に樹脂粒子が分散する状態に転化することを意味する。
【0019】
本発明においては、溶融状態の樹脂粒子への第1の水性媒体の添加を行う区域での圧力P2とその直前及び直後の区域(又は位置)での圧力P1及びP3がP1>P3>P2の関係にある。各区域における圧力は、例えば区域ごとに異なり得るスクリューとシリンダーとからなる押出機で行われる場合、各区域におけるスクリューのスパイラルピッチや、シリンダーとスクリュー間のクリアランスを調整することにより調整できる。
圧力P1、P2及びP3は、溶融工程から転相乳化工程にかけての圧力曲線のそれぞれ極大値、極小値及び極大値に相当することが好ましい
【0020】
本発明においては、高せん断部(例えば、第7バレル部(図2を参照))→低せん断部(例えば、第8バレル部)の順に力を掛け、これにより高せん断部→低せん断部で大きな比エネルギー相当のエネルギーを乳化物に与える(これにより圧力変動も起こっている)。次に、低せん断部(例えば、第8バレル部)→中せん断部(例えば、第9バレル部)で、起こった圧力変動を緩和する働きを行わせる。更に、中せん断部(例えば、第9バレル部)→低せん断部(例えば、第10バレル部)で更に圧力変動のエネルギー緩和を行うことによって処理物の流れを乱すことを抑えている。圧力変動を緩和せず処理物を流すと、せっかく微粒子化したものが、粒子間衝突を起こし接着粗大化することがあるため、P1>P3>P2の関係が必要である。
【0021】
第1の水性媒体を添加する際の圧力は、圧力P1より大きいことが必要である。
転相乳化工程において、加熱温度は、例えば80〜150℃程度、好ましくは80〜120℃程度であり得、圧力は、例えば0.15〜0.7MPa、好ましくは0.2〜0.6MPaであり得る。
【0022】
第1の水性媒体は、粗粉砕樹脂粒子を溶解させない液体から選ばれ、好ましくは(必要に応じて乳化剤が添加されてもよい)水である。
第1の水性媒体は、例えば1〜50重量%、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは1〜15重量%の乳化剤を含有し得る。
樹脂粒子として、水性媒体への自己分散性を有する自己分散性樹脂からなる樹脂粒子を使用する場合、第1の水性媒体は、必ずしも乳化剤が添加されることを要しないが、その分散性に応じて上記と同量又はより低い量の乳化剤が添加されていてもよい。
【0023】
特に非自己分散性樹脂からなる樹脂粒子を用いる場合、乳化剤が少な過ぎる(例えば1%未満である)と樹脂微粒子の転相乳化が難しくなる一方、乳化剤が50重量%を超えると樹脂微粒子の粒径がばらつきやすくなると同時に乳化しなくなる。本発明においては、上記範囲の乳化剤を使用することによって、より容易に粒径幅の狭い樹脂微粒子の(高圧)分散液が得られる。
乳化剤としては、公知のものが使用でき、オレフィンスルホン酸塩やポリフェニル(エチレンオキサイド)の塩が好ましく、具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリフェニル(エチレンオキサイド)7モル又は23モル硫酸ナトリウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
第1の水性媒体は、樹脂粒子100重量部に対し例えば10〜45重量部、好ましくは10〜35重量部、より好ましくは10〜25重量部、より好ましくは10〜20重量部の割合で添加する。
樹脂粒子100重量部に対する第1の水性媒体の添加量が10重量部未満では樹脂微粒子同士が凝集して粗大化を生じ、粒径がばらつき易くなる。一方、添加量が45重量部を超えると、樹脂粒子に付与されるせん断力が小さくなり過ぎて、樹脂微粒子の粒径を小さくすることが困難となり、粒径がばらつき易くなる。本発明においては、第1の水性媒体を上記範囲の割合で添加することによって、より容易に粒径幅の狭い樹脂微粒子の(高圧)分散液が得られる。
【0025】
上記範囲の乳化剤を含有する第1の水性媒体を上記範囲の割合で添加する場合には、微粒子化した樹脂粒子は第1の水性媒体中に特に安定な分散状態で維持され、そのため、微粒子同士の固着が防止されて、粒度分布幅がより狭くなるので好ましい。
【0026】
転相乳化工程は、押出混練機を用いて行うことが好ましい。押出混練機としては、粗粉砕粒子をバレル内で加熱混練できる二軸混練機や一軸混練機を挙げることができ、例えば、特開2008−101156号公報に記載の押出混練機を挙げることができる。
押出混練機を用いることによって、水性媒体中の樹脂粒子に高いせん断力を付与することができるので、効率よく樹脂粒子を微粒化して樹脂微粒子とすることができるとともに、水性媒体中での樹脂微粒子の分散状態を安定に維持することができ、粒度分布幅の狭い樹脂微粒子の分散液を得ることができる。
また、押出混練機を用いることによって、連続的に樹脂微粒子分散液を得ることができ、例えば該分散液からのトナーの生産効率を向上させることができる。
【0027】
せん断力の付与には、三条式スクリューを使うことが好ましい。これはシリンダーとスクリュー間のせん断力の掛かる頻度を上げ、せん断エネルギーを効率よく利用するためである。好ましくは5〜110(1/sec)とする。
【0028】
[希釈工程]
希釈工程は、高圧樹脂微粒子分散液(すなわち、加熱加圧下の樹脂微粒子分散液)を加熱加圧条件下に希釈用水性媒体(第2の水性媒体)で希釈する工程である。
希釈は、高圧樹脂微粒子分散液にせん断力を付与しながら行ってもよい。
【0029】
本発明においては、希釈用水性媒体の添加を行う区域での圧力P5とその直前及び直後の区域での圧力P4及びP6がP4>P6>P5の関係にある。各区域における圧力は、例えば区域ごとに異なり得るスクリューとシリンダーとからなる押出機で行われる場合、各区域におけるスクリューのスパイラルピッチや、シリンダーとスクリュー間のクリアランスを調整することにより調整できる。
圧力P4、P5及びP6は、転相乳化工程から徐冷徐減圧工程にかけての圧力曲線のそれぞれ極大値、極小値及び極大値に相当することが好ましい
【0030】
本発明においては、高せん断部(例えば、第15バレル部)→低せん断部(例えば、第16バレル部)の順に力を掛け、これにより高せん断部→低せん断部で大きな比エネルギー相当のエネルギーを乳化物に与える(これにより圧力変動も起こっている)。次に、低せん断部(例えば、第16バレル部)→中せん断部(例えば、第17バレル部)で、起こった圧力変動を緩和する働きを行わせる。更に、中せん断部(例えば、第17バレル部)→低せん断部(例えば、第18バレル部)で更に圧力変動のエネルギー緩和を行うことによって処理物の流れを乱すことを抑えている。圧力変動を緩和せず処理物を流すと、せっかく微粒子化したものが、粒子間衝突を起こし接着粗大化することがあるため、P4>P6>P5の関係が必要である。
【0031】
第2の水性媒体を添加する際の圧力は、圧力P4以上であることが必要である。
希釈時の、加熱温度は、例えば50〜110℃程度、好ましくは50〜95℃程度であり得、圧力は、例えば0.15〜0.3MPa、好ましくは0.15〜0.2MPaであり得る。
【0032】
第2の水性媒体は、樹脂粒子を構成する樹脂を溶解させない液体から選ばれ、具体的には水である。第2の水性媒体は、(第1の水性媒体が乳化剤を含み得ることを除いて)第1の水性媒体と同じであっても異なってもよい。
第2の水性媒体は、高圧樹脂微粒子分散液100重量部に対し好ましくは100〜300重量部の割合で添加する。100重量部未満では樹脂微粒子同士が凝集し、粒径がばらつき易くなる一方、300重量部を超えると圧力を維持するのが困難になり、突沸により粒径がばらつき易くなる。本発明においては、第2の水性媒体を上記範囲の割合で添加することによって、より容易に粒径幅の狭い樹脂微粒子の(希釈)分散液が得られる。
【0033】
上記の溶融工程、転相乳化工程及び希釈工程は、加圧条件が個別に調整可能な複数の区域から構成される装置(例えばせん断力付与装置、より具体的には押出混練機)において実施される。押出混練機としては、粗粉砕粒子をバレル内で加熱混練できる二軸混練機や一軸混練機を挙げることができる。
【0034】
[徐冷徐減圧工程]
徐冷徐減圧工程は、希釈後の樹脂微粒子分散液(すなわち、高温高圧の樹脂微粒子分散液)の温度を樹脂材料のガラス転移温度(Tg)以下及び圧力を大気圧まで徐々に低下させて常圧樹脂微粒子分散液を調製する工程である。
【0035】
好ましくは、冷却速度は0.05〜1.5℃/secであり、減圧速度は0.001〜0.05MPa/secである。この範囲の速度で冷却及び減圧を行うことによって、徐冷徐減圧過程でも、水性媒体中での樹脂微粒子の分散状態を安定に維持して、粒子同士の固着による粗大化を防止でき、樹脂微粒子の粒度分布幅が狭い常圧分散液を得ることがより容易に可能となる。
【0036】
徐冷徐減圧工程は、例えば、国際公開第03/059497号パンフレットに記載の熱交換手段を備える多段減圧装置を用いて行うことができる。
徐冷徐減圧工程を行う冷却減圧装置は、溶融工程、転相乳化工程及び希釈工程を行う装置(例えば押出混練機)に連続して配置されていてもよいし、一体的に組み込まれていてもよい。
【0037】
本発明においては、前記溶融工程内の滞留時間T1、前記転相乳化工程内の滞留時間T2及び前記希釈工程内と前記徐冷徐減圧工程内の合計の滞留時間T3がT2>T3>T1の関係及びT2=(1.2〜2.0)×T1の関係を充足することが必要である。前記関係は、押出混練機のバレル数、スクリュー長さ、スクリュー径、注入位置を調整することによって充足することができる。
【0038】
溶融工程から徐冷徐減圧工程までの全ての工程を同一の混練機(又は同軸の混練機)で実施する場合、上記滞留時間の関係は、該混練機の各工程に供される領域におけるスクリュー長さ(又はバレル長さ)L及びスクリュー径(又はバレル内径)Dを用いて、L2/D2>L3/D3>L1/D1及びL2/D2=(1.2〜2.0)×L1/D2と表すことができる。ここで、L1、L2及びL3は、混練機において溶融工程、転相乳化工程及び希釈工程と徐冷徐減圧工程の両工程に供される領域におけるスクリュー長さ(又はバレル長さ)であり、D1、D2及びD3は、混練機において溶融工程、転相乳化工程及び希釈工程と徐冷徐減圧工程の両工程に供される領域におけるスクリュー径(又はバレル内径)(径Dが各工程内で変化する場合には平均径)である。この場合、好ましくは、L1/D1は8〜15、L2/D2は12〜30、L3/D3は12〜40の範囲で上記関係を満たすように設定する。
【0039】
以下、図2を参照して本発明の樹脂微粒子分散液の製造方法を説明する。
図2は、本発明の樹脂微粒子分散液の製造方法を実施するために用いられる押出混練機1の構成を示す図である。押出混練機1は、二軸押出部10と、材料フィーダ40と、第1の水性媒体供給部50と、第2の水性媒体供給部60とを含んで構成される。
【0040】
二軸押出部10は、加熱及び冷却などの温度調節が可能なバレル11と、バレル11内に回転自在に設けられる2本のスクリュー12と、スクリュー12を回転駆動する駆動モータ13とを備える。そして、バレル11には、上流側10aに材料投入口40a、下流側に乳化液排出口10bが設けられ、材料投入口40aと乳化液排出口10bとの間に、第1及び第2の水性媒体投入口53a及び63aが設けられている。
【0041】
二軸押出部10において、材料投入口40aからバレル11内に供給される樹脂粒子は、回転駆動するスクリュー12によりせん断力を受け加熱溶融される。そして、第1水性媒体投入口53aからバレル11内に供給される第1の水性媒体は、スクリュー12の回転力によって、加熱溶融状態にある樹脂粒子と撹拌混合される。その後、樹脂粒子と水性媒体との混合物は、加熱加圧下のバレル11内でスクリュー12によってせん断力を付与されながら転相乳化され、樹脂粒子が微粒化されてなる樹脂微粒子が水性媒体中に分散する高圧樹脂微粒子分散液が生成する。
【0042】
次に、第2水性媒体投入口63aからバレル11内に供給される第2の水性媒体は、スクリュー12の回転力によって、高圧樹脂微粒子分散液と撹拌混合され、高圧樹脂微粒子分散液を希釈する。
希釈された高圧樹脂微粒子分散液は、乳化液排出口10bにおいて多段減圧装置20と気密状態で接続する流路30を流過して、多段減圧装置20に向けて排出される。排出される樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が0.1〜2μmの範囲内である。
【0043】
スクリュー12の回転数は、粗粉砕樹脂粒子に対する水性媒体の添加量、バレル11内の温度及び圧力、粗粉砕樹脂粒子及び第1の水性媒体のバレル11内への供給速度などを考慮して設定すればよく、例えば1.5〜150sec-1の範囲に設定される。
【0044】
また、バレル11内の温度は、粗粉砕樹脂粒子を構成する樹脂(例えば、トナー原材料としての結着樹脂)の軟化温度(例えば110℃)よりも高い温度(例えば120〜140℃)に調整される。バレル11内の圧力は、例えば0.2〜2.0MPaに調整される。
【0045】
このようにバレル11内の温度及び圧力を調整する理由は、材料投入口40aからバレル11内に供給される粗粉砕樹脂粒子を、水性媒体投入口53aの近傍で溶融状態とするためである。水性媒体が供給される前に粗粉砕樹脂粒子が溶融されていないと、転相乳化が不十分となりサブミクロンオーダーの樹脂微粒子が形成されず、生成する樹脂微粒子の粒度分布幅が広くなってしまう。これは、粗粉砕粒子が十分に溶融していない状態で水性媒体と混合すると、融点の低い離型剤などが先に水性媒体中へ分散してしまい、均一な着色樹脂微粒子が形成されないためであると推測される。
【0046】
材料フィーダ40は、材料投入口40aを介してバレル11内に粗粉砕樹脂粒子(例えば、粗粉砕着色樹脂粒子)を供給する部材である。材料フィーダ40による樹脂粒子のバレル11内への供給速度は、例えば70〜500g/minに設定される。粗粉砕樹脂粒子のバレル11内への供給速度を前記範囲に設定することによって、粗粉砕樹脂粒子が確実に微粒化されるとともに、粗粉砕樹脂粒子が微粒化されてなる樹脂微粒子の水性媒体中における分散状態が安定に維持される。
【0047】
第1の水性媒体供給部50は、第2の水性媒体を水性媒体投入口53aを介してバレル11内に供給する部材である。第1の水性媒体供給部50は、第1の水性媒体供給手段51と、第1の水性媒体を第1の水性媒体投入口53aに導く第1の水性媒体配管53と、第1の水性媒体に圧力を付与するとともに第1の水性媒体のバレル11内への供給量を調節する第1の液量調節バルブ52とを備える。
【0048】
第1の水性媒体供給手段51は、第1の水性媒体投入口53aを介してバレル11内に水性媒体を供給する。
第1の水性媒体供給部50による水性媒体のバレル11内への供給速度は、例えば18〜225g/minに設定される。水性媒体のバレル11内への供給速度を前記範囲に設定することによって、粗粉砕樹脂粒子が確実に微粒化されるとともに、粗粉砕粒子が微粒化されてなる樹脂微粒子の水性媒体中における分散状態が安定に維持される。
【0049】
第1の水性媒体供給部50によってバレル11内に供給される第1の水性媒体の温度は、0〜50℃に調整されるのが好ましい。第1の水性媒体の温度が0℃未満では、水性媒体が凍結するため供給不可となってしまうおそれがある。一方、第1の水性媒体の温度が50℃を超えると、水性媒体が溶融状態にある粗粉砕粒子と接触した際に沸騰しやすくなり、転相乳化が十分に行われず、形成する樹脂微粒子の粒度分布幅が広くなってしまう。
【0050】
第2の水性媒体供給部60は、第2の水性媒体を水性媒体投入口63aを介してバレル11内に供給する部材である。第2の水性媒体供給部60は、第2の水性媒体供給手段61と、第2の水性媒体を第2の水性媒体投入口63aに導く第2の水性媒体配管63と、第2の水性媒体に圧力を付与するとともに第2の水性媒体のバレル11内への供給量を調節する第2の液量調節バルブ62とを備える。
【0051】
第2の水性媒体供給手段61は、第2の水性媒体投入口63aを介してバレル11内に水性媒体を供給する。
第2の水性媒体供給部60による水性媒体のバレル11内への供給速度は、例えば18〜225g/minに設定される。水性媒体のバレル11内への供給速度を前記範囲に設定することによって、樹脂微粒子の水性媒体中における分散状態が安定に維持される。
【0052】
第2の水性媒体供給部60によってバレル11内に供給される第2の水性媒体の温度は、25〜50℃に調整されるのが好ましい。第2の水性媒体の温度が25℃未満では、転相乳化材料と大きな温度差が出来てしまうので、突沸の危険性を有し好ましくない。一方、第2の水性媒体の温度が50℃を超えると、冷却効果が小さく好ましくない。
【0053】
多段減圧装置20は、加熱加圧状態にある(希釈)樹脂微粒子分散液を多段減圧装置内に導入する入口通路と、入口通路に連通するように形成されて、徐冷徐減圧された樹脂微粒子分散液を多段減圧装置外に排出する出口通路と、入口通路と出口通路との間に設けられて、連結部材を介して2以上の減圧部材が連結されてなる多段減圧手段と、多段減圧手段の全体を覆って冷却する熱交換手段とを含んで構成され得る。
【0054】
多段減圧装置20において、多段減圧手段に用いられる減圧部材としては、例えば、パイプ状部材が挙げられる。連結部材としては、例えば、リング状シールが挙げられる。内径の異なる複数のパイプ状部材をリング状シールにて連結することによって多段減圧手段が構成される。例えば、多段減圧手段は、入口通路から出口通路に向けて、同じ内径を有するパイプ状部材が2〜4個連結され、次にこれらよりも内径の大きなパイプ状部材が1個連結され、さらに、内径の大きなパイプ状部材よりも5〜20%程度の内径を有する小さなパイプ状部材が1〜3個程度連結されて構成されている。
【0055】
加圧状態にある樹脂微粒子分散液は、上記のように構成された複数のパイプ状部材内を流過することによって、徐々に減圧され、最終的にはバブリングが起こらない大気圧(常圧)まで減圧される。また、多段減圧装置20は、多段減圧手段の全体を覆って冷却する熱交換手段が設けられ、樹脂微粒子分散液に付加されている圧力(背圧)の値に応じて、樹脂粒子のガラス転移温度以下(好ましくは、常温(例えば20℃))まで冷却が行われるように構成されている。
【0056】
多段減圧装置20は、国際公開第03/059497号パンフレットに記載の熱交換手段を備えていてもよい。
【0057】
<電子写真用トナーの製造方法>
本発明による電子写真用トナーの製造方法は、
少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー材料混合物を溶融混練して溶融混練物を形成する溶融混練工程と、
前記溶融混練物を粗粉砕して体積平均粒径0.1〜6mmの粗粉砕樹脂微粒子を形成する粗粉砕工程と、
上記の樹脂微粒子分散液の製造方法により樹脂微粒子の水性分散液を調製する樹脂微粒子分散液調製工程と、
前記樹脂微粒子分散液を加熱下で撹拌しながら該分散液中の樹脂微粒子を凝集融着させて融着樹脂粒子の分散液を得る樹脂微粒子凝集融着工程と、
固液分離により水性媒体を除去して融着樹脂粒子を分離する融着樹脂粒子分離工程と
を含んでなることを特徴とする(一形態として図3を参照)。
【0058】
上記のトナーの製造方法によれば、画像品質に悪影響を及ぼす有機溶剤を使用しないため、高品位の画像を形成し得るシャープな粒度分布(粒径の変動係数(CV値)が例えば30以下、好ましくは25以下、例えば5〜30、5〜25、8〜30、8〜25)を有する電子写真用トナーを容易に製造できる。また、本製造方法は、有機溶剤を使用しないため、環境に優しく、安全性が高い。
【0059】
以下、本発明のトナーの製造方法をより詳細に説明する。
[溶融混練工程]
溶融混練工程は、少なくとも結着樹脂及び着色樹脂を含むトナー材料混合物を溶融させた状態でこれにせん断力を加えて溶融混練物を得る工程である。
混練温度は、トナー材料混合物に含まれる結着樹脂の種類にもよるが、通常80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度である。
他の溶融混練条件については、トナー製造時に一般的に使用される条件を採用し得る。
【0060】
溶融混練には、公知の溶融混練装置を使用でき、例えば二軸混練機やオープンロール混練機などの一般的な混練機を使用できる。
結着樹脂としては、溶融状態で造粒可能であれば特に制限されず、公知のものを使用でき、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環式炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。
結着樹脂は、1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。これらの中でも、水系における湿式造粒によって粒子表面が平滑になり易いポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル樹脂などが好ましい。
【0061】
ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合物が好ましい。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族アルコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールなどの脂環式アルコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物などのビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。多価アルコールは、1種又は2種以上を使用できる。多価カルボン酸としては、例えば、フタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸などの芳香族カルボン酸とその酸無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデセニルコハク酸などの飽和及び不飽和脂肪族カルボン酸とその酸無水物などが挙げられる。多価カルボン酸は、1種又は2種以上を使用できる。
【0062】
スチレン系樹脂としては、スチレン系モノマーのホモポリマー、スチレン系モノマーとスチレン系モノマーに共重合可能なモノマーとのコポリマーなどが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどが挙げられる。他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタアクリルアミド、グリシジルメタアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリル系モノマー類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドールなどのN−ビニル化合物などが挙げられる。スチレン系モノマー及びスチレン系モノマーに共重合可能なモノマーは、それぞれ1種又は2種以上を使用できる。
【0063】
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル類のホモポリマー、(メタ)アクリル酸エステル類と(メタ)アクリル酸エステル類に共重合可能なモノマーとのコポリマーなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル類としては前述のものと同様のものを使用できる。(メタ)アクリル酸エステル類に共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル系モノマー類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、N−ビニル化合物などが挙げられる。
本発明においては、上記のような公知の結着樹脂の主鎖又は側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基などの親水性基を結合させ、水中での自己分散性を付与した結着樹脂を用いることもできる。
【0064】
着色剤としては、染料及び顔料が挙げられるが、その中でも顔料を用いることが好ましい。顔料は、染料に比べて耐光性及び発色性に優れるので、顔料を用いることによって耐光性及び発色性に優れるトナーを得ることができる。
顔料としては、黒色系顔料、有彩色系顔料などを使用できる。
黒色系顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどの黒色系無機顔料、アニリンブラックなどの黒色系有機顔料などが挙げられる。
【0065】
有彩色系顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエローなどの黄色系無機顔料、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの黄色系有機顔料、赤色黄鉛、モリブデンオレンジなどの橙色系無機顔料、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどの橙色系有機顔料、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウムなどの赤色系無機顔料、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどの赤色系有機顔料、マンガン紫などの紫色系無機顔料、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどの紫色系有機顔料、紺青、コバルトブルーなどの青色系無機顔料、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどの青色系有機顔料、クロムグリーン、酸化クロムなどの緑色系無機顔料、ピグメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどの緑色系有機顔料などが挙げられる。
【0066】
着色剤は、1種又は2種以上を使用できる。また、同色系の着色剤を2種以上用いてもよく、異色系のものを混合して用いても良い。着色剤の含有量は、好ましくはトナー材料混合物全量の1〜20重量%、さらに好ましくは2〜10重量%である。
【0067】
トナー材料混合物は、結着樹脂及び着色剤の他に、必要に応じて離型剤、帯電制御剤などの公知のトナー添加剤を含んでもよい。
【0068】
離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、例えば、パラフィンワックスとその誘導体、マイクロクリスタリンワックスとその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスとその誘導体、ポリオレフィンワックスとその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスとその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)とその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスとその誘導体、ライスワックスとその誘導体、キャンデリラワックスとその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸とその誘導体、長鎖アルコールとその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。離型剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、トナー材料混合物全量の0.2〜20重量%である。
【0069】
(帯電制御剤)
帯電制御剤としてはこの分野で常用されるものを使用できる。
具体的には、負帯電性を付与する帯電制御剤としては、例えば、クロム・アゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルト・アゾ錯体染料などの含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸とそのアルキル誘導体の金属(クロム、亜鉛、アルミニウム、硼素など)錯体及びその塩、ナフトール酸とその誘導体の金属(クロム、亜鉛、アルミニウム、硼素など)錯体及びその塩、ベンジル酸とその誘導体の金属(クロム、亜鉛、アルミニウム、硼素など)錯体及びその塩、長鎖アルキルカルボン酸塩、長鎖アルキルスルホン酸塩などが挙げられる。
【0070】
正帯電性を付与する帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン染料とその誘導体、ベンゾグアナミン、トリフェニルメタン誘導体、四級アンモニウム塩、四級ホスフォニウム塩、四級ピリジニウム塩、グアニジン塩、アミジン塩、含窒素官能基を有するモノマー〔N,N-ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN,N-ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類など〕のラジカル重合性共重合体などが挙げられる。
【0071】
帯電制御剤は、1種又は2種以上を使用できる。帯電制御剤の含有量は、好ましくはトナー材料混合物全量の0.1〜5.0重量%である。
【0072】
トナー材料混合物は、溶融混練工程に供する前に、混合工程において、例えばヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル、Q型ミキサなどの公知の混合機にて均一に混合することが好ましい。
【0073】
[粗粉砕工程]
粗粉砕工程は、溶融混練工程において得られた溶融混練物を粗粉砕して、体積平均粒径が0.1〜6mm(好ましくは0.5〜5mm)の粗粉砕粒子を得る工程である。
溶融混練物の粗粉砕は、カッティングミル、ハンマーミルなどの公知の粉体粉砕機を用いて行うことができる。
得られる粉砕物は、必要に応じて分級などの粒度調整を行ってもよい。分級には、遠心力や風力を利用する公知の分級機を使用することができる。
【0074】
[樹脂微粒子分散液調製工程]
樹脂微粒子分散液調製工程は、粗粉砕工程において得られた粗粉砕着色樹脂粒子を用いて、体積平均粒径が0.1〜2μmの着色樹脂微粒子が水性媒体中に分散してなる樹脂微粒子分散液を調製する工程である。
この樹脂微粒子分散液調製工程は、上記の本発明の樹脂微粒子分散液の製造方法に従って実施する。
【0075】
[樹脂微粒子凝集融着工程]
得られた樹脂微粒子分散液を加熱下で攪拌しながら、分散液中の着色樹脂微粒子を凝集融着(又は合一)させて、所望の体積平均粒径(例えば3〜9μm、好ましくは4〜8μm、より好ましくは4〜7μm)の融着樹脂粒子(又は合一樹脂粒子)の分散液を得る工程である。
【0076】
加熱温度は、結着樹脂のガラス転移温度より高い温度であることが好ましく、例えば20〜30℃高い温度、より好ましくは22〜27℃高い温度である。
撹拌は、公知の撹拌手段により、例えばローター/スクリーン方式の高速乳化改良機により行うことができる。撹拌速度は、撹拌翼(ローター)の先端(径方向外側)の周速度として、例えば12〜25m/秒、好ましくは14〜22m/秒、より好ましくは16〜20m/秒である。
凝集融着(又は合一)は、分散液の温度を、例えば結着樹脂のガラス転移温度より低い温度にまで低下させることによって停止させることができる。分散液の温度の低下は、例えば分散液に水を添加することにより行うことができる。
【0077】
[融着樹脂粒子分離工程]
上記のようにして凝集融着後、融着樹脂粒子の分散液から、例えば濾過、遠心分離のような固液分離により、水性媒体を除去して融合樹脂粒子を分離する工程である。
分離後、必要に応じて、融合樹脂粒子を水洗し、及び/又は乾燥させてもよい。
【0078】
上記のようにして、融合樹脂粒子からなるトナー粒子(トナー母粒子)が得られる。
上記の本発明のトナー製造方法により得られるトナーは、一成分系現像剤としても二成分系現像剤としても使用することができる。
一成分現像剤として使用する場合、キャリアを用いず、トナーのみで使用し、ブレード及びファーブラシを用い、現像スリーブで摩擦帯電させてスリーブ上にトナーを付着させることで搬送して画像形成を行う。
【0079】
二成分系現像剤として使用する場合、キャリアと共にトナーを用いる。
キャリアとしては、公知のものを使用でき、例えば、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン及びクロムなどからなる単独又は複合フェライト及びキャリアコア粒子を被覆物質で表面被覆したものなどが挙げられる。被覆物質としては公知のものを使用でき、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられ、トナー成分に応じて選択するのが好ましい。被覆物質は、1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
キャリアの体積平均粒径は、好ましくは10〜100μm、更に好ましくは20〜70μmである。
【0080】
本発明のトナーには、外添剤を用いて表面改質を施してもよい。
外添剤としては公知のものを使用でき、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナなどからなる無機微粒子や、シリコーン樹脂のような樹脂微粒が挙げられる。無機微粒子は、シランカップリング剤(例えば、ヘキサメチルジシラザン)、チタンカップリング剤、シリコーンオイルで表面処理することによって疎水性が付与されていてもよい。
【0081】
外添剤の個数平均粒径は、好ましくは7〜100nm、更に好ましくは12〜20nmである。
外添剤の使用量は好ましくはトナー100重量部に対して1〜10重量部の割合である。
外添剤は、トナーと、例えばヘンシェルミキサのような気流混合機を用いて混合することによって外添される。
【実施例】
【0082】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
実施例及び比較例における各物性値は、以下に示すようにして測定した。
【0083】
<結着樹脂のガラス転移温度(Tg)>
日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じ、示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業株式会社製)を用いて、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
【0084】
<結着樹脂の軟化温度(Tm)>
流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)において、荷重20kgf/cm2(9.8×105Pa)を与えて試料1gがダイ(ノズル口径1mm、長さ1mm)から押出されるように設定し、昇温速度毎分6℃で加熱し、ダイから試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化温度(Tm)とした。
【0085】
<体積平均粒径及び変動係数CV>
電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター株式会社製)50mlに、試料20mg及びアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:UH−50、株式会社エスエムテー製)を用いて、超音波周波数20kHzで3分間分散処理し、測定用試料を調製した。
この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:MultisizerIII、ベックマン・コールター株式会社製)を用い、アパーチャ径20μm、測定粒子数50,000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒径を求めた。また体積平均粒径及びその標準偏差に基づき、変動係数CVを、下記式(1)によって算出した。
変動係数CV(%)=(標準偏差/体積平均粒径)×100 (1)
【0086】
<樹脂微粒子分散液の製造>
(実施例1)
[溶融混練工程]
ポリエステル樹脂(結着樹脂、ガラス転移温度(Tg):60℃、軟化温度(Tm):110℃)87.5重量部、帯電制御剤(商品名:TRH、保土ヶ谷化学工業株式会社製)1.5重量部、ポリエステル系ワックス(離型剤、融点85℃)3重量部及び着色剤(C.I.ピグメントレッド57:1)8重量部を混合機(商品名:ヘンシェルミキサ、三井鉱山株式会社製)で混合して、トナー材料混合物を得た。
トナー材料混合物を押出混練機(商品名:TEM−26SS改、東芝機械株式会社製)にてシリンダー温度145℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練して、溶融混練物を得た。
【0087】
[粗粉砕工程]
得られた溶融混練物を常温(20℃)まで冷却した後、カッターミル(商品名:VM−16、株式会社セイシン企業製)で粗粉砕し、体積平均粒径0.6mm、最大粒径1.5mm(CV値:28)の粗粉砕粒子(トナー材料A)を得た。
【0088】
[溶融工程]
得られた粗粉砕樹脂粒子を、前述した押出混練機1に投入して、せん断力を付与しながら溶融状態にした。このとき、粗粉砕樹脂粒子のバレル内への供給速度は350g/分、バレル内温度は120℃、スクリュー回転数は110(1/s)であった。溶融工程の最終区域でのバレル内圧力(P1)は1.0MPaであった。
【0089】
[転相乳化工程]
押出混練機1内で、乳化剤として8.0重量%のポリフェニル(エチレンオキサイド)23モル硫酸ナトリウムを含有する水(第1の水性媒体)を、粗粉砕粒子100重量部に対して18重量部の割合で添加し、粗粉砕粒子にせん断力を付与しながら転相乳化を行い、粗粉砕粒子が微粒化されてなる着色樹脂微粒子が水中に分散されてなる高圧樹脂微粒子分散液を得た。
このとき、バレル内温度は120℃、スクリュー回転数は110rpm、第1の水性媒体のバレル内への供給速度は87.5g/分に設定した。なお、第1の水性媒体添加位置(添加区域)でのバレル内圧力(P2)は0.7MPa、その直後の区域でのバレル内圧力(P3)は0.9MPa(P1>P3>P2)、P1=1.0、第1の水性媒体の供給圧力は1.2MPaであった。
なお、L1/D1は12.0であり、L2/D2は22.2であり、L2/D2=1.85×L1/D1であった。これは、T2>T1及びT2=(1.2〜2.0)×T1を満たす条件であった。
【0090】
[希釈工程]
押出混練機1内で、着色樹脂微粒子にせん断力を付与しながら、第2の(希釈用)水性媒体としての水を、高圧樹脂微粒子分散液100重量部に対して200重量部の割合で添加して希釈高圧樹脂微粒子分散液を得た。
このとき、バレル内温度は92℃、スクリュー回転数は110(1/s)に設定した。また、第2の水性媒体添加位置(添加区域)でのバレル内圧力(P5)は0.15MPa、その直後の区域でのバレル内圧力(P6)は0.23MPa、バレル内圧力(P4)は0.3MPaであり(P4>P6>P5)、第2の水性媒体の供給圧力は0.3MPa、第2の水性媒体のバレル内への供給速度は87.5g/分であった。
【0091】
[徐冷徐減圧工程]
希釈高圧樹脂微粒子分散液の温度及び圧力が徐々に低下するように冷却及び減圧して、常温常圧の樹脂微粒子分散液を得た。高圧樹脂微粒子分散液の冷却速度は0.2℃/秒、減圧速度は0.03MPa/秒であり、常温常圧(25℃、0.13MPa)になるまで樹脂微粒子分散液を冷却及び減圧した。
L3/D3は17.5であった。これは、T2>T3>T1を満たす条件であった。
得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が0.2μmであり、変動係数CVが14%であった(表1)。
【0092】
(実施例2)
スクリュー回転数を85(1/s)とした以外は実施例1と同様にして得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が0.2μmであり、変動係数CVが10%であった(表1)。
【0093】
(実施例3)
スクリュー回転数を65(1/s)とした以外は実施例1と同様にして得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が1.2μmであり、変動係数CVが16%であった(表1)。
【0094】
(実施例4)
L2/D2=1.30×L1/D1となるように溶融工程内及び転相乳化工程内の滞留時間を変えた以外は実施例1と同様にして得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が0.3μmであり、変動係数CVが15%であった(表1)。
【0095】
(実施例5)
転相乳化工程における乳化剤として8.0重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用した以外は実施例1と同様にして得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が1.1μmであり、変動係数CVが14%であった(表1)。
【0096】
(実施例6)
転相乳化工程における乳化剤として5.6重量%のポリフェニル(エチレンオキサイド)23モル硫酸ナトリウム/ポリフェニル(エチレンオキサイド)7モル硫酸ナトリウム(1/1)を使用した以外は実施例1と同様にして得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が0.7μmであり、変動係数CVが14%であった(表1)。
【0097】
(実施例7)
転相乳化工程における乳化剤として18.5重量%のポリフェニル(エチレンオキサイド)23モル硫酸ナトリウムを使用した以外は実施例1と同様にして得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が0.5μmであり、変動係数CVが12%であった(表1)。
【0098】
(実施例8)
転相乳化工程において水(第1の水性媒体)を、粗粉砕粒子100重量部に対して30重量部の割合で添加した以外は実施例1と同様にして得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が1.6μmであり、変動係数CVが23%であった(表1)。
【0099】
(比較例1)
希釈工程の後、徐減圧工程を経ずに常温常圧まで急激に冷却及び減圧した以外は実施例1と同様に製造したが、(常圧)樹脂微粒子分散液は得られなかった(表1)。
【0100】
(比較例2)
L2/D2を10とし、L3/D3を16とした以外は実施例1と同様にして得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が0.9μmであり、変動係数CVが38%であった(表1)。
【0101】
(比較例3)
L1/D1を22とし、L2/D2を10とし、L3/D3を8とした以外は実施例1と同様にして得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が2.1μmであり、変動係数CVが45%であった(表1)。
【0102】
(比較例9)
L2/D2=2.5×L1/D1となるように溶融工程内及び転相乳化工程内の滞留時間を変えた以外は実施例1と同様にして得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が2.4μmであり、変動係数CVが34%であった(表1)。
【0103】
(比較例4)
P1が1.0MPa、P2が0.9MPa、P3が0.7MPaでありP1>P3>P2の関係を満たさなかった以外は実施例1と同様にして得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が2.6μmであり、変動係数CVが35%であった(表1)。
【0104】
(比較例5)
P4が0.3MPa、P5が0.26MPa、P6が0.21MPaでありP4>P6>P5の関係を満たさなかった以外は実施例1と同様にして得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が3.8μmであり、変動係数CVが34%であった(表1)。
【0105】
(比較例6)
転相乳化工程における乳化剤として0.5重量%のポリフェニル(エチレンオキサイド)23モル硫酸ナトリウムを使用した以外は実施例1と同様にして製造したが、転相乳化工程で乳化せず、樹脂微粒子分散液は得られなかった(表1)。
【0106】
(比較例7)
転相乳化工程において乳化剤として18.5重量%のポリフェニル(エチレンオキサイド)23モル硫酸ナトリウムを使用し、水(第1の水性媒体)を粗粉砕粒子100重量部に対して55重量部の割合で添加した以外は実施例1と同様にして製造したが、転相乳化工程で乳化せず、樹脂微粒子分散液は得られなかった(表1)。
【0107】
(実施例10)
[溶融混練工程]
ポリエステル樹脂(結着樹脂、ガラス転移温度(Tg):60℃、軟化温度(Tm):110℃)87.5重量部、帯電制御剤(商品名:TRH、保土ヶ谷化学工業株式会社製)1.5重量部、ポリエステル系ワックス(離型剤、融点85℃)3重量部及び着色剤(C.I.ピグメントレッド57:1)8重量部を混合機(商品名:ヘンシェルミキサ、三井鉱山株式会社製)で混合して、トナー材料混合物を得た。
トナー材料混合物を押出混練機(商品名:TEM−26SS改、東芝機械株式会社製)にてシリンダー温度145℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練して、溶融混練物を得た。
【0108】
[粗粉砕工程]
得られた溶融混練物を常温(20℃)まで冷却した後、カッターミル(商品名:VM−16、株式会社セイシン企業製)で粗粉砕し、体積平均粒径35mm、最大粒径1.5mm(CV値:25)の粗粉砕粒子(トナー材料B)を得た。
【0109】
[溶融工程]
得られた粗粉砕樹脂粒子を、前述した押出混練機1に投入して、せん断力を付与しながら溶融状態にした。このとき、粗粉砕樹脂粒子のバレル内への供給速度は350g/分、バレル内温度は140℃、スクリュー回転数は110(1/s)であった。溶融工程の最終区域でのバレル内圧力(P1)は0.81MPaであった。
【0110】
[転相乳化工程]
押出混練機1内で、乳化剤として8.0重量%のポリフェニル(エチレンオキサイド)23モル硫酸ナトリウムを含有する水(第1の水性媒体)を、粗粉砕粒子100重量部に対して18重量部の割合で添加し、粗粉砕粒子にせん断力を付与しながら転相乳化を行い、粗粉砕粒子が微粒化されてなる着色樹脂微粒子が水中に分散されてなる高圧樹脂微粒子分散液を得た。
このとき、バレル内温度は120℃、スクリュー回転数は110(1/s)、第1の水性媒体のバレル内への供給速度は87.5g/分に設定した。なお、第1の水性媒体添加位置(添加区域)でのバレル内圧力(P2)は0.5MPa、その直後の区域でのバレル内圧力(P3)は0.6MPa(P1>P3>P2)、第1の水性媒体の供給圧力とP1は0.8MPaであった。
なお、L1/D1は12.0であり、L2/D2は22.2であり、L2/D2=1.85×L1/D1であった。
【0111】
[希釈工程]
押出混練機1内で、着色樹脂微粒子にせん断力を付与しながら、第2の(希釈用)水性媒体としての水を、高圧樹脂微粒子分散液100重量部に対して200重量部の割合で添加して希釈高圧樹脂微粒子分散液を得た。
このとき、バレル内温度は80℃、スクリュー回転数は110(1/s)に設定した。また、第2の水性媒体添加位置(添加区域)でのバレル内圧力(P5)は0.15MPa、その直後の区域でのバレル内圧力(P6)は0.21MPa、P4及び第2の水性媒体の供給圧力は0.3MPaであった(P4>P6>P5)。第2の水性媒体のバレル内への供給速度は87.5g/分であった。
【0112】
[徐冷徐減圧工程]
希釈高圧樹脂微粒子分散液の温度及び圧力が徐々に低下するように冷却及び減圧して、常温常圧の樹脂微粒子分散液を得た。高圧樹脂微粒子分散液の冷却速度は0.2℃/秒、減圧速度は0.03MPa/秒であり、常温常圧(25℃、0.13MPa)になるまで樹脂微粒子分散液を冷却及び減圧した。
得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が1.4μmであり、変動係数CVが15%であった(表1)。
L3/D3は17.5であった。
【0113】
(比較例8)
[溶融混練工程]
ポリエステル樹脂(結着樹脂、ガラス転移温度(Tg):60℃、軟化温度(Tm):110℃)87.5重量部、帯電制御剤(商品名:TRH、保土ヶ谷化学工業株式会社製)1.5重量部、ポリエステル系ワックス(離型剤、融点85℃)3重量部及び着色剤(C.I.ピグメントレッド57:1)8重量部を混合機(商品名:ヘンシェルミキサ、三井鉱山株式会社製)で混合して、トナー材料混合物を得た。
トナー材料混合物を押出混練機(商品名:TEM−26SS改、東芝機械株式会社製)にてシリンダー温度145℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練して、溶融混練物を得た。
【0114】
[粗粉砕工程]
得られた溶融混練物を常温(20℃)まで冷却した後、カッターミル(商品名:VM−16、株式会社セイシン企業製)で粗粉砕し、体積平均粒径6.5mm、最大粒径1.5mm(CV値:26)の粗粉砕粒子(トナー材料C)を得た。
【0115】
以下、溶融工程〜徐冷徐減圧工程は、実施例10と同様に行った。
得られた(常圧)樹脂微粒子分散液中の樹脂微粒子は、体積平均粒径が3.6μmであり、変動係数CVが32%であった(表1)。
【0116】
【表1】

【0117】
<トナーの製造>
実施例1〜9及び比較例2〜6、9の(常圧)着色樹脂微粒子分散液を用いてトナーを以下のように製造した。
着色樹脂微粒子分散液を、マックスブレンダー翼を有する2Lサイズの攪拌装置において、80℃にて90rpmで攪拌しながら180分間着色樹脂微粒子を凝集融着させた。
遠心分離機により水を除去して融着樹脂粒子を分離した後、洗浄乾燥させてトナーを得た。
得られたトナーの物性を表2に示す。
【0118】
【表2】

【0119】
<トナーの評価>
製造したトナー1〜18について、画像形成装置(シャープ社製MFP(MX-7000N)の改造機)を用いて、定着レンジ、画質及び環境帯電安定性の評価を行った。
【0120】
各評価項目について評価方法を説明する。
(定着レンジ)
カラー複合機(商品名:MX−7000N、シャープ株式会社製)を改造したものを用いて、記録媒体である記録用紙(商品名:PPC用紙SF−4AM3、シャープ株式会社製)に、縦20mm、横50mmの長方形状のベタ画像部を含むサンプル画像を、ベタ画像部における未定着状態でのトナーの記録用紙への付着量が0.5mg/cm2になるように調整して未定着画像を作成した。得られた未定着画像の定着非オフセット域を、カラー複合機の定着部を用いて作製した外部定着器を用いて測定した。なお、定着プロセス速度は、カラー画像形成時には173mm/秒、白黒画像形成時には355mm/秒とし、定着ローラの温度を130℃から5℃刻みで上げて、カラー画像形成時においても白黒画像形成時においても低温オフセットも高温オフセットも起こらない温度域を定着非オフセット域とした。
【0121】
また、高温及び低温オフセットの定義は、定着時にトナーが記録用紙に定着せずに定着ローラに付着したままローラが一周した後に記録用紙に付着することとした。
定着性の評価基準を以下に示す。
○:定着非オフセット域が25℃以上である。
△:定着非オフセット域が15℃以上25℃未満である。
×:定着非オフセット域が15℃未満である。
【0122】
(画質)
作製したトナーを現像剤とし、画像形成装置(商品名:MX−7000N、シャープ株式会社製の改造機)を用いて連続プリントテストを行った。連続プリントテストは、画像形成装置の4つの画像形成ユニットのうちモノクロ位置の画像形成ユニットのみを用い、これに実施例及び比較例のトナーを充填して行った。画像形成装置の現像条件として、感光体の周速を400mm/秒、現像ローラの周速560mm/秒、感光体と現像ローラのギャップを0.42mm、現像ローラと規制ブレードのギャップを0.5mmに設定し、ベタ画像(100%濃度)における紙上のトナー付着量が0.5mg/cm2、非画像部におけるトナー付着量が最も少なくなる条件に、感光体の表面電位及び現像バイアスをそれぞれ調整した。試験紙として、A4サイズの電子写真用紙(マルチレシーバー:シャープドキュメントシステム(株)製)を使用した。
【0123】
紙の上に記録されるプリント画像のカバレージが3%となるテキスト画像での50K(50,000)枚のプリントテストを行い、トナー帯電量の測定、並びに画像濃度及びカブリの評価をした。
トナー帯電量については、吸引式小型帯電量測定装置(210HS−2A:トレックジャパン(株)製)を用いて測定した。
画像濃度については、一辺が3cmのベタ画像(100%濃度)をプリントし、反射濃度計(マクベス社製:RD918)を用いて測定し、画像濃度が1.3以上(紙の繊維がトナーで完全に覆われた状態)を良好とし、1.2以上1.3未満をやや不良、1.2未満(紙の繊維がトナーで不十分にしか覆われていない状態)を不良とした。
【0124】
カブリ濃度については、非画像部(0%濃度)の濃度を次の手順により算出した。
白度計(Z−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM:日本電色工業(株)製)を用いて、プリント前の紙の白色度W1及びプリント後の紙の非画像部における白色度W2を測定し、両者の白色度の差(W1−W2)をカブリ度として求めた。
カブリ濃度が0.6未満(肉眼ではカブリがほとんど見えない状態)を良好、0.6以上1.0未満をやや不良、1.0以上(肉眼ではカブリが明確に見える状態)を不良とした。
プリントテストの後には、デベモコ現象の発生の有無も判断した。すなわち、目視により、現像槽内において撹拌不良状態(固まりかけのコンクリート状)の現像剤の有無を確認した。
【0125】
画質についての総合評価は、画像濃度及びカブリ濃度の両方が良好の場合を「○」とし、一方が良好で他方がやや不良の場合を「△」とし、共にやや不良又は一方でも不良である場合を「×」とした。
【0126】
(環境帯電安定性)
キャリア(シリコンコートフェライトコアキャリア)76gとトナー4gを入れた100mLのポリエチレン容器を、蓋を開けた状態で、NN環境(25℃、50%RH)及びHH環境(35℃、85%RH)で48時間暴露させた後、それぞれをボールミル(商品名:Fine卓上ボールミル架台 MF−1、東京硝子器械株式会社製)を用いて172rpmで撹拌し、30分後の現像剤の帯電量を吸引式帯電量測定装置(商品名:210H−2A Q/M Meter、TREK社製)で測定した。
NN環境で暴露したサンプルの帯電量をQ(NN)(μC/g)、HH環境で暴露したサンプルの帯電量をQ(HH)(μC/g)として、帯電量変化率を下記式に基づいて求めた。
帯電量変化率=((Q(NN)−Q(HH))/Q(NN))×100(%)
【0127】
帯電量変化率が小さいほど帯電安定性に優れることを示す。帯電安定性の評価基準は次のとおりである。
○:帯電量変化率が10%未満である。
○-:帯電量変化率が10%以上15%未満である。
△:帯電量変化率が15%以上25%未満である。
×:帯電量変化率が25%以上である。
【0128】
<結果>
結果を表2に示す。
本発明のトナーの製造方法により、定着レンジ、画質及び環境帯電安定性に優れたトナーが得られた。
【符号の説明】
【0129】
1 押出混練機
10 二軸押出部
10a バレル上流側
10b 乳化液排出口
11 バレル
12 スクリュー
13 駆動モータ
20 多段減圧装置
30 流路
40 材料フィーダ
40a 材料投入口
50 第1の水性媒体供給部
51 第1の水性媒体供給手段
52 液量調節バルブ
53 第1の水性媒体配管
53a 第1の水性媒体投入口
60 第2の水性媒体供給部
61 第2の水性媒体供給手段
62 第2の液量調節バルブ
63 第2の水性媒体配管
63a 第2の水性媒体投入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積平均粒径が0.1〜6mmの樹脂粒子を加熱加圧条件下でせん断力を付与しながら溶融状態にする溶融工程と、
得られる溶融状態の樹脂粒子に加熱加圧条件下で該樹脂粒子100重量部に対し10〜45重量部の割合で第1の水性媒体を添加し、せん断力を付与することにより高圧樹脂微粒子分散液を調製する転相乳化工程と、
前記高圧樹脂微粒子分散液に加熱加圧条件下で希釈用の第2の水性媒体を添加する希釈工程と、
希釈された高圧樹脂微粒子分散液を前記樹脂粒子のガラス転移温度以下及び大気圧まで徐冷及び徐減圧することにより、体積平均粒径が0.1〜2μmで粒径の変動係数(CV値)が30以下の樹脂微粒子が水性媒体中に分散してなる常圧樹脂微粒子分散液を調製する徐冷徐減圧工程と
をこの順に含み、
前記溶融工程、前記転相乳化工程及び前記希釈工程を、加圧条件が個別に調整可能な複数の区域から構成される装置において実施し、
前記溶融状態の樹脂粒子への前記第1の水性媒体の添加を行う区域での圧力P2とその直前及び直後の区域での圧力P1及びP3がP1>P3>P2の関係にあり、
前記高圧樹脂微粒子分散液への前記第2の水性媒体の添加を行う区域での圧力P5とその直前及び直後の区域での圧力P4及びP6がP4>P6>P5の関係にあり、
前記溶融工程内の滞留時間T1、前記転相乳化工程内の滞留時間T2及び前記希釈工程内と前記徐冷徐減圧工程内の合計の滞留時間T3がT2>T3>T1及びT2=(1.2〜2.0)×T1の関係を充足することを特徴とする樹脂微粒子分散液の製造方法。
【請求項2】
前記第1の水性媒体が、前記溶融状態の樹脂粒子100重量部に対し10〜35重量部の割合で添加される請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記第2の水性媒体が、前記高圧樹脂微粒子分散液100重量部に対し100〜300重量部の割合で添加される請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記第1の水性媒体が、1〜15重量%の乳化剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
少なくとも結着樹脂及び着色剤を含むトナー材料混合物を溶融混練して溶融混練物を形成する溶融混練工程と、
前記溶融混練物を粗粉砕して体積平均粒径0.1〜6mmの粗粉砕樹脂微粒子を形成する粗粉砕工程と、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法により水性媒体中の樹脂微粒子の分散液を調製する樹脂微粒子分散液調製工程と、
前記樹脂微粒子分散液を加熱下で撹拌しながら該分散液中の樹脂微粒子を凝集融着させて融着樹脂粒子の分散液を得る樹脂微粒子凝集融着工程と、
固液分離により水性媒体を除去して融着樹脂粒子を分離する融着樹脂粒子分離工程と
を含んでなることを特徴とする融着樹脂粒子からなる電子写真用トナーの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の製造方法により得られることを特徴とするトナー。
【請求項7】
請求項6に記載のトナーを含んでなることを特徴とする電子写真用現像剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−52058(P2011−52058A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200120(P2009−200120)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】