説明

樹脂成型物製造方法、樹脂成型物、樹脂成型物ユニット

【課題】隣り合う外部表示部分の間隔や外部表示部分の大きさに関係なく、外部表示部分を有する樹脂成型物を製造する。
【解決手段】所定の金型を用いて光透過性樹脂で射出成型して、背面に凹部121を有する光透過性樹脂層120を成型する。次に、少なくとも凹部121内を光遮蔽性樹脂で充填させるよう光遮蔽性樹脂を所定の金型に流し込み、光透過性樹脂層120の背面に光遮蔽性樹脂の層である光遮蔽性樹脂層160を射出成型する。光遮蔽性樹脂層160を射出成型した後に、光遮蔽性樹脂部130以外の光遮蔽性樹脂層160または光透過性樹脂層120を切削する。これにより、外部表示部分110を有する樹脂成型物が出来上がる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成型物製造方法、樹脂成型物、樹脂成型物ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図6に示すようなキートップがあった。図6(a)に示すキートップ600は、光透過性樹脂により射出成型された光透過性樹脂部610の背面横側に、光遮蔽性樹脂で射出成型して光遮蔽性樹脂部620を形成させた構造になっている。そして、さらに光透過性樹脂部610の表面全体を塗装して塗装面630が形成されている。塗装面630の上側からレーザーで印字することにより、キートップ600はキートップ表面に所望の表示を形成している。
【0003】
しかしながら、キートップ600は、塗装面630の上側からレーザーで印字しているため、外部に表示すべき文字等を鮮明にすることができるが、表面に細かな凹凸ができるため表面の塗装面630が剥がれ易く、その結果外部に表示すべき文字等までなくなってしまう可能性が高いという問題点があった。また、キートップ600に塗料を用いて塗装面630を形成することは、環境問題が重要な現在において好ましくない。
【0004】
以上のような問題を解決するものとして、以下に示す二色成型方法により成型されたキートップがあった(例えば、特許文献1参照。)。その二色成型方法とは、ファ−ストショットで文字以外の部分を光透過性樹脂で射出成形し、セカンドショットで文字部分を光遮蔽性樹脂で射出成形し、光透過性樹脂成形部分によって光遮蔽性樹脂成形部分が包囲されているキートップの二色成形方法であって、ファーストショットにおいて、光透過性樹脂成形部分内に光遮蔽性樹脂成形部分が成形されるべき空間を背面側に開口させて所要高さに形成し、セカンドショットにおいて、一方の金型に収容した光透過性樹脂成形部分の成形用空間に、他方の金型に設けた狭隘な流路を通じて光遮蔽性樹脂を充填し、その流路内の光遮蔽性樹脂の分断用部分を付け根付近で切断することを特徴とするものである。
【0005】
一方、従来からあるキートップのうち図6(b)に示すキートップ650は、光透過性樹脂により射出成型された光透過性樹脂部660の上側に、光遮蔽性樹脂で射出成型して光遮蔽性樹脂部670を形成させた構造になっている。そして、外部に対する表示部分を形成する外部表示形成部660aおよび660bは、光遮蔽性樹脂部670にクサビとして打ち込まれたようなクサビ形状になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−226779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記二色成型方法には以下に示す問題点がある。上記二色成型方法を示す図である図7を参照してその問題点を説明する。まず、一つ目の問題点は、外部に表示すべき文字等が複数あって隣り合う文字等の間隔が近い場合、上記二色成型方法を用いて外部に表示すべき文字等を成型することが困難であることである。
【0008】
例えば、図7に示すように光透過性樹脂成形部分710の背面に形成された文字空間部711および712のように隣り合う間隔が近い場合、上記二色成型方法では文字空間部711および712へ光遮蔽性樹脂を流し込むための金型の流路721および722が干渉してしまう(図7の楕円領域Dを参照)。このため、隣り合う文字等の間隔が近い場合、上記二色成型方法を用いて外部に表示すべき文字等を成型することが困難である。
【0009】
また、二つ目の問題点は、図7に示すように光透過性樹脂成形部分710の背面に形成された文字空間部713のように文字そのものが小さい場合、上記二色成型方法では金型の流路723から光遮蔽性樹脂を流し込んだ後に金型の流路723に伸びる光遮蔽性樹脂を切断しようとすると、文字空間部713に流し込んだ光遮蔽性樹脂も一緒に剥がれ落ちてしまう可能性があることである。以上の2つの問題点を解決できれば、キートップの製造の幅が広がる。
【0010】
また、図6(b)に示すキートップ650は、以下に示す問題点がある。キートップ650の背面から光源680で照光した場合、外部表示形成部660aおよび660bがクサビ形状になっているため、例えば外部表示形成部660aおよび660bの脇の光遮蔽性樹脂部670a乃至670dの層の薄い部分から光が漏れて外部表示形成部660aおよび660bにより形成された文字の輪郭の外側が明るくなり、その結果、外部表示形成部660aおよび660bの輪郭がぼやける。外部表示形成部660aおよび660bの輪郭がぼやけると、外部に表示すべき文字等が不鮮明になる。外部に表示すべき文字等が不鮮明なキートップは好ましくない。
【0011】
そこで、本発明は、隣り合う外部表示部分の間隔や外部表示部分の大きさに関係なく、外部表示部分を有する樹脂成型物を製造することができる樹脂成型物製造方法、およびその製造方法により製造された樹脂成型物、並びに樹脂成型物を用いた樹脂成型物ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の樹脂成型物製造方法は、背面側に外部に表示させるべき外部表示部分に対応する凹部、および上記外部表示部分以外の部分に対応する凹部の両方、またはいずれか一方を有するよう光透過性樹脂により成型された層である光透過性樹脂層と、それぞれの上記凹部内を光遮蔽性樹脂により充填した光遮蔽性樹脂部とを備えた樹脂成型物を製造する樹脂成型物製造方法であって、上記光透過性樹脂層を成型する光透過性樹脂層成型工程と、少なくとも上記それぞれの凹部内を上記光遮蔽性樹脂で充填させるよう上記光遮蔽性樹脂を流し込んで上記光透過性樹脂層の背面に光遮蔽性樹脂の層である光遮蔽性樹脂層を成型する光遮蔽性樹脂層成型工程と、上記光遮蔽性樹脂部以外の上記光遮蔽性樹脂層、または上記光遮蔽性樹脂部以外の上記光遮蔽性樹脂層および上記光透過性樹脂層を切削する切削工程とを具備することを特徴とするものである。これにより、隣り合う外部表示部分の間隔や外部表示部分の大きさに関係なく、外部表示部分を有する樹脂成型物を製造させるという作用をもたらす。
【0013】
また、本発明の樹脂成型物製造方法において、上記光透過性樹脂層成型工程において上記光透過性樹脂層を透明樹脂により成型し、上記切削工程後に、上記光透過性樹脂層の背面側に色を有する層である有色層を少なくとも1つ形成する有色層形成工程をさらに具備することを特徴とする。これにより、樹脂成型物の外部表示部分をカラフルにさせるという作用をもたらす。
【0014】
また、本発明の樹脂成型物製造方法は、背面側に外部に表示させるべき外部表示部分に対応する凹部、および上記外部表示部分以外の部分に対応する凹部の両方、またはいずれか一方を有するよう光透過性樹脂により成型された層である光透過性樹脂層と、それぞれの上記凹部内を光遮蔽性樹脂により充填した光遮蔽性樹脂部とを備えた樹脂成型物を製造する樹脂成型物製造方法であって、それぞれの上記凹部に対応する凸部を表面に有するように光遮蔽性樹脂により成型された層である光遮蔽性樹脂層を成型する光遮蔽性樹脂層成型工程と、上記光透過性樹脂を流し込んで上記光遮蔽性樹脂層の表面に光透過性樹脂の層である光透過性樹脂層を成型する光透過性樹脂層成型工程と、上記光遮蔽性樹脂部以外の上記光遮蔽性樹脂層、または上記光遮蔽性樹脂部以外の上記光遮蔽性樹脂層および上記光透過性樹脂層を切削する切削工程とを具備することを特徴とするものである。これにより、隣り合う外部表示部分の間隔や外部表示部分の大きさに関係なく、外部表示部分を有する樹脂成型物を製造させるという作用をもたらす。
【0015】
また、本発明の樹脂成型物は、背面側に外部に表示させるべき外部表示部分以外の部分に対応する凹部を有するよう光透過性樹脂により成型された層である光透過性樹脂層と、上記凹部内を光遮蔽性樹脂により充填した光遮蔽性樹脂部とを備え、上記凹部は、上記光透過性樹脂層に対して略直角方向に等幅で設けられたことを特徴とするものである。これにより、樹脂成型物の外部表示部分を鮮明にさせ、かつ樹脂成型物の外部表示部分を十分に保護させるという作用をもたらす。
【0016】
また、本発明の樹脂成型物において、上記光透過性樹脂層の背面側に色を有する層である有色層を少なくとも1つさらに備えたことを特徴とする。これにより、樹脂成型物の外部表示部分をカラフルにさせるという作用をもたらす。
【0017】
また、本発明の樹脂成型物ユニットは、背面側に外部に表示させるべき外部表示部分以外の部分に対応する凹部を有するよう光透過性樹脂により成型された層である光透過性樹脂層と、上記凹部内を光遮蔽性樹脂により充填した光遮蔽性樹脂部と、上記光透過性樹脂層の背面側に位置し、上記外部表示部分を背面側から照光する光源とを備え、上記凹部は、上記光透過性樹脂層に対して略直角方向に等幅で設けられたことを特徴とするものである。これにより、樹脂成型物の外部表示部分を鮮明にさせ、かつ樹脂成型物の外部表示部分を十分に保護させるという作用をもたらす。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、隣り合う外部表示部分の間隔や外部表示部分の大きさに関係なく外部表示部分を有する樹脂成型物を製造することができるという優れた効果を奏する。また、本発明によれば、樹脂成型物に塗料を用いないため、環境問題に資するという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態における樹脂成型物100の一構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における樹脂成型物100を用いた樹脂成型物ユニット200の一構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における樹脂成型物100の製造方法を示す図である。
【図4】本発明の別の実施の形態における樹脂成型物100の製造方法を示す図である。
【図5】外部表示部分が光透過性樹脂層で表された部分(樹脂成型物100に相当するもの)、および外部表示部分が光遮蔽性樹脂部で表された部分の両方が含まれた樹脂成型物500の製造方法を示す図である。
【図6】従来のキートップを示す図である。
【図7】従来の二色成型方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態における樹脂成型物100の一構成例を示す図である。本発明の樹脂成型物100は、外部に表示させる表示部分である外部表示部分(以下、外部表示部分と呼ぶこととする。)を有する樹脂成型物であり、外側表面には、光透過性樹脂により成型された光透過性樹脂層があり、その光透過性樹脂層の背面側には、光遮蔽性樹脂により成型された光遮蔽性樹脂部がある。光透過性樹脂層の背面側に適切に光遮蔽性樹脂部を配することにより上記外部表示部分を形成している。
【0022】
図1(a)は、樹脂成型物100の斜視図である。樹脂成型物100は、図1(a)に示すように箱型形状をしており、その中央部に外部表示部分110として、文字「H」を有している。なお、樹脂成型物100の形状は箱型形状に限るものではなく、その他の形状であってもよい。また、外部表示部分110は、文字「H」のように1文字ではなく、複数の文字であってもよいし、記号その他の表示であってもよい。すなわち、外部表示部分110は、どのような表示であってもよい。
【0023】
上記説明した光透過性樹脂層や光遮蔽性樹脂部を図1(a)において図示することは、困難であるため、光透過性樹脂層や光遮蔽性樹脂部を図1(a)における樹脂成型物100のB−B断面図で以下説明する。
【0024】
図1(b)は、図1(a)における樹脂成型物100のB−B断面図である。樹脂成型物100は、光透過性樹脂層120と、光遮蔽性樹脂部130と、有色層140とを備える。
【0025】
光透過性樹脂層120は、背面側に外部表示部分110以外の部分に対応する凹部121を有するよう光透過性樹脂により成型された層である。光透過性樹脂として、例えばポリカーボネートが想定されるが、これに限るものではない。また、光透過性樹脂層120の色は、透明とすることが想定されるが、これに限るものではない。
【0026】
樹脂成型物100の形状を箱型形状とした場合、光透過性樹脂層120は、上面部122と四方の側面部123乃至126とから構成される。そして、上面部122の背面側および側面部123乃至126の背面側に凹部121が形成されている。
【0027】
凹部121は、外部表示部分110以外の部分に対応する部分である。図1(b)において凹部121は、文字「H」を構成する部分以外の部分に対応する。そして、図1(b)において凹部121は、5つの凹部から成り立っていると見ることができる。すなわち、図1(b)において凹部121は、凹部121a乃至凹部121eの5つの凹部から成り立っていると見ることができる。
【0028】
凹部121a乃至凹部121cは、上面部122の背面側に設けられた凹部であり、外部表示部分110としてどのような表示を形成させるかによって決定される凹部である。なお、図1(b)に示した断面図は、図1(a)における文字「H」の下の方の位置における断面図であるため、上面部122の背面側に凹部が3つある。凹部の数や位置は、断面図として見る限り断面の位置により変わってくる。
【0029】
また、凹部121a乃至凹部121cは、光透過性樹脂層120の上面部122に対して直角方向Fへ等幅で伸びている。すなわち、凹部121aは、図1(b)に示すように光透過性樹脂層120の上面部122に対して直角方向Fへ等幅D1で伸びている。また、凹部121bは、図1(b)に示すように光透過性樹脂層120の上面部122に対して直角方向Fへ等幅D2で伸びている。凹部121cは、図1(b)に示すように光透過性樹脂層120の上面部122に対して直角方向Fへ等幅D3で伸びている。
【0030】
凹部121a乃至凹部121cを光透過性樹脂層120の上面部122に対して直角方向Fへ等幅で伸びさせたのは、光透過性樹脂層120の背面からLED等を用いて照光した場合、外部表示部分110を鮮明に表示させるためである。すなわち、本発明の樹脂成型物100は、図6(b)に示したキートップ650の外部表示部分に相当する部分がクサビ形状になっているために光漏れ等により起こる文字輪郭のぼやけの問題点を、光透過性樹脂層120の上面部122に対して直角方向Fへ等幅で凹部121a乃至凹部121cを伸びさせて外部表示部分の輪郭の外側からの光漏れ等を十分に低減させることにより解決している。
【0031】
なお、凹部121a乃至凹部121cは、上記説明したような光透過性樹脂層120の上面部122に対して直角方向へ等幅で伸びる構成が好適であるが、これに限るものではなく、それ以外の構成であってもよい。
【0032】
一方、凹部121dおよび凹部121eは、それぞれ側面部123および側面部124の背面側に設けられた凹部である。図1(b)に示した点線128より左側の部分のL型部分を側面部123と見て、図1(b)に示した点線129より右側の部分のL型部分を側面部124と見れば、凹部121dおよび凹部121eを側面部123および側面部124の凹部と見ることができる。
【0033】
光遮蔽性樹脂部130は、凹部121を光遮蔽性樹脂で充填した部分である。図1(b)において凹部121aを光遮蔽性樹脂で充填した部分が光遮蔽性樹脂部130aであり、凹部121bを光遮蔽性樹脂で充填した部分が光遮蔽性樹脂部130bであり、凹部121cを光遮蔽性樹脂で充填した部分が光遮蔽性樹脂部130cであり、凹部121dを光遮蔽性樹脂で充填した部分が光遮蔽性樹脂部130dであり、凹部121eを光遮蔽性樹脂で充填した部分が光遮蔽性樹脂部130eである。なお、凹部121をどの程度の深さ光遮蔽性樹脂で充填させるかは、任意である。すなわち、図1(b)では隣接する凸部と同じ高さまで凹部121を光遮蔽性樹脂で充填しているが、これに限るものではない。また、光遮蔽性樹脂として、例えばABS樹脂が想定されるが、これに限るものではない。
【0034】
有色層140は、光透過性樹脂層120の背面側に設けられた色を有する層である。有色層140として、例えば有色の紙シートや樹脂フィルム等が想定されるが、これに限るものではない。また、図1(b)において有色層は1つしか設けられていないが、後述の図2で説明するように複数あってもよい。
【0035】
有色層140を光透過性樹脂層120の背面側に設けると、有色層140の背面から照光して外部から樹脂成型物100を見ると、図1においては、文字「H」の所定の部分に有色層140の色に対応する色が付いたように見える。
【0036】
以上のように樹脂成型物100を構成すれば、樹脂成型物100の背面側から照光した際、外部表示部分を鮮明に表示させることができる。また、以上のように樹脂成型物100を構成すれば、レーザー印字で外部表示部分を構成したキートップのように塗装面が剥がれて外部表示部分がなくなってしまうということが起こらない。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態における樹脂成型物100を用いた樹脂成型物ユニット200の一構成例を示す図である。樹脂成型物ユニット200は、樹脂成型物100の背面側から照光する光源210を樹脂成型物100の内部に設けたものである。光源210として、例えばLEDが想定されるが、これに限るものではない。
【0038】
なお、樹脂成型物100には、図1の場合と違って樹脂成型物100に複数の有色層(例えば、有色層140aおよび有色層140b)を設けるようにしてもよい。すなわち、光透過性樹脂層120の背面の任意の位置に任意の色の有色層を複数設けるようにしてもよい。このように樹脂成型物100を構成すれば、光源210により樹脂成型物100を照光した場合、カラフルな表示を実現することができる。また、上記カラフルな複数色表示を1つの光源210で実現することができるメリットもある。
【0039】
図3は、本発明の実施の形態における樹脂成型物100の製造方法を示す図である。まず、所定の金型を用いて光透過性樹脂で射出成型して、図3(a)に示す光透過性樹脂層120を成型する(光透過性樹脂層成型工程)。この際、光透過性樹脂層120の背面側の凹部121の位置や大きさ、形状等は、外部表示部分110として、どのような表示をさせるかにより変わってくる。
【0040】
次に、少なくとも凹部121内を光遮蔽性樹脂で充填させるよう光遮蔽性樹脂を所定の金型に流し込み、光透過性樹脂層120の背面に光遮蔽性樹脂の層である図3(b)に示す光遮蔽性樹脂層160を射出成型する(光遮蔽性樹脂層成型工程)。
【0041】
光遮蔽性樹脂層160を射出成型した後に、例えば図3(b)に示す切削ライン170に沿って光遮蔽性樹脂部130以外の光遮蔽性樹脂層160を切削する(切削工程)。これにより、図3(c)に示すように樹脂成型物100が出来上がる。さらに、必要に応じて、図3(d)に示すように光透過性樹脂層120の背面側に有色の紙シートや樹脂フィルム等を貼ることにより有色層140を設けるようにしてもよい(有色層形成工程)。
【0042】
なお、切削工程において、切削ライン170に沿った切削のように光透過性樹脂層120を全く切削せずに、光遮蔽性樹脂層160のみを切削して樹脂成型物100を作ることが困難な場合は、例えば図3(b)に示す切削ライン180に沿って光遮蔽性樹脂層160および光透過性樹脂層120を切削してもよい。すなわち、切削工程には、「光遮蔽性樹脂部130以外の光遮蔽性樹脂層160を切削する」ことのみならず、「光遮蔽性樹脂部130以外の光遮蔽性樹脂層160および光透過性樹脂層120を切削する」ことも含まれる。さらに、切削ラインは、切削ライン170および180のような直線的なコの字型の切削ラインに限るものではなく、その他の形状の切削ラインであってもよい。
【0043】
なお、以上の樹脂成型物100の製造方法は、樹脂成型物100のように外部表示部分110を光透過性樹脂層120aおよび120bによって表し、外部表示部分110以外を光遮蔽性樹脂部130で表した樹脂成型物のみならず、上記とは逆に外部表示部分110を、例えば図3(c)に示した光遮蔽性樹脂部130a乃至130cで表し、外部表示部分110以外を、例えば図3(c)に示した光透過性樹脂層120aおよび120bによって表した樹脂成型物にも適用することができる。この樹脂成型物は、光透過性樹脂層120の背面側に形成された凹部が外部表示部分に対応しており、その外部表示部分に対応した凹部に光遮蔽性樹脂を充填させたものである。
【0044】
以上のような樹脂成型物100の製造方法によれば、隣り合う外部表示部分の間隔や外部表示部分の大きさに関係なく外部表示部分を有する樹脂成型物を製造することができる。また、以上のような樹脂成型物100の製造方法によれば、塗料を用いずとも様々な表示(例えば、隣り合う外部表示部分の間隔が小さい表示、小さい文字等)を樹脂成型物に形成させることができるため、環境にもよい。
【0045】
図4は、本発明の別の実施の形態における樹脂成型物100の製造方法を示す図である。図4における樹脂成型物100の製造方法は、図3における樹脂成型物100の製造方法の光透過性樹脂層成型工程と光遮蔽性樹脂層成型工程との順番を逆にしたものであり、以下説明する。
【0046】
まず、所定の金型を用いて光遮蔽性樹脂で射出成型して、図4(a)に示す光遮蔽性樹脂層160を成型する(光遮蔽性樹脂層成型工程)。この際、光遮蔽性樹脂層160の表面側の凹部161の位置や大きさ、形状等は、外部表示部分110として、どのような表示をさせるかにより変わってくる。
【0047】
次に、光透過性樹脂を所定の金型に流し込み、光遮蔽性樹脂層160の上側に光透過性樹脂の層である図4(b)に示す光透過性樹脂層120を射出成型する(光透過性樹脂層成型工程)。光透過性樹脂層120を射出成型した後に、例えば図4(b)に示す切削ライン170に沿って光遮蔽性樹脂部130以外の光遮蔽性樹脂層160を切削する(切削工程)。これにより、図4(c)に示すように樹脂成型物100が出来上がる。さらに、必要に応じて、図4(d)に示すように光透過性樹脂層120の背面側に有色の紙シートや樹脂フィルム等を貼ることにより有色層140を設けるようにしてもよい(有色層形成工程)。
【0048】
なお、切削工程において、切削ライン170に沿った切削のように光透過性樹脂層120を全く切削せずに、光遮蔽性樹脂層160のみを切削して樹脂成型物100を作ることが困難な場合は、例えば図4(b)に示す切削ライン180に沿って光遮蔽性樹脂層160および光透過性樹脂層120を切削してもよい。すなわち、切削工程には、「光遮蔽性樹脂部130以外の光遮蔽性樹脂層160を切削する」ことのみならず、「光遮蔽性樹脂部130以外の光遮蔽性樹脂層160および光透過性樹脂層120を切削する」ことも含まれる。さらに、切削ラインは、切削ライン170および180のような直線的なコの字型の切削ラインに限るものではなく、その他の形状の切削ラインであってもよい。
【0049】
なお、以上の樹脂成型物100の製造方法は、樹脂成型物100のように外部表示部分110を光透過性樹脂層120aおよび120bによって表し、外部表示部分110以外を光遮蔽性樹脂部130で表した樹脂成型物のみならず、上記とは逆に外部表示部分110を、例えば図4(c)に示した光遮蔽性樹脂部130a乃至130cで表し、外部表示部分110以外を、例えば図4(c)に示した光透過性樹脂層120aおよび120bによって表した樹脂成型物にも適用することができる。この樹脂成型物は、光透過性樹脂層120の背面側に形成された凹部が外部表示部分に対応しており、その外部表示部分に対応した凹部に光遮蔽性樹脂を充填させたものである。
【0050】
以上のような樹脂成型物100の製造方法によれば、隣り合う外部表示部分の間隔や外部表示部分の大きさに関係なく外部表示部分を有する樹脂成型物を製造することができる。また、以上のような樹脂成型物100の製造方法によれば、塗料を用いずとも様々な表示(例えば、隣り合う外部表示部分の間隔が小さい表示、小さい文字等)を樹脂成型物に形成させることができるため、環境にもよい。
【0051】
図5は、外部表示部分が光透過性樹脂層で表された部分(樹脂成型物100に相当するもの)、および外部表示部分が光遮蔽性樹脂部で表された部分の両方が含まれた樹脂成型物500の製造方法を示す図である。
【0052】
図5(a)は、樹脂成型物500の平面図である。樹脂成型物500の右側は、外部表示部分511が「H」で、その「H」が光透過性樹脂層(透明部分)で表され、その「H」の周囲が光遮蔽性樹脂部(色付き部分)で表されたものであり、樹脂成型物100に相当する部分である。一方、樹脂成型物500の左側は、外部表示部分512が「H」で、その「H」が光遮蔽性樹脂部(色付き部分)で表され、その「H」の周囲が光透過性樹脂層(透明部分)で表されたものである。
【0053】
次に、樹脂成型物500の製造方法を図5(b)乃至図5(d)を用いて説明する。なお、樹脂成型物500のB−B断面から見た樹脂成型物500の製造過程が図5(b)乃至図5(d)において示されている。
【0054】
樹脂成型物500における製造方法も図3および図4で説明した製造方法と同様の製造方法で製造することができる。なお、以下においては、図3における製造方法に習って樹脂成型物500を製造する方法について説明することとする。まず、所定の金型を用いて光透過性樹脂で射出成型して、図5(b)に示す光透過性樹脂層520を成型する(光透過性樹脂層成型工程)。光透過性樹脂層520の背面側の凹部521aおよび521bは、それぞれ図5(a)における左側の外部表示部分511の「H」における表示511aおよび511bに相当する部分である。また、光透過性樹脂層520の背面側の凸部522aおよび522bは、それぞれ図5(a)における右側の外部表示部分512の「H」における表示512aおよび512bに相当する部分である。
【0055】
次に、少なくとも凹部521a乃至521e内を光遮蔽性樹脂で充填させるよう光遮蔽性樹脂を所定の金型に流し込み、光透過性樹脂層520の背面側に光遮蔽性樹脂の層である図5(c)に示す光遮蔽性樹脂層560を射出成型する(光遮蔽性樹脂層成型工程)。なお、上記光透過性樹脂層成型工程と光遮蔽性樹脂層成型工程との順番を逆にすれば、図4における製造方法と同様になる。
【0056】
光遮蔽性樹脂層560を射出成型した後に、図5(c)の切削ライン570に沿って光遮蔽性樹脂部530以外の光透過性樹脂層520および光遮蔽性樹脂層560を切削する(切削工程)。なお、切削工程において光透過性樹脂層520を切削しない切削ライン580に沿って光遮蔽性樹脂層560のみを切削してもよい。これにより、図5(d)に示すように樹脂成型物500が出来上がる。なお、光遮蔽性樹脂部530aおよび530bは、外部表示部分511の「H」における表示511aおよび511bに相当する部分であり、光遮蔽性樹脂部530c乃至530eは、外部表示部分512の「H」における表示512aおよび512bの周囲に相当する部分である。さらに、図示していないが、必要に応じて図3および図4で説明した場合と同様に有色層を設けるようにしてもよい(有色層形成工程)。
【0057】
以上のような樹脂成型物500の製造方法によれば、隣り合う外部表示部分の間隔や外部表示部分の大きさに関係なく様々な態様の外部表示部分を有する樹脂成型物を製造することができる。また、以上のような樹脂成型物500の製造方法によれば、塗料を用いずとも様々な表示(例えば、隣り合う外部表示部分の間隔が小さい表示、小さい文字等)を樹脂成型物に形成させることができるため、環境にもよい。
【0058】
なお、以上説明した本発明の実施の形態は本発明を具現化するための一例を示したものであり、これに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、例えばキーボードのキートップや自動車のエアコンのボタン等の外部表示部分を有する樹脂成型物を製造する際に活用することができる。
【符号の説明】
【0060】
100、500 樹脂成型物
110 外部表示部分
120、520 光透過性樹脂層
121、121a、121b、121c、121d、121e、161、521a、521b、521c、521d、521e 凹部
122 上面部
123、124、125、126 側面部
130、130a、130b、130c、130d、130e 光遮蔽性樹脂部
140、140a、140b 有色層
160、560 光遮蔽性樹脂層
200 樹脂成型物ユニット
210 光源
522a、522b 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面側に外部に表示させるべき外部表示部分に対応する凹部、および前記外部表示部分以外の部分に対応する凹部の両方、またはいずれか一方を有するよう光透過性樹脂により成型された層である光透過性樹脂層と、それぞれの前記凹部内を光遮蔽性樹脂により充填した光遮蔽性樹脂部とを備えた樹脂成型物を製造する樹脂成型物製造方法であって、
前記光透過性樹脂層を成型する光透過性樹脂層成型工程と、
少なくとも前記それぞれの凹部内を前記光遮蔽性樹脂で充填させるよう前記光遮蔽性樹脂を流し込んで前記光透過性樹脂層の背面に光遮蔽性樹脂の層である光遮蔽性樹脂層を成型する光遮蔽性樹脂層成型工程と、
前記光遮蔽性樹脂部以外の前記光遮蔽性樹脂層、または前記光遮蔽性樹脂部以外の前記光遮蔽性樹脂層および前記光透過性樹脂層を切削する切削工程と
を具備することを特徴とする樹脂成型物製造方法。
【請求項2】
前記光透過性樹脂層成型工程において前記光透過性樹脂層を透明樹脂により成型し、
前記切削工程後に、前記光透過性樹脂層の背面側に色を有する層である有色層を少なくとも1つ形成する有色層形成工程をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の樹脂成型物製造方法。
【請求項3】
背面側に外部に表示させるべき外部表示部分に対応する凹部、および前記外部表示部分以外の部分に対応する凹部の両方、またはいずれか一方を有するよう光透過性樹脂により成型された層である光透過性樹脂層と、それぞれの前記凹部内を光遮蔽性樹脂により充填した光遮蔽性樹脂部とを備えた樹脂成型物を製造する樹脂成型物製造方法であって、
それぞれの前記凹部に対応する凸部を表面に有するように光遮蔽性樹脂により成型された層である光遮蔽性樹脂層を成型する光遮蔽性樹脂層成型工程と、
前記光透過性樹脂を流し込んで前記光遮蔽性樹脂層の表面に光透過性樹脂の層である光透過性樹脂層を成型する光透過性樹脂層成型工程と、
前記光遮蔽性樹脂部以外の前記光遮蔽性樹脂層、または前記光遮蔽性樹脂部以外の前記光遮蔽性樹脂層および前記光透過性樹脂層を切削する切削工程と
を具備することを特徴とする樹脂成型物製造方法。
【請求項4】
背面側に外部に表示させるべき外部表示部分以外の部分に対応する凹部を有するよう光透過性樹脂により成型された層である光透過性樹脂層と、
前記凹部内を光遮蔽性樹脂により充填した光遮蔽性樹脂部と
を備え、
前記凹部は、前記光透過性樹脂層に対して略直角方向に等幅で設けられたことを特徴とする樹脂成型物。
【請求項5】
前記光透過性樹脂層の背面側に色を有する層である有色層を少なくとも1つさらに備えたことを特徴とする請求項4記載の樹脂成型物。
【請求項6】
背面側に外部に表示させるべき外部表示部分以外の部分に対応する凹部を有するよう光透過性樹脂により成型された層である光透過性樹脂層と、
前記凹部内を光遮蔽性樹脂により充填した光遮蔽性樹脂部と、
前記光透過性樹脂層の背面側に位置し、前記外部表示部分を背面側から照光する光源と
を備え、
前記凹部は、前記光透過性樹脂層に対して略直角方向に等幅で設けられたことを特徴とする樹脂成型物ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−201745(P2010−201745A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48793(P2009−48793)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(509062424)
【出願人】(509062435)
【出願人】(509062446)
【Fターム(参考)】