説明

樹脂材料の塗布方法およびマイクロレンズ基板の製造方法

【課題】粘度の高い樹脂でも短時間で、かつ均一に塗布することができる樹脂材料の塗布方法およびマイクロレンズ基板の製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂材料の塗布方法は、基板W上の中央に樹脂材料Rを塗布する工程と、樹脂材料Rが塗布された基板Wを回転させる第1の回転工程と、樹脂材料Rに拡散部材14を押し当て、基板Wを回転させながら基板Wの中央から端部に向かって拡散部材14を移動させ、樹脂材料Rを基板W上に広げる工程と、拡散部材14を基板Wの端部まで移動させ、しかる後に拡散部材14を取り外す工程と、基板Wを第1の回転工程よりも高速に回転させる第2の回転工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂材料の塗布方法およびマイクロレンズ基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン上に、画像を投影する投射型表示装置が知られている。
このような投射型表示装置では、その画像形成に主として液晶パネル(液晶光シャッター)が用いられている。
この液晶パネルは、例えば、各画素を制御する薄膜トランジスター(TFT)と画素電極とを有する液晶駆動基板(TFT基板)と、ブラックマトリックスや共通電極等を有する液晶パネル用対向基板とが、液晶層を介して接合された構成となっている。
このような構成の液晶パネル(TFT液晶パネル)では、液晶パネル用対向基板の画素となる部分以外のところにブラックマトリックスが形成されているため、液晶パネルを透過する光の領域は制限される。このため、光の透過率が下がる。
【0003】
かかる光の透過率を高めるべく、液晶パネル用対向基板には、各画素に対応する位置に多数の微小なマイクロレンズが設けられたものが知られている。これにより、液晶パネル用対向基板を透過する光は、ブラックマトリックスに形成された開口に集光され、光の透過率が高まる。
このようなマイクロレンズを形成する方法として、例えば、遠心力により粘性流体を拡げるスピンコート法(例えば、特許文献1又は2参照)、ならびに接触式のスキージ塗布法および転写塗布法(ロールコータ)をそれぞれ用いた各種装置が知られている。また、スピン塗布する際に、基板の表面端部の組成物を掻取り具で除去した後、基板を回転させる方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。さらに、ワークに塗布した樹脂をワークを固定して展延手段にて広げた後、ワークを回転させる方法も知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−153677号公報
【特許文献2】特開2007−250746号公報
【特許文献3】特開平6−163389号公報
【特許文献4】特開平7−335532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、スピンコート法を用いた場合には、液体を過剰に供給して遠心するため、材料の使用量が多い。また、同法では、高粘度(1000mPs・s以上)の材料を均一に拡げる(延ばす)ことが困難であり、塗布ムラが生じてしまうという問題があった。一方、スキージ塗布法や転写塗布法のように、粘性流体を拡げる手段として接触部材(スキージやロールコータ)を用いた場合には、塗布後に接触部材の洗浄作業が必要となるため、作業効率が低下してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]基板上の中央に樹脂材料を塗布する工程と、前記樹脂材料が塗布された前記基板を回転させる第1の回転工程と、前記樹脂材料に拡散部材を押し当て、前記基板を回転させながら該基板の中央から端部に向かって前記拡散部材を移動させ、前記樹脂材料を前記基板上に広げる工程と、前記拡散部材を前記基板の端部まで移動させ、しかる後に該拡散部材を取り外す工程と、前記基板を前記第1の回転工程よりも高速に回転させる第2の回転工程と、を有することを特徴とする樹脂材料の塗布方法。
【0008】
これによれば、基板上に一旦樹脂材料を塗布したあと、基板を第1の回転で回転して、スキージの方法で基板上に拡げ、それから第1の回転よりも高速な第2の回転でスピンコートするため、粘度の高い樹脂材料でも短時間で、かつ均一に塗布することができ、基板外にスピンアウトする量も少なくて済み、樹脂層の塗布厚さの均一性の向上や、樹脂量の節減等、樹脂材料の塗布に寄与することが大きい。
【0009】
[適用例2]上記樹脂材料の塗布方法であって、前記拡散部材は、へら状の治具であることを特徴とする樹脂材料の塗布方法。
【0010】
これによれば、樹脂材料は、へら状の治具に受け止められ基板の表面とへら状の治具との間の微小間隔を通り抜ける結果、樹脂材料はローラーで延ばされたように基板の表面に広く拡散される。
【0011】
[適用例3]第1の基板に凹部を形成する工程と、前記凹部が形成された前記第1の基板上の中央に樹脂材料を塗布する工程と、前記樹脂材料が塗布された前記第1の基板を回転させる第1の回転工程と、前記樹脂材料に拡散部材を押し当て、前記第1の基板を回転させながら該第1の基板の中央から端部に向かって前記拡散部材を移動させ、前記樹脂材料を前記第1の基板上に広げる工程と、前記拡散部材を前記第1の基板の端部まで移動させ、しかる後に該拡散部材を取り外す工程と、前記第1の基板を前記第1の回転工程よりも高速に回転させる第2の回転工程と、を有することを特徴とするマイクロレンズ基板の製造方法。
【0012】
これによれば、第1の基板上に一旦樹脂材料を塗布したあと、第1の基板を第1の回転で回転して、スキージの方法で第1の基板上に拡げ、それから第1の回転よりも高速な第2の回転でスピンコートするため、粘度の高い樹脂材料でも短時間で、かつ均一に塗布することができ、第1の基板外にスピンアウトする量も少なくて済み、樹脂層の塗布厚さの均一性の向上や、樹脂量の節減等、マイクロレンズ基板の製造に寄与することが大きい。
また、マイクロレンズの場合は凹部から実装の距離が開口率の度合に大きく影響するので、平坦性が重要である。
【0013】
[適用例4]上記マイクロレンズ基板の製造方法であって、前記第1の基板に第2の基板を貼り合せる工程を有することを特徴とするマイクロレンズ基板の製造方法。
【0014】
これによれば、品質の安定したマイクロレンズ基板を容易に製造することができる。
【0015】
[適用例5]上記マイクロレンズ基板の製造方法であって、前記拡散部材は、へら状の治具であることを特徴とするマイクロレンズ基板の製造方法。
【0016】
これによれば、樹脂材料は、へら状の治具に受け止められ第1の基板の表面とへら状の治具との間の微小間隔を通り抜ける結果、樹脂材料はローラーで延ばされたように第1の基板の表面に広く拡散される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態に係る塗布装置を示す模式的な平面図および縦断面図。(A)は塗布装置の待機状態の平面図、(B)は塗布装置の待機状態の縦断面図。(C)はトレイを設けない塗布装置に基板を載置した状態の縦断面図。
【図2】第1の実施形態に係る樹脂材料の塗布方法を説明するための図。
【図3】第1の実施形態に係る樹脂材料の塗布方法を説明するための図。
【図4】第2の実施形態に係るマイクロレンズ基板を示す模式的な縦断面図。
【図5】第2の実施形態に係るマイクロレンズ基板の製造方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を適宜変更している。
【0019】
(第1の実施形態)
以下に本実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る塗布装置を示す模式的な平面図および断面図であり、(A)は塗布装置の平面図、(B)は塗布装置の縦断面図である。(C)はトレイを設けない塗布装置に基板を載置した状態の縦断面図である。
【0020】
本実施形態に係る塗布装置2は、図1に示すように、トレイ10と塗布液供給ノズル12と樹脂材料(高粘度)を押し広げる拡散部材としてのスキージ14を備えている。
トレイ10には基板Wを嵌め込むための凹部16が形成されている。この凹部16は平面視で基板Wと相似で、深さは基板Wの厚みとほぼ等しくされている。
【0021】
凹部16には、基板Wを吸引する昇降自在なチャック22が設けられている。チャック22は、スピンナー軸20の上端部に取り付けられている。チャック22は、スピンナー軸20が最下位まで下がった状態でチャック22上面と凹部16の底面とが面一になるように設定されている。
【0022】
図示例ではチャック22を平面視で円形にしているが、矩形などとすることでスピンナー軸20の回転を直接トレイ10に伝えることができる。
【0023】
また塗布液供給ノズル12は、トレイ10の上方でトレイ10の中心の位置に配置されている。
【0024】
またスキージ14は、棒状をなすとともに下面14aは丸みをもっている。例えばスキージ14は、へら状の治具である。このスキージ14は、図示しないシリンダーユニットなどによってトレイ10に向かって往復動可能とされ、トレイ10上に移動した際にはスキージ14の下面14aと基板W上面との間に一定の隙間が形成され、この隙間が塗膜の厚みになる。
【0025】
以上の構成からなる塗布装置2を用いて基板Wに樹脂材料を塗布する手順を説明する。
図2および3は、本実施形態に係る樹脂材料の塗布方法を説明するための図である。
(1)まず図1に示す状態が待機状態であり、この状態から凹部16内に基板Wを嵌め込む。
【0026】
(2)次いで、基板W上面に塗布液供給ノズル12からレジスト、接着材などの樹脂材料を塗布する。これにより、図2(A)に示すように、基板W上面に塗布液だまり(樹脂材料)Rが形成される。この実施形態では、図3(A)に示すように、塗布液だまり(樹脂材料)Rは基板Wの中心に形成されている。
【0027】
(3)この後、トレイ10をスピンナー軸20にて回動させるとともに(第1の回転工程)、図2(B)および(C)に示すように、スキージ14を基板Wに向かって水平移動させる。つまり、塗布液だまり(樹脂材料)Rにスキージ14を押し当て、基板Wを回転させながら基板Wの中央から端部(外周)に向かってスキージ14を移動させ、塗布液だまり(樹脂材料)Rを基板W上に広げる。具体的には、スキージ14が基板Wの中心から基板Wの端部(外周)に向かって移動する間に、スキージ14の下面14aにて塗布液だまり(樹脂材料)Rが基板W上面に押し広げられる(図3(B)〜(D)参照)。
【0028】
(4)そして、図2(D)に示すように、スキージ14を基板Wの端部(外周)まで移動させ、しかる後にスキージ14を取り外す。具体的には、基板W上面への樹脂材料Rの押し広げが終了したならば、スキージ14を基板Wの上方から外し、前述の工程(3)の回転より高速でトレイ10を回転させ(第2の回転工程)、基板W上に形成された樹脂材料Rを均一な厚みにする。
【0029】
(5)この後、図2(E)に示すように、基板W上に形成された樹脂材料Rが均一な厚みに形成されたならば、前述の工程(4)の回転より高速でトレイ10を回転させ、基板W上に均一な厚みの樹脂層Rdを形成する。
【0030】
(6)樹脂層Rdが形成されたならば、スピンナー軸20を上昇せしめ基板Wを凹部16内から払い出す。
【0031】
以上の如くして、基板Wを凹部16から払い出したら、洗浄液供給ノズル(図示せず)をトレイ10の上方に臨ませ、洗浄液をトレイ10上面に供給し、さらにトレイ10を回転させることで、トレイ10上に残っている樹脂材料Rを除去する。また別に設けたブラシをトレイに当てることで効率よく除去を行ってもよい。この後、さらにトレイ10を回転せしめて乾燥させる。
【0032】
本実施形態によれば、基板W上に一旦樹脂材料Rを塗布したあと、基板Wを第1の回転で回転して、スキージの方法で基板W上に拡げ、それから第1の回転よりも高速な第2の回転でスピンコートするため、粘度の高い樹脂材料Rでも短時間で、かつ均一に塗布することができ、基板W外にスピンアウトする量も少なくて済み、樹脂層Rdの塗布厚さの均一性の向上や、樹脂量の節減等、樹脂材料の塗布に寄与することが大きい。なお、本実施形態では、トレイ10の凹部16に基板Wを嵌め込み、基板Wを回転させる場合を一例として説明したが、図1(C)のようにトレイ10を設けることなく、基板Wを直接チャック22又はステージ上に載置して基板Wを回転させてもよい。
【0033】
(第2の実施形態)
本実施形態に係るマイクロレンズ基板には、個別基板およびウエハーの双方を含むものとする。
図4は、本実施形態に係るマイクロレンズ基板を示す模式的な縦断面図である。
【0034】
本実施形態に係るマイクロレンズ基板4は、図4に示すように、凹曲面を有する複数(多数)の凹部30が設けられた石英、ガラス等からなる基板(第1の基板)32と、かかる基板32の凹部30が設けられた面に樹脂層(樹脂材料)34を介して接合された透光性基板(第2の基板)36とを有しており、また、樹脂層34では、凹部30内に充填された樹脂によりマイクロレンズ38が形成されている。
【0035】
以下、本実施形態に係るマイクロレンズ基板4の製造方法の一実施形態に沿って説明する。
図5は、本実施形態に係るマイクロレンズ基板4の製造方法を説明するための図である。
【0036】
マイクロレンズ基板4を製造する際には、表面に複数(多数)の凹部30が形成された基板(マイクロレンズ用凹部付き基板)32をまず用意する必要がある。かかる基板32は、例えば、以下のようにして製造、用意することができる(図5参照)。
【0037】
まず、母材として、例えば未加工の基板32を用意する。この基板32には、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。
【0038】
製造されるマイクロレンズ基板4が液晶パネルの製造に用いられ、かかる液晶パネルが基板32以外の基板を有する場合には、基板32の熱膨張係数は、かかる液晶パネルが有する他の基板の熱膨張係数とほぼ等しいものであることが好ましい。このように、基板32と液晶パネルが有する他の基板の熱膨張係数をほぼ等しいものとすると、得られる液晶パネルでは、温度が変化したときに二者の熱膨張係数が違うことにより生じる反り、たわみ等が防止される。
【0039】
かかる観点からは、基板32と液晶パネルが有する他の基板とは、同じ材質で構成されていることが好ましい。これにより、温度変化時の熱膨張係数の相違による反り、たわみ等が効果的に防止される。
【0040】
特に、製造されたマイクロレンズ基板4を高温ポリシリコンのTFT液晶パネルの構成材料に用いる場合には、基板32は、石英、ガラス等で構成されていることが好ましい。TFT液晶パネルは、液晶駆動基板としてTFT基板を有している。かかるTFT基板には、製造時の環境により特性が変化しにくい石英、ガラス等が好ましく用いられる。このため、これに対応させて、基板32を石英、ガラス等で構成することにより、反り、たわみ等の生じにくい、安定性に優れたTFT液晶パネルを得ることができる。
【0041】
基板32の厚さは、基板32を構成する材料、屈折率等の種々の条件により異なるが、通常、0.3〜5mm程度が好ましく、0.5〜2mm程度がより好ましい。厚さをこの範囲内とすると、必要な光学特性を備えたコンパクトなマイクロレンズ基板4を得ることができる。
【0042】
(1)まず、基板32の表面に、図5(A)に示すように、マスク層40を形成する。また、これとともに、基板32の裏面(マスク層40を形成する面と反対側の面)に裏面保護層42を形成する。
【0043】
このマスク層40は、後述する工程(3)における操作で耐性を有するものが好ましい。かかる観点からは、このマスク層40を構成する材料としては、例えば、Au/Cr、Au/Ti、Pt/Cr、Pt/Ti等の金属、多結晶シリコン(ポリシリコン)、アモルファスシリコン等のシリコン、窒化シリコンなどが挙げられる。
【0044】
マスク層40の厚さは、特に限定されないが、0.01〜10μm程度が好ましく、0.2〜1μm程度がより好ましい。厚さがこの範囲の下限値未満であると、基板32を十分に保護できない場合があり、上限値を超えると、マスク層40の内部応力によりマスク層40が剥がれ易くなる場合がある。
【0045】
マスク層40は、例えば、化学気相成膜法(CVD法)、スパッタリング法、蒸着法等の気相成膜法、メッキなどにより形成することができる。
【0046】
なお、裏面保護層42は、次工程以降で基板32の裏面を保護するためのものである。この裏面保護層42により、基板32の裏面の侵食、劣化等が好適に防止される。この裏面保護層42は、例えば、マスク層40と同様の材料で構成されている。このため、裏面保護層42は、マスク層40の形成と同時に、マスク層40と同様に設けることができる。
【0047】
(2)次に、図5(B)に示すように、マスク層40に、複数の開口44を形成する。開口44は、凹部30を形成する位置に設ける。また、開口44の形状は、形成する凹部30の形状に対応していることが好ましい。
【0048】
かかる開口44は、例えば次のように形成することができる。まず、マスク層40上に、開口44に対応したパターンを有するレジスト層(図示せず)を形成する。次に、かかるレジスト層をマスクとして、マスク層40の一部を除去する。次に、前記レジスト層を除去する。
【0049】
なお、マスク層40の一部除去は、例えば、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチング、フッ酸+硝酸水溶液、アルカリ水溶液等の剥離液への浸漬(ウエットエッチング)などにより行うことができる。
【0050】
(3)次に、基板32上に凹曲面を有する複数(多数)の凹部30を形成する。凹部30の形成方法としては、ドライエッチング法、ウエットエッチング法等のエッチング法などが挙げられる。特に、ウエットエッチング法によると、より理想的なレンズ形状に近い凹部30を形成することができる。なお、ウエットエッチングを行う際のエッチング液としては、例えばフッ酸系エッチング液などが好適に用いられる。
【0051】
例えばエッチングを行うことにより、基板32は、開口44より等方的に食刻され、レンズ形状を有する凹部30が形成される。
【0052】
(4)次に、図5(D)に示すように、マスク層40を除去する。また、この際、マスク層40の除去とともに裏面保護層42も除去する。
【0053】
これは、例えば、アルカリ水溶液(例えばテトラメチル水酸化アンモニウム水溶液等)、塩酸+硝酸水溶液、フッ酸+硝酸水溶液等の剥離液への浸漬(ウエットエッチング)、CFガス、塩素系ガス等によるドライエッチングなどにより行うことができる。
【0054】
これにより、図5(D)に示すように、表面に複数(多数)の凹部30が形成された基板(マイクロレンズ用凹部付き基板)32が得られる。
【0055】
このような基板32を用い、例えば以下のようにして、マイクロレンズ基板4を製造することができる。
【0056】
(5)次に、基板32の凹部30が形成された面に、所定の屈折率(特に基板32の屈折率より高い屈折率)を有する未硬化の樹脂材料を供給する。
【0057】
これは、例えば、基板32の凹部30が形成された面全体に、未硬化の樹脂材料を塗布することにより行うことができる。樹脂層34を構成する樹脂材料の塗布方法としては、前述の第1の実施形態に係る樹脂材料の塗布方法が挙げられる。
【0058】
このような樹脂層34を構成することとなる樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリルエポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、チオウレタン系樹脂などいかなるものでもよい。特に、これらの中でも樹脂層34を構成することとなる樹脂材料としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリルエポキシ系樹脂、ビニル系樹脂等の紫外線硬化樹脂が好ましい。数ある樹脂の中でも紫外線硬化樹脂は、特に優れた耐紫外線特性(耐UV特性)を有している。さらに紫外線硬化樹脂の中でも、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリルエポキシ系樹脂を用いると、樹脂を所望の屈折率に調整することが容易となり、優れた光学特性を有するマイクロレンズ基板4を容易に得られるようになる。
【0059】
なお、樹脂層34を構成することとなる樹脂材料の硬化後の屈折率nは、特に限定されないが、1.35〜1.63程度が好ましい。製造後のマイクロレンズ基板4では高い光利用効率が得られるようになる。
【0060】
(6)次に、前述の工程(5)で基板32上に供給した樹脂材料上に透光性基板(カバーガラス)36を接合する。
【0061】
なお、透光性基板36の熱膨張係数は、前記と同様の理由から、製造する液晶パネルが有する他の基板の熱膨張係数とほぼ等しいものであることが好ましい。また、同様の観点からは、透光性基板36と液晶パネルが有する他の基板とは、同じ材質で構成されていることが好ましい。特に、マイクロレンズ基板4を高温ポリシリコンのTFT液晶パネルの製造に用いる場合には、透光性基板36は、前記と同様の理由から、石英、ガラス等で構成されていることが好ましい。
【0062】
(7)次に、前記樹脂材料を硬化させて樹脂層34を形成する。これにより、凹部30内では、樹脂層34を構成する樹脂によりマイクロレンズ38が形成される。
【0063】
なお、樹脂材料の硬化は、例えば、樹脂材料に紫外線、電子線を照射すること、樹脂材料を加熱することなどにより行うことができる。
【0064】
なお、樹脂層34の厚さ(基板32が本来の厚みを有しているところの厚さ)は、0.1〜100μm程度が好ましく、1〜20μm程度がより好ましい。
【0065】
(8)その後、必要に応じて研削、研磨等を行い、透光性基板36の厚さを調整してもよい。
【0066】
これにより、図5(E)および図4に示すように、マイクロレンズ基板4を得ることができる。
【0067】
なお、透光性基板36の厚さは、マイクロレンズ基板4が液晶パネルの構成要素として用いられる場合、必要な光学特性を得る観点からは、通常、10〜1000μm程度が好ましく、20〜150μm程度がより好ましい。なお、液晶パネルが、光を透光性基板36側から入射させる構成の場合には、透光性基板36の厚さは、0.3〜5mm程度が好ましく、0.5〜2mm程度がより好ましい。この場合、基板32の厚さを調整して、基板32の厚さを、好ましくは10〜1000μm程度、より好ましくは20〜150μm程度とすることができる。
【0068】
なお、マイクロレンズ基板4は、液晶パネル用対向基板および液晶パネル以外にも、CCD用マイクロレンズ基板、光通信素子用マイクロレンズ基板等の各種基板、各種用途に用いることができることは言うまでもない。
【0069】
(9)マイクロレンズ基板4の透光性基板36上に、例えば、開口を有するブラックマトリックスを形成し、次いで、かかるブラックマトリックスを覆うように透明導電膜を形成することにより、液晶パネル用対向基板を製造することができる。
【符号の説明】
【0070】
2…塗布装置 4…マイクロレンズ基板 10…トレイ 12…塗布液供給ノズル 14…スキージ(拡散部材) 14a…下面 16…凹部 20…スピンナー軸 22…チャック 30…凹部 32…基板 34…樹脂層 36…透光性基板 38…マイクロレンズ 40…マスク層 42…裏面保護層 44…開口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の中央に樹脂材料を塗布する工程と、
前記樹脂材料が塗布された前記基板を回転させる第1の回転工程と、
前記樹脂材料に拡散部材を押し当て、前記基板を回転させながら該基板の中央から端部に向かって前記拡散部材を移動させ、前記樹脂材料を前記基板上に広げる工程と、
前記拡散部材を前記基板の端部まで移動させ、しかる後に該拡散部材を取り外す工程と、
前記基板を前記第1の回転工程よりも高速に回転させる第2の回転工程と、
を有することを特徴とする樹脂材料の塗布方法。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂材料の塗布方法において、
前記拡散部材は、へら状の治具であることを特徴とする樹脂材料の塗布方法。
【請求項3】
第1の基板に凹部を形成する工程と、
前記凹部が形成された前記第1の基板上の中央に樹脂材料を塗布する工程と、
前記樹脂材料が塗布された前記第1の基板を回転させる第1の回転工程と、
前記樹脂材料に拡散部材を押し当て、前記第1の基板を回転させながら該第1の基板の中央から端部に向かって前記拡散部材を移動させ、前記樹脂材料を前記第1の基板上に広げる工程と、
前記拡散部材を前記第1の基板の端部まで移動させ、しかる後に該拡散部材を取り外す工程と、
前記第1の基板を前記第1の回転工程よりも高速に回転させる第2の回転工程と、
を有することを特徴とするマイクロレンズ基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のマイクロレンズ基板の製造方法において、
前記第1の基板に第2の基板を貼り合せる工程を有することを特徴とするマイクロレンズ基板の製造方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のマイクロレンズ基板の製造方法において、
前記拡散部材は、へら状の治具であることを特徴とするマイクロレンズ基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−188252(P2010−188252A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33597(P2009−33597)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】