説明

樹脂材料生成装置

【課題】現在使用している材料をこれとは成分の異なる材料に変更するに際して、供給通路に残存する変更前の材料が混合室に流出して変更後の材料に混入することを効果的に抑制することのできる樹脂材料生成装置を提供する。
【解決手段】樹脂材料生成装置は、混合室2と、混合室側開口部108aと顔料タンクとを接続して顔料を混合室2に供給する内部通路122及び連通路108と、顔料を混合室2に供給する際に混合室側開口部108aを開成する一方、非供給時には混合室側開口部108aを閉成する制御弁9とを備える。連通路108の周壁には導入通路151の縮径通路153が開口する。連通路108に残存する顔料を吸引装置170により内部通路122に移動させて排出する排出処理に際して逆止弁160により導入通路151を開放させて内部通路122の基端側部分における圧力P1に比べて導入通路151の圧力P2を高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の異なる材料を混合して樹脂材料を生成する樹脂材料生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の樹脂材料生成装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。図6に、特許文献1に記載のミキシングヘッドも含め、こうした樹脂材料生成装置として従来一般に採用されている装置の断面構造を示す。
【0003】
同図6に示されるように、ミキシングヘッドを構成するヘッドボディ1の内部には円柱状の混合室2が形成されている。また、ヘッドボディ1には、2つの主ノズル挿入穴3a,3b及び1つの副ノズル挿入穴4が混合室2の中心軸Cに対してそれぞれ直交するように形成されている。これら挿入穴3a,3b,4の底壁5a,5b,6は、それぞれ混合室2の近傍に位置しており、これら底壁5a,5b,6には各挿入穴3a,3b,4と混合室2とを連通する主連通路7a,7b及び副連通路8がそれぞれ形成されている。
【0004】
また、各主ノズル挿入穴3a,3bには、ポリオール成分材料及びイソシアネート成分材料を混合室2に対して供給するための主供給ノズル11a,11bがそれぞれ挿入されている。これら主供給ノズル11a,11bの内部には、各主連通路7a,7bと上記各材料を貯蔵するための各材料タンク31a,31bとを接続する主内部通路12a,12bがそれぞれ形成されている。また、副ノズル挿入穴4には、混合室2に対して顔料を供給するための副供給ノズル21が挿入されている。この副供給ノズル21の内部には、副連通路8と顔料を貯蔵するための顔料タンク41とを接続する副内部通路22が形成されている。また、混合室2には、各主連通路7a,7b及び副連通路8と混合室2との連通・遮断を切り替えるための制御弁9が混合室2の中心軸C方向に往復動自在に設けられている。
【0005】
こうした構成によれば、樹脂材料を生成するときには、主連通路7a,7b及び副連通路8の混合室2側に位置する各開口が制御弁9によって開成されることにより、上記各材料(ポリオール成分材料、イソシアネート成分材料、及び顔料)が混合室2に供給される。そして、混合室2にて各材料が混合されることにより着色されたポリウレタン樹脂材料が生成される。なお、ポリウレタン樹脂材料の供給が完了すると、主連通路7a,7b及び副連通路8の混合室2側に位置する各開口が制御弁9によって閉成される。したがって、各主連通路7a,7b及び副連通路8から各材料が混合室2に流出することはない。
【特許文献1】特開平6−182759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、こうした従来の樹脂材料生成装置にあって、現在使用している顔料から同顔料とは異なる色の顔料に変更するときには、副供給ノズル21に対して着脱可能に設けられる顔料タンク41を上記異なる色の顔料が貯蔵される顔料タンクに交換するようにしている。しかし、顔料タンク41を交換しても、副内部通路22及び副連通路8(以下、これら2つの通路22,8を供給通路と総称する)には交換前の顔料が残存することとなるため、顔料タンク41の交換後に最初に生成されるポリウレタン樹脂材料には交換前の顔料が多量に混入することとなる。その結果、顔料タンク41の交換後に最初に生成される樹脂材料が不良品となり、同樹脂材料を生成するために用いられた材料やその生成工程が無駄となるといった問題が生じる。
【0007】
なお、こうした問題はポリオール成分材料、イソシアネート成分材料、及び顔料を用いてポリウレタン樹脂材料を生成する樹脂材料生成装置に限られるものではなく、これら以外の他の材料を用いて樹脂材料を生成する他の樹脂材料生成装置にあっても概ね共通した問題となっている。
【0008】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、現在使用している材料をこれとは成分の異なる材料に変更するに際して、供給通路に残存する変更前の材料が混合室に流出して変更後の材料に混入することを効果的に抑制することのできる樹脂材料生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、第1の材料とこれとは成分の異なる第2の材料とが混合されることにより樹脂材料が生成される混合室と、同混合室に開口する混合室側開口部にその先端部が接続されるとともに前記第1の材料を貯蔵するタンクにその基端部が接続されて同第1の材料を前記混合室に供給する供給通路と、前記第1の材料を前記混合室に供給する際に前記混合室側開口部を開成する一方、非供給時には前記混合室側開口部を閉成する制御機構とを備える樹脂材料生成装置において、前記供給通路の周壁のうち前記混合室の近傍部分に開口する導入通路を有し、前記供給通路に残存する前記第1の材料を同供給通路の基端側に移動させて排出する排出処理に際して前記導入通路を開放させるとともに前記供給通路の基端側部分における圧力に比べて前記導入通路の圧力を高くする圧力調節機構とを備えることをその要旨とする。
【0010】
同構成によれば、現在使用している第1の材料をこれとは成分の異なる材料に変更するに際して供給通路に残存する第1の材料を同供給通路の基端側に移動させて排出する排出処理を行う必要があるときには、圧力調節機構を通じて、導入通路が開放されるとともに供給通路の基端側における圧力よりも導入通路の圧力が高くされる。これにより、供給通路の基端側部分と導入通路との間に圧力差を発生させ、この圧力差により供給通路に残存する第1の材料を導入通路から導入される流体とともに供給通路の基端側に移動させ、これを排出することができるようになる。このため、第1の材料を異なる材料に変更するに際して、供給通路に残存する変更前の第1の材料が混合室に流出して変更後の材料に混入することを効果的に抑制することができるようになる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂材料生成装置において、前記圧力調節機構は、前記供給通路に残存する前記第1の材料を同供給通路の基端側から吸引する吸引装置と、前記導入通路に設けられて前記導入通路側から前記供給通路側への流体の流入を許容するとともに前記供給通路側から前記導入通路側への流体の流出を規制する逆止弁とを備えることをその要旨とする。
【0012】
同構成によれば、吸引装置を作動させることにより供給通路を通じて第1の材料を同供給通路の基端側から吸引しようとする際には、逆止弁が開弁するとともに導入通路を通じて流体が供給通路に流入する。このため、供給通路に残存する第1の材料を供給通路の基端側に移動させてこれを排出することができるようになる。また、供給通路から導入通路への流体の移動は逆止弁により規制されるため、供給通路に一旦流入した流体や供給通路に残存する第1の材料が導入通路に逆流することを回避することができる。
【0013】
請求項1又は2に記載の樹脂材料生成装置は、請求項3に記載の発明によるように、圧力調節機構として、導入通路を通じ供給通路に流体を圧送するためのポンプを備えるといった構成を採用することができる。同構成によれば、ポンプから圧送された流体の圧力によって供給通路に残存する第1の材料を供給通路の基端側に移動させてこれを排出することができるようになる。
【0014】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂材料生成装置は、具体的には、請求項4に記載の発明によるように、供給通路は、樹脂材料生成装置本体に対して着脱可能に取り付けられる供給ノズルの内部に形成された内部通路と、混合室と共に樹脂材料生成装置本体に形成されて混合室側開口部と内部通路とを連通する連通路とを含み、導入通路は連通路に接続されてなるといった構成を採用することができる。この場合、圧力調節機構を通じて、連通路に残存する第1の材料を供給ノズルの内部通路へ移動させ、その後に、樹脂材料生成装置本体から供給ノズルを取り外せばよい。これにより、内部通路及び連通路、すなわち供給通路に残存する第1の材料全体を排出する場合に比べて、排出の対象となる第1の材料の量を少なくすることができる。このため、排出処理を早期に完了することができるようになる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の樹脂材料生成装置において、前記内部通路は、同内部通路の先端部には他の部分と比較して通路断面積を小さくした絞りが形成されてなることをその要旨とする。
【0016】
請求項4に記載の発明、すなわち、連通路に残存する第1の材料を供給ノズルの内部通路に移動させ、その後に、樹脂材料生成装置本体から供給ノズルを取り外すといった構成にあっては、供給ノズルの取り外しに際して内部通路に存在する第1の材料がわずかとはいえ連通路に流出することが懸念される。
【0017】
この点、上記構成によれば、内部通路の先端部にはその通路断面積を他の部分と比較して小さく設定した絞りを形成するようにしているため、供給ノズルを取り外すに際して内部通路に存在する第1の材料が連通路へ流出しようとする際には、この絞りが流路抵抗として作用することとなる。このため、供給ノズルを取り外すに際して内部通路に存在する第1の材料が連通路に流出することを抑制することができるようになる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、この発明にかかる樹脂材料生成装置によれば、現在使用している材料をこれとは成分の異なる材料に変更するに際して、供給通路に存在する変更前の材料が混合室に流出して変更後の材料に混入することを効果的に抑制することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明にかかる樹脂材料生成装置の一実施の形態について図1及び図3に基づき説明する。
図1は、この実施の形態の樹脂材料生成装置についてその部分断面構造を示す部分断面図である。なお、この実施の形態にかかる樹脂材料生成装置は、ポリオール成分材料、イソシアネート成分材料、及び顔料を混合室に吸入して混合させることにより、ポリウレタン樹脂材料を生成するものである。ここで、ポリオール成分材料及びイソシアネート成分材料を混合室に供給するための構成は、図6に示したものと同様であるため、その説明は割愛する。そして以下では、顔料を混合室に供給するための構成、並びに顔料の変更に際して同顔料の供給通路に残存する変更前の顔料を排出するための構成について説明する。
【0020】
同図1に示されるように、樹脂材料生成装置本体としてのヘッドボディ101の内部には円柱状の混合室2及び円柱状のノズル挿入穴104がそれぞれ形成されている。ノズル挿入穴104は、ヘッドボディ101の外壁に開口する大径部104aと、混合室2側に位置するとともに同大径部104aに比べてその内径が小さい小径部104bとを有している。また、ノズル挿入穴104は、その中心軸Eが混合室2の中心軸Cに対して所定角度α傾斜するように形成されている。更に、このノズル挿入穴104の底壁106は、混合室2の近傍に位置しており、同底壁106には、混合室2に開口する混合室側開口部108aに接続されて同混合室2とノズル挿入穴104とを連通する円柱状の連通路108が形成されている。
【0021】
ノズル挿入穴104には、混合室2に対して顔料を供給するための供給ノズル121が着脱可能に挿入されている。この供給ノズル121の内部には、内部通路122が形成されており、同内部通路122はその先端部123が連通路108に接続されている。また、内部通路122においてその先端部123の内径D1は、同内部通路122において同先端部123よりも基端側の部分の内径D2と比較して小さく設定されている(D1<D2)。また、先端部123の内径D1は、連通路108の内径D3と同一に設定されている(D1=D3)。なお、このように内部通路122の先端部123における内径D1を他の部分の内径D2と比較して小さくすることにより、同先端部123は絞りとして機能することとなる。また、供給ノズル121の先端部外周面には、シールリング71を外嵌するためのリング溝126が全周にわたって形成されている。なお、ポリウレタン樹脂材料を生成する際には、内部通路122の基端部124が接続部材125を介して図示しない顔料タンクに接続される。また、混合室2には、連通路108と混合室2との連通・遮断を切り替えるための制御機構としての制御弁9が混合室2の中心軸C方向に往復動自在に設けられている。
【0022】
こうした構成によれば、ポリウレタン樹脂材料を生成するときには、図1において矢印T方向に制御弁9を移動させて混合室側開口部108aを開成し、顔料が混合室2に供給される。そして、混合室2にて顔料、ポリオール成分材料、及びイソシアネート成分材料が混合されることにより着色されたポリウレタン樹脂材料が生成される。なお、ポリウレタン樹脂材料の供給が完了すると、図1において矢印S方向に制御弁9を移動させて混合室側開口部108aを閉成する。したがって、連通路108から混合室2に顔料が流出することはない。
【0023】
ところで、樹脂材料生成装置において、現在使用している顔料から同顔料とは異なる色の顔料に変更するときには、供給ノズル121に対して着脱可能に設けられる顔料タンクを上記異なる色の顔料が貯蔵される顔料タンクに交換するようにしている。しかし、顔料タンクを交換しても、内部通路122及び連通路108には交換前の顔料が残存することとなるため、顔料タンクの交換後に最初に生成されるポリウレタン樹脂材料には交換前の顔料が多量に混入することとなる。その結果、顔料タンクの交換後に最初に生成されるポリウレタン樹脂材料が不良品となり、同樹脂材料を生成するために用いられた材料やその生成工程が無駄となるといった問題が生じる。
【0024】
そこで、この実施の形態では、以下に説明する圧力調節機構150を備えることによりこうした問題の発生を抑制するようにしている。
すなわち、図1に示されるように、ヘッドボディ101の内部には、連通路108に開口する縮径通路153が形成されるとともに、後述する逆止弁160及び規制部材169が挿入される挿入穴152、及びこの挿入穴152と上記縮径通路153とを接続するテーパ状のテーパ通路154が形成されている。なお、テーパ通路154は、上記縮径通路153に向けて次第に縮径されている。これらのうち挿入穴152には、逆止弁160を構成する筒状のケース161が挿入されている。また、この挿入穴152にはケース161の外側への移動を規制するための規制部材169が螺入されている。
【0025】
供給ノズル121の内部通路122においてその基端部124には、連通路108に残存する顔料を内部通路122の基端側から吸引するための吸引装置170が接続部材125を介して接続されている。
【0026】
ここで、逆止弁160の構成について図2の断面図を参照して詳細に説明する。なお、図2(a)は閉弁状態のときの逆止弁160の断面構造を示し、図2(b)は開弁状態のときの逆止弁160の断面構造をそれぞれ示す。
【0027】
同図2(a)に示されるように、ケース161の内側端部162には、筒状の弁座163が内嵌されている。また、この弁座163の外側端面には、後述するピストン167の内側への移動を規制するための筒状のストッパ164が設けられている。なおここでは、これら弁座163及びストッパ164を別部材によって形成しているが、これら弁座163及びストッパ164を一体形成してもよい。
【0028】
テーパ通路154には、円盤状の弁体165が設けられている。この弁体164は、弁座163及びストッパ164の内部に挿通されるシャフト166を介してケース161の内部に設けられる円盤状のピストン167に連結されている。このピストン167には、同ピストン167の外側と内側とを連通する複数の連通孔167aが形成されている。また、弁座163の外側端面とピストン167の内側端面との間には、ヘッドボディ101の外側にピストン167を付勢するためのスプリング168が介設されている。
【0029】
これら縮径通路153、テーパ通路154、弁座163の内部、ストッパ164の内部、ピストン167の連通孔167a、ケース161の内部、及び規制部材169の内部によって、ヘッドボディ101の外側と連通路108とを連通して空気を連通路108に導入するための導入通路151が構成されている。また、これらケース161、弁座163、ストッパ164、弁体165、シャフト166、ピストン167、及びスプリング168により逆止弁160が構成されている。
【0030】
こうした構成を備える逆止弁160にあっては、図2(a)に示されるように、弁体165、シャフト166、及びピストン167をヘッドボディ101の内側へ移動させようとする力よりもスプリング168の付勢力が大きいときには、弁体165が弁座163の外側端面に当接してケース161の内部とテーパ通路154とが遮断され、連通路108から導入通路151への顔料の流出が遮断される。
【0031】
一方、図2(b)に示されるように、弁体165、シャフト166、及びピストン167をヘッドボディ101の内側へ移動させようとする力がスプリング168の付勢力よりも大きいときには、弁座163の外側端面から弁体165が離間してケース161の内部とテーパ通路154とが連通され、導入通路151から連通路108への空気の流入が許容される。
【0032】
次に、圧力調節機構150の作用について図3を参照して説明する。なお、図3は、圧力調節機構の作用を説明するための模式図である。
同図3に示されるように、吸引装置170を作動させることにより内部通路122を通じて同内部通路122及び連通路108に残存する顔料を吸引しようとすると、内部通路122の圧力P1と共に連通路108及び縮径通路153の圧力P2が低下しようとする。しかし、このように圧力P2が低下しようとすると、逆止弁160が開弁するとともに同圧力P2の低下分を補うように縮径通路153を通じて空気が連通路108に流入するようになる。これにより、内部通路122の圧力P1が低くされる一方で連通路108及び縮径通路153の圧力P2が同圧力P1よりも高くなり、内部通路122の基端側部分と縮径通路153との間に圧力差が発生するようになる(P1<P2)。そして、この圧力差により連通路108に残存する顔料が縮径通路153から導入される空気とともに内部通路122へ移動するようになる。また、連通路108から縮径通路153への顔料や空気の移動は逆止弁160により規制されるため、連通路108に一旦流入した空気や連通路108に残存する顔料が導入通路151に逆流することはない。
【0033】
以上説明したこの実施の形態にかかる樹脂材料生成装置によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)連通路108に残存する顔料を内部通路122に移動させて排出する排出処理に際して、連通路108の周壁に開口する縮径通路153を開放させるとともに内部通路122の基端側部分における圧力P1に比べて縮径通路の圧力P2を高くすることとした。これにより、内部通路122の基端側部分と縮径通路153との間に圧力差を発生させ、この圧力差により連通路108に残存する顔料を導入通路151から導入される空気とともに内部通路122に移動させ、これを連通路108から排出することができるようになる。このため、現在使用している顔料を異なる色の顔料に変更するに際して、連通路108に残存する変更前の顔料が混合室2に流出して変更後の材料に混入することを効果的に抑制することができるようになる。
【0034】
(2)連通路108に残存する顔料を内部通路122の基端側から吸引する吸引装置170と、導入通路151に設けられて導入通路151側から連通路108側への空気の流入を許容するとともに連通路108側から導入通路151側への顔料及び顔料の流出を規制する逆止弁160とを備えることとした。これにより、吸引装置170を作動させることにより内部通路122を通じて顔料を内部通路122の基端側から吸引しようとする際には、逆止弁160が開弁するとともに導入通路151を通じて空気が連通路108に流入する。このため、連通路108に残存する顔料を内部通路122に移動させてこれを連通路108から排出することができるようになる。また、連通路108から導入通路151への顔料及び空気の移動は逆止弁160により規制されるため、連通路108に一旦流入した空気や連通路108に残存する顔料が導入通路151に逆流することを回避することができる。
【0035】
(3)供給ノズル121をヘッドボディ101に対して着脱可能に取り付けられるものとした。また、混合室側開口部108aと内部通路122とを連通する連通路108に導入通路151の縮径通路153を接続することとした。また、連通路108に残存する顔料を供給ノズル121の内部通路122へ移動させ、その後に、ヘッドボディ101から供給ノズル121を取り外すこととした。これにより、内部通路122及び連通路108に残存する顔料全体を排出する場合に比べて、排出の対象となる顔料の量を少なくすることができる。このため、排出処理を早期に完了することができるようになる。
【0036】
(4)連通路108に残存する顔料を供給ノズル121の内部通路122に移動させ、その後に、ヘッドボディ101から供給ノズル121を取り外すといった構成にあっては、供給ノズル121の取り外しに際して内部通路122に存在する顔料がわずかとはいえ連通路108に流出することが懸念される。
【0037】
この点、上記実施の形態では、内部通路122の先端部123にはその通路断面積を他の部分と比較して小さく設定した絞りが形成されているため、供給ノズル121の取り外しに際し内部通路122に存在する顔料が連通路108へ流出しようとする際には、この絞りが顔料の流路抵抗として作用することとなる。このため、供給ノズル121を取り外すに際して内部通路122に存在する顔料が連通路108に流出することを抑制することができるようになる。
【0038】
なお、この発明にかかる車両の樹脂材料生成装置は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することもできる。
【0039】
・上記実施の形態では、内部通路122の先端部123の内径D1を連通路108の内径D3と同一(D1=D3)に設定するようにしているが、先端部123の内径D1と連通路108の内径D3との比はこれに限られるものではなく、連通路108の内径D3を先端部123の内径D1以上(D3≧D1)に設定するようにしてもよい。
【0040】
・上記実施の形態では、内部通路122の先端部123にその通路断面積を他の部分と比較して小さく設定した絞りが形成されている構成について例示したが、供給ノズル121の取り外しに際して内部通路122に存在する顔料が連通路108に流出することを抑制するための構成はこれに限られるものではなく、他に例えば、供給ノズル121の取り外しに際して内部通路122の先端部123を開閉する弁機構を採用するようにしてもよい。
【0041】
・上記実施の形態では、吸引装置170の作動により、内部通路122の圧力P1と共に連通路108及び縮径通路153の圧力P2が低下しようとするときに、そうした圧力変化に伴って逆止弁160が開弁するとともに同圧力P2の低下分を補うように縮径通路153を通じて空気が連通路108に流入する構成について例示したが、圧力調節機構の構成はこれに限られるものではない。他に例えば、図4に示されるように、導入通路151を通じて連通路108に空気を圧送するためのポンプ180を備えるようにしてもよい。この場合、ポンプ180から圧送された空気の圧力によって連通路108及び導入通路151の圧力P3を内部通路122の圧力P1よりも一層高くすることができ(P3≫P1)、連通路108に残存する顔料を内部通路122に移動させてこれを排出することができるようになる。
【0042】
・上記実施の形態では、連通路108に残存する顔料を同内部通路122の基端側から吸引する吸引装置170を備える構成について例示しているが、図5に示されるように、吸引装置170に代えて、導入通路151を通じて連通路108に空気を圧送するためのポンプ180を備えるようにしてもよい。この場合、ポンプ180から圧送された空気の圧力P5、すなわち内部通路122の圧力P4よりも高い圧力P5によって連通路108に残存する顔料を内部通路122に移動させてこれを排出することができるようになる。
【0043】
・ポンプにより圧送される流体は空気に限られるものではなく、例えば、顔料の酸化が懸念される場合には、空気に代えて窒素ガスなどの不活性ガスを圧送するようにしてもよい。
【0044】
・上記実施の形態では、導入通路151に逆止弁160を設けることにより、排出処理に際して縮径通路153を開放させるようにしているが、逆止弁160に代えて、導入通路151を開閉駆動可能な弁を採用するようにしてもよい。
【0045】
・上記実施の形態では、供給ノズル121をヘッドボディ101に対して着脱可能に取り付けられるものとするとともに、混合室側開口部108aと内部通路122とを連通する連通路108に導入通路151の縮径通路153を接続することとしたが、ヘッドボディ101に対して取り外すことのできない供給ノズルを採用することも可能である。
【0046】
・上記実施の形態では、第2の材料としてポリウレタン樹脂材料の主成分材料であるポリオール成分材料及びイソシアネート成分材料について例示したが、この発明にかかる樹脂材料生成装置はポリウレタン樹脂材料を生成する装置に限られるものではなく、他の樹脂材料を生成する装置についても適用可能であり、その場合には第2の材料として他の材料を採用すればよい。また、第1の材料としてポリウレタン樹脂材料を着色するための顔料について例示したが、第1の材料はこうした顔料に限られるものではなく、第1の材料として樹脂材料を生成するための各種材料を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】この発明の一実施の形態にかかる樹脂材料生成装置についてその部分断面構造を示す部分断面図。
【図2】同実施の形態の逆止弁の断面図であって、(a)閉弁状態のときの断面構造を示す断面図、(b)開弁状態のときの断面構造を示す断面図。
【図3】同実施の形態の圧力調節機構の作用を説明するための模式図である。
【図4】圧力調節機構の変形例の作用を説明するための模式図である。
【図5】圧力調節機構の他の変形例の作用を説明するための模式図である。
【図6】従来の樹脂材料生成装置についてその部分断面構造を示す部分断面図。
【符号の説明】
【0048】
1,101…ヘッドボディ、2…混合室、3a,3b…主ノズル挿入穴、4…副ノズル挿入穴、5a,5b,6,106…底部、7a,7b…主連通路、8…副連通路、9…制御弁、11a,11b…主供給ノズル、12a,12b…主内部通路、21…副供給ノズル、22…副内部通路、31a,31b…材料タンク、41…顔料タンク、104…ノズル挿入穴、104a…大径部、104b…小径部、108…連通路、108a…混合室側開口部、121…供給ノズル、122…内部通路、123…先端部、124…基端部、125…接続部材、150…圧力調節機構、151…導入通路、152…挿入穴、153…縮径通路、154…テーパ通路、160…逆止弁、161…ケース、162…内側端部、163…弁座、164…ストッパ、165…弁体、166…シャフト、167…ピストン、167a…連通孔、168…スプリング、169…規制部材、170…吸引装置、180…ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料とこれとは成分の異なる第2の材料とが混合されることにより樹脂材料が生成される混合室と、同混合室に開口する混合室側開口部にその先端部が接続されるとともに前記第1の材料を貯蔵するタンクにその基端部が接続されて同第1の材料を前記混合室に供給する供給通路と、前記第1の材料を前記混合室に供給する際に前記混合室側開口部を開成する一方、非供給時には前記混合室側開口部を閉成する制御機構とを備える樹脂材料生成装置において、
前記供給通路の周壁のうち前記混合室の近傍部分に開口する導入通路を有し、前記供給通路に残存する前記第1の材料を同供給通路の基端側に移動させて排出する排出処理に際して前記導入通路を開放させるとともに前記供給通路の基端側部分における圧力に比べて前記導入通路の圧力を高くする圧力調節機構とを備える
ことを特徴とする樹脂材料生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂材料生成装置において、
前記圧力調節機構は、前記供給通路に残存する前記第1の材料を同供給通路の基端側から吸引する吸引装置と、前記導入通路に設けられて前記導入通路側から前記供給通路側への流体の流入を許容するとともに前記供給通路側から前記導入通路側への流体の流出を規制する逆止弁とを備える
ことを特徴とする樹脂材料生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の樹脂材料生成装置において、
前記圧力調節機構は、前記導入通路を通じて前記供給通路に流体を圧送するためのポンプを備える
ことを特徴とする樹脂材料生成装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂材料生成装置において、
前記供給通路は、前記樹脂材料生成装置本体に対して着脱可能に取り付けられる供給ノズルの内部に形成された内部通路と、前記混合室と共に樹脂材料生成装置本体に形成されて前記混合室側開口部と前記内部通路とを連通する連通路とを含み、前記導入通路は前記連通路に接続されてなる
ことを特徴とする樹脂材料生成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の樹脂材料生成装置において、
前記内部通路は、同内部通路の先端部には他の部分と比較して通路断面積を小さくした絞りが形成されてなる
ことを特徴とする樹脂材料生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−73104(P2009−73104A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245616(P2007−245616)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】