説明

樹脂架橋剤およびその架橋剤を用いた架橋ゴム

【課題】
本発明の目的は、樹脂架橋剤の本来有する性能を損なうことなく、ゴムへの分散性、およびゴムの架橋性能が従来の使用法品よりも優れた向上する樹脂架橋剤を提供する事である。
【解決手段】
アルキルフェノール樹脂を1〜65重量%とオイルおよび/または可塑剤35〜99重量%からなる割合で配合し、液状またはペースト状とする事で、本発明の目的が達成できる事を見い出した。 さらに、樹脂架橋剤が液状、あるいはペースト状となる事で、TPVの動的架橋を行う場合、ホッパーからの投入以外に、押出途中でサイドフィードする事ができるようになり、架橋剤のフィードのタイミングの調整が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルキルフェノール樹脂からなるゴムの樹脂架橋剤およびその架橋剤を用いた架橋ゴムに関するものであり、更に詳しくはオイルおよび/または可塑剤にアルキルフェノール樹脂を特定の割合で配合させた樹脂架橋剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂架橋剤には従来からフレーク状または粒子状のアルキルフェノール樹脂が用いられているが、ゴムへの分散性が悪いことが知られている。特に、熱可塑性架橋エラストマー(TPV)の動的架橋剤として用いる場合は、分散性の悪さから、TPV表面にブツが生じる等の外観不良を引き起こすことが知られている。樹脂架橋剤をゴムに充分分散させる為には、樹脂の軟化点以上の温度で混練するのが好ましいが、混練温度が120℃以上となるとゴムの架橋反応が開始しだし、均一なゴム組成物が得られなくなる。このため樹脂架橋剤は軟化点が115℃以下のものが一般的に用いられている。
【0003】
樹脂架橋剤を微粉末状にして用いるか、樹脂架橋剤の軟化点を低くすると分散性が改良されることが知られているが、微粉化したり、軟化点を下げると、保管中に樹脂同士の互着(ブロッキング)が生じて実使用に耐えられない。 一方、樹脂架橋剤の計量、ゴムとの混練作業工程での粉塵防止と、樹脂架橋剤のゴムへの分散性を向上させる方法として、樹脂架橋剤とゴムとのマスターバッチを作成する方法が開示されているが、マスターバッチ化するとコストアップとなり、またマスターバッチに用いたゴムの種類によって用途が限定される欠点を有している。(特許文献1)
【0004】
【特許文献1】特開平7-173202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、樹脂架橋剤の本来有する性能を損なうことなく、ゴムへの分散性、およびゴムの架橋性能が従来の使用法品よりも優れた樹脂架橋剤を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは課題解決に向けて鋭意検討した結果、アルキルフェノール樹脂とオイルおよび/または可塑剤を特定の割合で配合し、液状またはペースト状とする事で、本発明の目的が達成できる事を見出した。
【0007】
また、樹脂架橋剤が液状、あるいはペースト状となる事で、TPVの動的架橋を行う場合、ホッパーからの投入以外に、押出途中でサイドフィードする事ができるようになり、架橋剤のフィードのタイミングを調整できるようになる事を見出した。
【0008】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の樹脂架橋剤は硫黄架橋可能な全てのゴムに適用可能であり、具体的ゴムとしては、天然ゴム、SBR、イソプレンゴム、NBR、ブチルゴム、EPDM、CR等が挙げられる。
【0009】
本発明に用いられるアルキルフェノール樹脂の具体的な化合物としては、A:炭素数1〜18のアルキル基を有するフェノール類とホルムアルデヒド類との縮合によって得られるアルキルフェノール樹脂、B:炭素数1〜18のアルキル基を有するフェノール類とホルムアルデヒド類との縮合樹脂を臭素化したアルキルフェノール樹脂、C:炭素数1〜18のアルキル基を有するフェノール類と塩化硫黄との縮合によって得られるアルキルフェノール樹脂等が挙げられる。前記A〜CのうちAとしては、例えば、タッキロール201(田岡化学工業社製)、ヒタノール2501(日立化成工業社製)等が挙げられ、Bとしては、例えば、タッキロール250−I(田岡化学工業社製)等が挙げられ、Cとしては、例えば、タッキロールAP、タッキロールV200(田岡化学工業社製)等が挙げられる。
【0010】
ここで、アルキルフェノール樹脂の原料となる炭素数1〜18のアルキル基を有するフェノール類としては、具体的には例えば、p−クレゾール、p−t−ブチルフェノール、アミルフェノール、p−t−オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール等を挙げる事ができる。これらのうちでも、特にp−t−ブチルフェノール、アミルフェノール、p−t−オクチルフェノールが好適に用いられる。
【0011】
本発明の樹脂架橋剤中のアルキルフェノール樹脂含有量は、1〜65重量%であり、2〜50重量%が好ましい範囲である。該樹脂架橋剤の含有量が1重量%未満であれば大量のオイル又は可塑剤を配合する事になり、架橋ゴムの著しい軟化や、架橋ゴムからのオイル又は可塑剤のブリードを生じて好ましくない。65重量%を超えると、本発明の樹脂架橋剤は室温で粘着性の高い固形物となり、配合を行う場合に取り扱いが困難となるため好ましくない。
【0012】
本発明に使用されるオイルは、特に限定はないが、アルキルフェノール樹脂及びゴムの両方に相溶性の良いものが好ましい。
【0013】
本発明に使用されるパラフィン系オイルの具体的な商品名としては例えば、ダイアナプロセスオイルPW−32,PW−90,PW−100、PW−150,PW−380,PS−32,PS−90,PS−430,PX−32,PX−90(以上、出光興産社製)、スタノール40,43N,52,69,149,LP40,LP69,フレクソン845(以上、エッソ石油社製)、シンタックPA−95,PA−100,PA−140(以上、神戸油化学工業社製)、コスモプロセス10,40,40C(以上、コスモ石油社製)、ルブフレックス26,100,400(以上、シェルジャパン社製)、共石プロセスP−200,P−300,P−500(以上、日鉱共石社製)、サンパー(Sunper)110,115,120,130,150,180,2100,2210,2280(以上、日本サンオイル社製)、フッコールP−200,P−400,P−500(以上、富士興産社製)、三菱10,三菱12(以上、三菱製油社製)などが挙げられる。
【0014】
また、本発明に使用されるナフテン系オイルの具体的な商品名としては例えば、ダイアナプロセスオイルNS−24,NS−100,NM−26,NM−68,NM−150,NM−280,NP−24,NU−80,NF−90(以上、出光興産社製)、エッソプロセスオイル725,765(以上、エッソ石油社製)、シンタックN−40,N−60,N−70,N−75,N−85(以上、神戸油化学工業社製)、シェルフレックス371JY,371N,451,N−40,22,22R,32R,100R,100S,100SA,220RS,220S,260,320R,680(以上、シェルジャパン社製)、共石プロセスR−50,R−200,R−1000(日鉱共石社製)、サンセン(Sunthene)310,380,410,415,420,430,450,480,3215,4130,4240,Ciro Light R.P.O. (以上、日本サンオイル社製)、コウモレックス2号、コウモレックスF22、(日本石油社製)、フッコール1150N,1400N(以上、富士興産社製)、三菱20(三菱石油社製)、ナプレックス32,38(以上、モービル石油社製)、ペトレックスPN−3(山文油化社製)などが挙げられる。
【0015】
ゴム成分として、SBR、NBR等、極性ゴムを使用する場合のオイルとしては、ナフテン系オイルが好ましく、ゴム成分として、IIR、EPDM、NR等、非極性ゴムを使用する場合のオイルとしては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル等が好ましい。芳香族系オイルは、IIR、EPDM等の一部ゴムに対して相溶性が悪い事と、近年環境に対する影響が問題視されている事から好ましくない。
【0016】
本発明における可塑剤は、特に限定はないが、アルキルフェノール・ホルムアルデヒド共縮合樹脂及びゴムの両方に相溶性の良いものが好ましい。
可塑剤として具体的には、脂肪族カルボン酸誘導体、芳香族カルボン酸誘導体、リン酸誘導体等が挙げられ、脂肪族カルボン酸誘導体としては、脂肪族モノカルボン酸エステル、脂肪族ジカルボン酸エステル、脂肪族トリカルボン酸エステルおよびそれらの誘導体等が挙げられる。芳香族カルボン酸誘導体としては、芳香族ジカルボン酸エステル、芳香族トリカルボン酸エステル、芳香族テトラカルボン酸エステルおよびそれらの誘導体等が挙げられる。リン酸誘導体としてはリン酸エステル等が挙げられる。
上記可塑剤のうち、式(1)〜(3)
【化1】

(Rは置換基を有していてもよい炭素数4〜10の脂肪族基、Rは炭素数1〜3のアルキレン基、R3は炭素数4〜13のアルキル基であり、xは、0〜9の整数を表わし、かつ4≦(Rの炭素数)×X+(R3の炭素数)≦13である。mは1〜3の整数を表し、R2、R3及びxの組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。)
【化2】

(R4は置換基を有していてもよいベンゼン骨格1個を有する芳香族基であり、R、R3、xは前記と同じ意味を表わし、かつ4≦(Rの炭素数)×X+(R3の炭素数)≦13である。nは2〜4の整数を表し、 R2、R3及びxの組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。)
【化3】

(R、R3、xは前記と同じ意味を表わし、かつ4≦(Rの炭素数)×X+(R3の炭素数)≦13である。R2、R3及びxの組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が含まれることが好ましい。
【0017】
式(1)で表わされる化合物としては、例えば、2−エチルヘキシルオレート、ブトキシエチルオレート等の脂肪族モノカルボン酸エステルおよびその誘導体、ジイソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジイソトリデシルアジペート、ジメチルアゼレート、ジイソブチルアゼレート、ジブチルアゼレート、ジ(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソデシルアゼレート、ジイソトリデシルアゼレート、ジメチルセバケート、ジイソブチルセバケート、ジブチルセバケート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジイソデシルセバケート、ジイソトリデシルセバケート、ジブトキシエトキシエチルアジペート等の脂肪族ジカルボン酸エステルおよびその誘導体、アセチルトリブチルシトレート等の脂肪族トリカルボン酸エステルおよびその誘導体が挙げられる。
【0018】
式(2)で表わされる化合物としては、例えば、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソトリデシルフタレート等の芳香族ジカルボン酸エステルおよびその誘導体、トリ(2−エチルヘキシル)トリメリテート等の芳香族トリカルボン酸エステルおよびその誘導体、テトラ(2−エチルヘキシル)ピロメリテート等の芳香族テトラカルボン酸エステルおよびその誘導体が挙げられる。
【0019】
式(3)で表わされる化合物としては、例えば、トリブチルフォスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)フォスフェート、トリ(ブトキシエチル)フォスフェート、2−エチルヘキシル−ジフェニルフォスフェート等のリン酸エステルが挙げられ、式(1)〜(3)で表わされる化合物の中でもジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ(2−エチルヘキシル)セバケート、ジブトキシエトキシエチルアジペートがより好ましく、ジ(2−エチルヘキシル)セバケートが更に好ましく、オイルおよび可塑剤のうちから2種以上を組み合わせて使用してもよい。

【0020】
本発明の樹脂架橋剤は、アルキルフェノール樹脂とオイルおよび/または可塑剤とを通常の方法で加熱攪拌して均一な溶液もしくはペースト状の混合物とすることにより得ることができ、アルキルフェノール樹脂、オイルおよび可塑剤の種類や量によっても異なるが、例えば、80〜120℃の温度下で所定時間攪拌することにより得ることができる。
【0021】
本発明の樹脂架橋剤は、薬栓、ブラダー、コンデンサーパッキン、タイヤチューブ、インナーライナー、ホース、チューブ、ガスケット、ウエザーストリップ、自動車内装材、家電部品、等に使用されるゴム製品、TPE製品を架橋する際に好適に使用される。
【0022】
本発明の架橋ゴム又はTPVの製造方法としては、従来より公知の製造方法が適用でき、本発明の樹脂架橋剤とゴムおよびその他の原料との配合は、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、二軸押出機等を用いることができる。 そして成形は、プレス成形、射出成形、押出成形などの方法を用いることができる。
【0023】
本発明の架橋ゴムにおいて樹脂架橋剤の使用量に特に制限は無いが、ゴム100重量部に対して、1〜150重量部、好ましくは5〜50重量部使用される。
【0024】
、本発明の樹脂架橋剤を用いて架橋ゴムを製造する際の架橋温度は、従来の樹脂架橋剤と同じ温度領域が適用可能である。ゴムの種類等により適切な温度は異なるが、通常、120〜250℃において行われる。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、ゴムへの分散性、樹脂架橋剤の保管、ゴムの架橋性能共に、従来品よりも優れた樹脂架橋剤が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の詳細を、実施例と比較例により具体的に説明する。本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例中部および%は特記しない限り重量基準である。
【0027】
下記の方法により樹脂架橋剤の評価をおこなった。
「オシレーティング・レオメータによる架橋特性の測定」
(株)東洋精機製作所製ロータレスレオメータ使用。
測定温度160℃、振幅角度3°で測定。
【実施例1】
【0028】
加熱および冷却設備を備えた3リットルの反応容器に、タッキロール250−I(田岡化学工業社製:臭素化アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂)30重量%とダイアナプロセスオイルPW−100(出光興産社製:パラフィン系オイル)70重量%を仕込み、100〜120℃に保温しながら30分攪拌し、25℃で均一な溶液状の樹脂架橋剤Aを得た。
表1に記載の配合処方を、東洋精機ラボプラストミル(チャンバー容量600cc)を用いて、ポリサー・ブチル402(ポリサー社製:ブチルゴム)(100重量部)、HAFカーボン(50重量部)、ステアリン酸(1重量部)、亜鉛華(5重量部)を通常の方法で混練りし、得られたゴムコンパウンドに樹脂架橋剤A(20重量部)を6インチ試験用ロールを用いて、ロール温度40℃にて混練りした。得られたゴム配合物のオシレーティング・レオメータによる架橋特性を160℃、60分の条件下に測定し、表2に記載した。
【0029】
(比較例1)
ダイアナプロセスオイルPW−100(14重量部)をラボプラストミルを用いて混練し、樹脂架橋剤Aをタッキロール250−I(6重量部)に変更する以外は実施例1と同様にして得られたゴム配合物のオシレーティング・レオメータによる架橋特性を、実施例1と同様にして測定した結果を表2に示した。
【実施例2】
【0030】
加熱および冷却設備を備えた3リットルの反応容器に、タッキロール201(田岡化学工業社製:アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂)60重量%とコウモレックスF22(日本石油社製:ナフテン系オイル)40重量%を仕込み、100〜120℃に保温しながら30分攪拌し、25℃で均一な溶液状の樹脂架橋剤Bを得た。
表3に記載の配合処方を、東洋精機ラボプラストミル(チャンバー容量600cc)を用いて、ポリサー・ブチル402(ポリサー社製:ブチルゴム)(100重量部)、HAFカーボン(50重量部)、ステアリン酸(1重量部)、亜鉛華(5重量部)を通常の方法で混練りし、得られたゴムコンパウンドに樹脂架橋剤B(20重量部)を6インチ試験用ロールを用いて、ロール温度40℃にて混練りした。得られたゴム配合物のオシレーティング・レオメータによる架橋特性を160℃、60分の条件下に測定し、表4に記載した。
【0031】
(比較例2)
コウモレックスF22(6重量部)をラボプラストミルを用いて混練し、樹脂架橋剤Bをタッキロール201(12重量部)に変更する以外は実施例2と同様にして得られたゴム配合物のオシレーティング・レオメータによる架橋特性を、実施例2と同様にして測定した結果を表4に示した。
【実施例3】
【0032】
加熱および冷却設備を備えた3リットルの反応容器に、タッキロールV200(田岡化学工業社製:アルキルフェノール・塩化硫黄樹脂)60重量%とジブチルセバケート(脂肪族ジカルボン酸エステル系可塑剤)40重量%を仕込み、100〜120℃に保温しながら30分攪拌し、25℃で均一な溶液状の樹脂架橋剤Cを得た。
表5に記載の配合処方を、東洋精機ラボプラストミル(チャンバー容量600cc)を用いて、ポリサー・ブチル402(ポリサー社製:ブチルゴム)(100重量部)、HAFカーボン(50重量部)、ステアリン酸(1重量部)、亜鉛華(5重量部)を通常の方法で混練りし、得られたゴムコンパウンドに樹脂架橋剤C(20重量部)を6インチ試験用ロールを用いて、ロール温度40℃にて混練りした。得られたゴム配合物のオシレーティング・レオメータによる架橋特性を160℃、60分の条件下に測定し、表6に記載した。
【0033】
(比較例3)
ジブチルセバケート(8重量部)をラボプラストミルを用いて混練し、樹脂架橋剤CをタッキロールV200(12重量部)に変更する以外は実施例3と同様にして得られたゴム配合物のオシレーティング・レオメータによる架橋特性を、実施例3と同様にして測定した結果を表6に示した。
【実施例4】
【0034】
加熱および冷却設備を備えた3リットルの反応容器に、タッキロール250−I(40重量%)とトリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(リン酸エステル系可塑剤)60重量%を仕込み、100〜120℃に保温しながら30分攪拌し、25℃で均一な溶液状の樹脂架橋剤Dを得た。
表7に記載の配合処方を、東洋精機ラボプラストミル(チャンバー容量600cc)を用いて、ポリサー・ブチル402(ポリサー社製:ブチルゴム)(100重量部)、HAFカーボン(50重量部)、ステアリン酸(1重量部)、亜鉛華(5重量部)を通常の方法で混練りし、得られたゴムコンパウンドに樹脂架橋剤D(20重量部)を6インチ試験用ロールを用いて、ロール温度40℃にて混練りした。得られたゴム配合物のオシレーティング・レオメータによる架橋特性を160℃、60分の条件下に測定し、表に記載した。
【0035】
(比較例4)
トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(9重量部)をラボプラストミルを用いて混練し、樹脂架橋剤Dをタッキロール250−I(6重量部)に変更する以外は実施例4と同様にして得られたゴム配合物のオシレーティング・レオメータによる架橋特性を、実施例4と同様にして測定した結果を表8に示した。
【実施例5】
【0036】
加熱および冷却設備を備えた3リットルの反応容器に、タッキロール250−I40重量%とジ(2−エチルヘキシル)フタレート(芳香族ジカルボン酸エステル系可塑剤)60重量%を仕込み、100〜120℃に保温しながら30分攪拌し、25℃で均一な溶液状の樹脂架橋剤Eを得た。
表9に記載の配合処方を、東洋精機ラボプラストミル(チャンバー容量600cc)を用いて、ポリサー・ブチル402(ポリサー社製:ブチルゴム)(100重量部)、HAFカーボン(50重量部)、ステアリン酸(1重量部)、亜鉛華(5重量部)を通常の方法で混練りし、得られたゴムコンパウンドに樹脂架橋剤E(20重量部)を6インチ試験用ロールを用いて、ロール温度40℃にて混練りした。得られたゴム配合物のオシレーティング・レオメータによる架橋特性を160℃、60分の条件下に測定し、表10に記載した。
【0037】
(比較例5)
ジ(2−エチルヘキシル)フタレート(9重量部)をラボプラストミルを用いて混練し、樹脂架橋剤Eをタッキロール250−I(6重量部)に変更する以外は実施例5と同様にして得られたゴム配合物のオシレーティング・レオメータによる架橋特性を、実施例5と同様にして測定した結果を表10に示した。
【0038】
表1、3,5,7および9において( )内の数値はゴム用樹脂加硫剤中に含有する各成分のブチルゴム100重量部に対する量(重量部)を示す。
表2、4,6,8および10において、T(10)、T(90)、MLおよびMHは以下の測定値を示す。

T(10):加硫曲線から求められた、トルクの最大値と最小値との差の10%に達するまでの時間(分)
T(90):加硫曲線から求められた、トルクの最大値と最小値との差の90%に達するまでの時間(分)

ML :加硫曲線から求められた、トルクの最小値(kg・cm)
MH :加硫曲線から求められた、トルクの最大値(kg・cm)
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
【表3】

【0042】
【表4】













【0043】
【表5】

【0044】
【表6】














【0045】
【表7】

【0046】
【表8】













【0047】
【表9】

【0048】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルフェノール樹脂を1〜65重量%とオイルおよび/または可塑剤35〜99重量%からなる事を特徴とする樹脂架橋剤。
【請求項2】
アルキルフェノール樹脂が、以下のA〜Cのいずれかである請求項1に記載の樹脂架橋剤。
A:炭素数1〜18のアルキル基を有するフェノール類とホルムアルデヒド類との縮合によって得られるアルキルフェノール樹脂
B:炭素数1〜18のアルキル基を有するフェノール類とホルムアルデヒド類との縮合樹脂を臭素化したアルキルフェノール樹脂
C:炭素数1〜18のアルキル基を有するフェノール類と塩化硫黄との縮合によって得られるアルキルフェノール樹脂
【請求項3】
炭素数1〜18のアルキル基を有するフェノール類が、p−クレゾール、p−t−ブチルフェノール、アミルフェノール、ノニルフェノール、p−t−オクチルフェノールから選ばれる請求項2のいずれかに記載の樹脂架橋剤。
【請求項4】
オイルまたは可塑剤が、ナフテン系オイル類あるいはパラフィン系オイル類あるいは式(1)〜(3)で表される可塑剤である請求項1〜3いずれかに記載の樹脂架橋剤。
【化1】

(Rは置換基を有していてもよい炭素数4〜10の脂肪族基、Rは炭素数1〜3のアルキレン基、R3は炭素数4〜13のアルキル基であり、xは、0〜9の整数を表わし、かつ4≦(Rの炭素数)×X+(R3の炭素数)≦13である。mは1〜3の整数を表し、R2、R3及びxの組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。)
【化2】

(R4は置換基を有していてもよいベンゼン骨格1個を有する芳香族基であり、R、R3、xは前記と同じ意味を表わし、かつ4≦(Rの炭素数)×X+(R3の炭素数)≦13である。nは2〜4の整数を表し、R2、R3及びxの組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。)
【化3】

(R、R3、xは前記と同じ意味を表わし、かつ4≦(Rの炭素数)×X+(R3の炭素数)≦13である。R2、R3及びxの組み合わせは、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項5】
請求項1〜4に示される樹脂架橋剤を用いた架橋ゴム。

【公開番号】特開2007−204617(P2007−204617A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25510(P2006−25510)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000216243)田岡化学工業株式会社 (115)
【Fターム(参考)】