説明

樹脂添加剤及びこれを含む樹脂組成物

【課題】 高機械特性を有するとともに、加熱による変色を改善することのできる樹脂添加剤、及びこれを配合した樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 下記(A)及び(B)の成分から誘導されるメソポーラスシリカからなることを特徴とする樹脂添加剤。
(A)ノニオン界面活性剤
(B)下記一般式(1)で表される水溶性シリケートモノマー
Si−(OR (1)
(式中、Rは多価アルコール残基である。)
上記樹脂添加剤と、樹脂とを含むことを特徴とする樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂添加剤及びこれを含む樹脂組成物、特に高機械特性を有する樹脂組成物における加熱による変色の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会においては、様々な樹脂が、化粧品の容器を含む様々な生活消費財の材料として使用されている。特に、地球的規模での環境問題を考慮し、近年では、生活消費財の材料として、自然環境の中で分解し得る樹脂である生分解性樹脂を利用することが、注目されている。このような生分解性樹脂は、加水分解、微生物又は酵素によって、最終的には、水及び二酸化炭素に分解されるため、生物濃縮及び環境ホルモン効果等を生じさせず、環境を汚染しない点で優れている。
【0003】
しかしながら、一般に、樹脂のみを成形して得られる樹脂成形体の機械特性は不十分であるため、強度を要求される部位には使用することが困難であった。また、生分解性樹脂の生分解速度も、必ずしも早いものとは言い難かった。
【0004】
このような問題に対して、従来、樹脂の成形体の機械特性を向上させる目的で、また、樹脂の生分解速度を高める目的で、粘土鉱物の陽イオンを有機イオンでイオン交換して得られる有機変性粘土鉱物が添加剤として用いられている。ここで、多くの場合、粘土鉱物をイオン交換する有機イオンとしては、有機オニウムイオンが用いられる。
【0005】
例えば、機械特性に優れた生分解性ポリエステル材料として、乳酸を主たる繰り返し単位とするポリエステル及び膨潤性層状ケイ酸塩からなる生分解性の高機械特性材料が開示されている(特許文献1参照。)。ここで、膨潤性層状ケイ酸塩は、例えば、四つの互いに独立な、炭素数1〜30のアルキル基又はアルキレンオキシ基が窒素原子に結合している第四級アンモニウムイオンのような有機オニウムイオンで処理されたケイ酸塩である。
【0006】
また、生分解性樹脂の成形体の剛性を十分高く維持すると共に生分解速度を高める生分解性樹脂組成物として、生分解性樹脂と、生分解性樹脂中に分散されている有機化剤により有機化された層状粘土鉱物とを含み、有機化された層状粘土鉱物の平均粒径が1μm以下である生分解性樹脂組成物も開示されている(特許文献2参照。)。ここで、有機化剤は、第一級、第二級、第三級、又は第四級アンモニウムイオンを含む有機アンモニウム化合物、有機ホスホニウム化合物、有機ピリジニウム化合物、及び有機スルホニウム化合物のような有機オニウム化合物である。
【特許文献1】特開2002−338796号公報
【特許文献2】特開2001−89646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、以上のように有機オニウムイオンで処理して得られる有機変性粘土鉱物を樹脂に添加した樹脂組成物は、耐熱性が不十分である。すなわち、樹脂組成物を成形するために加熱すると、樹脂の種類に関らず、樹脂組成物の色が黄色に変色してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて行なわれたものであり、その目的は、高機械特性を有するとともに、加熱による変色を改善することのできる樹脂添加剤、及びこれを配合した樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが、上記従来技術の課題を解決するために鋭意研究を行なったところ、ノニオン界面活性剤と、多価アルコールを置換した水溶性シリケートモノマーとから誘導されるメソポーラスシリカを添加剤として用いた樹脂組成物が、高機械特性を有するとともに、加熱による変色が著しく改善されていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明にかかる樹脂添加剤は、下記(A)および(B)の成分から誘導されるメソポーラスシリカからなることを特徴とするものである。
(A)ノニオン界面活性剤
(B)下記一般式(1)で表される水溶性シリケートモノマー
Si−(OR (1)
(式中、Rは多価アルコール残基である。)
【0011】
また、本発明にかかる樹脂添加剤は、上記(A)及び(B)の成分から誘導されるメソポーラスシリカ複合体からなることを特徴とするものである。
また、本発明にかかる樹脂添加剤は、上記(A)及び(B)の成分から誘導されることを特徴とするメソポーラスシリカ外殻からなることを特徴とするものである。
【0012】
また、前記樹脂添加剤において、(B)水溶性シリケートモノマーのRがエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、グリセリン残基、あるいはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンの縮合物の残基のいずれかであることが好適である。
【0013】
また、本発明にかかる樹脂組成物は、前記樹脂添加剤と、樹脂とを含むことを特徴とするものである。また、前記樹脂組成物において、前記樹脂が生分解性樹脂であることが好適である。また、前記樹脂組成物において、前記生分解性樹脂がポリ乳酸であることが好適である。
また、本発明にかかる樹脂成形体は、前記樹脂組成物を用いて成形されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる樹脂添加剤を用いることによって、高機械特性を有するとともに、加熱による変色の改善された樹脂組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明にかかる樹脂添加剤は、下記(A)および(B)の成分から誘導されるメソポーラスシリカ、メソポーラスシリカ複合体、又はメソポーラスシリカ外殻からなることを特徴とするものである。
(A)ノニオン界面活性剤
(B)下記一般式(1)で表される水溶性シリケートモノマー
Si−(OR (1)
(式中、Rは多価アルコール残基である。)
【0016】
本発明において用いられる(A)のノニオン界面活性剤は、特に制限されるものではなく、以下に例示する各種のノニオン界面活性剤を使用することができる。代表的なものとしてはポリオキシエチレン型ノニオン界面活性剤、ポリグリセリン型ノニオン界面活性剤、糖エステル型ノニオン界面活性剤等が挙げられ、また、これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
【0017】
より具体的には、例えば、POEアルキルエーテル、POEアルキルフェニルエーテル、POE・POPアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEヒマシ油又は硬化ヒマシ油誘導体、POE蜜ロウ・ラノリン誘導体、アルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。これらは一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。なお、「POE」はポリオキシエチレン、「POP」はポリオキシプロピレンを意味し、以下このように記載することがある。
【0018】
なお、POE型ノニオン界面活性剤において、そのアルキル基は、炭素原子数6〜22の飽和又は不飽和脂肪酸のアルキル基であり、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の単一組成の脂肪酸が挙げられ、この他にヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸あるいは合成により得られる脂肪酸(分岐脂肪酸を含む)によるアルキル基であってもよい。また、アルキル基としては水素を任意の割合でフッ素に置換したフルオロアルキル基であってもよい。POE型ノニオン界面活性剤において、そのPOEの縮合数は、1〜50の範囲、より好ましくは5〜20の範囲のものが用いられる。
【0019】
また、本発明に用いられる(B)の水溶性シリケートモノマーは、上記一般式(1)に示されるものである。上記一般式(1)に示される水溶性シリケートモノマーにおいて、Rは多価アルコールの残基であり、多価アルコールにおける1つの水酸基が除かれた形として示される。なお、前記水溶性シリケートモノマーは、通常、テトラアルコキシシランと多価アルコールとの置換反応により調製することができ、Rは、使用する多価アルコールの種類によって異なるが、例えば、多価アルコールとしてエチレングリコールを用いた場合、Rは−CH−CH−OHとなる。
【0020】
上記一般式(1)におけるRとしては、例えば、エチレングリコール残基、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、テトラエチレングリコール残基、ポリエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ジプロピレングリコール残基、ポリプロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、ヘキシレングリコール残基、グリセリン残基、ジグリセリン残基、ポリグリセリン残基、ネオペンチルグリコール残基、トリメチロールプロパン残基、ペンタエリスリトール残基、マルチトール残基等が挙げられる。これらのうち、外用剤としての使用感触の点から、Rがエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、グリセリン残基のいずれかであることが好ましい。
【0021】
本発明に用いられる(B)の水溶性シリケートモノマーとしては、より具体的には、Si−(O−CH−CH−OH)、Si−(O−CH−CH−CH−OH)、Si−(O−CH−CH−CHOH−CH、Si−(O−CH−CHOH−CH−OH)等が挙げられる。
【0022】
本発明に用いられる(B)の水溶性シリケートモノマーは、例えば、テトラアルコキシシランと多価アルコールとを、固体触媒の共存下で反応させることにより調製することができる。
【0023】
テトラアルコキシシランは、ケイ素原子に4つのアルコキシ基が結合したものであればよく、特に限定されるものではない。水溶性シリケートモノマーの製造に用いるテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。これらのうち、入手のし易さ、及び反応副生成物の安全性の点から、テトラエトキシシランを用いるのが最も好ましい。
【0024】
なお、テトラアルコキシシランの代替化合物として、モノ、ジ、トリハロゲン化アルコキシシラン、例えばモノクロロトリエトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、モノブロモトリエトキシシラン等、あるいはテトラハロゲン化シラン、例えばテトラクロロシラン等を用いる事も考えられるが、これらの化合物は、多価アルコールとの反応において、塩化水素、臭化水素などの強酸を生成するため、反応装置の腐食が生じたり、さらには反応後の分離除去が困難であるため、実用的であるとは言い難い。
【0025】
多価アルコールは、分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。水溶性シリケートモノマーの製造に用いる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マルチトール等が挙げられる。これらのうち、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンのいずれかを用いるのが好ましい。
【0026】
固体触媒は、用いられる原料成分、反応溶媒、及び反応生成物に対して不溶な固体状の触媒であり、ケイ素原子上の置換基交換反応に対して活性を有する酸点及び/又は塩基点を有する固体であればよい。本発明に用いられる固体触媒としては、例えば、イオン交換樹脂、及び各種無機固体酸/塩基触媒が挙げられる。
【0027】
固体触媒として用いられるイオン交換樹脂としては、例えば、酸性陽イオン交換樹脂及び塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。これらのイオン交換樹脂の基体をなす樹脂としてはスチレン系、アクリル系、メタクリル系樹脂等が挙げられ、また、触媒活性を示す官能基としてはスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、4級アンモニウム、3級アミン、1,2級ポリアミン等が挙げられる。また、イオン交換樹脂の基体構造としては、ゲル型、ポーラス型、バイポーラス型等から、目的に応じて選択することができる。
【0028】
酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライト IRC76、FPC3500、IRC748、IRB120B Na、IR124 Na、200CT Na(以上、ロームアンドハース社製)、ダイヤイオン SK1B、PK208(以上、三菱化学社製)、Dow EX モノスフィア650C、マラソンC、HCR−S、マラソンMSC(以上、ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。また、塩基性陰イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライト IRA400J CL、IRA402BL CL、IRA410J CL、IRA411 CL、IRA458RF CL、IRA900J CL、IRA910CT CL、IRA67、IRA96SB(以上、ロームアンドハース社製)、ダイヤイオン SA10A、SAF11AL、SAF12A、PAF308L(以上、三菱化学社製)、Dow EX モノスフィア550A、マラソンA、マラソンA2、マラソンMSA(以上、ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
【0029】
固体触媒として用いられる無機固体酸/塩基触媒としては、特に限定されるものではない。無機固体酸触媒としては、Al、SiO、ZrO、TiO、ZnO、MgO、Cr等の単元系金属酸化物、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−ZrO、TiO−ZrO、ZnO−Al、Cr−AlO3、SiO−MgO、ZnO−SiO等の複合系金属酸化物、NiSO、FeSO等の金属硫酸塩、FePO等の金属リン酸塩、HSO/SiO等の固定化硫酸、HPO/SiO等の固定化リン酸、HBO/SiO等の固定化ホウ酸、活性白土、ゼオライト、カオリン、モンモリロナイト等の天然鉱物又は層状化合物、AlPO−ゼオライト等の合成ゼオライト、HPW1240・5HO、HPW1240等のヘテロポリ酸等が挙げられる。また、無機固体塩基触媒としては、NaO、KO、RbO、CsO、MgO、CaO、SrO、BaO、La、ZrO、ThO等の単元系金属酸化物、NaCO、KCO、KHCO、KNaCO、CaCO、SrCO、BaCO、(NHCO、NaWO・2HO、KCN等の金属塩、Na−Al、K−SiO等のアルカリ金属担持金属酸化物、Na−モルデナイト等のアルカリ金属担持ゼオライト、SiO−MgO、SiO−CaO、SiO−SrO、SiO−ZnO、SiO−Al、SiO−ThO、SiO−TiO、SiO−ZrO、SiO−MoO、SiO−WO、Al−MgO、Al−ThO、Al−TiO、Al−ZrO、ZrO−ZnO、ZrO−TiO、TiO−MgO、ZrO−SnO等の複合系金属酸化物等が挙げられる。
【0030】
固体触媒は、反応終了後にろ過あるいはデカンテーション等の処理を行なうことによって、容易に生成物と分離することができる。
【0031】
また、水溶性シリケートモノマーの製造において、反応の際の温度条件は特に限定されるものではないが、5〜90℃の温度条件下で行なうことが好ましい。90℃を超える温度条件下で反応を行なう場合、反応装置の耐久性等の実使用上の問題があり、さらに反応溶媒として高沸点溶媒を用いる必要があり、溶媒の完全な分離除去が困難となる。また、本発明の製造方法においては、常温条件下、すなわち5〜35℃の温度条件下で反応を行なうことがより好適である。ここで、常温条件下で反応を行なう場合には、多価アルコールとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールのいずれかを用いることが好ましい。その他の多価アルコール、例えば、グリセリンを用いた場合には、常温条件下では反応生成物を生じない場合がある。
【0032】
なお、水溶性シリケートモノマーの製造においては、反応時に溶媒を用いなくてもよいが、必要に応じて各種溶媒を用いても構わない。反応に用いる溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、セロソルブ、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエステル、エーテル、ケトン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒、さらにはクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。ここで、原料として用いるテトラアルコキシシランの加水分解縮合反応を抑制するため、溶媒は予め脱水しておくことが好ましい。また、これらのうちで、反応時に副生成するエタノール等のアルコールと共沸混合物を形成して系外へと除去することで反応を促進することのできるアセトニトリル、トルエン等を用いることが好ましい。
【0033】
本発明にかかる樹脂添加剤として用いられるメソポーラスシリカ、メソポーラスシリカ複合体、又はメソポーラスシリカ外殻は、上記成分(A)および(B)により誘導されるものである。以下、これらの製造方法について説明する。
【0034】
本発明においては、最初に、上記成分(A)および(B)を用いてメソポーラスシリカ複合体の製造を行う。メソポーラスシリカ複合体の製造方法としては、通常の成分(A)および(B)の溶媒中での混合法を用いることができる。この方法では、通常、成分(A)を溶媒に溶解したものに成分(B)を混合した後、一定時間所定の温度において静置ないし攪拌することによりメソポーラスシリカ複合体が製造される。
【0035】
メソポーラスシリカ複合体の製造に使用される溶媒としては、通常、水またはこれと相溶性のある有機溶媒と水との混合物を含む溶媒を使用することができ、成分(A)のノニオン界面活性剤の自己組織体生成を促進する観点で、好ましくは水単独、又はノニオン界面活性剤の溶解性向上のための各種アルコール類との混合溶媒であり、より好ましくは水単独、水−エタノールまたは水−メタノールの混合溶媒である。
【0036】
メソポーラスシリカ複合体製造の際の温度条件は特に制限されるものではないが、通常、室温から使用する溶媒の沸騰温度の範囲で行われるが、混合及び反応促進の観点から、好ましくは成分(A)のノニオン界面活性剤が会合体を安定に生成する温度範囲で製造される。使用する(A)のノニオン界面活性剤が、その水和物の融点に相当するクラフト温度、あるいはノニオン界面活性剤ミセルの可溶化限界温度である曇点を示す場合は、クラフト温度以上で曇点以下の温度が好ましい。
【0037】
メソポーラスシリカ複合体製造の際の反応時間は、通常、1分〜168時間の範囲で行われ、シリケートモノマーの加水分解、縮重合の観点から、好ましくは5分〜48時間であり、より好ましくは30分〜10時間である。
【0038】
本発明におけるメソポーラスシリカ複合体の製造は、中性条件下、具体的にはpH4〜10、特に好ましくはpH6〜8の範囲内で行われる。また、電解質を副生せずにシリケートモノマーの加水分解、縮重合を進行促進させる観点から、成分(A)および(B)を水ないし水―アルコール混合溶媒中に溶解して行なわれる。なお、成分(A)と(B)の反応を加速する目的で、通常のテンプレート法によるメソポーラスシリカの製造と同様に、酸ないし塩基を添加する事は可能であるが、この場合には生成するメソポーラスシリカの使用目的に応じて、洗浄による電解質の除去を要する。
【0039】
本発明におけるメソポーラスシリカ複合体の製造において、成分(A)のノニオン界面活性剤は1種または2種以上を併用してもよく、3次元ミセル構造を形成する限り、特にその濃度は限定されるものではないが、溶液中の濃度は、通常0.01〜80重量%であり、好ましくは0.2〜30重量%、更に好ましくは1.0〜20.0重量%である。
【0040】
本発明におけるメソポーラスシリカ複合体の製造において、成分(B)の水溶性シリケートモノマーの成分(A),(B)の合計に対する割合は、通常0.1〜98モル%、好ましくは1〜95モル%、さらに好ましくは10〜90モル%である。
【0041】
以上のようにして製造されるメソポーラスシリカ複合体の生成確認は、走査型ないし透過型電子顕微鏡観察、粉末X線回折などにより行うことができる。
【0042】
以上のようにして得られるメソポーラスシリカ複合体を、更に酸性水溶液、水、又は水と相溶性のある有機溶媒もしくはその水溶液で洗浄することにより、メソポーラスシリカ外殻を製造することができる。
【0043】
メソポーラスシリカ外殻の製造において使用される処理溶媒としては、特に限定されるものではなく、各種溶媒を使用することができるが、メソポーラスシリカ外殻の構造保持の観点で、好ましくは極性溶媒であり、より好ましくは水やアルコールである。
【0044】
メソポーラスシリカ外殻製造の際の処理温度は、通常、室温から使用する溶媒の沸騰温度の範囲で行われるが、メソポーラスシリカ外殻の構造保持、メソポーラスシリカ外殻の収率、及び処理溶媒の沸点の観点で、好ましくは室温〜100℃であり、より好ましくは室温〜80℃である。
【0045】
メソポーラスシリカ外殻製造の際の処理時間は、通常1〜72時間の範囲で行われるが、メソポーラスシリカ外殻の構造保持及びメソポーラスシリカ外殻の収率の観点から、好ましくは8〜48時間であり、より好ましくは24〜48時間である。
【0046】
メソポーラスシリカ外殻製造の際の処理pHは、通常0〜4の範囲で行われるが、メソポーラスシリカ外殻の構造保持及びメソポーラスシリカ外殻の収率の観点から、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0〜1である。
【0047】
メソポーラスシリカ外殻製造の際の処理に使用される酸としては、特に限定されるものではなく、通常に存在する各種の酸を使用することができる。例えば、塩酸、酢酸、硝酸、硫酸,シュウ酸及びリン酸であり、メソポーラスシリカ外殻の収率の観点から、好ましくは塩酸、酢酸、硝酸及び硫酸であり、より好ましくは塩酸及び酢酸である。
【0048】
以上のようにして製造されるメソポーラスシリカ外殻生成の確認は、粉末X線回折、窒素吸着・脱着測定、電子顕微鏡観察などにより行うことができる。
【0049】
そして、以上のようにして得られたメソポーラスシリカ複合体またはメソポーラスシリカ外殻を焼成することによって、本発明にかかるメソポーラスシリカを製造することができる。
【0050】
メソポーラスシリカ製造の際の焼成温度は、通常、300〜900℃の範囲で行われるが、メソポーラスシリカの構造保持及び界面活性剤の完全除去の観点で、好ましくは400〜650℃であり、より好ましくは500〜600℃である
【0051】
メソポーラスシリカ製造の際の焼成時間は、通常、2〜24時間の範囲で行われるが、界面活性剤の完全除去の観点で、好ましくは4〜12時間であり、より好ましくは6〜10時間である。
【0052】
以上のようにして製造されるメソポーラスシリカ複合体、メソポーラスシリカ外殻、およびメソポーラスシリカは、それぞれ単独で樹脂添加剤として使用することができ、また、差支えがなければ、これらの2種または3種を組み合わせて、樹脂添加剤として同時に使用することもできる。
【0053】
本発明にかかる樹脂添加剤は、以上のようにして製造されるメソポーラスシリカ、メソポーラスシリカ複合体、又はメソポーラスシリカ外殻からなるものであり、本発明にかかる樹脂組成物においては、当該樹脂添加剤と、樹脂とを含むことを特徴とする。本発明にかかる樹脂組成物において、樹脂に対する樹脂添加剤の割合は0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%であり、さらに好ましくは1〜7質量%である。樹脂に対する樹脂添加剤の割合が0.1質量%未満であると、樹脂成形体の機械特性が不十分である場合がある。一方で、樹脂に対する樹脂添加剤の割合が20質量%を超えると、樹脂組成物のコストが高くなる。
【0054】
また、本発明にかかる樹脂組成物に用いられる樹脂としては、任意の樹脂を用いることができる。すなわち、本発明にかかる樹脂組成物に含まれる樹脂は、生分解性樹脂であってもよく、また、非生分解性樹脂であってもよい。しかしながら、生分解性樹脂は、加水分解、微生物又は酵素によって、最終的には水及び二酸化炭素に分解され、生物濃縮及び環境ホルモン効果等を生じさせず、環境の汚染を低減することができるため、本発明にかかる樹脂組成物に用いられる樹脂として、生分解性樹脂を用いることが好ましい。
【0055】
本発明にかかる樹脂組成物に用いられる生分解性樹脂は、微生物又は酵素によって分解もしくは低分子量化され得る樹脂であれば、特に制限されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、多糖類(ポリサッカリド)、ポリペプチド、リグニン、及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0056】
ポリエステル系樹脂は、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、及びネオペンチルグリコールなどのような少なくとも一種類のジオールとコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸及びこれらの無水物などのような少なくとも一種類の脂肪族ジカルボン酸との重縮合反応によって得られる脂肪族ポリエステル及び脂肪族ポリエステル共重合体、並びにこれらの混合物を含む。上記の脂肪族ポリエステルの例としては、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)、ポリ(ヘキサメチレンサクシネート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(エチレンオキサレート)、ポリ(ブチレンオキサレート)、ポリ(ヘキサメチレンオキサレート)、ポリ(エチレンセバケート)、及びポリ(ブチレンセバケート)が挙げられる。上記脂肪族ポリエステル共重合体の例としては、ポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンアジペート)が挙げられる。
【0057】
なお、ジオールに加えて、三個以上の水酸基を有するポリオールを用いてもよく、脂肪族ジカルボン酸に加えて、芳香族ジカルボン酸及び/又は三個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸を用いてもよい。ジオールと芳香族ジカルボン酸との重縮合反応によって得られるポリエステル系樹脂としては、ポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンテレフタレート)及びポリ(ブチレンアジペート−co−ブチレンテレフタレート)が挙げられる。
【0058】
また、ポリエステル系樹脂は、ポリ(ヒドロキシ酸)及びこれらの共重合体も含む。ポリ(ヒドロキシ酸)の例としては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プロキオラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)、ポリ(3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、及びポリ(3−ヒドロキシカプレート)が挙げられる。
【0059】
また、多糖類としては、セルロース、ヘミセルロース、キチン、及びキトサンが挙げられる。これらの多糖類は、その分子の少なくとも一部が他の化学物質で置換された、また、その分子の少なくとも一部に他の化学物質が付加した多糖類の誘導体であってもよい。セルロースの誘導体としては、例えば、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0060】
また、ポリペプチドとしては、例えば、コラーゲン及びコラーゲン誘導体が挙げられる。
【0061】
また、リグニンは、木化した植物体から得られるフェニルプロパン骨格の樹脂及びその誘導体であればよく、その単離方法には制限はない。
【0062】
なお、ポリエステル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、多糖類(ポリサッカリド)、ポリペプチド、リグニン、及びこれらの誘導体を、単独で、又は組み合わせで用いてもよい。
【0063】
上記の生分解性樹脂の中で、ポリ乳酸は、その原料が植物(トウモロコシなど)由来の原料であり、入手が容易である。よって、樹脂成形体の材料としてポリ乳酸を用いれば、樹脂成形体を容易及び安価に製造することができる。また、ポリ乳酸は、透明性及び安定性の点でも優れている。
【0064】
本発明にかかる樹脂組成物に用いられる非生分解性樹脂としては、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ酢酸ビニル、及びポリスチレンのようなビニル重合体、ポリアミド、上記生分解性樹脂のポリエステル系樹脂を除くポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ブ夕ジエン/スチレン共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、及びエチレン/プロピレン/ジエン共重合体のようなビニル共重合体、天然ゴム、アクリルゴム、塩素化ブチルゴム、及び塩素化ポリエチレンのようなエラストマー又はこれらの無水マレイン酸等による酸変性物、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/フェニルマレイミド共重合体、ポリアセタール、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリメチルメタクリレート、並びにポリアリレートなどが挙げられる。
【0065】
つづいて、本発明にかかる樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明にかかる樹脂組成物は、本発明にかかる樹脂添加剤、所望の樹脂、及び必要に応じて他の添加剤を、所定の割合で、溶融混練することで得ることができる。この溶融混練は、樹脂の融点又は軟化点以上の温度に加熱することで行われる。溶融混練は、実際には、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、及びブラベンダー等の一般的な混練機を用いて行えばよいが、加熱時にせん断力を加えて樹脂添加剤を樹脂中に均一に分散させるためには、二軸押出機を用いることが好ましい。また、本発明にかかる樹脂組成物に関して、樹脂における樹脂添加剤の分散性は、電子顕微鏡を用いた樹脂組成物の観察により確認することができる。
【0066】
また、本発明にかかる樹脂組成物は、公知の層間重合法によっても製造することができる。すなわち、本発明にかかる樹脂添加剤、及び所望の樹脂を形成し得るモノマー、を、所定の割合で混合し、適当な触媒の存在下で、加熱などの方法により、上記のモノマーを重合させる。このように上記のモノマーを重合させて所望の樹脂を形成させることにより、所望の樹脂中に樹脂添加剤が分散した樹脂組成物を得ることができる。
【0067】
例えば、ポリ乳酸に本発明の樹脂添加剤が分散した樹脂組成物を層間重合法によって製造する場合には、ポリ乳酸のモノマーとしての乳酸の二量体であるラクチドに、本発明の樹脂添加剤を混合し、その混合物に、重合触媒としての微量のオクチル酸スズを添加する。その後、ラクチド、樹脂添加剤、及びオクチル酸スズの混合物を、160℃程度の温度で加熱することにより、ラクチドを重合させてポリ乳酸を形成し、ポリ乳酸中に樹脂添加剤が分散した樹脂組成物を得ることができる。なお、本発明にかかる樹脂組成物に含まれる本発明の樹脂添加剤は、アンモニウムイオンを含まないため、触媒のオクチル酸スズの活性を低下させない。このため、本発明において、ポリ乳酸及び樹脂添加剤を含む樹脂組成物の製造方法としては、層間重合法を好適に使用することができる。
【0068】
次に、本発明にかかる樹脂成形体の製造方法について簡単に説明する。本発明にかかる樹脂成形体は、公知の射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、圧空成形、及びインフレーション成形の少なくとも一種類の成形方法によって、本発明による樹脂組成物を成形することによって得られる。
【0069】
本発明にかかる樹脂成形体は、化粧品用の容器を含む生活消費財及びその他の耐久素材として広く使用することができる。本発明にかかる樹脂成形体の具体例は、例えば、射出成形体としては、生活雑貨、包装容器、及び電気電子機器筐体;ブロー成形体としては、飲料又は化粧品などの流動体の容器、食品又は薬品の容器、及び燃料等のタンク類;押出成形体としては、深絞り成形用原反シート、バッチ式発泡用原反シート、クレジットカード等のカード類、下敷き、クリアファイルのような包装用又は農業若しくは工業用のフィルム及びシート、並びにストロー及び農業若しくは園芸用硬質パイプ等のパイプ類;真空成形体又は圧空成形体としては、生鮮食品のトレー、インスタント食品容器、ファーストフード容器、及び弁当箱等などの食品容器、商品陳列用のブリスターパック容器、並びに薬品用のプレススルーパック容器が挙げられる。
【実施例1】
【0070】
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0071】
まず最初に、本発明に用いた水溶性シリケートモノマーの製造方法について説明する。
合成例1
テトラエトキシシラン20.8g(0.1モル)と、エチレングリコール24.9g(0.4モル)とをアセトニトリル150ml中に添加し、さらに固体触媒として強酸性イオン交換樹脂(DowEX 50W−X8:ダウ・ケミカル社製)1.8gを添加した後、室温で混合攪拌した。当初、二層に分離していた反応液は約一時間後に均一に溶解した。その後、5日間攪拌を続けた後、固体触媒をろ過分離し、アセトニトリルを減圧下留去して、透明の粘性液体39gを得た。NMR分析の結果、生成物が目的とする(テトラ(2−ヒドロキシエトキシ)シラン)であることを確認した(収率:72.5%)。
【0072】
つづいて、本発明にかかる樹脂添加剤(メソポーラスシリカ)の製造方法について説明する。
実施例1
イオン交換水(270g)と界面活性剤POE(10モル)コレステロールエーテル(15g)を混合し、均一になるまで攪拌した。この溶液にテトラ(2−ヒドロキシエトキシ)シラン(15g)を加えて60℃で24時間静置したところ、溶液からシリカが生成して沈降した。ろ別して得られたシリカを90℃で24時間静置して乾燥させた後、エタノールを加えて常温で一夜攪拌した。界面活性剤を含んだエタノール溶液を除去した後、80℃で5時間静置し、エタノールを除去してシリカ粉末(3.0g)を得た。
【0073】
上記実施例1により得られたシリカ粉末を透過型電子顕微鏡で観察した。写真図を図1に示す。図1に示すように、規則的な細孔構造を有するシート状のメソポーラスシリカが得られた。
【0074】
樹脂組成物1
上記実施例1により得られたメソポーラスシリカ粉末8gを、ポリ乳酸100gに添加し、加熱溶融混練して、樹脂組成物1を得た。なお、樹脂組成物1における無機含有量は4.5質量%である。
【0075】
以上のようにして得られた樹脂組成物1を電子顕微鏡で観察した。写真図を図2に示す。図2に示すように、樹脂組成物1においては、1μmよりも小さい(ナノメートルサイズの)メソポーラスシリカが、ポリ乳酸中に均一に分散しており、上記樹脂組成物1がポリマーナノコンポジットであることを確認することができた。
【0076】
つづいて、上記樹脂組成物1の機械的特性としての弾性率を測定した。その結果、樹脂組成物1の弾性率は、4.4×10Paであった。
【0077】
さらに、上記樹脂組成物1の色を目視で評価した結果、樹脂組成物1の色は、無色透明であった。
【0078】
比較樹脂組成物1(樹脂のみ)
本発明の樹脂組成物1に対する比較例として、添加剤を一切含有しないポリ乳酸を用い、比較樹脂組成物1として、本発明と同様の試験を行った。
【0079】
この結果、ポリ乳酸の弾性率は、4.0×10Paであった。また、ポリ乳酸の色を目視で評価した結果、ポリ乳酸の色は、無色透明であった。
【0080】
比較樹脂組成物2(有機変性粘度鉱物添加)
また、本発明の樹脂組成物1に対する比較例として、粘土鉱物の陽イオンを第四級アンモニウムイオンでイオン交換した有機変性粘土鉱物4gを、ポリ乳酸100gに加熱溶融混練して比較樹脂組成物2を製造した。なお、この有機変性粘土鉱物は、合成フッ素マイカ(商品名ME100:コープケミカル社製)の無機陽イオンを、ドデシル=ビス(ヒドロキシエチル)=メチルアンモニウムイオンを含む塩(商品名エソカードC12:ライオンアクゾ社製)を用いてイオン交換することにより得られた有機変性粘土鉱物である。なお、比較樹脂組成物2における無機含有量は3質量%である。以上のようにして製造した比較樹脂組成物2に対して、本発明と同様の試験を行った。
【0081】
この結果、比較樹脂組成物2の弾性率は、4.2×10Paであった。また、比較樹脂組成物2の色を目視で評価した結果、組成物の色は黄色であった。
【0082】
以上の結果より、本発明の樹脂組成物1の機械的特性としての弾性率を、比較樹脂組成物1の弾性率と比較すると、本発明の樹脂組成物1の弾性率は比較樹脂組成物1の弾性率よりも大きかった。また、比較樹脂組成物2の弾性率と比較すると、無機含有率を揃えた場合には、弾性率は同程度であり、本発明の樹脂組成物1は、有機変性粘度鉱物を用いた比較樹脂組成物2と同程度の機械的特性を有していることが確認された。
【0083】
また、本発明の樹脂組成物1、比較樹脂組成物1,2の色を目視で評価した結果を比較すると、比較樹脂組成物2(有機変性粘度鉱物添加)の色は黄色であったが、本発明の樹脂組成物1及び比較樹脂組成物1(樹脂のみ)の色は無色透明であった。したがって、本発明の樹脂組成物1は黄色味が少なく、加熱溶融工程を経ていない樹脂のみの色に近かったことから、加熱溶融工程による樹脂の変色がほとんど起こっていないことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明にかかる樹脂添加剤(実施例1)の電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明にかかる樹脂組成物(樹脂組成物1)の電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)及び(B)の成分から誘導されるメソポーラスシリカからなることを特徴とする樹脂添加剤。
(A)ノニオン界面活性剤
(B)下記一般式(1)で表される水溶性シリケートモノマー
Si−(OR (1)
(式中、Rは多価アルコール残基である。)
【請求項2】
上記(A)及び(B)の成分から誘導されるメソポーラスシリカ複合体からなることを特徴とする樹脂添加剤。
【請求項3】
上記(A)及び(B)の成分から誘導されるメソポーラスシリカ外殻からなることを特徴とする樹脂添加剤。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の樹脂添加剤において、(B)水溶性シリケートモノマーのRがエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、グリセリン残基、あるいはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンの縮合物の残基のいずれかであることを特徴とする樹脂添加剤。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の樹脂添加剤と、樹脂とを含むことを特徴とする樹脂組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の樹脂組成物において、前記樹脂が生分解性樹脂であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の樹脂組成物において、前記生分解性樹脂がポリ乳酸であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項8】
請求項5から7のいずれかに記載の樹脂組成物を用いて成形されたことを特徴とする樹脂成形体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−69236(P2008−69236A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248222(P2006−248222)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】