説明

樹脂発泡層を有する積層体

【課題】クッション性に顕著に優れ、然も加工性が従来より一層改善された発泡層を備えた積層体を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる層とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の一価又は二価金属をイオン源とするアイオノマー又は該アイオノマーを10重量%以上含有する樹脂組成物の発泡体層を有する積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂発泡層を有する積層体に関し、より詳細には、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー或いは該アイオノマー含有樹脂組成物の高倍率発泡層を有する積層体であって、加工性及びクッション性に優れ、特に精密電子部品の包装用に好適な積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
包装された商品の搬送、貯蔵、保管等の際の衝撃、摩擦等により生じる製品の損傷を回避するために、包装材に軟質発泡フィルム等のクッション性に優れた材料を用いることは、広く行われている。
特に、精密電子部品の包装では極僅かな傷つきも製品に致命的なダメージを与える可能性があることから、これを避けるため発泡フィルム、シート等からなる包装材が頻繁に使用されている。
そして、これら包装材は、高い強度、非発塵性、非帯電性等を要求されることからその多くは他のプラスチック、紙等の非発泡材との積層体として用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、特定範囲の密度で独立気泡率が40%以上であるポリプロピレン系樹脂発泡シートに二軸延伸された帯電防止性ポリプロピレン系樹脂フィルムを積層してなる電子部品の包装に好適な積層体の発明が開示されている。
又、特許文献2には、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマーの発泡倍率1.5〜3倍の発泡層と他の熱可塑性樹脂フィルム層とを積層してなり、電子部品の包装に好適な積層フィルムの発明が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−236961号公報
【特許文献2】特開平8−113661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、ICやLSI、その他の精密電子部品の高度集積化や細密化が著しく進行し、それに伴ってそれらを収容する包装材にも、発泡層の高発泡倍率化等による一層のクッション性向上が要求されるようになってきた。
更に、同時に、生産性向上による製造コスト低減も強く求められるようになり、この達成のため加工性を向上させることが従来に増して重要視されるようになってきている。
【0006】
本発明者等は上記目的のため鋭意研究を遂行した結果、特定アイオノマー、又は、該アイオノマーを含む樹脂組成物の発泡層を中間層として含む多層構造の積層体により上記目的が達成できることを知り、この知見に基づき更に研究開発を進めた結果、本発明を完成するに至った。
従って、本発明の目的は、クッション性に顕著に優れ、然も加工性が従来より一層改善された発泡層を備えた積層体を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、熱可塑性樹脂からなる層とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の一価又は二価金属をイオン源とするアイオノマー又は該アイオノマーを10重量%以上含有する樹脂組成物の発泡体層を有する積層体が提供される。
【0008】
又、本発明によれば、特に、外表層/中間層/内表層からなる層構成を有する三層以上の積層体であって内外両表層が熱可塑性樹脂からなる層であり、中間層がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の一価又は二価金属をイオン源とするアイオノマー又は該アイオノマーを10重量%以上含有する樹脂組成物の発泡体層である積層体が提供される。
【0009】
上記積層体は、いずれも、前記アイオノマーがエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウム又は亜鉛アイオノマーであることが好ましい。
【0010】
又、前記発泡体層の発泡倍率は2.1倍以上、特に、3.1〜10倍であることが好ましい。
【0011】
又、前記熱可塑性樹脂層はポリオレフィン樹脂非発泡層、特に、低密度ポリエチレン樹脂非発泡層であることが好ましい。
【0012】
更に、前記中間層がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体カリウムアイオノマーを10乃至90重量%及び低密度ポリエチレンを90乃至10重量%含有する樹脂組成物からなる発泡倍率3.1〜10倍の発泡層であり、前記内外表層が低密度ポリエチレンからなる非発泡層であることが特に好ましい。
【0013】
本発明によれば、又、上記の積層体からなる電子部品用包装体が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の積層体は、特定エチレン・不飽和カルボン酸共重合体アイオノマー又はそれを含む樹脂組成物からなる高発泡倍率の発泡層を構成樹脂層として備え、このためクッション性に顕著に優れる。
又、上記アイオノマー又はその樹脂組成物の発泡層、特に、該アイオノマーと低密度ポリエチレン等の特定ポリオレフィン樹脂との樹脂組成物の発泡層は積層時の加工性に顕著に優れ、前記発泡層を中間層とする多層構造の積層体を効率よく低コストで容易に製作することができる。
従って、積層フィルム、シート等の本発明の積層体は、例えば、IC、LSIやその他の精密電子部品の包装用材料として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の好適実施形態について、詳細且つ具体的に説明する。
既に述べたとおり、本発明の積層体はエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の一価又は二価金属イオンアイオノマー又は該アイオノマーを10重量%以上含有する樹脂組成物からなる発泡層をその構成層として備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の積層体に於いて、上記発泡層を構成するアイオノマーのベース樹脂であるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体としては、エチレンと、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸類との共重合体を挙げることが出来る。
これらの中では、エチレンとアクリル酸又はメタクリル酸の共重合体が好ましい。
【0017】
更に、本発明に於いては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、例えば、エチレン・アクリル酸共重合体等の2元系共重合体のみならず、エチレンに上記不飽和カルボン酸を2種以上共重合させた多元系共重合体であっても良く、更に、不飽和カルボン酸共重合体が本来有する特性を実質的に変更させない限りにおいて、他の極性モノマー、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステル類や酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、一酸化炭素等を、更に少量共重合させたものでも良い。
【0018】
又、本発明では上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の内でも、不飽和カルボン酸単位含量が1〜35重量%のものを用いることが好ましく、特に好ましくは 5〜25重量%のものを用いる。
エチレンと不飽和カルボン酸以外の単量体は0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量%である。
【0019】
更に、本発明で用いるエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、加工性等の観点から、メルトフローレート(190℃、2160g荷重:JIS K7210−1999準拠)が2〜500g/10分の範囲にあることが好ましく、より好ましくは 10〜300g/10分である。
【0020】
上記のようなエチレン・不飽和カルボン酸共重合体は、高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。
例えば、通常のオートクレーブ法による高圧ラジカル重合プロセスによって製造されるランダム性良好な共重合体を使用することが出来るが、これより不均一性が高く、同一不飽和エステル単位含量のもので比較して融点が高い、チューブラー法による高圧ラジカル重合プロセスによって製造される共重合体が特に好適に用いられる。
【0021】
上記ベース樹脂のアイオノマー化に用いる一価又は二価金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs等の1価金属、或いはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Hg等の2価金属を例示することができる。
これらの内では、K及びZnが特に好ましい。またKの場合、本発明の積層体に非帯電性を付与することが可能となる為、更に好ましい。
【0022】
本発明で用いる上記発泡体層構成素材としてのアイオノマーの中和度は、通常 15%以上、特に30%以上が好ましい。またKを用い、本発明の積層体に非帯電性を付与する場合には特に60%以上、更には70%以上が好ましい。又アイオノマーのメルトフローレート(190℃、2160g荷重:JIS K7210−1999準拠)は0.1〜20g/分の範囲にあることが好ましく、特に0.2〜10g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0023】
本発明の発泡体層は上記アイオノマーのみで構成されていてもよいが、前記アイオノマーと他の熱可塑性樹脂とのブレンド物、即ち、樹脂組成物で構成されていてもよい。
この場合、該ブレンド物中に占める前記アイオノマーの配合比率は10重量%以上、好ましくは20重量%以上、一層好ましくは25重量%以上である。
【0024】
このような他の熱可塑性樹脂としては、前記アイオノマーとブレンドして発泡体層を形成できる樹脂であれば特に限定されるものではないが、得られる樹脂組成物の加工性やクッション性、その他の諸特性を考慮すると、オレフィン系重合体が好ましく、より具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、メタロセン触媒重合低密度ポリエチレン等の低密度ポリエチレン類、中、低圧法高密度ポリエチレン類、ポリプロピレン類、エチレン・1−ブテン共重合体等のエチレン・αーオレフィン共重合体類、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレン・ビニルエステル共重合体類、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル等のエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体類等を例示出来る。
これらの内ではアイオノマーとの混和性が良好で、且つ、得られる発泡体の発泡倍率を所望に調節でき、クッション性と加工性のバランスに優れたものを比較的容易に得ることができる観点から低密度ポリエチレンとのブレンドが好ましく、特に、アイオノマーと低密度ポリエチレンとのブレンド比が1:9〜9:1のものが好ましい。
【0025】
本発明では、上記アイオノマー或いはその樹脂組成物を発泡させて発泡体とする。
発泡倍率は、通常2.1倍以上であるが、優れたクッション性を求め観点から、発泡倍率3.1〜10、特に3.1〜8が好ましい。
発泡倍率が上記下限より小さいものは充分な緩衝効果、即ち、クッション性が得られない。
又、あまり発泡倍率が大きいものは気泡が不均一で連続型になり勝ちで、且つ、引き裂き強度等の機械強度も弱くなる。
【0026】
発泡体(層)は、本発明の前記アイオノマー或いはその樹脂組成物に無機系又は有機系の化学発泡剤を所定量添加して成形する等により作製することができる。
本発明で用いることのできる代表的な無機系発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム(重曹)、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等を挙げる事ができ、有機系発泡剤としては、N,N’−ジニトロソ・ペンタメチレン・テトラミン(DPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビス・イソブチロニトリル、ベンゼン・スルホニル・ヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエン・スルホニル・ヒドラジド、p−トルエン・スルホニル・セミカルバジド、バリウム・アゾジカルボキシレート等を挙げることができる。
更に、水(水蒸気)を利用した所謂水発泡も採用でき、用いる発泡剤として水、結晶水含有無機物、吸湿性樹脂(カリウムアイオノマー等)等を挙げることができる。
【0027】
このような発泡剤は、例えばポリエチレンやポリプロピレン樹脂等の少量に均一に混合させ、必要に応じて発泡助剤等の添加剤を配合してマスターバッチとしたものが市販品(例えば、ポリスレンEE)として販売されておりこれを使用すると便利である。
【0028】
発泡剤のアイオノマー又はその組成物(被発泡素材)に対する配合割合は、使用される発泡剤や被発泡素材の種類、形成されるべき発泡層厚さ、その発泡倍率等により夫々異なり、それらを勘案して適宜定められるが、例えば、被発泡素材がエチレン・メタクリル酸共重合体亜鉛アイオノマーで、発泡層厚さ240μm程度、発泡倍率2.5倍程度の場合、ポリスレンEE205D(PEベースの20%濃度、炭酸ガス発泡無機発泡剤)発泡剤では、通常、組成物100重量部当たり10重量部前後の量を使用する。
【0029】
発泡に際し、分解温度の調整や消臭等の目的で、脂肪酸金属塩、金属酸化物、尿素などの発泡助剤を併用することが望ましい。
又、フィルム層等発泡体成形に際し、適宜種々の他の添加剤、例えば酸化防止剤、安定剤、充填材等を配合することができる。
【0030】
本発明に於いて、積層体の発泡体層厚さはその用途等により適宜設定されるが、通常20〜1000μm、好ましくは50〜800μm程度である。
【0031】
上記発泡層は単層では引裂強度等の機械強度がやや不足するため、本発明に於いては、この補強を主目的として非発泡の熱可塑性樹脂層を積層した2層以上の積層フィルム、シート等の積層体の形で用いる。
特に、精密電子部品等の包装を目的とする場合は、発泡層からの発塵を可及的に抑止するために、該発泡層を中間層とし、内外表層を非発泡樹脂層で覆った外表層/中間層/内表層からなる多層積層体構造のものが好ましい。また本発明ではアイオノマー又は該アイオノマーを10重量%以上含有する樹脂組成物の発泡体層と他の熱可塑性樹脂の発泡体層を組み合わせてもよい。
【0032】
本発明に於いてこのような非発泡の内外表層に用いる熱可塑性樹脂としては、該発泡中間層に対し接着可能で且つ可撓性を有する熱可塑性樹脂であれば特に限定されることなく使用でき、このような樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂を例示できるが、これらの中でも、ポリオレフィン、特に、エチレン系重合体が好ましい。
前記エチレン系重合体としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン触媒重合直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン類の外、エチレンを主成分とするエチレン・α−オレフィン共重合体、例えば、エチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数3乃至30のα−オレフィンとの共重合体、
【0033】
エチレンを主成分とするエチレン・不飽和カルボン酸共重合体或いはエチレン・不飽和カルボン酸エステル共重合体、例えば、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸との共重合体、又は、エチレンとアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、エタクリル酸アルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等の不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、
尚、上記アルキルエステルとしては、メチル、エチル、n−ブチル、iーブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチルなどのエステルを好適例として挙げることができる。
【0034】
エチレンと上記の不飽和カルボン酸と不飽和カルボン酸エステルからなるエチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル三元共重合体等の多元系共重合体、
【0035】
上記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体或いはエチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル三元共重合体のアイオノマー(例えば亜鉛又はアルカリ金属アイオノマー)、
【0036】
更に、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びその部分鹸化物、エチレン・プロピオン酸ビニル共重合体及びその部分鹸化物、ポリビニルアルコール等のエチレン系重合体を挙げることが出来る。
更に、これら重合体を2種以上混合した樹脂組成物も使用することができる。
これらの内でも、特に好適な重合体は、密度 915〜930kg/mの低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体或いはエチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル三元共重合体の亜鉛又はアルカリ金属アイオノマー)アイオノマーである。
【0037】
このような積層体がフィルムである場合、その各表層の厚みは、例えば5〜100μm、好ましくは10〜50μm、発泡層の厚みは例えば20〜1000μm、好ましくは50〜800μmである。
【0038】
このような積層フィルム等積層体の成形は、例えば、多層インフレーション等の共押出ラミネートにより積層時に発泡させながら形成してもよく、又、発泡層を予めインフレーション成形、キャスト成形等により製作した後熱接着や適当な接着剤により接着積層してもよい。
【実施例】
【0039】
本発明を次の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0040】
「実施例1」
エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量=14.8重量%)のカリウム(K)イオンアイオノマー(中和度=84%、メルトフローレート(190℃、2160g荷重)=1.5g/10分)30重量部にポリエチレン(プライムポリマー社の高圧法低密度ポリエチレン:ミラソンM401)60重量部と発泡剤(ポリエチレンベースの20%マスターバッチ、炭酸ガス発泡:ポリスレンEE205D)10重量部とを配合しドライブレンドを行った。
【0041】
別に、ポリエチレン(密度:920kg/m、高圧法低密度ポリエチレン:ミラソンM401)ペレットを用意し、上記発泡剤配合ドライブレンドとポリエチレンペレットのそれぞれを多層インフレーション成形機に供給し、インフレーション成形法によりポリエチレン層/アイオノマー発泡層/ポリエチレン層の3層構成の積層体を作製した。
尚、インフレーション成形時に於けるダイ出口の各層厚さ(ダイ口径厚さノミナル)はポリエチレン層(20μm)/アイオノマー発泡層(80μm:未発泡)/ポリエチレン層(20μm)で、前記未発泡アイオノマー層はダイからの押出直後発泡開始させ、インフレーション成形工程中に発泡完了させた。
ダイの設定温度はポリエチレン層:200℃、アイオノマー発泡層:210℃とした。
得られた発泡層厚さは約400μm(発泡倍率4.5)で、該層の気泡はやや大きいがほぼ揃った独立気泡であった。
そして、この発泡体の帯電減衰時間を測定した。
結果を表1に示す。
帯電減衰時間測定方法
23℃、50%相対湿度雰囲気下に24時間以上放置した後、内面、外面をETS社製Static Decay Meter Model 4060を用い、印加電圧+5000Vから+500Vへ減衰する時間を10%減衰時間として測定した。
【0042】
「実施例2」
エチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量=15重量%)の亜鉛(Zn)アイオノマー(中和度=59%、メルトフローレート(190℃、2160g荷重)=0.9g/10分)90重量部に実施例1と同じ発泡剤(ポリスレンEE205D)10重量部を配合しドライブレンドを行った。
実施例1と同じポリエチレン(ミラソンM401)ペレットを用意し、上記発泡剤配合ドライブレンドとポリエチレンペレットのそれぞれを多層インフレーション成形機に供給し、実施例1と同様にポリエチレン層/アイオノマー発泡層/ポリエチレン層の3層構成の積層体を作製した。
得られた発泡層厚さは約240μm(発泡倍率2.5)で、該層には発泡筋の生成が若干観察された。
結果を表1に示す。
【0043】
「比較例1」
実施例1で用いたポリエチレン(ミラソンM401)90重量部に発泡剤(ポリスレンEE205D)10重量部を添加しドライブレンドした。
そして、このドライブレンドを中間層として実施例1と同様に3層構造の積層体を製作した。
得られたポリエチレン発泡層(中間層)の厚さは約200μm(発泡倍率2)で、発泡筋の生成が観察された。
結果を表1に示す。
【0044】
「実施例3」
実施例1のアイオノマー発泡層用ドライブレンドに於けるカリウム(K)アイオノマー配合量を20重量%に、ポリエチレン配合量を70重量%に替えた以外は実施例1とほぼ同様にして3層構成の積層体を作製した。
尚、この発泡層の厚さは340μmであった。
そして得られた発泡体の帯電減衰時間を測定した。
結果を表1に示す。
【0045】
「実施例4」
実施例1のアイオノマー発泡層用ドライブレンド於けるカリウム(K)アイオノマー配合量を40重量%に、ポリエチレン配合量を50重量%に替えた以外は実施例1とほぼ同様にして3層構成の積層体を作製した。
尚、この発泡層の厚さは410μmであった。
そして得られた積層体を実施例1と同様に評価した。
結果を表1に示す。
【0046】
「実施例5」
実施例1のアイオノマー発泡層用ドライブレンド於けるカリウム(K)アイオノマー配合量を60重量%に、ポリエチレン配合量を30重量%に替えた以外は実施例1とほぼ同様にして3層構成の積層体を作製した。
尚、この発泡層の厚さは450μmであった。
そして得られた積層体を実施例1と同様に評価した。
結果を表1に示す。
【0047】
「実施例6」
実施例1の前記ドライブレンド於けるカリウム(K)アイオノマー配合量を90重量%とし、且つ、ポリエチレンを配合しなかった以外は実施例1とほぼ同様にして3層構成の積層体を作製した。
尚、この発泡層の厚さは460μmであった。
そして得られた積層体を実施例1と同様に評価した。
結果を表1に示す。
【0048】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる層とエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の一価又は二価金属をイオン源とするアイオノマー又は該アイオノマーを10重量%以上含有する樹脂組成物の発泡体層を有する積層体。
【請求項2】
外表層/中間層/内表層からなる層構成を有する三層以上の積層体であって内外両表層が熱可塑性樹脂からなる層であり、中間層がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体の一価又は二価金属をイオン源とするアイオノマー又は該アイオノマーを10重量%以上含有する樹脂組成物の発泡体層である積層体。
【請求項3】
前記アイオノマーがエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のカリウム又は亜鉛アイオノマーである請求項1又は2の何れかに記載の積層体。
【請求項4】
前記発泡体層の発泡倍率が2.1倍以上である請求項1乃至3の何れかに記載の積層体。
【請求項5】
前記発泡体層の発泡倍率が3.1〜10倍である請求項4記載の積層体。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂層がポリオレフィン樹脂非発泡層である請求項1乃至5の何れかに記載の積層体。
【請求項7】
前記ポリオレフィン樹脂が低密度ポリエチレン樹脂である請求項6記載の積層体。
【請求項8】
前記中間層がエチレン・不飽和カルボン酸共重合体カリウムアイオノマーを10乃至90重量%及び低密度ポリエチレンを90乃至10重量%含有する樹脂組成物からなる発泡倍率3.1〜10倍の発泡層であり、前記内外表層が低密度ポリエチレンからなる非発泡層である請求項2記載の積層体。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の積層体からなる電子部品用包装体。

【公開番号】特開2009−101677(P2009−101677A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102608(P2008−102608)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(000174862)三井・デュポンポリケミカル株式会社 (174)
【Fターム(参考)】