説明

樹脂組成物および被覆電線ならびに被覆電線の製造方法

【課題】安価に耐熱老化特性を向上させることが可能な樹脂組成物およびこれを用いた絶縁電線を提供すること。
【解決手段】オレフィン系樹脂にエチレン性不飽和シラン化合物を遊離ラジカル発生剤の存在下でグラフトさせてなるシラングラフトオレフィン系樹脂やオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とを共重合してなるシラン共重合オレフィン系樹脂よりなるシラン変性バッチと、溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマー、老化防止剤およびシラノール縮合触媒を含有する老化防止剤バッチとを混練して得られた樹脂組成物とする。混合重量比は、老化防止剤バッチ/シラン変性バッチが40/60〜5/95の範囲内が好ましい。老化防止剤は、溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマー100重量部に対して10〜30重量部含有していると良い。また、上記樹脂組成物を導体の外周に被覆し、水架橋させた被覆電線とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物および被覆電線ならびに被覆電線の製造方法に関し、さらに詳しくは、自動車、電気・電子機器等に配線される被覆電線の被覆材として好適に用いられる樹脂組成物および被覆電線ならびに被覆電線の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両や電子・電気機器等の幅広い分野で、被覆電線が用いられている。被覆電線は、オレフィン系樹脂やポリ塩化ビニル等の絶縁材料を、押出成形等によって導体の外周に被覆して絶縁層を形成することで製造されている。
【0003】
このような被覆電線が、自動車などの高温雰囲気の環境下で使用される場合には、耐熱老化特性および耐熱変形特性が要求されることから、被覆電線の絶縁層に架橋処理が施されることが多い。また、耐熱老化特性を向上させるために、被覆電線の絶縁層に老化防止剤等を増量添加する場合が多い。
【0004】
上記架橋処理の方法としては、例えば、電子線照射架橋法、化学架橋法、水架橋法等が知られている。このうち、電子線照射架橋法及び化学架橋法は、高価で大型な特殊架橋設備等が必要であり、コストが増大するといった難点があった。そこで、近年では、このような難点がなく、簡便に架橋することが可能な水架橋法が広く用いられている。
【0005】
例えば、特許文献1に記載されるように、架橋剤にシラン化合物を用いた水架橋法が知られている。この水架橋法により被覆電線を製造するには、通常、絶縁樹脂材料にシラン化合物を添加し、それをグラフト化させたシラングラフトバッチと、絶縁樹脂材料の水架橋を促進するための触媒バッチ(老化防止剤などを含む)とを所定量ペレット同士ブレンドする。そして、上記ブレンド物を、押出成形等により導体の外周に絶縁樹脂層として形成した後、高温高湿中あるいは温水中にさらして架橋反応を生じさせる。
【0006】
【特許文献1】特開2004−235117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
被覆電線の絶縁層に老化防止剤等を添加する場合、その添加量が多いほど、耐熱老化特性を向上させることができる。しかしながら、上記水架橋法において、老化防止剤等を触媒バッチに添加する場合には、その添加量が多くなると、老化防止剤等が樹脂表面に析出(ブルーム)しやすくなるという問題があった。また、老化防止剤等をシラングラフトバッチに添加する場合には、シラングラフトバッチに老化防止剤等を混合する際に、一部分で架橋反応が進んでしまい、耐熱老化特性が低下しやすいという問題があった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、安価に耐熱老化特性を向上させることが可能な樹脂組成物および絶縁電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る樹脂組成物は、オレフィン系樹脂にエチレン性不飽和シラン化合物を遊離ラジカル発生剤の存在下でグラフトさせてなるシラングラフトオレフィン系樹脂および/またはオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とを共重合してなるシラン共重合オレフィン系樹脂よりなるシラン変性バッチと、溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマーおよび老化防止剤を含有する老化防止剤バッチと、シラノール縮合触媒とを混練してなることを要旨とするものである。
【0010】
前記シラノール縮合触媒は、前記老化防止剤バッチに含有されていても良い。
【0011】
この場合、前記シラン変性バッチに対する前記老化防止剤バッチの重量比は、40/60〜5/95の範囲内にあることが望ましい。
【0012】
このとき、前記オレフィン系樹脂としては、ポリエチレンまたはポリプロピレンを、前記オレフィンとしては、エチレンまたはプロピレンを、好適に示すことができる。
【0013】
そして、前記ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンから選択される1種又は2種以上を好適に示すことができる。
【0014】
また、前記溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマーとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体およびエチレン−アクリル酸メチル共重合体から選択される1種又は2種以上を好適に示すことができる。
【0015】
この場合、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル量は、15〜50重量%の範囲内にあり、前記エチレン−アクリル酸エチル共重合体のアクリル酸エチル量は、15〜50重量%の範囲内にあり、前記エチレン−アクリル酸メチル共重合体のアクリル酸メチル量は、15〜50重量%の範囲内にあることが望ましい。
【0016】
そして、前記老化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤から選択される1種又は2種以上を好適に示すことができる。
【0017】
この場合、前記溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマー100重量部に対して、前記老化防止剤を5〜50重量部含有していることが望ましい。
【0018】
さらに、前記溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマー100重量部に対して、銅害防止剤を1〜10重量部、および/または亜鉛系化合物を1〜20重量部含有していることが望ましい。
【0019】
一方、本発明に係る被覆電線は、上記樹脂組成物が導体の外周に被覆され、水架橋されてなることを要旨とするものである。
【0020】
この場合、前記導体の外周に被覆された樹脂組成物のゲル分率が50重量%以上であることが望ましい。
【0021】
そして、本発明に係る被覆電線の製造方法は、オレフィン系樹脂にエチレン性不飽和シラン化合物を遊離ラジカル発生剤の存在下でグラフトさせてなるシラングラフトオレフィン系樹脂および/またはオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とを共重合してなるシラン共重合オレフィン系樹脂よりなるシラン変性バッチと、溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマーおよび老化防止剤を含有する老化防止剤バッチと、シラノール縮合触媒とをブレンドする工程と、前記ブレンドされた樹脂組成物を導体の外周に被覆する被覆工程と、被覆された樹脂を水または水蒸気の存在下で水架橋させる架橋工程とを有することを要旨とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る樹脂組成物によれば、溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマーに老化防止剤を添加しているので、老化防止剤が樹脂表面に析出(ブルーム)しにくくなる。また、老化防止剤が添加される老化防止剤バッチには、シラングラフトオレフィン系樹脂やシラン共重合オレフィン系樹脂が含まれていないので、老化防止剤バッチに老化防止剤を分散させる際に、一部架橋反応が進んで耐熱老化特性が低下するおそれはない。そのため、老化防止剤の添加量を多くして、水架橋により安価に耐熱老化特性を向上させることができる。
【0023】
この場合、前記シラン変性バッチに対する前記老化防止剤バッチの重量比が、40/60〜5/95の範囲内にあると、水架橋での架橋度が高く、一層耐熱老化特性に優れる。
【0024】
そして、前記溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマーとして、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体およびエチレン−アクリル酸メチル共重合体から選択される1種又は2種以上を選択すると、樹脂組成物を低コストで製造することができる。
【0025】
この場合、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル量は、15〜50重量%の範囲内にあり、前記エチレン−アクリル酸エチル共重合体のアクリル酸エチル量は、15〜50重量%の範囲内にあり、前記エチレン−アクリル酸メチル共重合体のアクリル酸メチル量は、15〜50重量%の範囲内にあると、各共重合体は、それぞれ溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2の範囲内となりやすいので、老化防止剤バッチでの老化防止剤の添加量を多くすることができる。
【0026】
そして、前記老化防止剤が、フェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤から選択される1種又は2種以上であると、一層耐熱老化特性に優れる。
【0027】
この場合、前記溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマー100重量部に対して、前記老化防止剤を5〜50重量部含有していると、より一層耐熱老化特性に優れる。
【0028】
さらに、前記溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマー100重量部に対して、銅害防止剤を1〜10重量部、および/または亜鉛系化合物を1〜20重量部含有していると、より一層耐熱老化特性に優れる。
【0029】
一方、本発明に係る被覆電線は、上記樹脂組成物が導体の外周に被覆され、水架橋されるので、安価で耐熱老化特性に優れる。そのため、長期にわたって高い信頼性を確保することができる。
【0030】
この場合、前記導体の外周に被覆された樹脂のゲル分率が50重量%以上であると、架橋度が高く、一層耐熱老化特性に優れる。
【0031】
そして、本発明に係る被覆電線の製造方法によれば、溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマーに老化防止剤を添加するので、老化防止剤が樹脂表面に析出(ブルーム)しにくくなる。また、老化防止剤が添加される老化防止剤バッチには、シラングラフトオレフィン系樹脂やシラン共重合オレフィン系樹脂が含まれていないので、老化防止剤バッチに老化防止剤を分散させる際に、一部架橋反応が進んで耐熱老化特性が低下するおそれはない。そのため、老化防止剤の添加量を多くすることができるので、水架橋法により、安価で耐熱老化特性に優れる被覆電線を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0033】
本発明に係る樹脂組成物は、架橋性のシラン変性バッチと、老化防止剤バッチと、シラノール縮合触媒とを混練してなる。シラノール縮合触媒は、老化防止剤バッチに含まれていても良いし、ポリオレフィンなどの他のポリマーとともに触媒バッチとして添加されるのでも良い。
【0034】
シラン変性バッチと老化防止剤バッチの混合比率は、重量比で、老化防止剤バッチ/シラン変性バッチ=40/60〜5/95の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、25/75〜10/90の範囲内である。シラン変性バッチの量が60重量%未満では、この樹脂組成物を例えば導体の外周に被覆した後、水架橋させたときの架橋度が低くなりやすく、耐熱老化特性が低下しやすいからである。一方、老化防止剤バッチが5重量%未満では、老化防止剤の量が少なくなるので、耐熱老化特性が低下しやすいからである。また、後述するように、老化防止剤バッチにシラノール縮合触媒が含まれる場合には、シラノール縮合触媒の量が少なくなって架橋度が低くなりやすいからである。
【0035】
シラン変性バッチは、架橋性のシラングラフトオレフィン系樹脂や架橋性のシラン共重合オレフィン系樹脂よりなる。シラン変性バッチは、これらのうちいずれかよりなるものであっても良いし、両方よりなるものであっても良い。ここでいう架橋性とは、架橋可能なことをいい、後述する水架橋法によりシラン架橋することをいう。
【0036】
シラングラフトオレフィン系樹脂とは、オレフィン系樹脂にエチレン性不飽和シラン化合物を遊離ラジカル発生剤の存在下でグラフトさせてなるものであり、遊離ラジカル発生剤の分解温度以上に加熱することによって得られる。グラフト量は、0.1〜5重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0037】
オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンや、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体などのエチレン系共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−アクリル酸エステル共重合体、プロピレン−メタクリル酸エステル共重合体などのプロピレン系共重合体などを例示することができる。これらは、単独で用いても良いし、併用しても良い。好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体である。
【0038】
ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などを例示することができる。これらは、単独で用いても良いし、併用しても良い。
【0039】
エチレン性不飽和シラン化合物としては、オレフィン系樹脂の分子間を架橋することができる、いわゆるシランカップリング剤を使用することができる。例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニルアルコキシシランや、ビニルアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどを例示することができる。これらは、1種または2種以上併用しても良い。
【0040】
遊離ラジカル発生剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ブチルパーアセテート、tert−ブチルパーベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどの有機過酸化物などを例示することができる。
【0041】
遊離ラジカル発生剤の量は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部の範囲内であることが好ましい。存在させる遊離ラジカル発生剤の量が少な過ぎるとエチレン性不飽和シラン化合物グラフト量が少なくなり、多すぎると目的としない架橋反応が進行しやすくなり、樹脂の加工性や被覆した樹脂の外観が悪化しやすくなるからである。
【0042】
シラングラフトオレフィン系樹脂は、例えば、オレフィン系樹脂と、エチレン性不飽和シラン化合物と、遊離ラジカル発生剤とを二軸押出機などで溶融混練することにより製造することができる。
【0043】
シラン共重合オレフィン系樹脂とは、オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とを共重合してなるものである。オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテンなどを例示することができる。エチレン性不飽和シラン化合物の共重合量は、0.1〜15重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0044】
シラン共重合オレフィン系樹脂には、オレフィンの他に、共重合可能な化合物を含有していても良い。共重合可能な化合物としては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどを例示することができる。
【0045】
シラン変性バッチを形成するシラングラフトオレフィン系樹脂やシラン共重合オレフィン系樹脂は、オレフィン系樹脂に架橋性のシラン部位を付加させているので、通常、溶解度パラメータ(SP)が16〜17(M/m1/2の範囲内になることが多い。
【0046】
老化防止剤バッチは、少なくとも、溶解度パラメータが17〜18(M/m1/2のポリマーおよび老化防止剤を含有している。上記ポリマーの溶解度パラメータが17(M/m1/2未満では、老化防止剤バッチの老化防止剤がブルームしやすくなり、所望の耐熱老化特性が得られにくいからであり、18(M/m1/2を超えると、シラン変性バッチと相溶性が悪くなりやすく、老化防止剤の分散が悪くなって、所望の耐熱老化特性が得られにくいからである。
【0047】
溶解度パラメータが17〜18(M/m1/2の樹脂としては、エチレン、プロピレンなどのオレフィンと、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどのモノマーとの共重合体などを例示することができる。オレフィンは、1種または2種以上併用しても良い。また、酢酸ビニルなど、オレフィンと共重合させるモノマーも、1種または2種以上併用しても良い。2種以上併用する場合、3種以上のモノマーからなる共重合体となる。
【0048】
具体的には、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−アクリル酸エチル共重合体、プロピレン−アクリル酸メチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸エチル共重合体、プロピレン−メタクリル酸メチル共重合体などを例示することができる。これらは、1種または2種以上併用しても良い。
【0049】
上記オレフィンと共重合させるモノマー量は、15〜50重量%の範囲内にあることが好ましい。溶解度パラメータが17〜18(M/m1/2の範囲内となりやすいからである。
【0050】
老化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤などを例示することができる。これらは、1種または2種以上併用しても良い。老化防止剤を添加する老化防止剤バッチには、上記溶解度パラメータが17〜18(M/m1/2のポリマーが含まれるので、従来よりも老化防止剤の添加量を多くすることができる。老化防止剤は、その添加量が多いほど、耐熱老化特性を向上させることができるが、多くなるに伴い老化防止剤バッチにおいてブルームしやすくなる。そのため、溶解度パラメータが17〜18(M/m1/2のポリマー100重量部に対して、5〜50重量部の範囲内とすることが好ましい。より好ましくは、10〜30重量部の範囲内である。
【0051】
フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、ベンゼンプロパン酸,3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート、3,3’,3”,5,5’5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、カルシウムジエチルビス[[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォネート]、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[2−(3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピノキ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどが挙げられ、これらは1種または2種以上併用して用いても良い。
【0052】
このうち、特に好ましいのは、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンである。
【0053】
イオウ系酸化防止剤としては、イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物、スルフェンアミド系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバミン酸塩系化合物、キサントゲン酸塩系化合物などが挙げられ、これらは1種または2種以上併用して用いても良い。なお、本発明にいうイミダゾール系化合物はイオウ(S)原子を含んでいる。
【0054】
上記イミダゾール系化合物としては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、4−メルカプトメチルベンズイミダゾール、5−メルカプトメチルベンズイミダゾールなどやこれらの亜鉛塩などが挙げられる。
【0055】
また、上記チアゾール系化合物としては、2−メルカプトベンズチアゾール、ジ−2−ベンズチアゾ−ルジスルフィド、2−メルカプトベンズチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンズチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンズチアゾール、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンズチアゾールなどが挙げられる。
【0056】
また、上記スルフェンアミド系化合物としては、N−シクロヘキシル−2−ベンズチアゾールスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンズチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンズチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンズチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンズチアゾールスルフェンアミドなどが挙げられる。
【0057】
また、上記チウラム系化合物としては、テトラメチルチウラムモノスルファイド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィドなどが挙げられる。
【0058】
また、上記ジチオカルバミン酸塩系化合物としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛などが挙げられる。
【0059】
また、上記キサントゲン酸塩系化合物としては、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛などが挙げられる。
【0060】
上記イオウ系酸化防止剤のうち、特に好ましいのは、イミダゾール系化合物であり、より具体的には、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトメチルベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩である。
【0061】
シラノール縮合触媒としては、上記エチレン性不飽和シラン化合物のシラノール間を脱水縮合しうるものを好適に用いることができる。例えば、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属カルボン酸塩や、チタン酸エステル、有機塩基、無機酸、有機酸などを例示することができる。
【0062】
具体的には、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、酢酸第一錫、カプリル酸第一錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、チタン酸テトラブチルエステル、チタン酸テトラノニルエステル、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、酢酸、ステアリン酸、マレイン酸などを例示することができる。
【0063】
シラノール縮合触媒の量は、上記シラングラフトオレフィン系樹脂、上記シラン共重合オレフィン系樹脂またはこれらの混合樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、0.01〜0.5重量部の範囲内である。0.001重量部未満では、架橋度が低下しやすく、所望の耐熱老化特性が得られにくいからである。一方、1重量部を超えると、被覆した樹脂の外観が悪くなりやすく、また、引張強度が低下しやすくなるからである。
【0064】
本発明に係る樹脂組成物において、老化防止剤バッチには、さらに銅害防止剤が含まれていても良い。このとき、銅害防止剤の量は、上記溶解度パラメータが17〜18(M/m1/2のポリマー100重量部に対して、1〜10重量部の範囲内にあることが好ましい。銅害防止剤としては、例えば、シュウ酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドラジン誘導体などを例示することができる。
【0065】
また、本発明に係る樹脂組成物において、老化防止剤バッチには、必要に応じて、難燃剤、加工助剤、着色剤、無機充填剤などを適宜添加しても良い。
【0066】
本発明に係る樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、シラン変性バッチと、老化防止剤バッチとを通常のタンブラーなどでドライブレンドしたり、あるいは、バンバリミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールなどの通常の混練機で溶融混練して均一に分散させることにより当該組成物を得ることができる。
【0067】
老化防止剤バッチは、シラン変性バッチと混練される前に、あらかじめ調製されていると良い。老化防止剤バッチの調製は、例えば、溶解度パラメータが17〜18(M/m1/2のポリマーおよび老化防止剤と、必要に応じて他の添加剤とを配合し、二軸押出機などで溶融混練することにより行なうことができる。このとき、シラノール縮合触媒を配合しても良い。
【0068】
次に、本発明に係る被覆電線およびその製造方法について説明する。
【0069】
本発明に係る被覆電線は、導体の外周に上記樹脂組成物が被覆され、この被覆された樹脂が水架橋されたものからなる。導体は、その導体径や導体の材質など、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。また、絶縁被覆材の厚さについても、特に制限はなく、導体径などを考慮して適宜定めることができる。
【0070】
本発明に係る被覆電線の被覆樹脂のゲル分率は、50重量%以上であることが好ましい。より好ましくは、60重量%以上である。ゲル分率は、被覆樹脂の架橋度を示す指標であり、ゲル分率が低いと架橋度が低くなりやすく、耐熱変形特性が低下しやすいからである。
【0071】
本発明に係る被覆電線を製造するには、少なくとも、上記シラン変性バッチと上記老化防止剤バッチとをブレンドするブレンド工程と、ブレンドされた上記樹脂組成物を導体の外周に被覆する被覆工程と、導体の外周に被覆された樹脂を水架橋させる架橋工程とを経る。
【0072】
ブレンド工程では、上記シラン変性バッチと上記老化防止剤バッチとをブレンドする。ブレンドは、ペレット同士を混ぜることで、ミキサーによるブレンドや、被覆工程の際に押出機のホッパー上で両者を一定の割合で連続秤量落下させることでもできる。
【0073】
被覆工程では、通常の押出成形機などを用いて押出被覆などを行なうと良い。そして、被覆工程の後、架橋工程では、導体の外周に樹脂を被覆した電線の被覆樹脂を水蒸気あるいは水にさらすことにより行なうと良い。このとき、常温〜90℃の温度範囲内で、48時間の範囲内で行なうことが好ましい。より好ましくは、温度が60〜80℃の範囲内であり、12〜24時間の範囲内である。
【0074】
被覆樹脂のゲル分率(架橋度)は、オレフィン系樹脂へのエチレン性不飽和シラン化合物のグラフト量や共重合量、シラノール縮合触媒の種類や量、水架橋条件(温度や時間)などにより調整することができる。
【実施例】
【0075】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0076】
(供試材料および製造元など)
本実施例および比較例において使用した供試材料を製造元、商品名などとともに示す。
【0077】
(A)シラン変性バッチ
・シラングラフト低密度ポリエチレン(Si−g−LDPE)[三菱化学(株)製、商品名「XCF800N」、SP=16.6]
・シラングラフト高密度ポリエチレン(Si−g−HDPE)[三菱化学(株)製、商品名「XHE740N」、SP=16.6]
【0078】
(B)老化防止剤バッチ
・エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)[三井・デュポンポリケミカル(株)製 、商品名「P1007」、酢酸ビニル含有率10%、SP=16.8]
・エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)[三井・デュポンポリケミカル(株)製 、商品名「EV360」、酢酸ビニル含有率25%、SP=17.3]
・エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)[三井・デュポンポリケミカル(株)製 、商品名「A709」、アクリル酸エチル含有率34%、SP=17.6]
・ポリスチレン(PS)[日本ポリスチレン(株)製、商品名「G899」、SP=18.5]
・ポリ塩化ビニル(PVC)[新第一塩ビ(株)製、商品名「ZEST 1300Z」、SP=19.6]
・フェノール系老化防止剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名「イルガノックス1010」]
・硫黄系老化防止剤[シプロ化成(株)製、商品名「シーノックス412S」]
・銅害防止剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、商品名「イルガノックスMD1024」]
・シラノール縮合触媒[三共有機(株)製、商品名「スタンBL」]
(C)その他
・三菱化学(株)製、商品名「LZ033」(比較例1の触媒バッチとして用いた。)
【0079】
(測定方法)
・ゲル分率
JASO D 608に基づいてゲル分率を測定した。すなわち、絶縁体試料約0.1gを精秤する。これを試験管にいれ、キシレン20mLを加えて、120℃の恒温油槽中で24時間加熱する。その後試料を取り出し、100℃の乾燥器内で6時間乾燥した後、常温になるまで放冷してから、その質量を精秤する。試験前の質量に対する質量百分率をもってゲル分率とした。50重量%以上が合格である。
【0080】
・熱老化試験
JASO D 608に基づいて熱老化試験を行なった。すなわち、120℃10000時間に相当する160℃520時間、180℃144時間の熱老化試験を実施した。その後、自己径のマンドレル(棒)に10周巻き付け、絶縁体に亀裂が入った場合を耐熱老化特性に劣るとし、「×」とした。
【0081】
(老化防止剤バッチの調製)
表1に示す化合物を2軸押出混練機に加え、混練した後、ペレットを作製した。このペレットを常温で30日間放置した後、振動機内で振動させて表面にブルームした老化防止剤、銅害防止剤をペレットから分離し、篩にかけて篩上のペレットを老化防止剤バッチとした。
【0082】
(被覆電線の作製)
シラン変性バッチと老化防止剤バッチとを2軸押出混練機に加え、混練した後、0.32mm径の銅線を37本撚り合わせた導体(断面積約3mm)上に0.6mm厚に押出被覆した。その後、80℃の100%水蒸気で24時間架橋処理を施して被覆電線を作製した。
【0083】
得られた各被覆電線について、ゲル分率の測定および熱老化試験を実施した。その結果を表1に示す。表1において、(B)老化防止剤バッチの各成分の量は、重量部で表されている。また、(A)シラン変性バッチ、(B)老化防止剤バッチ、(C)その他、の量は、重量%で表されている。なお、実施例および比較例に係る被覆電線は、いずれもゲル分率が50%以上の架橋度が良好な被覆を有している。
【0084】
【表1】

【0085】
表1に示すように、比較例に係る被覆電線は、熱老化試験において絶縁体に亀裂が入ったため、耐熱老化特性に劣ることが分かる。これは、比較例1では、老化防止剤の量が少ないためであると考えられる。比較例2では、老化防止剤バッチのベースポリマーにSP値が17未満のポリマーを用いているので、老化防止剤や銅害防止剤がブルームしたためと考えられる。比較例3および4では、老化防止剤バッチのベースポリマーにSP値が18を超えているポリマーを用いているので、シラン変性バッチと老化防止剤バッチとの相溶性が悪くなったためと考えられる。
【0086】
これに対し、実施例に係る被覆電線は、熱老化試験において絶縁体に亀裂が入らなかった。その結果、耐熱老化特性に優れることを確認した。これは、老化防止剤バッチのベースポリマーにSP値が17〜18の範囲にあるポリマーを用いているので、老化防止剤や銅害防止剤がブルームしなかったためと考えられる。
【0087】
そして、水架橋により長期に安定した耐熱老化特性を発揮する樹脂組成物を被覆材に用いて被覆電線を製造することができるので、例えば電子線照射架橋法や化学架橋法のような高価で大型な特殊架橋設備などが必要なく、安価で耐熱老化特性に優れる被覆電線を製造することができる。
【0088】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン系樹脂にエチレン性不飽和シラン化合物を遊離ラジカル発生剤の存在下でグラフトさせてなるシラングラフトオレフィン系樹脂および/またはオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とを共重合してなるシラン共重合オレフィン系樹脂よりなるシラン変性バッチと、溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマーおよび老化防止剤を含有する老化防止剤バッチと、シラノール縮合触媒とを混練してなることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記シラノール縮合触媒は、前記老化防止剤バッチに含まれていることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記シラン変性バッチに対する前記老化防止剤バッチの重量比は、40/60〜5/95の範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記オレフィン系樹脂は、ポリエチレンまたはポリプロピレンであり、前記オレフィンは、エチレンまたはプロピレンであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記ポリエチレンは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンおよび直鎖状低密度ポリエチレンから選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマーは、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体およびエチレン−アクリル酸メチル共重合体から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル量は、15〜50重量%の範囲内にあり、前記エチレン−アクリル酸エチル共重合体のアクリル酸エチル量は、15〜50重量%の範囲内にあり、前記エチレン−アクリル酸メチル共重合体のアクリル酸メチル量は、15〜50重量%の範囲内にあることを特徴とする請求項6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記老化防止剤は、フェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマー100重量部に対して、前記老化防止剤を5〜50重量部含有していることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマー100重量部に対して、さらに銅害防止剤を1〜10重量部、および/または亜鉛系化合物を1〜20重量部含有していることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の樹脂組成物が、導体の外周に被覆され、水架橋されてなることを特徴とする被覆電線。
【請求項12】
前記導体の外周に被覆された樹脂組成物のゲル分率が50重量%以上であることを特徴とする請求項11に記載の被覆電線。
【請求項13】
オレフィン系樹脂にエチレン性不飽和シラン化合物を遊離ラジカル発生剤の存在下でグラフトさせてなるシラングラフトオレフィン系樹脂および/またはオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とを共重合してなるシラン共重合オレフィン系樹脂よりなるシラン変性バッチと、溶解度パラメータが17〜18(MJ/m1/2のポリマーおよび老化防止剤を含有する老化防止剤バッチと、シラノール縮合触媒とをブレンドする工程と、
前記ブレンドされた樹脂組成物を導体の外周に被覆する被覆工程と、
被覆された樹脂を水または水蒸気の存在下で水架橋させる架橋工程とを有することを特徴とする被覆電線の製造方法。

【公開番号】特開2008−179673(P2008−179673A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12997(P2007−12997)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】