説明

樹脂被覆金属材及びその製造方法

【課題】優れた成形性と高耐熱黄変性を有するアルミニウム電解コンデンサケース用樹脂被覆金属材を提供する。
【解決手段】金属材2と、その上に被覆された樹脂層3とからなる樹脂被覆金属材であって、前記樹脂層は2〜22μmの厚さを有し、かつ、酸化防止剤4を含有しており、前記金属材との界面から0.2〜4μmの厚さ部分における前記酸化防止剤の濃度が0.01〜0.25重量%であり、当該部分の厚さが樹脂層全体の厚さの5〜50%であり、当該樹脂層の残余の部分における前記酸化防止剤の濃度が0.4〜7.5重量%であることを特徴とする樹脂被覆金属材、ならびに、その製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形性と耐熱黄変性に優れた樹脂被覆金属材に関し、特に、過酷な成形過程を経てリフロー炉にて高温に加熱されることにより、成形性と高耐熱黄変性が要求されるアルミニウム電解コンデンサケース用の樹脂被覆金属材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アルミニウム電解コンデンサケース(以下、単に「コンデンサケース」と記す)に用いられ、成形性に優れる樹脂被覆アルミニウム合金板材が記載されている。この樹脂被覆アルミニウム合金板材は、ポリエチレンワックス及びカルナバワックスの少なくとも1種を用いたワックスを含む樹脂層を有する。樹脂層表面に対して垂直な断面厚さである樹脂層厚さは、2μm以上22μm以下である。樹脂層表面における長さ100μmの任意の一の直線が切断するワックス粒子長さの和は10μm以上である。この100μmの一の直線を一辺とする樹脂層断面層には、樹脂層厚さの80%以下であって、0.1μm以上である長径部分を備える断面形状のワックス粒子が、3個以上50個以下存在し、かつ、樹脂層厚さの80%を超える長さの長径部分を備えるワックス粒子が10個未満存在する。この樹脂被覆アルミニウム合金板材をコンデンサケースに用いた場合には、成形性には優れているものの、リフロー炉で加熱すると黄変してしまう問題があった。
【0003】
特許文献2には、耐黄変性の水性塗料組成物が塗布された金属板が記載されている。この水性塗料組成物は、水性アクリル樹脂20〜80重量部、水性アミノ樹脂15〜50重量部、エポキシ化合物にアミンを付加させたアミン変性エポキシ樹脂5〜30重量部、ならびに、ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.1〜10重量部、を含む。この金属板をコンデンサケースとして用いた場合には、膜厚によっては耐熱黄変性が不足したり、成形後樹脂層が剥離したりする問題があった。
【0004】
特許文献3には、図2に示すように、劣化防止剤4を表面部分7より内部6に高濃度で含有する被覆樹脂層3を備えた耐候性に優れた樹脂被覆材料1が記載されている。劣化防止剤4を添加した樹脂層3と金属板2の界面5との間にプライマー8を形成することによって、金属板2との接着性を向上させることができる。しかしながら、プライマー8中には劣化防止剤4は添加されておらず、プライマー8の厚さが厚いので(実施例では30μm)、コンデンサケースのような過酷な成形条件においては、十分な成形性が得られず耐熱黄変性も不足する問題があった。
【0005】
特許文献4には、金属板上に形成された複数の樹脂層において、金属板に近い方の樹脂層に紫外線吸収剤などの劣化防止剤を添加しない層を形成することが記載されている。しかしながら、劣化防止剤が添加されていない層によって十分な成形性は得られても、耐熱黄変性が十分でない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−168557号公報
【特許文献2】特開平07−138522号公報
【特許文献3】特開平05−031857号公報
【特許文献4】特開2007−055137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題点に鑑み、本発明は、コンデンサケースに要求されるような高い耐熱黄変性を有し、かつ、成形性に優れた樹脂被覆金属材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は成形性と耐熱黄変性を高いレベルで両立させることを目的とし、金属材との界面から所定の厚さ部分と残余の部分の樹脂層における酸化防止剤の濃度を制御することによりこの目的を達成するものである。つまり、金属材との界面から所定厚さ部分の樹脂層における酸化防止剤濃度を残余の部分のものよりも低濃度にするとともに、この所定厚さを限定することにより、酸化防止剤による樹脂層と金属板の密着性の低下を軽減させるものである。残余部分は密着性への寄与が少ないため、より多くの酸化防止剤を添加することができるので、樹脂層に十分な耐熱黄変性と成形性を付与することが可能となる。
【0009】
本発明は請求項1において、金属材と、その上に被覆された樹脂層とからなる樹脂被覆金属材であって、前記樹脂層は2〜22μmの厚さを有し、かつ、酸化防止剤を含有しており、前記金属材との界面から0.2〜4μmの厚さ部分における前記酸化防止剤の濃度が0.01〜0.25重量%であり、当該部分の厚さが樹脂層全体の厚さの5〜50%であり、当該樹脂層の残余の部分における前記酸化防止剤の濃度が0.4〜7.5重量%であることを特徴とする樹脂被覆金属材とした。
【0010】
本発明は請求項2において、前記樹脂層を二層から構成し、前記樹脂層の金属材との界面から0.2〜4μmの厚さ部分を第1の樹脂層から構成するものとし、前記樹脂層の残余の部分を第2の樹脂層から構成するものとした。また、本発明は請求項3において、前記樹脂層を一層から構成するものとした。
【0011】
本発明は請求項4において、樹脂層のベース樹脂がエポキシ系樹脂及びポリエステル系樹脂の少なくとも1種を含有するものとし、請求項5、6において、酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤の少なくとも1種を含有するものとした。
【0012】
本発明は請求項7において、ベース樹脂と、当該ベース樹脂との合計固形分100重量部に対して0.01〜0.25重量部の酸化防止剤とを含有する塗料を前記金属材の表面に塗布した後、焼付けることによって、0.2〜4μmの厚さと0.01〜0.25重量%の酸化防止剤濃度を有する第1の樹脂層を形成する段階と、ベース樹脂と、当該ベース樹脂との合計固形分100重量部に対して0.4〜7.5重量部の酸化防止剤とを含有する塗料を前記第1の樹脂層の表面に塗布した後、焼付けることによって、0.4〜7.5重量%の酸化防止剤濃度を有する第2の樹脂層を形成する段階とを備え、前記第1の樹脂層と第2の樹脂層との厚さの総和が2〜22μmであり、前記第1の樹脂層の厚さが樹脂層厚さの総和の5〜50%であることを特徴とする樹脂被覆金属材の製造方法とした。
【0013】
本発明は請求項8において、ベース樹脂と、当該ベース樹脂との合計固形分100重量部に対して0.01〜0.25重量部の酸化防止剤とを含有する第1の塗料を金属材の表面に塗布し、ベース樹脂と、当該ベース樹脂との合計固形分100重量部に対して0.4〜7.5重量部の酸化防止剤とを含有する第2の塗料を前記塗布された第1の塗料上に塗布した後、焼付けることによって、0.2〜4μmの厚さと0.01〜0.25重量%の酸化防止剤濃度を有する第1の塗料の硬化部分と、0.4〜7.5重量%の酸化防止剤濃度を有する第2の塗料の硬化部分とから成る単一の樹脂層を形成し、前記第1の塗料の硬化部分の厚さが樹脂層厚さの5〜50%であることを特徴とする樹脂被覆金属材の製造方法とした。
【0014】
本発明は請求項9において、樹脂層のベース樹脂が、エポキシ系樹脂及びポリエステル系樹脂の少なくとも1種を含有するものとした。更に、本発明は請求項10、11において、前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤の少なくとも1種を含有するものとした。
【発明の効果】
【0015】
本発明の樹脂被覆金属材料は、コンデンサケースに要求されるような高い耐熱黄変性と優れた成形性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る樹脂被覆金属板の構成を示す模式図である。
【図2】従来の樹脂被覆材料の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(1)樹脂の黄変メカニズム
一般に、樹脂は熱を加えることによって酸化劣化する。そのメカニズムはラジカル連鎖反応である。酸素存在下において樹脂を構成する有機高分子化合物に熱を加えると、高分子中に酸素ラジカルが発生し、この酸素ラジカルが高分子中の二重結合に隣接する炭素上の水素を引き抜き、二重結合に共役したラジカルを生成させる。このラジカルは酸素と反応して過酸化物ラジカルを生成し、同様に他高分子の二重結合に隣接する炭素上の水素を引き抜き、新たなラジカルを生成させ自身は過酸化物となる。この過酸化物は過酸化水素が脱離して共役二重結合が伸びたり、水が生成してケトンとなったりする。この共役二重結合を形成すると、通常の樹脂の場合、紫外領域にある光の吸収波長が長波長側にシフトし、可視領域、特に青紫色の吸収ピークを持つので、相対的に黄色が強くなり、共役二重結合が僅かな量であっても黄変して見える。
【0018】
酸化防止剤は、反応中において高分子中に発生したラジカルを無効化したり、発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生したりしないようにする効果を有する。酸化防止剤によってラジカル連鎖反応を抑制することができるため、黄変もまた抑制することが可能となる。
【0019】
(2)樹脂被覆金属材の構成
図1に示すように、本発明に係る樹脂被覆金属材1は、金属材2と、その上に被覆された樹脂層3とからなる。樹脂層3は酸化防止剤4を含有し、2〜22μmの全体厚さを有する。樹脂層3は、金属材2との界面から所定厚さの部分6と残余の部分7から成る。樹脂層3において、部分6の界面5からの厚さは0.2〜4μmであり、酸化防止剤4の濃度は0.01〜0.25重量%である。当該部分6の厚さは、樹脂層3全体の厚さの5〜50%である。樹脂層3の残余の部分7における酸化防止剤4の濃度は0.4〜7.5重量%である。
【0020】
(2−1)金属材
本発明で用いられる金属材は、上記のようにコンデンサケース材として用いることができ、その場合使用される金属材はアルミニウム板である。アルミニウム板としては、純アルミニウム板とアルミニウム合金を用いることができ、1100、3003、3004系などが好適に用いることができる。金属板の厚さは、0.2〜0.5mmが好ましい。アルミニウム板には下地処理を施すのが好ましい。下地処理としては、従来アルミニウム板に施されるリン酸クロメート処理の他に塗布型クロメート処理やノンクロメート処理を用いることができる。ノンクロメート処理としては反応型リン酸ジルコニウム処理、リン酸チタニウム処理のほか、塗布型ジルコニウム処理などを用いることができる。なお、下地処理の前に、通常の、アルカリ脱脂処理とその後の水洗処理を行なうのが好ましい。
またアルミニウム板だけでなく、鋼板やステンレス板に適用することができ、例えば暖房器具、調理器具などの高温強度や耐酸化性が必要な部材に使用可能である。鋼板としては、冷延鋼板、熱延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、錫めっき鋼板などが用いられる。
【0021】
(2−2)樹脂層のベース樹脂
樹脂層のベース樹脂は、用途に合わせて適宜選択される。高い成形性が要求される場合には、エポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂を用いるのが好ましい。樹脂を混合して層を形成する場合は、添加比を特に規定するものではない。エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールA型やビスフェノールF型などのグリシジルエーテル型、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル型、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン型、3,4−エポキシシクロヘキサシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどの環状オキシラン型が用いられる。ポリエステル系樹脂としては、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂及び変成アルキド樹脂等が用いられる。アルキド樹脂は、無水フタル酸などの多塩基酸とグリセリンなどの多価アルコールとの縮合物を骨格とし、これを脂肪酸の油脂で変性したものである。不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和多塩基酸又は飽和多塩基酸とグリコール類をエステル化することによって合成される。多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及びアジピン酸が用いられ、グリコール類としては、プロピレングリコールが多く用いられる。変成アルキド樹脂としては、天然樹脂、フェノール樹脂又はスチレンなどの重合性モノマーで変成されたものが用いられる。また、塩化ビニル系樹脂を用いてもよく、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合樹脂などが用いられる。
【0022】
エポキシ系樹脂硬度の増進又は硬化反応を促進若しくは制御するために、硬化剤を用いてもよい。エポキシ系樹脂の硬化剤としては、ユリア樹脂又はアクリル樹脂が好適に用いられる。これらは、他の硬化剤に比べて成形性に優れるためである。ユリア樹脂としてはブチル化ユリア樹脂、ブチル化ユリアメラミン樹脂などが用いられ、アクリル樹脂としてはメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸メチルなどが用いられる。また、ポリエステル系樹脂の硬化剤としては、メラミン樹脂又はイソシアネート樹脂が好ましい。エポキシ樹脂の硬化剤と同様に、これらの硬化剤も他の硬化剤に比べて成形性に優れる。メラミン樹脂としてはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミンが用いられる。イソシアネート樹脂としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなど、またはこれらのジイソシアネートをビューレット変性、アダクト変性、イソシアヌレート変性させた樹脂が用いられる。硬化剤であるユリア樹脂及びアクリル樹脂は、エポキシ系樹脂との総量に対して5〜30wt%含有され、硬化剤であるメラミン樹脂又はイソシアネート樹脂は、ポリエステル系樹脂との総量に対して5〜30wt%含有されるのが好ましい。
【0023】
エポキシ系樹脂とポリエステル系樹脂は、本発明で用いられるような薄い厚さの樹脂層に形成した際には、一般に光を透過してほぼ無色透明である。そのため、樹脂が熱によって酸化劣化すると、明確に黄変が認められる。層が厚く光を透過しない、またはもとより着色している場合は、樹脂が酸化劣化しても色の変化が認識し難い場合がある。
【0024】
(2−3)酸化防止剤
本発明において、耐熱黄変性を向上させるために酸化防止剤が用いられる。樹脂層中に配合される酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられ、特にフェノール系酸化防止剤が、成形品の耐熱黄変性に優れるので好ましい。フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリ(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアネート、2,4,−ビス[(オクチルチオ)メチル]−O-クレゾール、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3-(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、又はこれらの誘導体が挙げられる。
【0025】
リン系酸化防止剤としては、トリ(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、4、4’−ブチリデン-ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシルホスファイト)、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、又はこれらの誘導体が挙げられる。
【0026】
硫黄系酸化防止剤としては、チオビス(N-フェニル-β-ナフチルアミン、2−メルカプトベンチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルイソプロピルキサンテート、又はそれらの誘導体が挙げられる。
【0027】
(2−4)金属材との界面側部分の厚さと酸化防止剤濃度
成形性に最も大きな影響を及ぼすのは、金属材との界面から所定厚さ部分における樹脂層における酸化防止剤濃度である。この部分の酸化防止剤濃度は0.01〜0.25重量%、好ましくは0.05〜0.2重量%である。酸化防止剤濃度が0.25重量%を超えると、金属板との密着性が低下し十分な成形性が得られない。また、酸化防止剤濃度が0.01重量%未満であると十分な耐熱黄変性が得られない。
【0028】
金属材との界面からの所定厚さとは、界面から0.2〜4μmの厚さである。この部分の厚さは全樹脂層厚さの5〜50%であり、好ましくは10〜25%以下である。この厚さが0.2μm未満、又は全樹脂層の厚さの5%未満では、残余の部分が成形性に及ぼす影響が大きくなり、この部分の酸化防止剤濃度を0.01〜0.25重量%にしても十分な成形性が得られない。この部分の厚さが4μmを超えるか、又は全樹脂層の厚さの50%を超えると、この部分の酸化防止剤濃度が0.01〜0.25重量%であることから、樹脂層全体に及ぼす耐熱黄変性への影響が小さくなり十分な耐熱黄変性が得られない。
【0029】
(2−5)残余の部分の酸化防止剤濃度
金属材との界面からの所定厚さ部分に対する残余部分における酸化防止剤濃度は、0.4〜7.5重量%である。成形性の観点から好ましいのは、5.0重量%以下の場合である。一方、耐熱黄変性の観点から好ましいのは、残余の部分の単位膜厚(μm)当たりの酸化防止剤濃度が0.2重量%以上の場合である。残余部分に7.5重量%を超える酸化防止剤が添加される場合には、酸化防止剤濃度が高過ぎるため塗膜中の樹脂濃度が低下し、樹脂そのものが塗装材に付与する高成形性、高耐溶剤性などの塗膜性能が低下する。その結果、成形性が不足する。また、0.4重量%未満の酸化防止剤が添加される場合には、酸化防止剤濃度が低過ぎるため耐熱黄変性が低下する。
【0030】
全樹脂層厚さは、2〜22μm、好ましくは4〜12μmである。全樹脂層厚さが2μm未満では樹脂層が伸ばされた際に破断し易くなり成形性に劣る。一方、全樹脂層厚さが22μmを超えると一般的なコンデンサケース金型で成形した場合、ポンチとダイスのクリアランスが不足して面圧が大きくなり過ぎる。その結果、例えワックスを添加しても潤滑効果が不足して樹脂層が損傷するので、これもまた成形性に劣る。
また、前述のように黄変は樹脂の酸化劣化によって生成した共役二重結合により、紫外領域にある樹脂の光の吸収波長が青紫から紫色の可視光領域となることによって起きる。このとき補色となる黄色が相対的に強くなるので、酸化劣化が進むほど黄変が強くなる。さらに、ランベルト・ベールの法則により、吸光度が移動する光の距離に比例するので、樹脂層厚さが厚いほど黄変程度が激しくなる。したがって、ある樹脂層厚さにおいての酸化防止剤濃度が有効であったとしても、樹脂層厚さが厚くなると十分な効果が得られない場合があった。種々の厚さを有する第2樹脂層に酸化防止剤を添加して、樹脂層厚さと黄変程度を調査した結果、単位樹脂層厚さあたり0.2重量%以上添加することが好ましいことが分かった。
【0031】
(3)製造方法
(3−1)樹脂層が二層から成る場合
本発明に用いる樹脂層を製造する第1の方法としては、樹脂層を二層から成るように形成する方法が挙げられる。この方法は、金属材との界面からの所定厚さ部分として、まず第1の樹脂層を形成し、次いで、第1の樹脂層上に残余部分として第2の樹脂層を形成する方法である。第1の樹脂層用の塗料は、ベース樹脂と酸化防止剤とを含有する。また第1の樹脂層用の塗料にエポキシ系樹脂及びポリエステル系樹脂の少なくとも1種をベース樹脂として用いるのが耐熱黄変性の観点から好ましい。酸化防止剤は、ベース樹脂との合計固形分100重量部に対して0.01〜0.25重量%加えられる。塗料の溶媒には、キシレン、2−ブタノンなどの有機溶剤や水が用いられる。前述の濃度である第1の樹脂層のベース樹脂と酸化防止剤を、ベース樹脂固形分100重量部に対して溶媒250〜300重量部に溶解又は分散させて塗料とする。この塗料を金属材の表面に塗布し、200〜350℃で20〜45秒間焼付けることによって、0.2〜4μmの厚さと0.01〜0.25重量%の酸化防止剤濃度を有する第1の樹脂層を形成する。
【0032】
第2の樹脂層用の塗料も、ベース樹脂と酸化防止剤とを含有する。これまたエポキシ系樹脂及びポリエステル系樹脂の少なくとも1種をベース樹脂として用いるのが好ましい。酸化防止剤は、ベース樹脂との合計固形分100重量部に対して0.4〜7.5重量%加えられる。この塗料の溶媒にも、キシレン、2−ブタノンなどの有機溶剤や水が用いられる。前述の濃度である第2の樹脂層のベース樹脂と酸化防止剤を、溶媒250〜300重量部に溶解又は分散させて塗料とする。焼付けた第1樹脂層の表面にこの塗料を塗布し、200〜350℃で20〜45秒間焼付けることによって、0.4〜7.5重量%の酸化防止剤濃度を有する第2の樹脂層を形成する。
なお、第1の樹脂層と第2の樹脂層との厚さの総和は2〜22μmであり、第1の樹脂層厚さの全樹脂層厚さに対する割合は、5〜50%になるように調整される。
【0033】
上記第1の樹脂層の焼付けにおいて、焼付け温度が200℃未満や焼付け時間が20秒未満であると、樹脂層が十分に形成されず成形性が劣ることになる。焼付け温度が350℃を超えたり、焼付け時間が45秒を超えたりすると、樹脂中の酸化防止剤がラジカルと反応することによって塗膜焼付けの段階で失われてしまうため、耐熱黄変性に劣ることになる。また、上記第2の樹脂層の焼付けにおいても、同様に焼付け温度が200℃未満や焼付け時間が20秒未満であると、樹脂層が十分に形成されず成形性が劣ることになる。焼付け温度が350℃を超えたり、焼付け時間が45秒を超えたりすると、樹脂中の酸化防止剤がラジカルと反応することによって塗膜焼付けの段階で失われてしまうため、耐熱黄変性に劣ることになる。
【0034】
塗料の塗布方法については、特に制限はない。例えば、ロールスクイズ法、ケミコーター法、ロールコーター法、エアナイフ法、浸漬法、スプレー法、静電塗装法等が挙げられる。これらの方法のうち樹脂層の均一性、生産性からロールコーター法が好ましい。そして、ロールコーター法としては、塗布量管理に便利なグラビアロールを用いる方法や、厚塗りするのに便利なナチュラルコート方式や、塗布面の仕上げが良好な有利なリバースコート方式等を採用することができる。塗布後の焼付けは、一般的な加熱法、誘電加熱法などにより行うことができる。
【0035】
(3−2)樹脂層が一層から成る場合
次に、本発明に用いる樹脂層を製造する第2の方法としては、樹脂層が一層から成るように形成する方法が挙げられる。この方法は、金属材との界面からの所定厚さ部分を第1の塗料の硬化部分として、残余部分を第2の塗料の硬化部分として、これらを同時に焼付け形成する方法である。第1の塗料としては、上記第1の樹脂層用の塗料と同じものが用いられ、第2の塗料としては、上記第2の樹脂層用の塗料と同じものが用いられる。まず、第1の塗料を金属材の表面に塗布し、次いで、塗布した第1の塗料の上に第2の塗料を塗布する。次いで、塗布した塗料全体を200〜350℃で20〜45秒間焼付けることによって、0.2〜4μmの厚さと0.01〜0.25重量%の酸化防止剤濃度を有する第1の塗料の硬化部分と、0.4〜7.5重量%の酸化防止剤濃度を有する第2の塗料の硬化部分とから成る単一の樹脂層が得られる。なお、第1の塗料の硬化部分の厚さの樹脂層厚さに対する割合は、5〜50%になるように調整される。
【0036】
焼付けにおいて、焼付け温度が200℃未満や焼付け時間が20秒未満であると、樹脂層が十分に形成されず成形性が劣ることになる。焼付け温度が350℃を超えたり、焼付け時間が45秒を超えたりすると、同様に耐熱黄変性に劣ることになる。なお、塗料の塗布方法については、ウェットオンウェットの2層塗工が可能なスリットダイコーター法によって行うことができる。
【0037】
(4)樹脂層の添加成分
樹脂層中には、潤滑性を高め成形性を向上させるためにワックスを添加してもよい。尚、カーボンブラックなどの着色剤は添加しない。添加するワックスの種類としては、単独で使用する場合は、良好な潤滑性を示すポリエチレンワックスが望ましい。ポリエチレンワックスとカルナバワックスを混合するとさらに潤滑性が向上するので、この混合系がより望ましい。ポリエチレンワックスとカルナバワックスの比率は1:4〜4:1が望ましい。この比率範囲外では、単独添加と同等の効果しか得られない。
【実施例】
【0038】
以下に、本発明の実施例及び比較例に基づいて具体的な実施の形態を説明する。
本発明例1〜63及び比較例1〜18
アルカリ脱脂後に水洗し、次いでリン酸クロメート処理を施したアルミニウム合金板(JIS1100-H24、厚さ0.40mm)を金属材に用いた。表1〜4に示す第1又は第2のベース樹脂と酸化防止剤を含有する塗料を調製した。各塗料の溶媒には2−ブタノンを用いた。ベース樹脂と、これとの合計固形分100重量部に対して所定の重量部となる酸化防止剤とを、ベース樹脂固形分100重量部に対して300重量部の溶媒に溶解又は分散させて塗料とした。このようにして調製した第1樹脂層用塗料を、アルミニウム合金板の片面に焼付けた。焼付条件は、焼付温度(PMT、金属板到達温度)として、エポキシ樹脂の場合は280℃、ポリエステル樹脂の場合は240℃、塩化ビニル樹脂の場合は280℃であった。焼付時間は全て同じで、30秒とした。次いで、第2樹脂層用塗料を、焼付けた第1樹脂層表面に塗布し、第1樹脂層形成と同じ焼付条件で焼付け硬化させた。
【0039】
ベース樹脂のエポキシ樹脂としてはビスフェノールA型エポキシ樹脂を、ポリエステル樹脂としてはイソフタル酸とプロピレングリコールをエステル化した不飽和ポリエステル樹脂を、塩化ビニル樹脂としては塩化ビニル樹脂を用いた。使用した酸化防止剤は、「フェノール系1」が1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンであり、「フェノール系2」がオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートであり、「フェノール系3」が2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]であり、「リン系」がトリ(2,4‐ジ‐t‐ブチルフェニル)ホスファイトであり、「イオウ系」が2−メルカプトベンチアゾールである。
【0040】
表1〜4に、金属板、第1及び第2樹脂層のベース樹脂、酸化防止剤、全樹脂層厚さ、第1樹脂層厚さ、第1樹脂層厚さの全樹脂層厚さに対する割合、第2樹脂層厚さ、第1樹脂層及び第2樹脂層中の酸化防止剤濃度、ならびに、第2樹脂層の単位膜厚あたりの酸化防止剤濃度を示す。
【0041】
【表1】

【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
第1樹脂層厚さは、アルミニウム合金板に焼付けた状態で渦電流式膜厚計にて5箇所測定してその算術平均値とした。全樹脂層厚さは、第1樹脂層上に第2樹脂層を形成した状態で、同じく渦電流式膜厚計にて5箇所測定してその算術平均値とした。第2樹脂層厚さは、全樹脂層厚さから第1樹脂層厚さを差し引いて算出した。樹脂層中の酸化防止剤濃度は、樹脂との合計固形分100重量部に対する酸化防止剤の重量部によって「重量%(wt%)」として算出した。第2樹脂層の単位膜厚あたりの酸化防止剤濃度は、第2樹脂層中の酸化防止剤濃度を、第2樹脂層厚さで割って算出したものである。
【0046】
発明例63の金属板には、厚み0.3mmのアルミニウム含量50重量%の溶融アルミニウム-亜鉛めっき鋼板の表面に、塗布型クロメート処理をCr量換算で40mg/mとなるように施したものを用いた。
【0047】
評価方法としては以下の通りである。
(成形性の評価)
<金属板がアルミニウム合金板の場合>
樹脂被覆アルミニウム合金板の成形性は、5段の絞りしごき成形方式にて、樹脂層側を外面にしてφ4mm×6.3mm(直径×高さ)のコンデンサケースに成形し、良好な外観を得られるか否かを成形後における樹脂層の目視観察によって評価した。成形の際、動粘度1.6mm/sの揮発性プレス油を使用した。下記の基準に基づいて評価した。◎、○+及び○を合格とし、△+、△及び×を不合格とした。
◎:成形後も樹脂層に変化なし
○:樹脂層の剥離が僅かに観察され、表面が若干荒れている
△:樹脂層の剥離が観察され、表面が荒れている
×:樹脂層の剥離がかなり大きく、表面が荒れていると共に筋が観察される
また、◎と○の中間を○+とし、○と△の中間を△+とした。
【0048】
<金属板が鋼板の場合>
樹脂被覆鋼板の成形性は、以下の絞り条件で、樹脂層側が外面となるようにカップ絞り成形を行なった。絞り条件は、ブランク:100mm径、パンチ:50mm径−5R、ダイス:52.5径−5R、絞り高さ:25mmであった。絞り成形した後、絞り外面の側壁の粘着テープによる剥離状況を目視で判定した。◎、○+及び○を合格とし、△+、△及び×を不合格とした。
◎:剥離なし
○:テープでややキラキラ感あり
△:テープで明らかに剥離が認められる
×:ほぼ全面にわたって剥離が認められる
また、◎と○の中間を○+、○と△の中間を△+とした。
【0049】
(耐熱黄変性の評価)
前記樹脂被覆アルミニウム合金板及び樹脂被覆鋼板の耐熱黄変性は、まず50mm角に切断した前記樹脂被覆板を焼付炉内に配設して280℃で2分間熱処理を行い、熱処理後の樹脂層を熱処理前のものと目視で比較して黄変を評価した。◎、○+及び○を合格とし、△+、△及び×を不合格とした。
◎:熱処理前後において変化無し
○:僅かに黄変が発生した
△:やや黄変が発生した
×:濃く黄変した
また、◎と○の中間を○+、○と△の中間を△+とした。
【0050】
評価結果も、表1〜4に示す。
【0051】
実施例1〜63では、成形性及び耐熱黄変性のいずれも合格であった。
比較例1では、全樹脂層厚さが薄過ぎたため成形性が劣った。
比較例2では、全樹脂層厚さが厚過ぎたため成形性が劣った。
比較例3では、第1樹脂層厚さが薄過ぎたため成形性が劣った。
比較例4では、第1樹脂層厚さの全樹脂層厚さに対する割合が大き過ぎたため耐熱黄変性が劣った。
比較例5では、第1樹脂層厚さの全樹脂層厚さに対する割合が大き過ぎたため耐熱黄変性が劣った。
比較例6では、第1樹脂層厚さが厚過ぎ、かつ、これの全樹脂層厚さに対する割合が大き過ぎたため耐熱黄変性が劣った。
比較例7では、第1樹脂層厚さの全樹脂層厚さに対する割合が小さ過ぎたため成形性が劣った。
比較例8では、第1樹脂層厚さが厚過ぎたため耐熱黄変性が劣った。
比較例9では、第1樹脂層中における酸化防止剤濃度がゼロであったため耐熱黄変性が劣った。
比較例10では、第1樹脂層中における酸化防止剤濃度が大き過ぎたため成形性が劣った。
比較例11では、第2樹脂層中における酸化防止剤濃度が小さ過ぎたため耐熱黄変性が劣った。
比較例12では、第2樹脂層中における酸化防止剤濃度が大き過ぎたため成形性が劣った。
比較例13では、第2樹脂層中における酸化防止剤濃度が小さ過ぎたため耐熱黄変性が劣った。
比較例14では、第2樹脂層中における酸化防止剤濃度が大き過ぎたため成形性が劣った。
比較例15では、第2樹脂層中における酸化防止剤濃度が小さ過ぎたため耐熱黄変性が劣った。
比較例16では、第2樹脂層中における酸化防止剤濃度が大き過ぎたため成形性が劣った。
比較例17では、第2樹脂層中における酸化防止剤濃度が小さ過ぎたため耐熱黄変性が劣った。
比較例18では、第2樹脂層中における酸化防止剤濃度が大き過ぎたため成形性が劣った。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明により、コンデンサケースに要求されるような高い耐熱黄変性と優れた成形性を有する樹脂被覆金属材料が提供される。
【符号の説明】
【0053】
1……樹脂被覆金属材、樹脂被覆材料
2……金属板
3……樹脂層、被覆樹脂層
4……酸化防止剤、劣化防止剤
5……金属材と樹脂層との界面
6……界面5から所定厚さ部分、内部
7……残余の部分、表面部分
8……プライマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材と、その表面に被覆された樹脂層とからなる樹脂被覆金属材であって、前記樹脂層は2〜22μmの厚さを有し、かつ、酸化防止剤を含有しており、前記金属材との界面から0.2〜4μmの厚さ部分における前記酸化防止剤の濃度が0.01〜0.25重量%であり、当該部分の厚さが樹脂層全体の厚さの5〜50%であり、当該樹脂層の残余の部分における前記酸化防止剤の濃度が0.4〜7.5重量%であることを特徴とする樹脂被覆金属材。
【請求項2】
前記樹脂層が二層から構成され、前記樹脂層の金属材との界面から0.2〜4μmの厚さ部分が第1の樹脂層から構成され、前記樹脂層の残余の部分が第2の樹脂層から構成される、請求項1に記載の樹脂被覆金属材。
【請求項3】
前記樹脂層が一層から構成される、請求項1に記載の樹脂被覆金属材。
【請求項4】
前記樹脂層のベース樹脂が、エポキシ系樹脂及びポリエステル系樹脂の少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属材。
【請求項5】
前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤の少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属材。
【請求項6】
前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤の少なくとも1種を含有する、請求項4に記載の樹脂被覆金属材。
【請求項7】
ベース樹脂と、当該ベース樹脂との合計固形分100重量部に対して0.01〜0.25重量部の酸化防止剤とを含有する塗料を金属材の表面に塗布した後、焼付けることによって、0.2〜4μmの厚さと0.01〜0.25重量%の酸化防止剤濃度を有する第1の樹脂層を形成する段階と、ベース樹脂と、当該ベース樹脂との合計固形分100重量部に対して0.4〜7.5重量部の酸化防止剤とを含有する塗料を前記第1の樹脂層の表面に塗布した後、焼付けることによって、0.4〜7.5重量%の酸化防止剤濃度を有する第2の樹脂層を形成する段階とを備え、前記第1の樹脂層と第2の樹脂層との厚さの総和が2〜22μmであり、前記第1の樹脂層の厚さが樹脂層厚さの総和の5〜50%であることを特徴とする樹脂被覆金属材の製造方法。
【請求項8】
ベース樹脂と、当該ベース樹脂との合計固形分100重量部に対して0.01〜0.25重量部の酸化防止剤とを含有する第1の塗料を金属材の表面に塗布し、ベース樹脂と、当該ベース樹脂との合計固形分100重量部に対して0.4〜7.5重量部の酸化防止剤とを含有する第2の塗料を前記塗布された第1の塗料上に塗布した後、焼付けることによって、0.2〜4μmの厚さと0.01〜0.25重量%の酸化防止剤濃度を有する第1の塗料の硬化部分と、0.4〜7.5重量%の酸化防止剤濃度を有する第2の塗料の硬化部分とから成る単一の樹脂層を形成し、前記第1の塗料の硬化部分の厚さが樹脂層厚さの5〜50%であることを特徴とする樹脂被覆金属材の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂層のベース樹脂が、エポキシ系樹脂及びポリエステル系樹脂の少なくとも1種を含有する、請求項7又は8に記載の樹脂被覆金属材の製造方法。
【請求項10】
前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤の少なくとも1種を含有する、請求項7又は8に記載の樹脂被覆金属材の製造方法。
【請求項11】
前記酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤及び硫黄系酸化防止剤の少なくとも1種を含有する、請求項9に記載の樹脂被覆金属材の製造方法

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−139986(P2011−139986A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1632(P2010−1632)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000107538)古河スカイ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】