説明

樹脂製タンクとその製造方法

【課題】排出ポートとして利用される筒部をもちながら複数の用途に共用化でき、かつバリによる不具合を確実に回避する。
【解決手段】スライドピンを後退させて筒部から抜いた後に、第1型と第2型を型開きすることによってスライドコアをスライドピンの移動方向と反対方向へスライド移動させ、スライドピンが抜けたことによって形成された筒部の空間内に筒部が弾性変形して進入することで筒部をスライドコアから無理抜きする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のブレーキフルード用リザーバタンクなどの樹脂製タンクとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ブレーキシステムにおけるマスタシリンダあるいは液圧ブースタなどには、ブレーキフルードを貯溜するリザーバタンクが設けられている。この種のリザーバタンクは樹脂製が一般的であり、アッパ部材とロア部材をそれぞれ射出成形などで形成した後、溶着などにて一体化されることで製造されている。
【0003】
ところでリザーバタンクは、車両メーカーの相違のみならず、同一の車両メーカーにおいても車種の相違によってその形状が異なっている。このようなリザーバタンクにおいてコストダウンを図るには、複数の車種で部品を共用化することが好ましい。そこで特開2006−035899号公報には、液面センサなどをロア部材に設けることで、注液栓の位置に相違があるリザーバタンクのロア部材を共用化したことが記載されている。このようにすることで一種類のロア部材を複数の車種に用いることができ、ロア部材を成形する金型も一種類でよいので、大幅なコストダウンが可能となる。
【0004】
また車種の相違によって、リザーバタンクにおけるブレーキフルードの排出ポートの有無が相違することがある。例えばMT車では排出ポートを使用するが、AT車は排出ポートを使用しない場合がある。したがってAT車とMT車とでリザーバタンクを共用化する場合には、排出ポートを形成したリザーバタンクを共用化することが考えられる。例えば先端が開口した筒部を形成して、MT車の場合はそのまま使用し、AT車の場合には先端を加熱圧着して使用することが考えられる。あるいは、先端が開口した筒部を形成した後に先端を加熱圧着して閉塞して、AT車の場合はそのまま使用し、MT車の場合には閉塞部を切除して排出ポートとして使用してもよい。しかしながら筒部の先端を加熱圧着するのは、そのために別の圧着用金型が必要になるなど、工数が多大となるという不具合がある。
【0005】
そこで、先端が閉塞された筒部を一体に成形したリザーバタンクを共用化することが考えられる。この場合、AT車の場合にはそのまま使用し、MT車の場合には筒部の先端を切除して排出ポートとして使用すればよいので、リザーバタンクをMT車とAT車とで共用化することができ、金型も共用化することができる。この方法によれば、筒部の先端切除の工数は増えるものの、上記した加熱圧着する方法に比べれば工数を大幅に小さくすることができる。
【0006】
ところが先端が閉塞された筒部をリザーバタンクと一体に形成する場合には、筒部の内部を形成するための内径ピンをリザーバタンクの内側から外方に向かって出入させる必要がある。しかしブレーキフルード用のリザーバタンクなどにおいては、図7に示すように、縦壁202の存在などによって内径ピン100を出入させるために必要な距離分の空間を確保することが困難となる場合があり、そのような場合には先端が閉塞された筒部200を形成することができない。
【0007】
また筒部200の外周面には、筒部200が挿通されるホースやチューブの抜け防止用及びシール用の膨出部201が形成されるのが一般的である。この膨出部201がアンダーカットとならないようにするには、図7の筒部200の中心軸を中心として紙面に垂直方向両側に型開きするようにスライドコアを形成し、筒部200の外周表面に型割線がくるように金型を構成すればよい。ところが型割線の部分にはバリが生じる場合があり、もし筒部200の外表面にバリが生じると、そのバリによって筒部200に挿通されるホースやチューブに傷が付く恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−035899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、排出ポートとして利用される筒部をもちながら複数の用途に共用化でき、かつバリによる不具合を確実に回避できる樹脂製タンクとすることを目的とする。また本発明のもう一つの目的は、このような樹脂製タンクを容易にかつ安定して製造することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の樹脂製タンクの特徴は、アッパ部材とロア部材とをそれぞれ型成形により形成した後に一体化されてなる樹脂製タンクであって、アッパ部材とロア部材の少なくとも一方の側壁には内部と連通するとともに外方へ突出する筒部が一体に形成され、筒部は、先端側に形成され径方向に膨出する膨出部と、膨出部より先端側に形成され筒部を閉塞する閉塞部と、を一体に有し、少なくとも膨出部の表面には型割線を有しないことにある。
【0011】
また本発明の樹脂製タンクの製造方法の特徴は、アッパ部材とロア部材とをそれぞれ型成形により形成した後に一体化されてなり、アッパ部材とロア部材の少なくとも一方の側壁には内部と連通するとともに外方へ突出する筒部が一体に形成され、筒部は、先端側に形成され径方向に膨出する膨出部と、膨出部より先端側に形成され筒部を閉塞する閉塞部と、を一体に有する樹脂製タンクの製造方法であって、
アッパ部材とロア部材の一方であり筒部をもつ筒部側部材は、周囲が側壁で囲まれた容器部と側壁の一部から突出する筒部とからなり、筒部は、筒部をもつ側壁に対向する側壁と筒部の中心軸の延長線とが干渉しないように傾斜され、筒部側部材を成形するにあたり、互いに型締めされる第1型及び第2型と、第2型にスライド移動可能に保持されたスライドコアと、第2型内に進退可能に配置されたスライドピンとを用い、スライドコアで少なくとも筒部の外周表面を成形するとともにスライドピンで筒部の内周表面を成形する成形工程を行い、
成形後はスライドピンを後退させて筒部から抜いた後に、第1型と第2型を型開きすることによってスライドコアをスライドピンの移動方向と反対方向へ第2型に対してスライド移動させ、スライドピンが抜けたことによって形成された筒部の空間内に筒部が弾性変形して進入することで筒部をスライドコアから無理抜きすることにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の樹脂製タンクによれば、閉塞部によって先端が閉塞された筒部を有している。したがって筒部を排出ポートなどとして用いる場合には、膨出部と閉塞部との間で筒部を切断し、閉塞部を切除することで筒部の先端を開口させることができ、切断の工数は掛かるものの、筒部を使用する場合と筒部を使用しない場合とでタンクを共用することができる。またタンクを成形する金型を共用することができる。そして筒部の少なくとも膨出部の外周表面に型割線を有しないので、少なくとも膨出部にはバリが生じない。したがって筒部にホースやチューブを挿通した使用時に、バリによってホースやチューブに傷付きが生じるような不具合を回避することができる。
【0013】
そして本発明の樹脂製タンクの製造方法によれば、筒部は、筒部をもつ側壁に対向する側壁と筒部の中心軸の延長線とが干渉しないように傾斜されているので、スライドピンを用いて筒部の内周表面を容易に成形することができる。そして成形後にスライドピンを後退させると、筒部の内部に空間が形成されるので、その空間内へ筒部が弾性変形して進入することで膨出部を容易に無理抜きすることができる。したがって少なくとも膨出部の外周表面には型割線が生じないような金型設計をすることができ、少なくとも筒部の膨出部にバリの無い樹脂製タンクを安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に係る樹脂製タンクの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係る樹脂製タンクに用いたロア部材の断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係る樹脂製タンクに用いたロア部材の成形用金型を型締め時の状態で示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例に係る樹脂製タンクに用いたロア部材の成形用金型を示し、スライドピンを後退させた状態で示す断面図である。
【図5】本発明の一実施例に係る樹脂製タンクに用いたロア部材の成形用金型を示し、型開き中期の状態で示す断面図である。
【図6】本発明の一実施例に係る樹脂製タンクに用いたロア部材の成形用金型を示し、型開き後期の状態で示す断面図である。
【図7】従来の樹脂タンクに用いられるロア部材の製造方法の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の樹脂製タンクは、アッパ部材とロア部材とからなり、それぞれを射出成形などで成形後に一体化されてなる。一体化するには、それぞれ容器状のアッパ部材とロア部材の開口どうしを突き合わせ、超音波を用いた振動溶着法、熱板溶着法などによって溶着するのが好ましいが、ガスケットなどのシール部材を介在させて機械的に一体化することもできる。なお樹脂種は特に制限されないが、後述の無理抜きが可能な程度に軟質のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、PETなどから選択して用いることができる。
【0016】
アッパ部材とロア部材の少なくとも一方の側壁には、内部と連通するとともに外方へ突出する筒部が一体に形成されている。この筒部は、タンク内に貯溜された液体を外部へ導くための通路となるものである。筒部は、その中心軸が側壁表面に対して垂直に交差していてもよいし、筒部をもつ側壁に対向する側壁と筒部の中心軸の延長線とが干渉しないように傾斜されていてもよい。筒部の中心軸が側壁表面に対して垂直に交差していても、アッパ部材又はロア部材の内部に十分な空間があればスライドコアを用いて筒部の内周面を成形することができる。またアッパ部材又はロア部材の内部に十分な空間が存在しない場合には、本発明の製造方法のように筒部をもつ側壁に対向する側壁と筒部の中心軸の延長線とが干渉しないように筒部を傾斜させ、スライドピンを用いて筒部の内周面を形成することで筒部を成形することができる。
【0017】
筒部は、先端側に形成され径方向に膨出する膨出部と、膨出部より先端側に形成され筒部を閉塞する閉塞部と、を一体に有している。膨出部は筒部に挿通されるホースやチューブの抜け止めとして機能するものであり、一般に筒部の外表面から0.5mm〜1.0mm膨出している。そして筒部を使用しない仕様のタンクの場合には閉塞部をもつ状態で使用し、筒部を使用する仕様のタンクの場合には膨出部と閉塞部との間で筒部を切断し閉塞部を切除することで筒部の先端に開口を形成してから使用する。
【0018】
そして本発明の樹脂製タンクは、筒部の少なくとも膨出部の表面には型割線を有していない。したがって少なくとも膨出部の表面にはバリが生じることが無いので、バリによる不具合を未然に防止することができる。型割線を有しないのは、少なくとも膨出部の外表面であることが必要であるが、筒部の外周表面にも型割線を有しないことが望ましい。
【0019】
本発明の製造方法は、上記した本発明の樹脂製タンクの製造方法であり、互いに型締めされる第1型及び第2型と、第2型にスライド移動可能に保持されたスライドコアと、第2型内に進退可能に配置されたスライドピンとを備えた金型を用いて成形している。筒部はアッパ部材とロア部材のどちらに形成してもよいが、筒部をもつ部材を筒部側部材と称している。この筒部側部材は、周囲が側壁で囲まれた容器部と側壁の一部から突出する筒部とからなり、筒部は、筒部をもつ側壁に対向する側壁と筒部の中心軸の延長線とが干渉しないように、その中心軸が側壁表面に対して鋭角に交差して傾斜している。
【0020】
成形工程は、射出成形法を用いて行うことができる。この成形工程では、第1型で容器部の外部表面の大部分を成形し、第2型で容器部の内部表面を成形する。またスライドコアで少なくとも筒部の外周表面を成形し、第2型から進出されたスライドピンで筒部の内部表面を成形する。筒部は、筒部をもつ側壁に対向する側壁と筒部の中心軸の延長線とが干渉しないように傾斜されているので、スライドピンがキャビティや第1型と干渉するのが回避されている。
【0021】
成形後には、先ずスライドピンを後退させて筒部から抜いた後に、第1型と第2型を型開きする。すると型開きの動きに追従してスライドコアが第2型に対してスライド移動する。ここでスライドコアの移動方向は、スライドピンの移動方向と反対方向であるので、スライドコアによって外周表面を成形された筒部がスライドコアから抜けることとなる。スライドコアをこのように移動させるには、第1型から突出するアンギュラピンと係合させることで、容易に行うことができる。
【0022】
このとき筒部に形成されている膨出部がアンダーカットとなるが、膨出部の膨出量が僅かであること、スライドピンが抜けたことで筒部の内部に形成された空間に筒部が弾性変形して進入可能であること、により、筒部は損傷することなく無理抜きすることができる。その後、第2型から成形品を離型することで、本発明の樹脂製タンクを構成するアッパ部材又はロア部材である筒部側部材が製造される。
【0023】
以下、実施例により本発明の実施態様を具体的に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1に本実施例に係る樹脂製タンクの分解斜視図を、図2にロア部材の断面図を示す。このタンクはブレーキフルードのリザーバタンクであり、ポリプロピレン製のアッパ部材1と、同じくポリプロピレン製のロア部材2とからなり、アッパ部材1とロア部材2とが振動溶着法によって溶着されて一体化されている。
【0025】
ロア部材2は、ブレーキフルードが貯溜される容器部20と筒部21とを有している。容器部20は、互いに対向する一対の側壁22,23を備え、筒部21は側壁23から外方へ突出している。また図2に示すように、筒部21は、その中心軸線が側壁22と干渉しないように、図2に示すように中心軸線が側壁22の端部から離れた位置を通るように、先端が下方へ向かって傾斜している。そして筒部21は、先端側に膨出部24が形成され、膨出部24のさらに先端側に閉塞部25が形成されている。したがって筒部21は、閉塞部25の位置までは内部が容器部20と連通し、先端のみが閉塞部25によって閉塞されている。そして筒部21の外周表面には、全体に亘って型割線が無く、バリも無い。
【0026】
本実施例に係るリザーバタンクは、そのままの状態で、AT車など排出ポートが不要な車種用に用いることができる。また閉塞部25と膨出部24との間で切り離すことで、筒部21をブレーキフルードの排出ポートとして使用することができ、MT車など排出ポートが必要な車種用として用いることができる。したがって排出ポートが必要な車種用と排出ポートが不要な車種用とでリザーバタンクを共用することができ、部品点数を低減することができる。またリザーバタンクを製造するための金型も共用することができ、金型費用を低減することができる。
【0027】
そして筒部21には膨出部24を含めて外周表面にバリが無いので、閉塞部25を切除した後に挿通されるホースやチューブに傷付きが生じることもない。
【0028】
次に、上記したロア部材2の製造方法を以下に説明する。
【0029】
ロア部材2の製造に用いた金型の概略断面図を図3に示す。この金型は射出成形用の金型であり、本発明にいう第1型に対応する固定型3と、本発明にいう第2型に対応する可動型4と、スライドコア5と、スライドピン6とから主として構成されている。
【0030】
可動型4には、図示しない有溝係合によってスライダ50がスライド移動可能に保持され、スライドコア5がスライダ50に固定されている。スライダ50及びスライドコア5には、固定型3から突出するアンギュラピン30が係合している。またスライドコア5には筒部21の外表面を成形する円柱孔状キャビティ51が形成され、円柱孔状キャビティ51は固定型3と可動型4との間に形成された主キャビティ31と連通している。
【0031】
主キャビティ31は、ロア部材2の容器部20を成形するものであり、側壁22,23を形成するキャビティ32,33が固定型3と可動型4との型開き方向と略平行に形成されている。したがって筒部21を形成する円柱孔状キャビティ51の中心軸方向は、固定型3と可動型4との型開き方向に対して交差している。またスライダ50のスライド移動方向は、円柱孔状キャビティ51の中心軸方向と平行となっている。
【0032】
スライドピン6は、可動型4に固定された油圧シリンダ装置60によって進退駆動されている。その進退駆動方向は円柱孔状キャビティ51の中心軸方向と平行であり、固定型3と可動型4との型開き方向に対して交差している。さらに、スライドピン6の中心軸と円柱孔状キャビティ51の中心軸とは一致し、油圧シリンダ装置60の駆動によって円柱孔状キャビティ51内に進出し円柱孔状キャビティ51から退避する。筒部21は、その中心軸線が側壁22と干渉しないように設計されているので、スライドピン6は固定型3や主キャビティ31と干渉することなく進退可能となっている。
【0033】
射出成形時には、図3に示す型締め状態で成形が行われ、主キャビティ31で容器部20が成形されるとともに、円柱孔状キャビティ51とスライドピン6との間で筒部21が成形される。
【0034】
成形後、先ず油圧シリンダ装置60が駆動され、図4に示すようにスライドピン6が円柱孔状キャビティ51から退避する。これにより筒部21内部には空間26が形成される。
【0035】
続いて図5に示すように固定型3と可動型4とが型開きされ可動型4が図の下方へ移動すると、アンギュラピン30の係合によってスライドコア5とスライダ50が容器部20から遠ざかる方向へ可動型4に対してスライド移動し、筒部21がスライドコア5から抜けようとする。このとき膨出部24がアンダーカットとなるものの、筒部21が空間26に向かって入り込むように縮径方向へ弾性変形することで無理抜きが可能となる。
【0036】
型開きがさらに進行し、図6に示すように筒部21が円柱孔状キャビティ51から抜けた後は、図示しないエジェクタピンが可動型4の型面から突出し、ロア部材2が可動型4から離型される。そして射出成形によって別に形成されたアッパ部材1とロア部材2とが溶着され、本実施例に係るリザーバタンクが製造される。
【0037】
すなわち本実施例の製造方法によれば、先端が閉塞された筒部21を容易に形成することができる。そして筒部21を容易に無理抜きすることができるので、筒部21の外周表面にバリが生じるのを確実に回避できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の樹脂製タンクとその製造方法は、実施例に例示したブレーキフルードのリザーバタンクの他、ウォッシャー液タンク、シャワートイレ用水タンクなど、筒状のポートをもつタンク全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1:アッパ部材 2:ロア部材
3:固定型(第1型) 4:可動型(第2型)
5:スライドコア 6:スライドピン
20:容器部 21:筒部
22,23:側壁 24:膨出部
25:閉塞部 26:空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパ部材とロア部材とをそれぞれ型成形により形成した後に一体化されてなる樹脂製タンクであって、
該アッパ部材と該ロア部材の少なくとも一方の側壁には内部と連通するとともに外方へ突出する筒部が一体に形成され、
該筒部は、先端側に形成され径方向に膨出する膨出部と、該膨出部より先端側に形成され該筒部を閉塞する閉塞部と、を一体に有し、少なくとも該膨出部の表面には型割線を有しないことを特徴とする樹脂製タンク。
【請求項2】
前記筒部は、該筒部をもつ側壁に対向する側壁と該筒部の中心軸の延長線とが干渉しないように傾斜されている請求項1に記載の樹脂製タンク。
【請求項3】
自動車のブレーキフルードを貯溜するリザーバタンクである請求項1又は請求項2に記載の樹脂製タンク。
【請求項4】
アッパ部材とロア部材とをそれぞれ型成形により形成した後に一体化されてなり、該アッパ部材と該ロア部材の少なくとも一方の側壁には内部と連通するとともに外方へ突出する筒部が一体に形成され、該筒部は、先端側に形成されに径方向に膨出する膨出部と、該膨出部より先端側に形成され該筒部を閉塞する閉塞部と、を一体に有する樹脂製タンクの製造方法であって、
該アッパ部材と該ロア部材の一方であり該筒部をもつ筒部側部材は、周囲が側壁で囲まれた容器部と該側壁の一部から突出する該筒部とからなり、該筒部は、該筒部をもつ側壁に対向する側壁と該筒部の中心軸の延長線とが干渉しないように傾斜され、
該筒部側部材を成形するにあたり、互いに型締めされる第1型及び第2型と、該第2型にスライド移動可能に保持されたスライドコアと、該第2型内に進退可能に配置されたスライドピンとを用い、該スライドコアで少なくとも該筒部の外周表面を成形するとともに該スライドピンで該筒部の内周表面を成形する成形工程を行い、
成形後は該スライドピンを後退させて該筒部から抜いた後に、該第1型と該第2型を型開きすることによって該スライドコアを該スライドピンの移動方向と反対方向へ該第2型に対してスライド移動させ、該スライドピンが抜けたことによって形成された該筒部の空間内に該筒部が弾性変形して進入することで該筒部を該スライドコアから無理抜きすることを特徴とする樹脂製タンクの製造方法。
【請求項5】
前記筒部側部材は前記ロア部材である請求項4に記載の樹脂製タンクの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−111467(P2012−111467A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264669(P2010−264669)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000100780)アイシン化工株式会社 (171)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】