説明

樹脂部品の結合構造

【課題】かしめ部を目視検査により容易に管理することができる樹脂部品の結合構造を提供する。
【解決手段】樹脂部品の結合構造は、かしめ突起18を立設した樹脂製の第1のカバー5と、かしめ突起18が挿通するかしめ用孔19を形成した第2のカバー6とを備える。かしめ突起18を、かしめ用孔19に挿通した状態でカバー同士を当接させ、かしめ突起18の先端を潰して、かしめ用孔19の径よりも大きくしたかしめ部とすることにより、カバー同士を固定する。第2のカバー6の、かしめ部と当接する面を正面から見て、その面にかしめ用孔19と同軸の円または円弧となるラインがあり、このラインをかしめ部の直径の良否判定基準としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、樹脂部品の結合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂部品同士を結合する場合、一方の部品に貫通孔を形成し、他方の部品に設けたかしめ突起を貫通孔に通し、かしめ突起の先端を貫通孔の縁部にかしめてかしめ部を形成していた(特許文献1参照)。
【0003】
樹脂部品同士が確実に結合したことを確認するため、通常コールドかしめの出来ばえの管理は、かしめ部の直径や高さを測定して行う。
【0004】
しかし、寸法測定する、検査ゲージを挿入するといった手間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−310393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、この発明の目的は、かしめ部を目視検査により容易に管理することができる樹脂部品の結合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の樹脂部品の結合構造は、かしめ突起を立設した樹脂製の第1のカバーと、前記かしめ突起が挿通するかしめ用孔を形成した第2のカバーとを備える。前記かしめ突起を、前記かしめ用孔に挿通した状態でカバー同士を当接させ、前記かしめ突起の先端を潰して、前記かしめ用孔の径よりも大きくしたかしめ部とすることにより、カバー同士を固定する。前記第2のカバーの、前記かしめ部と当接する面に前記かしめ用孔と同軸の円または円弧となるラインを設け、前記ラインを前記かしめ部の直径の良否判定基準としている。
【0008】
上記構成において、前記ラインが、前記第2のカバーの表面に設けられた凹凸形状によるものである。
【0009】
上記構成において、前記ラインが、前記第2のカバー表面への着色である。
【0010】
別の発明の樹脂部品の結合構造は、かしめ突起を立設した樹脂製の第1のカバーと、前記かしめ突起が挿通するかしめ用孔を形成した第2のカバーとを備える。前記かしめ突起を、前記かしめ用孔に挿通した状態でカバー同士を当接させ、前記かしめ突起の先端を潰して、前記かしめ用孔の径よりも大きくしたかしめ部とすることにより、カバー同士を固定する。前記かしめ部の高さと比較可能な突起または段部を前記第2のカバーに設け、前記突起または段部を前記かしめ部の高さの良否判定基準としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明の樹脂部品の結合構造によれば、ラインまたは突起もしくは段部により、出来ばえの管理を目視検査にて容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施の形態の第1のカバーと第2のカバーの組み合わせ状態の斜視図である。
【図2】第2のカバーを外した状態の第1のカバーの内部を示す側面図である。
【図3】かしめ結合した状態の斜視図である。
【図4】かしめ部分の断面図である。
【図5】別のランプソケットの斜視図である。
【図6】さらに別のランプソケットの第2のカバーを外した状態の第1のカバーの内部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の一実施の形態を適用したランプソケットを図1から図4により説明する。このランプソケットは、ソケット本体1と、カバー2と、ランプ保持ばね3とで構成されている。
【0014】
ソケット本体1は、前面にランプピン挿入孔(図示せず)を有し、ランプピン挿入孔に挿入されたランプ口金のランプピンに接触する受金部(図示せず)を内部に有し、受金部に接続された電線4を後部から引き出している。
【0015】
カバー2は樹脂製であり、それぞれ側面に開口を有する第1のカバー5と第2のカバー6からなり、両カバー5、6の開口側を対向して連結することにより内部にソケット本体1を収納する収納スペース7を形成している。カバー2の前端のコーナ部に凹部8を形成し、凹部8に収納スペース7の前開口部9を形成し、前開口部9にソケット本体1の前面を配置している。第1のカバー5の後端に後開口部10を切欠き形成し、電線4を外部に引き出している。また、収納スペース7にはソケット本体1の後部両側を位置決めするリブ11、12を設けるとともに前部両側は前開口部9の開口縁部26により位置決めしている。カバー2の凹部8の近傍の第1のカバー5と第2のカバー6の対向面にそれぞればね挿通溝を形成することによりばね挿通孔13を形成している。第1のカバー5と第2のカバー6の結合構造については後述する。
【0016】
ランプ保持ばね3は弾性のある材質の部材例えば板ばねを用いており、一端にランプを保持するランプ保持部14を有し、他端にソケット本体1に押圧するソケット押圧部15を有する。ランプ保持ばね3の中間部がカバー2の前端部の凹部8の一側寄りに形成したばね挿通孔13に通され、ばね挿通孔13の奥側に形成したばね固定部16により固定されている。ランプ保持部14はカバー2に露出したソケット本体1の前面に対向するように曲げられ、その先端を反対向きに折り返してランプ口金が挿入しやすいようにしている。ソケット押圧部15はU字形の先端部でソケット本体1の側面を押圧している。これによりソケット本体1はリブ12と前開口部9の開口縁部26のソケット押圧部15と反対側の部分に押し当てられ、これらに支持される。
【0017】
つぎに第1のカバー5と第2のカバー6の結合構造について説明する。第1のカバー5の収納スペース7内には複数のかしめ突起18が立設され、第2のカバー6のかしめ突起18を挿通するかしめ用孔19を形成している。かしめ用孔19は第2のカバー6の外面に形成したかしめ用凹部20内に形成されている。図2に示すように第1のカバー5にソケット本体1およびランプ保持ばね3を配置した状態で第2のカバー6を第1のカバー5に被せ、図1に示すようにかしめ突起18をかしめ用孔19に通す。図3に示すようにかしめ突起18の先端をかしめ機によって潰して径大のかしめ部21を形成し、第1のカバー5と第2のカバー6とを結合する。
【0018】
図4(a)はかしめ突起18のかしめ部21を示している。かしめ用凹部20内に予めかしめ用凹部20の底面に金型により、かしめ部21のかしめ径を目視検査する際の基準となる円形状の溝22を形成しておく。これにより、かしめ突起18をかしめたときのかしめ部21のかしめ径が溝22の直径Rより大きいことを目視検査することにより、かしめ工程のかしめ部21の大きさの管理を行うことができる。例えば、溝22の外側のラインがかしめ径の上限値、内側のラインが下限値として判定する。また上限値以上潰せばよいという管理の場合、外側のラインをかしめ径の下限値として判定する。これらによって、溝22の凹形状が見えなくなるまでかしめ部を潰せば良品と判定でき、かしめ用孔の径に対し、かしめ部の径が抜け止めとして十分になると判断することができる。なお、溝22のような凹凸形状の代わりにラインが着色されてもよい。例えばパーツフィーダで整列された状態で所定の位置にレーザマーキングされる。
【0019】
図4(b)は目視検査用基準として、かしめ用凹部20の内周面に表面からの所定のかしめ深さHの突起23をアンダーカットにより形成し、かしめ部21のかしめ深さが所定のかしめ深さHより大きいことを目視検査している。かしめ部21を突起23以下まで潰せばよいという管理の場合、突起23の最も直径が小さくなる部位(たとえば先端)よりかしめ部21の表面が低い位置にあれば良品と判定できる。
【0020】
図4(c)はかしめ用凹部20を段付き穴により形成し、その段部24を基準のかしめ深さHに設定している。この段部24は、かしめ用孔中心から離れるほど位置が高くなる斜面をもっており、管理においては、かしめ部21の表面が斜面の範囲に位置するか貫通すれば良品と判定できる。なお、この場合かしめ部21が側面から見えると目視検査が実施しやすい。
【0021】
通常コールドかしめの出来ばえの管理には、かしめ部21の直径や基準面からのかしめ深さを測定して管理する。しかし、図4に示すようにカバー2に金型で溝22、突起23および段部24などの目印(かしめ径最小値、かしめ深さ最大値など)を形成すれば、かしめの出来ばえ管理を工程での目視検査にて実施することができる。
【0022】
この実施の形態によれば、ランプ保持ばね3の中間部をばね固定部16で固定しその両側にランプ保持部14とソケット押圧部15があるため、それぞれが互いに影響を受けずに機能することができる。
【0023】
ソケット本体1の開口縁部10およびリブ12を、ソケット押圧部15によりソケット本体1が押し当てられることを前提に設計することができる。
【0024】
かしめ部21はその直径やカバー2の表面からの深さを測定して管理される場合が多いが、金型により予め溝22、突起23、段部24などを基準の目印としてかしめの直径やかしめ深さの管理を目視により容易に管理することができる。これにより従来技術と比べた場合、かしめ部が同じ数であれば確実に検査に要する時間が短くなる。また画像認識装置を活用する場合であっても、明確な目印の有無で判定ができるので、誤判定につながるノイズ(製品自体の位置ずれ等)が少なくてすむ。
【0025】
図5のランプソケットは、第1のカバー5と第2のカバー6からなるカバー2の一側にソケット本体1の前面を露出し、その両側より一対のランプ保持ばね3、28を突出し、電線4をカバー2の一側に隣接する端面より引き出している。ランプ口金はランプピンをソケット本体1の受け口に差し込み内部の受金部に挿着するとともに一対のランプ保持ばね3、28のランプ保持部14により抱持される。またランプ保持ばね3の内端部には上記実施の形態と同様にソケット押圧部(図示せず)を設けている。
【0026】
図6のランプソケットは、図5のランプソケットにおいて、ソケット押圧部15を一対のランプ保持ばね3、28に設け、ソケット押圧部15でソケット本体1の両側を挟持している。また図6は第1のカバー5のみを示し、第1のカバー5にかしめ突起18を形成し、第2のカバーにかしめ用孔を形成している。そのかしめについては上記実施の形態と同様にしている。30はカバー2の取付け部である。
【符号の説明】
【0027】
2 カバー
5 第1のカバー
6 第2のカバー
18 かしめ突起
19 かしめ用孔
21 かしめ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かしめ突起を立設した樹脂製の第1のカバーと、前記かしめ突起が挿通するかしめ用孔を形成した第2のカバーとを備え、前記かしめ突起を前記かしめ用孔に挿通した状態でカバー同士を当接させ、前記かしめ突起の先端を潰して、前記かしめ用孔の径よりも大きくしたかしめ部とすることにより、前記カバー同士を固定する結合構造であって、前記第2のカバーの、前記かしめ部と当接する面に前記かしめ用孔と同軸の円または円弧となるラインを設け、前記ラインを前記かしめ部の直径の良否判定基準としたことを特徴とする樹脂部品の結合構造。
【請求項2】
前記ラインが、前記第2のカバーの表面に設けられた凹凸形状である請求項1記載の樹脂部品の結合構造。
【請求項3】
前記ラインが、前記第2のカバー表面に着色されている請求項1記載の樹脂部品の結合構造。
【請求項4】
かしめ突起を立設した樹脂製の第1のカバーと、前記かしめ突起が挿通するかしめ用孔を形成した第2のカバーとを備え、前記かしめ突起を前記かしめ用孔に挿通した状態でカバー同士を当接させ、前記かしめ突起の先端を潰して、前記かしめ用孔の径よりも大きくしたかしめ部とすることにより、前記カバー同士を固定する結合構造であって、前記かしめ部の高さと比較可能な突起または段部を前記第2のカバーに設け、前記突起または段部を前記かしめ部の高さの良否判定基準としたことを特徴とする樹脂部品の結合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−286129(P2009−286129A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163327(P2009−163327)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【分割の表示】特願2005−83567(P2005−83567)の分割
【原出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】