樹脂部品接合方法および樹脂部品接合構造
【課題】樹脂部品の過熱による変形をさせることなく、樹脂部品と被着部品との接合を可能とする樹脂部品接合方法および樹脂部品接合構造を得ること。
【解決手段】樹脂部品1に形成された孔部に、金属材料からなる結合皮膜4を形成する工程と、結合皮膜4に活性化処理を施す工程と、被着部品に形成された凸部に活性化処理を施す工程と、孔部へ凸部を挿入し、結合皮膜4と被着部品との常温接合を形成する工程と、を含み、孔部へ挿入された凸部によって、孔部に締まりバメ圧力を発生させ、活性化処理を経て結合皮膜4に残存する付着物層を締まりバメ圧力の印加によって破砕し、常温接合を形成する。
【解決手段】樹脂部品1に形成された孔部に、金属材料からなる結合皮膜4を形成する工程と、結合皮膜4に活性化処理を施す工程と、被着部品に形成された凸部に活性化処理を施す工程と、孔部へ凸部を挿入し、結合皮膜4と被着部品との常温接合を形成する工程と、を含み、孔部へ挿入された凸部によって、孔部に締まりバメ圧力を発生させ、活性化処理を経て結合皮膜4に残存する付着物層を締まりバメ圧力の印加によって破砕し、常温接合を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部品接合方法および樹脂部品接合構造、特に、常温接合の形成に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂材料を用いて光学部品を形成することは、コスト優位性の観点から有効とされている。一般に、樹脂材料は、過熱によって柔らかくなり、変形してしまうという性質を備えている。そこで、樹脂部品に関して、過熱による樹脂部品の変形をさせずに固着させる接合技術が求められている。加熱を不要とし常温付近での接合を可能とする常温接合技術としては、活性化表面を露出させた固体同士を触れ合わせることにより接合を形成する手法が知られている。
【0003】
例えば、シリコンウェハの常温接合に関して、特許文献1には、接合面の接合に先立ち、真空中におけるスパッタエッチングによる活性化をし、真空下で接合を形成する技術が開示されている。
【0004】
また、半導体デバイス、フリップチップの常温接合に関して、特許文献2には、減圧中におけるプラズマ処理による活性化の後に、上下加圧して低真空または大気圧にて付着物層を押し破り、接合を形成する技術が開示されている。
【0005】
また、基板の常温接合に関して、特許文献3には、真空中の基板面に複数の金属材料からなる中間材(結合皮膜)を形成し、スパッタエッチングにより活性化をし、中間材を介する接合を形成する技術が開示されている。
【0006】
また、シリコン基板および樹脂板の常温接合に関して、特許文献4には、樹脂板に金属薄膜を形成し、エネルギー粒子の照射(スパッタエッチングと同意)による表面活性化を経て接合を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2791429号公報
【特許文献2】特許第3790995号公報
【特許文献3】特許第4172806号公報
【特許文献4】特許第3537071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1から4のいずれに開示されている常温接合も、表面活性化を経て接合を形成することを特徴とする。特許文献1や3の技術で用いられるスパッタエッチングは、半導体製造技術において多用されている。しかし、樹脂材料で形成された光学部品に対して、スパッタエッチングによる表面活性化を実施する場合、一般に、アルゴンスパッタ等の活性化処理にて樹脂材料の有機成分が遊離し、その結果として真空度を低下させること、装置チャンバーを汚すこと等の弊害が問題となる。また、遊離した有機成分が再付着してしまい、活性化が困難になる、という課題も生じる。
【0009】
特許文献2の技術のように、減圧中のプラズマ処理による表面活性化においては、処理時間を長くして活性化の度合いを上げようとすると温度が上昇することとなり、樹脂材料が変形してしまう、という課題がある。
【0010】
また、特許文献4には、樹脂板に金属薄膜を形成し、エネルギー粒子を照射(スパッタエッチングと同意)することによる表面活性化については開示されているが、孔部や凹凸を有する樹脂部品と被着部品との接合についての開示はされていない。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、樹脂部品の過熱による変形をさせることなく、樹脂部品と被着部品との接合を可能とする樹脂部品接合方法、およびその接合方法による接合部分を備える樹脂部品接合構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、樹脂部品に形成された孔部に、金属材料からなる結合皮膜を形成する工程と、前記結合皮膜に活性化処理を施す工程と、被着部品に形成された凸部に活性化処理を施す工程と、前記孔部へ前記凸部を挿入し、前記結合皮膜と前記被着部品との常温接合を形成する工程と、を含み、前記孔部へ挿入された前記凸部によって、前記孔部に締まりバメ圧力を発生させ、前記活性化処理を経て前記結合皮膜に残存する付着物層を前記締まりバメ圧力の印加によって破砕し、前記常温接合を形成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、樹脂部品の過熱による変形をさせることなく、樹脂部品と被着部品との接合が可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図2】図2は、結合皮膜が形成された樹脂部品の断面模式図である。
【図3】図3は、樹脂部品のうち孔部に皮膜を形成する方法を示す断面模式図である。
【図4】図4は、中間皮膜および結合皮膜が形成された樹脂部品の断面模式図である。
【図5】図5は、樹脂部品の全面に中間皮膜を形成し、次いで結合皮膜を形成した構成の断面模式図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態2にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態3にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態4にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態5にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態6にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態7にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図12】図12は、第1の応用例にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図13】図13は、第2の応用例にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図14】図14は、図13に示す各構成を接合させた状態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる樹脂部品接合方法および樹脂部品接合構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。樹脂部品1は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品2は、金属部材からなる金属製回転軸である。樹脂部品1は、中央部を貫通させて形成された孔部3を備える。被着部品2は、孔部3に挿入され、固着される。樹脂部品接合構造は、締まりバメにより形成された常温接合を備える。なお、図1では、孔部3に形成される皮膜の図示を省略している。
【0017】
図2は、結合皮膜4が形成された樹脂部品1の断面模式図である。本実施の形態の説明のため、結合皮膜4は、厚さを誇張して図示している。結合皮膜4は、樹脂部品1のうち、孔部3およびその周囲を覆うように形成されている。
【0018】
ここで、皮膜を形成する方法について説明する。図3は、樹脂部品1のうち孔部3に皮膜を形成する方法を示す断面模式図である。皮膜の形成には、半導体製造等において多用されている蒸着等の薄膜形成技術によるデポジションが用いられる。本実施の形態では、結合皮膜4や、後述する中間皮膜を孔部3に形成するために、樹脂部品1を回転させるとともに、孔部3に対して斜め方向からデポジションがなされるように、樹脂部品1を傾ける。これにより、孔部3の奥深くまで、孔部3表面に均一に皮膜を形成することが可能となる。なお、後述する他の実施の形態においても、かかる皮膜形成方法を適用しても良い。
【0019】
図2に示す結合皮膜4は、樹脂部品1のうち孔部3を含む領域を開口とするマスクを樹脂部品1に被覆し、薄膜形成処理を施すことにより形成する。透光性材料を用いて樹脂部品1を構成する場合は、皮膜形成の際にマスクを使用することは、接合に使用される孔部3以外の部分、例えばコード部(不図示)については透光性が維持可能となるため、光学樹脂部品に適している。
【0020】
図4は、中間皮膜5および結合皮膜4が形成された樹脂部品1の断面模式図である。本実施の形態の説明のため、結合皮膜4および中間皮膜5は、厚さを誇張して図示している。中間皮膜5は、樹脂部品1のうち、孔部3およびその周囲を覆うように形成されている。結合皮膜4は、中間皮膜5を介して、孔部3およびその周囲に形成されている。
【0021】
結合皮膜4の材料としては、半導体であるシリコン、酸化物等の化合物に比べて一般に延展性に優れる点で、金属材料を選択することが望ましい。金属のうち、特に延展性に富む金、銅、アルミニウムが材料としては好適である。延展性に富む金、銅、アルミニウムは、柔軟であって、加圧による変形も容易である。これにより、結合皮膜4の活性化処理において残存した付着物層(不図示)を変形により破れ易くさせることが可能となる。
【0022】
次に、結合皮膜4の活性化処理について述べる。活性化処理には、半導体製造等において多用されているアルゴンスパッタ等、エネルギー粒子を照射させるスパッタエッチング技術が用いられる。結合皮膜4の表層面には、一般に、酸化物や有機物等の汚れ(付着物)が存在していることから、スパッタエッチングにより、これらの付着物を除去し、活性化させる。表層面は、付着物が除去されることで、いわゆるダングリングボンドがむき出しとなった新生面となる。活性化処理も、皮膜の形成の場合と同様、図3に示すように斜めに傾けて回転させながら施すことが望ましい。これにより、孔部3の奥深くまで、均一な活性化が可能となる。
【0023】
スパッタエッチングの際、仮に樹脂部品1がむき出しとなっているとすると、エネルギー粒子が樹脂に当たることにより有機成分が遊離し、その結果真空度を低下させる、装置チャンバーを汚すことになるという弊害が問題となる。また、遊離した有機成分が再付着してしまい、活性化が困難になる、という課題も生じる。このため、スパッタエッチングの際は、治具等のマスクを設置することとし、樹脂部品1をむき出しとさせずエネルギー粒子が樹脂部品1に当たらないようにすることとしても良い。
【0024】
中間皮膜5は、樹脂部品1の全面に形成することとしても良い。図5は、樹脂部品1の全面に中間皮膜5を形成し、次いで結合皮膜4を形成した構成の断面模式図である。ここでも、結合皮膜4および中間皮膜5は、厚さを誇張して図示している。中間皮膜5は、孔部3を含む樹脂部品1の全面に形成されている。
【0025】
中間皮膜5の材料としては、酸化ケイ素(SiO2やSiO)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化インジウム・スズ(ITO)や酸化亜鉛、酸化スズ等、光を透過させる透光性材料を選択することが望ましい。透光性材料で中間皮膜5を形成することで、例えばコード部(不図示)については透光性が維持可能となるため、光学樹脂部品には適している。
【0026】
樹脂部品1の全面を中間皮膜5で覆うことで、孔部3以外の部分を遮蔽しなくても、スパッタエッチングの際にエネルギー粒子は樹脂部品1に当たらなくさせることが可能となる。これにより、有機成分の遊離による真空度低下、装置チャンバーの汚染、有機成分の再付着による活性化阻害を回避可能とし、また治具等のマスクの設置も不要となる。結合皮膜4の形成までの工程と活性化処理の工程とを連続して行わずに分離して行う場合に好適であり、治具等のマスク設置という煩雑な作業をせずに、常温接合の直前に活性化処理を行うことができる。
【0027】
しかし、真空度や処理時間等によっては、活性化処理において酸化物や有機物等の付着物を完全に除去することは困難であって、付着物層(不図示)が残ってしまう場合がある。また、例えば表層面の付着物が完全に除去され、完全な新生面が形成されたとしても、活性化処理後の真空度や経過時間によっては付着物層が再び形成されてしまう場合もある。周知のように、スパッタエッチング後に低真空や大気中にさらされることによって、皮膜の表面には付着物が付着し、付着物層が再度形成されることとなる。
【0028】
被着部品2は、樹脂部品1の孔部3へ挿入される前に、活性化処理が施される。活性化処理は、挿入の直前に施されることが望ましい。被着部品2の凸部は、孔部3内において突き当たるまで挿入される、そして、被着部品2の凸部を挿入方向へさらに圧入することによって、孔部3に締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、加圧によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品2の新生面(不図示)とを当接させ、常温接合を形成する。
【0029】
次に、樹脂部品1の孔部3への被着部品2の加圧について説明する。孔部3の内径は、被着部品2の凸部である軸の外径よりも小さくなるように形成されている。これにより、孔部3に被着部品2を挿入すると、孔部3に締まりバメ圧力が発生する。例えば、軸の外径が5mmの被着部品2によって締まりバメ圧力を発生させるには、孔部3の内径は、被着部品2の軸の外径よりも0.005mmから0.01mm程度狭める。ここで、孔部3の内径を小さくし過ぎると、被着部品2の挿入によって樹脂部品1が破損する場合があるため、孔部3の内径は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品1が破損しない程度となるように、樹脂部品1の材質に応じて設定することが望まれる。
【0030】
結合皮膜4に残存した付着物層は、被着部品2の挿入によって孔部3に発生する締まりバメ圧力の印加によって破砕される。付着物層を破砕させることで、結合皮膜4と被着部品2との常温接合は形成される。このようにして、樹脂部品1の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品1と被着部品2との接合が可能となるという効果を奏する。
【0031】
被着部品2についての活性化処理は、被着部品2自体に施す場合に限られない。例えば、被着部品2にも結合皮膜を形成することとし、その結合皮膜に活性化処理を施すこととしても良い。これにより、さらに良好な常温接合が可能となる。
【0032】
光学的な透光性を要する樹脂部品1の場合、孔部3に開口を有する治具等のマスクを設置して、結合皮膜4を成膜する。また、透光性を備える中間皮膜5を形成することとすれば、治具等のマスクを不要にできる。このようにして、光学部品である樹脂部品1は、光学特性としての透光性を確保できる。
【0033】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本実施の形態は、テーパ形状をなす孔部13へ被着部品12を圧入させることを特徴とする。樹脂部品11は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品12は、金属部材からなる金属製回転軸である。樹脂部品11の中央部を貫通させて形成された孔部13は、被着部品12の凸部の挿入方向へ向かうに従い漸次狭められるようなテーパ形状をなしている。被着部品12の凸部は、孔部13と同様のテーパ形状をなしている。
【0034】
結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。なお、図6では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。被着部品12の凸部は、孔部13内において突き当たるまで挿入される。そして、被着部品12の凸部を挿入方向へさらに圧入することによって、孔部13に締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品12の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。
【0035】
ここで、被着部品12の凸部による加圧が過大であると、樹脂部品11が破損する場合があるため、加圧の程度は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品11が破損しない程度となるように、樹脂部品11の材質に応じて設定することが望まれる。本実施の形態においても、樹脂部品11の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品11と被着部品12との接合が可能となる。
【0036】
本実施の形態では、テーパ面での加圧によって常温接合を形成することで、テーパ形状に応じて、孔部13における被着部品12の凸部の高さを適宜設定することができる。また、孔部13の表面がテーパ状に傾けられることで、結合皮膜4や中間皮膜5を形成する際に皮膜粒子(不図示)を孔部13の奥深くまで均一に行き渡らせることができ、均一な成膜が可能となる。さらに、孔部13の奥深くまで、均一な活性化が可能となる。
【0037】
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本実施の形態は、上記の実施の形態における孔部3、13に代えて形成された凹部22において常温接合を形成することを特徴とする。樹脂部品21は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。樹脂部品21の中央部に形成された凹部22は、被着部品(不図示)の凸部を挿入する側とは反対側を底面とする凹形状をなしている。また、凹部22は、被着部品の凸部の挿入方向へ向かうに従い漸次狭められるようなテーパ形状をなしている。被着部品の凸部は、凹部22と同様のテーパ形状をなしている。
【0038】
結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。結合皮膜4および中間皮膜5は、凹部22のうち全面に形成される。なお、図7では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。被着部品は、凸部の頂部が凹部22の底面に突き当たるまで挿入される。
【0039】
そして、被着部品の凸部を挿入方向へさらに圧入することによって、締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。
【0040】
このときの被着部品の凸部により印加される圧力は、樹脂部品21を構成する樹脂材料の圧縮破壊強度より小さければ良い。被着部品の凸部による加圧が過大であると、樹脂部品21が破損する場合があるため、加圧の程度は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品21が破損しない程度となるように、樹脂部品21の材質に応じて設定することが望まれる。また、締まりバメ圧力は、凹部22のテーパ面において生じさせることとしても良い。結合皮膜4のうち凹部22のテーパ面に残存する付着物層を締まりバメ圧力によって破砕させることで、常温接合が形成される。
【0041】
本実施の形態においても、樹脂部品21の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品21と被着部品との接合が可能となる。本実施の形態では、凹部22の底面での加圧によって常温接合を形成することで、底面の位置に応じて、樹脂部品21における被着部品の凸部の高さを適宜設定することができる。
【0042】
なお、凹部22はテーパ形状である場合に限られず、少なくとも底面を備える形状であれば良い。結合皮膜4は、少なくとも底面に形成されれば良い。これにより、凹部22の底面での加圧によって常温接合を形成することが可能となる。結合皮膜4や中間皮膜5を形成する際に皮膜粒子(不図示)を凹部22の底面にまで均一に行き渡らせることができ、均一な成膜が可能となる。また、凹部22の底面まで、均一な活性化が可能となる。
【0043】
実施の形態4.
図8は、本発明の実施の形態4にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本実施の形態は、孔部33に当接された凸部の回転加圧により締まりバメ圧力を発生させることを特徴とする。樹脂部品31は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品32は、金属部材からなる金属製回転軸である。
【0044】
樹脂部品31の中央部を貫通させて形成された孔部33は、図示する所定の横断面において楕円形状をなしている。被着部品32の凸部は、同じ横断面において、孔部33より若干小さい楕円形状をなしている。図示する横断面は、孔部33における被着部品32の挿入方向に垂直な方向の面とする。結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。なお、図8では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。
【0045】
図8のうち白抜き矢印の左側には、孔部33において所望の深さまで被着部品32の凸部を挿入した状態を示している。被着部品32は、孔部33に対して楕円形状の向きを合わせるようにして挿入される。次に、白抜き矢印の右側に示すように、孔部33において、被着部品32の凸部を回転させる。凸部は、上述する横断面とは非平行な軸、例えば、凸部を挿入させる挿入方向に平行な軸を回転軸として回転させる。
【0046】
孔部33において凸部を回転させることにより、孔部33の側面に凸部が当接する。そして、孔部33に当接された凸部を回転方向へさらに加圧することによって、締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品32の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。
【0047】
ここで、被着部品32の凸部による回転加圧が過大であると、樹脂部品31が破損する場合があるため、加圧の程度は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品31が破損しない程度となるように、樹脂部品31の材質に応じて設定することが望まれる。本実施の形態においても、樹脂部品31の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品31と被着部品32との接合が可能となる。なお、本実施の形態においても、上記横断面に垂直な面における孔部33および凸部の形状をテーパ形状として、テーパ形状により発生させる締まりバメ圧力を併用しても良い。
【0048】
実施の形態5.
図9は、本発明の実施の形態5にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本実施の形態は、横断面において多角形形状をなす孔部43および凸部により締まりバメ圧力を発生させることを特徴とする。樹脂部品41は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品42は、金属部材からなる金属製回転軸である。
【0049】
樹脂部品41の中央部を貫通させて形成された孔部43は、図示する所定の横断面において多角形形状をなしている。被着部品42の凸部は、同じ横断面において、孔部43より若干小さい多角形形状をなしている。ここでは、多角形形状の例として、正方形形状を示している。図示する横断面は、孔部43における被着部品42の挿入方向に垂直な方向の面とする。結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。なお、図9では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。
【0050】
図9のうち白抜き矢印の左側には、孔部43において所望の深さまで被着部品42の凸部を挿入した状態を示している。被着部品42は、孔部43に対して多角形形状の向きを合わせるようにして挿入される。次に、白抜き矢印の右側に示すように、孔部43において、被着部品42の凸部を回転させる。凸部は、上述する横断面とは非平行な軸、例えば、凸部を挿入させる挿入方向に平行な軸を回転軸として回転させる。
【0051】
孔部43において凸部を回転させることにより、孔部43の側面に凸部が当接する。そして、孔部43に当接された凸部を回転方向へさらに加圧することによって、締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品42の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。
【0052】
ここで、被着部品42の凸部による回転加圧が過大であると、樹脂部品41が破損する場合があるため、加圧の程度は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品41が破損しない程度となるように、樹脂部品41の材質に応じて設定することが望まれる。本実施の形態においても、樹脂部品41の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品41と被着部品42との接合が可能となる。なお、本実施の形態においても、上記横断面に垂直な面における孔部43および凸部の形状をテーパ形状として、テーパ形状により発生させる締まりバメ圧力を併用しても良い。
【0053】
実施の形態6.
図10は、本発明の実施の形態6にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本実施の形態は、樹脂部品51の凸部53と、被着部品52の凹部54とにおいて常温接合を形成することを特徴とする。樹脂部品51は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品52は、金属部材からなる金属製回転軸である。樹脂部品51は、中央部において突出させて形成された凸部53を備える。被着部品52の先端のうち、凸部53が挿入される部分に、凹部54が形成されている。
【0054】
結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。本実施の形態でも、皮膜の形成には、半導体製造等において多用されている蒸着等の薄膜形成技術によるデポジションが用いられる。皮膜を凸部53に形成するために、樹脂部品51を斜めに傾けて回転させることで、凸部53の側面にまで均一に皮膜を形成することが可能となる。
【0055】
結合皮膜4は、樹脂部品51のうち凸部53を含む領域を開口とするマスクを樹脂部品51に被覆して形成しても良い。また、樹脂部品51の全面に中間皮膜5を形成しても良い。なお、図10では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。活性化処理では、スパッタエッチングにより結合皮膜4の付着物を除去し、結合皮膜4の表層面を活性化させる。活性化処理も、皮膜の形成の場合と同様、斜めに傾けて回転させながら施すことが望ましい。これにより、凸部53の側面まで均一な活性化が可能となる。
【0056】
装着部品52の凹部54は、樹脂部品51の凸部53が挿入される前に、活性化処理が施される。活性化処理は、挿入の直前に施されることが望ましい。凸部53は、凸部53の頂部が凹部54の底面に当接するまで挿入される。そして、凸部53を挿入方向へさらに圧入することによって、凸部53に締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。
【0057】
凸部53の外径は、凹部54の内径よりも大きくなるように形成されている。これにより、凹部54に凸部53を挿入すると、凸部53に締まりバメ圧力が発生する。例えば、内径が5mmの凹部54によって締まりバメ圧力を発生させるには、凸部53の外径は、凹部54の内径よりも0.005mmから0.01mm程度大きくする。ここで、凸部53の外径を大きくし過ぎると、凹部54への凸部53の挿入によって樹脂部品51が破損する場合があるため、凸部53の外径は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品51が破損しない程度となるように、樹脂部品51の材質に応じて設定することが望まれる。
【0058】
結合皮膜4に残存した付着物層は、凸部53に発生する締まりバメ圧力の印加によって破砕される。付着物層を破砕させることで、結合皮膜4と被着部品52との常温接合は形成される。本実施の形態においても、樹脂部品51の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品51と被着部品52との接合が可能となる。
【0059】
被着部品52についての活性化処理は、被着部品52自体に施すこととする場合に限られない。例えば、被着部品52にも結合皮膜を形成することとし、その結合皮膜に活性化処理を施すこととしても良い。これにより、さらに良好な常温接合が可能となる。
【0060】
光学的な透光性を要する樹脂部品51の場合、凸部53に開口を有する治具等のマスクを設置して、結合皮膜4を成膜する。また、透光性を備える中間皮膜5を形成することとすれば、治具等のマスクを不要にできる。このようにして、光学部品である樹脂部品51は、光学特性としての透光性を確保できる。本実施の形態においても、凸部53および凹部54の形状をテーパ形状として、テーパ形状により発生させる締まりバメ圧力を併用しても良い。
【0061】
実施の形態7.
図11は、本発明の実施の形態7にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本実施の形態は、接合部分において回り止め構造を構成することを特徴とする。樹脂部品61は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品62は、金属部材からなる金属製回転軸である。樹脂部品61は、複数の孔部63を備える。複数の孔部63は、樹脂部品61の中央部付近を貫通させて形成されている。被着部品62は、孔部63に対応させて形成された複数の凸部64を備える。
【0062】
結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。なお、図11では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。被着部品62の各凸部64は、それぞれ孔部63内において突き当たるまで挿入される。そして、凸部64を挿入方向へさらに圧入することによって、孔部63に締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品62の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。
【0063】
本実施の形態においても、樹脂部品61の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品61と被着部品62との接合が可能となる。また、複数の孔部63と、複数の凸部64とは、常温接合を構成するとともに、被着部品62に対する樹脂部品61の回転を抑制するための回り止め構造を構成する。
【0064】
孔部63の内径は、被着部品62の凸部64である軸の外径よりも小さくなるように形成されている。これにより、孔部63に凸部64を挿入すると、孔部63に締まりバメ圧力が発生する。例えば、軸の外径が5mmの凸部64によって締まりバメ圧力を発生させるには、孔部63の内径は、凸部64の軸の外径よりも0.005mmから0.01mm程度狭める。ここで、孔部63の内径を小さくし過ぎると、凸部64の挿入によって樹脂部品61が破損する場合があるため、孔部63の内径は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品61が破損しない程度となるように、樹脂部品61の材質に応じて設定することが望まれる。樹脂部品61の複数の孔部63に、それぞれ対応するように位置合わせがなされた凸部64が挿入されることで、結合部分の回転回り止めも同時に行われる。
【0065】
被着部品62についての活性化処理は、被着部品62自体に施すこととする場合に限られない。例えば、被着部品62にも結合皮膜を形成することとし、その結合皮膜に活性化処理を施すこととしても良い。これにより、さらに良好な常温接合が可能となる。
【0066】
光学的な透光性を要する樹脂部品61の場合、孔部63に開口を有する治具等のマスクを設置して、結合皮膜4を成膜する。また、透光性を備える中間皮膜5を形成することとすれば、治具等のマスクを不要にできる。このようにして、光学部品である樹脂部品61は、光学特性としての透光性を確保できる。本実施の形態においても、孔部63および凸部64の形状をテーパ形状として、テーパ形状により発生させる締まりバメ圧力を併用しても良い。
【0067】
図12は、第1の応用例にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本応用例は、被着部品72とともに樹脂部品71を挟み込む嵌合部材73を有することを特徴とする。樹脂部品71は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品72は、金属部材からなる金属製回転軸である。
【0068】
樹脂部品71は、中央部付近を貫通させて形成された複数の孔部74を備える。被着部品72は、孔部74に対応させて形成された複数の凹部75を備える。嵌合部材73は、孔部74および凹部75に嵌合可能に形成された複数の凸部76を備える。
【0069】
結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。なお、図12では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。各凸部76は、それぞれ孔部74を通じて凹部75の底面に突き当たるまで挿入される。そして、凸部76を挿入方向へさらに圧入することによって、凸部76に締まりバメ圧力を発生させる。
【0070】
結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品75の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。なお、本応用例では、樹脂部品71は、常温接合を構成するものとしても、しないものとしても良い。また、樹脂部品71の複数の孔部74は、実施の形態7と同様に、回り止め構造を構成するものとしても良い。
【0071】
図13は、第2の応用例にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。図14は、図13に示す各構成を接合させた状態を示す断面模式図である。本応用例も、被着部品86とともに樹脂部品81を挟み込む嵌合部材83を有する。樹脂部品81は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品82は、金属部材からなる金属製回転軸である。
【0072】
樹脂部品81は、中央部に形成された第1の孔部84と、第1の孔部84の周囲に形成された複数の第2の孔部85とを備える。被着部品82は、第1の孔部84に対応させて形成された凸部86を備える。嵌合部材83は、第2の孔部85及び凸部86に嵌合可能に形成された複数の凸部87を備える。
【0073】
結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。なお、図13では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。各凸部87は、それぞれ第2の孔部85を通じて凸部86の側面に垂直な面に突き当たるまで挿入される。そして、凸部87を挿入方向へさらに圧入することによって、凸部87に締まりバメ圧力を発生させる。
【0074】
結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品82の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。なお、本応用例も、樹脂部品81は、常温接合を構成するものとしても、しないものとしても良い。また、樹脂部品81の複数の第2の孔部85は、実施の形態7と同様に、回り止め構造を構成するものとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかる樹脂部品接合方法および樹脂部品接合構造は、過熱変形させずに光学樹脂部品を接合可能であって、接着剤やネジ等の部品が不要である。このため、耐環境性に優れる光学式エンコーダの生産に有用である。
【符号の説明】
【0076】
1、11、21、31、41、51、61 樹脂部品
2、12、32、42、52、62 被着部品
3、13、33、43、63 孔部
4 結合皮膜
5 中間皮膜
22 凹部
53 凸部
54 凹部
64 凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂部品接合方法および樹脂部品接合構造、特に、常温接合の形成に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂材料を用いて光学部品を形成することは、コスト優位性の観点から有効とされている。一般に、樹脂材料は、過熱によって柔らかくなり、変形してしまうという性質を備えている。そこで、樹脂部品に関して、過熱による樹脂部品の変形をさせずに固着させる接合技術が求められている。加熱を不要とし常温付近での接合を可能とする常温接合技術としては、活性化表面を露出させた固体同士を触れ合わせることにより接合を形成する手法が知られている。
【0003】
例えば、シリコンウェハの常温接合に関して、特許文献1には、接合面の接合に先立ち、真空中におけるスパッタエッチングによる活性化をし、真空下で接合を形成する技術が開示されている。
【0004】
また、半導体デバイス、フリップチップの常温接合に関して、特許文献2には、減圧中におけるプラズマ処理による活性化の後に、上下加圧して低真空または大気圧にて付着物層を押し破り、接合を形成する技術が開示されている。
【0005】
また、基板の常温接合に関して、特許文献3には、真空中の基板面に複数の金属材料からなる中間材(結合皮膜)を形成し、スパッタエッチングにより活性化をし、中間材を介する接合を形成する技術が開示されている。
【0006】
また、シリコン基板および樹脂板の常温接合に関して、特許文献4には、樹脂板に金属薄膜を形成し、エネルギー粒子の照射(スパッタエッチングと同意)による表面活性化を経て接合を形成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2791429号公報
【特許文献2】特許第3790995号公報
【特許文献3】特許第4172806号公報
【特許文献4】特許第3537071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1から4のいずれに開示されている常温接合も、表面活性化を経て接合を形成することを特徴とする。特許文献1や3の技術で用いられるスパッタエッチングは、半導体製造技術において多用されている。しかし、樹脂材料で形成された光学部品に対して、スパッタエッチングによる表面活性化を実施する場合、一般に、アルゴンスパッタ等の活性化処理にて樹脂材料の有機成分が遊離し、その結果として真空度を低下させること、装置チャンバーを汚すこと等の弊害が問題となる。また、遊離した有機成分が再付着してしまい、活性化が困難になる、という課題も生じる。
【0009】
特許文献2の技術のように、減圧中のプラズマ処理による表面活性化においては、処理時間を長くして活性化の度合いを上げようとすると温度が上昇することとなり、樹脂材料が変形してしまう、という課題がある。
【0010】
また、特許文献4には、樹脂板に金属薄膜を形成し、エネルギー粒子を照射(スパッタエッチングと同意)することによる表面活性化については開示されているが、孔部や凹凸を有する樹脂部品と被着部品との接合についての開示はされていない。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、樹脂部品の過熱による変形をさせることなく、樹脂部品と被着部品との接合を可能とする樹脂部品接合方法、およびその接合方法による接合部分を備える樹脂部品接合構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、樹脂部品に形成された孔部に、金属材料からなる結合皮膜を形成する工程と、前記結合皮膜に活性化処理を施す工程と、被着部品に形成された凸部に活性化処理を施す工程と、前記孔部へ前記凸部を挿入し、前記結合皮膜と前記被着部品との常温接合を形成する工程と、を含み、前記孔部へ挿入された前記凸部によって、前記孔部に締まりバメ圧力を発生させ、前記活性化処理を経て前記結合皮膜に残存する付着物層を前記締まりバメ圧力の印加によって破砕し、前記常温接合を形成する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、樹脂部品の過熱による変形をさせることなく、樹脂部品と被着部品との接合が可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図2】図2は、結合皮膜が形成された樹脂部品の断面模式図である。
【図3】図3は、樹脂部品のうち孔部に皮膜を形成する方法を示す断面模式図である。
【図4】図4は、中間皮膜および結合皮膜が形成された樹脂部品の断面模式図である。
【図5】図5は、樹脂部品の全面に中間皮膜を形成し、次いで結合皮膜を形成した構成の断面模式図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態2にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態3にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態4にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態5にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態6にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態7にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図12】図12は、第1の応用例にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図13】図13は、第2の応用例にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。
【図14】図14は、図13に示す各構成を接合させた状態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる樹脂部品接合方法および樹脂部品接合構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。樹脂部品1は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品2は、金属部材からなる金属製回転軸である。樹脂部品1は、中央部を貫通させて形成された孔部3を備える。被着部品2は、孔部3に挿入され、固着される。樹脂部品接合構造は、締まりバメにより形成された常温接合を備える。なお、図1では、孔部3に形成される皮膜の図示を省略している。
【0017】
図2は、結合皮膜4が形成された樹脂部品1の断面模式図である。本実施の形態の説明のため、結合皮膜4は、厚さを誇張して図示している。結合皮膜4は、樹脂部品1のうち、孔部3およびその周囲を覆うように形成されている。
【0018】
ここで、皮膜を形成する方法について説明する。図3は、樹脂部品1のうち孔部3に皮膜を形成する方法を示す断面模式図である。皮膜の形成には、半導体製造等において多用されている蒸着等の薄膜形成技術によるデポジションが用いられる。本実施の形態では、結合皮膜4や、後述する中間皮膜を孔部3に形成するために、樹脂部品1を回転させるとともに、孔部3に対して斜め方向からデポジションがなされるように、樹脂部品1を傾ける。これにより、孔部3の奥深くまで、孔部3表面に均一に皮膜を形成することが可能となる。なお、後述する他の実施の形態においても、かかる皮膜形成方法を適用しても良い。
【0019】
図2に示す結合皮膜4は、樹脂部品1のうち孔部3を含む領域を開口とするマスクを樹脂部品1に被覆し、薄膜形成処理を施すことにより形成する。透光性材料を用いて樹脂部品1を構成する場合は、皮膜形成の際にマスクを使用することは、接合に使用される孔部3以外の部分、例えばコード部(不図示)については透光性が維持可能となるため、光学樹脂部品に適している。
【0020】
図4は、中間皮膜5および結合皮膜4が形成された樹脂部品1の断面模式図である。本実施の形態の説明のため、結合皮膜4および中間皮膜5は、厚さを誇張して図示している。中間皮膜5は、樹脂部品1のうち、孔部3およびその周囲を覆うように形成されている。結合皮膜4は、中間皮膜5を介して、孔部3およびその周囲に形成されている。
【0021】
結合皮膜4の材料としては、半導体であるシリコン、酸化物等の化合物に比べて一般に延展性に優れる点で、金属材料を選択することが望ましい。金属のうち、特に延展性に富む金、銅、アルミニウムが材料としては好適である。延展性に富む金、銅、アルミニウムは、柔軟であって、加圧による変形も容易である。これにより、結合皮膜4の活性化処理において残存した付着物層(不図示)を変形により破れ易くさせることが可能となる。
【0022】
次に、結合皮膜4の活性化処理について述べる。活性化処理には、半導体製造等において多用されているアルゴンスパッタ等、エネルギー粒子を照射させるスパッタエッチング技術が用いられる。結合皮膜4の表層面には、一般に、酸化物や有機物等の汚れ(付着物)が存在していることから、スパッタエッチングにより、これらの付着物を除去し、活性化させる。表層面は、付着物が除去されることで、いわゆるダングリングボンドがむき出しとなった新生面となる。活性化処理も、皮膜の形成の場合と同様、図3に示すように斜めに傾けて回転させながら施すことが望ましい。これにより、孔部3の奥深くまで、均一な活性化が可能となる。
【0023】
スパッタエッチングの際、仮に樹脂部品1がむき出しとなっているとすると、エネルギー粒子が樹脂に当たることにより有機成分が遊離し、その結果真空度を低下させる、装置チャンバーを汚すことになるという弊害が問題となる。また、遊離した有機成分が再付着してしまい、活性化が困難になる、という課題も生じる。このため、スパッタエッチングの際は、治具等のマスクを設置することとし、樹脂部品1をむき出しとさせずエネルギー粒子が樹脂部品1に当たらないようにすることとしても良い。
【0024】
中間皮膜5は、樹脂部品1の全面に形成することとしても良い。図5は、樹脂部品1の全面に中間皮膜5を形成し、次いで結合皮膜4を形成した構成の断面模式図である。ここでも、結合皮膜4および中間皮膜5は、厚さを誇張して図示している。中間皮膜5は、孔部3を含む樹脂部品1の全面に形成されている。
【0025】
中間皮膜5の材料としては、酸化ケイ素(SiO2やSiO)、フッ化マグネシウム(MgF2)、酸化インジウム・スズ(ITO)や酸化亜鉛、酸化スズ等、光を透過させる透光性材料を選択することが望ましい。透光性材料で中間皮膜5を形成することで、例えばコード部(不図示)については透光性が維持可能となるため、光学樹脂部品には適している。
【0026】
樹脂部品1の全面を中間皮膜5で覆うことで、孔部3以外の部分を遮蔽しなくても、スパッタエッチングの際にエネルギー粒子は樹脂部品1に当たらなくさせることが可能となる。これにより、有機成分の遊離による真空度低下、装置チャンバーの汚染、有機成分の再付着による活性化阻害を回避可能とし、また治具等のマスクの設置も不要となる。結合皮膜4の形成までの工程と活性化処理の工程とを連続して行わずに分離して行う場合に好適であり、治具等のマスク設置という煩雑な作業をせずに、常温接合の直前に活性化処理を行うことができる。
【0027】
しかし、真空度や処理時間等によっては、活性化処理において酸化物や有機物等の付着物を完全に除去することは困難であって、付着物層(不図示)が残ってしまう場合がある。また、例えば表層面の付着物が完全に除去され、完全な新生面が形成されたとしても、活性化処理後の真空度や経過時間によっては付着物層が再び形成されてしまう場合もある。周知のように、スパッタエッチング後に低真空や大気中にさらされることによって、皮膜の表面には付着物が付着し、付着物層が再度形成されることとなる。
【0028】
被着部品2は、樹脂部品1の孔部3へ挿入される前に、活性化処理が施される。活性化処理は、挿入の直前に施されることが望ましい。被着部品2の凸部は、孔部3内において突き当たるまで挿入される、そして、被着部品2の凸部を挿入方向へさらに圧入することによって、孔部3に締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、加圧によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品2の新生面(不図示)とを当接させ、常温接合を形成する。
【0029】
次に、樹脂部品1の孔部3への被着部品2の加圧について説明する。孔部3の内径は、被着部品2の凸部である軸の外径よりも小さくなるように形成されている。これにより、孔部3に被着部品2を挿入すると、孔部3に締まりバメ圧力が発生する。例えば、軸の外径が5mmの被着部品2によって締まりバメ圧力を発生させるには、孔部3の内径は、被着部品2の軸の外径よりも0.005mmから0.01mm程度狭める。ここで、孔部3の内径を小さくし過ぎると、被着部品2の挿入によって樹脂部品1が破損する場合があるため、孔部3の内径は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品1が破損しない程度となるように、樹脂部品1の材質に応じて設定することが望まれる。
【0030】
結合皮膜4に残存した付着物層は、被着部品2の挿入によって孔部3に発生する締まりバメ圧力の印加によって破砕される。付着物層を破砕させることで、結合皮膜4と被着部品2との常温接合は形成される。このようにして、樹脂部品1の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品1と被着部品2との接合が可能となるという効果を奏する。
【0031】
被着部品2についての活性化処理は、被着部品2自体に施す場合に限られない。例えば、被着部品2にも結合皮膜を形成することとし、その結合皮膜に活性化処理を施すこととしても良い。これにより、さらに良好な常温接合が可能となる。
【0032】
光学的な透光性を要する樹脂部品1の場合、孔部3に開口を有する治具等のマスクを設置して、結合皮膜4を成膜する。また、透光性を備える中間皮膜5を形成することとすれば、治具等のマスクを不要にできる。このようにして、光学部品である樹脂部品1は、光学特性としての透光性を確保できる。
【0033】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本実施の形態は、テーパ形状をなす孔部13へ被着部品12を圧入させることを特徴とする。樹脂部品11は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品12は、金属部材からなる金属製回転軸である。樹脂部品11の中央部を貫通させて形成された孔部13は、被着部品12の凸部の挿入方向へ向かうに従い漸次狭められるようなテーパ形状をなしている。被着部品12の凸部は、孔部13と同様のテーパ形状をなしている。
【0034】
結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。なお、図6では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。被着部品12の凸部は、孔部13内において突き当たるまで挿入される。そして、被着部品12の凸部を挿入方向へさらに圧入することによって、孔部13に締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品12の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。
【0035】
ここで、被着部品12の凸部による加圧が過大であると、樹脂部品11が破損する場合があるため、加圧の程度は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品11が破損しない程度となるように、樹脂部品11の材質に応じて設定することが望まれる。本実施の形態においても、樹脂部品11の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品11と被着部品12との接合が可能となる。
【0036】
本実施の形態では、テーパ面での加圧によって常温接合を形成することで、テーパ形状に応じて、孔部13における被着部品12の凸部の高さを適宜設定することができる。また、孔部13の表面がテーパ状に傾けられることで、結合皮膜4や中間皮膜5を形成する際に皮膜粒子(不図示)を孔部13の奥深くまで均一に行き渡らせることができ、均一な成膜が可能となる。さらに、孔部13の奥深くまで、均一な活性化が可能となる。
【0037】
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本実施の形態は、上記の実施の形態における孔部3、13に代えて形成された凹部22において常温接合を形成することを特徴とする。樹脂部品21は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。樹脂部品21の中央部に形成された凹部22は、被着部品(不図示)の凸部を挿入する側とは反対側を底面とする凹形状をなしている。また、凹部22は、被着部品の凸部の挿入方向へ向かうに従い漸次狭められるようなテーパ形状をなしている。被着部品の凸部は、凹部22と同様のテーパ形状をなしている。
【0038】
結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。結合皮膜4および中間皮膜5は、凹部22のうち全面に形成される。なお、図7では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。被着部品は、凸部の頂部が凹部22の底面に突き当たるまで挿入される。
【0039】
そして、被着部品の凸部を挿入方向へさらに圧入することによって、締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。
【0040】
このときの被着部品の凸部により印加される圧力は、樹脂部品21を構成する樹脂材料の圧縮破壊強度より小さければ良い。被着部品の凸部による加圧が過大であると、樹脂部品21が破損する場合があるため、加圧の程度は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品21が破損しない程度となるように、樹脂部品21の材質に応じて設定することが望まれる。また、締まりバメ圧力は、凹部22のテーパ面において生じさせることとしても良い。結合皮膜4のうち凹部22のテーパ面に残存する付着物層を締まりバメ圧力によって破砕させることで、常温接合が形成される。
【0041】
本実施の形態においても、樹脂部品21の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品21と被着部品との接合が可能となる。本実施の形態では、凹部22の底面での加圧によって常温接合を形成することで、底面の位置に応じて、樹脂部品21における被着部品の凸部の高さを適宜設定することができる。
【0042】
なお、凹部22はテーパ形状である場合に限られず、少なくとも底面を備える形状であれば良い。結合皮膜4は、少なくとも底面に形成されれば良い。これにより、凹部22の底面での加圧によって常温接合を形成することが可能となる。結合皮膜4や中間皮膜5を形成する際に皮膜粒子(不図示)を凹部22の底面にまで均一に行き渡らせることができ、均一な成膜が可能となる。また、凹部22の底面まで、均一な活性化が可能となる。
【0043】
実施の形態4.
図8は、本発明の実施の形態4にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本実施の形態は、孔部33に当接された凸部の回転加圧により締まりバメ圧力を発生させることを特徴とする。樹脂部品31は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品32は、金属部材からなる金属製回転軸である。
【0044】
樹脂部品31の中央部を貫通させて形成された孔部33は、図示する所定の横断面において楕円形状をなしている。被着部品32の凸部は、同じ横断面において、孔部33より若干小さい楕円形状をなしている。図示する横断面は、孔部33における被着部品32の挿入方向に垂直な方向の面とする。結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。なお、図8では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。
【0045】
図8のうち白抜き矢印の左側には、孔部33において所望の深さまで被着部品32の凸部を挿入した状態を示している。被着部品32は、孔部33に対して楕円形状の向きを合わせるようにして挿入される。次に、白抜き矢印の右側に示すように、孔部33において、被着部品32の凸部を回転させる。凸部は、上述する横断面とは非平行な軸、例えば、凸部を挿入させる挿入方向に平行な軸を回転軸として回転させる。
【0046】
孔部33において凸部を回転させることにより、孔部33の側面に凸部が当接する。そして、孔部33に当接された凸部を回転方向へさらに加圧することによって、締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品32の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。
【0047】
ここで、被着部品32の凸部による回転加圧が過大であると、樹脂部品31が破損する場合があるため、加圧の程度は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品31が破損しない程度となるように、樹脂部品31の材質に応じて設定することが望まれる。本実施の形態においても、樹脂部品31の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品31と被着部品32との接合が可能となる。なお、本実施の形態においても、上記横断面に垂直な面における孔部33および凸部の形状をテーパ形状として、テーパ形状により発生させる締まりバメ圧力を併用しても良い。
【0048】
実施の形態5.
図9は、本発明の実施の形態5にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本実施の形態は、横断面において多角形形状をなす孔部43および凸部により締まりバメ圧力を発生させることを特徴とする。樹脂部品41は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品42は、金属部材からなる金属製回転軸である。
【0049】
樹脂部品41の中央部を貫通させて形成された孔部43は、図示する所定の横断面において多角形形状をなしている。被着部品42の凸部は、同じ横断面において、孔部43より若干小さい多角形形状をなしている。ここでは、多角形形状の例として、正方形形状を示している。図示する横断面は、孔部43における被着部品42の挿入方向に垂直な方向の面とする。結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。なお、図9では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。
【0050】
図9のうち白抜き矢印の左側には、孔部43において所望の深さまで被着部品42の凸部を挿入した状態を示している。被着部品42は、孔部43に対して多角形形状の向きを合わせるようにして挿入される。次に、白抜き矢印の右側に示すように、孔部43において、被着部品42の凸部を回転させる。凸部は、上述する横断面とは非平行な軸、例えば、凸部を挿入させる挿入方向に平行な軸を回転軸として回転させる。
【0051】
孔部43において凸部を回転させることにより、孔部43の側面に凸部が当接する。そして、孔部43に当接された凸部を回転方向へさらに加圧することによって、締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品42の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。
【0052】
ここで、被着部品42の凸部による回転加圧が過大であると、樹脂部品41が破損する場合があるため、加圧の程度は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品41が破損しない程度となるように、樹脂部品41の材質に応じて設定することが望まれる。本実施の形態においても、樹脂部品41の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品41と被着部品42との接合が可能となる。なお、本実施の形態においても、上記横断面に垂直な面における孔部43および凸部の形状をテーパ形状として、テーパ形状により発生させる締まりバメ圧力を併用しても良い。
【0053】
実施の形態6.
図10は、本発明の実施の形態6にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本実施の形態は、樹脂部品51の凸部53と、被着部品52の凹部54とにおいて常温接合を形成することを特徴とする。樹脂部品51は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品52は、金属部材からなる金属製回転軸である。樹脂部品51は、中央部において突出させて形成された凸部53を備える。被着部品52の先端のうち、凸部53が挿入される部分に、凹部54が形成されている。
【0054】
結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。本実施の形態でも、皮膜の形成には、半導体製造等において多用されている蒸着等の薄膜形成技術によるデポジションが用いられる。皮膜を凸部53に形成するために、樹脂部品51を斜めに傾けて回転させることで、凸部53の側面にまで均一に皮膜を形成することが可能となる。
【0055】
結合皮膜4は、樹脂部品51のうち凸部53を含む領域を開口とするマスクを樹脂部品51に被覆して形成しても良い。また、樹脂部品51の全面に中間皮膜5を形成しても良い。なお、図10では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。活性化処理では、スパッタエッチングにより結合皮膜4の付着物を除去し、結合皮膜4の表層面を活性化させる。活性化処理も、皮膜の形成の場合と同様、斜めに傾けて回転させながら施すことが望ましい。これにより、凸部53の側面まで均一な活性化が可能となる。
【0056】
装着部品52の凹部54は、樹脂部品51の凸部53が挿入される前に、活性化処理が施される。活性化処理は、挿入の直前に施されることが望ましい。凸部53は、凸部53の頂部が凹部54の底面に当接するまで挿入される。そして、凸部53を挿入方向へさらに圧入することによって、凸部53に締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。
【0057】
凸部53の外径は、凹部54の内径よりも大きくなるように形成されている。これにより、凹部54に凸部53を挿入すると、凸部53に締まりバメ圧力が発生する。例えば、内径が5mmの凹部54によって締まりバメ圧力を発生させるには、凸部53の外径は、凹部54の内径よりも0.005mmから0.01mm程度大きくする。ここで、凸部53の外径を大きくし過ぎると、凹部54への凸部53の挿入によって樹脂部品51が破損する場合があるため、凸部53の外径は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品51が破損しない程度となるように、樹脂部品51の材質に応じて設定することが望まれる。
【0058】
結合皮膜4に残存した付着物層は、凸部53に発生する締まりバメ圧力の印加によって破砕される。付着物層を破砕させることで、結合皮膜4と被着部品52との常温接合は形成される。本実施の形態においても、樹脂部品51の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品51と被着部品52との接合が可能となる。
【0059】
被着部品52についての活性化処理は、被着部品52自体に施すこととする場合に限られない。例えば、被着部品52にも結合皮膜を形成することとし、その結合皮膜に活性化処理を施すこととしても良い。これにより、さらに良好な常温接合が可能となる。
【0060】
光学的な透光性を要する樹脂部品51の場合、凸部53に開口を有する治具等のマスクを設置して、結合皮膜4を成膜する。また、透光性を備える中間皮膜5を形成することとすれば、治具等のマスクを不要にできる。このようにして、光学部品である樹脂部品51は、光学特性としての透光性を確保できる。本実施の形態においても、凸部53および凹部54の形状をテーパ形状として、テーパ形状により発生させる締まりバメ圧力を併用しても良い。
【0061】
実施の形態7.
図11は、本発明の実施の形態7にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本実施の形態は、接合部分において回り止め構造を構成することを特徴とする。樹脂部品61は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品62は、金属部材からなる金属製回転軸である。樹脂部品61は、複数の孔部63を備える。複数の孔部63は、樹脂部品61の中央部付近を貫通させて形成されている。被着部品62は、孔部63に対応させて形成された複数の凸部64を備える。
【0062】
結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。なお、図11では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。被着部品62の各凸部64は、それぞれ孔部63内において突き当たるまで挿入される。そして、凸部64を挿入方向へさらに圧入することによって、孔部63に締まりバメ圧力を発生させる。結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品62の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。
【0063】
本実施の形態においても、樹脂部品61の過熱による変形をさせることなく、常温接合による樹脂部品61と被着部品62との接合が可能となる。また、複数の孔部63と、複数の凸部64とは、常温接合を構成するとともに、被着部品62に対する樹脂部品61の回転を抑制するための回り止め構造を構成する。
【0064】
孔部63の内径は、被着部品62の凸部64である軸の外径よりも小さくなるように形成されている。これにより、孔部63に凸部64を挿入すると、孔部63に締まりバメ圧力が発生する。例えば、軸の外径が5mmの凸部64によって締まりバメ圧力を発生させるには、孔部63の内径は、凸部64の軸の外径よりも0.005mmから0.01mm程度狭める。ここで、孔部63の内径を小さくし過ぎると、凸部64の挿入によって樹脂部品61が破損する場合があるため、孔部63の内径は、締まりバメ圧力が生じるとともに樹脂部品61が破損しない程度となるように、樹脂部品61の材質に応じて設定することが望まれる。樹脂部品61の複数の孔部63に、それぞれ対応するように位置合わせがなされた凸部64が挿入されることで、結合部分の回転回り止めも同時に行われる。
【0065】
被着部品62についての活性化処理は、被着部品62自体に施すこととする場合に限られない。例えば、被着部品62にも結合皮膜を形成することとし、その結合皮膜に活性化処理を施すこととしても良い。これにより、さらに良好な常温接合が可能となる。
【0066】
光学的な透光性を要する樹脂部品61の場合、孔部63に開口を有する治具等のマスクを設置して、結合皮膜4を成膜する。また、透光性を備える中間皮膜5を形成することとすれば、治具等のマスクを不要にできる。このようにして、光学部品である樹脂部品61は、光学特性としての透光性を確保できる。本実施の形態においても、孔部63および凸部64の形状をテーパ形状として、テーパ形状により発生させる締まりバメ圧力を併用しても良い。
【0067】
図12は、第1の応用例にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。本応用例は、被着部品72とともに樹脂部品71を挟み込む嵌合部材73を有することを特徴とする。樹脂部品71は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品72は、金属部材からなる金属製回転軸である。
【0068】
樹脂部品71は、中央部付近を貫通させて形成された複数の孔部74を備える。被着部品72は、孔部74に対応させて形成された複数の凹部75を備える。嵌合部材73は、孔部74および凹部75に嵌合可能に形成された複数の凸部76を備える。
【0069】
結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。なお、図12では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。各凸部76は、それぞれ孔部74を通じて凹部75の底面に突き当たるまで挿入される。そして、凸部76を挿入方向へさらに圧入することによって、凸部76に締まりバメ圧力を発生させる。
【0070】
結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品75の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。なお、本応用例では、樹脂部品71は、常温接合を構成するものとしても、しないものとしても良い。また、樹脂部品71の複数の孔部74は、実施の形態7と同様に、回り止め構造を構成するものとしても良い。
【0071】
図13は、第2の応用例にかかる樹脂部品接合構造について説明する断面模式図である。図14は、図13に示す各構成を接合させた状態を示す断面模式図である。本応用例も、被着部品86とともに樹脂部品81を挟み込む嵌合部材83を有する。樹脂部品81は、光学樹脂部品である樹脂製コード部品である。被着部品82は、金属部材からなる金属製回転軸である。
【0072】
樹脂部品81は、中央部に形成された第1の孔部84と、第1の孔部84の周囲に形成された複数の第2の孔部85とを備える。被着部品82は、第1の孔部84に対応させて形成された凸部86を備える。嵌合部材83は、第2の孔部85及び凸部86に嵌合可能に形成された複数の凸部87を備える。
【0073】
結合皮膜4および中間皮膜5の形成方法や活性化処理等については、実施の形態1と同様である。なお、図13では、結合皮膜4および中間皮膜5の図示を省略している。各凸部87は、それぞれ第2の孔部85を通じて凸部86の側面に垂直な面に突き当たるまで挿入される。そして、凸部87を挿入方向へさらに圧入することによって、凸部87に締まりバメ圧力を発生させる。
【0074】
結合皮膜4に残存する付着物層(不図示)は、締まりバメ圧力によって破砕されるとともに、結合皮膜4の新生面(不図示)と被着部品82の新生面(不図示)との当接により、常温接合が形成される。なお、本応用例も、樹脂部品81は、常温接合を構成するものとしても、しないものとしても良い。また、樹脂部品81の複数の第2の孔部85は、実施の形態7と同様に、回り止め構造を構成するものとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明にかかる樹脂部品接合方法および樹脂部品接合構造は、過熱変形させずに光学樹脂部品を接合可能であって、接着剤やネジ等の部品が不要である。このため、耐環境性に優れる光学式エンコーダの生産に有用である。
【符号の説明】
【0076】
1、11、21、31、41、51、61 樹脂部品
2、12、32、42、52、62 被着部品
3、13、33、43、63 孔部
4 結合皮膜
5 中間皮膜
22 凹部
53 凸部
54 凹部
64 凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂部品に形成された孔部に、金属材料からなる結合皮膜を形成する工程と、
前記結合皮膜に活性化処理を施す工程と、
被着部品に形成された凸部に活性化処理を施す工程と、
前記孔部へ前記凸部を挿入し、前記結合皮膜と前記被着部品との常温接合を形成する工程と、を含み、
前記孔部へ挿入された前記凸部によって、前記孔部に締まりバメ圧力を発生させ、
前記活性化処理を経て前記結合皮膜に残存する付着物層を前記締まりバメ圧力の印加によって破砕し、前記常温接合を形成する、
ことを特徴とする樹脂部品接合方法。
【請求項2】
前記締まりバメ圧力は、前記凸部の挿入方向へ向かうに従い漸次狭められるようなテーパ形状をなす前記孔部へ前記凸部を圧入させることにより発生させることを特徴とする請求項1に記載の樹脂部品接合方法。
【請求項3】
所定の横断面において楕円形状あるいは多角形形状をなす前記孔部において、前記横断面とは非平行な回転軸を中心として前記凸部を回転させ、
前記締まりバメ圧力は、前記孔部に当接された前記凸部の回転方向への加圧により発生させることを特徴とする請求項1に記載の樹脂部品接合方法。
【請求項4】
前記樹脂部品に中間皮膜を形成する工程をさらに含み、
前記結合皮膜は、前記中間皮膜を介して前記孔部に形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法。
【請求項5】
前記中間皮膜は、前記孔部を含む前記樹脂部品の全面に形成されることを特徴とする請求項4に記載の樹脂部品接合方法。
【請求項6】
前記中間皮膜は、光を透過させる透光性材料からなることを特徴とする請求項4または5に記載の樹脂部品接合方法。
【請求項7】
前記結合皮膜は、金、銅、アルミニウムのいずれかを材料とすることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法。
【請求項8】
複数の前記孔部と、複数の前記凸部とにより、前記被着部品に対する前記樹脂部品の回転を抑制するための回り止め構造を構成することを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法。
【請求項9】
前記結合皮膜を形成する工程において、前記樹脂部材を回転させ、かつ前記孔部に対して斜め方向からデポジションを実施することを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法。
【請求項10】
前記中間皮膜を形成する工程において、前記樹脂部材を回転させ、かつ前記孔部に対して斜め方向からデポジションを実施することを特徴とする請求項4から6のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法。
【請求項11】
前記樹脂部品には、前記孔部に代えて凹部が形成され、
前記結合皮膜は、前記凹部に形成され、
前記凹部における前記凸部の前記締まりバメ圧力により前記常温接合を形成することを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法。
【請求項12】
樹脂部品に形成された凸部に、金属材料からなる結合皮膜を形成する工程と、
前記結合皮膜に活性化処理を施す工程と、
被着部品に形成された凹部に活性化処理を施す工程と、
前記凹部へ前記凸部を挿入し、前記結合皮膜と前記被着部品との常温接合を形成する工程と、を含み、
前記凹部への前記凸部の挿入によって、前記凸部に締まりバメ圧力を発生させ、
前記活性化処理を経て前記結合皮膜に残存する付着物層を前記締まりバメ圧力の印加によって破砕し、前記常温接合を形成する、
ことを特徴とする樹脂部品接合方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法により接合された部分を備えることを特徴とする樹脂部品接合構造。
【請求項1】
樹脂部品に形成された孔部に、金属材料からなる結合皮膜を形成する工程と、
前記結合皮膜に活性化処理を施す工程と、
被着部品に形成された凸部に活性化処理を施す工程と、
前記孔部へ前記凸部を挿入し、前記結合皮膜と前記被着部品との常温接合を形成する工程と、を含み、
前記孔部へ挿入された前記凸部によって、前記孔部に締まりバメ圧力を発生させ、
前記活性化処理を経て前記結合皮膜に残存する付着物層を前記締まりバメ圧力の印加によって破砕し、前記常温接合を形成する、
ことを特徴とする樹脂部品接合方法。
【請求項2】
前記締まりバメ圧力は、前記凸部の挿入方向へ向かうに従い漸次狭められるようなテーパ形状をなす前記孔部へ前記凸部を圧入させることにより発生させることを特徴とする請求項1に記載の樹脂部品接合方法。
【請求項3】
所定の横断面において楕円形状あるいは多角形形状をなす前記孔部において、前記横断面とは非平行な回転軸を中心として前記凸部を回転させ、
前記締まりバメ圧力は、前記孔部に当接された前記凸部の回転方向への加圧により発生させることを特徴とする請求項1に記載の樹脂部品接合方法。
【請求項4】
前記樹脂部品に中間皮膜を形成する工程をさらに含み、
前記結合皮膜は、前記中間皮膜を介して前記孔部に形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法。
【請求項5】
前記中間皮膜は、前記孔部を含む前記樹脂部品の全面に形成されることを特徴とする請求項4に記載の樹脂部品接合方法。
【請求項6】
前記中間皮膜は、光を透過させる透光性材料からなることを特徴とする請求項4または5に記載の樹脂部品接合方法。
【請求項7】
前記結合皮膜は、金、銅、アルミニウムのいずれかを材料とすることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法。
【請求項8】
複数の前記孔部と、複数の前記凸部とにより、前記被着部品に対する前記樹脂部品の回転を抑制するための回り止め構造を構成することを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法。
【請求項9】
前記結合皮膜を形成する工程において、前記樹脂部材を回転させ、かつ前記孔部に対して斜め方向からデポジションを実施することを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法。
【請求項10】
前記中間皮膜を形成する工程において、前記樹脂部材を回転させ、かつ前記孔部に対して斜め方向からデポジションを実施することを特徴とする請求項4から6のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法。
【請求項11】
前記樹脂部品には、前記孔部に代えて凹部が形成され、
前記結合皮膜は、前記凹部に形成され、
前記凹部における前記凸部の前記締まりバメ圧力により前記常温接合を形成することを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法。
【請求項12】
樹脂部品に形成された凸部に、金属材料からなる結合皮膜を形成する工程と、
前記結合皮膜に活性化処理を施す工程と、
被着部品に形成された凹部に活性化処理を施す工程と、
前記凹部へ前記凸部を挿入し、前記結合皮膜と前記被着部品との常温接合を形成する工程と、を含み、
前記凹部への前記凸部の挿入によって、前記凸部に締まりバメ圧力を発生させ、
前記活性化処理を経て前記結合皮膜に残存する付着物層を前記締まりバメ圧力の印加によって破砕し、前記常温接合を形成する、
ことを特徴とする樹脂部品接合方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一つに記載の樹脂部品接合方法により接合された部分を備えることを特徴とする樹脂部品接合構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−189580(P2011−189580A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56617(P2010−56617)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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