橋桁用架設装置及び橋桁架設工法
【課題】架設予定の橋桁の下側の建築限界の制約を殆ど受けずに橋桁を架設可能にするとともに、橋桁部材を橋軸方向へ搬送する際の低重心化を図り、橋桁部材の橋軸方向への安定した搬送を実現し、橋桁を架設する作業の能率化を期待できる技術を提供する。
【解決手段】スライディングガー10が橋桁3上に装備され、移動台車11がスライディングガーダー10上に装備され、クレーン装置12が橋桁3上に装備されて、橋桁3上を移動可能な台車機構13と、台車機構13に搭載されて連結解除可能に連結されたクレーン機構14とを有し、1対の主桁4を吊持したクレーン装置12を、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構14を台車機構13から分離して移動台車11上に移載し、移動台車11によりスライディングガーダー10上を移動させる。
【解決手段】スライディングガー10が橋桁3上に装備され、移動台車11がスライディングガーダー10上に装備され、クレーン装置12が橋桁3上に装備されて、橋桁3上を移動可能な台車機構13と、台車機構13に搭載されて連結解除可能に連結されたクレーン機構14とを有し、1対の主桁4を吊持したクレーン装置12を、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構14を台車機構13から分離して移動台車11上に移載し、移動台車11によりスライディングガーダー10上を移動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付けて橋桁を架設する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記技術について、種々の装置及び工法が提案され実用化されている(例えば、特許文献1〜6参照)。この種の技術においては、橋桁部材を橋桁の先端に向けて橋軸方向へ搬送する場合に、特許文献1〜5のように、橋桁の下側の空間を利用する桁下搬送方式と、特許文献6のように、橋桁の上側の空間を利用する桁上搬送方式とに大別できる。
【0003】
ここで、桁下搬送方式では、架設予定の橋桁の下側に、道路、航路、建物、電線(高圧線)、森林、等が存在する場合に、所謂、建築限界の制約を受け易く、橋桁を架設できない場合もある。一方、桁上搬送方式では、前記の建築限界の制約を殆ど受けず、その点で、桁上搬送方式は桁下搬送方式に比べて優位性がある。
【0004】
特許文献6において、実施形態3の橋梁の架設装置は、橋脚付近に立設されたタワー型クレーンと、橋桁上を橋軸方向へ移動可能な搬送台車及び架設機構を備え、架設機構は、橋桁の幅方向に隔てて対向する1対の本体側部を有する機構本体と、1対の本体側部上を橋軸方向へ移動可能なクレーン台車を有し、このクレーン台車は、その下部に1対の本体側部間に位置する揚重設備を装備している。
【0005】
この橋梁の架設工法では、タワー型クレーンにより、橋桁部材である単材を地上から吊り上げて、橋脚上に位置する搬送台車に載置し、その搬送台車を架設機構の方へ移動させる。架設機構では、機構本体を次の橋桁を架設可能な位置まで移動させ、クレーン台車を機構本体の橋脚側一端部分の位置に待機させておく。搬送台車に載置した単材をクレーン台車の下側に位置させてから、その単材を揚重設備で吊り上げて、クレーン台車を橋桁先端側へ移動させることで、単材を1対の本体側部間を通すように橋桁の先端外まで搬送し、そこで、単材を橋桁の先端に組み付けて橋桁を架設する。
【0006】
【特許文献1】特開平10−195827号公報
【特許文献2】特開平9−221718号公報
【特許文献3】特開平11−158817号公報
【特許文献4】特開平10−292317号公報
【特許文献5】特開2005−139831号公報
【特許文献6】特開2001−20225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記桁下搬送方式では、前記のように、架設予定の橋桁の下側に、道路、航路、建物、電線(高圧線)、森林、等が存在する場合に、建築限界の制約を受け易く、橋桁を架設できない場合もあり、その点で、前記桁上搬送方式に比べて不利であるという課題がある。そこで、桁上搬送方式として、特許文献6に橋梁の架設装置及び架設工法が開示されているが、この技術には、次のような課題がある。
【0008】
橋脚付近にタワー型クレーンを立設し、そのタワー型クレーンで単材を地上から吊り上げるようにしている。即ち、このタワー型クレーンは大型であり、各橋脚に対応する橋桁の架設に必要な単材を吊り上げるまでの間、設置し稼働させる必要がある。故に、設備コストが高価になること、橋脚付近に広いクレーン設置用領域を長期に亙って確保する必要があること、等の問題がある。前記後者の問題から、クレーン設置場所付近の道路等の状況によっては、タワー型クレーンの稼働制限が加えられ、タワー型クレーンを長期に亙って設置できない場合もある。
【0009】
ここで、タワー型クレーンの代わりに、橋桁上にクレーンを設置することが考えられる。しかし、タワー型クレーンを設置する場合もそうであるが、橋桁の単材を地上から吊り上げて橋桁先端側へ搬送するために、架設機構に設けた揚重設備を有するクレーン台車と合わせて、2組のクレーン設備が必要になるので、設備コストが大きくなる。また、橋桁上にクレーンを設置する場合、そのクレーンの設置スペースを確保する必要があり、そのクレーンが搬送台車や架設機構の邪魔になる恐れもある。
【0010】
また、架設機構においては、クレーン台車により、単材を機構本体の橋脚側一端部分の位置から先端部分の位置に亙って1対の本体側部間を通すように搬送し、その関係で、機構本体は、その1対の本体側部間に単材の搬送用空間を空け、且つ上方を開放した構造にする必要があるので、機構本体の強度・剛性を十分に高めることができない恐れがある。また、重心が高くなり、横方向力に対して不安定であるという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、架設予定の橋桁の下側の建築限界の制約を殆ど受けずに橋桁を架設可能にするとともに、1組のクレーン設備によって、橋桁部材の地上からの吊り上げ及び橋軸方向への搬送を可能にして、設備コストを低減し、更に、橋桁部材を橋軸方向へ搬送する際の低重心化を図り、横方向力に対して安定するようにし、更に、スライディングガーダーの構造を強度・剛性を十分に確保したものにして、橋桁部材の橋軸方向への安定した搬送を実現し、橋桁を架設する作業の能率化を期待できる、橋桁用架設装置及び橋桁架設工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の橋桁用架設装置は、橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付ける為の橋桁用架設装置において、橋桁上に橋桁に沿って移動可能に装備されたスライディングガーダーと、このスライディングガーダー上に橋軸方向へ移動可能に装備された移動台車と、橋桁上を橋桁に沿って移動可能な台車機構と、この台車機構に搭載されて連結解除可能に連結されたクレーン機構とを有し、1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側において上下方向と橋軸方向へ搬送可能なクレーン装置とを備え、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を、橋桁上をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構を台車機構から分離して移動台車上に移載し、移動台車によりスライディングガーダー上を移動させるように構成したことを特徴とする。
【0013】
橋桁を架設する場合、先ず、クレーン装置において、台車機構とクレーン機構とが連結されて、橋桁上の吊上所定位置(例えば、橋脚近傍位置)に位置した状態で、クレーン機構により1対の橋桁部材が地上から橋桁の幅方向両端よりも外側において吊り上げられる。次に、クレーン装置が台車機構により橋桁上を橋桁先端側へ移動されるが、このとき、クレーン機構により1対の橋桁部材を橋桁下端より上方に吊持しておくこと、例えば、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を含む且つ移動台車を移動可能に載置支持する為の本体部材と同じ高さ位置で且つ本体部材の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持しておくことが望ましい。
【0014】
次に、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置が、台車機構により橋桁上をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップする位置まで移動されてから、クレーン機構が台車機構から分離されてスライディングガーダー上の移動台車上に移載される。このとき、スライディングガーダーについては、次の橋桁を架設可能な位置(例えば、橋桁の先端外へ片持ち状に張出した位置)まで移動させておくこと、また、移動台車については、スライディングガーダーの橋脚側一端部分の位置に待機させておくことが望ましい。
【0015】
クレーン機構がスライディングガーダー上の移動台車上に移載された後、移動台車によりスライディングガーダー上を橋桁先端側へ移動され、これにより、クレーン機構に吊持された1対の橋桁部材が、橋桁の幅方向両端よりも外側において橋桁先端側へ搬送される。このとき、前記同様、1対の橋桁部材を橋桁下端より上方に吊持した状態、例えば、スライディングガーダーの本体部材と同じ高さ位置で且つ本体部材の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持した状態で、橋桁先端側へ搬送するのが望ましい。
【0016】
その後、1対の橋桁部材が橋桁の先端外まで搬送されて、橋桁の先端側に組み付けられ架設される。このとき、橋桁部材の組み付けをクレーン機構を介して行うことが望ましい。その後、クレーン機構が移動台車により橋脚側へ移動され、スライディングガーダーの橋脚側一端部分の位置で台車機構に連結され、クレーン装置が、台車機構により橋桁上の吊上所定位置まで移動される。その後、上記動作が繰り返し行われて、橋桁の先端に1対の橋桁部材が複数組順次組み付けられ橋桁が架設され伸びていく。
【0017】
ここで、請求項1の従属請求項として次の構成を採用可能である。前記クレーン装置のクレーン機構は、吊持した1対の橋桁部材を、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を含む且つ移動台車を移動可能に載置支持する為の本体部材と同じ高さ位置で且つ本体部材の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持して、クレーン装置の台車機構とスライディングガーダー上の移動台車で橋軸方向へ搬送可能に構成する(請求項2)。前記クレーン装置の台車機構は、前記橋軸搬送位置の1対の橋桁部材を載置する橋桁部材載置部を有する(請求項3)。前記クレーン装置のクレーン機構は、吊持した1対の橋桁部材を橋桁の幅方向へ移動させる幅方向移動手段を有する(請求項4)。
【0018】
前記クレーン装置の台車機構は、複数の走行輪を有する走行台と、この走行台に立設された複数対の脚部材を有し、前記クレーン装置のクレーン機構は台部材を有し、前記スライディングガーダーの橋脚側一端部分を、その上に配置した移動台車と共に、相対的に、前記複数対の脚部材の間に挿入可能で且つ前記クレーン機構の台部材の下方に挿入可能に構成する(請求項5)。前記台車機構の複数対の脚部材には、前記クレーン機構を押し上げる為の油圧ジャッキと、前記クレーン機構を押し上げた状態で取り外し可能なスペーサとが夫々設けられ、前記複数対の脚部材からスペーサを夫々取り外すことで、クレーン機構を台車機構から移動台車上に移載するように構成する(請求項6)。前記台車機構からクレーン機構を分離後、前記スライディングガーダーの橋脚側一端部分を台車機構を介して橋桁に連結し、カウンタウェイトとして機能させる(請求項7)。
【0019】
請求項8の橋桁架設工法は、橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付ける橋桁架設工法において、橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出したスライディングガーダーと、このスライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能な移動台車を準備する第1工程と、クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げる第2工程と、前記1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を橋桁上を橋軸方向へ移動させ、クレーン装置の一部をなすクレーン機構を前記1対の橋桁部材を吊持した状態で前記移動台車に移載する第3工程と、前記移動台車とクレーン機構をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設する第4工程とを備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項9の橋桁架設工法は、橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付ける橋桁架設工法において、橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出し可能なスライディングガーダーと、このスライディングガーダーに装備されてスライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能なクレーン装置を準備する第1工程と、クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げる第2工程と、前記1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置とスライディングガーダーとを橋桁上を橋軸方向へ移動させる第3工程と、前記1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設する第4工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の橋桁用架設装置によれば、スライディングガーダー、スライディングガーダー上の移動台車、分離可能な台車機構とクレーン機構とを有するクレーン装置を備え、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を、橋桁上をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構を台車機構から分離して移動台車上に移載し、移動台車によりスライディングガーダー上を移動させるように構成したので、架設予定の橋桁の下側に、道路、航路、建物、電線(高圧線)、森林、等が存在する場合でも、その架設予定の橋桁の下側の建築限界の制約を殆ど受けずに橋桁を架設でき、特に、クレーン機構により1対の橋桁部材を地上から橋桁の幅方向両端よりも外側において吊り上げてから、1対の橋桁部材を橋軸方向へ搬送する際に、橋桁下端より上方に吊持しておくこと、例えば、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を含む且つ移動台車を移動可能に載置支持する為の本体部材と同じ高さ位置で且つ本体部材の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持しておくことができることから、1組のクレーン設備によって、橋桁部材の地上からの吊り上げ及び橋軸方向への搬送を可能にして、設備コストを低減でき、更に、クレーン装置及びスライディングガーダーと共に橋桁部材を橋軸方向へ搬送する際の低重心化を図り、更に、スライディングガーダーの構造を強度・剛性を十分に確保したものにして、橋桁部材の橋軸方向への安定した搬送を実現でき、橋桁を架設する作業の能率化を期待できる。
【0022】
請求項2の橋桁用架設装置によれば、クレーン装置のクレーン機構は、吊持した1対の橋桁部材を、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を含む且つ移動台車を移動可能に載置支持する為の本体部材と同じ高さ位置で且つ本体部材の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持して、クレーン装置の台車機構とスライディングガーダー上の移動台車で橋軸方向へ搬送可能に構成したので、クレーン機構により1対の橋桁部材を地上から吊り上げて橋軸搬送位置に保持した後は、その橋軸搬送位置に1対の橋桁部材を保持したまま、台車機構による1対の橋桁部材の橋桁先端側への搬送、台車機構から移動台車へのクレーン機構の移載、スライディングガーダー上の移動台車による1対の橋桁部材の橋桁先端側への搬送を行うことができ、故に、スライディングガーダーの構造を強度・剛性を十分に確保したものにして、クレーン装置をスライディングガーダーの橋脚側一端部分と確実にラップさせることができ、故に、クレーン装置及びスライディングガーダーと共に橋桁部材を橋軸方向へ搬送する際の低重心化を確実に図り、橋桁部材の安定した搬送を確実に実現できる。
【0023】
請求項3の橋桁用架設装置によれば、クレーン装置の台車機構は、前記橋軸搬送位置の1対の橋桁部材を載置する橋桁部材載置部を有するので、特に、1対の橋桁部材を台車機構により橋桁先端側へ搬送する際に、橋桁部材の安定した搬送を確実に実現できる。
【0024】
請求項4の橋桁用架設装置によれば、クレーン装置のクレーン機構は、吊持した1対の橋桁部材を橋桁の幅方向へ移動させる幅方向移動手段を有するので、クレーン機構により1対の橋桁部材を吊り上げる際に、1対の橋桁部材が橋桁に接触しないように、それら橋桁部材の間隔を十分に空けて行うことができ、その後、1対の橋桁部材を適切な前記橋軸搬送位置に確実に保持させることができ、1対の橋桁部材を橋桁の先端外へ搬送した後も、これら橋桁部材の間隔を調節して橋桁の先端に円滑に組み付けることが可能になる。
【0025】
請求項5の橋桁用架設装置によれば、クレーン装置の台車機構は、複数の走行輪を有する走行台と、この走行台に立設された複数対の脚部材を有し、クレーン装置のクレーン機構は台部材を有し、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を、その上に配置した移動台車と共に、相対的に、複数対の脚部材の間に挿入可能で且つクレーン機構の台部材の下方に挿入可能に構成したので、クレーン機構の台部材を台車機構の複数対の脚部材に載置支持した状態で、クレーン装置をスライディングガーダーの橋脚側一端部分と確実にラップさせることができて、クレーン機構を台車機構から分離して移動台車上に確実に移載できる。また、台車機構の走行台に前記橋軸搬送位置の1対の橋桁部材を載置する橋桁部材載置部を設けることができる。
【0026】
請求項6の橋桁用架設装置によれば、台車機構の複数対の脚部材には、クレーン機構を押し上げる為の油圧ジャッキと、クレーン機構を押し上げた状態で取り外し可能なスペーサとを夫々設け、複数対の脚部材からスペーサを夫々取り外すことで、クレーン機構を台車機構から移動台車上に移載するように構成したので、台車機構の複数対の脚部材にスペーサを装着した状態で、これら脚部材に載置したクレーン機構を、クレーン装置をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップさせ得る高さ位置で、安定した状態で支持でき、クレーン装置をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップさせた後に、クレーン機構を台車機構から分離して移動台車上に簡単に確実に移載できる。
【0027】
請求項7の橋桁用架設装置によれば、台車機構からクレーン機構を分離後、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を台車機構を介して橋桁に連結し、カウンタウェイトとして機能させるので、クレーン機構と1対の橋桁部材とを支持した移動台車が橋桁先端側へ移動した際に、スライディングガーダーが傾倒するのを確実に防止できる。
【0028】
請求項8の橋桁架設工法によれば、第1工程において、橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出したスライディングガーダーと、このスライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能な移動台車を準備し、第2工程において、クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げ、第3工程において、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を橋桁上を橋軸方向へ移動させ、クレーン装置の一部をなすクレーン機構を1対の橋桁部材を吊持した状態で移動台車に移載し、第4の工程において、移動台車とクレーン機構をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設するので、請求項1の効果と同様の効果を奏する。
【0029】
請求項9の橋桁架設工法によれば、第1工程において、橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出し可能なスライディングガーダーと、このスライディングガーダーに装備されてスライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能なクレーン装置を準備し、第2工程において、クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げ、第3工程において、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置とスライディングガーダーとを橋桁上を橋軸方向へ移動させ、第4工程において、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設するので、請求項8の効果と基本的に同様の効果を奏するが、相違する効果として、台車機構を有するクレーン装置を必要としないので、第1工程における準備負荷を低減でき、設備コストを低減でき、クレーン機構を台車機構から移動台車へ移載する必要もないので、第3,第4工程において1対の橋桁部材を橋軸方向へ搬送する工程を簡単化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の橋桁用架設装置は、橋桁上に橋桁に沿って移動可能に装備されたスライディングガーダー、スライディングガーダー上に橋軸方向へ移動可能に装備された移動台車、1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側において上下方向と橋軸方向へ搬送可能なクレーン装置を備え、クレーン装置は、橋桁上を橋桁に沿って移動可能な台車機構、台車機構に搭載されて連結解除可能に連結されたクレーン機構を有し、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を、橋桁上をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構を台車機構から分離して移動台車上に移載し、移動台車によりスライディングガーダー上を移動させるように構成されている。
【0031】
本発明の橋桁架設工法では、第1工程において、橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出したスライディングガーダーと、スライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能な移動台車を準備し、第2工程において、クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げ、第3工程において、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を橋桁上を橋軸方向へ移動させ、クレーン装置の一部をなすクレーン機構を1対の橋桁部材を吊持した状態で移動台車に移載し、第4工程において、移動台車とクレーン機構をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設する。
【実施例1】
【0032】
本発明の橋桁用架設装置と橋桁架設工法について図面に基づいて説明する。尚、適宜、橋桁の橋軸方向を前後方向、橋桁の先端側を前方、その反対側(橋脚側)を後方、橋桁の幅方向を左右方向、として説明する。
【0033】
先ず、橋桁用架設装置1について説明する。
図1〜図7に示すように、橋桁用架設装置1は、橋脚2の上端に架設された橋桁3から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁3の先端に、1対の橋桁部材であるI桁からなる主桁4と1つのI桁からなる横桁5とを複数組順次組み付ける為の装置である。
【0034】
1対の主桁4は橋桁3の既設の2本の主桁C4から前方へ延びるように組み付けられ、横桁5は左右方向にして1対の主桁4を連結するように組み付けられる。1対の主桁4と1つの横桁5とで1つの橋桁ブロック6が構成され、この橋桁ブロック6が橋桁3の先端に順次組み付けられて、橋桁3が架設され伸びていく。
【0035】
橋桁用架設装置1では、1対の主桁4と1つの横桁5とが、夫々単材で地上から吊り上げられ前方へ橋桁3の先端外まで搬送され、そこで、1対の主桁4と1つの横桁5とが連結されて橋桁ブロック6が構築されてから、その橋桁ブロック6が橋桁3の先端に組み付けられる。尚、1対の主桁4を橋桁3の先端に組み付けてから或いは組み付けるときに、1対の主桁4と1つの横桁5とを連結して橋桁ブロック6を構築することも可能である。
【0036】
橋桁用架設装置1は、橋桁3上に橋桁3に沿って橋軸方向へ移動可能に装備されたスライディングガーダー10と、スライディングガーダー10上に橋軸方向へ移動可能に装備された移動台車11と、1対の主桁4を橋桁3の幅方向両端よりも外側において上下方向と橋軸方向へ搬送可能な且つ1つの横桁5を上下方向と橋軸方向と橋軸直交方向へ搬送可能なクレーン装置12とを備えている。
【0037】
クレーン装置12は、橋桁3上を橋桁3に沿って橋軸方向へ移動可能な台車機構13と、台車機構13に搭載されて連結解除可能に連結されたクレーン機構14とを有し、橋桁用架設装置1は、1対の主桁4と1つの横桁5とを吊持したクレーン装置12を、橋桁3上をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分(後端部分)とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構14を台車機構13から分離して移動台車11上に移載し、移動台車11によりスライディングガーダー10上を移動させるように構成されている。
【0038】
スライディングガーダー10、移動台車11、クレーン装置12の台車機構13とクレーン機構14について詳細に説明する。
【0039】
(スライディングガーダー)
図2、図3に示すように、スライディングガーダー10は、本体部材20、2対の車輪装置21、推進装置22、横桁搬送装置23等で構成されている。本体部材20は、主桁4の前後長の2倍程度の前後長と、主桁4の上下長よりも短い上下長と、既設の2本の主桁C4間の間隔よりも狭い左右幅とを有し、移動台車11を移動可能に載置支持する。
【0040】
本体部材20の上面側部分には、その左右両端部に、移動台車11が走行する2本の台車走行レール24が前後方向へ本体部材20の全長に亙って延びるように敷設され、2本の台車走行レール24の内側に、2本の台車ガイドレール25が前後方向へ本体部材20の全長に亙って延びるように敷設されている。台車ガイドレール25はクレーン装置12のアップリフトを防止する機能を有する。
【0041】
本体部材20は、側面視にて、後側約半分が前後方向に細長い矩形状に形成され、前側約半分が前側程上下厚さが小さくなる先細り状に形成され、その前側約半分が橋桁3の先端外へ片持ち状に張出した状態で、スライディングガーダー10が次の橋桁3を架設可能な橋桁架設位置になる。ここで、本体部材20については、先行技術の桁上搬送方式のように、その内側に主桁4と横桁5を搬送するスペースを設ける、という必要がなく、その点で構造に制約を受けないため、例えば、全体的に梁構造に構成し、また、適宜、表面側部分に鋼板を取り付けて、低重心で強度・剛性が高いものに構成することができる。
【0042】
本体部材20の下端部には、その前後方向中央部と、その前後方向中央部と後端部との中間部とに、左右方向へ延びる前後2本の車輪取付部材26が固定され、これら車輪取付部材26は既設の2本の主桁C4間の間隔よりも長い左右長を有し、これら車輪取付部材26に2対の車輪装置21が装備されている。
【0043】
ここで、既設の2本の主桁C4の上端フランジC4a上には、スライディングガーダー10及びクレーン装置12の台車機構13が走行する2本の走行レール7が、橋桁3の全長に亙って橋軸方向へ延びるように敷設されている。
【0044】
各車輪装置21は、車輪取付部材26に固定され既設の主桁C4の上側に位置する車輪台車21aと、車輪台車21aに水平軸心回りに回転自在に装着された1対の走行輪21bと、本体部材20に垂下状に固定され既設の主桁C4の上端フランジC4aの内側に位置するサイドストッパー21cと、サイドストッパー21cに鉛直軸心回りに回転自在に装着されたガイド輪21dとを有し、走行輪21bが走行レール7を転動し、ガイド輪21dが既設の主桁C4の上端フランジC4aの内端部に係合している。
【0045】
推進装置22は、左右1対の推進ジャッキ22aを有し、これら推進ジャッキ22aは、前端部が前側の左右1対の車輪装置21の車輪台車21aに回動自在に連結されて後方へ延び、後端部がクランプ機構22bを介して既設の2本の主桁C4の上端フランジC4aに連結解除可能に連結されている。各推進ジャッキ22aが収縮して既設の主桁C4の上端フランジC4aに連結された状態から伸長駆動されて、スライディングガーダー10が前方へ推進し、次に、各推進ジャッキ22aが既設の主桁C4の上端フランジC4aから連結解除されてから収縮駆動され、再度、上端フランジC4aに連結され、上記動作が繰り返し行われて、スライディングガーダー10が推進していく。
【0046】
横桁搬送装置23は、横桁5を前後方向に向けて、スライディングガーダー10の後端部分の位置から橋桁3の先端外まで搬送し、そこで、横桁5が水平に90度回転して左右方向に向くように横桁5を搬送するものである。横桁搬送装置23は、左右1対の縦トロリー装置27と、横トロリー装置28とを有する。
【0047】
各縦トロリー装置27は、前後方向へ延びる縦トロリーレール27aを有し、1対の縦トロリー装置27の縦トロリーレール27aは、本体部材20の上端部分に、1対の台車走行レール24の幅方向外側で垂下状に取り付けられている。1対の縦トロリーレール27aは、本体部材20の前後長全長に亙って、且つ、その前端部分が本体部材20の前側へ突出するように配設されている。
【0048】
各縦トロリー装置27は、図15−1等に示すように、縦トロリーレール27aの前後両端部に装着された1対のプーリー27bと、1対のプーリー27bに回装されたワイヤ27cと、一定間隔空けて配設されて縦トロリーレール27aに移動自在に支持され且つワイヤ27cの一部分に連結されて横桁5を吊持可能な1対の吊持ワイヤ付きのトロリー27dと、ワイヤ27cを駆動する駆動機とを有する。
【0049】
横トロリー装置28は、図15−2等に示すように、左右方向へ延びる横トロリーレール28aを有し、その横トロリーレール28aの左右両端部が1対の縦トロリーレール27aの前端部に連結されている。この横トロリー装置28は、縦トロリーレール27と同様に、1対のプーリー28b、ワイヤ28c、吊持ワイヤ付きのトロリー28d、駆動機を有する。但し、トロリー28dは1つである。
【0050】
(移動台車)
図2、図3に示すように、移動台車11は、台車部材30、2対の車輪装置31、推進装置32等で構成されている。台車部材30は、例えば、スライディングガーダー10の前後長の1/5程度の前後長と、スライディングガーダー10の本体部材20の左右幅と略同じ左右幅とを有し、上下厚さが小さく、スライディングガーダー10の上面側部分に沿って配置されて、クレーン装置12のクレーン機構14を載置支持する。
【0051】
2対の車輪装置31は、台車部材30の前後の左右両端部分に装備され、各車輪装置31は、台車部材31に固定されスライディングガーダー10上の台車走行レール24の上側に位置する車輪台車31aと、車輪台車31aに水平軸心回りに回転自在に装着された1対の走行輪31bとを有し、この走行輪31bが台車走行レール24を転動する。
【0052】
また、各車輪装置31は、台車部材30に垂下状に固定されスライディングガーダー10上の台車ガイドレール25の上側に位置する車輪取付部材31cと、車輪取付部材31cに水平軸心回りに回転自在に装着された1又は複数対のガイド輪31dとを有し、このガイド輪31cが台車ガイドレール25に内外両側から挟持状に係合している。
【0053】
尚、推進装置32は、例えば、2対の車輪装置31のうち少なくとも1対の車輪装置31に装備され、走行輪31bを回転駆動することで、移動台車11を前後方向へ推進するように構成されている。
【0054】
(クレーン装置の台車機構)
図4〜図7に示すように、クレーン装置12の台車機構13は、台車本体40、2対の車輪装置43、クランプ装置44、移載装置45等で構成されている。台車本体40は、移動台車11の前後長と略同じ前後長を有し、複数の走行輪43aを有する走行台41と、走行台41に立設された左右1対で前後に2対の合計4本の脚部材42とを有し、クレーン装置12のクレーン機構14を載置支持する。
【0055】
走行台41は、既設の2本の主桁C4間の間隔よりも広い左右幅を有し、2対の脚部材42は、主桁4の上下長よりも長い上下長を有し、スライディングガーダー10の本体部材20及び移動台車11の左右幅より広い間隔を空けて、既設の2本の主桁C4の上側に位置するように配設されている。これら脚部材42上に、クレーン機構14の台部材50が載置支持される。台車機構13の左右の各側面側部分に複数の補強部材46が設けられ、前後の各側面側部分に複数の補強部材47a〜47cが設けられている。
【0056】
ここで、台車機構13の前後の各側面側部分においては、補強切換機構47により、複数の補強部材47a〜47cが、補強に供する補強位置(図5参照)と、この補強位置から退避させて左右1対の脚部材42間を広く開放する退避位置(図6、図7参照)とに亙って切り換えられる。複数の補強部材47a〜47cが補強位置のとき、これら補強部材47a〜47cを介して、脚部材42上に載置支持されたクレーン機構14の台部材50が脚部材42に連結される。
【0057】
補強切換機構47は、2対の脚部材42に対応させて2対設けられ、各補強部材切換機構47において、複数の補強部材47a〜47cとして、伸縮ジャッキ47aと2本のリンク部材47b,47cとが設けられ、伸縮ジャッキ47aの基端部が脚部材42の下端部に回動自在に連結され、伸縮ジャッキ47aの先端部にリンク部材47bの先端部が回動自在に連結され、クレーン機構14の台部材50のうち左右1対の脚部材42間の略中央部にリンク部材47bの基端部が回動自在に連結されている。
【0058】
伸縮ジャッキ47aの先端部とリンク部材47cの先端部が回動自在に連結され、伸縮ジャッキ47aとリンク部材47bが略一直線になるように、伸縮ジャッキ47aの長さが調節され、リンク部材47cの基端部が脚部材42の長さ方向途中部に連結されて、複数の補強部材47a〜47cが補強位置になる。この状態から、伸縮ジャッキ47aとリンク部材47bとの連結が解除され、リンク部材47bが回動されてクレーン機構14の台部材50と同高さ位置となる水平姿勢に保持され、伸縮ジャッキ47aとリンク部材47cが回動されて脚部材42に近接して直立姿勢に保持されて、複数の補強部材47a〜47cが退避位置になる。
【0059】
ここで、台車機構13は、後述の橋軸搬送位置の1対の主桁4を載置する1対の橋桁部材載置部41aを有する。これら橋桁部材載置部41aは、走行台41のうち脚部材42よりも幅方向両外側へ張り出した部分に設けられている。
【0060】
2対の車輪装置43は、走行台41の前後の左右両端部分に装備され、各車輪装置43は、走行台41に固定的に設けられ既設の主桁C4の上側に位置する車輪台車43aと、車輪台車43aに水平軸心回りに回転自在に装着された1対の走行輪43bとを有し、この走行輪43bが走行レール7を転動する。
【0061】
また、各車輪装置43は、走行台41に垂下状に固定的に設けられ既設の主桁C4の上端フランジC4aの内側に位置するサイドストッパー43cと、サイドストッパー43cに鉛直軸心回りに回転自在に装着されたガイド輪43dとを有し、このガイド輪43dが既設の主桁C4の上端フランジC4aの内端部に係合している。
【0062】
2対の車輪装置43の少なくとも1対の車輪装置43が自走車輪装置43からなり、その自走車輪装置43により走行輪43bが回転駆動されて、既設の主桁C4の上端フランジC4aを転動することで推進力を発生させるようにしている。
【0063】
移載装置45は、クレーン機構14を台車機構13と移動台車11の一方から他方へ移載するものである。この移載装置45は、2対の脚部材42に夫々設けられクレーン機構14を押し上げる為の油圧ジャッキ45aと、2対の脚部材42に夫々設けられ油圧ジャッキ45aでクレーン機構14を押し上げた状態で取り外し可能なスペーサ45bとを有し、2対の脚部材42からスペーサ45bを夫々取り外すことで、クレーン機構14を台車機構13から移動台車11上に移載するように構成されている。
【0064】
各脚部材42は、第1脚部42aと第2脚部42bとからなり、第1脚部42aが走行台41に固定され、その第1脚部42aの上端部に油圧シリンダ45aが上向きに組み込まれ、油圧シリンダ45aのロッドに第2脚部42bが固定され、スペーサ45bは、第1,第2脚部42a,42bの間に取り外し可能に油圧シリンダ45aのロッドと干渉しないように挿入され、第1,第2脚部42a,42bで挟持されて強固に装着される。
【0065】
2対の脚部材42にスペーサ45bが夫々装着された状態で、これら脚部材42に載置支持されたクレーン機構14の台部材50の下端が、スライディングガーダー10上の移動台車11よりも高くなり、また、前記のように、2対の脚部材42間の間隔は、スライディングガーダー10の本体部材20及び移動台車11の左右幅より広く、更に、補強切換機構47により、複数の補強部材47a〜47cを補強位置から退避位置へ切り換えた状態で、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分を、その上に配置した移動台車11と共に、クレーン装置12にラップさせるために、相対的に、2対の脚部材42の間に挿入可能で且つクレーン機構14の台部材50の下方に挿入可能に構成されている。
【0066】
油圧ジャッキ45aが伸長され第1,第2脚部42a,42b間の間隔を広くしてスペーサ45bを取り外すことができ、その後、油圧ジャッキ45aが収縮され、第2脚部42bが下降し、ここで、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分がクレーン装置12にラップしていない場合に、第2脚部42bが第1脚部42aに当接するまで下降すると移動台車11の上端よりも低くなり、故に、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分がクレーン装置12にラップしている場合には、2対の脚部材42上に載置支持されたクレーン機構14が移動台車11に移載される。
【0067】
(クレーン装置のクレーン機構)
図4〜図7に示すように、クレーン機構14は、台部材50、2対の主桁吊り上げ装置51、主桁幅方向移動機構52、吊り上げ装置53、横桁幅方向移動機構54等で構成されている。台部材50は、台車機構13の前後長と略同じ前後長を有し、既設の2本の主桁C4間の間隔及び台車機構13よりも大きな左右幅を有する。
【0068】
2対の主桁吊り上げ装置51は、前後1対で左右に2組という形態で設けられ、各1対の主桁吊り上げ装置51で1つの主桁4が吊り上げられる。各主桁吊り上げ装置51は、台部材50に支持された支持ケース51a、ワイヤ、支持ケース51aに取り付けられたウインチ51b、ワイヤが掛装された複数の滑車51c等を有する。
【0069】
主桁幅方向移動機構52は、2対の主桁吊り上げ装置51を左右方向へ移動させることで、2対の主桁吊り上げ装置51で吊持した1対の主桁4を橋桁3の幅方向へ移動させるものであり、2対の主桁吊り上げ装置51に対応させて2対設けられている。
【0070】
各主桁幅方向移動機構52は、主桁吊り上げ装置51の支持ケース51aが取り付けられたキャリッジ52aと、台部材50に取り付けられキャリッジ52aを左右方向へ移動自在にガイド支持するレール52bと、レール52bの両側に装着された複数のプーリー52cと、これらプーリー52cに回装されたワイヤ52dと、ワイヤ52dを駆動するワイヤ駆動機52eとを有し、ワイヤ52dの一部分がキャリッジ52aに連結されている。
【0071】
このように、クレーン機構14が、2対の主桁吊り上げ装置51と主桁幅方向移動機構52とを有することで、吊持した1対の主桁4を、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分を含む本体部材20と同じ高さ位置で且つ本体部材20の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持して、クレーン装置12の台車機構13とスライディングガーダー10上の移動台車11で橋軸方向へ搬送可能に構成され、特に、クレーン機構14が台車機構13上に位置している場合には、橋軸搬送位置の1対の主桁4を台車機構13の1対の橋桁部材載置部41aに載置可能に構成されている。
【0072】
吊り上げ装置53は、台部材50の中央部分に装備され、この吊り上げ装置53で横桁5が吊り上げられる。吊り上げ装置53は、台部材50に支持された支持ケース53a、ワイヤ、支持ケース53aに取り付けられたホイスト53b等を有する。
【0073】
横桁幅方向移動機構54は、吊り上げ装置53で吊持した横桁5を、台車機構13の走行台41の上側において橋桁3の幅方向へ移動させるものであり、横トロリー装置55で構成されている。横トロリー装置55は、台部材50に取り付けられて左右方向へ延びる横トロリーレール55aと、横トロリーレール55aに移動自在に支持されて横桁5を吊持可能な吊持ワイヤ付きのトロリー55bとを有し、このトロリー55bが左右方向へ駆動される。
【0074】
次に、橋桁架設工法について説明する。
この橋桁架設工法は、上記の橋桁用架設装置1を用いて、橋脚2の上端に架設された橋桁3から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁3の先端に、1対の橋桁部材である主桁4と1つの横桁5と(橋桁ブロック6)を複数組順次組み付ける工法である。
【0075】
先ず、第1工程において、図1に示すように、橋桁3上に、2本の走行レール7、スライディングガーダー10、移動台車11、クレーン装置12を準備する。これらの準備については、夫々、その前に、橋脚2の上端に、2本の走行レール7、スライディングガーダー10、クレーン装置12を載置可能な橋桁3が架設された状態で行われる。
【0076】
また、この第1工程では、図8に示すように、スライディングガーダー10を、その前側部分が橋桁3から橋軸方向(前方)へ片持ち状に張り出した橋桁架設位置に移動させ、移動台車11をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分の搬送開始位置に待機させておく。また、図5に示すように、台車機構13の2対の脚部材42に夫々スペーサ45bを装着した状態で、これら脚部材42上にクレーン機構14を載置支持し、補強切換機構47により複数の補強部材47a〜47cを補強位置にして、台車機構13とクレーン機構14とを連結し、このクレーン装置12をスライディングガーダー10よりも橋脚2側の所定の吊上位置(例えば、図1に示す橋脚2付近の位置)に位置させておく。この吊上位置の下方の地上部分に主桁4と横桁5がトラック等で搬送されてくる。
【0077】
次に、第2工程において、図9、図10に示すように、吊上位置のクレーン装置12のクレーン機構14を用いて、2対の主桁吊り上げ装置51により1対の主桁4を前後方向に向けて橋桁3の幅方向両端よりも外側且つ橋桁3の下端より上方まで吊り上げ、吊り上げ装置53により1つの横桁5を橋桁3の下端より上方まで吊り上げる。
【0078】
ここで、1対の主桁4を吊り上げる際、1対の主桁4が、既設の2本の主桁C4及び台車機構13(特に、走行台41)と干渉しないように、主桁幅方向移動機構52により、2対の主桁吊り上げ装置51を左右方向へ移動させて、1対の主桁4の吊り上げ幅方向位置を調節して、1対の主桁4の下端が走行台41よりも少し高くなる位置まで吊り上げる。
【0079】
その後、主桁幅方向移動機構52により、2対の主桁吊り上げ装置51を幅方向内側へ移動させて、1対の主桁4の下側に走行台41の1対の橋桁部材載置部41aを位置させて、2対の主桁吊り上げ装置51により1対の主桁4を僅かに下降させ、1対の橋桁部材載置部41aに載置支持させて、1対の主桁4を橋軸搬送位置に保持する。
【0080】
吊り上げ装置53では、図4〜図6に示すように、横桁5を前後方向から水平に約45度旋回させた斜め方向に向けて吊り上げる。ここで、台車機構13の走行台41は矩形枠状に形成され、横桁5については、既設の2本の主桁C4及び台車機構13と干渉しないように、既設の2本の主桁C4の間と走行台41の開口を通過させて、走行台41の上側まで吊り上げる。
【0081】
その後、横桁5を前後方向に向けて、吊り上げ装置53で吊持した状態から、横桁幅方向移動機構54の横トロリー装置55の吊持ワイヤ付きのトロリー55bに吊持した状態に移行させて、この横トロリー装置55により、横桁5を左右一方へ脚部材42の内側近くまで移動させ、下降させて走行台41に載置支持して保持する。ここで、横桁5を左右一方へ脚部材42の内側近くまで移動させる前に、図6に示すように、補強切換機構47により、複数の補強部材47a〜47cを補強位置から退避位置へ切り換えて、左右1対の脚部材42間を広く開放しておく。
【0082】
次に、第3工程において、図11に示すように、1対の主桁4と1つの横桁5を吊持したクレーン装置12を、台車機構13により橋桁3上を橋軸方向(前方)へ移動させ、クレーン装置12の一部をなすクレーン機構14を、1対の主桁4及び1つの横桁5を吊持した状態で搬送開始位置の移動台車11に移載する。クレーン機構14を台車機構13から移動台車11へ移載する場合、クレーン装置12をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分とラップする移載位置まで移動させてから、移載装置45を作動させる。
【0083】
ここで、クレーン装置12をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分とラップさせる際、その前に、図7に示すように、補強切換機構47により、複数の補強部材47a〜47cを補強位置から退避位置へ切り換えて、左右1対の脚部材42間を広く開放してから、クレーン装置12を移載装置へ移動させるので、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分が、その上に配置した移動台車11と共に、相対的に、2対の脚部材42の間に且つクレーン機構14の台部材50の下方に挿入されて、クレーン装置12とラップする状態になる。
【0084】
この状態で、移載装置45を作動させて、各脚部材42において、油圧ジャッキ45aを伸長駆動し、第2脚部42bを上昇させて、第1,第2脚部42a,42b間の間隔を広くして、スペーサ45bを取り外し、その後、油圧ジャッキ45aを収縮駆動して、第2脚部42bを下降させることで、その第2脚部42bが移動台車11の上端よりも低くなるので、クレーン機構14が台車機構13から移動台車11へ移載される。
【0085】
ここで、横桁5については、横桁幅方向移動機構54に吊持した状態から、スライディングガーダー10の横桁搬送装置23の一方の縦トロリー装置27の1対の吊持ワイヤ付きのトロリー27dに吊持した状態に移行しておく。
【0086】
次に、第4工程において、図12〜図14に示すように、搬送開始位置の移動台車11とクレーン機構14をスライディングガーダー10上をその先端側へ移動させて、移動台車11をスライディングガーダー10の先端側一端部分の搬送終了位置に移動させることで、1対の主桁4を橋桁3の先端外まで搬送し、クレーン機構14を介して1対の主桁4を橋桁3の先端側に架設する。また、スライディングガーダー10の縦トロリー装置27と横トロリー装置28により、1つの横桁5をスライディングガーダー10の先端側へ橋桁3の先端外まで搬送してから水平に90度旋回させて、横桁5の左右両端部を1対の主桁4の内側面部を連結して横桁5を組み付ける。
【0087】
この横桁5の搬送については、具体的に、先ず、図15−1,2に示すように、一方の縦トロリー装置27により、横桁5を前方へ移動させ、最大限移動させてから、横桁5の前側部分を、横トロリー装置28のトロリー28dに吊持させ、その後、一方の縦トロリー装置28の前側のトロリー27dから取り外す。ここで、この前側のトロリー27dをワイヤ27cから連結解除して、邪魔にならない退避位置に移動させておく。
【0088】
次に、図16−1,2、図17−1,2に示すように、一方の縦トロリー装置27により、横桁5の後側部分を前方へ移動させるとともに、横トロリー装置28により、横桁5の前側部分を他方の縦トロリー装置27の方へ移動させることで、横桁5を水平に90度旋回させて左右方向に向け、その後、横桁5の前側部分を、他方の縦トロリー装置27のトロリー27dに吊持させる。
【0089】
その後、図18−1,2に示すように、横桁5を上昇させて、又は、1対の主桁4を下降させて、横桁5の左右両端部を1対の横桁連結部材5aに取り付け、これら横桁連結部材5aを介して横桁5を1対の主桁4に連結して、橋桁ブロック6を構築し、その後、図19、図20に示すように、2対の主桁吊り上げ装置51により1対の主桁4と横桁5(橋桁ブロック6)を下降させ、1対の主桁4を既設の2本の主桁C4に組み付ける。
【0090】
ここで、台車機構13からクレーン機構14を分離後、移動台車11が前方へ移動してから、台車機構13の2対の脚部材42とスライディングガーダー10の本体部材20とを連結部材13aで連結して、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分を台車機構13を介して橋桁3に連結し、台車機構13をカウンタウェイトとして機能させる。
【0091】
次に、第5工程において、その次の橋桁3を架設するために、クレーン機構14と移動台車11を搬送開始位置に移動させて、クレーン機構14を移動台車11から台車機構13へ移載し、その移載位置のクレーン装置12を吊上位置に移動させ、その際、補強切換機構47で複数の補強部材47a〜47cを退避位置から補強位置へ切り換えて、また、2本の走行レール7を架設した1対の主桁4上に延長して敷設してから、図8に示すように、スライディングガーダー10を、その前側部分が橋桁3から橋軸方向へ片持ち状に張り出した橋桁架設位置に移動させ、その後、第2〜第5工程を繰り返し行って、1対の主桁4と1つの横桁5と(橋桁ブロック6)を複数組順次組み付ける。
【0092】
以上説明した橋桁用架設装置1及び橋桁架設工法によれば次の顕著な効果を奏する。
1対の主桁4を吊持したクレーン装置12を、橋桁3上をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構14を台車機構13から分離して移動台車11上に移載し、移動台車11によりスライディングガーダー10上を移動させるように構成したので、架設予定の橋桁3の下側に、道路、航路、建物、電線(高圧線)、森林、等が存在する場合でも、その架設予定の橋桁3の下側の建築限界の制約を殆ど受けずに橋桁3を架設できる。
【0093】
特に、クレーン機構14により1対の主桁4を地上から橋桁3の幅方向両端よりも外側において吊り上げてから、1対の主桁4を橋軸方向へ搬送する際に、橋桁3下端より上方に吊持しておくこと、具体的には、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分を含む且つ移動台車11を移動可能に載置支持する為の本体部材20と同じ高さ位置で且つ本体部材20の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持しておくことができる。
【0094】
つまり、1組のクレーン設備(即ち、クレーン機構14)によって、主桁4の地上からの吊り上げ及び橋軸方向への搬送を可能にして、設備コストを低減でき、更に、クレーン装置12及びスライディングガーダー10と共に主桁4を橋軸方向へ搬送する際の低重心化を図り、更に、スライディングガーダー10の構造を強度・剛性を十分に確保したものにして、主桁4の橋軸方向への安定した搬送を実現でき、橋桁3を架設する作業の能率化を期待できる。
【0095】
ここで、クレーン機構14は、吊持した1対の主桁4を橋軸搬送位置に保持して、台車機構13と移動台車11で橋軸方向へ搬送可能に構成したので、クレーン機構14により1対の主桁4を地上から吊り上げて橋軸搬送位置に保持した後は、その橋軸搬送位置に1対の主桁4を保持したまま、台車機構13による1対の主桁4の橋桁3先端側への搬送、台車機構13から移動台車11へのクレーン機構14の移載、移動台車11による1対の主桁4の橋桁3先端側への搬送を行うことができ、故に、スライディングガーダー10の構造を強度・剛性を十分に確保したものにして、クレーン装置12をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分と確実にラップさせることができる。
【0096】
故に、クレーン装置12及びスライディングガーダー10と共に主桁4を橋軸方向へ搬送する際の低重心化を確実に図り、主桁4の安定した搬送を確実に実現できる。そして、台車機構13は、橋軸搬送位置の1対の主桁4を載置する橋桁部材載置部41aを有するので、特に、1対の主桁4を台車機構13により橋桁3先端側へ搬送する際に、主桁4の安定した搬送を確実に実現できる。
【0097】
クレーン機構14は、吊持した1対の主桁4を橋桁3の幅方向へ移動させる主桁幅方向移動機構52を有するので、クレーン機構14により1対の主桁4を吊り上げる際に、1対の主桁4が橋桁3に接触しないように、それら主桁4の間隔を十分に空けて行うことができ、その後、1対の主桁4を適切な橋軸搬送位置に確実に保持させることができ、1対の主桁4を橋桁3の先端外へ搬送した後も、これら主桁4の間隔を調節して橋桁3の先端に円滑に組み付けることが可能になる。
【0098】
台車機構13は、複数の走行輪43bを有する走行台41と、この走行台41に立設された2対の脚部材42を有し、クレーン機構14は台部材50を有し、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分を、その上に配置した移動台車11と共に、相対的に、2対の脚部材42の間に挿入可能で且つクレーン機構14の台部材50の下方に挿入可能に構成したので、クレーン機構14の台部材50を台車機構13の2対の脚部材42に載置支持した状態で、クレーン装置14をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分と確実にラップさせることができて、クレーン機構14を台車機構13から分離して移動台車11上に確実に移載できる。また、台車機構13の走行台41に橋軸搬送位置の1対の主桁4を載置する橋桁部材載置部41aを設けることができる。
【0099】
台車機構13の2対の脚部材42には、クレーン機構14を押し上げる為の油圧ジャッキ45aと、クレーン機構14を押し上げた状態で取り外し可能なスペーサ45bとを夫々設け、2対の脚部材42からスペーサ45bを夫々取り外すことで、クレーン機構14を台車機構13から移動台車11上に移載するように構成したので、台車機構13の2対の脚部材42にスペーサ45bを装着した状態で、これら脚部材42に載置したクレーン機構14を、クレーン装置12をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分とラップさせ得る高さ位置で、安定した状態で支持でき、クレーン装置12をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分とラップさせた後に、クレーン機構14を台車機構13から分離して移動台車11上に簡単に確実に移載できる。
【0100】
台車機構13からクレーン機構14を分離後、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分を台車機構13を介して橋桁3に連結し、カウンタウェイトとして機能させるようにしたので、クレーン機構14と1対の主桁4とを支持した移動台車11が橋桁先端側へ移動した際に、スライディングガーダー10が傾倒するのを確実に防止できる。
【実施例2】
【0101】
図21に示すように、この橋桁用架設装置1Aは、橋脚2の上端に架設された橋桁3から橋軸方向両側へ片持ち状に張り出す橋桁3の両先端に、夫々、1対の主桁4と1つの横桁5とを複数組順次組み付ける為の装置であり、実施例1のスライディングガーダー10と移動台車11とクレーン装置12と、更に、スライディングガーダー10Aと移動台車11Aとを備えている。
【0102】
このスライディングガーダー10A及び移動台車11Aは、スライディングガーダー10及び移動台車11と同様の構造で、スライディングガーダー10及び移動台車11に対して橋軸方向に対称に配置され、クレーン装置12はこれら両方に共通に適用される。
【0103】
この橋桁用架設装置1Aを用いた橋桁架設工法は、橋脚2の上端に架設された橋桁3から橋軸方向両側へ片持ち状に張り出す橋桁3の両先端に、1対の主桁4と1つの横桁5と(橋桁ブロック6)を交互に複数組順次組み付ける工法であり、先ず、第1工程において、橋桁3上に、2本の走行レール7、スライディングガーダー10,10A、移動台車11,11A、クレーン装置12を準備する。
【0104】
次に、実施例1と同様に、スライディングガーダー10、移動台車11、クレーン装置12を用いて、第2〜第4工程を行い、その後、第5工程において、クレーン機構14と移動台車11を搬送開始位置に移動させて、クレーン機構14を移動台車11から台車機構13へ移載し、その移載位置のクレーン装置12を吊上位置に移動させ、次に、スライディングガーダー10A、移動台車11A、クレーン装置12を用いて、前記と同様の第2〜第4工程を行い、その間に、2本の走行レール7を架設した1対の主桁4上に延長して敷設してから、スライディングガーダー10を、その前側部分が橋桁3から橋軸方向へ片持ち状に張り出した橋桁架設位置に移動させる。
【0105】
ここで、第3工程において、1対の主桁4と横桁5を吊持したクレーン装置12をスライディングガーダー10Aの方へ移動させる際、クレーン装置12が橋脚2上を通過可能に1対の主桁4と横桁5とを橋桁3の上側に保持できるので、第2工程において、同じ吊上位置で1対の主桁4と横桁5を吊り上げることができる。
【0106】
そして、スライディングガーダー10A、移動台車11A、クレーン装置12を用いて、第2〜第4工程を行った後、第5工程において、クレーン機構14と移動台車11Aを搬送開始位置に移動させて、クレーン機構14を移動台車11Aから台車機構13へ移載し、その移載位置のクレーン装置12を吊上位置に移動させ、次に、再度、スライディングガーダー10、移動台車11、クレーン装置12を用いて、第2〜第4工程を行うが、その間に、2本の走行レール7を架設した1対の主桁4上に延長して敷設してから、スライディングガーダー10Aを、その前側部分が橋桁3から橋軸方向へ片持ち状に張り出した橋桁架設位置に移動させる。
【0107】
この橋桁用架設装置1A及び橋桁架設工法によれば、実施例1と同様の効果を奏するが、橋桁3から橋軸方向両側へ片持ち状に張り出す橋桁3の両先端に、夫々、1対の主桁4と1つの横桁5とを順次組み付ける場合に、クレーン装置12を共通に適用できるので、設備コストを低減でき、また、第5工程とその次の第2〜第4工程を行う間に、2本の走行レール7を敷設する、スライディングガーダー10,10Aを橋桁架設位置に移動させる、等の準備ができるので、橋桁3を架設する作業の能率化も期待でき、更に、同じ吊上位置で1対の主桁4と横桁5を吊り上げることができるので、橋桁3の下側で必要な地面部分の省スペース化を実現できる。
【実施例3】
【0108】
図22に示すように、この橋桁用架設装置1Bは、橋桁3上に橋桁3に沿って移動可能に装備されたスライディングガーダー10Bと、スライディングガーダー10Bに装備されてスライディングガーダー10B上を橋軸方向へ移動可能なクレーン装置12Bとを備えている。スライディングガーダー10Bは、その本体部材20Bが、実施例1の本体部材20に、本体部材20の前側部分を橋軸方向に対称にして後側部分に付加した構造であり、橋桁3からその両先端側へ片持ち状に張り出し可能に構成されている。
【0109】
クレーン装置12Bは、移動台車11Bとクレーン機構14Bとを有し、移動台車11Bがスライディングガーダー10Bの本体部材20B上を走行し、移動台車11Bにクレーン機構14Bが載置支持された状態で一体的に連結されている。移動台車11Bは、車輪装置61、推進装置62等が装備されている。クレーン機構14Bは、基本的に、実施例1のクレーン機構14と同様の構造である。
【0110】
この橋桁用架設装置1Bを用いた橋桁架設工法は、橋脚2の上端に架設された橋桁3から橋軸方向両側へ片持ち状に張り出す橋桁3の両先端に、夫々、1対の主桁4を交互に複数組順次組み付け可能な工法であり、先ず、第1工程において、橋桁3上に、2本の走行レール7、スライディングガーダー10B、クレーン装置12Bを準備する。
【0111】
次に、第2工程において、図23に示すように、クレーン装置12Bをスライディングガーダー10Bの前後方向中央部分に位置させ、そのクレーン装置12Bとスライディングガーダー10Bとを橋脚2付近の吊上位置に位置させて、クレーン装置12Bを用いて、1対の主桁4を橋桁3の幅方向両端よりも外側且つ橋桁3下端より上方まで吊り上げる。ここで、1対の主桁4をスライディングガーダー10Bの本体部材20Bと同じ高さ位置で且つ本体部材20Bの幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持できる。
【0112】
次に、第3工程において、図24に示すように、1対の主桁4を吊持したクレーン装置12Bとスライディングガーダー10Bとを橋桁3上を橋軸方向へ橋桁3の一方の先端側へ移動させ、スライディングガーダー10Bを、橋桁3の先端側へ片持ち状に張り出した橋桁架設位置に位置させ、次に、第4工程において、図25に示すように、1対の主桁4を吊持したクレーン装置12Bをスライディングガーダー10B上をその先端側へ橋桁3の先端外まで移動させ、クレーン機構14Bを介して1対の主桁4を橋桁3の先端側に架設する。尚、横桁5についても、実施例1と同様に、吊上位置のクレーン装置12Bで吊り上げて、スライディングガーダー10Bに設けた横桁搬送装置23Bに移行し、その横桁搬送装置23Bで橋桁3の先端側まで搬送して1対の主桁4に連結する。その後、同様に、橋桁3の他方の先端側に1対の主桁4を橋桁3の先端側に架設する。
【0113】
この橋桁用架設装置1B及び橋桁架設工法によれば、実施例1,2の効果と基本的に同様の効果を奏するが、相違する効果として、実施例1,2のような台車機構を有するクレーン装置を必要としないので、第1工程における準備負荷を低減でき、設備コストを低減でき、クレーン機構12Bを台車機構から移動台車へ移載する必要もないので、第3,第4工程において1対の主桁4を橋軸方向へ搬送する工程を簡単化できる。
【0114】
尚、スライディングガーダー10Bとして、実施例1のような構造のスライディングガーダーを適用してもよい。この場合、橋脚2の上端に架設された橋桁3から橋軸方向両側へ片持ち状に張り出す橋桁3の両先端に、夫々、1対の主桁4を交互に複数組順次組み付ける場合には、橋軸方向に対称な2組のスライディングガーダー10Bとクレーン装置12Bを橋桁3上に装備することが実現できる。
【0115】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲において、橋桁用架設装置と橋桁架設工法について、前記開示事項以外の種々の変更を付加して、実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】実施例1の橋桁用架設装置の側面図である。
【図2】スライディングガーダーと移動台車の側面図である。
【図3】スライディングガーダーと移動台車の正面図である。
【図4】クレーン装置の側面図である。
【図5】クレーン装置の正面図である。
【図6】クレーン装置の正面図である。
【図7】クレーン装置の正面図である。
【図8】第1工程を示すスライディングガーダーと移動台車の側面図である。
【図9】第2工程を橋桁用架設装置の側面図である。
【図10】第2工程を示すクレーン装置の正面図である。
【図11】第3工程を橋桁用架設装置の側面図である。
【図12】第4工程を示す橋桁用架設装置の側面図である。
【図13】第4工程を示す橋桁用架設装置の側面図である。
【図14】第4工程を示す橋桁用架設装置の正面図である。
【図15−1】第4工程の横桁搬送工程の第1のステップを示す側面図である。
【図15−2】第4工程の横桁搬送工程の第1のステップを示す正面図である。
【図16−1】第4工程の横桁搬送工程の第2のステップを示す側面図である。
【図16−2】第4工程の横桁搬送工程の第2のステップを示す正面図である。
【図17−1】第4工程の横桁搬送工程の第3のステップを示す側面図である。
【図17−2】第4工程の横桁搬送工程の第3のステップを示す正面図である。
【図18−1】第4工程の橋桁搬送工程の第4のステップを示す側面図である。
【図18−2】第4工程の横桁搬送工程の第4のステップを示す正面図である。
【図19】第4工程を示す橋桁用架設装置の側面図である。
【図20】第4工程を示す橋桁用架設装置の正面図である。
【図21】実施例2の橋桁用架設装置の側面図である。
【図22】実施例3の橋桁用架設装置の側面図である。
【図23】第2工程を示す橋桁用架設装置の側面図である。
【図24】第3工程を示す橋桁用架設装置の側面図である。
【図25】第4工程を示す橋桁用架設装置の側面図である。
【符号の説明】
【0117】
1,1A,1B 橋桁用架設装置
2 橋脚
3 橋桁
4 主桁
5 横桁
10,10A,10B スライディングガーダー
11,11A,11B 移動台車
12,12B クレーン装置
13 台車機構
14 クレーン機構
41 走行台
41a 橋桁部材載置部
42 脚部材
43b 走行輪
45a 油圧ジャッキ
45b スペーサ
52 主桁幅方向移動機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付けて橋桁を架設する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記技術について、種々の装置及び工法が提案され実用化されている(例えば、特許文献1〜6参照)。この種の技術においては、橋桁部材を橋桁の先端に向けて橋軸方向へ搬送する場合に、特許文献1〜5のように、橋桁の下側の空間を利用する桁下搬送方式と、特許文献6のように、橋桁の上側の空間を利用する桁上搬送方式とに大別できる。
【0003】
ここで、桁下搬送方式では、架設予定の橋桁の下側に、道路、航路、建物、電線(高圧線)、森林、等が存在する場合に、所謂、建築限界の制約を受け易く、橋桁を架設できない場合もある。一方、桁上搬送方式では、前記の建築限界の制約を殆ど受けず、その点で、桁上搬送方式は桁下搬送方式に比べて優位性がある。
【0004】
特許文献6において、実施形態3の橋梁の架設装置は、橋脚付近に立設されたタワー型クレーンと、橋桁上を橋軸方向へ移動可能な搬送台車及び架設機構を備え、架設機構は、橋桁の幅方向に隔てて対向する1対の本体側部を有する機構本体と、1対の本体側部上を橋軸方向へ移動可能なクレーン台車を有し、このクレーン台車は、その下部に1対の本体側部間に位置する揚重設備を装備している。
【0005】
この橋梁の架設工法では、タワー型クレーンにより、橋桁部材である単材を地上から吊り上げて、橋脚上に位置する搬送台車に載置し、その搬送台車を架設機構の方へ移動させる。架設機構では、機構本体を次の橋桁を架設可能な位置まで移動させ、クレーン台車を機構本体の橋脚側一端部分の位置に待機させておく。搬送台車に載置した単材をクレーン台車の下側に位置させてから、その単材を揚重設備で吊り上げて、クレーン台車を橋桁先端側へ移動させることで、単材を1対の本体側部間を通すように橋桁の先端外まで搬送し、そこで、単材を橋桁の先端に組み付けて橋桁を架設する。
【0006】
【特許文献1】特開平10−195827号公報
【特許文献2】特開平9−221718号公報
【特許文献3】特開平11−158817号公報
【特許文献4】特開平10−292317号公報
【特許文献5】特開2005−139831号公報
【特許文献6】特開2001−20225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記桁下搬送方式では、前記のように、架設予定の橋桁の下側に、道路、航路、建物、電線(高圧線)、森林、等が存在する場合に、建築限界の制約を受け易く、橋桁を架設できない場合もあり、その点で、前記桁上搬送方式に比べて不利であるという課題がある。そこで、桁上搬送方式として、特許文献6に橋梁の架設装置及び架設工法が開示されているが、この技術には、次のような課題がある。
【0008】
橋脚付近にタワー型クレーンを立設し、そのタワー型クレーンで単材を地上から吊り上げるようにしている。即ち、このタワー型クレーンは大型であり、各橋脚に対応する橋桁の架設に必要な単材を吊り上げるまでの間、設置し稼働させる必要がある。故に、設備コストが高価になること、橋脚付近に広いクレーン設置用領域を長期に亙って確保する必要があること、等の問題がある。前記後者の問題から、クレーン設置場所付近の道路等の状況によっては、タワー型クレーンの稼働制限が加えられ、タワー型クレーンを長期に亙って設置できない場合もある。
【0009】
ここで、タワー型クレーンの代わりに、橋桁上にクレーンを設置することが考えられる。しかし、タワー型クレーンを設置する場合もそうであるが、橋桁の単材を地上から吊り上げて橋桁先端側へ搬送するために、架設機構に設けた揚重設備を有するクレーン台車と合わせて、2組のクレーン設備が必要になるので、設備コストが大きくなる。また、橋桁上にクレーンを設置する場合、そのクレーンの設置スペースを確保する必要があり、そのクレーンが搬送台車や架設機構の邪魔になる恐れもある。
【0010】
また、架設機構においては、クレーン台車により、単材を機構本体の橋脚側一端部分の位置から先端部分の位置に亙って1対の本体側部間を通すように搬送し、その関係で、機構本体は、その1対の本体側部間に単材の搬送用空間を空け、且つ上方を開放した構造にする必要があるので、機構本体の強度・剛性を十分に高めることができない恐れがある。また、重心が高くなり、横方向力に対して不安定であるという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、架設予定の橋桁の下側の建築限界の制約を殆ど受けずに橋桁を架設可能にするとともに、1組のクレーン設備によって、橋桁部材の地上からの吊り上げ及び橋軸方向への搬送を可能にして、設備コストを低減し、更に、橋桁部材を橋軸方向へ搬送する際の低重心化を図り、横方向力に対して安定するようにし、更に、スライディングガーダーの構造を強度・剛性を十分に確保したものにして、橋桁部材の橋軸方向への安定した搬送を実現し、橋桁を架設する作業の能率化を期待できる、橋桁用架設装置及び橋桁架設工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の橋桁用架設装置は、橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付ける為の橋桁用架設装置において、橋桁上に橋桁に沿って移動可能に装備されたスライディングガーダーと、このスライディングガーダー上に橋軸方向へ移動可能に装備された移動台車と、橋桁上を橋桁に沿って移動可能な台車機構と、この台車機構に搭載されて連結解除可能に連結されたクレーン機構とを有し、1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側において上下方向と橋軸方向へ搬送可能なクレーン装置とを備え、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を、橋桁上をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構を台車機構から分離して移動台車上に移載し、移動台車によりスライディングガーダー上を移動させるように構成したことを特徴とする。
【0013】
橋桁を架設する場合、先ず、クレーン装置において、台車機構とクレーン機構とが連結されて、橋桁上の吊上所定位置(例えば、橋脚近傍位置)に位置した状態で、クレーン機構により1対の橋桁部材が地上から橋桁の幅方向両端よりも外側において吊り上げられる。次に、クレーン装置が台車機構により橋桁上を橋桁先端側へ移動されるが、このとき、クレーン機構により1対の橋桁部材を橋桁下端より上方に吊持しておくこと、例えば、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を含む且つ移動台車を移動可能に載置支持する為の本体部材と同じ高さ位置で且つ本体部材の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持しておくことが望ましい。
【0014】
次に、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置が、台車機構により橋桁上をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップする位置まで移動されてから、クレーン機構が台車機構から分離されてスライディングガーダー上の移動台車上に移載される。このとき、スライディングガーダーについては、次の橋桁を架設可能な位置(例えば、橋桁の先端外へ片持ち状に張出した位置)まで移動させておくこと、また、移動台車については、スライディングガーダーの橋脚側一端部分の位置に待機させておくことが望ましい。
【0015】
クレーン機構がスライディングガーダー上の移動台車上に移載された後、移動台車によりスライディングガーダー上を橋桁先端側へ移動され、これにより、クレーン機構に吊持された1対の橋桁部材が、橋桁の幅方向両端よりも外側において橋桁先端側へ搬送される。このとき、前記同様、1対の橋桁部材を橋桁下端より上方に吊持した状態、例えば、スライディングガーダーの本体部材と同じ高さ位置で且つ本体部材の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持した状態で、橋桁先端側へ搬送するのが望ましい。
【0016】
その後、1対の橋桁部材が橋桁の先端外まで搬送されて、橋桁の先端側に組み付けられ架設される。このとき、橋桁部材の組み付けをクレーン機構を介して行うことが望ましい。その後、クレーン機構が移動台車により橋脚側へ移動され、スライディングガーダーの橋脚側一端部分の位置で台車機構に連結され、クレーン装置が、台車機構により橋桁上の吊上所定位置まで移動される。その後、上記動作が繰り返し行われて、橋桁の先端に1対の橋桁部材が複数組順次組み付けられ橋桁が架設され伸びていく。
【0017】
ここで、請求項1の従属請求項として次の構成を採用可能である。前記クレーン装置のクレーン機構は、吊持した1対の橋桁部材を、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を含む且つ移動台車を移動可能に載置支持する為の本体部材と同じ高さ位置で且つ本体部材の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持して、クレーン装置の台車機構とスライディングガーダー上の移動台車で橋軸方向へ搬送可能に構成する(請求項2)。前記クレーン装置の台車機構は、前記橋軸搬送位置の1対の橋桁部材を載置する橋桁部材載置部を有する(請求項3)。前記クレーン装置のクレーン機構は、吊持した1対の橋桁部材を橋桁の幅方向へ移動させる幅方向移動手段を有する(請求項4)。
【0018】
前記クレーン装置の台車機構は、複数の走行輪を有する走行台と、この走行台に立設された複数対の脚部材を有し、前記クレーン装置のクレーン機構は台部材を有し、前記スライディングガーダーの橋脚側一端部分を、その上に配置した移動台車と共に、相対的に、前記複数対の脚部材の間に挿入可能で且つ前記クレーン機構の台部材の下方に挿入可能に構成する(請求項5)。前記台車機構の複数対の脚部材には、前記クレーン機構を押し上げる為の油圧ジャッキと、前記クレーン機構を押し上げた状態で取り外し可能なスペーサとが夫々設けられ、前記複数対の脚部材からスペーサを夫々取り外すことで、クレーン機構を台車機構から移動台車上に移載するように構成する(請求項6)。前記台車機構からクレーン機構を分離後、前記スライディングガーダーの橋脚側一端部分を台車機構を介して橋桁に連結し、カウンタウェイトとして機能させる(請求項7)。
【0019】
請求項8の橋桁架設工法は、橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付ける橋桁架設工法において、橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出したスライディングガーダーと、このスライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能な移動台車を準備する第1工程と、クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げる第2工程と、前記1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を橋桁上を橋軸方向へ移動させ、クレーン装置の一部をなすクレーン機構を前記1対の橋桁部材を吊持した状態で前記移動台車に移載する第3工程と、前記移動台車とクレーン機構をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設する第4工程とを備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項9の橋桁架設工法は、橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付ける橋桁架設工法において、橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出し可能なスライディングガーダーと、このスライディングガーダーに装備されてスライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能なクレーン装置を準備する第1工程と、クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げる第2工程と、前記1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置とスライディングガーダーとを橋桁上を橋軸方向へ移動させる第3工程と、前記1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設する第4工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1の橋桁用架設装置によれば、スライディングガーダー、スライディングガーダー上の移動台車、分離可能な台車機構とクレーン機構とを有するクレーン装置を備え、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を、橋桁上をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構を台車機構から分離して移動台車上に移載し、移動台車によりスライディングガーダー上を移動させるように構成したので、架設予定の橋桁の下側に、道路、航路、建物、電線(高圧線)、森林、等が存在する場合でも、その架設予定の橋桁の下側の建築限界の制約を殆ど受けずに橋桁を架設でき、特に、クレーン機構により1対の橋桁部材を地上から橋桁の幅方向両端よりも外側において吊り上げてから、1対の橋桁部材を橋軸方向へ搬送する際に、橋桁下端より上方に吊持しておくこと、例えば、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を含む且つ移動台車を移動可能に載置支持する為の本体部材と同じ高さ位置で且つ本体部材の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持しておくことができることから、1組のクレーン設備によって、橋桁部材の地上からの吊り上げ及び橋軸方向への搬送を可能にして、設備コストを低減でき、更に、クレーン装置及びスライディングガーダーと共に橋桁部材を橋軸方向へ搬送する際の低重心化を図り、更に、スライディングガーダーの構造を強度・剛性を十分に確保したものにして、橋桁部材の橋軸方向への安定した搬送を実現でき、橋桁を架設する作業の能率化を期待できる。
【0022】
請求項2の橋桁用架設装置によれば、クレーン装置のクレーン機構は、吊持した1対の橋桁部材を、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を含む且つ移動台車を移動可能に載置支持する為の本体部材と同じ高さ位置で且つ本体部材の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持して、クレーン装置の台車機構とスライディングガーダー上の移動台車で橋軸方向へ搬送可能に構成したので、クレーン機構により1対の橋桁部材を地上から吊り上げて橋軸搬送位置に保持した後は、その橋軸搬送位置に1対の橋桁部材を保持したまま、台車機構による1対の橋桁部材の橋桁先端側への搬送、台車機構から移動台車へのクレーン機構の移載、スライディングガーダー上の移動台車による1対の橋桁部材の橋桁先端側への搬送を行うことができ、故に、スライディングガーダーの構造を強度・剛性を十分に確保したものにして、クレーン装置をスライディングガーダーの橋脚側一端部分と確実にラップさせることができ、故に、クレーン装置及びスライディングガーダーと共に橋桁部材を橋軸方向へ搬送する際の低重心化を確実に図り、橋桁部材の安定した搬送を確実に実現できる。
【0023】
請求項3の橋桁用架設装置によれば、クレーン装置の台車機構は、前記橋軸搬送位置の1対の橋桁部材を載置する橋桁部材載置部を有するので、特に、1対の橋桁部材を台車機構により橋桁先端側へ搬送する際に、橋桁部材の安定した搬送を確実に実現できる。
【0024】
請求項4の橋桁用架設装置によれば、クレーン装置のクレーン機構は、吊持した1対の橋桁部材を橋桁の幅方向へ移動させる幅方向移動手段を有するので、クレーン機構により1対の橋桁部材を吊り上げる際に、1対の橋桁部材が橋桁に接触しないように、それら橋桁部材の間隔を十分に空けて行うことができ、その後、1対の橋桁部材を適切な前記橋軸搬送位置に確実に保持させることができ、1対の橋桁部材を橋桁の先端外へ搬送した後も、これら橋桁部材の間隔を調節して橋桁の先端に円滑に組み付けることが可能になる。
【0025】
請求項5の橋桁用架設装置によれば、クレーン装置の台車機構は、複数の走行輪を有する走行台と、この走行台に立設された複数対の脚部材を有し、クレーン装置のクレーン機構は台部材を有し、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を、その上に配置した移動台車と共に、相対的に、複数対の脚部材の間に挿入可能で且つクレーン機構の台部材の下方に挿入可能に構成したので、クレーン機構の台部材を台車機構の複数対の脚部材に載置支持した状態で、クレーン装置をスライディングガーダーの橋脚側一端部分と確実にラップさせることができて、クレーン機構を台車機構から分離して移動台車上に確実に移載できる。また、台車機構の走行台に前記橋軸搬送位置の1対の橋桁部材を載置する橋桁部材載置部を設けることができる。
【0026】
請求項6の橋桁用架設装置によれば、台車機構の複数対の脚部材には、クレーン機構を押し上げる為の油圧ジャッキと、クレーン機構を押し上げた状態で取り外し可能なスペーサとを夫々設け、複数対の脚部材からスペーサを夫々取り外すことで、クレーン機構を台車機構から移動台車上に移載するように構成したので、台車機構の複数対の脚部材にスペーサを装着した状態で、これら脚部材に載置したクレーン機構を、クレーン装置をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップさせ得る高さ位置で、安定した状態で支持でき、クレーン装置をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップさせた後に、クレーン機構を台車機構から分離して移動台車上に簡単に確実に移載できる。
【0027】
請求項7の橋桁用架設装置によれば、台車機構からクレーン機構を分離後、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を台車機構を介して橋桁に連結し、カウンタウェイトとして機能させるので、クレーン機構と1対の橋桁部材とを支持した移動台車が橋桁先端側へ移動した際に、スライディングガーダーが傾倒するのを確実に防止できる。
【0028】
請求項8の橋桁架設工法によれば、第1工程において、橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出したスライディングガーダーと、このスライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能な移動台車を準備し、第2工程において、クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げ、第3工程において、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を橋桁上を橋軸方向へ移動させ、クレーン装置の一部をなすクレーン機構を1対の橋桁部材を吊持した状態で移動台車に移載し、第4の工程において、移動台車とクレーン機構をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設するので、請求項1の効果と同様の効果を奏する。
【0029】
請求項9の橋桁架設工法によれば、第1工程において、橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出し可能なスライディングガーダーと、このスライディングガーダーに装備されてスライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能なクレーン装置を準備し、第2工程において、クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げ、第3工程において、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置とスライディングガーダーとを橋桁上を橋軸方向へ移動させ、第4工程において、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設するので、請求項8の効果と基本的に同様の効果を奏するが、相違する効果として、台車機構を有するクレーン装置を必要としないので、第1工程における準備負荷を低減でき、設備コストを低減でき、クレーン機構を台車機構から移動台車へ移載する必要もないので、第3,第4工程において1対の橋桁部材を橋軸方向へ搬送する工程を簡単化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の橋桁用架設装置は、橋桁上に橋桁に沿って移動可能に装備されたスライディングガーダー、スライディングガーダー上に橋軸方向へ移動可能に装備された移動台車、1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側において上下方向と橋軸方向へ搬送可能なクレーン装置を備え、クレーン装置は、橋桁上を橋桁に沿って移動可能な台車機構、台車機構に搭載されて連結解除可能に連結されたクレーン機構を有し、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を、橋桁上をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構を台車機構から分離して移動台車上に移載し、移動台車によりスライディングガーダー上を移動させるように構成されている。
【0031】
本発明の橋桁架設工法では、第1工程において、橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出したスライディングガーダーと、スライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能な移動台車を準備し、第2工程において、クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げ、第3工程において、1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を橋桁上を橋軸方向へ移動させ、クレーン装置の一部をなすクレーン機構を1対の橋桁部材を吊持した状態で移動台車に移載し、第4工程において、移動台車とクレーン機構をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設する。
【実施例1】
【0032】
本発明の橋桁用架設装置と橋桁架設工法について図面に基づいて説明する。尚、適宜、橋桁の橋軸方向を前後方向、橋桁の先端側を前方、その反対側(橋脚側)を後方、橋桁の幅方向を左右方向、として説明する。
【0033】
先ず、橋桁用架設装置1について説明する。
図1〜図7に示すように、橋桁用架設装置1は、橋脚2の上端に架設された橋桁3から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁3の先端に、1対の橋桁部材であるI桁からなる主桁4と1つのI桁からなる横桁5とを複数組順次組み付ける為の装置である。
【0034】
1対の主桁4は橋桁3の既設の2本の主桁C4から前方へ延びるように組み付けられ、横桁5は左右方向にして1対の主桁4を連結するように組み付けられる。1対の主桁4と1つの横桁5とで1つの橋桁ブロック6が構成され、この橋桁ブロック6が橋桁3の先端に順次組み付けられて、橋桁3が架設され伸びていく。
【0035】
橋桁用架設装置1では、1対の主桁4と1つの横桁5とが、夫々単材で地上から吊り上げられ前方へ橋桁3の先端外まで搬送され、そこで、1対の主桁4と1つの横桁5とが連結されて橋桁ブロック6が構築されてから、その橋桁ブロック6が橋桁3の先端に組み付けられる。尚、1対の主桁4を橋桁3の先端に組み付けてから或いは組み付けるときに、1対の主桁4と1つの横桁5とを連結して橋桁ブロック6を構築することも可能である。
【0036】
橋桁用架設装置1は、橋桁3上に橋桁3に沿って橋軸方向へ移動可能に装備されたスライディングガーダー10と、スライディングガーダー10上に橋軸方向へ移動可能に装備された移動台車11と、1対の主桁4を橋桁3の幅方向両端よりも外側において上下方向と橋軸方向へ搬送可能な且つ1つの横桁5を上下方向と橋軸方向と橋軸直交方向へ搬送可能なクレーン装置12とを備えている。
【0037】
クレーン装置12は、橋桁3上を橋桁3に沿って橋軸方向へ移動可能な台車機構13と、台車機構13に搭載されて連結解除可能に連結されたクレーン機構14とを有し、橋桁用架設装置1は、1対の主桁4と1つの横桁5とを吊持したクレーン装置12を、橋桁3上をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分(後端部分)とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構14を台車機構13から分離して移動台車11上に移載し、移動台車11によりスライディングガーダー10上を移動させるように構成されている。
【0038】
スライディングガーダー10、移動台車11、クレーン装置12の台車機構13とクレーン機構14について詳細に説明する。
【0039】
(スライディングガーダー)
図2、図3に示すように、スライディングガーダー10は、本体部材20、2対の車輪装置21、推進装置22、横桁搬送装置23等で構成されている。本体部材20は、主桁4の前後長の2倍程度の前後長と、主桁4の上下長よりも短い上下長と、既設の2本の主桁C4間の間隔よりも狭い左右幅とを有し、移動台車11を移動可能に載置支持する。
【0040】
本体部材20の上面側部分には、その左右両端部に、移動台車11が走行する2本の台車走行レール24が前後方向へ本体部材20の全長に亙って延びるように敷設され、2本の台車走行レール24の内側に、2本の台車ガイドレール25が前後方向へ本体部材20の全長に亙って延びるように敷設されている。台車ガイドレール25はクレーン装置12のアップリフトを防止する機能を有する。
【0041】
本体部材20は、側面視にて、後側約半分が前後方向に細長い矩形状に形成され、前側約半分が前側程上下厚さが小さくなる先細り状に形成され、その前側約半分が橋桁3の先端外へ片持ち状に張出した状態で、スライディングガーダー10が次の橋桁3を架設可能な橋桁架設位置になる。ここで、本体部材20については、先行技術の桁上搬送方式のように、その内側に主桁4と横桁5を搬送するスペースを設ける、という必要がなく、その点で構造に制約を受けないため、例えば、全体的に梁構造に構成し、また、適宜、表面側部分に鋼板を取り付けて、低重心で強度・剛性が高いものに構成することができる。
【0042】
本体部材20の下端部には、その前後方向中央部と、その前後方向中央部と後端部との中間部とに、左右方向へ延びる前後2本の車輪取付部材26が固定され、これら車輪取付部材26は既設の2本の主桁C4間の間隔よりも長い左右長を有し、これら車輪取付部材26に2対の車輪装置21が装備されている。
【0043】
ここで、既設の2本の主桁C4の上端フランジC4a上には、スライディングガーダー10及びクレーン装置12の台車機構13が走行する2本の走行レール7が、橋桁3の全長に亙って橋軸方向へ延びるように敷設されている。
【0044】
各車輪装置21は、車輪取付部材26に固定され既設の主桁C4の上側に位置する車輪台車21aと、車輪台車21aに水平軸心回りに回転自在に装着された1対の走行輪21bと、本体部材20に垂下状に固定され既設の主桁C4の上端フランジC4aの内側に位置するサイドストッパー21cと、サイドストッパー21cに鉛直軸心回りに回転自在に装着されたガイド輪21dとを有し、走行輪21bが走行レール7を転動し、ガイド輪21dが既設の主桁C4の上端フランジC4aの内端部に係合している。
【0045】
推進装置22は、左右1対の推進ジャッキ22aを有し、これら推進ジャッキ22aは、前端部が前側の左右1対の車輪装置21の車輪台車21aに回動自在に連結されて後方へ延び、後端部がクランプ機構22bを介して既設の2本の主桁C4の上端フランジC4aに連結解除可能に連結されている。各推進ジャッキ22aが収縮して既設の主桁C4の上端フランジC4aに連結された状態から伸長駆動されて、スライディングガーダー10が前方へ推進し、次に、各推進ジャッキ22aが既設の主桁C4の上端フランジC4aから連結解除されてから収縮駆動され、再度、上端フランジC4aに連結され、上記動作が繰り返し行われて、スライディングガーダー10が推進していく。
【0046】
横桁搬送装置23は、横桁5を前後方向に向けて、スライディングガーダー10の後端部分の位置から橋桁3の先端外まで搬送し、そこで、横桁5が水平に90度回転して左右方向に向くように横桁5を搬送するものである。横桁搬送装置23は、左右1対の縦トロリー装置27と、横トロリー装置28とを有する。
【0047】
各縦トロリー装置27は、前後方向へ延びる縦トロリーレール27aを有し、1対の縦トロリー装置27の縦トロリーレール27aは、本体部材20の上端部分に、1対の台車走行レール24の幅方向外側で垂下状に取り付けられている。1対の縦トロリーレール27aは、本体部材20の前後長全長に亙って、且つ、その前端部分が本体部材20の前側へ突出するように配設されている。
【0048】
各縦トロリー装置27は、図15−1等に示すように、縦トロリーレール27aの前後両端部に装着された1対のプーリー27bと、1対のプーリー27bに回装されたワイヤ27cと、一定間隔空けて配設されて縦トロリーレール27aに移動自在に支持され且つワイヤ27cの一部分に連結されて横桁5を吊持可能な1対の吊持ワイヤ付きのトロリー27dと、ワイヤ27cを駆動する駆動機とを有する。
【0049】
横トロリー装置28は、図15−2等に示すように、左右方向へ延びる横トロリーレール28aを有し、その横トロリーレール28aの左右両端部が1対の縦トロリーレール27aの前端部に連結されている。この横トロリー装置28は、縦トロリーレール27と同様に、1対のプーリー28b、ワイヤ28c、吊持ワイヤ付きのトロリー28d、駆動機を有する。但し、トロリー28dは1つである。
【0050】
(移動台車)
図2、図3に示すように、移動台車11は、台車部材30、2対の車輪装置31、推進装置32等で構成されている。台車部材30は、例えば、スライディングガーダー10の前後長の1/5程度の前後長と、スライディングガーダー10の本体部材20の左右幅と略同じ左右幅とを有し、上下厚さが小さく、スライディングガーダー10の上面側部分に沿って配置されて、クレーン装置12のクレーン機構14を載置支持する。
【0051】
2対の車輪装置31は、台車部材30の前後の左右両端部分に装備され、各車輪装置31は、台車部材31に固定されスライディングガーダー10上の台車走行レール24の上側に位置する車輪台車31aと、車輪台車31aに水平軸心回りに回転自在に装着された1対の走行輪31bとを有し、この走行輪31bが台車走行レール24を転動する。
【0052】
また、各車輪装置31は、台車部材30に垂下状に固定されスライディングガーダー10上の台車ガイドレール25の上側に位置する車輪取付部材31cと、車輪取付部材31cに水平軸心回りに回転自在に装着された1又は複数対のガイド輪31dとを有し、このガイド輪31cが台車ガイドレール25に内外両側から挟持状に係合している。
【0053】
尚、推進装置32は、例えば、2対の車輪装置31のうち少なくとも1対の車輪装置31に装備され、走行輪31bを回転駆動することで、移動台車11を前後方向へ推進するように構成されている。
【0054】
(クレーン装置の台車機構)
図4〜図7に示すように、クレーン装置12の台車機構13は、台車本体40、2対の車輪装置43、クランプ装置44、移載装置45等で構成されている。台車本体40は、移動台車11の前後長と略同じ前後長を有し、複数の走行輪43aを有する走行台41と、走行台41に立設された左右1対で前後に2対の合計4本の脚部材42とを有し、クレーン装置12のクレーン機構14を載置支持する。
【0055】
走行台41は、既設の2本の主桁C4間の間隔よりも広い左右幅を有し、2対の脚部材42は、主桁4の上下長よりも長い上下長を有し、スライディングガーダー10の本体部材20及び移動台車11の左右幅より広い間隔を空けて、既設の2本の主桁C4の上側に位置するように配設されている。これら脚部材42上に、クレーン機構14の台部材50が載置支持される。台車機構13の左右の各側面側部分に複数の補強部材46が設けられ、前後の各側面側部分に複数の補強部材47a〜47cが設けられている。
【0056】
ここで、台車機構13の前後の各側面側部分においては、補強切換機構47により、複数の補強部材47a〜47cが、補強に供する補強位置(図5参照)と、この補強位置から退避させて左右1対の脚部材42間を広く開放する退避位置(図6、図7参照)とに亙って切り換えられる。複数の補強部材47a〜47cが補強位置のとき、これら補強部材47a〜47cを介して、脚部材42上に載置支持されたクレーン機構14の台部材50が脚部材42に連結される。
【0057】
補強切換機構47は、2対の脚部材42に対応させて2対設けられ、各補強部材切換機構47において、複数の補強部材47a〜47cとして、伸縮ジャッキ47aと2本のリンク部材47b,47cとが設けられ、伸縮ジャッキ47aの基端部が脚部材42の下端部に回動自在に連結され、伸縮ジャッキ47aの先端部にリンク部材47bの先端部が回動自在に連結され、クレーン機構14の台部材50のうち左右1対の脚部材42間の略中央部にリンク部材47bの基端部が回動自在に連結されている。
【0058】
伸縮ジャッキ47aの先端部とリンク部材47cの先端部が回動自在に連結され、伸縮ジャッキ47aとリンク部材47bが略一直線になるように、伸縮ジャッキ47aの長さが調節され、リンク部材47cの基端部が脚部材42の長さ方向途中部に連結されて、複数の補強部材47a〜47cが補強位置になる。この状態から、伸縮ジャッキ47aとリンク部材47bとの連結が解除され、リンク部材47bが回動されてクレーン機構14の台部材50と同高さ位置となる水平姿勢に保持され、伸縮ジャッキ47aとリンク部材47cが回動されて脚部材42に近接して直立姿勢に保持されて、複数の補強部材47a〜47cが退避位置になる。
【0059】
ここで、台車機構13は、後述の橋軸搬送位置の1対の主桁4を載置する1対の橋桁部材載置部41aを有する。これら橋桁部材載置部41aは、走行台41のうち脚部材42よりも幅方向両外側へ張り出した部分に設けられている。
【0060】
2対の車輪装置43は、走行台41の前後の左右両端部分に装備され、各車輪装置43は、走行台41に固定的に設けられ既設の主桁C4の上側に位置する車輪台車43aと、車輪台車43aに水平軸心回りに回転自在に装着された1対の走行輪43bとを有し、この走行輪43bが走行レール7を転動する。
【0061】
また、各車輪装置43は、走行台41に垂下状に固定的に設けられ既設の主桁C4の上端フランジC4aの内側に位置するサイドストッパー43cと、サイドストッパー43cに鉛直軸心回りに回転自在に装着されたガイド輪43dとを有し、このガイド輪43dが既設の主桁C4の上端フランジC4aの内端部に係合している。
【0062】
2対の車輪装置43の少なくとも1対の車輪装置43が自走車輪装置43からなり、その自走車輪装置43により走行輪43bが回転駆動されて、既設の主桁C4の上端フランジC4aを転動することで推進力を発生させるようにしている。
【0063】
移載装置45は、クレーン機構14を台車機構13と移動台車11の一方から他方へ移載するものである。この移載装置45は、2対の脚部材42に夫々設けられクレーン機構14を押し上げる為の油圧ジャッキ45aと、2対の脚部材42に夫々設けられ油圧ジャッキ45aでクレーン機構14を押し上げた状態で取り外し可能なスペーサ45bとを有し、2対の脚部材42からスペーサ45bを夫々取り外すことで、クレーン機構14を台車機構13から移動台車11上に移載するように構成されている。
【0064】
各脚部材42は、第1脚部42aと第2脚部42bとからなり、第1脚部42aが走行台41に固定され、その第1脚部42aの上端部に油圧シリンダ45aが上向きに組み込まれ、油圧シリンダ45aのロッドに第2脚部42bが固定され、スペーサ45bは、第1,第2脚部42a,42bの間に取り外し可能に油圧シリンダ45aのロッドと干渉しないように挿入され、第1,第2脚部42a,42bで挟持されて強固に装着される。
【0065】
2対の脚部材42にスペーサ45bが夫々装着された状態で、これら脚部材42に載置支持されたクレーン機構14の台部材50の下端が、スライディングガーダー10上の移動台車11よりも高くなり、また、前記のように、2対の脚部材42間の間隔は、スライディングガーダー10の本体部材20及び移動台車11の左右幅より広く、更に、補強切換機構47により、複数の補強部材47a〜47cを補強位置から退避位置へ切り換えた状態で、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分を、その上に配置した移動台車11と共に、クレーン装置12にラップさせるために、相対的に、2対の脚部材42の間に挿入可能で且つクレーン機構14の台部材50の下方に挿入可能に構成されている。
【0066】
油圧ジャッキ45aが伸長され第1,第2脚部42a,42b間の間隔を広くしてスペーサ45bを取り外すことができ、その後、油圧ジャッキ45aが収縮され、第2脚部42bが下降し、ここで、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分がクレーン装置12にラップしていない場合に、第2脚部42bが第1脚部42aに当接するまで下降すると移動台車11の上端よりも低くなり、故に、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分がクレーン装置12にラップしている場合には、2対の脚部材42上に載置支持されたクレーン機構14が移動台車11に移載される。
【0067】
(クレーン装置のクレーン機構)
図4〜図7に示すように、クレーン機構14は、台部材50、2対の主桁吊り上げ装置51、主桁幅方向移動機構52、吊り上げ装置53、横桁幅方向移動機構54等で構成されている。台部材50は、台車機構13の前後長と略同じ前後長を有し、既設の2本の主桁C4間の間隔及び台車機構13よりも大きな左右幅を有する。
【0068】
2対の主桁吊り上げ装置51は、前後1対で左右に2組という形態で設けられ、各1対の主桁吊り上げ装置51で1つの主桁4が吊り上げられる。各主桁吊り上げ装置51は、台部材50に支持された支持ケース51a、ワイヤ、支持ケース51aに取り付けられたウインチ51b、ワイヤが掛装された複数の滑車51c等を有する。
【0069】
主桁幅方向移動機構52は、2対の主桁吊り上げ装置51を左右方向へ移動させることで、2対の主桁吊り上げ装置51で吊持した1対の主桁4を橋桁3の幅方向へ移動させるものであり、2対の主桁吊り上げ装置51に対応させて2対設けられている。
【0070】
各主桁幅方向移動機構52は、主桁吊り上げ装置51の支持ケース51aが取り付けられたキャリッジ52aと、台部材50に取り付けられキャリッジ52aを左右方向へ移動自在にガイド支持するレール52bと、レール52bの両側に装着された複数のプーリー52cと、これらプーリー52cに回装されたワイヤ52dと、ワイヤ52dを駆動するワイヤ駆動機52eとを有し、ワイヤ52dの一部分がキャリッジ52aに連結されている。
【0071】
このように、クレーン機構14が、2対の主桁吊り上げ装置51と主桁幅方向移動機構52とを有することで、吊持した1対の主桁4を、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分を含む本体部材20と同じ高さ位置で且つ本体部材20の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持して、クレーン装置12の台車機構13とスライディングガーダー10上の移動台車11で橋軸方向へ搬送可能に構成され、特に、クレーン機構14が台車機構13上に位置している場合には、橋軸搬送位置の1対の主桁4を台車機構13の1対の橋桁部材載置部41aに載置可能に構成されている。
【0072】
吊り上げ装置53は、台部材50の中央部分に装備され、この吊り上げ装置53で横桁5が吊り上げられる。吊り上げ装置53は、台部材50に支持された支持ケース53a、ワイヤ、支持ケース53aに取り付けられたホイスト53b等を有する。
【0073】
横桁幅方向移動機構54は、吊り上げ装置53で吊持した横桁5を、台車機構13の走行台41の上側において橋桁3の幅方向へ移動させるものであり、横トロリー装置55で構成されている。横トロリー装置55は、台部材50に取り付けられて左右方向へ延びる横トロリーレール55aと、横トロリーレール55aに移動自在に支持されて横桁5を吊持可能な吊持ワイヤ付きのトロリー55bとを有し、このトロリー55bが左右方向へ駆動される。
【0074】
次に、橋桁架設工法について説明する。
この橋桁架設工法は、上記の橋桁用架設装置1を用いて、橋脚2の上端に架設された橋桁3から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁3の先端に、1対の橋桁部材である主桁4と1つの横桁5と(橋桁ブロック6)を複数組順次組み付ける工法である。
【0075】
先ず、第1工程において、図1に示すように、橋桁3上に、2本の走行レール7、スライディングガーダー10、移動台車11、クレーン装置12を準備する。これらの準備については、夫々、その前に、橋脚2の上端に、2本の走行レール7、スライディングガーダー10、クレーン装置12を載置可能な橋桁3が架設された状態で行われる。
【0076】
また、この第1工程では、図8に示すように、スライディングガーダー10を、その前側部分が橋桁3から橋軸方向(前方)へ片持ち状に張り出した橋桁架設位置に移動させ、移動台車11をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分の搬送開始位置に待機させておく。また、図5に示すように、台車機構13の2対の脚部材42に夫々スペーサ45bを装着した状態で、これら脚部材42上にクレーン機構14を載置支持し、補強切換機構47により複数の補強部材47a〜47cを補強位置にして、台車機構13とクレーン機構14とを連結し、このクレーン装置12をスライディングガーダー10よりも橋脚2側の所定の吊上位置(例えば、図1に示す橋脚2付近の位置)に位置させておく。この吊上位置の下方の地上部分に主桁4と横桁5がトラック等で搬送されてくる。
【0077】
次に、第2工程において、図9、図10に示すように、吊上位置のクレーン装置12のクレーン機構14を用いて、2対の主桁吊り上げ装置51により1対の主桁4を前後方向に向けて橋桁3の幅方向両端よりも外側且つ橋桁3の下端より上方まで吊り上げ、吊り上げ装置53により1つの横桁5を橋桁3の下端より上方まで吊り上げる。
【0078】
ここで、1対の主桁4を吊り上げる際、1対の主桁4が、既設の2本の主桁C4及び台車機構13(特に、走行台41)と干渉しないように、主桁幅方向移動機構52により、2対の主桁吊り上げ装置51を左右方向へ移動させて、1対の主桁4の吊り上げ幅方向位置を調節して、1対の主桁4の下端が走行台41よりも少し高くなる位置まで吊り上げる。
【0079】
その後、主桁幅方向移動機構52により、2対の主桁吊り上げ装置51を幅方向内側へ移動させて、1対の主桁4の下側に走行台41の1対の橋桁部材載置部41aを位置させて、2対の主桁吊り上げ装置51により1対の主桁4を僅かに下降させ、1対の橋桁部材載置部41aに載置支持させて、1対の主桁4を橋軸搬送位置に保持する。
【0080】
吊り上げ装置53では、図4〜図6に示すように、横桁5を前後方向から水平に約45度旋回させた斜め方向に向けて吊り上げる。ここで、台車機構13の走行台41は矩形枠状に形成され、横桁5については、既設の2本の主桁C4及び台車機構13と干渉しないように、既設の2本の主桁C4の間と走行台41の開口を通過させて、走行台41の上側まで吊り上げる。
【0081】
その後、横桁5を前後方向に向けて、吊り上げ装置53で吊持した状態から、横桁幅方向移動機構54の横トロリー装置55の吊持ワイヤ付きのトロリー55bに吊持した状態に移行させて、この横トロリー装置55により、横桁5を左右一方へ脚部材42の内側近くまで移動させ、下降させて走行台41に載置支持して保持する。ここで、横桁5を左右一方へ脚部材42の内側近くまで移動させる前に、図6に示すように、補強切換機構47により、複数の補強部材47a〜47cを補強位置から退避位置へ切り換えて、左右1対の脚部材42間を広く開放しておく。
【0082】
次に、第3工程において、図11に示すように、1対の主桁4と1つの横桁5を吊持したクレーン装置12を、台車機構13により橋桁3上を橋軸方向(前方)へ移動させ、クレーン装置12の一部をなすクレーン機構14を、1対の主桁4及び1つの横桁5を吊持した状態で搬送開始位置の移動台車11に移載する。クレーン機構14を台車機構13から移動台車11へ移載する場合、クレーン装置12をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分とラップする移載位置まで移動させてから、移載装置45を作動させる。
【0083】
ここで、クレーン装置12をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分とラップさせる際、その前に、図7に示すように、補強切換機構47により、複数の補強部材47a〜47cを補強位置から退避位置へ切り換えて、左右1対の脚部材42間を広く開放してから、クレーン装置12を移載装置へ移動させるので、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分が、その上に配置した移動台車11と共に、相対的に、2対の脚部材42の間に且つクレーン機構14の台部材50の下方に挿入されて、クレーン装置12とラップする状態になる。
【0084】
この状態で、移載装置45を作動させて、各脚部材42において、油圧ジャッキ45aを伸長駆動し、第2脚部42bを上昇させて、第1,第2脚部42a,42b間の間隔を広くして、スペーサ45bを取り外し、その後、油圧ジャッキ45aを収縮駆動して、第2脚部42bを下降させることで、その第2脚部42bが移動台車11の上端よりも低くなるので、クレーン機構14が台車機構13から移動台車11へ移載される。
【0085】
ここで、横桁5については、横桁幅方向移動機構54に吊持した状態から、スライディングガーダー10の横桁搬送装置23の一方の縦トロリー装置27の1対の吊持ワイヤ付きのトロリー27dに吊持した状態に移行しておく。
【0086】
次に、第4工程において、図12〜図14に示すように、搬送開始位置の移動台車11とクレーン機構14をスライディングガーダー10上をその先端側へ移動させて、移動台車11をスライディングガーダー10の先端側一端部分の搬送終了位置に移動させることで、1対の主桁4を橋桁3の先端外まで搬送し、クレーン機構14を介して1対の主桁4を橋桁3の先端側に架設する。また、スライディングガーダー10の縦トロリー装置27と横トロリー装置28により、1つの横桁5をスライディングガーダー10の先端側へ橋桁3の先端外まで搬送してから水平に90度旋回させて、横桁5の左右両端部を1対の主桁4の内側面部を連結して横桁5を組み付ける。
【0087】
この横桁5の搬送については、具体的に、先ず、図15−1,2に示すように、一方の縦トロリー装置27により、横桁5を前方へ移動させ、最大限移動させてから、横桁5の前側部分を、横トロリー装置28のトロリー28dに吊持させ、その後、一方の縦トロリー装置28の前側のトロリー27dから取り外す。ここで、この前側のトロリー27dをワイヤ27cから連結解除して、邪魔にならない退避位置に移動させておく。
【0088】
次に、図16−1,2、図17−1,2に示すように、一方の縦トロリー装置27により、横桁5の後側部分を前方へ移動させるとともに、横トロリー装置28により、横桁5の前側部分を他方の縦トロリー装置27の方へ移動させることで、横桁5を水平に90度旋回させて左右方向に向け、その後、横桁5の前側部分を、他方の縦トロリー装置27のトロリー27dに吊持させる。
【0089】
その後、図18−1,2に示すように、横桁5を上昇させて、又は、1対の主桁4を下降させて、横桁5の左右両端部を1対の横桁連結部材5aに取り付け、これら横桁連結部材5aを介して横桁5を1対の主桁4に連結して、橋桁ブロック6を構築し、その後、図19、図20に示すように、2対の主桁吊り上げ装置51により1対の主桁4と横桁5(橋桁ブロック6)を下降させ、1対の主桁4を既設の2本の主桁C4に組み付ける。
【0090】
ここで、台車機構13からクレーン機構14を分離後、移動台車11が前方へ移動してから、台車機構13の2対の脚部材42とスライディングガーダー10の本体部材20とを連結部材13aで連結して、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分を台車機構13を介して橋桁3に連結し、台車機構13をカウンタウェイトとして機能させる。
【0091】
次に、第5工程において、その次の橋桁3を架設するために、クレーン機構14と移動台車11を搬送開始位置に移動させて、クレーン機構14を移動台車11から台車機構13へ移載し、その移載位置のクレーン装置12を吊上位置に移動させ、その際、補強切換機構47で複数の補強部材47a〜47cを退避位置から補強位置へ切り換えて、また、2本の走行レール7を架設した1対の主桁4上に延長して敷設してから、図8に示すように、スライディングガーダー10を、その前側部分が橋桁3から橋軸方向へ片持ち状に張り出した橋桁架設位置に移動させ、その後、第2〜第5工程を繰り返し行って、1対の主桁4と1つの横桁5と(橋桁ブロック6)を複数組順次組み付ける。
【0092】
以上説明した橋桁用架設装置1及び橋桁架設工法によれば次の顕著な効果を奏する。
1対の主桁4を吊持したクレーン装置12を、橋桁3上をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構14を台車機構13から分離して移動台車11上に移載し、移動台車11によりスライディングガーダー10上を移動させるように構成したので、架設予定の橋桁3の下側に、道路、航路、建物、電線(高圧線)、森林、等が存在する場合でも、その架設予定の橋桁3の下側の建築限界の制約を殆ど受けずに橋桁3を架設できる。
【0093】
特に、クレーン機構14により1対の主桁4を地上から橋桁3の幅方向両端よりも外側において吊り上げてから、1対の主桁4を橋軸方向へ搬送する際に、橋桁3下端より上方に吊持しておくこと、具体的には、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分を含む且つ移動台車11を移動可能に載置支持する為の本体部材20と同じ高さ位置で且つ本体部材20の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持しておくことができる。
【0094】
つまり、1組のクレーン設備(即ち、クレーン機構14)によって、主桁4の地上からの吊り上げ及び橋軸方向への搬送を可能にして、設備コストを低減でき、更に、クレーン装置12及びスライディングガーダー10と共に主桁4を橋軸方向へ搬送する際の低重心化を図り、更に、スライディングガーダー10の構造を強度・剛性を十分に確保したものにして、主桁4の橋軸方向への安定した搬送を実現でき、橋桁3を架設する作業の能率化を期待できる。
【0095】
ここで、クレーン機構14は、吊持した1対の主桁4を橋軸搬送位置に保持して、台車機構13と移動台車11で橋軸方向へ搬送可能に構成したので、クレーン機構14により1対の主桁4を地上から吊り上げて橋軸搬送位置に保持した後は、その橋軸搬送位置に1対の主桁4を保持したまま、台車機構13による1対の主桁4の橋桁3先端側への搬送、台車機構13から移動台車11へのクレーン機構14の移載、移動台車11による1対の主桁4の橋桁3先端側への搬送を行うことができ、故に、スライディングガーダー10の構造を強度・剛性を十分に確保したものにして、クレーン装置12をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分と確実にラップさせることができる。
【0096】
故に、クレーン装置12及びスライディングガーダー10と共に主桁4を橋軸方向へ搬送する際の低重心化を確実に図り、主桁4の安定した搬送を確実に実現できる。そして、台車機構13は、橋軸搬送位置の1対の主桁4を載置する橋桁部材載置部41aを有するので、特に、1対の主桁4を台車機構13により橋桁3先端側へ搬送する際に、主桁4の安定した搬送を確実に実現できる。
【0097】
クレーン機構14は、吊持した1対の主桁4を橋桁3の幅方向へ移動させる主桁幅方向移動機構52を有するので、クレーン機構14により1対の主桁4を吊り上げる際に、1対の主桁4が橋桁3に接触しないように、それら主桁4の間隔を十分に空けて行うことができ、その後、1対の主桁4を適切な橋軸搬送位置に確実に保持させることができ、1対の主桁4を橋桁3の先端外へ搬送した後も、これら主桁4の間隔を調節して橋桁3の先端に円滑に組み付けることが可能になる。
【0098】
台車機構13は、複数の走行輪43bを有する走行台41と、この走行台41に立設された2対の脚部材42を有し、クレーン機構14は台部材50を有し、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分を、その上に配置した移動台車11と共に、相対的に、2対の脚部材42の間に挿入可能で且つクレーン機構14の台部材50の下方に挿入可能に構成したので、クレーン機構14の台部材50を台車機構13の2対の脚部材42に載置支持した状態で、クレーン装置14をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分と確実にラップさせることができて、クレーン機構14を台車機構13から分離して移動台車11上に確実に移載できる。また、台車機構13の走行台41に橋軸搬送位置の1対の主桁4を載置する橋桁部材載置部41aを設けることができる。
【0099】
台車機構13の2対の脚部材42には、クレーン機構14を押し上げる為の油圧ジャッキ45aと、クレーン機構14を押し上げた状態で取り外し可能なスペーサ45bとを夫々設け、2対の脚部材42からスペーサ45bを夫々取り外すことで、クレーン機構14を台車機構13から移動台車11上に移載するように構成したので、台車機構13の2対の脚部材42にスペーサ45bを装着した状態で、これら脚部材42に載置したクレーン機構14を、クレーン装置12をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分とラップさせ得る高さ位置で、安定した状態で支持でき、クレーン装置12をスライディングガーダー10の橋脚側一端部分とラップさせた後に、クレーン機構14を台車機構13から分離して移動台車11上に簡単に確実に移載できる。
【0100】
台車機構13からクレーン機構14を分離後、スライディングガーダー10の橋脚側一端部分を台車機構13を介して橋桁3に連結し、カウンタウェイトとして機能させるようにしたので、クレーン機構14と1対の主桁4とを支持した移動台車11が橋桁先端側へ移動した際に、スライディングガーダー10が傾倒するのを確実に防止できる。
【実施例2】
【0101】
図21に示すように、この橋桁用架設装置1Aは、橋脚2の上端に架設された橋桁3から橋軸方向両側へ片持ち状に張り出す橋桁3の両先端に、夫々、1対の主桁4と1つの横桁5とを複数組順次組み付ける為の装置であり、実施例1のスライディングガーダー10と移動台車11とクレーン装置12と、更に、スライディングガーダー10Aと移動台車11Aとを備えている。
【0102】
このスライディングガーダー10A及び移動台車11Aは、スライディングガーダー10及び移動台車11と同様の構造で、スライディングガーダー10及び移動台車11に対して橋軸方向に対称に配置され、クレーン装置12はこれら両方に共通に適用される。
【0103】
この橋桁用架設装置1Aを用いた橋桁架設工法は、橋脚2の上端に架設された橋桁3から橋軸方向両側へ片持ち状に張り出す橋桁3の両先端に、1対の主桁4と1つの横桁5と(橋桁ブロック6)を交互に複数組順次組み付ける工法であり、先ず、第1工程において、橋桁3上に、2本の走行レール7、スライディングガーダー10,10A、移動台車11,11A、クレーン装置12を準備する。
【0104】
次に、実施例1と同様に、スライディングガーダー10、移動台車11、クレーン装置12を用いて、第2〜第4工程を行い、その後、第5工程において、クレーン機構14と移動台車11を搬送開始位置に移動させて、クレーン機構14を移動台車11から台車機構13へ移載し、その移載位置のクレーン装置12を吊上位置に移動させ、次に、スライディングガーダー10A、移動台車11A、クレーン装置12を用いて、前記と同様の第2〜第4工程を行い、その間に、2本の走行レール7を架設した1対の主桁4上に延長して敷設してから、スライディングガーダー10を、その前側部分が橋桁3から橋軸方向へ片持ち状に張り出した橋桁架設位置に移動させる。
【0105】
ここで、第3工程において、1対の主桁4と横桁5を吊持したクレーン装置12をスライディングガーダー10Aの方へ移動させる際、クレーン装置12が橋脚2上を通過可能に1対の主桁4と横桁5とを橋桁3の上側に保持できるので、第2工程において、同じ吊上位置で1対の主桁4と横桁5を吊り上げることができる。
【0106】
そして、スライディングガーダー10A、移動台車11A、クレーン装置12を用いて、第2〜第4工程を行った後、第5工程において、クレーン機構14と移動台車11Aを搬送開始位置に移動させて、クレーン機構14を移動台車11Aから台車機構13へ移載し、その移載位置のクレーン装置12を吊上位置に移動させ、次に、再度、スライディングガーダー10、移動台車11、クレーン装置12を用いて、第2〜第4工程を行うが、その間に、2本の走行レール7を架設した1対の主桁4上に延長して敷設してから、スライディングガーダー10Aを、その前側部分が橋桁3から橋軸方向へ片持ち状に張り出した橋桁架設位置に移動させる。
【0107】
この橋桁用架設装置1A及び橋桁架設工法によれば、実施例1と同様の効果を奏するが、橋桁3から橋軸方向両側へ片持ち状に張り出す橋桁3の両先端に、夫々、1対の主桁4と1つの横桁5とを順次組み付ける場合に、クレーン装置12を共通に適用できるので、設備コストを低減でき、また、第5工程とその次の第2〜第4工程を行う間に、2本の走行レール7を敷設する、スライディングガーダー10,10Aを橋桁架設位置に移動させる、等の準備ができるので、橋桁3を架設する作業の能率化も期待でき、更に、同じ吊上位置で1対の主桁4と横桁5を吊り上げることができるので、橋桁3の下側で必要な地面部分の省スペース化を実現できる。
【実施例3】
【0108】
図22に示すように、この橋桁用架設装置1Bは、橋桁3上に橋桁3に沿って移動可能に装備されたスライディングガーダー10Bと、スライディングガーダー10Bに装備されてスライディングガーダー10B上を橋軸方向へ移動可能なクレーン装置12Bとを備えている。スライディングガーダー10Bは、その本体部材20Bが、実施例1の本体部材20に、本体部材20の前側部分を橋軸方向に対称にして後側部分に付加した構造であり、橋桁3からその両先端側へ片持ち状に張り出し可能に構成されている。
【0109】
クレーン装置12Bは、移動台車11Bとクレーン機構14Bとを有し、移動台車11Bがスライディングガーダー10Bの本体部材20B上を走行し、移動台車11Bにクレーン機構14Bが載置支持された状態で一体的に連結されている。移動台車11Bは、車輪装置61、推進装置62等が装備されている。クレーン機構14Bは、基本的に、実施例1のクレーン機構14と同様の構造である。
【0110】
この橋桁用架設装置1Bを用いた橋桁架設工法は、橋脚2の上端に架設された橋桁3から橋軸方向両側へ片持ち状に張り出す橋桁3の両先端に、夫々、1対の主桁4を交互に複数組順次組み付け可能な工法であり、先ず、第1工程において、橋桁3上に、2本の走行レール7、スライディングガーダー10B、クレーン装置12Bを準備する。
【0111】
次に、第2工程において、図23に示すように、クレーン装置12Bをスライディングガーダー10Bの前後方向中央部分に位置させ、そのクレーン装置12Bとスライディングガーダー10Bとを橋脚2付近の吊上位置に位置させて、クレーン装置12Bを用いて、1対の主桁4を橋桁3の幅方向両端よりも外側且つ橋桁3下端より上方まで吊り上げる。ここで、1対の主桁4をスライディングガーダー10Bの本体部材20Bと同じ高さ位置で且つ本体部材20Bの幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持できる。
【0112】
次に、第3工程において、図24に示すように、1対の主桁4を吊持したクレーン装置12Bとスライディングガーダー10Bとを橋桁3上を橋軸方向へ橋桁3の一方の先端側へ移動させ、スライディングガーダー10Bを、橋桁3の先端側へ片持ち状に張り出した橋桁架設位置に位置させ、次に、第4工程において、図25に示すように、1対の主桁4を吊持したクレーン装置12Bをスライディングガーダー10B上をその先端側へ橋桁3の先端外まで移動させ、クレーン機構14Bを介して1対の主桁4を橋桁3の先端側に架設する。尚、横桁5についても、実施例1と同様に、吊上位置のクレーン装置12Bで吊り上げて、スライディングガーダー10Bに設けた横桁搬送装置23Bに移行し、その横桁搬送装置23Bで橋桁3の先端側まで搬送して1対の主桁4に連結する。その後、同様に、橋桁3の他方の先端側に1対の主桁4を橋桁3の先端側に架設する。
【0113】
この橋桁用架設装置1B及び橋桁架設工法によれば、実施例1,2の効果と基本的に同様の効果を奏するが、相違する効果として、実施例1,2のような台車機構を有するクレーン装置を必要としないので、第1工程における準備負荷を低減でき、設備コストを低減でき、クレーン機構12Bを台車機構から移動台車へ移載する必要もないので、第3,第4工程において1対の主桁4を橋軸方向へ搬送する工程を簡単化できる。
【0114】
尚、スライディングガーダー10Bとして、実施例1のような構造のスライディングガーダーを適用してもよい。この場合、橋脚2の上端に架設された橋桁3から橋軸方向両側へ片持ち状に張り出す橋桁3の両先端に、夫々、1対の主桁4を交互に複数組順次組み付ける場合には、橋軸方向に対称な2組のスライディングガーダー10Bとクレーン装置12Bを橋桁3上に装備することが実現できる。
【0115】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲において、橋桁用架設装置と橋桁架設工法について、前記開示事項以外の種々の変更を付加して、実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】実施例1の橋桁用架設装置の側面図である。
【図2】スライディングガーダーと移動台車の側面図である。
【図3】スライディングガーダーと移動台車の正面図である。
【図4】クレーン装置の側面図である。
【図5】クレーン装置の正面図である。
【図6】クレーン装置の正面図である。
【図7】クレーン装置の正面図である。
【図8】第1工程を示すスライディングガーダーと移動台車の側面図である。
【図9】第2工程を橋桁用架設装置の側面図である。
【図10】第2工程を示すクレーン装置の正面図である。
【図11】第3工程を橋桁用架設装置の側面図である。
【図12】第4工程を示す橋桁用架設装置の側面図である。
【図13】第4工程を示す橋桁用架設装置の側面図である。
【図14】第4工程を示す橋桁用架設装置の正面図である。
【図15−1】第4工程の横桁搬送工程の第1のステップを示す側面図である。
【図15−2】第4工程の横桁搬送工程の第1のステップを示す正面図である。
【図16−1】第4工程の横桁搬送工程の第2のステップを示す側面図である。
【図16−2】第4工程の横桁搬送工程の第2のステップを示す正面図である。
【図17−1】第4工程の横桁搬送工程の第3のステップを示す側面図である。
【図17−2】第4工程の横桁搬送工程の第3のステップを示す正面図である。
【図18−1】第4工程の橋桁搬送工程の第4のステップを示す側面図である。
【図18−2】第4工程の横桁搬送工程の第4のステップを示す正面図である。
【図19】第4工程を示す橋桁用架設装置の側面図である。
【図20】第4工程を示す橋桁用架設装置の正面図である。
【図21】実施例2の橋桁用架設装置の側面図である。
【図22】実施例3の橋桁用架設装置の側面図である。
【図23】第2工程を示す橋桁用架設装置の側面図である。
【図24】第3工程を示す橋桁用架設装置の側面図である。
【図25】第4工程を示す橋桁用架設装置の側面図である。
【符号の説明】
【0117】
1,1A,1B 橋桁用架設装置
2 橋脚
3 橋桁
4 主桁
5 横桁
10,10A,10B スライディングガーダー
11,11A,11B 移動台車
12,12B クレーン装置
13 台車機構
14 クレーン機構
41 走行台
41a 橋桁部材載置部
42 脚部材
43b 走行輪
45a 油圧ジャッキ
45b スペーサ
52 主桁幅方向移動機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付ける為の橋桁用架設装置において、
橋桁上に橋桁に沿って移動可能に装備されたスライディングガーダーと、
このスライディングガーダー上に橋軸方向へ移動可能に装備された移動台車と、
橋桁上を橋桁に沿って移動可能な台車機構と、この台車機構に搭載されて連結解除可能に連結されたクレーン機構とを有し、1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側において上下方向と橋軸方向へ搬送可能なクレーン装置とを備え、
1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を、橋桁上をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構を台車機構から分離して移動台車上に移載し、移動台車によりスライディングガーダー上を移動させるように構成したことを特徴とする橋桁用架設装置。
【請求項2】
前記クレーン装置のクレーン機構は、吊持した1対の橋桁部材を、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を含む且つ移動台車を移動可能に載置支持する為の本体部材と同じ高さ位置で且つ本体部材の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持して、クレーン装置の台車機構とスライディングガーダー上の移動台車で橋軸方向へ搬送可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の橋桁用架設装置。
【請求項3】
前記クレーン装置の台車機構は、前記橋軸搬送位置の1対の橋桁部材を載置する橋桁部材載置部を有することを特徴とする請求項2に記載の橋桁用架設装置。
【請求項4】
前記クレーン装置のクレーン機構は、吊持した1対の橋桁部材を橋桁の幅方向へ移動させる幅方向移動手段を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の橋桁用架設装置。
【請求項5】
前記クレーン装置の台車機構は、複数の走行輪を有する走行台と、この走行台に立設された複数対の脚部材を有し、前記クレーン装置のクレーン機構は台部材を有し、
前記スライディングガーダーの橋脚側一端部分を、その上に配置した移動台車と共に、相対的に、前記複数対の脚部材の間に挿入可能で且つ前記クレーン機構の台部材の下方に挿入可能に構成したことを特徴とする請求項4に記載の橋桁用架設装置。
【請求項6】
前記台車機構の複数対の脚部材には、前記クレーン機構を押し上げる為の油圧ジャッキと、前記クレーン機構を押し上げた状態で取り外し可能なスペーサとが夫々設けられ、
前記複数対の脚部材からスペーサを夫々取り外すことで、クレーン機構を台車機構から移動台車上に移載するように構成したことを特徴とする請求項5に記載の橋桁用架設装置。
【請求項7】
前記台車機構からクレーン機構を分離後、前記スライディングガーダーの橋脚側一端部分を台車機構を介して橋桁に連結し、カウンタウェイトとして機能させることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の橋桁用架設装置。
【請求項8】
橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付ける橋桁架設工法において、
橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出したスライディングガーダーと、このスライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能な移動台車を準備する第1工程と、
クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げる第2工程と、
前記1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を橋桁上を橋軸方向へ移動させ、クレーン装置の一部をなすクレーン機構を前記1対の橋桁部材を吊持した状態で前記移動台車に移載する第3工程と、
前記移動台車とクレーン機構をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設する第4工程と、
を備えたことを特徴とする橋桁架設工法。
【請求項9】
橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付ける橋桁架設工法において、
橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出し可能なスライディングガーダーと、このスライディングガーダーに装備されてスライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能なクレーン装置を準備する第1工程と、
クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げる第2工程と、
前記1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置とスライディングガーダーとを橋桁上を橋軸方向へ移動させる第3工程と、
前記1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設する第4工程と、
を備えたことを特徴とする橋桁架設工法。
【請求項1】
橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付ける為の橋桁用架設装置において、
橋桁上に橋桁に沿って移動可能に装備されたスライディングガーダーと、
このスライディングガーダー上に橋軸方向へ移動可能に装備された移動台車と、
橋桁上を橋桁に沿って移動可能な台車機構と、この台車機構に搭載されて連結解除可能に連結されたクレーン機構とを有し、1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側において上下方向と橋軸方向へ搬送可能なクレーン装置とを備え、
1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を、橋桁上をスライディングガーダーの橋脚側一端部分とラップする位置まで移動させてから、クレーン機構を台車機構から分離して移動台車上に移載し、移動台車によりスライディングガーダー上を移動させるように構成したことを特徴とする橋桁用架設装置。
【請求項2】
前記クレーン装置のクレーン機構は、吊持した1対の橋桁部材を、スライディングガーダーの橋脚側一端部分を含む且つ移動台車を移動可能に載置支持する為の本体部材と同じ高さ位置で且つ本体部材の幅方向両端よりも外側に位置する橋軸搬送位置に保持して、クレーン装置の台車機構とスライディングガーダー上の移動台車で橋軸方向へ搬送可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の橋桁用架設装置。
【請求項3】
前記クレーン装置の台車機構は、前記橋軸搬送位置の1対の橋桁部材を載置する橋桁部材載置部を有することを特徴とする請求項2に記載の橋桁用架設装置。
【請求項4】
前記クレーン装置のクレーン機構は、吊持した1対の橋桁部材を橋桁の幅方向へ移動させる幅方向移動手段を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の橋桁用架設装置。
【請求項5】
前記クレーン装置の台車機構は、複数の走行輪を有する走行台と、この走行台に立設された複数対の脚部材を有し、前記クレーン装置のクレーン機構は台部材を有し、
前記スライディングガーダーの橋脚側一端部分を、その上に配置した移動台車と共に、相対的に、前記複数対の脚部材の間に挿入可能で且つ前記クレーン機構の台部材の下方に挿入可能に構成したことを特徴とする請求項4に記載の橋桁用架設装置。
【請求項6】
前記台車機構の複数対の脚部材には、前記クレーン機構を押し上げる為の油圧ジャッキと、前記クレーン機構を押し上げた状態で取り外し可能なスペーサとが夫々設けられ、
前記複数対の脚部材からスペーサを夫々取り外すことで、クレーン機構を台車機構から移動台車上に移載するように構成したことを特徴とする請求項5に記載の橋桁用架設装置。
【請求項7】
前記台車機構からクレーン機構を分離後、前記スライディングガーダーの橋脚側一端部分を台車機構を介して橋桁に連結し、カウンタウェイトとして機能させることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の橋桁用架設装置。
【請求項8】
橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付ける橋桁架設工法において、
橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出したスライディングガーダーと、このスライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能な移動台車を準備する第1工程と、
クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げる第2工程と、
前記1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置を橋桁上を橋軸方向へ移動させ、クレーン装置の一部をなすクレーン機構を前記1対の橋桁部材を吊持した状態で前記移動台車に移載する第3工程と、
前記移動台車とクレーン機構をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設する第4工程と、
を備えたことを特徴とする橋桁架設工法。
【請求項9】
橋脚の上端に架設された橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出す橋桁の先端に、橋桁部材を順次組み付ける橋桁架設工法において、
橋桁上に、橋軸方向に移動可能で橋桁から橋軸方向へ片持ち状に張り出し可能なスライディングガーダーと、このスライディングガーダーに装備されてスライディングガーダー上を橋軸方向へ移動可能なクレーン装置を準備する第1工程と、
クレーン装置を用いて1対の橋桁部材を橋桁の幅方向両端よりも外側且つ橋桁下端より上方まで吊り上げる第2工程と、
前記1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置とスライディングガーダーとを橋桁上を橋軸方向へ移動させる第3工程と、
前記1対の橋桁部材を吊持したクレーン装置をスライディングガーダー上をその先端側へ移動させ、クレーン機構を介して1対の橋桁部材を橋桁の先端側に架設する第4工程と、
を備えたことを特徴とする橋桁架設工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図16−1】
【図16−2】
【図17−1】
【図17−2】
【図18−1】
【図18−2】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15−1】
【図15−2】
【図16−1】
【図16−2】
【図17−1】
【図17−2】
【図18−1】
【図18−2】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−2053(P2009−2053A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163857(P2007−163857)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000200367)川田工業株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(000200367)川田工業株式会社 (41)
【Fターム(参考)】
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