説明

機器、要求振分方法、要求振分プログラム及び要求振分システム

【課題】受け取った要求を適切な機器に振り分ける通信手順を単純化できる機器、要求振分方法、要求振分プログラム及び要求振分システムを提供することを目的とする。
【解決手段】受け付けた要求に応じて処理を行う機器2Aであって、端末3Aから受け付けた要求から処理の条件を抽出する条件抽出手段(S12)と、自身2A又は他の機器2Dの機能情報を管理する機能情報データベース70を用いて、抽出した処理の条件に適した機器2Dを選択する機器選択手段(S13〜S15)と、選択した機器2Dに端末3Aから受け付けた要求を振り分ける振分手段(S16〜S18)とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要求を振り分ける機器、要求振分方法、要求振分プログラム及び要求振分システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばオフィス等ではPC(パーソナルコンピュータ)等から要求を受け付けて何らかの処理を行う機器(例えば複合機やプリンタ等の画像形成装置)が設置されている。同一フロアに複数台の画像形成装置がある場合、ユーザはそれぞれの画像形成装置の機能(カラー印刷できるか、ステープルできるか等)や画像形成装置の状態(使用中か、用紙やトナーの残量はあるか等)を判断し、適宜選択している。
【0003】
しかし、ユーザがそれぞれの画像形成装置の機能や画像形成装置の状態を把握することは容易でない。したがって、ユーザはそれぞれの画像形成装置の機能や画像形成装置の状態を把握しなくても、適切な画像形成装置が自動的に選択されることを望んでいる。
【0004】
同じ機能の画像形成装置A及びBがある場合、画像形成装置Aの用紙が無くなったときに専用の通信プロトコルを用いて画像形成装置Bにジョブを引き継ぐ技術は既に知られている。また、外部の印刷サーバ機器を通して印刷する場合、印刷サーバ機器が自動的に画像形成装置を切り替える技術も既に知られている。
【0005】
特許文献1には、各デジタル複合機の機能が、ネットワーク上に存在する他のデジタル複合機の機能と選択的に組み合わされて、機能の連携を行うことが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、外部の印刷サーバ機器が自動的に画像形成装置を切り替える技術は専用サーバが必要であるため、コストが増加するという問題があった。また、専用の通信プロトコルを用いて画像形成装置間でジョブを引き継ぐ技術は、ユーザの操作するPC等から印刷データを受け取った画像形成装置が、印刷ジョブを引き継ぐ画像形成装置に対して印刷データを再配信しなくてはならず、通信手順が煩雑になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、受け取った要求を適切な機器に振り分ける通信手順を単純化できる機器、要求振分方法、要求振分プログラム及び要求振分システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する為、本発明の機器は、受け付けた要求に応じて処理を行う機器であって、端末から受け付けた要求から処理の条件を抽出する条件抽出手段と、自身又は他の機器の機能情報を管理する機能情報データベースを用いて、前記抽出した処理の条件に適した機器を選択する機器選択手段と、前記選択した機器に前記端末から受け付けた要求を振り分ける振分手段とを有することを特徴とする。
【0009】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、受け取った要求を適切な機器に振り分ける通信手順を単純化できる機器、要求振分方法、要求振分プログラム及び要求振分システムを提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】要求振分システムの一例の構成図である。
【図2】画像形成装置の一例のハードウェア構成図である。
【図3】画像形成装置の一例のソフトウェア構成図である。
【図4】あるアプリ及びネットワーク制御部の詳細を表した一例のソフトウェア構成図である。
【図5】機器の機能情報収集シーケンスの一例を示すシーケンス図である。
【図6】GetPrinterElementsコマンドの応答の一例のデータ構成図である。
【図7】機器の機能情報DBの一例の構成図である。
【図8】機器のデータ転送シーケンスの一例を示すシーケンス図である。
【図9】機器のデータ転送シーケンスの他の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。なお、本実施例ではユーザの操作するPC等から要求を受け付けて何らかの処理を行う機器の一例として画像形成装置を例に説明するが、ユーザの操作するPC等から要求を受け付けて何らかの処理を行う如何なる機器であってもよい。
【0013】
図1は要求振分システムの一例の構成図である。図1の要求振分システム1は画像形成装置2A〜2Dと、PC3A〜3Cとが、LAN(ローカルエリアネットワーク)やインターネット等のネットワーク4を介して接続されている。なお、画像形成装置2A〜2Dの何れでもよい場合は画像形成装置2と総称する。PC3A〜3Cの何れでもよい場合はPC3と総称する。
【0014】
図1の要求振分システム1では画像形成装置2が4台の例を示しているが、複数台であればよい。また、図1の要求振分システム1ではPC3が3台の例を示しているが、1台以上であればよい。画像形成装置2は、複合機,プリンタなど、画像形成機能を有する機器の一例である。PC3は、ユーザの操作する端末の一例である。
【0015】
図1の要求振分システム1において、ユーザはPC3を操作して画像形成装置2に例えば印刷要求を行う。PC3から印刷要求を受け付けた画像形成装置2は、印刷要求を参照して後述のように適切な画像形成装置2へ印刷要求を振り分ける。なお、画像形成装置2が行う印刷要求の振り分けには、他の画像形成装置2への振り分けの他、自身の画像形成機能への振り分けも含まれる。
【0016】
つまり、画像形成装置2はPC3から受け付けた印刷要求の振り分け先を、印刷要求にある印刷条件及び各画像形成装置2の機能からネットワーク機器のルータのように選択することで、印刷要求を単純な通信手順で適切な画像形成装置2へ振り分ける。
【0017】
図2は、画像形成装置の一例のハードウェア構成図である。なお、図2の画像形成装置は複合機の例を表している。図2の画像形成装置2は、操作パネル11,記憶メディアI/F12,コントローラ13,データ通信I/F14,スキャナ15,プロッタ16,HDD(ハードディスクドライブ)17が、それぞれ相互に接続されるように構成されている。
【0018】
操作パネル11は入力装置11aと表示装置11bとを有している。入力装置11aはハードウェアキーなどで構成されており、画像形成装置2に各種操作信号を入力する為に用いられる。また、表示装置11bは、ディスプレイなどで構成され、例えば画像形成動作に関する各種情報を表示する。
【0019】
データ通信I/F14は、インタフェース装置14aを有しており、画像形成装置2をデータ伝送路であるネットワークや外部の機器等に接続するインタフェースである。HDD17は画像形成装置2で取り扱われる読み取り画像データなどの各種データを格納している。
【0020】
HDD17に格納される各種データの中には、例えば、デジタルカメラ等の外部の機器によって記録された電子データも含まれる。電子データは、メモリカードなどの記録媒体12bによって画像形成装置2に提供されるか、データ伝送路であるネットワークなどを通じてアップロードされる。記録媒体12bは、記憶メディアI/F12が有するドライブ装置12aにセットされ、各種データが記録媒体12bからドライブ装置12aを介してHDD17に格納される。
【0021】
コントローラ13は、ROM(リードオンリーメモリ)13a,RAM(ランダムアクセスメモリ)13b,CPU(中央処理装置)13c,NVRAM(不揮発性メモリ)13dを有する。
【0022】
ROM13aは画像形成装置2が起動されるときに実行されるプログラムや各種データを格納している。RAM13bはROM13aやHDD17から読み出された各種プログラムやデータを一時保持する。CPU13cはRAM13bが一時保持しているプログラムを実行する。NVRAM13dは、画像形成装置2の電源を切ってもデータが消えないため、保護する必要のあるデータを格納している。
【0023】
スキャナ15は画像読取装置15aを有しており、読み取り面に配置された原稿を光学的に読み取り画像データを生成する。プロッタ16は印刷装置16aを有しており、例えば電子写真プロセス方式によってビットマップイメージを記録紙に印刷する。画像形成装置2では、上記したハードウェア構成により、コピー、プリンタ、ファクシミリ又はスキャナなどの複数の機能を実現できる。
【0024】
図3は、画像形成装置の一例のソフトウェア構成図である。画像形成装置2は、アプリケーション部20,プラットフォーム部21,SOAP(シンプルオブジェクトアクセスプロトコル)/XML(Extensible Markup Language)処理部22,OS/カーネル部23を有する。
【0025】
アプリケーション部20及びプラットフォーム部21のプログラムは、OS/カーネル部23によりプロセス単位で並列的に実行される。アプリケーション部20は、コピーアプリ31,ファクスアプリ32,スキャナアプリ33,ネットファイルアプリ34,プリンタアプリ35等のアプリを有する。プラットフォーム部21はシステム制御部41,メモリ制御部42,エンジン制御部43,セキュリティ制御部44,配信制御部45,オペレーション制御部46,ネットワーク制御部47,ファクス制御部48を有する。
【0026】
システム制御部41は、システムの管理に関する制御を行う。メモリ制御部42はメモリやHDD17に関する制御を行う。エンジン制御部43は、スキャナ15やプロッタ16に関する制御を行う。セキュリティ制御部44は、認証処理や課金処理に関する制御を行う。配信制御部45は、例えばHDD17に格納される各種データの配信処理に関する制御を行う。オペレーション制御部46は、操作パネル11に関する制御を行う。ネットワーク制御部47はデータ通信の仲介を行う。ファクス制御部48はファクスのAPIを提供する。
【0027】
SOAP/XML処理部22は、SOAP及びXMLに関する処理を行うライブラリである。XMLとは、文書やデータの意味や構造を記述するためのマークアップ言語の一つである。SOAPとは、XMLをベースとした他の画像形成装置2にあるデータやWebサービスを呼び出す為のプロトコルである。SOAP/XML処理部22は、画像形成装置2のWebサービス同士を結びつける処理を行う。
【0028】
画像形成装置2は、OS/カーネル部23が起動されたあと、アプリケーション部20やプラットフォーム部21が起動される。これらのプログラムは、HDD17やROM13a等に蓄積されており、HDD17やROM13a等から再生されて、RAM13b等で起動されることになる。
【0029】
図4は、あるアプリ及びネットワーク制御部の詳細を表した一例のソフトウェア構成図である。なお、図4は本実施例の説明に不要な構成の図示を一部省略している。また、図4は、あるアプリとしてコピーアプリ31を示している。
【0030】
コピーアプリ31は、全体制御部51,イベント検出部52,他アプリ/他制御部との通信部53を有する。ネットワーク制御部47は、全体制御部61,外部機器の機能管理部62,Webサービスイベンティング(WS−Eventing)処理部63,イベント管理部64,他アプリ/他制御部との通信部65,ネットワーク通信処理部66,HTTP制御部67,XML処理部68を有する。
【0031】
コピーアプリ31の全体制御部51はコピーアプリ31全体に関する制御を行う。イベント検出部52はコピーアプリ31で発生するイベントを検出する。他アプリ/他制御部との通信部53は他アプリ/他制御部とのデータ通信を行う。
【0032】
ネットワーク制御部47の全体制御部61はネットワーク制御部47全体に関する制御を行う。外部機器の機能管理部62は各画像形成装置2の機能を管理する。外部機器の機能管理部62は、後述の機器の機能情報収集シーケンスに基づき、各画像形成装置2から機器情報を収集する。Webサービスイベンティング処理部63はSOAP/XML処理部22を利用し、Webサービスに関する処理を行う。イベント管理部64は、各種イベントを管理する。他アプリ/他制御部との通信部65は、他アプリ/他制御部とのデータ通信を行う。
【0033】
ネットワーク通信処理部66は、他の画像形成装置2やPC3とのデータ通信に関する処理を行う。ネットワーク通信処理部66はPC3からのイベントとして要求を受け付けると、後述の機器のデータ転送シーケンスに基づき、適切な画像形成装置2へ要求を振り分ける。HTTP制御部67はHTTPに関する制御を行う。XML処理部68はXMLに関する処理を行う。
【0034】
外部機器の機能管理部62はWebサービスイベンティング処理部63を利用し、図5に示すような機器の機能情報収集シーケンスに基づき、各画像形成装置2から機器情報を収集する。
【0035】
図5は機器の機能情報収集シーケンスの一例を示すシーケンス図である。図5は画像形成装置2Aが画像形成装置2B〜2Dの機能情報を取得する機器の機能情報収集シーケンスを表している。
【0036】
ステップS1に進み、画像形成装置2Aの外部機器の機能管理部62はWebサービスイベンティング処理部63を利用し、画像形成装置2Bに対してGetPrinterElementsコマンドを発行する。
【0037】
ステップS2に進み、画像形成装置2Bのネットワーク通信処理部66は画像形成装置2AからのGetPrinterElementsコマンドを受信する。画像形成装置2BのWebサービスイベンティング処理部63は画像形成装置2AからのGetPrinterElementsコマンドに基づき、自機における機器の機能情報を収集する。
【0038】
画像形成装置2BのWebサービスイベンティング処理部63は、収集した自機における機器の機能情報をGetPrinterElementsコマンドの応答(Response)により、画像形成装置2Aへ通知する。
【0039】
図6はGetPrinterElementsコマンドの応答の一例のデータ構成図である。図6のデータ構成図は、画像形成装置2Bの機能(カラー印刷できるか等)を表す部分71と画像形成装置の状態(トナーの残量など)を表す部分72とが含まれる。画像形成装置2Bの機能を表す部分71には、カラー印刷の可否,名前,印刷速度,Punch(パンチ)又はStaple(ステープル)等の利用できるフィニッシャーの情報がXML形式のデータで表現されている。画像形成装置2Bの状態を表す部分72には、使用できる用紙の種類と残量,インク残量の情報がXML形式のデータで表現されている。画像形成装置2Aのネットワーク通信処理部66は画像形成装置2BからのGetPrinterElementsコマンドの応答を受信する。
【0040】
画像形成装置2AのWebサービスイベンティング処理部63は画像形成装置2BからのGetPrinterElementsコマンドの応答に基づき、画像形成装置2Bの機器の機能情報を取得し、外部機器の機能管理部62に通知する。外部機器の機能管理部62は画像形成装置2Bの機器の機能情報を機器の機能情報DB70に格納する。
【0041】
ステップS3,S4に進み、画像形成装置2AはステップS1,S2と同様に、画像形成装置2Cの機器の機能情報を取得し、機器の機能情報DB70に格納する。ステップS5,S6に進み、画像形成装置2AはステップS1,S2と同様に、画像形成装置2Dの機器の機能情報を取得し、機器の機能情報DB70に格納する。
【0042】
ステップS1,S3,S5のGetPrinterElementsコマンドは、PC3が画像形成装置2の機能を知る為のコマンドを、拡張したものである。PC3は、画像形成装置2にユニキャストでGetPrinterElementsコマンドを発行している。したがって、ステップS1,S3,S5のGetPrinterElementsコマンドもユニキャストで発行される。
【0043】
例えば画像形成装置2Aは他の画像形成装置2B〜2Dの存在をhelloコマンド等で知ることにより、GetPrinterElementsコマンドをユニキャストで発行できる。したがって、画像形成装置2Aは同一セグメント内に存在する他の画像形成装置2の機器の機能情報を収集して、図7のような機器の機能情報DB70を生成することができる。
【0044】
図7は機器の機能情報DBの一例の構成図である。図7の機器の機能情報DB70は画像形成装置2A〜2Dの機器の機能情報を格納している。図7の機器の機能情報DB70に格納されている機器の機能情報は、MACアドレス,IPアドレス,印刷速度(モノクロ),印刷速度(カラー),用紙と残量,インク残量,Punch(パンチ),Staple(ステープル)の情報を含む。
【0045】
MACアドレス,IPアドレスは、データ通信に必要な情報である。印刷速度(モノクロ),印刷速度(カラー),Punch(パンチ),Staple(ステープル)は画像形成装置2の機能を表している。用紙と残量,インク残量は画像形成装置2の状態を表している。機器の機能情報DB70は、他の画像形成装置2B〜2Dの機器の機能情報との比較が容易にできるように、自身(画像形成装置2A)の機器の機能情報も管理する。
【0046】
画像形成装置2はPC3が画像形成装置2の機能を知る為のコマンドを、拡張して利用することにより、専用のプロトコルを用いることなく、XML形式のデータを使って容易に画像形成装置2の機器の機能情報を収集し、機器の機能情報DB70を生成することができる。図7のような機器の機能情報DB70を利用することにより、画像形成装置2は他の画像形成装置2との間で自動的に要求(ジョブ)の受け渡し(振り分け)を行うことができる。
【0047】
ネットワーク通信処理部66は、例えばPC3Aから印刷要求を受け付けると、図8に示すような機器のデータ転送シーケンスに基づき、適切な画像形成装置2へ印刷要求を振り分ける。
【0048】
図8は、機器のデータ転送シーケンスの一例を示すシーケンス図である。図8は、画像形成装置2AがPC3Aから印刷要求を受け付ける機器のデータ転送シーケンスを表している。また、図8はWSD(Web services on devices)プロトコルを利用する例を表している。WSDプロトコルはネットワーク4に接続したさまざまな機器を簡単につないで利用するための手続きを規定するものである。
【0049】
ステップS11に進み、PC3Aは印刷要求(Create Print Job)を画像形成装置2Aに送信する。PC3Aからの印刷要求を受信すると、画像形成装置2Aのネットワーク通信処理部66はステップS12に進み、受信した印刷要求を解釈し、受信した印刷要求から印刷条件を抽出する。印刷条件とは、印刷要求に掛かる処理に必要な画像形成装置2の機能及び状態である。
【0050】
ステップS13に進み、ネットワーク通信処理部66は抽出した印刷条件に基づく機器の選択を、外部機器の機能管理部62に要求する。ステップS14に進み、外部機器の機能管理部62は印刷条件に基づき、機器の機能情報DB70を参照し、印刷条件に適した画像形成装置2を選択する。なお、印刷条件に適した画像形成装置2を選択する処理は既存の技術で行うことができるため、説明を省略する。
【0051】
ステップS15に進み、外部機器の機能管理部62はステップS14で選択した画像形成装置2を選択結果としてネットワーク通信処理部66に通知する。選択結果を通知されると、ネットワーク通信処理部66はステップS16に進み、印刷要求を振り分ける為のルートを決定する。
【0052】
選択した画像形成装置2が自機でなく、例えば画像形成装置2Dの場合、ネットワーク通信処理部66は印刷要求を画像形成装置2Dに振り分ける転送ルートを設定する。選択した画像形成装置2が自機である場合、ネットワーク通信処理部66は印刷要求を自機の印刷機能に振り分ける転送ルートを設定する。転送ルートの設定には、機器の機能情報DB70が利用される。ステップS17に進み、ネットワーク通信処理部66は設定した転送ルートを含むルーティングテーブル80を生成する。
【0053】
ステップS18に進み、ネットワーク通信処理部66はルーティングテーブル80を参照し、ステップS17で設定した転送ルートに従って、PC3Aからの印刷要求を画像形成装置2Dに転送する。転送ルートの設定後、ネットワーク通信処理部66は印刷要求を改変することなく、ネットワークハブが適当なポートに振り分けるように印刷要求を画像形成装置2Dに転送する。
【0054】
ステップS19に進み、画像形成装置2Dは印刷要求応答を画像形成装置2Aに対して行う。ステップS20に進み、画像形成装置2Aのネットワーク通信処理部66はルーティングテーブル80を参照し、ステップS17で設定した転送ルートに従って、画像形成装置2Dからの印刷要求応答をPC3Aに転送する。
【0055】
ステップS21に進み、PC3AはステップS20の印刷要求応答の本来の送信元である画像形成装置2Dに対して印刷データ送信(Send Document)を行う。PC3Aは画像形成装置2Dとのデータ通信に必要な情報をステップS20の印刷要求応答から取得できる。画像形成装置2DはステップS22に進み、状態変化通知をステップS21の印刷データ送信の送信元であるPC3Aに対して行う。
【0056】
ステップS23に進み、PC3AはステップS22の状態変化通知の送信元である画像形成装置2Dに対して状態変化通知応答を行う。ステップS24に進み、画像形成装置2DはステップS21の印刷データ送信の送信元であるPC3Aに対して印刷データ送信応答を行う。ステップS25に進み、画像形成装置2Aのネットワーク通信処理部66はステップS17で生成したルーティングテーブル80を削除する。
【0057】
このように、図8に示した機器のデータ転送シーケンスによれば、PC3Aが画像形成装置2Aに対して行った印刷要求は画像形成装置2Dに振り分けられる。なお、PC3Aには印刷の結果が出力される画像形成装置2を例えば状態変化通知の拡張領域を利用して通知することが考えられる。
【0058】
WSDプロトコル以外のプロトコルであって、例えばDirectPrintプロトコルのように印刷要求と印刷データとが分離していないプロトコルの場合、機器のデータ転送シーケンスは図9のようになる。ネットワーク通信処理部66は、例えばPC3Aから印刷要求+印刷データを受け付けると、図9に示すような機器のデータ転送シーケンスに基づき、適切な画像形成装置2へ印刷要求を振り分ける。
【0059】
図9は機器のデータ転送シーケンスの他の例を示すシーケンス図である。図9は画像形成装置2AがPC3Aから印刷要求+印刷データを受け付ける機器のデータ転送シーケンスを表している。また、図9はWSDプロトコル以外のプロトコルであって、印刷要求と印刷データとが分離していないプロトコルを利用する例を表している。
【0060】
ステップS31に進み、PC3Aは印刷要求+印刷データを画像形成装置2Aに送信する。画像形成装置2Aのネットワーク通信処理部66はPC3Aからの印刷要求+印刷データを受信するとステップS32に進み、受信した印刷要求を解釈し、受信した印刷要求から印刷条件を抽出する。
【0061】
ステップS33に進み、ネットワーク通信処理部66は抽出した印刷条件に基づく機器の選択を、外部機器の機能管理部62に要求する。ステップS34に進み、外部機器の機能管理部62は印刷条件に基づき、機器の機能情報DB70を参照し、印刷条件に適した画像形成装置2を選択する。なお、印刷条件に適した画像形成装置2を選択する処理は既存の技術で行うことができるため、説明を省略する。
【0062】
ステップS35に進み、外部機器の機能管理部62はステップS34で選択した画像形成装置2を選択結果としてネットワーク通信処理部66に通知する。選択結果を通知されると、ネットワーク通信処理部66はステップS36に進み、印刷要求+印刷データを振り分ける為のルートを決定する。
【0063】
選択した画像形成装置2が自機でなく、例えば画像形成装置2Dの場合、ネットワーク通信処理部66は印刷要求+印刷データを画像形成装置2Dに振り分ける転送ルートを設定する。選択した画像形成装置2が自機である場合、ネットワーク通信処理部66は印刷要求+印刷データを自機の印刷機能に振り分ける転送ルートを設定する。転送ルートの設定には、機器の機能情報DB70が利用される。ステップS37に進み、ネットワーク通信処理部66は設定した転送ルートを含むルーティングテーブル80を生成する。
【0064】
ステップS38に進み、ネットワーク通信処理部66は、ルーティングテーブル80を参照し、ステップS37で設定した転送ルートに従って、PC3Aからの印刷要求+印刷データを画像形成装置2Dに送信する。転送ルートの設定後、ネットワーク通信処理部66は印刷要求+印刷データを改変することなく、ネットワークハブが適当なポートに振り分けるように印刷要求+印刷データを画像形成装置2Dに転送する。
【0065】
ステップS39に進み、画像形成装置2Dは印刷要求応答を画像形成装置2Aに対して行う。ステップS40に進み、画像形成装置2Aのネットワーク通信処理部66はルーティングテーブル80を参照し、ステップS37で設定した転送ルートに従って、画像形成装置2Dからの印刷要求応答をPC3Aに転送する。ステップS41に進み、画像形成装置2Aのネットワーク通信処理部66はステップS37で生成したルーティングテーブル80を削除する。
【0066】
このように、図9に示した機器のデータ転送シーケンスによれば、PC3Aが画像形成装置2Aに対して行った印刷要求+印刷データは画像形成装置2Dに振り分けられる。
【0067】
以上、本実施例によれば、印刷要求にある印刷条件に基づき、機器の機能情報DB70を参照し、印刷条件に適した画像形成装置2を選択した後、印刷要求を改変することなく転送するため、印刷要求を振り分ける通信手順を単純化できる。印刷要求を振り分ける通信手順を単純化することにより、本実施例によれば、ネットワーク4の負荷軽減や通信速度の向上が期待できる。
【0068】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
1 要求振分システム
2,2A〜2D 画像形成装置
3,3A〜3C PC
4 ネットワーク
11 操作パネル
11a 入力装置
11b 表示装置
12 記憶メディアI/F
12a ドライブ装置
12b 記録媒体
13 コントローラ
13a ROM
13b RAM
13c CPU
13d NVRAM
14 データ通信I/F
14a インタフェース装置
15 スキャナ
15a 画像読取装置
16 プロッタ
16a 印刷装置
17 HDD
20 アプリケーション部
21 プラットフォーム部
22 SOAP/XML処理部
23 OS/カーネル部
31 コピーアプリ
32 ファクスアプリ
33 スキャナアプリ
34 ネットファイルアプリ
35 プリンタアプリ
41 システム制御部
42 メモリ制御部
43 エンジン制御部
44 セキュリティ制御部
45 配信制御部
46 オペレーション制御部
47 ネットワーク制御部
48 ファクス制御部
51 全体制御部
52 イベント検出部
53 他アプリ/他制御部との通信部
61 全体制御部
62 外部機器の機能管理部
63 Webサービスイベンティング処理部
64 イベント管理部
65 他アプリ/他制御部との通信部
66 ネットワーク通信処理部
67 HTTP制御部
68 XML処理部
70 機器の機能情報DB
71 画像形成装置の機能を表す部分
72 画像形成装置の状態を表す部分
80 ルーティングテーブル
【先行技術文献】
【特許文献】
【0070】
【特許文献1】特開2008−199576号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け付けた要求に応じて処理を行う機器であって、
端末から受け付けた要求から処理の条件を抽出する条件抽出手段と、
自身又は他の機器の機能情報を管理する機能情報データベースを用いて、前記抽出した処理の条件に適した機器を選択する機器選択手段と、
前記選択した機器に前記端末から受け付けた要求を振り分ける振分手段と
を有する機器。
【請求項2】
前記他の機器に対して機能情報を要求して前記他の機器の機能情報を収集し、前記自身の機器の機能情報及び前記他の機器の機能情報を管理する前記機能情報データベースを生成する機能情報データベース生成手段を
更に有する請求項1記載の機器。
【請求項3】
前記機能情報データベースが管理する前記自身の機器の機能情報及び前記他の機器の機能情報は、前記自身の機器及び前記他の機器の機能及び状態を表す情報である請求項2記載の機器。
【請求項4】
前記機能情報データベース生成手段は、前記端末が前記機器から前記自身の機器の機能情報及び前記他の機器の機能情報を取得する為のコマンドを利用し、XML形式のデータを使って、前記他の機器から前記他の機器の機能情報を収集する請求項2又は3記載の機器。
【請求項5】
前記振分手段は、前記選択した機器から前記要求に対する応答を受信すると、前記要求を受け付けた前記端末に、前記選択した機器から受信した前記要求に対する応答を振り分ける請求項2乃至4何れか一項記載の機器。
【請求項6】
受け付けた要求に応じて処理を行う機器によって実行される要求振分方法であって、
前記機器が、
端末から受け付けた要求から処理の条件を抽出する条件抽出ステップと、
自身又は他の機器の機能情報を管理する機能情報データベースを用いて、前記抽出した処理の条件に適した機器を選択する機器選択ステップと、
前記選択した機器に前記端末から受け付けた要求を振り分ける振分ステップと
を有する要求振分方法。
【請求項7】
受け付けた要求に応じて処理を行う機器を、
端末から受け付けた要求から処理の条件を抽出する条件抽出手段と、
自身又は他の機器の機能情報を管理する機能情報データベースを用いて、前記抽出した処理の条件に適した機器を選択する機器選択手段と、
前記選択した機器に前記端末から受け付けた要求を振り分ける振分手段と
して機能させるための要求振分プログラム。
【請求項8】
1つ以上の端末と、前記1つ以上の端末から受け付けた要求に応じて処理を行う複数の機器とがネットワーク経由でデータ通信可能に接続された要求振分システムであって、
前記複数の機器は、
前記端末から受け付けた要求から処理の条件を抽出する条件抽出手段と、
自身又は他の機器の機能情報を管理する機能情報データベースを用いて、前記抽出した処理の条件に適した機器を選択する機器選択手段と、
前記選択した機器に前記端末から受け付けた要求を振り分ける振分手段と
を有する要求振分システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−139346(P2011−139346A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298670(P2009−298670)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】