説明

機器の発光部構造、それを用いた機器、画像形成装置

【課題】角度が異なる2つの面で構成された形状とすることにより、画像形成装置の前におけるどの立ち位置からでも視認が容易で、低コスト化が図れる発光部構造を提供する。
【解決手段】画像形成装置やその周辺機器等の機器に設けられる発光部構造であって、発光部20が備えるレンズ21を機器の外装面から出っ張らせるとともに、両端をあまり大きくは突出させないようR面22を形成して処理した形状としてある。また、レンズ21の表面の角度を上下方向において二分し、上下で角度が異なる2つの面21a、21bとし、ユーザーの通常の立ち位置から確認できる視線高さ(A)からは上向きの発光面21aが視認でき、ユーザーが遠方にいるときや、しゃがんだ状態、または車イスユーザーのような低い視線高さ(B)からは、やや下向きの発光面21bで発光部20を視認できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又は、それらの複合機等の画像形成装置やその周辺機器等の機器に設けられるLED発光レンズなどを用いた発光部構造に関し、詳細には、操作者のどの立ち位置からでも視認しやすくしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、画像形成システムの一例を示す外観図であり、図の中央に位置する画像形成ユニット1に、大量給紙ユニット2と排紙ユニット3を組み合わせて構成してある。画像形成ユニット1は、図示は省略するが画像形成を行う作像部を内蔵し、外部には、上面の排紙ユニット3寄りの位置に自動原稿給紙装置(ADF)4を設け、その右側の大量給紙ユニット2側にトナーボトル収納部5を備えている。また、トナーボトル収納部5の天井面上部には操作用ディスプレイ6がアーム7を介して角度可変に設けてある。画像形成ユニット1の下部には給紙部8を備えている。
【0003】
このような画像形成システムでは、上述した各種の機器がドアの開閉や、給紙トレイの出し入れ等の操作を伴うので、カバーの開閉やトレイの操作を楽にするため、操作用のレバーを備えているが、その近傍には、カバーやトレイが存在することを操作者に視認させるための発光部が設けられている。
【0004】
例えば給紙トレイ9の操作は、給紙部8から給紙トレイ9を引き出し、あるいは給紙部8押し込む操作となるが、操作部位である給紙トレイ9を示すため、各給紙トレイ9の外装面に設けた発光部20のうち、操作対象となる発光部20を発行させるなどしている。あるいは、操作対象となる給紙トレイ9の位置に応じた発光は行わせなくても、図示せぬが給紙段の名称を近傍に記載するなどして操作者が視認しやすくしてある。
【0005】
なお図中14は画像形成ユニット1の前ドア、15はその取手15、16は大量給紙ユニット2の給紙段、17はその操作用の取手17、18は排紙ユニット3の前ドア、19はその取手19である。図示の例では、大量給紙ユニット2の給紙段(図の例では3段)にそれぞれ発光部20が設けてある。
【0006】
ところでこのような画像形成装置において、給紙部8などを含む保守補給操作を誘導するための状態表示を行うにはLEDを利用した発光部を用いることが多くなってきているが、LEDを利用した発光体は取り付ける面とLEDの発光面を同一面あるいは略同一面とすることができ、省スペースに貢献し得るものであるが、そのような構成とした場合、画像形成装置の左右問わず斜め方向からの視認も困難になる。
【0007】
また、LEDを利用した発光体をレンズごと出っ張らせて設けた場合、ユーザーがその設置箇所の近傍を通過する際に、例えば手の甲が当たって怪我をしたり、外部からの衝撃によって発光部、発光体が凹んだり、傷付いたり、破損したりする等の事態が懸念される。
【0008】
また、LEDを利用した発光体の発光面を上向き、もしくは下向きのいずれかに限定して装備した場合、視認できる範囲も限定されてしまう。発光面をルーレット加工にすることによりある程度の輝度を得ることは可能であるが、成形上の制約条件により、充分な輝度を得られるというレベルまでに上げることは多大な作業時間、コストを要する場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
すなわち、取り付け面とLED発光面が同一面にある場合、画像形成装置の左右だけでなく斜め方向からの視認が困難であること、また、そのままレンズごと出っ張らせた場合、ユーザーが画像形成装置の近傍を通過する人に当たるなどして怪我をさせる心配があること、また外部からの衝撃によって破損すること等の事態が懸念される。
【0010】
そこで本発明においては、角度が異なる2つの面で構成された形状とすることにより、画像形成装置の前におけるどの立ち位置からでも視認が容易で、低コスト化が図れる発光部構造と、これを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に係る機器の発光部構造は、ことを特徴とする。画像形成装置やその周辺機器等の機器に設けられる発光部構造であって、発光部が備えるレンズを前記機器の外装面から出っ張らせるとともに、前記機器の外装面の左右方向の両端の面を曲面で形成し、かつ、前記レンズの表面の角度を前記機器の外装面の上下方向において二分して角度が異なる2つの面で構成し、上側の面は斜め上方へ向け、下側の面は斜め下方へ向けて形成してなることを特徴とする。
【0012】
同請求項2に係るものは、請求項1に記載の機器の発光部構造において、前記上側の面を前記下側の面よりも面積を大きく形成してなることを特徴とする。
【0013】
同請求項3に係るものは、請求項1に記載の機器の発光部構造において、前記下側の面を前記上側の面よりも面積を大きく形成してなることを特徴とする。
【0014】
同請求項4に係るものは、請求項1から3のいずれかに記載の機器の発光部構造において、前記レンズの前記機器の外装面の左右方向の中央部よりも両端側を薄く形成してなることを特徴とする。
【0015】
同請求項5に係るものは、請求項1から4のいずれかに記載の機器の発光部構造を備えたことを。
【0016】
同請求項6に係る画像形成装置は、画像形成部を備え、請求項1から4のいずれかに記載の機器の発光部構造を、装置本体の少なくともひとつの発光部に用いてなることを特徴とする。
【0017】
同請求項7に係る画像形成装置の周辺機器は、請求項1から4のいずれかに記載の機器の発光部構造を、機器本体の少なくともひとつの発光部に用いてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る発光部構造は、発光部を、画像形成装置の前におけるどの立ち位置からでも容易に視認できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】画像形成システムの一例を示す外観図
【図2】本発明の実施例1に係る発光部の外観を示す斜視図(A)と正面図(B)
【図3】図2に示した発光部を画像形成ユニットの給紙部に取り付けた状態の平面図(A)と側面図(B)
【図4】実施例1に係る発光部の見え方を示す概念図
【図5】本発明の実施例2に係る発光部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
発光部が備えるレンズを、出っ張らせかつ両端をあまり大きくは突出させないようR面で処理した形状を有し、また、発光体の発光面を上向き、もしくは下向きいずれかに限定した場合、視認できる範囲も限定されてしまうという課題を解決するために、角度が異なる2つの面で構成したレンズカバー形状を有するレンズ部を備えることで、ハウジング外または可能な限りハウジング側端部に近い位置からイメージを入力するという手段をとり、これを、最小の部品点数で、光学系構成部品の厚みを損なわずに実現した。
【実施例】
【0021】
<実施例1>
以下本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。なお以下では、図1に示した画像形成システムをなす画像形成ユニット1の給紙部8に設けたLEDを用いた発光部20の構造についてのみ説明するが、その他の部位の発光部についても同じ構造を採用することができ、また本発明は図示の具体的な構造には限定されず、本発明の概念、趣旨に基づいて種々変形例を想到可能であることは言うまでもない。すなわち、発光体もLEDに限定されるものではない。また符号は図1と共通する部分には同一の符号を付して説明する。
【0022】
まず、画像形成ユニット1の給紙部8の外面と発光部20の外面(具体的には後述するが、レンズの外面となる。)がいわゆる面一状態にある場合、画像形成ユニット1の左右問わず斜め方向からでも視認は困難になる。しかし、そのままレンズごと出っ張らせた場合、ユーザーが近傍を通過する際に手の甲がレンズに接触、当接して怪我をしたり、外部からのレンズへの衝撃による凹み、傷、破損などの事態が懸念される。発光部20の発光面を上向き、もしくは下向きのいずれかに限定した場合、やはり視認できる範囲が限定されてしまう。
【0023】
図2は、本発明の実施例1に係る発光部20の外観を示す斜視図(A)と正面図(B)である。また図3は、図2に示した発光部20を画像形成ユニット1の給紙部8に取り付けた状態の平面図(A)と側面図(B)である。
【0024】
本実施形態の発光部20のレンズ21は、画像形成ユニット1の給紙部8の表面から出っ張らせ、かつ左右方向では両端をあまり大きくは突出させないようR面22を形成して処理した形状としてある。そして、R面22を設けることにより、例えば図4に示すように、ユーザー25、30が画像形成ユニット1にかなり近付いた立ち位置からでも、またその立ち位置が正面でなくて左右いずれかに寄っていても容易に視認できるようになる。そのため、ユーザー25が近傍を通過する際、手の甲などを当てて怪我するなどの事態を回避できるだけでなく、画像形成ユニット1の装置本体の外観を損なわないデザイン性を発揮できる。
【0025】
また本実施例の発光部20のレンズ21は、図2(B)に示した水平な線Xを境に、その上下で角度が異なる2つの面にすることにより、図3(B)に示すように、ユーザー25の通常の立ち位置から確認できる視線高さ(A)からは上向きの発光面21aが視認できる。画像形成ユニット1の比較的低い位置にある給紙トレイ9に設けても同様である。さらに、ユーザーが遠方にいるときや、しゃがんだ状態、または車イスユーザーのような低い視線高さ(B)からは、やや下向きの発光面21bで発光部20を視認できるようになる。また、現状の成型技術、低コストで容易に量産が可能である。
【0026】
なお、図示の例では上側の発光面、すなわち上向きの発光面21aのほうを、下側の発光面、すなわち下向きの発光面21bよりも面積を大きくしているが、これは上方からの視認性を考慮したものである。ただし、本発明ではこれを逆にして下側のほうが面積が大きい構造としてもよい。
【0027】
さらに、図3(A)に示すように、平面形状としても発光部20のレンズ21の左右方向両端を薄く形成し、ユーザー25が近傍を通過する際に引っ掛かりにくくしてある。
【0028】
<実施例2>
図5は、本発明の実施例2に係る発光部30の構造を示す断面図である。この実施例の発光部30は、中央部を凸状に形成し、矩形の周縁部を備えたLED レンズ31、その裏側に設ける光拡散材32、さらにその裏側の導光材33及び導光材33中に埋設された形態のLED34、34からなり、発光部30は、中央部の凸状部分30aを給紙トレイ9の外装板から突出させ、矩形の周縁部30bは給紙トレイ9の外装板の裏側に配置して外れないように位置決めし、導光材33のケース33aとの間に導光材33だけでなく、上述したLED34、34、光拡散材32を挟むようにして構成してある。
【0029】
なお本実施例2においても作用、効果は先の実施例と同様であるので説明を省略する。
【符号の説明】
【0030】
1:画像形成ユニット
8:給紙部
9:給紙トレイ
20:発光部
21:レンズ
21a:発光面
21b:発光面
22:R面
25:ユーザー
30:発光部
30a:発光部の中央部の凸状部分
30b:発光部の周縁部
31:LEDレンズ
32:光拡散材
33:導光材
34:LED
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】特開平9−044099号公報
【特許文献2】特開平5−053186号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置やその周辺機器等の機器に設けられる発光部構造であって、
発光部が備えるレンズを前記機器の外装面から出っ張らせるとともに、前記機器の外装面の左右方向の両端の面を曲面で形成し、かつ、
前記レンズの表面の角度を前記機器の外装面の上下方向において二分して角度が異なる2つの面で構成し、上側の面は斜め上方へ向け、下側の面は斜め下方へ向けて形成してなることを特徴とする機器の発光部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の機器の発光部構造において、
前記上側の面を前記下側の面よりも面積を大きく形成してなることを特徴とする機器の発光部構造。
【請求項3】
請求項1に記載の機器の発光部構造において、
前記下側の面を前記上側の面よりも面積を大きく形成してなることを特徴とする機器の発光部構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の機器の発光部構造において、
前記レンズの前記機器の外装面の左右方向の中央部よりも両端側を薄く形成してなることを特徴とする機器の発光部構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の機器の発光部構造を備えたことを特徴とする機器。
【請求項6】
画像形成部を備え、請求項1から4のいずれかに記載の機器の発光部構造を、装置本体の少なくともひとつの発光部に用いてなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置の周辺機器であって、請求項1から4のいずれかに記載の機器の発光部構造を、機器本体の少なくともひとつの発光部に用いてなることを特徴とする画像形成装置の周辺機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−194202(P2012−194202A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55879(P2011−55879)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】