説明

機器バッテリー用ガルヴァニック素子

本発明は、金属またはプラスチックから成る外側容器を備え、該外側容器が内面および外面をニッケルまたは亜鉛またはコバルト或いはニッケルまたはコバルトを含む合金で特にガルヴァニック被覆されている、機器バッテリーとしてのガルヴァニック素子のためのハウジングに関わる。外側被覆部は前記容器の両端部領域のみに配置され、該両端部領域の間にある中間領域(11)は被覆されていない。さらに本発明は、ガルヴァニック素子用ハウジングの製造方法に関わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属またはプラスチックから成る外側容器を備え、該外側容器が内面および外面をニッケルまたは亜鉛またはコバルト或いはニッケルまたはコバルトを含む合金で特にガルヴァニック被覆されている、機器バッテリーとしてのガルヴァニック素子のためのハウジングに関するものである。
本発明は、さらに、ガルヴァニック素子用ハウジングの製造方法にも関わる。
【背景技術】
【0002】
ガルヴァニック素子(機器バッテリー)用ハウジングとして、閉じた底部を有するグラス状中空体が使用される。腐食上の理由および接点部を改善する理由から、このハウジングは、ニッケルから成るガルヴァニック表面被覆部またはニッケル/コバルト被覆部を有している。この場合、ハウジングを、ニッケルでガルヴァニック被覆した薄板またはニッケル/コバルト被覆した薄板(NPS)から深絞り工程で製造すること、或いは、深絞り成形可能な被覆していない薄板を同じ深絞り工程でハウジング形状にもたらし、次にばら材としてガルヴァニック被覆することが知られている。
【0003】
ハウジングの筒状部分は、バッテリーを製造する場合に他の工程で外部から絶縁されねばならない。絶縁はプラスチックステッカーを使用して、または、収縮チューブを使用して達成される。どちらの絶縁方式を適用するかに関係なく、ハウジングは常に全面をガルヴァニック被覆されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭で述べた種類のガルヴァニック素子を、簡単な製造で材料節約が可能であるように改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、外側被覆部が容器の両端部領域のみに配置され、該両端部領域の間にある中間領域は被覆されていないことによって解決される。
【0006】
これによって被覆材がかなり節約される。本発明の解決手段は、ガルヴァニック素子(バッテリー)のハウジングの機能のためには、基本的には、申し分のない接触を保証するには、極部分をニッケル被覆するだけでよいということを活用するものである。
【0007】
好ましくは、端部領域被覆部の長さがそれぞれ容器の軸線方向全長の1/20ないし1/3であることが提案される。
【0008】
また、被覆部の厚さが内側と外側とで異なるように実施されていることも提案される。さらに、被覆部の被覆材料は内側と外側とで異なるように実施されていてよい。
【0009】
非被覆領域は、処理しないままにしていてもよいし、或いは、防蝕剤の塗布のような種々の処置によって腐食を防いでもよい。機能的には、容器の外面が、接点部を除く容器の全長にわたって、両端部領域被覆部をも覆う絶縁層で覆われているのが有利である。この場合、絶縁層はラッカーおよび/またはステッカーおよび/またはプラスチック収縮チューブ或いはこれらの組み合わせを有していてよい。
【0010】
前記利点が特に顕著に認められるのは、本発明によるガルヴァニック素子用ハウジングの製造方法においてであり、すなわち金属またはプラスチックから成る容器を製造した後、該容器の内面を完全に被覆するとともに、外面を次のように部分的に被覆すること、すなわち両外側端部領域のみをニッケルまたは亜鉛またはコバルト或いはニッケルまたはコバルトを含んだ合金で特にガルヴァニック被覆し、容器端部領域の間にある中間領域は被覆しないままにしておき、その際端部領域被覆部の長さがそれぞれ前記容器の軸線方向全長の1/20ないし1/3であり、その後容器外面を、接点部以外の該容器の全長にわたって、両端部領域被覆部をも覆う絶縁層で覆われるように、前記外面を部分的に被覆するようにした前記製造方法においてである。
【0011】
本発明によるハウジングまたは容器においては、および、特にその製造方法においては、米国特許出願公開第2006/0118411号明細書に記載されている表面処理方法及び装置を特に有利に適用可能である。
【0012】
図面には本発明の1実施形態が軸方向縦断面図で図示されており、以下にこれを詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の1実施形態の軸方向縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ガルヴァニック素子のハウジングは容器1を有し、容器1は筒状の管形側壁2を備えており、側壁2は一端において一体に成形した底部3によって閉止されている。側壁と底部とは金属またはプラスチックから成っている。ハウジングのすべての内面は隙間のない内側被覆部4を有し、内側被覆部4はニッケルまたは亜鉛またはコバルト、或いは、ニッケルまたはコバルトを含む合金、特にニッケルコバルト合金から成っている。
【0015】
容器の外面も上記材料から成る被覆部を有している。しかし、この外側の被覆部はグラス状容器の両端部領域5,6のみを覆っており、すなわち容器開口部7に境を接している、第1の端部領域5の外側被覆部8は、容器の長さのほぼ1/6にわたって延在し、底部3に境を接している第2の端部領域6の外側被覆部9も容器の長さのほぼ1/6にわたって延在して、底部の外側被覆部10へ移行している。
【0016】
両外側被覆部8,9の間には、被覆をしていない非被覆領域11が容器の長さのほぼ2/3にわたって残っている。外側被覆部8,9と非被覆領域1との長さ比は必要に応じて、且つ技術的要求に応じて種々様々に選定してよい。たとえば、端部被覆領域8,9の長さは容器1の軸線方向全長のほぼ1/20ないし1/3であってよい。
【0017】
被覆部4,8,9を装着した後、底部外面10を除いて筒状外面全体を絶縁層(図示せず)で覆う。この絶縁層はラッカー、ステッカー、プラスチック収縮チューブ、或いはこれらの組み合わせであってよい。
【0018】
被覆部4,8,9の厚さは内側と外側とで異なっていてよい。また、被覆部4,8,9の被覆材も内側と外側とで異なっていてよい。
【0019】
本発明に従って容器外面を部分的に被覆することと、容器内面を被覆することとは、米国特許出願公開第2006/0118411号明細書に記載されているような装置を用いて特に有利に実施可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属またはプラスチックから成る外側容器(1)を備え、該外側容器(1)が内面および外面をニッケルまたは亜鉛またはコバルト或いはニッケルまたはコバルトを含む合金で特にガルヴァニック被覆されている、機器バッテリーとしてのガルヴァニック素子のためのハウジングにおいて、
外側被覆部(8,9)が前記容器(1)の両端部領域(5,6)のみに配置され、該両端部領域の間にある中間領域(11)は被覆されていないことを特徴とするハウジング。
【請求項2】
端部領域被覆部(8,9)の長さがそれぞれ前記容器(1)の軸線方向全長の1/20ないし1/3であることを特徴とする、請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
被覆部(4,8,9)の厚さが内側と外側とで異なるように実施されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のハウジング。
【請求項4】
被覆部(4,8,9)の被覆材料が内側と外側とで異なるように実施されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のハウジング。
【請求項5】
前記容器(1)の外面が、接点部を除く前記容器の全長にわたって、前記両端部領域被覆部(8,9)をも覆う絶縁層で覆われていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載のハウジング。
【請求項6】
前記絶縁層がラッカーおよび/またはステッカーおよび/またはプラスチック収縮チューブ或いはこれらの組み合わせを有していることを特徴とする、請求項5に記載のハウジング。
【請求項7】
上記請求項のいずれか一つに記載のガルヴァニック素子用ハウジングの製造方法において、
金属またはプラスチックから成る容器を製造した後、該容器の内面を完全に被覆するとともに、外面を次のように部分的に被覆すること、すなわち両外側端部領域のみをニッケルまたは亜鉛またはコバルト或いはニッケルまたはコバルトを含んだ合金で特にガルヴァニック被覆し、容器端部領域の間にある中間領域は被覆しないままにしておき、その際端部領域被覆部(8,9)の長さがそれぞれ前記容器(1)の軸線方向全長の1/20ないし1/3であり、その後容器外面を、接点部以外の該容器の全長にわたって、両端部領域被覆部(8,9)をも覆う絶縁層で覆われるように、前記外面を部分的に被覆することを特徴とする製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−508899(P2013−508899A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534554(P2012−534554)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004341
【国際公開番号】WO2011/047742
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(512102232)ハー ウント テー マルスベルク ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (1)
【Fターム(参考)】