説明

機器位置検出システム

【課題】高い精度の時計を無線送信局と、無線受信局との両方に備えることなく、無線送信局の位置情報を正確に検出する。
【解決手段】
温度測定器14は、応答フレームデータを無線基地局11〜13に送信する第1の送受信手段を備え、無線基地局11〜13は、参照フレームデータの送信要求がない場合は、自局以外の他の無線受信局11〜13から送信された参照フレームデータを受信した後に、温度測定器14から送信された応答フレームデータを受信する第2の送受信手段と、第2の送受信手段により参照フレームデータを受信完了した時点から応答フレームデータを受信開始した時点までの時間を応答時間として測定する時間測定手段とを備え、
位置検出装置20は、算出した遅延時間と応答時間とに基づいて、差分距離を算出する距離算出手段と、算出された差分距離に基づいて、温度測定器14の位置を示す位置情報を算出する位置算出手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線送信局と、位置関係が既知である複数の無線受信局と、無線送信局と無線受信局との間において無線によりフレームデータを送受信した際の送受信結果に基づいて、無線送信局の位置を検出する位置検出装置とを備える機器位置検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、室内に設置された空調機器を制御する空調システムにおいて、無線による温度データの送信が可能な温度測定器と、温度測定器から送信された温度測定値を受信する無線基地局と、無線基地局により受信された温度測定値に基づいて、室内の空調機器を制御する制御装置とからなるものがある。
【0003】
このような従来の空調システムにおいて、室内空間を快適な温度となるように制御するためには、制御装置は、温度測定器から送信された温度測定値と温度測定器の位置情報とに基づいて、適切に温度制御を行う必要がある。そこで、空調システムの提供者又は利用者は、無線基地局と温度測定器との間の距離を正確に測定し、測定した距離に基づいて温度測定器の位置を算出し、算出した位置情報を制御装置に設定しなければならなかった。
【0004】
そのため、例えば、提供者又は利用者が、温度測定器を移設したり、追加したりした場合、その都度、提供者又は利用者は、無線基地局と温度測定器との間の距離を制御装置に設定しなければならず、非常に面倒であった。
【0005】
そこで、温度測定器にGPS(Global Positioning System)センサを搭載し、温度測定器の位置情報を無線基地局に送信する位置検出システムを空調システムに適用することが考えられる。しかしながら、このようなGPSを利用した空調システムは、室内に設置されるため、温度測定器からの電波が弱くなり、正確に位置を検出することができなかった。また、温度測定器にGPSセンサを搭載するので、空調システム全体の製造コストが高くなるという課題があった。
【0006】
そこで、特許文献1には、複数の基地局と端末によって構成され、かつ複数のチャネルを有し、各端末が基地局と非同期でパケット通信を行い、端末と基地局を同期させることなく基地局と端末間の信号伝搬時間を測定し、測定した伝搬時間を元に端末の位置を特定する無線局の位置推定システムが提案されている。
【0007】
図7は、特許文献1に記載の無線局の位置推定システムにおいて、データパケットの送信側である基地局とデータパケットの受信側である端末との間でのIEEE802.11規格に基づいたデータパケットの送受関係を示した図である。
【0008】
図7に示すように、基地局から送信されたデータパケットが端末に到達するのに必要な伝搬遅延の時間をT1とし、端末から送信されたACKが基地局まで到達するのに必要な伝搬遅延の時間をT2とし、端末がデータパケットの受信を終了してからACKを送信するまでに必要な時間をT3としている。ここで、T3は、IEEE802.11規格においては、受信側のACK応答までの時間としてSIFS(Short Inter Frame Space)と定義されている。また、データパケットの送信に必要とされる時間をT4としており、このT4は、データパケット長と伝送レートとに依存される。T5は、送信側の基地局でデータパケット送信開始からACK受信開始までの時間であり、T1,T2,T3,及びT4を加算した時間となる。
【0009】
ここで、T4はデータパケット長と伝送レートによって決まる時間であり、送信側の基地局で算出できる時間である。T3で示されるSIFSは、IEEE802.11規格では物理層に用いる規格で決まる値とされており、例えばIEEE802.11a規格ではSIFS時間として16μs(マイクロ秒)という値が規定されている。同様にIEEE802.11B規格ではSIFS時間として10μs(マイクロ秒)という値が規定されている。よって、IEEE802.11規格に従って通信する無線LANシステムにおいては、用いられる物理層の規格の違いによりSIFSの値が変わるものの、同一の物理層の規格に従って通信する無線局においてはSIFSの値は固定値となる。そこで、T5を構成する時間要素のうちT3,T4を、送信側の基地局において推定し、時間(T1+T2)を導出する。
【0010】
そして、無線LANを用いる場合、基地局から端末への伝搬遅延T1と、端末から基地局への伝搬遅延T2とは同一であることを前提に、基地局は、データパケット送信開始からACK受信開始までの時間T5を測定し、基地局と端末との間の伝搬遅延(T1=T2)を求めることで、基地局と端末との間の伝搬時間を推定し、伝搬距離を推定する。
【特許文献1】特開2004−350088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の無線局の位置推定システムでは、基地局がT5を測定し、また、端末がT3となるように正確に送信することで、このT3と測定したT5に基づいて、基地局と端末との間の伝搬遅延(T1=T2)を求める。そのため、高い精度で伝搬遅延(T1=T2)を算出することが困難であった。
【0012】
即ち、高い精度で伝搬遅延(T1=T2)を算出するためには、基地局と端末の両方に高い精度で時間を測定する時計を備える必要があった。一般的に流通している比較的低価格である測定精度10ppm程度の水晶振動子を用いた時計を用いて、例えば、T5を測定するとすると、T5が数百μs(マイクロ秒)であれば、測定誤差が数mになる場合がある。このような精度では、特許文献1に記載の無線局の位置推定システムを、例えば、誤差が大きく、空調システムに適用した場合、適切に温度制御できない場合があった。
【0013】
また、基地局や端末を、測定精度の高い時計を備えた構成とすると、製造費用がふくらみ、装置全体として高コストとなるという問題があった。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高い精度の時計を、データの送信側である無線送信局と、データの受信側である無線受信局との両方に備えることなく、無線送信局の位置情報を正確に検出することができる機器位置検出システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る機器位置検出システムの第1の特徴は、無線送信局が、複数の無線受信局のいずれか1つから送信された参照フレームデータを受信し、該受信した参照フレームデータに対する応答として応答フレームデータを複数の無線受信局に送信する第1の送受信手段を有し、複数の無線受信局が、位置検出装置から参照フレームデータの送信要求があった場合は、参照フレームデータを無線送信局及び自局以外の他の無線受信局へ送信し、送信要求がない場合は、自局以外の他の無線受信局から送信された参照フレームデータを受信した後に、参照フレームデータに対する応答として無線送信局から送信された応答フレームデータを受信する第2の送受信手段と、第2の送受信手段により参照フレームデータを受信完了した時点から応答フレームデータを受信開始した時点までの時間を応答時間として測定する時間測定手段とを有し、位置検出装置が、複数の無線受信局のいずれか1つが、無線送信局及び自局以外の他の無線受信局へ参照フレームデータを送信完了した時点から、該参照フレームデータを他の無線受信局が受信完了した時点までの時間を遅延時間として算出し、この算出した遅延時間と、時間測定手段により測定された応答時間とに基づいて、無線送信局から参照フレームデータを受信した複数の無線受信局のうちのいづれか1つまでの距離と、該無線受信局以外であって、参照フレームデータを受信した複数の無線基地局のうちのいづれか1つから無線送信局までの距離との差を差分距離として算出する距離算出手段と、距離算出手段により算出された差分距離に基づいて、無線送信局の位置を示す位置情報を算出する位置算出手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る機器位置検出システムによれば、高い精度の時計を無線送信局と、無線受信局との両方に備えることなく、無線送信局の位置を正確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例1では、室内に設置された空調機器を制御する空調システムに適用され、室内の温度を測定する温度測定器と、所定の位置を基準点とした平面上のそれぞれの位置関係が既知である3つの無線基地局との間において無線によりフレームデータを送受信した送受信結果に基づいて、温度測定器の位置を検出する機器位置検出システムを例に挙げて説明する。ここで、フレームデータとは、データを送受信する際に分割される1つの単位であり、このフレームデータには、応答を要求する参照フレームデータと、参照フレームデータに対する応答を示す応答フレームデータがある。
【0019】
図1は、本発明の実施例1である機器位置検出システムが適用された空調システムの構成を示した構成図である。
【0020】
図1に示すように、空調システム2は、本発明の実施例1である機器位置検出システム1と、制御装置3と、空調機器4とを備えている。機器位置検出システム1は、制御装置3と接続されており、制御装置3には、空調機器4が接続されている。
【0021】
制御装置3は、機器位置検出システム1から供給された後述する温度測定器14の位置情報と、温度測定器14により測定された温度データに基づいて、空調機器4を制御する。
【0022】
空調機器4は、制御装置3からの制御信号に従って、冷暖房の風量等を調整する。
【0023】
本発明の実施例1である機器位置検出システム1は、無線受信局である無線基地局11〜13と、無線送信局である温度測定器14と、位置検出装置20とを備えており、無線基地局11〜13と、位置検出装置20とはネットワーク30を介して接続されている。
【0024】
温度測定器14は、温度センサと、第1の送受信手段とを備える。
【0025】
温度測定器14の温度センサは、周辺温度を測定し、測定した温度データを第1の送受信手段に供給する。
【0026】
温度測定器14の第1の送受信手段は、無線基地局11〜13のいずれか1つから送信された参照フレームデータを受信し、受信した参照フレームデータに対する応答として応答フレームデータを無線基地局11〜13に送信する。また、参照フレームデータが、測定温度の送信を要求するデータである場合には、温度センサにより測定された温度データを、応答フレームデータに含めて無線基地局11〜13へ送信する。
【0027】
無線基地局11〜13は、その機能上、第2の送受信手段と、時間測定手段とを備える。
【0028】
無線基地局11〜13の第2の送受信手段は、位置検出装置20から参照フレームデータの送信要求があった場合は、参照フレームデータを温度測定器14及び自局以外の他の無線受信局11〜13へ送信する。また、第2の送受信手段は、位置検出装置20から参照フレームデータの送信要求がない場合は、自局以外の他の無線受信局11〜13から送信された参照フレームデータを受信した後に、参照フレームデータに対する応答として温度測定器14から送信された応答フレームデータを受信する。さらに、第2の送受信手段は、温度測定器14から受信した応答フレームデータに、温度センサにより測定された温度データが含まれている場合には、温度データを制御装置3へ供給する。
【0029】
無線基地局11〜13の時間測定手段は、自局以外の他の無線受信局11〜13から送信された参照フレームデータを第2の送受信手段により受信完了した時点から、この参照フレームデータに対する応答として温度測定器14から送信された応答フレームデータを第2の送受信手段により受信開始した時点までの時間を応答時間として測定する。
【0030】
位置検出装置20は、その機能上、距離算出手段と、位置算出手段とを備える。
【0031】
位置検出装置20の距離算出手段は、無線基地局11〜13が参照フレームデータを受信する際の遅延時間を算出する。ここで、遅延時間とは、無線受信局11〜13のうちいずれか1つが、温度測定器14及び自局以外の他の無線受信局11〜13へ参照フレームデータを送信完了した時点から、この参照フレームデータを他の無線受信局11〜13が受信完了した時点までの時間をいう。そして、距離算出手段は、この算出した遅延時間と、時間測定手段により測定された応答時間とに基づいて、温度測定器14から参照フレームデータを受信した無線基地局11〜13のうちのいづれか1つまでの距離と、この無線受信局以外であって、参照フレームデータを受信した無線基地局11〜13のうちのいづれか1つから温度測定器14までの距離との差を差分距離として算出する。
【0032】
位置検出装置20の位置算出手段は、距離算出手段により算出された差分距離に基づいて、温度測定器14の位置を示す位置情報を算出する。ここで、位置情報とは、無線基地局11〜13を含む平面上における所定の位置を基準点とした座標情報をいう。
【0033】
図2は、本発明の実施例1である機器位置検出システム1の無線基地局11〜13の構成を示した構成図である。
【0034】
無線基地局11〜13は、同じ構成を有するので、以下無線基地局12について説明し、無線基地局11,13についての説明は省略する。
【0035】
図2に示すように、無線基地局12は、BPF(BAND PASS FILTER)101と、切替器102と、アンプ103と、BPF104と、受信回路105と、検波部106と、レベル判定部107、立下がり検出部108と、タイマ109と、立上がり検出部110と、ラッチ111と、CPU112と、送信回路113と、BPF114と、パワーアンプ115と、ネットワークI/F116とを備える。
【0036】
BPF101,104,114は、特定の周波数帯域の電波のみを通過させ、それ以外の不要電波をカットする。
【0037】
切替器102は、BPF101より電波が供給されると、供給された電波をアンプ103へ供給し、パワーアンプ115より電波が供給されると、供給された電波をBPF101へ供給する。
【0038】
アンプ103は、切替器102より供給された電波を増幅する。
【0039】
受信回路105は、BPF104より供給された電波をCPU112へ供給する。
【0040】
検波部106は、BPF104により不要電波がカットされた電波から所定の間隔で電波強度を測定し、測定した電波強度をレベル判定部107へ供給する。
【0041】
レベル判定部107は、供給された電波強度が所定の値以上であると判定した場合には、その判定結果を立下がり検出部108と、立上がり検出部110とに供給する。
【0042】
立ち下がり検出部108は、レベル判定部107より供給された判定結果に基づいて、電波に含まれるフレームデータの末尾を検出しその時点からタイマ109をリセットした後、タイマ109を起動させる。
【0043】
タイマ109は、起動すると、カウント値をラッチ111に供給する。
【0044】
立ち上がり検出部110は、フレームデータの先頭を検出すると、ラッチ111に検出信号を供給する。
【0045】
ラッチ111は、タイマ109から供給されたカウント値を保持し、その後、立ち上がり検出部110から検出信号が供給されると、その時点のカウント値をCPU112へ供給する。
【0046】
これにより、立ち下がり検出部108によりフレームデータの末尾が検出されてから、立ち上がり検出部109によりフレームデータの先頭が検出されるまでの時間がカウント値としてCPU112へ供給される。
【0047】
CPU112は、中枢的な制御を行い、参照フレームデータの送受信や、応答フレームデータの受信を制御する。また、応答時間の算出等の各種演算処理を行う。
【0048】
送信手段113は、CPU112により生成されたフレームデータをBPF114へ供給する。
【0049】
パワーアンプ115は、BPF114により供給された不要な周波数がカットされた信号を増幅し、切替器102、BPFを介してフレームデータを送信する。
【0050】
ネットワークI/F116は、ネットワークカード等の通信装置であり、このネットワークI/F116を介して無線基地局12をネットワーク30に接続することで、無線基地局12は、時間測定手段により測定した応答時間を位置検出装置20に送信し、また、温度測定器14により測定された温度データを、制御装置3へ送信することができる。
【0051】
このように、無線基地局12は、BPF(BAND PASS FILTER)101と、切替器102と、アンプ103と、BPF104と、受信回路105と、検波部106と、レベル判定部107、立下がり検出部108と、タイマ109と、立上がり検出部110と、ラッチ111と、CPU112と、送信回路113と、BPF114と、パワーアンプ115とを備えることにより、上述した第2の送受信手段を実現する。また、CPU112内に、その機能上、上述した時間測定手段を備える。
【0052】
図3は、本発明の実施例1である機器位置検出システム1の位置検出装置20の構成を示した構成図である。
【0053】
図3に示すように、位置検出装置20内のCPU201、及びメインメモリ203は、バス205を介して相互に接続されており、このバス205にはまた、I/Oバス207も接続されている。
【0054】
I/Oバス207には、入出力コントローラを介して、記憶部215、入力部217、表示部219、ネットワークI/F221,223が接続されている。
【0055】
記憶部215は、磁気ディスクドライブ等であって、オペレーティングシステムなどのプログラムの他に、位置検出プログラムが記憶されている。
【0056】
入力部217は、操作者が各種の操作を入力するキーボード、マウスなどの入力デバイスにより構成されており、例えば操作者の押しボタン操作によりネットワーク30を介して温度測定器14の位置情報を制御装置3へ反映させるための要求コマンドを生成し、この要求コマンドを入出力コントローラ211、I/Oバス207及びメモリバス205を介してCPU201に送信する。
【0057】
表示部219は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイなどであり、CPU201からメモリバス205、I/Oバス207、入出力コントローラ211を介して、受信した出力信号に基づいて、温度測定器14の位置情報等を表示する装置である。
【0058】
ネットワークI/F221は、ネットワークカード等の通信装置であり、このネットワークI/F121を介して位置検出装置20をネットワーク30に接続することで、温度測定器14と無線基地局11〜13との間において無線によりフレームデータを送受信した送受信結果を受信し、これに基づいて、温度測定器14の位置を算出することができる。
【0059】
ネットワークI/F223は、ネットワークカード等の通信装置であり、このネットワークI/F121を介して位置検出装置20を制御装置3に接続することで、位置検出装置20は、算出した温度測定器14の位置情報を制御装置3にアップデートすることができる。
【0060】
また、CPU201は、メインメモリ203にロードされた位置検出プログラム等のプログラムに従って各種の処理を実行する。そして、CPU201は、位置検出プログラムを実行することによって、その機能上、距離算出手段201aと、位置算出手段201bと実装する。
【0061】
距離算出手段201aは、無線基地局11〜13が参照フレームデータを受信する際の遅延時間を算出し、この算出した遅延時間と、無線基地局11〜13により測定された応答時間とに基づいて、温度測定器14から参照フレームデータを受信した無線基地局11〜13のうちのいづれか1つまでの距離と、この無線基地局以外であって、参照フレームデータを受信した無線基地局11〜13のうちのいづれか1つから温度測定器14までの距離との差を差分距離として算出する。
【0062】
位置算出手段201bは、距離算出手段201aにより算出された差分距離に基づいて、温度測定器14の位置を示す位置情報を算出する。
【0063】
<作用>
次に、本発明の実施例1である機器位置検出システム1の作用について説明する。
【0064】
図4は、本発明の実施例1である機器位置検出システム1において、無線基地局11が参照フレームデータを送信した場合の無線基地局11〜13と温度測定器14との間でのフレームデータの送受関係を示したタイムチャートである。
【0065】
まず、無線基地局11は、t1時点において、位置検出装置20からネットワーク30を介して、参照フレームデータの送信要求を受信すると、参照フレームデータRを送信する。そして、無線基地局11は、参照フレームデータRを送信し終えると、参照フレームデータRの末尾の時点、即ちt5の時刻情報をネットワーク30を介して位置検出装置20へ送信する。
【0066】
次に、t2時点において、温度測定器14は、無線基地局11により送信された参照フレームデータRを受信すると、受信した参照フレームデータRの先頭を検出し、t6時点において、受信した参照フレームデータRの末尾を検出し、その後、応答フレームデータMを送信する。
【0067】
また、t3時点において、無線基地局12は、無線基地局11により送信された参照フレームデータRを受信し、受信した参照フレームデータRの先頭を検出し、t7時点において、受信した参照フレームデータRの末尾を検出する。その後、t12時点において、無線基地局12は、温度測定器14から送信された応答フレームデータMを受信し、受信した応答フレームデータMの先頭を検出する。このとき、無線基地局12は、t7時点からt12時点までの時間である応答時間TBを測定し、測定した応答時間TBをネットワーク30を介して位置検出装置20へ送信する。さらに、無線基地局12は、参照フレームデータRを受信し終えた時点、即ち参照フレームデータRの末尾の時点であるt7の時刻情報をネットワーク30を介して位置検出装置20へ送信する。
【0068】
また、t4時点において、無線基地局13は、無線基地局11により送信された参照フレームデータRを受信し、受信した参照フレームデータRの先頭を検出し、t8時点において、受信した参照フレームデータRの末尾を検出する。その後、t11時点において、無線基地局13は、温度測定器14から送信された応答フレームデータMを受信し、受信した応答フレームデータの先頭を検出する。このとき、無線基地局12は、t8時点からt11時点までの時間である応答時間TCを測定し、測定した応答時間TCをネットワーク30を介して位置検出装置20へ送信する。さらに、無線基地局13は、参照フレームデータRを受信し終えた時点、即ち参照フレームデータRの末尾の時点であるt8の時刻情報をネットワーク30を介して位置検出装置20へ送信する。
【0069】
そして、位置検出装置20は、無線基地局11〜13より送信された時刻情報に基づいて、無線基地局11が参照フレームデータRを送信し終えたt5時点から、無線基地局12が参照フレームデータRを受信し終えたt7時点までの遅延時間TABを算出し、無線基地局11が参照フレームデータRを送信し終えたt5時点から、無線基地局13が参照フレームデータRを受信し終えたt8時点までの遅延時間TACを算出する。
【0070】
次に、応答時間TBと応答時間TCとを受信した位置検出装置20は、受信したTBと、TCと、算出したTABと、TACとを用いて、無線基地局12と温度測定器14との距離を電波が伝搬するのに必要な伝搬時間と、無線基地局13と温度測定器14との距離を電波が伝搬するのに必要な伝搬時間との差である差分時間TBCXを算出する。そして、位置検出装置20は、算出した差分時間TBCXに光速を乗じることにより、無線基地局12と温度測定器14との距離と、無線基地局13と温度測定器14との距離との差である差分距離LBCXを算出する。
【0071】
具体的には、位置検出装置20は、
TBCX=TB−TC+TAB−TAC (数式1)
を用いて、受信したTBと及びTCと、算出したTAB及びTACとを代入することにより差分時間TBCXを算出し、この算出した差分時間TBCXに光速を乗じることにより、差分距離LBCXを算出する。ここで、TABは、図4に示すように、無線基地局11が参照フレームデータRを送信し終えたt5時点から、無線基地局12が参照フレームデータRを受信し終えたt7時点までの遅延時間を示し、TACは、図4に示すように、無線基地局11が参照フレームデータRを送信し終えたt5時点から、無線基地局13が参照フレームデータRを受信し終えたt8時点までの遅延時間を示している。
【0072】
ここで、上記数式1の導出について以下に説明する。
【0073】
図4に示す温度測定器14と無線基地局12における、t5時点からt12時点までの経過時間に着目すると、
TAX+TD+TBX=TAB+TB (数式2)
が導き出せる。ここで、TAXは、無線基地局11が参照フレームデータRを送信し終えたt5時点から、温度測定器14が参照フレームデータRの末尾を検出したt6時点までの遅延時間を示し、TBXは、図4に示すように、温度測定器14が応答フレームデータMの先頭を検出したt9時点から、無線基地局12が応答フレームデータMの先頭を検出したt12時点までの遅延時間を示している。
【0074】
また、図4に示す温度測定器14と無線基地局13における、t5時点からt11時点までの経過時間に着目すると、
TAX+TD+TCX=TAC+TC (数式3)
が導き出せる。ここで、同様に、TAXは、無線基地局11が参照フレームデータRの末尾を検出したt5時点から、温度測定器14が参照フレームデータRの末尾を検出したt6時点までの遅延時間を示し、TCXは、図4に示すように、温度測定器14が応答フレームデータMの先頭を検出したt9時点から、無線基地局13が応答フレームデータMの先頭を検出したt11時点までの遅延時間を示している。
【0075】
そして、上記数式2から数式3の両辺を減算し、整理すると、
TBX−TCX=TB−TC+TAB−TAC (数式4)
を導き出せる。
【0076】
ここで、左辺の(TBX−TCX)は、無線基地局12と温度測定器14との距離を電波が伝搬するのに必要な伝搬時間と、無線基地局13と温度測定器14との距離を電波が伝搬するのに必要な伝搬時間との差であるので、即ち、TBCXとなり、数式1を導き出すことができる。
【0077】
また、上記と同様に、無線基地局13が参照フレームデータを送信することによって、位置検出装置20は、無線基地局11と温度測定器14との距離と、無線基地局12と温度測定器14との距離の差を算出する。
【0078】
図5は、本発明の実施例1である機器位置検出システム1において、無線基地局13がフレームデータを送信した場合の無線基地局11〜13と温度測定器14との間でのフレームデータの送受関係を示したタイムチャートである。
【0079】
まず、無線基地局13は、t21時点において、位置検出装置20からネットワーク30を介して、参照フレームデータの送信要求を受信すると、参照フレームデータRを送信する。そして、無線基地局13は、参照フレームデータRを送信し終えると、参照フレームデータRの末尾の時点、即ちt25の時刻情報をネットワーク30を介して位置検出装置20へ送信する。
【0080】
そして、t22時点において、温度測定器14は、無線基地局13により送信された参照フレームデータRを受信し、受信した参照フレームデータRの先頭を検出し、t26時点において、受信した参照フレームデータRの末尾を検出し、その後t29時点において、応答フレームデータMを送信する。
【0081】
また、t23時点において、無線基地局12は、無線基地局13により送信された参照フレームデータRを受信し、受信した参照フレームデータRの先頭を検出し、t27時点において、受信した参照フレームデータRの末尾を検出する。その後、t31時点において、無線基地局12は、温度測定器14から送信された応答フレームデータMを受信し、受信した応答フレームデータMの先頭を検出する。このとき、無線基地局12は、t27時点からt31時点までの時間である応答時間TBを測定し、測定した応答時間TBをネットワーク30を介して位置検出装置20へ送信する。さらに、無線基地局12は、参照フレームデータRを受信し終えた時点、即ち参照フレームデータRの末尾の時点であるt27の時刻情報をネットワーク30を介して位置検出装置20へ送信する。
【0082】
また、t24時点において、無線基地局11は、無線基地局13により送信された参照フレームデータRを受信し、受信した参照フレームデータRの先頭を検出し、t28時点において、受信した参照フレームデータRの末尾を検出する。その後、t32時点において、温度測定器14から送信された応答フレームデータMを受信し、受信した応答フレームデータMの先頭を検出する。このとき、無線基地局12は、t28時点からt32時点までの時間である応答時間TAを測定し、測定した応答時間TAをネットワーク30を介して位置検出装置20へ送信する。さらに、無線基地局11は、参照フレームデータRを受信し終えた時点、即ち参照フレームデータRの末尾の時点あるt28の時刻情報をネットワーク30を介して位置検出装置20へ送信する。
【0083】
そして、位置検出装置20は、無線基地局11〜13より送信された時刻情報に基づいて、無線基地局13が参照フレームデータRを送信し終えたt25時点から、無線基地局12が参照フレームデータRを受信し終えたt27時点までの遅延時間TCBを算出し、無線基地局11が参照フレームデータRを送信し終えたt25時点から、無線基地局11が参照フレームデータRを受信し終えたt28時点までの遅延時間TCAを算出する。
【0084】
次に、応答時間TBと応答時間TAとを受信した位置検出装置20は、受信したTBと、TAと、算出したTCAと、TCBとを用いて、無線基地局11と温度測定器14との距離を電波が伝搬するのに必要な伝搬時間と、無線基地局12と温度測定器14との距離を電波が伝搬するのに必要な伝搬時間との差である差分時間TABXを算出する。そして、位置検出装置20は、算出した時間TABXに光速を乗じることにより、無線基地局11と温度測定器14との距離と、無線基地局12と温度測定器14との距離との差である差分距離LABXを算出する。
【0085】
具体的には、位置検出装置20は、
TABX=TB−TA+TCA−TCB (数式5)
を用いて、受信したTB及びTAと、算出したTCA及びTCBとを代入することによって、差分時間TABXを算出し、この算出した差分時間TABXに光速を乗じることにより、差分距離LABXを算出する。ここで、TCAは、図5に示すように、無線基地局13が参照フレームデータRを送信し終えたt25時点から、無線基地局11が参照フレームデータRを受信し終えたt28時点までの遅延時間を示し、TCBは、図5に示すように、無線基地局13が参照フレームデータRを送信し終えたt25時点から、無線基地局12が参照フレームデータRを受信し終えたt27時点までの遅延時間を示している。
【0086】
ここで、上記数式5の導出について以下に説明する。
【0087】
図5に示す温度測定器14と無線基地局12における、t25時点からt31時点までの経過時間に着目すると、
TCX+TD+TBX=TCB+TB (数式6)
が導き出せる。ここで、TCXは、無線基地局13が参照フレームデータRの末尾を検出したt25時点から、温度測定器14が参照フレームデータRの末尾を検出したt26時点までの遅延時間を示し、TBXは、図4に示すように、温度測定器14が応答フレームデータMの先頭を検出したt29時点から、無線基地局12が応答フレームデータMの先頭を検出したt31時点までの遅延時間を示している。
【0088】
また、図5に示す温度測定器14と無線基地局11における、t25時点からt32時点までの経過時間に着目すると、
TCX+TD+TAX=TCA+TA (数式7)
が導き出せる。ここで、同様に、TCXは、無線基地局11が参照フレームデータRを送信し終えたt25時点から、温度測定器14が参照フレームデータRの末尾を検出したt26時点までの遅延時間を示し、TAXは、図5に示すように、温度測定器14が応答フレームデータMの先頭を検出したt29時点から、無線基地局11が応答フレームデータMの先頭を検出したt32時点までの遅延時間を示している。
【0089】
そして、上記数式7から数式6の両辺を減算し、整理すると、
TAX−TBX=TB−TA+TCA−TCB (数式8)
を導き出せる。
【0090】
ここで、左辺の(TAX−TBX)は、無線基地局11と温度測定器14との距離を電波が伝搬するのに必要な伝搬時間と、無線基地局12と温度測定器14との距離を電波が伝搬するのに必要な伝搬時間の差であるので、即ち、TABXとなり、数式5を導き出すことができる。
【0091】
次に、位置検出装置20の位置算出手段は、距離算出手段により算出された差分距離LBCX及び差分距離LABXに基づいて、温度測定器14の位置を示す位置情報を算出する。
【0092】
例えば、ロランCシステム等に採用される双曲線航法の原理によれば「2つの点(A,B)からの距離の差が一定の値となる軌跡は、この2点(A,B)を焦点とする双曲線になる」ことから、位置検出装置20の位置算出手段は、この原理を用いて、温度測定器14の位置を算出する。
【0093】
図6は、位置検出装置20の位置算出手段による温度測定器14の位置を示す位置情報を算出するための双曲線を描いた図である。
【0094】
図6に示すように、位置検出装置20の位置算出手段は、LCBXと無線基地局12,13の位置情報とに基づいて、無線基地局12と温度測定器14との距離と、無線基地局13と温度測定器14との距離との差が一定となる双曲線61を描く。次に、同様に、LABXと無線基地局11,12の位置情報とに基づいて、無線基地局11と温度測定器14との距離と、無線基地局12と温度測定器14との距離の差が一定となるように双曲線62を描く。
【0095】
そして、この描いた双曲線61と双曲線61との交点の座標を温度測定器14の位置情報として生成する。
【0096】
このように、本発明の実施例1である機器位置検出システム1によれば、無線基地局11〜13より測定した時刻情報により算出されたLABXやLBCX等の差分距離情報、及び無線基地局11〜13の位置情報に基づいて、温度測定器14の位置情報、即ち、無線基地局11〜13を含む平面上における所定の位置を基準点とした座標情報を算出することができる。
【0097】
また、本発明の実施例1である機器位置検出システム1によれば、数式1及び数式5から分かるように、温度測定器14において測定される時間(TD)を用いることなく、LABXやLBCX等の差分距離情報を算出することができ、これにより、温度測定器14の位置情報を算出することができる。そのため、温度測定器14は高精度な時計を備える必要がなく、装置全体として製造コストを低減することができる。
【0098】
以上のように、本発明の実施例1である機器位置検出システム1によれば、無線送信局である温度測定器14と、無線受信局である無線基地局11〜13との両方に高い精度の時計を備えることなく、温度測定器14の位置情報を正確に検出することができる。
【0099】
なお、本発明の実施例1である機器位置検出システム1では、複数の無線基地局11〜13間のクロック同期は全く必要としない。
【0100】
また、本発明の実施例1である機器位置検出システム1では、ロランCシステム等に採用される双曲線航法の原理を用いて、温度測定器14の位置情報を算出したが、オメガシステムでの計算原理を用いてもよい。
【実施例2】
【0101】
本発明の実施例1では、室内に設置された空調機器を制御する空調システムに適用され、室内の温度を測定する温度測定器14と、所定の位置を基準点とした平面上のそれぞれの位置関係が既知である3つの無線基地局11〜13との間において無線によりフレームデータを送受信した送受信結果に基づいて、温度測定器14の平面上の位置を検出する機器位置検出システム1を例に挙げて説明したが、本発明の機器位置検出システムは温度測定器14の空間上の位置を検出することも可能である。
【0102】
本発明の実施例2では、本発明の実施例1の機器位置検出システム1の構成に、3つの無線基地局11〜13と同一平面上にない無線基地局15をさらに追加して、室内の温度を測定する温度測定器14と、所定の位置を基準点とした空間上のそれぞれの位置関係が既知である4つの無線基地局11〜13,15との間において無線によりフレームデータを送受信した送受信結果に基づいて、温度測定器14の空間上の位置を検出する機器位置検出システム1について説明する。
【0103】
本発明の実施例2の機器位置検出システム1は、本発明の実施例1の機器位置検出システム1と同様に、無線基地局11から参照フレームデータが送信された場合、無線基地局12と温度測定器14との距離と、無線基地局13と温度測定器14との距離との差である差分距離LBCXを算出する。また、無線基地局13から参照フレームデータが送信された場合、無線基地局11と温度測定器14との距離と、無線基地局12と温度測定器14との距離との差である差分距離LABXを算出する。
【0104】
さらに、本発明の実施例2の機器位置検出システム1は、無線基地局12から参照フレームデータが送信された場合、本発明の実施例1の機器位置検出システム1と同様に、無線基地局11と温度測定器14との距離と、無線基地局15と温度測定器14との距離との差である差分距離LADXを算出する。
【0105】
そして、本発明の実施例2の機器位置検出システム1は、これらの算出された差分距離LBCX、差分距離LABX、差分距離LADXに基づいて、温度測定器14の位置、即ち、温度測定器14の空間座標を示す位置情報を算出する。
【0106】
これにより、無線送信局である温度測定器14と、無線受信局である無線基地局11〜13,15との両方に高い精度の時計を備えることなく、温度測定器14の空間的な位置情報を正確に検出することできる。
【実施例3】
【0107】
本発明の実施例1では、空調システムに適用され、室内の温度を測定する温度測定器と、位置関係が既知である複数の無線基地局との間において無線によりフレームデータを送受信した送受信結果に基づいて、無線送信局の位置を検出する機器位置検出システム1を例に挙げて説明したが、機器位置検出システム1は、空調システム以外にも適用可能である。
【0108】
例えば、本発明の実施例3では、機器位置検出システム1を、音声を出力するスピーカと、音声出力を制御する音響コントローラとを備える音響システムに適用する。本発明の実施例3である機器位置検出システム1は、無線受信局である位置関係が既知の複数の無線基地局と、無線送信局を備えたスピーカと、音声を測定する音声測定器と、位置検出装置とを備える構成とし、スピーカと、複数の無線基地局との間において無線によりフレームデータを送受信した送受信結果に基づいて、スピーカの位置を検出する。そして、音響コントローラが、音声測定器からの測定された音声データと、スピーカの位置情報に基づいて、利用者にとって快適な音響を実現できるように、音声出力を制御する。
【0109】
本発明の実施例3である機器位置検出システム1によれば、高い精度の時計を無線送信局と、無線受信局との両方に備えることなく、無線送信局の位置を正確に検出することができるので、利用者は、無線送信局の位置に基づいて、スピーカの配置を決定することができる。これにより、安価な装置構成で、利用者にとって快適な音響を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施例1である機器位置検出システムが適用された空調システムの構成を示した構成図である。
【図2】本発明の実施例1である機器位置検出システム1の無線基地局11〜13の構成を示した構成図である。
【図3】本発明の実施例1である機器位置検出システム1の位置検出装置20の構成を示した構成図である。
【図4】本発明の実施例1である機器位置検出システム1において、無線基地局11が参照フレームデータを送信した場合の無線基地局11〜13と温度測定器14との間でのフレームデータの送受関係を示したタイムチャートである。
【図5】本発明の実施例1である機器位置検出システム1において、無線基地局13がフレームデータを送信した場合の無線基地局11〜13と温度測定器14との間でのフレームデータの送受関係を示したタイムチャートである。
【図6】位置検出装置20の位置算出手段による温度測定器14の位置を示す位置情報を算出するための双曲線を描いた図である。
【図7】従来の無線局の位置推定システムにおいて、データパケットの送信側である基地局とデータパケットの受信側である端末との間でのIEEE802.11規格に基づいたデータパケットの送受関係を示した図である。
【符号の説明】
【0111】
1…機器位置検出システム
2…空調システム
3…制御装置
4…空調機器
11〜13,15…無線基地局
14…温度測定器
20…位置検出装置
30…ネットワーク
201…CPU
201a…距離算出手段
201b…位置算出手段
203…メインメモリ
215…記憶部
217…入力部
219…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送信局と、それぞれの位置関係が既知である少なくとも3つ以上である複数の無線受信局と、前記無線送信局と前記複数の無線受信局との間におけるフレームデータの無線による送受信結果に基づいて、前記無線送信局の位置を検出する位置検出装置とを備える機器位置検出システムであって、
前記無線送信局は、
前記複数の無線受信局のいずれか1つから送信された参照フレームデータを受信し、該受信した参照フレームデータに対する応答として応答フレームデータを前記複数の無線受信局に送信する第1の送受信手段を有し、
前記複数の無線受信局は、
前記位置検出装置から前記参照フレームデータの送信要求があった場合は、前記参照フレームデータを前記無線送信局及び自局以外の他の無線受信局へ送信し、前記送信要求がない場合は、自局以外の他の無線受信局から送信された前記参照フレームデータを受信した後に、前記参照フレームデータに対する応答として前記無線送信局から送信された応答フレームデータを受信する第2の送受信手段と、
前記第2の送受信手段により前記参照フレームデータを受信完了した時点から前記応答フレームデータを受信開始した時点までの時間を応答時間として測定する時間測定手段と、を有し、
前記位置検出装置は、
前記複数の無線受信局のいずれか1つが、前記無線送信局及び自局以外の他の無線受信局へ前記参照フレームデータを送信完了した時点から、該参照フレームデータを他の無線受信局が受信完了した時点までの時間を遅延時間として算出し、この算出した前記遅延時間と、前記時間測定手段により測定された前記応答時間とに基づいて、前記無線送信局から前記参照フレームデータを受信した複数の無線受信局のうちのいづれか1つまでの距離と、該無線受信局以外であって、前記参照フレームデータを受信した複数の無線基地局のうちのいづれか1つから前記無線送信局までの距離との差を差分距離として算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段により算出された差分距離に基づいて、前記無線送信局の位置を示す位置情報を算出する位置算出手段と、を有する
ことを特徴とした機器位置検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−97863(P2009−97863A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266505(P2007−266505)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】