説明

機器保持装置

【課題】保持した機器の角度が、振動等によって所望の角度からずれてしまうことを防ぐこと。
【解決手段】本発明にかかる機器保持装置は、台座と、保持部を備えた保持部材を備え、台座の表側には半球状の第1凹部を設け、保持部材の裏側には半球状の第1凸部を設け、第1凹部に第1凸部を嵌め込んだ状態で、ネジで台座と保持部材を締結することによって、保持部材を台座に固定するようにした機器保持装置において、保持部材の表側に半球状の第2凹部を設け、第2凸部が設けられた固定部材をさらに備え、第1凸部には第1リブを設け、第1凹部には複数の第1溝を設け、第2凹部には第1リブの向きと異なる向きの複数の第2溝を設け、第2凸部には第2リブを設けて、第1リブを第1溝の何れか1つの溝に嵌め、第2リブを前記第2溝の何れか1つの溝に嵌め、台座と固定部材との間に保持部材を挟み込んだ状態で、ネジで締結することによって、保持部材を挟み込んだ状態で固定できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線機等のマイクや携帯電話機等の機器を保持するための機器保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線機等のマイク等の機器を保持するための機器保持装置は、台座を介して車内や室内の壁等の取り付け対象面に取り付けて使用される。
前記機器保持装置は、
取り付け対象面に取り付ける台座と、保持対象の機器を保持する保持部を備えた保持部材とを備え、前記台座には半球状の凹部を設け、前記保持部材には半球状の凸部を設け、前記台座の凹部に前記保持部材の凸部を所望の角度で嵌め込んだ状態で、ネジで前記台座と前記保持部材を締結することによって、前記保持部材を所望の角度の状態で固定するように構成されている。
そして、前記保持部材の保持部に、マイク等の機器を保持させることができるように構成されている。
【0003】
特許文献1には、半球状の凸部が設けられた台座と、半球状の凹部が設けられた保持部材とを備えて、前記保持部材を所望の角度で嵌め込んで、前記凸部の裏側に配した固定部材と前記保持部材とで前記凸部を挟み込んだ状態にしてネジで締結する構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,397,046号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の構造は、単にネジで締結するだけの構造であるため、振動等によって、前記保持部材の角度が所望の角度からずれてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1にかかる機器保持装置は、
取り付け対象面に取り付ける台座と、保持対象の機器を保持する保持部を備えた保持部材とを備え、前記台座の表側には半球状の第1凹部を設け、前記保持部材の裏側には半球状の第1凸部を設け、前記第1凹部に前記第1凸部を嵌め込んだ状態で、ネジで前記台座と前記保持部材を締結することによって、前記保持部材を前記台座に固定するように構成された機器保持装置において、
前記保持部材の表側に半球状の第2凹部を設け、
前記第2凹部に嵌まり得る第2凸部が設けられた固定部材をさらに備え、
前記第1凸部の表面には凸状の第1リブを設けるとともに、前記第1凹部の内壁には前記第1リブが嵌まり得る複数の第1溝を設け、
前記第2凹部の内壁には、前記第1リブの向きと異なる向きの複数の第2溝を設けるとともに、前記第2凸部の表面には前記第2溝に嵌まり得る凸状の第2リブを設け、
前記第2凹部には、前記ネジの軸の外径より十分大きな内径の孔を設けることによって、
前記第1リブを前記第1溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記第2リブを前記第2溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記台座と前記固定部材との間に前記保持部材を挟み込んだ状態で、前記ネジで締結することによって、前記台座と前記固定部材とで前記保持部材を挟み込んだ状態で前記保持部材を固定できるように構成した。
【0007】
請求項2では、以下のように、凹部にリブを設け、凸部に溝を設ける構造とした。
すなわち、請求項2では、
取り付け対象面に取り付ける台座と、保持対象の機器を保持する保持部を備えた保持部材とを備え、前記台座の表側には半球状の第1凹部を設け、前記保持部材の裏側には半球状の第1凸部を設け、前記第1凹部に前記第1凸部を嵌め込んだ状態で、ネジで前記台座と前記保持部材を締結することによって、前記保持部材を前記台座に固定するように構成された機器保持装置において、
前記保持部材の表側に半球状の第2凹部を設け、
前記第2凹部に嵌まり得る第2凸部が設けられた固定部材をさらに備え、
前記第1凹部の内壁には凸状の第1リブを設けるとともに、前記第1凸部の表面には前記第1リブが嵌まり得る複数の第1溝を設け、
前記第2凹部の内壁には、前記第1リブの向きと異なる向きの凸状の第2リブを設けるとともに、前記第2凸部の表面には前記第2リブが嵌まり得る複数の第2溝を設け、
前記第2凹部には、前記ネジの軸の外径より十分大きな内径の孔を設けることによって、
前記第1リブを前記第1溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記第2リブを前記第2溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記台座と前記固定部材との間に前記保持部材を挟み込んだ状態で、前記ネジで締結することによって、前記台座と前記固定部材とで前記保持部材を挟み込んだ状態で前記保持部材を固定できるように構成した。
【0008】
請求項3では、以下のように、台座に凸部を設け、保持部材の裏側に凹部を設ける構造とした。
すなわち、請求項3では、
取り付け対象面に取り付ける台座と、保持対象の機器を保持する保持部を備えた保持部材とを備え、前記台座の表側には半球状の第1凸部を設け、前記保持部材の裏側には半球状の第1凹部を設け、前記第1凹部に前記第1凸部を嵌め込んだ状態で、ネジで前記台座と前記保持部材を締結することによって、前記保持部材を前記台座に固定するように構成された機器保持装置において、
前記保持部材の表側に半球状の第2凸部を設け、
前記第2凸部を嵌め得る第2凹部が設けられた固定部材をさらに備え、
前記第1凸部の表面には凸状の第1リブを設けるとともに、前記第1凹部の内壁には前記第1リブが嵌まり得る複数の第1溝を設け、
前記第2凹部の内壁には、前記第1リブの向きと異なる向きの複数の第2溝を設けるとともに、前記第2凸部の表面には前記第2溝に嵌まり得る凸状の第2リブを設け、
前記第2凸部には、前記ネジの軸の外径より十分大きな内径の孔を設けることによって、
前記第1リブを前記第1溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記第2リブを前記第2溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記台座と前記固定部材との間に前記保持部材を挟み込んだ状態で、前記ネジで締結することによって、前記台座と前記固定部材とで前記保持部材を挟み込んだ状態で前記保持部材を固定できるように構成した。
【0009】
請求項4では、以下のように、台座に凸部を設け、保持部材の裏側に凹部を設ける構造とし、さらに、凹部にリブを設け、凸部に溝を設ける構造とした。
すなわち、請求項4では、
取り付け対象面に取り付ける台座と、保持対象の機器を保持する保持部を備えた保持部材とを備え、前記台座の表側には半球状の第1凸部を設け、前記保持部材の裏側には半球状の第1凹部を設け、前記第1凹部に前記第1凸部を嵌め込んだ状態で、ネジで前記台座と前記保持部材を締結することによって、前記保持部材を前記台座に固定するように構成された機器保持装置において、
前記保持部材の表側に半球状の第2凸部を設け、
前記第2凸部を嵌め得る第2凹部が設けられた固定部材をさらに備え、
前記第1凹部の内壁には凸状の第1リブを設けるとともに、前記第1凸部の表面には前記第1リブが嵌まり得る複数の第1溝を設け、
前記第2凹部の内壁には、前記第1リブの向きと異なる向きの凸状の第2リブを設けるとともに、前記第2凸部の表面には前記第2リブが嵌まり得る複数の第2溝を設け、
前記第2凸部には、前記ネジの軸の外径より十分大きな内径の孔を設けることによって、
前記第1リブを前記第1溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記第2リブを前記第2溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記台座と前記固定部材との間に前記保持部材を挟み込んだ状態で、前記ネジで締結することによって、前記台座と前記固定部材とで前記保持部材を挟み込んだ状態で前記保持部材を固定できるように構成した。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1にかかる機器保持装置によれば、
取り付け対象面に取り付ける台座と、保持対象の機器を保持する保持部を備えた保持部材とを備え、前記台座の表側には半球状の第1凹部を設け、前記保持部材の裏側には半球状の第1凸部を設け、前記第1凹部に前記第1凸部を嵌め込んだ状態で、ネジで前記台座と前記保持部材を締結することによって、前記保持部材を前記台座に固定するように構成された機器保持装置において、
前記保持部材の表側に半球状の第2凹部を設け、
前記第2凹部に嵌まり得る第2凸部が設けられた固定部材をさらに備え、
前記第1凸部の表面には凸状の第1リブを設けるとともに、前記第1凹部の内壁には前記第1リブが嵌まり得る複数の第1溝を設け、
前記第2凹部の内壁には、前記第1リブの向きと異なる向きの複数の第2溝を設けるとともに、前記第2凸部の表面には前記第2溝に嵌まり得る凸状の第2リブを設け、
前記第2凹部には、前記ネジの軸の外径より十分大きな内径の孔を設けることによって、
前記第1リブを前記第1溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記第2リブを前記第2溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記台座と前記固定部材との間に前記保持部材を挟み込んだ状態で、前記ネジで締結することによって、前記台座と前記固定部材とで前記保持部材を挟み込んだ状態で前記保持部材を固定できるように構成したので、
前記第1リブを前記第1溝のどの溝に嵌めるかという選択肢、前記第2リブを前記第2溝のどの溝に嵌めるかという選択肢を組み合わせることによって、前記保持部材を種々の異なる向きに取り付けることができる。
したがって、前記保持部材に保持させる機器を、使用者の好みに合わせた向きに保持させることができ、向きの変更も容易にできる。
また、前記第2凹部には前記ネジの軸の外径より十分大きな内径の孔を設けたので、前記ネジを緩めた状態では、前記台座に対する前記保持部材の取り付け向きを変更することが容易にでき、所望の取り付け向きに変更した後に、前記ネジで締結することによって前記保持部材を前記所望の取り付け向きに固定できる。
また、取り付け対象面が種々の向きに傾斜している平面の場合でも、前記保持部材の向きを使用者の好みに合わせた向きにすることができる。
また、前記ネジを締結した状態では、前記第1リブと第1溝の嵌合、および前記第2リブと第2溝の嵌合によって相対的な位置が固定されるので、取り付けた位置が振動等でずれることを防止できる。
請求項2、3、4においても、請求項1同様に、
前記第1リブを前記第1溝のどの溝に嵌めるかという選択肢、前記第2リブを前記第2溝のどの溝に嵌めるかという選択肢を組み合わせることによって、前記保持部材を種々の異なる向きに取り付けることができる。
したがって、前記保持部材に保持させる機器を、使用者の好みに合わせた向きに保持させることができ、向きの変更も容易にできる。
また、取り付け対象面が種々の向きに傾斜している平面の場合でも、前記保持部材の向きを使用者の好みに合わせた向きにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にかかる機器保持装置の斜視図である。
【図2】前記機器保持装置を表側から見た分解斜視図である。
【図3】前記機器保持装置を裏側から見た分解斜視図を示している。
【図4】前記機器保持装置の台座の表側と、保持部材の裏側の構造を説明するために、異なった向きで示した斜視図である。
【図5】前記機器保持装置の保持部材の表側と、固定部材の裏側の構造を説明するために、異なった向きで示した斜視図である。
【図6】前記機器保持装置を説明するための要部の側面断面図である。
【図7】前記機器保持装置を説明するための要部の平面断面図である。
【図8】実施例2にかかる機器保持装置の要部の一部の断面図である。
【図9】実施例3にかかる機器保持装置の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかる機器保持装置を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
図1の斜視図に示したように、本発明にかかる機器保持装置1は、
車内または室内の壁面等の取り付け対象面に、この機器保持装置を取り付けるための台座2と、無線機のマイク等の保持対象の機器を保持する保持部31を備えた保持部材3と、前記保持部材3を、前記台座2との間に挟んだ状態で固定するための固定部材4とを備えている。前記固定部材4は、前記保持部材3に形成された第2凹部8に嵌まり込んだ状態で固定されている。
図1では、前記台座2、保持部材3、および固定部材4を組み立てて、ネジ5で締結した状態の斜視図を示している。
前記保持部材3は、保持部31の両脇に、マイク等の機器を挟んだ状態で保持するための一対の保持片32を備えており、保持部31の下部には、保持した機器のコードを通すための切欠き部33が形成されている。
【実施例1】
【0013】
以下においては、実施例1にかかる機器保持装置を図2〜7を参照して説明する。
図2、4、6に示したように、
前記台座2の表側には半球状の第1凹部6が設けられ、前記第1凹部6の底の中央には、締結用のネジ5をねじ込むネジ孔61が、前記第1凹部6の中心軸(第1軸)62に沿って設けられている。また、前記台座2には、この台座2を取り付け対象面に固定するためのネジを通す小孔63が設けられている。
また、前記第1凹部6の内壁には少なくとも3つの第1溝64,65,66が設けられている。
前記複数の第1溝のうちの中央の溝は、前記第1軸62を含んだ第1平面P1(図6参照。)に沿ったほぼ半円弧状の第1中央溝65である。前記第1平面P1は、前記台座2を垂直面に取り付けた場合には水平となる面である。前記第1平面P1は、図上のX−Y平面に一致するものとする。
他の2つの溝は、図上、前記第1中央溝65の上側に設けられた第1上溝64と、下側に設けられた第1下溝66である。
前記第1上溝64と前記第1下溝66は、ぞれぞれ前記第1平面P1に斜めに交差する面(第1交差面)P11,P12(図6参照。)に沿ったほぼ半円弧状の溝である。これらの3つの第1溝は、前記第1凹部6の縁67の部分ではまだ交わらず、前記縁67から若干離れた位置で、前記溝の延長線が交わるように傾斜させて設けられている。
【0014】
図3、4、6、7に示したように、
前記保持部材3の裏側には半球状の第1凸部7が設けられ、この第1凸部7は、前記第1凹部6に嵌まり得る大きさと形状になっている。前記第1凸部7の中央の頂きを通る中心軸(第2軸)71を含む周囲には、前記ネジ5の径より十分に大きな内径の中央孔72が設けられている。
前記第1凸部7の表面には凸状の第1リブ73が設けられており、この第1リブ73は、前記第2軸71を通る第2平面P2(図6参照。)に沿ったリブであり、前記第1凸部7の表面に沿って横方向に延び、半円弧状に形成されている。
なお、前記保持部材3は、表側から裏側に向けて突出する半球形状部を備えており、当該半球形状部の裏側が、前記第1凸部7をなし、当該半球形状部の表側が前記第1凹部をなしている。
前記第2平面P2は、前記第1平面P1が水平になるように前記台座2を取り付け、前記第1リブ73を前記第1溝の第1中央溝65に嵌め込んだ場合には水平となる面である。前記第2平面P2は、図6の(A)の状態では、図上のX−Y平面に一致する。
【0015】
図2、5、6、7に示したように、
前記保持部材3の表側には半球状の第2凹部8が設けられ、前記第2凹部8の内壁には少なくとも3つの第2溝81、82、83が設けられている。
前記複数の第2溝のうちの中央の溝82は、前記第1リブ73を含む前記第2平面P2に直交する第3平面P3(図7参照。)に沿った、ほぼ半円弧状の第2中央溝82である。このようにして、前記第2溝は、前記第1リブの向きと異なる向きに設けられている。
なお、前記第3平面P3は、前記第2軸71で、前記第2平面P2と直交している。前記第3平面P3は、図7の(A)の状態では、図上のX−Z平面に一致する。
他の2つの第2溝は、図上、前記第2中央溝82の右側に設けられた第2右溝81と、左側に設けられた第2左溝83である。
前記第2右溝81と前記第2左溝83は、ぞれぞれ前記第3平面P3に斜めに交差する面(第2交差面)P31、P32(図7参照。)に沿ったほぼ半円弧状の溝である。これらの3つの第2溝81、82、83は、前記第2凹部8の縁84の部分で交わっている。
【0016】
図2、3、5、6、7に示したように、
前記固定部材4の裏側には半球状の第2凸部9が設けられており、この第2凸部9は、前記第2凹部8に嵌まり得る大きさと形状になっている。前記第2凸部9の中央の頂きを通る中心軸(第3軸)91に沿って、前記ネジ5を挿通するための小径孔92が設けられている。
前記第2凸部9の表面には凸状の第2リブ93が設けられており、この第2リブ93は、前記第3軸91を通る第4平面P4(図7参照。)に沿ったリブであり、前記第2凸部9の表面に沿って縦方向に延び、半円弧状に形成されている。
前記第4平面P4は、前記第1平面P1が水平になるように前記台座2を取り付けた場合には垂直となる面である。
【0017】
なお、前記第1凹部6の球面の半径は、前記第1凸部7の球面の半径とほぼ同じでよいが、保持部材3の取り付け角度の変更を容易にするために、前記第1凹部6の球面の半径の方が僅かに大きく設定されている。同様に、前記第2凹部8の球面の半径は、前記第2凸部9の球面の半径より僅かに大きく設定されている。
また、前記保持部材3の取り付け角度を変更しやすいように、前記第1凹部6の深さは球面の半径より浅くなっており、また、前記保持部材3の取り付け角度を変更したときに固定部材4の一部が保持部31に突出しないように、前記第2凸部9の高さは球面の半径より低くなっている。
【0018】
以上のように構成された機器保持装置を、例えば車内のダッシュボード等の取り付け対象面に取り付ける場合について、図6、7を参照して以下に説明する。
まず、前記台座2を取り付け対象面に固定する。標準的な固定形態としては、前記2つの小孔63が縦に並ぶような位置に固定する形態を想定して説明する。このような位置にセットして前記小孔63にネジを差し込んで、取り付け対象面にネジ止めする。
なお、以下においては、図6に示したように、図面上の右方向をX軸方向、図面を表から裏へ貫く方向をY軸方向、図面上の上方向をZ軸方向、図面上の下方向を−Z軸方向として説明する。
【0019】
次に、前記保持部材3を、前記台座2に仮止めする。このとき、前記台座2の第1凹部6に、前記保持部材3の前記第1凸部7を嵌め込む。このとき、前記第1凸部7の第1リブ73を、前記第1凹部6の3つの第1溝のどの溝に嵌めるかによって、前記保持部材3の図上の上下方向への傾きを3つの異なる角度に設定することを、側面断面図を示した図6を参照して説明する。
【0020】
図6の(A)に示したように、
前記第1リブ73を、前記第1中央溝65に嵌めた状態では、前記台座2の前記第1軸62の方向と、前記保持部材3の前記第2軸71の方向とは一致する。
この状態では、前記第1軸62の方向をX軸方向とすると、前記保持部材3の前記第2軸71の方向もX軸方向に一致する。この状態は標準的な固定状態の場合には、前記保持部材3が正面を向いた状態となる。
【0021】
図6の(B)に示したように、
前記第1リブ73を、前記第1上溝64に嵌めた状態では、前記台座2の前記第1軸62の方向と、前記保持部材3の前記第2軸71の方向とは一致しない。このとき、前記第2平面P2は、前記第1交差面P11と平行もしくは一致する。なお、この状態で、前記保持部材3に設けられた前記中央孔72に、前記ネジ5の軸が当たらないように、前記中央孔72の内径は十分大きく設けられている。
この状態では、前記第1軸62の方向をX軸方向とすると、前記保持部材3の前記第2軸71の方向はX軸方向に対して、−Z軸方向に傾斜角αだけ傾いた状態となる。この状態は標準的な固定状態の場合には、前記保持部材3が正面から若干下向きに傾いた状態となる。
【0022】
図6の(C)に示したように、
前記第1リブ73を、前記第1した溝66に嵌めた状態では、前記台座2の前記第1軸62の方向と、前記保持部材3の前記第2軸71の方向とは一致しない。このとき、前記第2平面P2は、前記第1交差面P12と平行もしくは一致する。なお、この状態で、前記保持部材3に設けられた前記中央孔72に、前記ネジ5の軸が当たらないように、前記中央孔72の内径は十分大きく設けられている。
この状態では、前記第1軸62の方向をX軸方向とすると、前記保持部材3の前記第2軸71の方向はX軸方向に対して、Z軸方向に傾斜角αだけ傾いた状態となる。この状態は標準的な固定状態の場合には、前記保持部材3が正面から若干上向きに傾いた状態となる。
【0023】
以上のように、3通りの向きの何れか1つの向きに仮止めした後、前記固定部材4を、前記第2凹部8に嵌める。このとき、前記固定部材4の第2リブ93が、前記第2溝のうちの何れか1つに嵌まるように取り付けて、前記ネジ5を用いて、前記保持部材3を前記台座2と前記固定部材4の間に挟んだ状態で締結する。このとき、前記保持部材3に設けられた前記中央孔72の内径は十分大きいので、前記ネジ5と干渉することはない。
図6の(A)、(B)、(C)では、前記固定部材4の第2リブ93が、前記第2溝のうちの中央の溝である前記第2中央溝82に嵌まるような状態を図示している。
【0024】
以上のようにして、前記保持部材3が正面を向いた状態、上向きの状態、下向きの状態の3通りの状態に取り付けることができることを説明したが、以下においては、前記固定部材4の第2リブ93を、前記第2中央溝82ではなく、他の第2溝に嵌めて、左右に傾けて取り付ける場合について、平面断面図を示した図7を参照して説明する。
なお、以下においては、図7に示したように、図面上の右方向をX軸方向、図面上の上方向をY軸方向、図面を裏から表へ貫く方向をZ軸方向、図面上の下方向を−Y軸方向として説明する。
【0025】
図7の(A)に示したように、
前記固定部材4の前記第2リブ93を、前記保持部材3の前記第2中央溝82に嵌めた状態では、前記台座2の前記第1軸62の方向と、前記保持部材3の前記第2軸71の方向とは一致する。
この状態では、前記第1軸62の方向をX軸方向とすると、前記保持部材3の前記第2軸71の方向も前記X軸方向に一致する。この状態は標準的な固定状態の場合には、前記保持部材3が正面を向いた状態となる。
【0026】
図7の(B)に示したように、
前記第1リブ73を、前記第2右溝81に嵌めた状態では、前記台座2の前記第1軸62の方向と、前記保持部材3の前記第2軸71の方向とは一致しない。このとき、前記第4平面P4は、前記第2交差面P31と平行もしくは一致する。なお、この状態で、前記保持部材3に設けられた前記中央孔72に、前記ネジ5の軸が当たらないように、前記中央孔72の内径は十分大きく設けられている。
この状態では、前記第1軸62の方向をX軸方向とすると、前記保持部材3の前記第2軸71の方向はY軸方向に傾斜角βだけ傾いた状態となる。この状態は標準的な固定状態の場合には、前記保持部材3が正面から若干右向きに首振りした状態となる。
【0027】
図7の(C)に示したように、
前記第1リブ73を、前記第1左溝83に嵌めた状態では、前記台座2の前記第1軸62の方向と、前記保持部材3の前記第2軸71の方向とは一致しない。このとき、前記第4平面P4は、前記第2交差面P32と平行もしくは一致する。なお、この状態で、前記保持部材3に設けられた前記中央孔72に、前記ネジ5の軸が当たらないように、前記中央孔72の内径は十分大きく設けられている。
この状態では、前記第1軸62の方向をX軸方向とすると、前記保持部材3の前記第2軸71の方向は−Y軸方向に傾斜角βだけ傾いた状態となる。この状態は標準的な固定状態の場合には、前記保持部材3が正面から若干左向きに首振りした状態となる。
【0028】
以上のように、上下方向の3通りの方向と、左右方向の3通りの方向との組み合わせにより、合計9通りの組み合わせが可能であるので、それらの組み合わせの内の何れか1つの状態に仮止めした後、前記ネジ5を用いて、前記保持部材3を前記台座2と前記固定部材4の間に挟んだ状態で締結する。なお、前記保持部材3に設けられた前記中央孔72の内径は十分大きく設けられているので、前記ネジ5の軸が前記中央孔72に当たることは避けられている。
以上のようにして、前記保持部材3は前記台座2を介して、取り付け対象面に固定されるのである。
保持部材3の取り付け向きを変更する場合には、前記ネジ5を緩めた状態で、前記保持部材3の向きを調整し、9通りの向きの内の何れかの向きに調整した状態で、前記ネジ5を用いて、再び締結すればよい。
保持部材3に設けた中央孔72の内径を、ネジ5の軸の外径よりも十分大きくしたので、台座2に対する保持部材3の取り付け向きを変更した場合であっても、ネジ5を、中央孔72を介して台座2のネジ孔61に締結することができる。
【0029】
以上の説明では、取り付け対象面が垂直面である場合を想定した標準的な固定状態について説明したが、本願発明によれば、前記台座2に対して前記保持部材3の向きを上下左右の9通りの向きに変更できるので、取り付け対象面が垂直面でなく、傾斜している場合でも、前記保持部材3の向きを、9通りの向きの内の何れか1つの所望の向きに変更して固定することができる。
したがって、使用者が最も使いやすい向きに前記保持部材3を調整することができるので、車内等においてマイク等の機器を使いやすい向きに保持することが可能となる。
【0030】
以上の実施例1においては、前記台座2の前記第1凹部に設ける中央の第1中央溝を、図2上のX−Y平面に沿って設けたが、図2上のX−Z平面に沿って設けてもよい。この場合には、前記保持部材3の前記第1凸部に設ける第1リブは、図2上のX−Z平面に沿って設け、前記保持部材3の前記第2凹部に設ける第2中央溝は図2上のX−Y平面に沿って設ける。
このように、前記保持部材3に設ける第1リブが含まれる平面と、第2中央溝が含まれる平面とは、互いに直交する平面とすることが好ましいが、直交することに代えて交差する平面とすることもできる。
なお、前記第1溝も、前記第2溝も、複数であればよく3つには限定されない。
【実施例2】
【0031】
以上の実施例1では、第1、第2凹部の内壁に複数の溝を設けたが、要部の一部のみを図8に示した実施例2(請求項2に対応)のように、第1、第2凹部の内壁に1つの凸状のリブAを設け、第1、第2凸部の表面に複数の溝Bを設けてもよい。
【実施例3】
【0032】
以上の実施例1、2では、台座と、保持部材の表側に凹部を設けたが、要部のみを図9に示した実施例3(請求項3、4に対応)のように、台座2Cに第1凸部6Cを設け、保持部材3Cの表側に第2凸部8Cを設け、保持部材3Cの裏側に第1凹部7Cを設け、固定部材4Cの裏側に第2凹部9Cを設けて、ネジ5Cで締結してもよい。
なお、実施例3においては、実施例1のように、第1、第2凹部の内壁に複数の溝を設けても良く、実施例2のように、第1、第2の凹部の内壁に1つの凸状のリブを設け、第1、第2凸部の表面に複数の溝を設けてもよい。図9においては、リブと溝の図示は省略した。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明にかかる機器保持装置は、マイク等の機器の保持に限らず、種々のものを保持するための保持装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1 機器保持装置
2 台座
3 保持部材
4 固定部材
5 ネジ
6 第1凹部
64、65、66 第1溝
7 第1凸部
73 第1リブ
8 第2凹部
81、82、83 第2溝
9 第2凸部
93 第2リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付け対象面に取り付ける台座と、保持対象の機器を保持する保持部を備えた保持部材とを備え、前記台座の表側には半球状の第1凹部を設け、前記保持部材の裏側には半球状の第1凸部を設け、前記第1凹部に前記第1凸部を嵌め込んだ状態で、ネジで前記台座と前記保持部材を締結することによって、前記保持部材を前記台座に固定するように構成された機器保持装置において、
前記保持部材の表側に半球状の第2凹部を設け、
前記第2凹部に嵌まり得る第2凸部が設けられた固定部材をさらに備え、
前記第1凸部の表面には凸状の第1リブを設けるとともに、前記第1凹部の内壁には前記第1リブが嵌まり得る複数の第1溝を設け、
前記第2凹部の内壁には、前記第1リブの向きと異なる向きの複数の第2溝を設けるとともに、前記第2凸部の表面には前記第2溝に嵌まり得る凸状の第2リブを設け、
前記第2凹部には、前記ネジの軸の外径より十分大きな内径の孔を設けることによって、
前記第1リブを前記第1溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記第2リブを前記第2溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記台座と前記固定部材との間に前記保持部材を挟み込んだ状態で、前記ネジで締結することによって、前記台座と前記固定部材とで前記保持部材を挟み込んだ状態で前記保持部材を固定できるように構成したことを特徴とする機器保持装置。
【請求項2】
取り付け対象面に取り付ける台座と、保持対象の機器を保持する保持部を備えた保持部材とを備え、前記台座の表側には半球状の第1凹部を設け、前記保持部材の裏側には半球状の第1凸部を設け、前記第1凹部に前記第1凸部を嵌め込んだ状態で、ネジで前記台座と前記保持部材を締結することによって、前記保持部材を前記台座に固定するように構成された機器保持装置において、
前記保持部材の表側に半球状の第2凹部を設け、
前記第2凹部に嵌まり得る第2凸部が設けられた固定部材をさらに備え、
前記第1凹部の内壁には凸状の第1リブを設けるとともに、前記第1凸部の表面には前記第1リブが嵌まり得る複数の第1溝を設け、
前記第2凹部の内壁には、前記第1リブの向きと異なる向きの凸状の第2リブを設けるとともに、前記第2凸部の表面には前記第2リブが嵌まり得る複数の第2溝を設け、
前記第2凹部には、前記ネジの軸の外径より十分大きな内径の孔を設けることによって、
前記第1リブを前記第1溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記第2リブを前記第2溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記台座と前記固定部材との間に前記保持部材を挟み込んだ状態で、前記ネジで締結することによって、前記台座と前記固定部材とで前記保持部材を挟み込んだ状態で前記保持部材を固定できるように構成したことを特徴とする機器保持装置。
【請求項3】
取り付け対象面に取り付ける台座と、保持対象の機器を保持する保持部を備えた保持部材とを備え、前記台座の表側には半球状の第1凸部を設け、前記保持部材の裏側には半球状の第1凹部を設け、前記第1凹部に前記第1凸部を嵌め込んだ状態で、ネジで前記台座と前記保持部材を締結することによって、前記保持部材を前記台座に固定するように構成された機器保持装置において、
前記保持部材の表側に半球状の第2凸部を設け、
前記第2凸部を嵌め得る第2凹部が設けられた固定部材をさらに備え、
前記第1凸部の表面には凸状の第1リブを設けるとともに、前記第1凹部の内壁には前記第1リブが嵌まり得る複数の第1溝を設け、
前記第2凹部の内壁には、前記第1リブの向きと異なる向きの複数の第2溝を設けるとともに、前記第2凸部の表面には前記第2溝に嵌まり得る凸状の第2リブを設け、
前記第2凸部には、前記ネジの軸の外径より十分大きな内径の孔を設けることによって、
前記第1リブを前記第1溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記第2リブを前記第2溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記台座と前記固定部材との間に前記保持部材を挟み込んだ状態で、前記ネジで締結することによって、前記台座と前記固定部材とで前記保持部材を挟み込んだ状態で前記保持部材を固定できるように構成したことを特徴とする機器保持装置。
【請求項4】
取り付け対象面に取り付ける台座と、保持対象の機器を保持する保持部を備えた保持部材とを備え、前記台座の表側には半球状の第1凸部を設け、前記保持部材の裏側には半球状の第1凹部を設け、前記第1凹部に前記第1凸部を嵌め込んだ状態で、ネジで前記台座と前記保持部材を締結することによって、前記保持部材を前記台座に固定するように構成された機器保持装置において、
前記保持部材の表側に半球状の第2凸部を設け、
前記第2凸部を嵌め得る第2凹部が設けられた固定部材をさらに備え、
前記第1凹部の内壁には凸状の第1リブを設けるとともに、前記第1凸部の表面には前記第1リブが嵌まり得る複数の第1溝を設け、
前記第2凹部の内壁には、前記第1リブの向きと異なる向きの凸状の第2リブを設けるとともに、前記第2凸部の表面には前記第2リブが嵌まり得る複数の第2溝を設け、
前記第2凸部には、前記ネジの軸の外径より十分大きな内径の孔を設けることによって、
前記第1リブを前記第1溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記第2リブを前記第2溝の何れか1つの溝に嵌め、
前記台座と前記固定部材との間に前記保持部材を挟み込んだ状態で、前記ネジで締結することによって、前記台座と前記固定部材とで前記保持部材を挟み込んだ状態で前記保持部材を固定できるように構成したことを特徴とする機器保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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