説明

機器制御システム

【課題】簡単なシステム構成で宅内の人の状態に応じた制御を行うことができ、且つシステムのフレキシビリティを確保することができる機器制御システムを提供する。
【解決手段】機器制御装置1は、各宅内機器Xの設置場所情報を記憶した場所情報記憶部1aと、各宅内機器Xの状態を取得する機器状態取得部1bと、各宅内機器Xの動作を制御する機器制御部1cと、1乃至複数の宅内機器Xの設置場所および状態から推定される宅内の人の状態を条件として1乃至複数の宅内機器Xの制御内容を規定した制御ルールを格納したルール記憶部1dとを備え、機器制御部1cは、宅内機器Xの状態が変化した場合、状態変化した宅内機器Xの設置場所および各宅内機器Xの状態から推定される宅内の人の状態を条件に含む制御ルールを参照して、機器制御を実行するか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具や空調機器あるいは種々のセキュリティ機器などの宅内機器の制御を行う宅内機器制御システムとして、特許文献1に記載されているようなものが提供されている。かかる従来システムは、機器制御装置が複数の宅内機器を監視・制御しており、人感センサ、温度センサ等の各種センサの計測データに基づいて、照明器具、空調機器、セキュリティ機器等の宅内機器を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−67417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、宅内の人の状態(居場所、人数等)に応じた制御を行おうとすると、宅内の至るところに人感センサ等を設置して宅内の人の状態を検知する必要があり、また新たな機能を追加する場合には、センサを追加する必要があった。すなわち、システム内の場所情報を取得するために、システム構成が複雑となり、さらにはシステムのフレキシビリティも低かった。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単なシステム構成で宅内の人の状態に応じた制御を行うことができ、且つシステムのフレキシビリティを確保することができる機器制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、宅内の各部屋に設置された複数の機器と、各機器とネットワークを介して通信可能に接続した機器制御装置と、各機器の設置場所情報を記憶した場所情報記憶手段と、1乃至複数の機器の設置場所および状態から推定される宅内の人の状態を条件として1乃至複数の機器の制御内容を規定した制御ルールを格納したルール記憶手段とを備え、機器制御装置は、各機器の状態を取得する機器状態取得部と、各機器の動作を制御する機器制御部とを備えて、機器制御部は、機器の状態が変化した場合、状態変化した機器の設置場所および各機器の状態から推定される宅内の人の状態を条件に含む制御ルールを参照して、機器制御を実行するか否かを判定することを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、宅内機器の設置場所および状態から推定される宅内の人の状態を条件とした制御ルールを参照して機器制御を行うので、簡単なシステム構成で宅内の人の状態に応じた制御を行うことができ、さらに新たな機能を追加する場合には、制御ルールを追加することで実現可能となり、システムのフレキシビリティを確保することができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1において、前記設置場所情報は、各機器が設置されている部屋の情報が含まれており、前記制御ルールは、機器の状態が変化した場合、状態変化した機器と同一部屋に設置された各機器の状態から推定される当該部屋内の人の状態を条件として、当該部屋に設置された1乃至複数の機器の制御内容を規定しており、前記機器制御装置の機器制御部は、複数の機器の状態変化が一定期間内に発生した場合、当該状態変化した機器の場所情報に基づいて当該機器が設置されている1乃至複数の部屋に人が存在すると判定し、人が存在していると判定した部屋に設置された各機器の状態から推定される当該部屋内の人の状態を条件に含む制御ルールを参照して、機器制御を実行するか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、複数の人の状態に応じた制御を行うことができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2において、宅内に存在が許可された最大人数を記憶した人数情報記憶手段を備え、宅内に警報報知する報知機器がネットワークに接続され、前記設置場所情報は、各機器が設置されている部屋の情報が含まれており、前記機器制御装置の機器制御部は、複数の機器の状態変化が一定期間内に発生した場合、当該状態変化した機器の場所情報に基づいて当該機器が設置されている部屋の数を導出して、導出した数の各部屋に人が存在すると推定し、導出した部屋の数が宅内に存在が許可された最大人数より多い場合、宅内に不審者が侵入している可能性があるとして報知機器を動作させるという制御ルールを参照して、宅内に警報報知するか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、セキュリティシステムとして機能する機器制御が可能となる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至3いずれかにおいて、前記制御ルールは、機器の状態が変化した結果として、同一機能を有して設置場所が異なる複数の機器の状態が同じになった場合、複数の設置場所に存在する人が同一機能を有する機器を同じ状態で使用していると推定して、当該複数の機器のうち、1つの機器のみを動作させて、他の機器の動作を停止させるルールであることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、省電力化を図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明では、簡単なシステム構成で宅内の人の状態に応じた制御を行うことができ、且つシステムのフレキシビリティを確保することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態の機器制御装置の構成を示す図である。
【図2】同上の宅内機器制御システムの構成を示す図である。
【図3】(a)(b)同上の宅内機器と設置場所情報との対応関係を格納したテーブルの構造を示す図である。
【図4】同上の機器制御装置の基本動作を示すフローチャート図である。
【図5】同上の機器制御装置の動作(1)を示すフローチャート図である。
【図6】同上の機器制御装置の動作(2)を示すフローチャート図である。
【図7】同上の機器制御装置の動作(3)を示すフローチャート図である。
【図8】同上の機器制御装置の動作(4)を示すフローチャート図である。
【図9】同上の機器制御装置の動作(5)を示すフローチャート図である。
【図10】同上の機器制御装置の別の構成を示す図である。
【図11】同上の機器制御装置の動作(6)を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(実施形態)
本実施形態の宅内機器制御システムは、図2に示すように住宅内に設置されたコントローラCn(n=1,2,...)が宅内の住宅設備の制御並びに監視を行う複数のサブシステムSSnと、各サブシステムSSnのコントローラCnと宅内ネットワークL0を介して接続される機器制御装置1と、機器制御装置1に宅内ネットワークL0を介して接続される宅内機器X0とを備え、これら複数のコントローラCnと機器制御装置1と宅内機器X0とがローカルエリアネットワーク(LAN)を構成している。
【0018】
LANケーブルを用いた宅内ネットワークL0は、機器制御装置1に、複数の端末装置が接続されている。さらに機器制御装置1は、インターネットに接続するためのルータ2と通信ケーブル(通常、LANケーブル)によって接続され、ルータ2が介在することで宅内ネットワークが外部ネットワークたるインターネットに接続される。
【0019】
また、宅内ネットワークL0にはサービス提供会社の管理センター等に設置された図示しないセンターサーバがインターネットを通じて接続されており、インターネットに接続可能なパーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)等からなる外部端末とセンターサーバとの間でインターネットを介したデータ通信を行うことにより、例えば、外部端末を使って外出先から宅内機器の制御や監視を行うことができる。
【0020】
そして、宅内のサブシステムSSnは、宅内機器Xnと、宅内機器Xnの制御並びに監視を行うコントローラCnとを備えており、コントローラCnと宅内機器Xnとの間は、宅内ネットワークL0とは異なる通信プロトコルのサブネットワークLnを介して接続されている。
【0021】
サブシステムSS1内の宅内機器X1は、リビング内に設置されたエアコン、照明器具、床暖房機器、換気ファン、電動窓等であり、サブネットワークL1は専用プロトコルで構成されている。また、サブシステムSS2内の宅内機器X2は、キッチン内に設置された冷蔵庫、電子レンジ、IH調理器、食器洗い機、電気ポット等であり、サブネットワークL2はECHONET等のプロトコルで構成されている。また、サブシステムSS3内の宅内機器X3は、玄関、リビング等に設置されたテレビインターホン機器、火災警報器、電気錠、防犯センサ等であり、サブネットワークL3は専用プロトコルで構成されている。また、サブシステムSS4内の宅内機器X4は、太陽光発電システム、蓄電池システム、給湯システムであり、サブネットワークL4はエネルギー系プロトコルで構成されている。また、サブシステムSS5内の宅内機器X5は、系統毎の消費電力を計測する系統別電力計、宅内機器毎の消費電力を計測する機器別電力計、部屋、玄関等に設置された人感センサユニット等であり、サブネットワークL5はセンサ用プロトコルで構成されている。なお、以下の説明では、宅内機器X1〜X5を、リビング機器X1、キッチン機器X2、セキュリティ機器X3、エネルギー機器X4、センサ機器X5と称す。
【0022】
コントローラCnは、宅内ネットワークL0と宅内機器Xnとの間に介在して、サブシステムSSnの宅内機器Xnを監視・制御するとともに、宅内ネットワークL0とサブネットワークLn間における通信のプロトコル変換を行っている。そして、機器制御装置1等の端末装置から制御要求のメッセージを受け取ったときに、配下の宅内機器Xnを個別に制御し、機器制御装置1等の端末装置から監視要求のメッセージを受け取ったときに、配下の宅内機器Xnの監視情報を個別に取得するとともに、制御要求や監視要求に対する応答(宅内機器Xnの監視情報)のメッセージを要求メッセージの送信元である端末装置に向けて送信させる機能(制御監視機能)を有する。
【0023】
また、宅内機器X0は、リビング、キッチン等に設置されたテレビ、HDレコーダ、パーソナルコンピュータ、コントロールパネル等であり、宅内ネットワークL0を介して接続された機器制御装置1等の端末装置から送信された制御要求のメッセージによって制御され、さらには宅内機器X0の動作状態等の監視情報が、機器制御装置1等の端末装置へ送信される。なお、以下の説明では、宅内機器X0を情報機器X0と称す。なお、情報機器X0も、上記宅内機器Xnと同様に、コントローラCnを介して情報授受を行うものであってもよい。
【0024】
このような宅内機器制御システムでは、機器制御装置1がシステムでのネットワーク通信を統合管理しており、機器制御装置1による宅内機器X(以下、宅内機器X0,Xnを区別しないときは、宅内機器Xと称す)の集中制御が可能となる。以下、本発明の要旨である場所情報を用いた宅内機器の制御について説明する
まず、宅内機器Xは、設置されている場所に関する情報(設置場所情報)を付与されており、機器制御装置1は、システム内の宅内機器Xと設置場所情報との対応関係のデータを格納して、宅内機器Xの状態変化時に設置場所情報を用いて宅内機器Xの制御を行う。
【0025】
機器制御装置1は、図1に示すように、各宅内機器Xの設置場所情報を記憶した場所情報記憶部1aと、各宅内機器Xの状態を取得する機器状態取得部1bと、各宅内機器Xの動作を制御する機器制御部1cと、後述の制御ルールを格納したルール記憶部1dとを備える。
【0026】
場所情報記憶部1aは、図3(a)(b)に示すように、システム内の宅内機器Xと設置場所情報との対応関係のデータをテーブルTB1,TB2に格納している。テーブルTB1では、サブシステムSS5内のセンサ機器X5以外の宅内機器X0,X1〜X4について、設備管理番号、設備機能種別、設備型式、設置部屋、設置位置、電力計番号が、宅内機器毎に互いに対応して格納されている。テーブルTB2では、サブシステムSS5内のセンサ機器X5について、センサ番号、センサ種別、センサ型式、設置場所が、センサ毎に互いに対応して格納されている。
【0027】
テーブルTB1において、設置場所情報は設置部屋[リビング、キッチン、寝室、子供部屋、廊下等]および設置位置[窓側、中央、玄関寄り、リビング寄り等]であり、設置位置は部屋内における詳細位置を示しており、設置場所情報としては少なくとも設置部屋の情報が登録されていればよい。テーブルTB2において、設置場所情報は設置場所であり、センシング対象の宅内機器Xの情報が登録される。
【0028】
機器状態取得部1bは、宅内機器Xから定期的に宅内機器Xnの監視情報を個別に取得し、さらに状態変化が発生した宅内機器Xnから送信される監視情報も取得する。この監視情報は、宅内機器Xの状態を示すものであり、情報機器X0、リビング機器X1、キッチン機器X2、セキュリティ機器X3、エネルギー機器X4の各動作状態や、センサ機器X5のセンシングデータである。また、宅内機器Xから送信される監視情報には、送信元の宅内機器Xの識別情報(テーブルTB1における設備管理番号、テーブルTB2におけるセンサ番号)が含まれており、機器制御装置1側では、この識別情報に基づいて宅内機器Xを区別できる。
【0029】
ルール記憶部1dには、機器制御部1cが参照する制御ルールが格納されている。制御ルールは、1乃至複数の宅内機器Xの設置場所および状態から推定される宅内の人の状態を条件として1乃至複数の宅内機器Xの制御内容を規定したものであり、宅内機器Xの設置場所および状態の組み合わせ、推定される宅内の人の状態、制御内容が異なる複数の制御ルールがルール記憶部1dに格納されている。
【0030】
機器制御装置1は、宅内機器Xから取得した監視情報(動作状態、センシングデータ)と制御ルールとに基づいて、図4のフローチャートに示す基本動作を行う。まず、機器状態取得部1bが、宅内機器X0,X1〜X4から動作状態を取得し、さらにセンサ機器X5からセンシングデータを取得する(S1)。機器制御部1cは、宅内機器Xの動作状態、センシングデータに変化が発生したか否かを判定する(S2)。この判定処理は、今回取得した動作状態、センシングデータを、前回取得した動作状態、センシングデータと比較する方法や、今回取得した動作状態、センシングデータを、前回までに取得した所定回数の動作状態、センシングデータの平均値と比較する方法等がある。そして、動作状態、センシングデータに変化がなければステップS1,S2の処理を繰り返す。
【0031】
動作状態、センシングデータに変化があった場合、機器制御部1cは、ルール記憶部1d内の制御ルールを参照し、状態変化した宅内機器Xの場所情報や、各宅内機器Xの状態(動作状態、センシングデータ)がルール内の条件に合致した制御ルールが存在するか否かを判定する(S3)。合致した制御ルールがなければステップS1に戻り、合致した制御ルールがあれば、当該合致した制御ルールで規定された制御内容を、宅内機器Xに対して実行する(S4)。
【0032】
次に、制御ルールに基づく機器制御装置1の具体的な動作について説明する。
【0033】
(1)まず、図5のフローチャートに示すように、テレビ電源のオフ→オン、照明器具の消灯→点灯がなされ、宅内機器X[テレビ、照明器具]の動作状態が変化し、機器状態取得部1bが、宅内機器X[テレビ、照明器具]から当該動作状態を取得する(S11)。宅内機器X[テレビ、照明器具]の動作状態に変化が発生しているので、機器制御部1cは、テレビ:オン状態、照明器具:点灯状態を認識した上で、当該状態変化に対応する制御ルールとの合致判定を行う。
【0034】
上記のように状態変化した宅内機器X[テレビ、照明器具]から取得した監視情報には、送信元の宅内機器の設備管理番号が付加されているので、機器制御部1cは、監視情報に付加された設備管理番号に基づいて、状態変化したテレビおよび照明器具の各場所情報を場所情報記憶部1aから抽出し、状態変化したテレビおよび照明器具の場所情報が同じ部屋であるか否かを判定する(S12)。互いの場所情報が同じ部屋であれば、機器制御装置1内に設けた図示しない時計手段の計時結果に基づいて現在時刻が午前6時〜7時の範囲に入っているか否かを判定し(S13)、さらに現在の宅内機器[温度計]から取得した計測データに基づいて現在温度が27度以上であるか否かを判定する(S14)。この場合、現在時刻が午前6時30分、現在温度が32度であるので当該時刻条件および温度条件を満たしている。次に、機器制御部1cは、状態変化した宅内機器X[テレビ、照明器具]と同じ部屋に設置された宅内機器X[エアコン、電動カーテン]に対し、エアコン始動(S15)、電動カーテン開(S16)の各制御を実行する。
【0035】
すなわち本状況は、「リビング等の同一部屋に設置されたテレビ、照明器具が、午前6時〜7時の間に電源オン操作および点灯操作をなされた場合、起床した住人がリビング等のテレビのある部屋に入ってきたと推定して、当該部屋のカーテンを開制御し、さらに現在温度が27度以上であれば、当該部屋のエアコンを始動させる」という制御ルールに適合しており、機器制御部1cは、この制御ルールに従って動作したものである。
【0036】
(2)次に、図6のフローチャートに示すように、宅内に設置した宅内機器X[人感センサユニット]のうち、玄関に設置した宅内機器X[人感センサユニット]のみが人を検出した後に、玄関に設置した宅内機器X[人感センサユニット]が未検出状態となり、機器状態取得部1bが、玄関に設置した宅内機器X[人感センサユニット]から当該動作状態を取得する(S21)。宅内機器X[人感センサユニット]の動作状態に変化が発生しているので、機器制御部1cは、上記人感センサユニットの状態変化を認識した上で、当該状態変化に対応する制御ルールとの合致判定を行う。
【0037】
上記のように状態変化した宅内機器X[人感センサユニット]から取得した監視情報には、送信元の宅内機器の設備管理番号が付加されているので、機器制御部1cは、監視情報に付加された設備管理番号に基づいて、状態変化した人感センサユニットの各場所情報を場所情報記憶部1aから抽出し、状態変化した人感センサユニットの設置場所が判別できる。そして、現在は全ての人感センサユニットが未検出状態であるか否かを判定し(S22)、さらに玄関に設置された人感センサユニットが、最後に人検出状態から未検出状態に変化したか否かを判定する(S23)。この場合、現在は全て人感センサユニットが未検出状態であり、さらに玄関に設置された人感センサユニットが、最後に人検出状態から未検出状態に変化したので当該人検出条件を満たしている。次に、機器制御部1cは、玄関に設置された人感センサユニットが未検出状態になってから、いずれの人感センサユニットも人を検出することなく10分経過したか否かを判定し(S24)、10分経過した時点で電源オン状態になっている宅内機器Xのうち、予め指定された宅内機器Xの電源をオフする制御を実行する(S25)。
【0038】
すなわち本状況は、「宅内に設置した人感センサユニットのうち、玄関に設置した人感センサユニットのみが人を検知した後に、玄関に設置した人感センサユニットが未検出状態となり、この状態が10分以上継続した場合、全住人が外出して、宅内は不在状態になったと推定して、予め指定された宅内機器Xの電源を強制的にオフする」という制御ルールに適合しており、機器制御部1cは、この制御ルールに従って動作したものである。
【0039】
(3)まず、図7のフローチャートに示すように、テレビが電源オン状態、音量レベル30であるときに、テレビインターホン機器から来客通知の報知音が鳴動し、宅内機器X[テレビインターホン機器]の動作状態が変化し、機器状態取得部1bが、宅内機器X[テレビインターホン機器]から当該動作状態を取得する(S31)。宅内機器X[テレビインターホン機器]の動作状態に変化が発生しているので、機器制御部1cは、テレビ:オン状態、音量レベル30を認識した上で、当該状態変化に対応する制御ルールとの合致判定を行う。なお、機器状態取得部1bは、状態変化した宅内機器Xから送信される監視情報だけでなく、各宅内機器Xから定期的に監視情報を取得しているので、テレビの現在の状態を把握している。
【0040】
上記宅内機器X[テレビインターホン機器、テレビ]から取得した監視情報には、送信元の宅内機器の設備管理番号が付加されているので、機器制御部1cは、監視情報に付加された設備管理番号に基づいて、テレビインターホン機器およびテレビの各場所情報を場所情報記憶部1aから抽出し、テレビインターホン機器およびテレビの場所情報が同じ部屋であるか否かを判定する(S32)。互いの場所情報が同じ部屋であれば、宅内機器[テレビ]の音量レベルが10以上であるか否かを判定する(S33)。この場合、テレビの音量レベルは30であるので当該音量条件を満たしている。次に、機器制御部1cは、状態変化した宅内機器X[テレビインターホン機器]と同じ部屋に設置された宅内機器X[テレビ]に対し、音量の一時低減(S34)の制御を実行する。
【0041】
すなわち本状況は、「人がある部屋に設置されたテレビを大音量で視聴しているときに、テレビと同じ部屋に設置されたテレビインターホン機器から来客通知がなされた場合、テレビを大音量で視聴している人がテレビインターホン機器を用いて来客と通話を行うであろうと推定し、来客との間でこれから行われる通話のための環境を整えるために、テレビの音量レベルが10以上であればテレビの音量を一時的に低減させる」という制御ルールに適合しており、機器制御部1cは、この制御ルールに従って動作したものである。
【0042】
(4)まず、図8のフローチャートに示すように、宅内機器Xが電源オフ→電源オン、エアコンの温度設定変更操作、テレビの音量変更、チャンネル変更等のように、宅内機器Xにユーザ操作による状態変化が発生し、機器状態取得部1bが、宅内機器Xから当該動作状態を取得する(S41)。宅内機器Xにユーザ操作による動作状態の変化が発生しているので、機器制御部1cは、宅内機器Xの状態を認識した上で、当該状態変化に対応する制御ルールとの合致判定を行う。
【0043】
上記のように状態変化した宅内機器Xから取得した監視情報には、送信元の宅内機器の設備管理番号が付加されているので、機器制御部1cは、監視情報に付加された設備管理番号に基づいて、状態変化した宅内機器Xの各場所情報を場所情報記憶部1aから抽出する。場所情報には設置部屋の情報が含まれているので、機器制御部1cは、状態変化した宅内機器Xが設置されている部屋を特定することができ、ユーザ操作によって状態変化した宅内機器Xが設置された部屋には人が存在していると判定する(S42)。さらに、人存在の判断処理は、複数の宅内機器Xの状態変化が一定期間内に発生し、この宅内機器Xの状態変化によって人が存在していると判定された部屋が複数あった場合には、これらの複数の部屋に人が同時に存在していると判定する。そして、人が存在している部屋毎に当該部屋内に設置している宅内機器Xに対して制御ルールを適用して、制御実行の可否を判定し(S43)、制御ルールを満足すれば制御を実行する(S44)。
【0044】
本例におけるルール記憶部1dには、宅内機器Xの状態が変化した場合、状態変化した宅内機器Xと同一部屋に設置された各宅内機器Xの状態から推定される当該部屋内の人の状態を条件として、当該部屋に設置された1乃至複数の宅内機器Xの制御内容を規定した制御ルールが格納されている。例えば、「リビング内のテレビ、HDレコーダが電源オンして、HDレコーダによる再生が開始された場合、リビング内の人が録画した画像を再生開始したと判断して、リビング内の照明をテレビ観賞に適した点灯状態に変化させる」、「台所の照明器具が点灯し、IH調理器の電源がオンになった場合、台所内の人が調理を開始したと判断して、台所の換気ファンを動作させる」等の制御ルールがある。
【0045】
すなわち本状況は、「宅内機器Xのユーザ操作による状態変化に基づいて、人が存在する部屋を特定し、人が存在している部屋に設置された各宅内機器Xの状態から推定される当該部屋内の人の状態に基づいて当該部屋内の宅内機器Xを制御するか否かを、制御ルールを参照して判定する」ものであり、さらには「複数の宅内機器Xの状態変化が一定期間内に発生し、この宅内機器Xの状態変化によって人が存在していると特定された部屋が複数あった場合には、これらの複数の部屋に人が同時に存在していると判断する」ものである。すなわち、複数の部屋に存在する複数の人の状態に応じた機器制御を行うことができる。
【0046】
(5)まず、図9のフローチャートに示すように、宅内機器Xが電源オフ→電源オン、エアコンの温度設定変更操作、テレビの音量変更、チャンネル変更等のように、宅内機器Xにユーザ操作による状態変化が発生し、機器状態取得部1bが、宅内機器Xから当該動作状態を取得する(S51)。ここで、上記(4)と異なる点は、ユーザ毎の識別情報を付加したリモコン(専用リモコン、携帯電話)を用いて宅内機器Xの状態を変化させている点である。このリモコンは、赤外線等の操作信号を宅内機器Xへ送信しており、この操作信号にはユーザの識別情報が含まれている。宅内機器Xは、リモコンによって操作されて状態変化を生じた場合には、動作状態を示す監視情報にユーザの識別情報を付加して機器制御装置1へ送信する、
そして、宅内機器Xにユーザ操作による動作状態の変化が発生しているので、機器制御部1cは、宅内機器Xの状態、操作したユーザを認識した上で、当該状態変化に対応する制御ルールとの合致判定を行う。宅内機器Xにユーザ操作による動作状態の変化が発生しているので、機器制御部1cは、宅内機器Xの状態を認識した上で、当該状態変化に対応する制御ルールとの合致判定を行う。
【0047】
上記のように状態変化した宅内機器Xから取得した監視情報には、送信元の宅内機器の設備管理番号およびユーザの識別情報が付加されているので、機器制御部1cは、監視情報に付加された設備管理番号およびユーザの識別情報に基づいて、状態変化した宅内機器Xが設置されている部屋、および当該場所に存在するユーザを特定することができ、ユーザ操作によって状態変化した宅内機器Xが設置された部屋には特定のユーザが存在していると判断する(S52)。さらに、人存在の判断処理は、複数の宅内機器Xの状態変化が一定期間内に発生し、この宅内機器Xの状態変化によって人が存在していると特定された部屋が複数あった場合には、これらの複数の部屋に人が同時に存在していると判断する。そして、人が存在している部屋毎に当該部屋内に設置している宅内機器Xに対して制御ルールを適用して、制御実行の可否を判定し(S53)、制御ルールを満足すれば制御を実行する(S54)。
【0048】
本例における機器制御装置1のルール記憶部1dは、宅内機器Xの状態および設置場所だけでなく、ユーザの識別情報も条件に用いた制御ルールを格納している。例えば、「リビング内のテレビが電源オンし、且つテレビの操作を行ったユーザが子供である場合、リビングで子供がテレビ視聴を開始したと判断して、リビング内の照明を子供のテレビ観賞に適した点灯状態に変化させる」、「台所の照明器具が点灯し、且つ台所の照明器具の操作を行ったユーザが母である場合、台所で母による調理が始まったと判断して、台所のIH調理器および換気ファンを動作させる」等の制御ルールがある。
【0049】
すなわち本状況は、「宅内機器Xのユーザ操作による状態変化に基づいて、人が存在する部屋、および当該部屋に存在するユーザを特定し、人が存在している部屋に設置された各宅内機器Xの状態から推定される当該部屋内の特定のユーザの状態に基づいて当該部屋内の宅内機器Xを制御するか否かを、制御ルールを参照して判定する」ものであり、さらには「複数の宅内機器Xの状態変化が一定期間内に発生し、この宅内機器Xの状態変化によって人が存在していると特定された部屋が複数あった場合には、これらの複数の部屋に人が同時に存在していると判断する」ものである。すなわち、複数の部屋に存在する複数の特定ユーザの状態に応じた機器制御を行うことができる。
【0050】
(6)本例における機器制御装置1は図10に示すように、宅内に存在が許可された最大人数の情報が格納される人数情報記憶部1e(人数情報記憶手段)を備えており、この最大人数情報は、ユーザが任意に設定可能であって、例えば、家族の人数が設定される。また、宅内機器Xとして、報知音を出力する報知機器が設けられている。
【0051】
そして、図11のフローチャートに示すように、宅内機器Xが電源オフ→電源オン、エアコンの温度設定変更操作、テレビの音量変更、チャンネル変更等のように、複数の宅内機器Xに状態変化が発生し、機器状態取得部1bが、宅内機器Xから当該動作状態を取得する(S61)。宅内機器Xに動作状態の変化が発生しているので、機器制御部1cは、宅内機器Xの状態を認識した上で、当該状態変化に対応する制御ルールとの合致判定を行う。
【0052】
上記のように状態変化した宅内機器Xから取得した監視情報には、送信元の宅内機器の設備管理番号が付加されているので、機器制御部1cは、監視情報に付加された設備管理番号に基づいて、状態変化した宅内機器Xの各場所情報を場所情報記憶部1aから抽出する。場所情報には設置部屋の情報が含まれているので、機器制御部1cは、状態変化した宅内機器Xが設置されている部屋を特定することができ、複数の宅内機器Xの状態変化が一定期間内に発生し、この宅内機器Xの状態変化によって人が存在していると特定された部屋が複数あった場合には、これらの複数の部屋に人が同時に存在していると判断する。そして、機器制御部1cは、少なくとも人が存在する部屋の数と同じ数の人が宅内に存在していると認識し(S62)、人数情報記憶部1eを参照して、当該認識した宅内の人数と宅内に存在が許可された最大人数とを比較する(S63)。認識した宅内の人数が許可された最大人数を越えている場合、機器制御部1cは、宅内機器X[報知機器]から報知音を出力させる制御を実行し、宅内に不審者が侵入している可能性があることを報知する(S64)。
【0053】
上記判定処理において機器制御部1cが参照する制御ルールは、「複数の宅内機器Xの状態変化が一定期間内に発生した場合、状態変化した宅内機器Xの場所情報に基づいて、宅内機器Xが設置されている部屋の数を導出して、導出した数の各部屋に人が存在すると推定し、導出した部屋の数が宅内に存在が許可された最大人数より多い場合、宅内に不審者が侵入している可能性があるとして報知機器を動作させる」である。すなわち。セキュリティシステムとして機能する機器制御が可能となる。
【0054】
(7)本例における機器制御装置1の機器制御部1cは、ある部屋に設置された宅内機器Xが動作しているときに、同一機能を有して他の部屋に設置されている1乃至複数の他の宅内機器Xも同一動作を開始したことを検知すると、同一機能が動作状態である複数の宅内機器Xのうち、予め設定している優先順位が最も上位である宅内機器Xのみの動作を継続させて、他の優先順位の低い宅内機器は電源をオフして動作を停止させるという制御ルールに従って動作する。すなわち、同一機能を有して互いに異なる部屋に設置された複数の宅内機器Xが同時に動作することによる無駄な電力消費を抑制し、省エネルギー化を図っている。
【0055】
例えば、宅内機器X[テレビ]の場合、リビング、子供部屋等で動作中の複数のテレビが同じチャンネルに設定された場合、優先順位が最も上位であるリビングのテレビのみの動作を継続させて、他の優先順位の低いテレビは電源をオフして動作を停止させる。
【0056】
本実施形態では、上記(1)〜(7)の制御ルールを用いた例を挙げたが、上記以外の制御ルールを追加することによって、センサを追加することなく新たな機能を追加することができる。すなわち、宅内の様々な場所に宅内機器Xは設置されており、この既に備え付けられている宅内機器Xの状態を人の状態検知手段として用い、宅内機器Xの設置場所および状態から推定される宅内の人の状態を条件とした制御ルールを参照して機器制御を行うので、簡単なシステム構成で宅内の人の状態に応じた制御を行うことができ、さらに新たな機能を追加する場合には、制御ルールを追加することで実現可能となり、システムのフレキシビリティを確保することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、場所情報記憶手段(場所情報記憶部1a)、ルール記憶手段(ルール記憶部1d)、人数情報記憶手段(人数情報記憶部1e)を機器制御装置1に設けているが、機器制御装置1の外部に場所情報記憶手段、ルール記憶手段、人数情報記憶手段を設けて、機器制御部1aは外部の各情報を参照してもよい。例えば、宅内ネットワークL0上のコントローラCnのいずれか1台に、または複数台のコントローラCnに分散して場所情報記憶手段、ルール記憶手段、人数情報記憶手段を設けてもよく、この場合、機器制御部1aは、宅内ネットワークL0を介して各手段にアクセスする。
【符号の説明】
【0058】
1 機器制御装置
1a 場所情報記憶部
1b 機器状態取得部
1c 機器制御部
1d ルール記憶部
X 宅内機器
L0 宅内ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅内の各部屋に設置された複数の機器と、各機器とネットワークを介して通信可能に接続した機器制御装置と、各機器の設置場所情報を記憶した場所情報記憶手段と、1乃至複数の機器の設置場所および状態から推定される宅内の人の状態を条件として1乃至複数の機器の制御内容を規定した制御ルールを格納したルール記憶手段とを備え、
機器制御装置は、各機器の状態を取得する機器状態取得部と、各機器の動作を制御する機器制御部とを備えて、機器制御部は、機器の状態が変化した場合、状態変化した機器の設置場所および各機器の状態から推定される宅内の人の状態を条件に含む制御ルールを参照して、機器制御を実行するか否かを判定する
ことを特徴とする設備制御システム。
【請求項2】
前記設置場所情報は、各機器が設置されている部屋の情報が含まれており、
前記制御ルールは、機器の状態が変化した場合、状態変化した機器と同一部屋に設置された各機器の状態から推定される当該部屋内の人の状態を条件として、当該部屋に設置された1乃至複数の機器の制御内容を規定しており、
前記機器制御装置の機器制御部は、複数の機器の状態変化が一定期間内に発生した場合、当該状態変化した機器の場所情報に基づいて当該機器が設置されている1乃至複数の部屋に人が存在すると判定し、人が存在していると判定した部屋に設置された各機器の状態から推定される当該部屋内の人の状態を条件に含む制御ルールを参照して、機器制御を実行するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1記載の設備制御システム。
【請求項3】
宅内に存在が許可された最大人数を記憶した人数情報記憶手段を備え、宅内に警報報知する報知機器がネットワークに接続され、前記設置場所情報は、各機器が設置されている部屋の情報が含まれており、
前記機器制御装置の機器制御部は、複数の機器の状態変化が一定期間内に発生した場合、当該状態変化した機器の場所情報に基づいて当該機器が設置されている部屋の数を導出して、導出した数の各部屋に人が存在すると推定し、導出した部屋の数が宅内に存在が許可された最大人数より多い場合、宅内に不審者が侵入している可能性があるとして報知機器を動作させるという制御ルールを参照して、宅内に警報報知するか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1または2記載の設備制御システム。
【請求項4】
前記制御ルールは、機器の状態が変化した結果として、同一機能を有して設置場所が異なる複数の機器の状態が同じになった場合、複数の設置場所に存在する人が同一機能を有する機器を同じ状態で使用していると推定して、当該複数の機器のうち、1つの機器のみを動作させて、他の機器の動作を停止させるルールであることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の設備制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−55121(P2011−55121A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200533(P2009−200533)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】