説明

機器用コネクタ

【課題】機器への組付け作業を円滑に行えるようにする。
【解決手段】端子金具35は、ハウジング10に対し、接続面53と略直角な上下方向への移動を可能に支持されているとともに、接続面53から離間する方向へ付勢されているので、ハウジング10を取付孔56に嵌入する過程では、端子金具35を機器側端子52と非干渉の経路に沿って移動させることができる。この場合、ハウジング10を取付孔56に嵌入した状態では、端子金具35が接続面53に対して隙間を空けた状態で対向するのであるが、端子金具35は、ハウジング10に対し、接続面53と直角な方向への移動が可能となっているので、端子金具35を接続面53に当接させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器用コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機器用コネクタが開示されている。この機器用コネクタは、ケース内に機器本体と機器側端子を設けた形態の機器に対して取り付けられるものであって、ケースの取付孔に嵌合されるハウジングと、ハウジングに保持させた端子金具とを備えており、端子金具の後端部には電線が接続されている。機器用コネクタを組み付ける際には、ハウジングを取付孔に差し込むと、端子金具が機器側端子の接続面に重ね合わされるので、この端子金具と機器側端子とをボルトの締め付けにより導通可能に接続させる。
【特許文献1】特開2006−31962公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような機器用コネクタでは、ハウジングを取付孔に差し込む過程で、端子金具が機器側端子の接続面に沿うように移動することによって、機器側端子の接続面と対向する状態に至るようになっている。
そのため、機器側端子の位置精度が低くて、機器側端子が端子金具の移動経路上に進出している場合には、端子金具が機器側端子に突き当たって機器用コネクタの組付け作業に支障を来たす虞がある。
また、機器側端子の位置が正規の高さよりも低くなっている場合には、機器側コネクタを組み付けるときに突き当たりを生じることはないが、機器側端子と端子金具の上下のクリアランスが大きくなり過ぎ、端子金具と機器側端子をボルト締めによって接近させたときに、端子金具と機器側端子及びこれらの周辺部品等に過大な負荷がかかる虞がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、機器側端子の接続面に対して端子金具を対向させるようになっている機器用コネクタにおいて、接続面と直角な方向において端子金具と機器側端子とが位置ずれすることに起因する不具合を解消できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、ケース内に機器側端子を設けた形態の機器に対して取り付けられるものであって、前記ケースの取付孔に対し前記機器側端子の接続面と略平行に嵌入されるハウジングと、前記ハウジングに保持されて前記ハウジングの前端から突出する端子金具とを備えており、前記ハウジングを前記取付孔に嵌入することで、前記端子金具が前記機器側端子の接続面と対向するようになっており、前記端子金具がボルト締めにより前記機器側端子に対して重ねられた状態で接続されるようになっている機器用コネクタにおいて、前記端子金具が、前記ハウジングに対し、前記接続面と略直角な方向への移動を可能に支持されているとともに、前記接続面から離間する方向へ付勢されているところに特徴を有する。
【0005】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記端子金具の後端部には電線が接続され、前記電線が、前記ハウジング内の配索空間内において屈曲された状態で配索されており、前記電線に曲げ配索に起因して蓄勢されている弾性復元力により、前記端子金具が前記接続面から離間する方向へ付勢されているところに特徴を有する。
【0006】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記端子金具と前記機器側端子は、軸線を前記接続面と略直角に向けたボルトの締め付けによって導通可能に接続されるようになっているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
<請求項1の発明>
端子金具は、接続面から離間する方向へ付勢されているので、ハウジングを取付孔に嵌入する過程では、端子金具を機器側端子と非干渉の経路に沿って移動させることができる。この場合、ハウジングを取付孔に嵌入した状態では、端子金具が接続面に対して隙間を空けた状態で対向するのであるが、端子金具は、ハウジングに対し、接続面と直角な方向への移動が可能となっているので、端子金具を接続面に当接させることができる。
また、機器側端子の位置が正規よりも端子金具から離間する方向へずれている場合には、機器側端子と端子金具との間のクリアランスが大きくなるのであるが、端子金具は接続面に接近する方向へ移動できるようになっているので、端子金具と機器側端子をボルト締めによって接近させたときに、端子金具と機器側端子、及びこれらの周辺部品等に過大な負荷がかかる虞はない。
【0008】
<請求項2の発明>
電線の弾性復元力によって端子金具を付勢しているので、端子金具を付勢するための専用の付勢手段が不要である。
【0009】
<請求項3の発明>
端子金具と機器側端子は、軸線を接続面と略直角に向けたボルトの締め付けによって導通可能に接続されるようになっているので、ボルトを締め付けるだけで端子金具を接続面に接触させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図8を参照して説明する。本実施形態の機器用コネクタAの組付け対象である機器Bについて説明する。機器Bは、例えば電気自動車のインバータ装置、モータ、バッテリ等として用いられるものであって、シールド機能を有する金属製のケース50内に、機器本体(図示せず)と端子台51と機器側端子52とを設けたものである。端子台51の上面には、機器本体に接続された複数(本実施形態では3つ)の機器側端子52が載置されて固定されている。機器側端子52は、前後方向に細長い板状をなし、その水平な上面は後述する端子金具35が接触する平坦な接続面53となっている。また、機器側端子52には、上下方向(接続面53と直角な方向)に貫通するボルト孔54が形成されている。そして、端子台51には、軸線を上下方向に向けて端子台51の上面に開口する雌ネジ孔55が、ボルト孔54と対応するように形成されている。この雌ネジ孔55には上方からボルト60が螺合されるようになっている。また、ケース50を構成する側壁には、後述するハウジング10を嵌入させるための取付孔56が貫通して形成されている。取付孔56は、全体として横長の長円形をなし、その上下方向における開口領域は、端子台51の上面よりも上方の高さから端子台51の上面よりも下方の高さに亘っている。また、取付孔56の左右方向の開口領域は、端子台51とほぼ対応する範囲(3つの機器側端子52を含む範囲)に亘っている。
【0011】
次に、機器用コネクタAについて説明する。
機器用コネクタAは、合成樹脂製のハウジング10と、3つの端子金具35と、金属製のシールドシェル46とを備えて構成されている。
ハウジング10は、アウタハウジング11とインナハウジング17とを組み付けたものである。アウタハウジング11の内部には、側方から見て略L字形に屈曲しているとともに、アウタハウジング11の前端面と下面後端部とに開口する収容空間12が形成されている。収容空間12のうちアウタハウジング11の前端面に開口する前側の空間は、インナハウジング17を収容して保持するための保持空間13となっている。収容空間12のうちアウタハウジング11の下面に開口する後側の空間は、側方から見て略四半円弧状をなしていて電線40を配索するための配索空間14となっている。また、アウタハウジング11の前端部には、その上面板及び下面板を上下に貫通する形態の複数ずつの係止孔15が形成されている。アウタハウジング11の前端部の正面形状は、取付孔56と整合する横長の長円形をなしており、アウタハウジング11の前端部の外周にはシールリング16が装着されている。
【0012】
インナハウジング17は、上部材18と下部材25とを上下に合体させたものであり、正面から見て横長の長円形をなしている。
上部材18の下面には、その後端縁に沿った後面壁19が突出形成されているとともに、上部材18の下面における後面壁19よりも前方の領域には、前後方向に長い3つの凹部20が左右に並列して形成されている。3つのうち中央に位置する凹部20は、上部材18の前端面側に開放されており、両側に位置する凹部20は、上部材18の前端面側と側面側とに開放されている。また、中央に位置する凹部20の左右両内側面における略前半領域は、保持面21となっており、左右両側に位置する凹部20の中央寄りの内側面における略前半領域も、保持面21となっている。
【0013】
各凹部20には、その前端部位置から下方へ突出させた形態のガイドピン22が形成されている。ガイドピン22の突出方向は、機器用コネクタAを機器Bに組み付けた状態において、上記した機器側端子52の接続面53と略直角をなす。ガイドピン22の突出方向と直角な断面形状は方形をなしている。また、ガイドピン22は、その突出端部(下端部)において前後方向の寸法が少し小さくなっている。また、上部材18の後端部には、後面壁19における各凹部20と対応する3位置を半円形に切欠した形態の半円溝23が形成されている。この半円溝23の曲率半径は、後述する電線40の外径よりも大きい寸法となっている。さらに、上部材18の上面(外面)には、アウタハウジング11の係止孔15に対して係止可能な係止突起24が形成されている。
【0014】
下部材25の上面には、その後端縁に沿った後面壁26が突出形成されているとともに、下部材25の上面における後面壁26よりも前方の領域には、上部材18と同様、前後方向に長い3つの凹部27が左右に並列して形成されている。3つのうち中央に位置する凹部27は、下部材25の前端面側に開放されており、両側に位置する凹部27は、下部材25の前端面側と側面側とに開放されている。各凹部27には、その前端部位置から上方へ突出させた形態の嵩上げ部28が形成されている。そして、各嵩上げ部28には、その上面から下方へ穿孔した形態の受け孔29が形成されている。受け孔29には、上記ガイドピン22が水平方向(機器用コネクタAを機器Bに組み付けた状態において、機器側端子52の接続面53と平行な方向)への相対移動を規制された状態で嵌合されるようになっている。
【0015】
また、下部材25の後端部には、後面壁26における各凹部27と対応する3位置を半円形に切欠した形態の半円溝30が形成されている。この半円溝30の曲率半径は、上部材18の半円溝23と同じ寸法(後述する電線40の外径よりも大きい寸法)となっている。さらに、下部材25の下面(外面)には、アウタハウジング11の係止孔15に対して係止可能な係止突起31が形成されている。
【0016】
かかる上部材18と下部材25は、3つのガイドピン22を夫々受け孔29に嵌合させるようにして合体され、もって、インナハウジング17が構成される。合体した状態では、凹部20間の隔壁と凹部27間の隔壁とが当接するとともに、後面壁19,26同士が当接し、対応する凹部20,27によって左右に並ぶ3つのキャビティ32が形成される。各キャビティ32のうち嵩上げ部28と対応する前端部分は前部キャビティ32Fとなっており、この前部キャビティ32Fのうち嵩上げ部28の形成領域の上下間隔は、後述する端子金具35の接続部36の板厚よりも大きい寸法となっている。また、前部キャビティ32Fよりも後方の領域は、嵩上げ部28の形成領域よりも上下寸法の大きい後部キャビティ32Rとなっている。また、対応する半円溝23,30によって左右3つの円形孔33が形成されている。
【0017】
かかるインナハウジング17は、アウタハウジング11の保持空間13に対し、上下左右へのガタ付きなく嵌入され、インナハウジング17が所定位置まで嵌入された状態では、係止突起24,31と係止孔15との係止によりインナハウジング17とアウタハウジング11が前後方向への相対移動を規制された状態に保持される。
【0018】
端子金具35は、全体として前後方向に細長く、前側のほぼ2/3の領域は略水平な板状をなす接続部36となっており、端子金具35の後端部は電線圧着部37となっている。電線圧着部37は、接続部36から下方へ延出する左右一対のカシメ片を有しており、電線40の前端部外周にカシメ片を巻き付けるようにカシメ付けることにより、導通可能に固着されている。尚、電線40の前端部は、絶縁被覆42を剥いて導体41を露出させた状態となっており、電線圧着部37はこの導体41に対して導通可能に圧着されている。電線40と端子金具35を固着した状態では、電線40の前端部の軸線は端子金具35の長さ方向とほぼ同軸状をなす。つまり、電線40の前端部と端子金具35は、前後方向を向いてほぼ真っ直ぐに連結されている。かかる端子金具35の接続部36には、上記したガイドピン22を水平方向(機器用コネクタAを機器Bに組み付けた状態において、接続面53と平行な方向)への相対移動を規制する状態に貫通させる方形のガイド孔38が形成されている。さらに、接続部36の前端部(ガイド孔38よりも前方の位置)には、上下に貫通するボルト孔39が形成されている。
【0019】
かかる端子金具35は、上部材18と下部材25を合体させる工程で、インナハウジング17に組み付けられる。組付に際しては、まず、電線40に接続した端子金具35をアウタハウジング11の内部を貫通させてアウタハウジング11の前方へ引き出しておく。そして、その端子金具35の接続部36の後端部を嵩上げ部28の上面に載せてガイド孔38を受け孔29に対応させるとともに、電線圧着部37を下部材25の凹部27に収容し、この状態からガイドピン22をガイド孔38と受け孔29に嵌入させつつ、上部材18を下部材25に対して被せるようにして合体させ、端子金具35の接続部36の後端部と電線圧着部37を上下両部材18,25の間に挟み込む。以上により、上下両部材18,25が合体されてインナハウジング17が構成されるとともに、インナハウジング17の内部に端子金具35の後端部と電線40の前端部とが保持される。このようにしてインナハウジング17と端子金具35を組み付けた状態では、ガイドピン22とガイド孔38の嵌合により、端子金具35がインナハウジング17に対して前後左右方向への相対移動が規制されるとともに、接続部36の前後方向に長い側縁が上部材18の保持面21に対して面接触するように当接することにより、端子金具35がガイドピン22を中心として水平面上で傾くことが規制される。また、接続部36の前端部(ボルト孔39が形成されている領域)はインナハウジング17から前方へ突出している。一方、電線40は、インナハウジング17から後方へ導出されて、アウタハウジング11の内部を貫通している。
【0020】
上記のようにして端子金具35をインナハウジング17に組み付けた後は、電線40を引っ張ってインナハウジング17をアウタハウジング11の内部に引き込む。アウタハウジング11内に嵌入されたインナハウジング17は、係止突起24,31と係止孔15の係止により前後方向への相対移動を規制された状態で保持空間13内に収容される。また、インナハウジング17の外周面と保持空間13の内周面との当接により、インナハウジング17はアウタハウジング11に対して上下左右方向への相対移動を規制される。
【0021】
一方、インナハウジング17の後方においては、電線40がアウタハウジング11内の配索空間14内において略四半円弧状をなすように弾性的に曲げ変形させられている。そして、電線40におけるアウタハウジング11の下方へ導出された部分に予め外嵌されていた防水用のゴム栓43を上方へスライドさせて、配索空間14の下面側の開口部に内嵌させる。これにより、アウタハウジング11の下方から配索空間14内への浸水が防止される。さらに、アウタハウジング11の下端部にはゴム栓43の離脱を規制するためのホルダ44が組み付けられる。
【0022】
また、3本の電線40は、筒状をなす金属製の編組線からなるシールド部材45によって一括して包囲された状態となっており、シールド部材45の前端部は、金属製のシールドプレート47に対して導通可能に固着されている。シールドプレート47は、シールドカバー48とともにシールドシェル46を構成するものであり、アウタハウジング11に対しその下面側に重ねられるように組み付けられる。一方、シールドカバー48は、アウタハウジング11に対しその上面、後面及び左右両側面に重ねられるように組み付けられる。そして、アウタハウジング11に組み付けられたシールドプレート47とシールドカバー48は、左右両側縁及び後縁において互いに導通可能に接続されることで、前方に開放された箱状をなすシールドシェル46を構成する。以上により、アウタハウジング11はシールドシェル46によって包囲される。
【0023】
以上により機器用コネクタAの組付けが完了する。
この状態では、図2に示すように、電線40のうち配索空間14の下面側の開口部を貫通する部分は、ゴム栓43を介してアウタハウジング11に固定され、電線40のうち配索空間14内においてその内周面との間に大きく隙間を空けて屈曲されている部分には、その曲げに起因する弾性復元力が蓄勢されている。したがって、この弾性復元力により、端子金具35は、インナハウジング17内において上方へ付勢され、この付勢力により、接続部36の後端部が上部材18の下面に当接、若しくは電線40における電線圧着部37の後端に隣接する部分(円形孔33を貫通している部分)が円形孔33を構成する上部材18の半円溝23の内周面に当接して、それ以上の上方への移動を規制された状態に保持される。この状態では、円形孔33内においてその内周面と電線40の下面との間に隙間があり、電線圧着部37の下面と下部材25の上面との間に隙間があり、接続部36の後端部の下面と下部材25の嵩上げ部28の上面との間に隙間があるため、端子金具35は、電線40を弾性撓みさせつつハウジング10に対して下方へ相対移動することが可能となっている。
【0024】
かかる機器用コネクタAを機器Bに組み付ける際には、接続部36の前端を先に向けてハウジング10をケース50の外部から取付孔56内に嵌合する。このとき、端子金具35とハウジング10の移動方向は、水平方向、即ち機器側端子52の接続面53とほぼ平行な方向であるが、上記のように端子金具35は電線40の付勢力により上方位置に保持されているので、移動中の接続部36の高さは機器側端子52の接続面53よりも上方の位置である。したがって、接続部36が機器側端子52や端子台51に突き当たる虞はない。しかも本実施形態では、接続部36の前端が機器側端子52に到達するより前に、シールドカバー48の前端部48Fがケース50の上面に重なるようになっているので、この重なり作用により、接続部36の高さは、確実に機器側端子52よりも高い位置に保たれる。つまり、接続部36の下面と機器側端子52の接続面53(上面)との間には隙間が空いている。
また、アウタハウジング11(ハウジング10)には、その前端縁における略上半分領域から前方へ突出する庇状のガイド部11Fが形成されているが、このガイド部11Fの高さ寸法は、ハウジング10の高さ寸法(即ち、取付孔56の上下方向の開口寸法)よりも小さいので、このガイド部11Fを取付孔56に進入させることにより、ハウジング10をケース50の外面に突き当てることなく取付孔56内に嵌入させることができる。
【0025】
ハウジング10を取付孔56に対して正しく嵌合した状態では、シールドシェル46の前端の開口縁がケース50の外面に当接するとともに、接続部36のボルト孔39が機器側端子52のボルト孔54と対向するように位置する。この後は、ボルト締め等によりシールドシェル46をケース50に対して導通可能に固着するとともに、両ボルト孔39,54に差し込んだボルト60を雌ネジ孔55に螺合する。ボルト60の締付けを進めると、ボルト60の頭部61が接続部36の上面に当接して接続部36を下方へ押し下げていく。このとき、端子金具35がハウジング10に対して下方へ移動するとともに、配索空間14内における電線40の曲げの曲率が大きくなる。そして、ボルト60を最後まで締め付けると、接続部36の下面が機器側端子52の接続面53に対して面接触状態で当接し、端子金具35と機器側端子52とが導通可能に接続される。以上により、機器用コネクタAの機器Bへの組付けが完了する。
【0026】
上述のように本実施形態においては、端子金具35を、ハウジング10に対して接続面53から離間する方向へ付勢したので、ハウジング10を取付孔56に嵌入する過程では、端子金具35を機器側端子52と非干渉の経路に沿って移動させることができる。これにより、機器側端子52に対する端子金具35の干渉を回避でき、ひいては、機器Bへの組付け作業を円滑に行うことができる。
また、電線40の弾性復元力によって端子金具35を付勢するようにしたので、端子金具35を付勢するための専用の付勢手段が不要となっている。
また、端子金具35と機器側端子52は、軸線を接続面53と略直角に向けたボルト60の締め付けによって導通可能に接続されるようになっているので、ボルト60を締め付けるだけで端子金具35を接続面53に接触させることができる。
また、機器側端子52の位置が正規よりも端子金具35から離間する方向(即ち、下方)へずれている場合には、機器側端子52と端子金具35との間のクリアランスが大きくなるのであるが、端子金具35は接続面53に接近する方向(即ち、上方)へ移動できるようになっているので、端子金具35と機器側端子52をボルト60の締め付けによって接近させたときに、端子金具35と機器側端子52、及びこれらの周辺部品等に過大な負荷がかかる虞はない。
【0027】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では端子金具を付勢する手段として電線の弾性復元力を利用したが、本発明によれば、専用の付勢手段(ハウジングに一体形成されて端子金具に当接させるようにしたバネ片や、端子金具に一体形成されてハウジングに当接させるようにしたバネ片や、ハウジングとは別体部品であってハウジング内に収容した付勢部材)を設けてもよい。この場合、電線はハウジング内で曲げずに配索してもよい。
(2)上記実施形態ではボルトによって端子金具を機器側端子に接続したが、本発明によれば、ボルト締め以外の手段によって端子金具と機器側端子を接続してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態1において機器用コネクタを機器に取り付けた状態をあらわす断面図
【図2】機器用コネクタを機器に取り付ける過程をあらわす断面図
【図3】機器用コネクタの正面図
【図4】機器用コネクタの水平断面図
【図5】インナハウジングを分解いた状態をあらわす正面図
【図6】図5のX−X線断面図
【図7】上部材の底面図
【図8】下部材の平面図
【符号の説明】
【0029】
A…機器用コネクタ
B…機器
10…ハウジング
35…端子金具
40…電線
50…ケース
52…機器側端子
53…接続面
60…ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に機器側端子を設けた形態の機器に対して取り付けられるものであって、
前記ケースの取付孔に対し前記機器側端子の接続面と略平行に嵌入されるハウジングと、
前記ハウジングに保持されて前記ハウジングの前端から突出する端子金具とを備えており、
前記ハウジングを前記取付孔に嵌入することで、前記端子金具が前記機器側端子の接続面と対向するようになっており、
前記端子金具がボルト締めにより前記機器側端子に対して重ねられた状態で接続されるようになっている機器用コネクタにおいて、
前記端子金具が、前記ハウジングに対し、前記接続面と略直角な方向への移動を可能に支持されているとともに、前記接続面から離間する方向へ付勢されていることを特徴とする機器用コネクタ。
【請求項2】
前記端子金具の後端部には電線が接続され、
前記電線が、前記ハウジング内の配索空間内において屈曲された状態で配索されており、
前記電線に曲げ配索に起因して蓄勢されている弾性復元力により、前記端子金具が前記接続面から離間する方向へ付勢されていることを特徴とする請求項1記載の機器用コネクタ。
【請求項3】
前記端子金具と前記機器側端子は、軸線を前記接続面と略直角に向けたボルトの締め付けによって導通可能に接続されるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の機器用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−98103(P2008−98103A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281663(P2006−281663)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】