説明

機器管理システム

【課題】管理対象とする機器に発生した障害に対する対処の緊急度を判定することのできるシステムを提供する。
【解決手段】機器管理システム1は、機器に発生した障害に対応する障害メッセージを所定の装置へ送信する管理対象機器3と、障害メッセージの重要度とシステム情報を管理対象機器3毎に記憶した機器データベースが設けられ、管理対象機器3から障害メッセージを受信すると、機器データベースを参照し、管理対象機器3が送信した障害メッセージ及び障害が発生したコンポーネントの重要度に基づき、管理対象機器3が送信した障害メッセージに対する対処の緊急度を判定する緊急度判定手段を備えた機器管理装置2とから少なくとも構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバやクライアントPCなどの管理対象機器に障害が発生した際、管理対象機器に発生した障害の緊急度を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークシステムは、サーバ、クライアントPCやネットワーク機器(例えば、ルータ)など複数の機器から構成され、その内の一台の機器に障害が発生してもシステム機能が低下又は停止してしまうため、ネットワークシステムの管理者は、ネットワークシステムを構成する機器に発生する障害を監視することが要求されている。
【0003】
ネットワークシステムを構成する機器に発生する障害を監視する発明として、コンピュータに発生する障害を遠隔地で迅速かつ的確に把握することが可能な発明(特許文献1)や、一定時間周期で前回と重複なしに障害情報を対象機器から取得し、報告を要する障害情報の場合、該障害内容を通知する発明(特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001―325165号公報
【特許文献2】特開平11―149396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、障害に対処するといっても、早急な対処を必要とする障害もあれば、早急な対処を必要としない障害もあるため、障害に対する対処する場合、障害に対する対処の緊急度を判定できることが望ましいが、上述した従来の技術は、ネットワークシステムを構成する機器に発生した障害に対する対処の緊急度に着目した発明ではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、管理対象とする機器に発生した障害に対する対処の緊急度を判定することのできるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決する第1の発明は、機器に発生した障害に対応する障害メッセージを所定の装置へ送信する管理対象機器と、少なくとも前記障害メッセージの重要度を前記管理対象機器毎に記憶した機器データベースが設けられ、前記管理対象機器から前記障害メッセージを受信すると、前記機器データベースを参照し、前記管理対象機器が送信した前記障害メッセージの重要度に基づき、前記管理対象機器が送信した前記障害メッセージに対する対処の緊急度を判定する緊急度判定手段を備えた機器管理装置とから、少なくとも構成されていることを特徴とする機器管理システムである。
【0008】
更に、第2の発明は、第1の発明に記載の機器管理システムにおいて、前記障害メッセージには、障害が発生した前記管理対象機器のコンポーネントを示す情報が含まれ、前記機器データベースには、前記管理対象機器を構成するコンポーネントとその重要度を記した前記管理対象機器のシステム情報が記憶され、前記機器管理装置の前記緊急度判定手段は、前記障害メッセージを送信した前記管理対象機器に対応する前記システム情報と前記障害メッセージの重要度を前記機器データベースから取得し、前記障害メッセージの重要度及び前記障害メッセージから特定したコンポーネントの重要度に基づき、前記障害メッセージに対する対処の緊急度を判定することを特徴とする。
【0009】
更に、第3の発明は、第2の発明に記載の機器管理システムにおいて、前記機器管理装置の前記緊急度判定手段は、前記管理対象機器から受信した前記障害メッセージのログを記憶し、前記障害メッセージの重要度、前記障害メッセージから特定したコンポーネントの重要度及び前記障害メッセージの受信回数に基づき、前記障害メッセージに対する対処の緊急度を判定することを特徴とする。
【0010】
更に、第4の発明は、第1の発明から第3の発明のいずれか一つに記載の機器管理システムにおいて、前記機器管理装置は、前記緊急度判定手段が判定した緊急度が閾値以上の場合、前記緊急度判定手段が判定した緊急度及び前記障害メッセージを通知するアクションを行う障害対処手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
更に、第5の発明は、第4の発明に記載の機器管理システムにおいて、前記機器管理装置の前記障害対処手段には、前記管理対象機器から受信した前記障害メッセージに対処するアクションが登録され、前記機器管理装置の前記障害対処手段は、前記緊急度判定手段が判定した緊急度及び前記障害メッセージを通知するアクションに加え、前記管理対象機器から受信した前記障害メッセージに対応するアクションを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、管理対象とする機器に発生した障害に対する対処の緊急度を判定することのできるシステムを提供できる。
【0013】
第1の発明のように、機器管理装置の機器データベースに、管理対象機器のメーカが障害メッセージに設定した重要度、又は、システム管理者が障害メッセージに設定した重要度を記憶しておき、機器管理装置の緊急度判定手段が、管理対象機器が送信した障害メッセージの重要度に応じて、管理対象機器が送信した障害メッセージに対する対処の緊急度を判定すれば、管理対象機器が送信した障害メッセージに対する対処の緊急度を判定できるようになる。
【0014】
また、管理対象機器は複数のコンポーネント(例えば,CPU、メインメモリ、ハードディスクなど)から構成されることが一般的であるため、第2の発明のように、機器管理装置が、障害が発生したコンポーネントが管理対象機器全体に与える影響を考慮して、障害メッセージに対する対処の緊急度を判定するようにすることが望ましく、また、第3の発明のように、機器管理装置が、管理対象機器に発生した障害の発生度を考慮して、障害メッセージに対する対処の緊急度を判定するようにすることが望ましい。
【0015】
更に、第4の発明のように、機器管理装置が、緊急度が閾値以上の場合、緊急度判定手段が判定した緊急度及び障害メッセージを通知するアクションを行えるようにすることが望ましく、また、第5の発明のように、機器管理装置が、管理対象機器から受信した障害メッセージに対処するアクションを実行することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る機器管理システムの構成の例を示す図。
【図2】機器管理装置に備えられた機能を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここから,本発明の実施形態について,本発明の技術分野に係わる当業者が,発明の内容を理解し,発明を実施できる程度に説明する。なお、これから説明する実施形態は本発明の一実施形態にしか過ぎず、本発明は,これから説明する実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能である。
【0018】
図1は、本実施形態に係る機器管理システム1の構成の例を示す図で、図1で図示した機器管理システム1は、管理対象機器3から得られる障害メッセージを用いて、管理対象機器3に発生する障害を監視する機器管理装置2と複数台の管理対象機器3がネットワーク4に接続された構成で、図1では、管理対象機器3として、サーバ3a、クライアントPC3b及びネットワーク機器3cを図示している。
【0019】
図1において、管理対象機器3には、機器に発生した障害に対応する障害メッセージを所定の装置(機器管理装置2)へ送信するコンピュータプログラムが実装され、管理対象機器3に障害が発生すると、管理対象機器3は、発生した障害に対応する障害メッセージを機器管理装置2へ送信する。
【0020】
図2は、機器管理装置2に備えられた機能を説明する図である。機器管理装置2は、CPU,チップセット、メインメモリ、データ記憶装置などが実装されたコンピュータで実現される装置で、機器管理装置2に接続されたデータ記憶装置には、少なくとも障害メッセージの重要度を管理対象機器3毎に記憶した機器データベース22が設けられ、更に、コンピュータプログラムを利用して実現される手段として、管理対象機器3から障害メッセージを受信すると、機器データベース22を参照し、管理対象機器3が送信した障害メッセージの重要度に基づき、管理対象機器3が送信した障害メッセージに対する対処の緊急度を判定する緊急度判定手段20と、緊急度判定手段20が判定した緊急度が閾値以上の場合、緊急度判定手段20が判定した緊急度及び障害メッセージを通知するアクションを行う障害対処手段21を備えている。
【0021】
機器管理装置2の緊急度判定手段20が、管理対象機器3が送信した障害メッセージの重要度に基づき、管理対象機器3が送信した障害メッセージに対する対処の緊急度を判定する際、管理対象機器3のメーカが障害メッセージに設定した重要度、又は、システム管理者が障害メッセージに設定した重要度が機器データベース22に記憶され、機器データベース22に記憶されている障害メッセージの重要度を管理対象機器3が送信した障害メッセージに対する対処の緊急度として利用するようにすることもできるが、管理対象機器3は複数のコンポーネント(例えば,CPU、メインメモリ、ハードディスクなど)から構成されることが一般的であるため、障害が発生したコンポーネントが管理対象機器3全体に与える影響を考慮して、障害メッセージに対する対処の緊急度を判定できることが望ましい。
【0022】
例えば、管理対象機器3となるクライアントPC3bにおいて、複数台のハードディスクを組み合わして利用している場合、一つのハードディスクに発生した障害の重要度が高くとも、クライアントPC3b全体に与える影響は小さいため、総合的には該障害メッセージの緊急度は低いと判定できることが望ましい。
【0023】
障害が発生したコンポーネントが管理対象機器3全体に与える影響を考慮して、障害メッセージに対する対処の緊急度を判定する手法としては、管理対象機器3を構成するコンポーネントとその重要度を記した管理対象機器3のシステム情報を機器データベース22に記憶しおき、機器管理装置2の緊急度判定手段20は、障害メッセージを送信した管理対象機器3に対応するシステム情報と、障害メッセージの重要度を機器データベース22から取得し、障害メッセージの重要度及び障害メッセージから特定したコンポーネントの重要度を乗算するなどして、障害メッセージの重要度及び障害メッセージから特定したコンポーネントの重要度に基づき、障害メッセージに対する対処の緊急度を判定する。
【0024】
なお、障害が発生したコンポーネントが管理対象機器3全体に与える影響を考慮して、障害メッセージに対する対処の緊急度を判定する手法を用いる場合、管理対象機器3が送信する障害メッセージには、障害が発生した管理対象機器3のコンポーネントを示す情報を含ませることが必要になる。
【0025】
更に、管理対象機器3に発生した障害の発生度を考慮して、障害メッセージに対する対処の緊急度を判定するようにすることもできる。管理対象機器3に発生した障害の発生度を考慮して、障害メッセージに対する対処の緊急度を判定する際、機器管理装置2の緊急度判定手段20は、管理対象機器3から受信した障害メッセージのログを機器データベース22に記憶しておき、今回を含め、同じ障害メッセージを受信した受信回数を求め、障害メッセージの重要度、障害が発生したコンポーネントの重要度及び障害メッセージの受信回数に応じた指標を乗算するなどして、障害メッセージの重要度、障害メッセージから特定したコンポーネントの重要度及び障害メッセージの受信回数に基づき、障害メッセージに対する対処の緊急度を判定する。
【0026】
機器管理装置2の障害対処手段21は、緊急度判定手段20が判定した緊急度が閾値以上の場合、緊急度判定手段20が判定した緊急度及び障害メッセージを通知するアクションを行う手段で、緊急度判定手段20が判定した緊急度が閾値以上の場合、機器管理装置2の緊急度判定手段20が判定した緊急度と障害メッセージを所定のディスプレイに表示するなどして、緊急度の高い障害メッセージをシステム管理者に通知する。
【0027】
また、機器管理装置2の障害対処手段21に、管理対象機器3から受信した障害メッセージに対処するアクションを登録しておき、管理対象機器3から受信した障害メッセージに対応するアクションを機器管理装置2の障害対処手段21に実行させるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0028】
1 機器管理システム
2 機器管理装置
20 緊急度判定手段
21 障害対処手段
22 機器データベース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に発生した障害に対応する障害メッセージを所定の装置へ送信する管理対象機器と、少なくとも前記障害メッセージの重要度を前記管理対象機器毎に記憶した機器データベースが設けられ、前記管理対象機器から前記障害メッセージを受信すると、前記機器データベースを参照し、前記管理対象機器が送信した前記障害メッセージの重要度に基づき、前記管理対象機器が送信した前記障害メッセージに対する対処の緊急度を判定する緊急度判定手段を備えた機器管理装置とから、少なくとも構成されていることを特徴とする機器管理システム。
【請求項2】
前記障害メッセージには、障害が発生した前記管理対象機器のコンポーネントを示す情報が含まれ、前記機器データベースには、前記管理対象機器を構成するコンポーネントとその重要度を記した前記管理対象機器のシステム情報が記憶され、前記機器管理装置の前記緊急度判定手段は、前記障害メッセージを送信した前記管理対象機器に対応する前記システム情報と前記障害メッセージの重要度を前記機器データベースから取得し、前記障害メッセージの重要度及び前記障害メッセージから特定したコンポーネントの重要度に基づき、前記障害メッセージに対する対処の緊急度を判定することを特徴とする、請求項1に記載の機器管理システム。
【請求項3】
前記機器管理装置の前記緊急度判定手段は、前記管理対象機器から受信した前記障害メッセージのログを記憶し、前記障害メッセージの重要度、前記障害メッセージから特定したコンポーネントの重要度及び前記障害メッセージの受信回数に基づき、前記障害メッセージに対する対処の緊急度を判定することを特徴とする、請求項2に記載の機器管理システム。
【請求項4】
前記機器管理装置は、前記緊急度判定手段が判定した緊急度が閾値以上の場合、前記緊急度判定手段が判定した緊急度及び前記障害メッセージを通知するアクションを行う障害対処手段を備えていることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の機器管理システム。
【請求項5】
前記機器管理装置の前記障害対処手段には、前記管理対象機器から受信した前記障害メッセージに対処するアクションが登録され、前記機器管理装置の前記障害対処手段は、前記緊急度判定手段が判定した緊急度及び前記障害メッセージを通知するアクションに加え、前記管理対象機器から受信した前記障害メッセージに対応するアクションを実行することを特徴とする、請求項4に記載の機器管理システム。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−174079(P2012−174079A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36642(P2011−36642)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】