説明

機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維およびその製造方法

【課題】耐久性よく機能剤を付与された再生ポリエチレンテレフタレート繊維を提供する。
【解決手段】再生ポリエチレンテレフタレートと機能剤を主原料とし、繊維断面がC字型に1個以上の凸部を有する形状または5個以上の凸部を有する多角形の形状である、機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維。機能剤は、撥水撥油剤、抗菌剤、消臭剤、防汚剤、防ダニ剤、帯電防止剤、吸水剤、吸発熱剤、遠赤保温剤、アレルゲン不活化剤および難燃剤から選択され、繊維中に練り込まれるか、繊維表面に付着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称することもある)は、溶融紡糸により、滑らかな表面を持つとともに細くしなやかな繊維を生産できることが知られており、作業服や一般的なシャツなどの原料繊維として知られている。
【0003】
しかし、従来知られているPET繊維の表面は、上記のように滑らかな表面を有するうえ、遊離した官能基がないため、機能剤が固着しづらく、製造工程中あるいは使用中に脱落するおそれがあった。また、機能剤の脱落を防止するためにバインダーを多く付着させると機能性が低下し、且つ、硬い風合いで商品にならないことが多かった。
【0004】
一般に繊維に、染料やその他の機能性材料を付与するために、紡糸ノズルの金口を異型にすることや、紡糸後に化学処理を施すことによって、表面に凹凸をつけ、染料やその他の機能性材料などとの親和性を高める試みがなされている(特許文献1〜3を参照)。しかし、再生PET繊維については、表面に凹凸を有する繊維は知られておらず、また、再生PET繊維に、かかる凹凸を付与するための方法も知られていない。
【0005】
機能性材料の一例であるキトサンは、甲殻類の甲皮中に含まれるキチンのアセチル基を化学的に取り除く「脱アセチル反応」により得られ、各種産業資材として広範に使用されている。例えば、キトサンは抗菌性や優れた染色性等の各種特性を有するため、衣料用加工材としての利用も可能である。かかるキトサンの機能に着目し、繊維にキトサンを付着させる技術が開発されている。しかし、再生PET繊維表面に直接キトサンを付着または結合させた例は知られていない。
【0006】
また、液体飲食品用PETボトルなどに一度成型使用されたPETを再利用すなわちリサイクルすることは、資源のリサイクルに貢献する点で重要視されている。このリサイクルPETの注目される製品として、再溶融・紡糸によるポリエステル繊維があり、これは衣料用あるいは産業資材用途に使用されている。
【0007】
消費者のニーズが多様化する中、リサイクル性はもちろんのこと、さらに機能を付与した商品が望まれている。
【特許文献1】特開平7−166423号公報
【特許文献2】特開平11−43859号公報
【特許文献3】特開平9−157944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、機能剤を繊維に固着させるバインダーを使用しないで、耐久性のある機能性異型再生PET繊維およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、再生ポリエチレンテレフタレートと機能剤を主原料とし、繊維断面がC字型に1個以上の凸部を有する形状または5個以上の凸部を有する多角形の形状である、機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維を提供する。好ましくは、該再生PET繊維は表面に微細な凹凸構造を有している。
【0010】
本発明において、機能剤は、繊維中に練り込まれていてもよいし、繊維表面に付着していてもよいし、その両方、即ち、機能剤が繊維中に練り込まれており、さらに繊維表面に付着していてもよい。
【0011】
本発明において、機能剤は、撥水撥油剤、抗菌剤、消臭剤、防汚剤、防ダニ剤、帯電防止剤、吸水剤、吸発熱剤、遠赤保温剤、アレルゲン不活化剤および難燃剤からなる群から選択される1種以上であるのが好ましい。繊維表面に付着させる機能剤としては、特にキトサンが好ましい。
【0012】
本発明はまた、再生ポリエチレンテレフタレートを含む原料を溶融し、断面形状がC字型に1個以上の凸部を有する形状または5個以上の凸部を有する多角形の形状である紡糸口金を介して紡糸し、延伸することを含む再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法において、延伸中または延伸後に、繊維に熱アルカリ処理を施し、繊維表面に微細な凹凸構造を付与し、機能剤を繊維表面に付着させる工程を含めることにより繊維に機能性を付与することを含む、機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法を提供する。(この方法を以下熱アルカリ処理法と称することもある)。
【0013】
熱アルカリ処理法によると、熱アルカリ処理により、再生PET繊維の表面に微細な凹凸が形成され、さらにPETを構成する官能基である、カルボキシル基や水酸基が遊離する。異型断面および微細な凹凸構造を有することにより、機能剤が物理的に付着するのみならず、遊離の官能基と、機能剤の官能基との化学結合により、機能剤が化学的に付着する。
【0014】
上記方法において好ましくは、熱アルカリ処理は1〜30分間、10w/v%〜40w/v%のNaOH水溶液を用いて、50℃〜90℃にて行う。
【0015】
本発明はさらに、再生ポリエチレンテレフタレートを含む原料を溶融し、断面形状がC字型に1個以上の凸部を有する形状または5個以上の凸部を有する多角形の形状である紡糸口金を介して紡糸し、延伸することを含む再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法において、機能剤を再生ポリエチレンテレフタレートと共に溶融する工程を含めることにより繊維に機能性を付与することを含む、機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法を提供する。(この方法を以下練り込み法と称することもある)。
【0016】
練り込み法によると、機能剤があらかじめ再生PETと共に溶融されているため、機能剤が繊維に練り込まれた、機能性異型再生PET繊維が得られる。
【0017】
本発明はまた、再生ポリエチレンテレフタレートを含む原料を溶融し、断面形状がC字型に1個以上の凸部を有する形状または5個以上の凸部を有する多角形の形状である紡糸口金を介して紡糸し、延伸することを含む再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法において、熱水またはアルカリで抽出される抽出剤を再生ポリエチレンテレフタレートと共に溶融し、紡糸後、延伸中または延伸後に、該抽出剤の一部を抽出して、維表面に微細な凹凸構造を付与し、機能剤を繊維表面に付着させる工程を含めることにより繊維に機能性を付与することを含む、機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法も提供する。(この方法を以下抽出剤法と称することもある)。
【0018】
抽出剤法によると、あらかじめ再生PETの中に存在している抽出剤が、熱水またはアルカリにより抽出されるため、繊維表面に、機能剤の付着に好適な微細な凹凸構造が付与される。
【0019】
本発明はまた、本発明の上記方法によって得られる機能性異型再生PET繊維を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の機能性異型再生PET繊維は、高度に異型化された断面を有し、所望によりさらなる化学的手段により表面に微細な凹凸構造を有しているため、染料や機能性材料が高い親和性にて耐久性よく固定される。
さらに、本発明の機能性異型再生PET繊維は直接染色により、2色性等の特性も発揮することが可能である。
また、本発明の機能性異型再生PET繊維は、吸水性、保温性、吸音性にも優れている。
さらに、本発明によると、機能剤をバインダーを用いることなく再生PET繊維に固着させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本明細書および特許請求の範囲において、「再生ポリエチレンテレフタレート」または「再生PET」とは、PETボトル、フィルム、繊維などに一度成型された後、分別回収され、異物を取り除いた後、低分子に戻されることなく、再び成型するために利用されるポリエチレンテレフタレート(PET)をいう。再生PETとしては、液体飲食品用PETボトルを回収したものを用いることが好ましい。
【0022】
本発明の機能性異型再生PET繊維の原料として用いる再生PETは、再生PETとして市販されているもの、液体飲食品用PETボトルなどの使用後のPET製品を、切断し、フレーク状にしたもの、使用後のPET製品を破砕溶解した後固化させ、これをペレット状にしたものなどが挙げられるが、特に制限されない。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲において、「機能剤」とは、異型再生PET繊維に機能を付与するあらゆる材料をいい、特に限定されない。
【0024】
好ましくは機能剤は、撥水撥油剤、抗菌剤、消臭剤、防汚剤、防ダニ剤、帯電防止剤、吸水剤、吸発熱剤、遠赤保温剤、アレルゲン不活化剤および難燃剤からなる群から選択される1種以上である。
ここで、撥水撥油剤としては、フッ素系、シリコン系、ポリオレフィン系の高分子有機化合物、
抗菌剤および消臭剤としては、光触媒の酸化チタン、銀、酸化銀、酸化亜鉛、ゼオライト、木炭など、およびそれらを酸化ケイ素やリン酸カルシウムなどで表面処理した無機化合物、あるいは抗菌防カビ剤として効果のあるトリアジン系化合物、フェノール系化合物、キチンやキトサンなどの糖質系化合物、アルキルジグリシンや脂肪酸モノグリセライドなどの界面活性剤などの有機化合物、さらに抗菌性のキトサンや消臭性の木炭などの天然化合物、
防汚剤としては、アクリル系化合物、シリコン系化合物、フルオロアクリレート、フッ素系化合物などの有機化合物、
防ダニ剤としては、カルボン酸エステル系化合物、テルペノイド系化合物などの有機化合物、あるいは酸化ケイ素と酸化ホウ素が主体の無機化合物、
帯電防止剤および吸水剤としては、アニオン系やカチオン系の界面活性剤、PEG系化合物、ポリグリシジル化合物などの有機化合物、あるいは吸水・吸湿性を有するシリカゲルや酸化リンなどの無機化合物、
吸発熱剤としては、水分を吸放出する親水性アクリル化合物、あるいは室温付近で固体と液体の相変化を示すポリエチレングリコール(PEG)やパラフィンワックスなどの有機化合物、
遠赤保温剤としては、遠赤外線を放射する酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、およびそれらをシリコン系化合物やフッ素系化合物で表面処理した無機化合物、
アレルゲン不活化剤としては、花粉やダニのアレルゲンと反応して不活化するアミノ酸系化合物、フェノール系化合物、タンニン酸、カテキンなどの有機化合物、あるいはアレルゲンを分解する銅フタロシアニン系化合物や光触媒の酸化チタンなどの無機化合物、
難燃剤としては、リン系化合物やハロゲン系化合物などの有機化合物、あるいは硫酸アンモニウム、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、ケイ酸ナトリウムなどの無機化合物、
がそれぞれ挙げられる。
【0025】
さらに好ましい機能剤は、キトサンである。キトサンは抗菌性、易染性を発揮することが知られている。
【0026】
本発明において機能剤としてキトサンを用いる場合のキトサンは、市販のキトサンであってもよいし、キチンを公知方法によりN−脱アセチル化して調製したキトサンであってもよく、特に限定されない。
【0027】
本発明により、異型再生PET繊維にキトサンを付着させることにより、抗菌性、易染色性などの機能を有するPET繊維が得られる。
【0028】
さらに、ゼラチン、カゼイン、セリシン等のタンパク質を機能剤として用いてもよい。
【0029】
本明細書および特許請求の範囲において、「再生ポリエチレンテレフタレートと機能剤を主原料とする」とは、機能性異型再生PET繊維の原料として、主に再生PETと、所望の機能剤とを用いることをいうが、これら二成分以外の成分、例えば、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を少量、原料に用いてもよい。
【0030】
好ましくは、本発明の機能性異型再生PET繊維の原料は、再生PETを70重量%以上含む。また、再生PET繊維中の機能剤は、紡糸性や延伸性の点から10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
【0031】
本明細書および特許請求の範囲において、「C字型に1個以上の凸部を有する形状」とは、C字型に、1個以上の凸部を有している形状であれば、特に限定されず、例えば、図1に示すような種々の形状が挙げられる。また、「5個以上の凸部を有する多角形」としては、図2に示す様な種々の形状が挙げられる。
【0032】
なお、本発明において、繊維および紡糸口金の断面形状としては、繊維断面がC字型の内側に1個以上の凸部を有する形状が特に好ましい。
【0033】
C字型の凸部の数は1個以上であれば特に限定されない。
また、凸部の形状は、図1(1)、(2)および(3)のように丸みを帯びたものであってもよいし、図1(4)および(5)のように四角形状や、図1(6)のように三角形状でもよい。
また、凸部を2以上有する場合は、図1(7)および(8)のように、異なる形状の凸部を組み合わせて有していてもよい。
また、図1(1)〜(10)のように、C字型の内側や外側に1個以上の凸部を有しているものが含まれる。
【0034】
また、「「5個以上の凸部を有する多角形」には、図2(11)〜(13)に示すような放射状のものだけでなく、図2(14)〜(16)に示すように、Y字型、十字型や五角形の各先端に2つの凸部を有するものも、全部で5個以上の凸部がある限り含まれる。
【0035】
以下、本発明の機能性異型再生PET繊維をその製造方法について説明する。
【0036】
1)原料再生PET
再生PETの原料は、上記のように、再生PETとして市販されているもの、液体飲食品用PETボトルなどの使用後のPET製品を、切断し、フレーク状にしたもの、使用後のPET製品を破砕溶解した後固化させ、これをペレット状にしたものなどいずれであってもよい。
【0037】
例えば、PETボトルを用いる場合、使用済みPETボトルを回収し、粉砕・洗浄・乾燥して得られたフレークを、260℃〜280℃で溶融押出すると、再生ポリエステルペレットを生産することができる。
【0038】
再生PETペレットには、再生PET以外に、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を配合してもよい。添加剤の配合割合は、好ましくは再生PET100重量部に対して3重量部以下である。
【0039】
特に、本発明の、練り込み法および抽出剤法を用いる場合、再生PETペレットに、それぞれ機能剤および抽出剤を添加し、再生PETペレットと共に270〜300℃で溶融混合してから、紡糸工程に供する。
【0040】
ここで、機能剤の添加量は、再生PET100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がさらに好ましい。
【0041】
また、抽出剤の添加量は、熱水により抽出される抽出剤を用いる場合、再生PET100重量部に対して、1〜10重量部が好ましく、2〜6重量部がさらに好ましい。
【0042】
ここで、熱水により抽出される抽出剤としては、例えば、低分子のポリエチレングリコール(PEG)共重合ポリエステル、ノニオン系界面活性剤、アニオン系またはカチオン系帯電防止剤、高分子PEG、PEG共重合界面活性剤などの有機化合物が挙げられる。
【0043】
アルカリにより抽出される抽出剤を用いる場合の抽出剤の添加量は、再生PET100重量部に対して、1〜10重量部が好ましく、2〜6重量部がさらに好ましい。
【0044】
ここで、アルカリにより抽出される抽出剤は、平均粒径が10μm以下で耐熱性がありPETに練り込めるものであり、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウムなどの無機化合物、あるいはアクリル系、シリコン系、フッ素系、パラフィン系などの高分子有機化合物が挙げられる。
【0045】
2)溶融紡糸
上記のように、所望により機能剤および/または抽出剤とともに、溶融した再生PETを、従来公知のPETの溶融紡糸方法のいずれかにより紡糸する。好ましい紡糸条件としては、例えば、溶融温度280〜300℃、紡糸口金表面温度270〜310℃、紡糸速度500〜2000m/分が挙げられるが、紡糸条件は特に限定されない。
【0046】
紡糸装置としては、従来公知のいずれのものを用いてもよく、例えば、乾燥機、押し出し機、紡糸頭を備えた公知の紡糸装置が挙げられる。溶融された再生PETを含む材料は、紡糸頭に装着された紡糸口金により吐出され、固化された後、繊維とされ、次の延伸に供される。
【0047】
例示的な再生PETの紡糸方法としては、特開2005−60887号または特開2004−176205号に記載の方法が挙げられる。
【0048】
紡糸において用いる口金の断面形状は、C字型に1個以上の凸部を有する形状または5個以上の凸部を有する多角形の形状である。ノズルの断面形状は、上記に述べたとおりであり、図1および図2に示すような断面形状を有するノズルを用いるのが好ましい。
【0049】
かかる高度に異型の紡糸口金を使用することにより、複雑な断面形状を有する機能性異型再生PET繊維を得ることが出来る。かかる異型化により、吸水性、保温性、吸音性が改善され、染色性も安定化される。
【0050】
3)延伸
本発明の再生PET繊維の製造においては、溶融紡糸に次いで、延伸を行う。
延伸方式には、熱水浴延伸や熱ローラや熱プレートによる乾熱延伸などがある。本発明において、熱水により抽出される抽出剤を練り込んでいる場合は、特に延伸と同時に抽出が起こる熱水浴延伸が好ましい。この場合の温度は、抽出促進の観点から80〜98℃の高温が好ましい。
【0051】
延伸中または延伸後に、熱アルカリ処理法においては、以下に記載する熱アルカリ処理、抽出剤法においては熱水またはアルカリによる抽出剤の抽出を行う。
【0052】
4)熱アルカリ処理
熱アルカリ処理法を用いる場合、延伸中または延伸後の繊維を、熱アルカリ水溶液に浸漬することにより、熱アルカリ処理を行う。
【0053】
処理温度は好ましくは50℃〜90℃であり、90℃が特に好ましい。
【0054】
熱アルカリ処理に用いるアルカリ性物質としては、NaOH、KOHが挙げられる。
例えば、NaOH水溶液を用いる場合、10〜40w/v%水溶液が好ましく、10〜30w/v%水溶液がさらに好ましく、20〜30w/v%水溶液が特に好ましい。アルカリ濃度が高すぎる場合、作業環境に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0055】
熱アルカリ処理は、1〜30分間が好ましく、1〜5分間がさらに好ましい。熱アルカリ処理時間が長すぎる場合、繊維の減量が激しく、繊維物性を低下させるため好ましくない。
【0056】
例えば、熱アルカリ処理は、30w/v%NaOH水溶液、90℃、5分の条件が好ましい。
【0057】
熱アルカリ処理により、繊維表面に遊離の官能基が露出するが、これは例えば、0.01〜1.0重量%のキトサン酢酸塩水溶液に、90℃、10分間浸漬し、水洗した後、室温で乾燥させた繊維を常套のニンヒドリン反応に供することにより確認することが出来る。即ち、ニンヒドリン染色による発色は、キトサンが繊維表面に結合していることを示し、繊維を水洗した後にも発色がみられると、キトサンが化学結合により繊維表面に強固に結合していることが示される。ここで、キトサン酢酸塩水溶液の濃度は、好ましくは、0.01〜1.0重量%、さらに好ましくは0.05〜0.6重量%、特に好ましくは0.4〜0.6重量%である。
【0058】
キトサンと熱アルカリ処理した再生PET繊維との結合は、単なる物理的付着ではなく、再生PET繊維の有するカルボキシル基と、キトサンの有するアミノ基との化学的結合によるため、耐久性のある結合である。
【0059】
5)抽出剤の抽出
抽出剤法を用いる場合、延伸中または延伸後の繊維に対して抽出処理を行う。
【0060】
熱水により抽出される抽出剤は、80〜98℃の熱水浴に、延伸中または延伸後の繊維を浸漬することにより抽出される。
【0061】
アルカリにより抽出される抽出剤は、80〜98℃のアルカリ水浴に、延伸中または延伸後の繊維を浸漬することにより抽出される。
【0062】
熱水またはアルカリによる抽出時間は、1〜30分が好ましく、1〜5分間がさらに好ましい。
【0063】
アルカリ抽出に用いるアルカリ性物質としては、NaOH、KOHが挙げられる。
例えば、NaOH水溶液を用いる場合、10〜40重量%水溶液が好ましく、10〜30重量%水溶液がさらに好ましく、20〜30重量%水溶液が特に好ましい。アルカリ濃度が高すぎる場合、作業環境に悪影響を及ぼすため好ましくない。
【0064】
抽出剤を熱またはアルカリにより抽出することにより、繊維表面に微細な凹凸が付与され、様々な機能剤の付着および結合に好適となる。
【0065】
5)機能剤の付着
上記のようにして得られる、所望により機能剤を練り込まれた繊維は、所望により捲縮処理を施した後、表面に、機能剤を付着させる。機能剤の付着方法は、特に限定されず、繊維を機能剤を含有する溶液に浸漬させてもよいし、機能剤を含有する溶液または懸濁液を繊維に噴霧してもよい。
【0066】
例えば、機能剤としてキトサンを付与する方法としては、上記のようにして得られた繊維を、0.01〜1.0重量%、好ましくは0.05〜0.6重量%、さらに好ましくは0.4〜0.6重量%のキトサン酢酸水溶液に、90℃〜100℃で、5〜20分間、好ましくは、90℃で10分間浸漬した後、水洗し、室温で乾燥させる方法が挙げられる。
【0067】
機能剤として、例えば、ゼラチンとキトサンの両方を付着させてもよい。
ゼラチンとキトサンは異なる染色特性を示すため、深みのある中間色の繊維が得られる。
【0068】
本発明の方法では、特殊な異型断面と繊維表面の凹凸により、バインダーを用いなくても機能剤が耐久性よく繊維に固定されるので、バインダーを用いる必要はない。しかし、所望により各種機能剤の繊維への結合を増強するためにバインダーを用いてもかまわない。
【0069】
バインダーとしては、例えば、アクリル系化合物、シリコン系化合物、ウレタン系化合物、エポキシ系化合物、ポリビニルアルコール系化合物、アミノ系化合物などの有機合成化合物、あるいはゼラチン、天然ゴムなどの天然化合物などが挙げられる。
【0070】
このようにして機能剤を付着させて得られた、本発明の機能性異型再生PET繊維は、短繊維として紡績糸として使用してもよいし、長繊維としてそのまま使用してもよい。
【0071】
本発明の機能性異型再生PET繊維は、所望により染色してもよい。
染色のための染料としては、PETを染色可能な公知の染料を使用できる。中でも、好ましい染料は分散染料である。分散染料とは、水に難溶性で水中に分散した系から疎水性繊維の染色に用いられる染料をいい、例えば、ベンゼンアゾ系、複素環アゾ系、アントラキノン形、縮合系などが挙げられる。
【0072】
かかる方法により得られる、本発明の機能性異型再生PET繊維は、カーペット、椅子張り、表面張り、ソファー、カーテン、寝具、マットレス、枕、シャツ等の衣類、医療用生地材料、オムツ、ナプキンなどの衛生材料、フィルター、ロープ、テント、帆布などの産業資材、カーマット、床材などの自動車部材、シート、不織布などの土木資材などの用途に好適である。
【実施例】
【0073】
[実施例1]
使用済みPETボトルを粉砕・洗浄・乾燥して得られたフレークを、260℃〜280℃で溶融押出して再生ポリエステルペレットを生産した。
【0074】
次いで該ペレット100重量部に、熱水で抽出される抽出剤である、ポリエチレングリコールが共重合したポリエステルを2重量部添加して、該ペレットとともに280〜295℃で溶融混合し、図1(1)の断面を有する600ホールのノズル8個を並べて、650m/minの速度で紡糸して、約15万dtexのトウを得た。
【0075】
得られた紡糸原糸のトウを28本合わせて、80℃と95℃の熱水浴を2段に用いて、合計4.3倍の延伸を施し、続けてクリンパーで10ケ/inchの捲縮をかけた後、撥水材であるフッ素化合物の4重量%水分散液を、繊維重量に対して20量%になるようにシャワー方式で付着させ、160℃の熱風処理を施して6dtexの130mmバイアスカットの原綿を生産した。
【0076】
得られた原綿は、内側に凸部を1つ有するC字型断面であり、且つ、側面に25μm以下の微細な凹凸を有しており、コイルクリンプの嵩高い繊維であった。
【0077】
次いで、該原綿50%とY断面のブラウン原着綿50%を混合して紡績糸を作成し、カーペットのパイル糸として用いてループカーペットを得た。このカーペットの撥水度をJISL−1092のスプレー試験機に準じて評価したところ、5級の撥水度であり、撥水性に優れていることが判明した。
【0078】
更に該カーペットを、JISL−1023の汚れ試験機を用いて2000回摩耗した後に、上記と同様に撥水度を評価したところ、4−5級の撥水度であり、耐久性に優れたものであった。なお、従来公知の方法により、フッ素化合物を付着させた丸型断面繊維に対して同じ処理を行った場合の撥水度は2級であり、本発明の繊維の機能性は明らかに耐久性に優れていた。
【0079】
即ち、本発明によると、撥水材であるフッ素化合物が、熱水抽出処理により生じた繊維表面の凹凸や、異型C型断面の内側に固着し、ほとんど脱落しないことが示された。
【0080】
[実施例2]
市販のPETボトルから得た再生PETのペレット100重量部に、難燃剤である、トリス(トリブロムネオペンチル)ホスフェートを5重量部添加して、275〜290℃で溶融混練した後、図1(3)の断面を有する400ホールのノズル8個を並べて720m/minの速度で紡糸し、約10万dtexの紡糸原糸トウを得た。
【0081】
得られたトウを36本合わせて4.5倍の延伸を施し、クリンパーで14ヶ/inchの捲縮をかけた後、シャワー方式により、花粉不活化材であるアミノ酸系化合物を、繊維重量に対して2重量%となるように付着させて8dtexの130mmバイアスカットの原綿を生産した。
【0082】
得られた原綿は、内側に凸部を1つ、外側に凸部を2つ有するC字型断面であった。
【0083】
その後、該原綿を原綿50%とY断面のブラウン原着綿50%を混合して紡績糸を作成し、カーペットのパイル糸として用いてカットパイルカーペットを得た。このカーペットの吸水性をJISL−1096による滴下法で評価したところ、ウイッキング(水滴が消える時間)は、1秒以下であり、吸水性に優れていた。かかる吸水性は異型断面に起因すると考えられる。
【0084】
また、該カーペットの難燃性をJISL−1091のA−1法(45度ミクロバーナー法)に準じて評価したところ、着炎3秒後の炭化面積は23cm、残炎時間は1秒以下、炭化距離は16cmを示し、難燃性カーペットとして販売可能な質を有していた。なお、難燃剤は繊維に練り込まれており、10回洗濯後でも性能は変わらなかった。
【0085】
更に、スギ花粉アレルゲン懸濁液2mlを、該カーペットの5cmx5cm断片に滴下し、アレルゲン量をELISA法によって測定した。対照として、花粉不活化材を付着させずに同様に作成したカーペット(未加工品)を用いてアレルゲン量を測定した。その結果、未加工品(0%)と比較して、本発明によるカーペットの花粉不活化率は83%を示した。さらに、本発明のカーペットを10回洗濯した後でも花粉不活化率は75%と高い値を示し、花粉不活化材はバインダーを用いなくても、繊維の高度な異型性により、ほとんど脱落せず繊維に固着していることが示唆された。
【0086】
本実施例により得られた異型繊維は、耐久性のある吸水性、難燃性、および花粉不活化活性を有し、高機能性のカーペットの材料として好適であった。
【0087】
[実施例3]
PETボトルからの再生ポリエステルペレット100重量部に、酸化ケイ素で表面処理した光触媒である酸化チタン(平均粒径0.08μm)を4重量部添加して260〜280℃で溶融混練した後、図2(15)の断面を有する68ホールのノズル3枚から吐出させた後、80℃と150℃の2対のローラ間で4倍延伸し、200℃のクリンパーを通して800dtex/204fのバルキーヤーンを得た。
【0088】
次いで、該バルキーマルチフィラメントをソフト巻きにして、オーバーマイヤーの染色機にて4%NaOH水溶液で95℃で20分間アルカリ減量処理を施した後、130℃x60分の条件でベージュに染色した。
得られたフィラメントは、田の字の中空断面であり、側面に5μm以下の凹凸が無数に存在していた。
【0089】
続いてこれを編物にして、JISL−1096のバイレックス法により10分後の吸水量を測定したところ、230mmを示し、従来の丸断面フィラメントよりも5.4倍高い吸水性能があることが判明した。
【0090】
また、JISZ−2801に準じて紫外線照射下で35℃x24時間後の黄色ブドウ球菌数を調べたところ、3.1x10個であり、対照の同一断面で酸化チタン未添加の編物の2.7x10個に対して、優れた抗菌性を有していた。
【0091】
さらに、本発明の編物と対照の編物を並べて、25cm上から60℃の熱板で加熱し、サーモグラフィーにより5分後の表面平均温度を測定したところ、両者の温度差は1.2℃であり、明らかに本実施例の編物の方が高い遠赤保温性を示した。
【0092】
本実施例の異型断面ポリエステル繊維は、表面に凹凸を有し、且つ、光触媒である酸化チタンが存在しているため、吸水性、抗菌性、遠赤保温性に優れた、従来にない高付加価値繊維であり、カーペット、カーテン、寝具などのインテリア用途や衣料用途、さらには衛生材などの不織布用途に幅広く利用可能なものであった。
【0093】
[実施例4]
実施例1の記載と同様にして、再生ポリエステルのペレットを溶融して、図2(12)の断面を有するノズルにより吐出させ、紡糸・延伸・捲縮した後に、抗菌剤のキトサン3%水溶液をシャワー方式で付着させ、6dtexの130バイアスカットの原綿を得た。
【0094】
本実施例の原綿は、表面に微細な凹凸がないが、6個の凸部とそのくぼみにキトサンが繊維重量に対して0.8%付着していた。
【0095】
次いで該原綿40%をバイアスカット原綿60%と混合して紡績糸を作成し、カーペットのパイル糸に用いてカットパイルカーペットを生産した。
【0096】
抗菌性能は、JISZ−2801:2000に準じて、標準寒天培地法で培養した黄色ブドウ球菌液0.4mlを50mm角の試料全面に滴下して、ポリ袋に入れて、35℃x24時間後の生菌数を標準寒天混釈培養法にて測定したところ、3.6x10個を示し、対照のキトサン未処理の2.2x0個に対して優れた抗菌効果が認められた。
【0097】
また、本実施例のカーペットを10回洗濯して、同様に生菌数を測定したが、4.9x10個であり、高い抗菌効果を維持しており、キトサンが固着していることが示された。
【0098】
[実施例5]
実施例3の記載と同様にして、再生ポリエステルペレット100重量部に対して、融点が200℃と低い共重合ポリエステルを5〜10重量部用い、光触媒である酸化チタンの代わりに室温付近で固体と液体の相変化を示す、分子量1000のポリエチレングリコール(PEG)を5重量部添加して、200〜250℃で溶融混練した後、図2(15)の断面を有する72ホールのノズルより75dtex/72fのバルキーヤーンを製造した。
【0099】
次いで該ヤーンに、150T/mの撚りをかけてヨコ糸とし、タテ糸に40番手の綿糸を用いて1/1の平織物の肌着を作成した。なお、同時にPEG未添加の対照肌着も作成した。
【0100】
その後、サーモグラフィーを用いて、雰囲気温度が15℃と35℃の環境下で、60℃ヒータ加熱5分後の本実施例の肌着と対照肌着の平均温度を測定したところ、15℃環境では、本実施例の肌着は対照肌着より1.5℃高く、35℃環境では逆に本実施例の肌着は対照肌着より0.8℃低かった。
【0101】
本実施例の織物は、環境が低温のときには温かく、高温のときには涼しい、快適な肌着であることが示された。
【0102】
なお、本実施例の異型断面繊維は田の字型の中空断面を有し、空気を多く保有しているため、通常の丸断面繊維より平均温度差で2.1℃高い遠赤保温性を示した。
【0103】
[実施例6]
実施例1の記載と同様にして、PEG共重合ポリエステルを添加せず、図2(15)の断面を有する6dx64mmの異型原綿を生産した。なお、撥水剤であるフッ素化合物は実施例1と同様にして付着させた。
【0104】
次に該原綿を100%用いて、目付900g/mのニードルパンチ不織布を作成した。そのAATCC193:2004に準じた撥水性は7級、AATCC118に準じた防汚性は4級であり、撥水・防汚性に優れるものであった。
【0105】
更に、JISA−1440に基づいて評価した床衝撃騒音は、周波数500Hzで49dB、1000Hzで37dBであり、従来の丸断面繊維で同一目付の不織布では示されない防音性能を有していた。
【0106】
本実施例の異型繊維からなる不織布は、撥水、防汚、防音の機能性を有し、自動車内装材や高速道路の防音壁などの用途に、高付加価値商品として利用できるものであった。
【0107】
[参考例]
再生PET繊維の製造方法
使用済みPETボトルを粉砕・洗浄・乾燥して得られたフレークを、260〜280℃で溶融押出して再生ポリエステルペレットを生産した。
【0108】
次いで該ペレットを260〜280℃で溶融混合し、円形断面を有するノズルから、500〜2000m/minの速度で紡糸して、80℃と150℃の2対のローラ間で4倍延伸し、再生PET繊維を得た。
【0109】
得られた再生PET繊維を、30%NaOH水溶液の90℃の浴に5分または20分間浸漬して熱アルカリ処理を行った。また、対照においては、熱アルカリ処理を行わなかった。結果を図3に示す。
【0110】
図3は、再生PET繊維の熱アルカリ処理条件による繊維表面の変化を示すSEM写真である。第1列は、未処理再生PET繊維、第2列は、30%NaOH水溶液にて90℃、5分間熱アルカリ処理した再生PET繊維、第3列は30%NaOH水溶液にて90℃、20分間熱アルカリ処理した再生PET繊維の表面を示す。図2より、熱アルカリ処理によって再生PET繊維表面に微細な凹凸構造が付与されることが確認された。
【0111】
再生PET繊維へのキトサンの付与
次いで、30%NaOH水溶液で90℃で5分間処理した再生PET繊維を、キトサン(甲陽ケミカル/FM分子量100,000)酢酸塩水溶液(0.5重量%)に、90℃で10分間浸漬し、水洗してから室温で乾燥し、常法に従ってニンヒドリン染色を行った。
【0112】
その結果、ニンヒドリン染色反応が鮮明に検出され、キトサン分子が再生PET繊維表面に化学結合していることが確認された。
【0113】
即ち、本参考例において、再生PET繊維に、熱アルカリ処理を施すことにより、表面に微細な凹凸が生じ、さらに、PETの有する水酸基やカルボキシル基が遊離する結果、アミノ基を有するキトサン分子が化学的に繊維表面に結合することが示された。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】図1は、本発明の機能性異型再生PET繊維の製造に用いる紡糸口金の断面形状を示す。
【図2】図2は、本発明の機能性異型再生PET繊維の製造に用いる紡糸口金の断面形状を示す。
【図3】図3は、熱アルカリ処理による再生PET繊維の表面形状を示すSEM写真像を示す。図2中、左の列は、対照(未処理再生PET繊維)、中央の列は、30%NaOH水溶液で90℃で5分間処理した再生PET繊維、右の列は、30%NaOH水溶液で90℃で20分間処理した再生PET繊維を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生ポリエチレンテレフタレートと機能剤を主原料とし、繊維断面がC字型に1個以上の凸部を有する形状または5個以上の凸部を有する多角形の形状である、機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維。
【請求項2】
さらに表面に微細な凹凸構造を有している、請求項1記載の機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維。
【請求項3】
機能剤が繊維中に練り込まれている、請求項1または2記載の機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維。
【請求項4】
機能剤が繊維表面に付着している、請求項1から3いずれかに記載の機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維。
【請求項5】
機能剤が、撥水撥油剤、抗菌剤、消臭剤、防汚剤、防ダニ剤、帯電防止剤、吸水剤、吸発熱剤、遠赤保温剤、アレルゲン不活化剤および難燃剤からなる群から選択される1種以上である、請求項1〜4いずれかに記載の機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維。
【請求項6】
再生ポリエチレンテレフタレートを含む原料を溶融し、断面形状がC字型に1個以上の凸部を有する形状または5個以上の凸部を有する多角形の形状である紡糸口金を介して紡糸し、延伸することを含む再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法において、延伸中または延伸後に、繊維に熱アルカリ処理を施し、繊維表面に微細な凹凸構造を付与し、機能剤を繊維表面に付着させる工程を含めることにより繊維に機能性を付与することを含む、機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法。
【請求項7】
機能剤がキトサンである、請求項6に記載の機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法。
【請求項8】
再生ポリエチレンテレフタレートを含む原料を溶融し、断面形状がC字型に1個以上の凸部を有する形状または5個以上の凸部を有する多角形の形状である紡糸口金を介して紡糸し、延伸することを含む再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法において、機能剤を再生ポリエチレンテレフタレートと共に溶融する工程を含めることにより繊維に機能性を付与することを含む、機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法。
【請求項9】
再生ポリエチレンテレフタレートを含む原料を溶融し、断面形状がC字型に1個以上の凸部を有する形状または5個以上の凸部を有する多角形の形状である紡糸口金を介して紡糸し、延伸することを含む再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法において、熱水またはアルカリで抽出される抽出剤を再生ポリエチレンテレフタレートと共に溶融し、紡糸後、延伸中または延伸後に、該抽出剤の一部を抽出して、維表面に微細な凹凸構造を付与し、機能剤を繊維表面に付着させる工程を含めることにより繊維に機能性を付与することを含む、機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法。
【請求項10】
機能剤が、撥水撥油剤、抗菌剤、消臭剤、防汚剤、防ダニ剤、帯電防止剤、吸水剤、吸発熱剤、遠赤保温剤、アレルゲン不活化剤および難燃剤からなる群から選択される1種以上である、請求項6〜9いずれかに記載の機能性異型再生ポリエチレンテレフタレート繊維の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−266812(P2008−266812A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108411(P2007−108411)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000171399)根来産業株式会社 (9)
【出願人】(399030060)学校法人 関西大学 (208)
【Fターム(参考)】