説明

機能性素子の製造方法および製造装置

【課題】基板上に隔壁で区切られた機能層を有する機能性素子において、機能層の形状を充分に平坦とすることができる機能性素子の製造方法およびそのための製造装置を提供すること。
【解決手段】インクジェット法により液体材料が塗布された基板を乾燥装置内に投入後、給気口7より溶媒蒸気を給気し、装置内を溶媒雰囲気下に保持するとともに、基板ステージ11の上部位置に設けられた赤外放射装置16により隔壁部分を選択的に加熱しながら基板の乾燥を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁で区切られた基板上にパターニングされた機能層を有する機能性素子の製造方法および製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、より高精細かつ美麗なディスプレイの製造競争が激化している。その中で、より高精細で薄層であるといった要求を満たすものとして、有機エレクトロルミネッセント素子(以下、有機EL素子とする)やカラーフィルタなどが注目を浴びている。これら有機EL素子やカラーフィルタには微細パターニング技術が要求される。
【0003】
有機EL素子やカラーフィルタなどのように微細パターニングを要する素子(以下、機能性素子とする)の製造において、近年インキジェット方式が注目を集めている。インキジェット方式以外の代表的な方法としてフォトリソグラフィー方式があり、フォトリソグラフィー方式では基板全体に塗布膜を形成した後に不要な部分を取り除くことで微細パターニングを行う。この方法フォトリソグラフィー要となり、材料の無駄や工程数の増加を招く。これに対しインキジェット方式はそのような無駄が発生しないため、環境負荷の低減と大幅なコストダウン、形成工程の短縮などの点から有利である。
【0004】
インキジェット方式を用いて微細パターニングを行う基板の製造方法として、例えば下記特許文献1〜3に記載されている方法が提案されている。特許文献1〜3には、インキジェット方式を用いたカラーフィルタ基板の製造方法として、異なる色の着色インキが混合してしまう不良を防ぐために、含フッ素化合物などの溌インキ剤を含有させた黒色樹脂層をフォトリソグラフィー方式等で形成し、ブラックマトリックスとすることが記載されている。
【0005】
隔壁内に塗工液を吐出、乾燥させる方法により形成された機能層の形状は、平坦とならずに凸形状や凹形状になる場合が多い。吐出された塗工液の形状や、乾燥の速度が隔壁内で均一でないことがその原因として挙げられる。凸形状となるか凹形状となるかは、機能性素子の素材性質や基板の性質によって変化する。液滴中心部と端部の膜厚差が大きい場合、その差を起因とする問題が発生する。例えば、カラーフィルタの着色層においては、膜厚差に起因する色ムラや、コントラスト性能が低下するといった影響を及ぼす。有機EL素子においても、発光ムラや発光効率の低下などの問題が生じる。
【0006】
特許文献4では、より高精細で、機能に不都合を生じない程度の平坦性を有する機能性素子を製造するために、平坦性を向上するための手法が平坦性を向上するための手法が開示されている。
【0007】
しかし、特許文献4の手法では乾燥し硬化した機能層のみに限れば平坦であるものの、隔壁と機能層との間に段差があるという問題があった。カラーフィルタにおいては、硬化した着色樹脂組成物と隔壁を形成するブラックマトリクスとの間に段差が生じ、その段差を起因とする色ムラが発生するおそれがある。
【0008】
また特許文献5では、送風により溶媒の揮発速度を制御することで、乾燥後形状の平坦性の向上を行うことが提案されている。しかし送風による制御では、送風自体の制御が難しいことに起因するムラが発生するため、高い膜厚精度を要求される製品では使用することが困難である。
【0009】
【特許文献1】特開平6−347637号公報
【特許文献2】特開平7−35915号公報
【特許文献3】特開平6−35917号公報
【特許文献4】特開2007−256313
【特許文献5】特開2007−000867
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上のように、機能層が微細パターニングされた機能性素子においては、隔壁内における乾燥塗膜が充分な平坦性を有する必要性がある。そこで本発明の課題は、充分な平坦性を持つ機能性素子の製造方法及び製造装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、機能層形成材料を含む塗工液を基板上に形成された隔壁の開口部に塗工し、塗工液を乾燥させて固化し機能層を形成する機能性素子の製造方法であって、機能層の乾燥速度が隔壁近傍において中央部よりも高いことを特徴とする機能性素子の製造方法法である。また請求項2に記載の発明は、機能層形成材料を含む塗工液を基板上に形成された隔壁の開口部に塗工し、塗工液を乾燥させて固化し機能層を形成する機能性素子の製造方法であって、隔壁部位を選択的に加熱して乾燥させることを特徴とする機能性素子の製造方法である。
【0012】
本発明においては、中央部から周縁部への流動を充分に行わせるために、機能層上の乾燥速度の分布を制御することを特徴とする。それにより、機能層の中心部と端部の膜厚差が減少し、機能層の平坦性が向上する。
【0013】
液滴の乾燥現象は、気層の状態や隔壁内の液滴の濃度分布などによって複雑な挙動を示す。表面張力による流動が充分に起きている間は、乾燥が進むにつれ平坦性が向上していく。しかし、均一に乾燥が進行した場合、中央部から端部への流動が乾燥の序盤、もしくは中盤に止まってしまう。その結果、乾燥後の形状から平坦性が失われる。乾燥速度分布をつけることで、乾燥終盤まで流動を持続させることが出来る。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の機能性素子の製造方法において、溶媒雰囲気下で機能層を乾燥させることを特徴とした機能性素子の製造方法である。
【0015】
前述のような効果に加え、機能層の中央部から隔壁近傍の周縁部への流動を充分に行なわせるために、乾燥速度を制御することを特徴とする。これにより、機能層の中心部と端部の膜厚差が減少し、機能層の平坦性が向上する。塗工液の乾燥は一般的に、初期形状が凸形状だった場合、最初に機能層の中央部から隔壁近傍の周縁部への流動が起こる。乾燥時間が短いと、この流動が最後まで行なわれず、凸形状のまま固化してしまう。溶媒雰囲気下で機能層を乾燥させ、乾燥時間を長くすることで、機能層の中央部から隔壁近傍の周縁部への溶質の流動を長時間続けさせる事ができる。それにより、機能層の中心部と端部の膜厚差が減少し、機能層の平坦性が向上する。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記機能性素子がカラーフィルタであることを特徴とする請求項1ないし3に記載の機能性素子の製造方法である。
【0017】
請求項1から請求請3までのいずれかの請求項に記載された発明は、いずれも機能層の平坦性を良化するものであるから、機能層はカラーフィルタであることが望ましい。カラーフィルタにおいては、平坦性の良化がコントラスト性能の良化とコスト低減につながり、効果が高いためである。
【0018】
請求項5に記載の発明は、基板上に形成された隔壁の開口部に機能層形成材料を含む塗工液を塗工する塗工手段と、塗工された塗工液を乾燥させる乾燥機構とを具備し、前記乾燥機構は隔壁部分を選択的に加熱させる乾燥手段を備えた乾燥ゾーンと、乾燥ゾーン内へ溶媒蒸気を給気する給気手段と、乾燥ゾーン内の溶媒蒸気を排気する排気手段とにより溶媒雰囲気を制御する溶媒雰囲気制御機構とを具備する機能性素子の製造装置である。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の機能性素子の製造装置において、前記隔壁部分を選択的に加熱させる乾燥手段は、基板を設置するステージに対向して設置した赤外線放射装置であることを特徴とした機能性素子の製造装置である。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の機能性素子の製造装置において、前記塗工手段はインクジェット装置であることを特徴とする機能性素子の製造装置である。
【0021】
機能層形成用塗工液の塗布方法はインクジェット法であることが望ましい。インクジェット法により隔壁内に吐出された液滴は、乾燥後に平坦性が低く膜厚差の大きな凸形状を形成するおそれが大きく、本発明はそれら機能層の凸形状を平坦化する効果を持つためである。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項5ないし7に記載の機能性素子の製造装置において、前記基板がカラーフィルタ基板であることを特徴とした機能性素子の製造装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、乾燥工程に平坦な機能性素子の製造をすることが出来る。その結果、コントラスト性能の良化とコスト低減されたカラーフィルタを製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<機能性素子の製造方法>
図1のように隔壁1で格子状あるいはストライプ状に区切られた領域をセルと呼ぶ。本発明の機能性素子の製造方法では、着色層材料を含む塗工液を塗工し、当該セルに充填する。塗工手段としては、顔料分散法、染料法、電着法、印刷法、転写法やインクジェット方式などが挙げられる。
【0025】
本発明における塗工液の塗工手段としては、隔壁内に塗工液をパターニングして充填できる形成方法であれば限定はされないが、インクジェット法であることがより望ましい。インクジェット法により塗布されたカラーフィルタでは、塗布液の効率的な使用や形成工程の短縮によるコスト削減が見込まれるからである。
【0026】
図2に図1のA−A‘面で切った断面図を示す。基板上に隔壁が形成され、隔壁間に機能性素子が充填され、機能層が形成される。カラーフィルタの場合には、機能層は着色層であり、一般的には3原色、R(red)、G(Green)、B(Blue)の画素パターンである。有機EL素子の場合には正孔輸送層、電子輸送層等を含む発光層である。
【0027】
隔壁は、感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィー方式や、各種印刷法等、一般的な手法で形成することができる。また、基板上にコントラスト向上のためにブラックマトリックスが形成することができる。ブラックマトリックスは隔壁として、又は隔壁の一部もしくは隔壁の下層に形成することができる。
【0028】
次にセルに形成された液状の機能層を乾燥させ、必要に応じて焼成等を行なって形成する。乾燥速度の制御方法としては、特に限定はされないが送風や密閉、減圧による気相部位の制御が望ましい。
【0029】
液滴の乾燥現象として知られているものにコーヒーステイン現象と呼ばれる現象がある。この現象は蒸発が進むにつれ、中央部に対して端部の濃度が高くなっていき、乾燥後に端部が盛り上がる現象である。発明者らは、隔壁近傍を速く乾燥させることによって、端部の濃度を上昇させて上記の現象を引き起こし、隔壁近傍の領域と中央部の領域とで乾燥速度の分布が異なるものとし、機能層のセル端部を先に固形化することで、平坦化させられることを見出した。
【0030】
乾燥速度を隔壁近傍において選択的に制御する方法としては、後述のように隔壁を部分的に加熱する方法が挙げられる。隔壁部位を加熱する方法としては、隔壁部位を光吸収素材で構成し、光吸収により加熱させる方法が望ましい。
【0031】
一般的に、液滴の乾燥は初期形状が凸形状だった場合、最初に機能層の中央部から隔壁近傍の周縁部への流動が起こる。乾燥時間が短いと、この流動が最後まで行なわれず、凸形状のまま固化してしまう。溶媒雰囲気下で機能層を乾燥させ、乾燥時間を長くすることで、機能層の中央部から隔壁近傍の周縁部への溶質の流動を長時間続けさせる事ができる。それにより、機能層の中心部と端部の膜厚差が減少し、機能層の平坦性が向上する。
【0032】
液滴の乾燥は一般的に液滴の濃度状態や気層の状態に応じた複雑な乾燥挙動を示す。乾燥初期においては、表面張力の効果による液の流動により徐々に平坦性が向上していく。乾燥速度が速すぎると、この平坦性の向上が途中で止まってしまい、平坦性が失われる。
【0033】
発明者らは、溶媒雰囲気下で機能層を乾燥させ、乾燥速度を抑えることで液の流動を十分に行なわせ、平坦性を向上させることができることを見出した。
【0034】
また、乾燥時間を十分に取った場合でも、乾燥が進むにつれ充分な液の流動が行われなくなり、複雑な乾燥挙動による非平坦化効果が液の流動による平坦化効果を上回ることによって、乾燥後の機能層における平坦性が失われる。多くの場合中心部で凸形状に盛りあがる。そこで、前述のように隔壁近傍の領域と中央部の領域とで乾燥速度に分布を設けて、隔壁部分の乾燥速度が中央部よりも高くすることで前述のコーヒーステイン現象を効果的に利用し、かつ溶媒雰囲気下乾燥させることで流動性を確保しつつ塗工液を固化することで、平坦な機能層を形成することが可能となる。
【0035】
本発明の機能性素子は平坦性が要求されるものであれば特に限定されないが、カラーフィルタが特に望ましい。カラーフィルタは機能性素子の膜厚差が色ムラやコントラスト比悪化の原因となるおそれが大きく、平坦形状が得られることによる高精細化が可能となるためである。また、カラーフィルタ基板の隔壁は多くの場合ブラックマトリクス、つまり黒色で構成されているので、赤外放射により温度上昇を促進させやすいためである。
【0036】
<機能性素子の製造装置>
次に、本発明の機能性素子の製造装置について説明する。本発明の機能性素子の製造装
置は、吐出法により塗工液を塗布する塗布手段と、前記塗布手段により塗布された塗工液
を溶媒雰囲気を制御しながら乾燥させる乾燥手段と、隔壁部分を加熱しながら乾燥させる乾燥手段とを併せ持つ構造を有することを特徴とする。以下、本発明の製造装置の各手段について説明する。
【0037】
1 . 塗工装置
本発明における塗工手段としては、機能性材料を含んだ塗工液を隔壁の開口部に塗工して機能層をパターン形成することができる塗工装置、例えば機能層形成用塗工液を吐出させて塗布する吐出装置等であれば特に限定はされない。その中でも、インクジェット装置であることが好ましい。
【0038】
2. 乾燥装置
2.1 溶媒雰囲気制御機構
本発明の製造装置の乾燥装置は、溶媒雰囲気を制御しながら乾燥させる乾燥手段を有する。乾燥装置の例としては、図3に示すように、装置内の基板乾燥部に給排気口が設けられ、給排気口以外は密閉されており、気流を用いて溶媒雰囲気を調整するような制御方式を有する装置が挙げられる。この例以外でも、溶媒の蒸発を抑制させるような構造であれば特に限定はされない。投入される溶媒蒸気としては、塗布物に用いられている溶媒を用いるのが好ましいが、機能性素子の性能を低下させるものでなければ特に限定されない。
【0039】
2.2 赤外放射装置
本発明の製造装置の乾燥装置は、前記乾燥機構に加え、隔壁部分を選択的に加熱させる乾燥手段を合わせ持つ。構造例としては、例えば図4に示すように、基板の隔壁部分がブラックマトリクス(黒色)で構成されている場合、遠赤外線加熱装置(IRヒーター)を基板ステージの上部位置に基板ステージと対向して設置し、乾燥中に赤外放射を行なうことで、隔壁部分に光を吸収させ、選択的に加熱する構造が考えられる。この例以外であっても、隔壁部分を選択的に加熱できる加熱方法であれば、特に限定はされない。隔壁部分を加熱し隔壁近傍の溶剤の蒸発を速めることで、機能層の平坦化を実現することが可能となる。
【0040】
2.3 加熱装置
また、本発明には、上記装置に加熱装置を組み合わせた製造装置とすることが望ましい。これは、加熱で温度を上昇させ、機能層の粘度を減少させることで、流動を起こしやすくする効果を得るためである。加熱によって乾燥速度が速くなりすぎる場合は、前記溶媒雰囲気制御装置により、乾燥速度を抑えることによって解決される。このような加熱装置としては、機能層形成用塗工液の温度を容易に上昇させ、乾燥、固化させることが可能であるものならば特に限定されない。従って、一般的に用いられている加熱装置等を使用することができ、具体的には、オーブン、ホットプレート等が挙げられる。その中でも、ホットプレートが加熱装置として好ましい。ホットプレートは、基材の下側から直接熱を伝導させて乾燥させる装置であるため、熱効率に優れ、かつ加熱ムラの少ない装置であるからである。
【実施例】
【0041】
(実施例1)
赤外放射装置で機能層に温度分布をつけて乾燥させた場合について数値解析し、乾燥後形状を算出した。計算条件は、基板上の隔壁間の距離を360μm、隔壁高さを2μmとし、ここに液滴を約1000plで吐出した。液滴の物性は、粘度10mPa・s、表面張力25mN/m、沸点220℃である。80℃の場合、塗布物の平均膜厚の平均初期減少速度は約1×10−7m/sとなる。ここで、機能層の中央部分の温度を70℃、隔壁部分の温度を80℃とし、温度差をつけた。乾燥後の断面形状結果を図5に示す。機能層の平坦性の評価方法として、機能層の膜厚A(x)(xは基板上の位置変数)、膜厚の最大値をA1、最小値をA2、隔壁の高さをDとして後述するように条件(1)(2)から評価した。
【0042】
実施例1ではA1=1.9μm、A2=1.4μm、D1=2.0μmとなり、A(x)が形状全体の3/4以上の領域を占めたため、条件(2)を満たした。
【0043】
(比較例1)
実施例1の計算条件で、機能層の温度を80℃均一として、数値解析を行なった。乾燥後の断面形状結果を図6に示す。A1=2.1μm、A2=1.3μm、D1=2.0μmとなり、形状は前記条件(1)、(2)を満たさなかった。
【0044】
(実施例2)
実施例1のような温度分布条件に加え、溶媒雰囲気制御を行ないながら乾燥を行なった場合について数値解析し、乾燥後形状を算出した。計算条件は、基板上の隔壁間の距離を360μm、隔壁高さを2μmとし、ここに液滴を約200plで吐出した。液滴の物性は、粘度10mPa・s、表面張力25mN/m、沸点220℃である。ここで、機能層の中央部分の温度を70℃、隔壁部分の温度を80℃とし、温度差をつけた。また、塗布物の平均膜厚の平均初期減少速度を4×10−8m/sと小さくして解析を行なった。乾燥後の液滴中央部の断面形状結果を図7に示す。A1=2.0μm、A2=1.6μm、D1=2.0μmとなり、前記条件(1)、(2)の両方を満たした。
【0045】
上記の実施形態および実施例は、本発明の理解を容易にするために例示として記載されたものであって、本発明は本明細書または添付図面に記載された具体的な構成および配置のみに限定されるものではない。本明細書に記載した具体的構成、手段、方法、および装置は、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当該分野において公知の他の多くのものと置換可能である。
【0046】
(機能層の平坦性の評価)
本発明では、膜厚形状の最大値の高さをA1、膜厚形状の最小値の高さをA2、機能層の理想膜厚をDとし、
|D−A1|≦D/10 (隔壁高さ±10%の領域)
を満たすと同時に、
A1− A2≦D/5
となる条件(1)を満たすものか、もしくは、
|D−A1|≦D/10
を満たすと同時に、ある位置xでの機能層膜厚をA(x)としたときに、
|D−A(x)|≦D/10
の範囲内にある領域が、隔壁内部の機能層について3/4の領域を占める条件(2)を満たすものを機能層が平坦であると評価した。なお、各実施例ではDとして隔壁高さを用いた。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】機能層形成前の基板
【図2】機能性素子(凸形状)の断面図
【図3】乾燥装置の断面図
【図4】赤外線放射装置が備えられた乾燥装置の断面図
【図5】実施例1の機能層乾燥後形状
【図6】比較例1の機能層乾燥後形状
【図7】実施例2の機能層乾燥後形状
【符号の説明】
【0048】
1 隔壁
2 セル
3 機能層
4 基板
7 溶媒蒸気給気口
8 溶媒蒸気排気口
9 基板投入口
10 基板排出口
11 基板ステージ
12 基板
13 隔壁
14 基板搬送方向
15 ブラックマトリクス
16 赤外線放射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能層形成材料を含む塗工液を基板上に形成された隔壁の開口部に塗工し、塗工液を乾燥させて固化し機能層を形成する機能性素子の製造方法であって、
機能層の乾燥速度が隔壁近傍において中央部よりも高いことを特徴とする機能性素子の製造方法。
【請求項2】
機能層形成材料を含む塗工液を基板上に形成された隔壁の開口部に塗工し、塗工液を乾燥させて固化し機能層を形成する機能性素子の製造方法であって、
隔壁部位を選択的に加熱して乾燥させることを特徴とする機能性素子の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の機能性素子の製造方法において、溶媒雰囲気下で機能層を乾燥させることを特徴とした機能性素子の製造方法。
【請求項4】
前記機能性素子がカラーフィルタであることを特徴とする請求項1ないし3に記載の機能性素子の製造方法。
【請求項5】
基板上に形成された隔壁の開口部に機能層形成材料を含む塗工液を塗工する塗工手段と、塗工された塗工液を乾燥させる乾燥機構とを具備し、
前記乾燥機構は
隔壁部分を選択的に加熱させる乾燥手段を備えた乾燥ゾーンと、
乾燥ゾーン内へ溶媒蒸気を給気する給気手段と、乾燥ゾーン内の溶媒蒸気を排気する排気手段とにより溶媒雰囲気を制御する溶媒雰囲気制御機構とを
具備する機能性素子の製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載の機能性素子の製造装置において、前記隔壁部分を選択的に加熱させる乾燥手段は、基板を設置するステージに対向して設置した赤外線放射装置であることを特徴とした機能性素子の製造装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の機能性素子の製造装置において、前記塗工手段はインクジェット装置であることを特徴とする機能性素子の製造装置。
【請求項8】
請求項5ないし7に記載の機能性素子の製造装置において、前記基板がカラーフィルタ基板であることを特徴とした機能性素子の製造装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−288383(P2009−288383A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139161(P2008−139161)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】