説明

機能拡張したウェットティッシュ等の容器

【課題】 ウェットティッシュ等の容器についての技術課題としては相互に脈絡の無い製造流通時における効率化を達成、店頭での定置の安定化、使用者にとっての使い勝手の向上等の種々の問題を一挙に解決できる手法を提案しようとするものである。
【解決手段】 本発明の機能拡張したウェットティッシュW等の容器1は、内部を収納部14とする有底の容器本体10と、容器本体10の上部を塞ぐ蓋本体15とを具え、この蓋本体15は、蓋天部17に内容物の取出部19を具えるとともに、この取出部19は、蓋本体部15と一体であって、ヒンジ部18Aを開閉基部とした取出蓋18により、閉鎖されるように構成されている容器において、前記容器の上部には、更に保護キャップ3が外嵌状態に被せられていることを特徴として成るものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュ等の容器に関するものであって、特にその機能を拡張した容器に係るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、除菌効果を有するアルコール等を含ませたウェットティッシュは、アルコール成分の蒸散を防ぎながら且つ日常的な使い勝手を考慮して、緩密封容器に収納されている。具体的には、ウェットティッシュは、円筒状の容器本体の上方にネジ嵌め状の蓋本体を設けた容器本体内に、ロール状に巻かれた状態で収納され、取り出される際に弱化線において単葉状に切り離して使用される。
そしてこの容器は、製造流通段階における更なる改良点、あるいは消費者が使用する際の使い勝手の向上の改良等の幾つかの課題を有している。
【0003】
まず製造流通段階では、容器外周の保護のため、全体が熱収縮性のシュリンクラップフィルムで覆われている。この手法は、製造時にラップフィルムを熱収縮させるために一定の加工時間を要すること、及びシュリンク加工時のばらつきが僅かとは言え、不可避であり、100%の歩留率を達成できないこと等が相まって、生産効率を向上させることの阻害要因となっていた。
また別途店頭でのストック形態においては、容器の蓋本体の形状に起因した不都合が存在する。即ち蓋本体は、蓋天部に対して、取り出し蓋が蓋本体と一体形成された上でヒンジ構造を具えていることから、そのヒンジ部が僅かではあるものの上方に突出した形状となっている。この突出したヒンジ部の存在により容器を積み重ね状にディスプレイした場合、上方のものは、図6に強調して示すように傾いてしまうものであり、安定した積み重ね状態が得られない。もちろん実際上は、いわゆる量販店の店頭では、積み重ねによる商品の倒壊が生じない程度の段数に積み重ねてディスプレイをしているものの、不安定であることは解決されていない。
【0004】
また使用者が使用する段階において、ウェットティッシュを一枚毎取り出すにあたっては、収納されているウェットティッシュは、ロール状に連続したものであり、単葉毎に弱化線で切り離ししやすい形状を有しているものの、取り出し部から取り出すにあたって片手操作で取り出すことはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これらの種々の背景を考慮してなされたものであって、技術課題としては相互に脈絡の無い種々の問題を、一挙に解決できる手法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の機能拡張したウェットティッシュ等の容器は、内部を収納部とする有底の容器本体と、容器本体の上部を塞ぐ蓋本体とを具え、この蓋本体は、蓋天部に内容物の取出部を具えるとともに、この取出部は、蓋本体部と一体であって、ヒンジ部を開閉基部とした取出蓋により、閉鎖されるように構成されている容器において、前記容器の上部には、更に保護キャップが外嵌状態に被せられていることを特徴として成るものである。
【0007】
請求項2記載の機能拡張したウェットティッシュ等の容器は、前記請求項1記載の要件に加え、前記保護キャップが容器本体の上部を保護することにより、流通段階の保護を目的とした容器全体を包むシュリンクラップフィルムが廃されていることを特徴として成るものである。
【0008】
請求項3記載の機能拡張したウェットティッシュ等の容器は、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記保護キャップのキャップ天部については、容器本体の底部の形状と緩係合できる形状に形成されていることを特徴として成るものである。
【0009】
請求項4記載の機能拡張したウェットティッシュ等の容器は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記保護キャップと、前記容器における蓋本体の蓋天部との間には適宜空間のユーティリティスペースが設けられ、このユーティリティスペースを利用して付属アイテムが同梱されることを特徴として成るものである。
【0010】
請求項5記載の機能拡張したウェットティッシュ等の容器は、前記請求項4記載の要件に加え、前記付属アイテムについては、吸盤であり、このものは、容器本体に対して取り付け自在に構成されていることを特徴として成るものである。
【発明の効果】
【0011】
まず請求項1記載の発明によれば、実質的に保護が必要とされる容器上部を保護キャップにより効果的に保護することができる。
【0012】
また請求項2記載の発明によれば、従来製造効率の向上を阻んでいたシュリンクラップフィルムによる包装が不要となるものであり、生産効率の向上が図られる。
【0013】
また請求項3記載の発明によれば、保護キャップが被されることにより、蓋本体におけるヒンジの突起が覆われ、且つその形状は容器本体の底部形状と緩係合するような形状を具えていることから、容器を積み重ねる際の安定性が良く、店頭でのディスプレイにあたっても安定した状態が確保される。
【0014】
また請求項4記載の発明によれば、保護キャップを設けることにより容器上部との間にユーティリティスペースが設けられ、このユーティリティスペースを利用して、販促品、あるいは他の機能部材を同梱し得るものであり、これにより商品としての独自性をより発揮することができる。
【0015】
また請求項5記載の発明によれば、前記付属アイテムは吸盤であり、このものを容器本体と組み合わせ、この吸盤を適宜の位置に設置して固着させることにより、容器を安定的に設置することができ、結果的に片手でのウェットティッシュの取り出し操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本願発明の機能拡張したウェットティッシュ等の容器を示す一部拡大斜視図並びに保護キャップを分解して示す斜視図である。
【図2】同上分解斜視図である。
【図3】同上一部拡大図を含む分解縦断面図である。
【図4】本願発明の機能拡張したウェットティッシュ等の容器のユーティリティスペースの利用態様を示した縦断面図並びに固定具の作用状態を示す説明図である。
【図5】本願発明の機能拡張したウェットティッシュ等の容器の梱包状態を示した平面図並びに一部拡大平面図である。
【図6】本願発明の機能拡張したウェットティッシュ等の容器を上方に積み重ねられた状態を従来型と比較して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態は、以下述べる実施例をその一つとするものであると共に、この技術思想に基づく種々の改良した実施例をも含むものである。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
まず、容器1について説明する。このものは、大別すると容器本体10と、その上部に取り付けられる蓋本体15とを具えてなる。容器本体10は、一例として有底円筒状の本体胴部11に対し、その底部寄りに本体底部12が一体形成されるとともに反対側の上方部位を本体上部13とする。そして容器本体10の内部がウェットティッシュWの収納部14となる。
【0019】
なお、ここでウェットティッシュWについて説明すると、このものは一例として長尺の素材がロール状に形成されて収納されているものであり、このロール状のものをウェットティッシュロールWRとして示す。そしてウェットティッシュロールWRは、短寸のスリットからなる弱化線WSを有し、この弱化線WSから切り離されてウェットティッシュ単葉WLが引き出されるものである。そして、収納部14に対しては、ウェットティッシュWは、ウェットティッシュロールWRの状態で巻芯方向を上下方向に配置して収納されており、ウェットティッシュWの中心からウェットティッシュ単葉WLが引き出されてゆくように収納されている。
【0020】
更に本体底部12は、その下方に底部段差12Aを具え、本体胴部11より本体底部12側の径を幾分か太くしている。一方本体上部13は、その下方寄りに蓋当たり段差13Aを具え、その上方に本体オネジ部13Bを具え、更にその上縁を本体開口部13Cとする。なお図1、図3、図4に示す符号13Eは、前記蓋当たり段差13Aの下部傾斜縁である。そしてこの本体開口部13Cは、流通段階においてウェットティッシュWに含ませたアルコール分が放散してしまうことを防ぐために、開口部シートフィルム13Sが貼り付けられている。
【0021】
次に蓋本体15について説明する。この蓋本体15の主要構成部材は、容器本体10にねじ込まれる部分である蓋胴部16と、この蓋胴部16と一体で上面を覆う蓋天板17と、更に蓋天板17に一体に設けられている取出蓋18と、蓋天板17のほぼ中央に形成される取出部19とである。
蓋胴部16には、その内側に前記本体オネジ部13Bと噛み合う蓋メネジ16Aが形成されている。一方蓋天板17には、その上部に取出蓋収まり部17Aが凹陥形成されている。また、この取出蓋18は、ヒンジ18Aにおいて蓋本体15の蓋天板17と回動自在に接続され、ヒンジ18Aと反対側の自由端側を開放用の指掛け端部18Bとする。このヒンジ18Aは、側面視で蓋天板17の上面より僅かに突出している。そして、取出蓋18は、円環状の外シールリブ18Cをその内側(下面)に形成している。
更に取出部19は、前記ウェットティッシュWを実質的に引き出す引き出しスリット19Aを中央部に具えるものであり、一例としてこの引き出しスリット19Aは、平面視十字状に形成されている。このような引き出しスリット19Aの形成により、実質的に喰込フラップ19Bがその間に形成される。更に、引き出しスリット19Aを囲むように内シールリブ19Cが設けられ、この内シールリブ19Cに対し、前記取出蓋18における外シールリブ18Cが蓋閉め状態において外周側に弾性的に被せられるようにして密着する。
【0022】
このような容器1に対し、保護キャップ3を取り付ける。
この保護キャップ3は、蓋本体15が容器本体10 に組みつけられた状態、いわば完成状態の容器本体10の上部に緩係合状態に外被せ状に取り付けられる。
具体的には、容器1に外嵌できるような内径寸法を有するキャップ胴部30に対して、その上部に閉鎖状態のキャップ天部31が設けられている。そして、キャップ天部31の上面にはスタッキングガイド32が円環リブ状に上方に向けて突出形成されている。
またキャップ胴部30の下端縁には、内側に張出す係合リブ33が設けられており、一例としては、容器1に対しては、本体上部13における蓋当あたり段差13Aの下部傾斜縁13Eに係合するような高さ寸法を有している。
なおこの保護キャップ3は、例えばインジェクション成形、あるいはブロー成形などの適宜の手法を用いて成形した樹脂製部材であることが好ましい。
【0023】
そして、この保護キャップ3は、図5に示すように容器1に対し、その上部に外嵌された状態で容器1の上部の保護を行いながら、適宜のカートンCに収納されて流通段階に提供される。この結果、容器1全体を熱収縮性のラップフィルムで覆って、製品を保護する手法を廃することができる。
そして、このような保護キャップ3を組み付けた状態では、図6に示すように前記スタッキングガイド32が、別途上方に積み重ねられた、他の容器本体10の底面形状に緩係合するような状態となり、その保護キャップ3が被せられた容器1の上方に順次別の容器1を安定的に積み重ねることができる。即ちこのような安定的な積み重ねを阻害していたヒンジ18Aの上方への突出部は、前記保護キャップ3により覆われて、見かけ上容器1の上面が容器1の底面に馴染む形状を発現しているのである。
【0024】
加えて保護キャップ3の寸法設定の好ましい一例としては、図1、図3、図4に拡大して示すように保護キャップ3における係合リブ33は、蓋当たり段差13Aの下部傾斜縁13Eの傾斜途中に当接するように構成する。このようにするときは、係合リブ33は図中点Pで示す位置で常にその部位を締め付け、密着機能をより確実に奏するのである。なお使用者は、状況に応じ、この保護キャップ3を常時被せた状態としておき、使用の都度これを取り外してウェットティッシュWを使用してもよいし、保護キャップ3を利用しないで従来と同様ウェットティッシュWの取り出し使用を行ってもよい。
【0025】
〔他の実施の形態〕
本発明は以上述べた実施の形態を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に図5に示すように次のような改変が考えられる。
【0026】
まず請求項4及び請求項5に記載するように、保護キャップ3の高さ(深さ)を更に増し、容器1に組み付けた状態において、保護キャップ3のキャップ天部31と容器本体10の蓋天板17との間に充分なユーティリティスペースSが確保できるような形態がとることができる。そして、このユーティリティスペースSを利用して、付属アイテム4を同梱することができる。付属アイテム4としては、販促用ノベルティグッズとしてミニチュアカー4Aや、恐竜等のミニチユア4B等であっても良いし、また機能拡張するために、吸盤等の固定具40等が挙げられる。この固定具40を同梱した場合には、容器本体10の例えば本体底部12に固定具を取り付けられるような係合突起12Bを形成しておく一方、固定具40側にも係合凹部41を形成しておく。そして使用にあたっては、固定具40を取り出し、容器1と固定具40とを組み付け、固定具40の作用によって、容器1を設置部に安定的に固定設置する。このように容器1を固定することができれば図4(b)に示すように、片手操作によりウェットティッシュ単葉WLの取り出しができる。
【符号の説明】
【0027】
1 容器
10 容器本体
11 本体胴部
12 本体底部
12A 底部段差
12B 係合突起
13 本体上部
13A 蓋当たり段差
13B 本体オネジ部
13C 本体開口部
13E 下部傾斜縁
13S 開口部シートフィルム
14 収納部
15 蓋本体
16 蓋胴部
16A 蓋メネジ
17 蓋天板
17A 取出蓋収まり
18 取出蓋
18A ヒンジ
18B 指掛け端部
18C 外シールリブ
19 取出部
19A 引き出しスリット
19B 喰込フラップ
19C 内シールリブ
3 保護キャップ
30 キャップ胴部
31 キャップ天部
32 スタッキングガイド
33 係合リブ
4 付属アイテム
4A ミニチュアカー
4B ミニチユア
40 固定具
41 係合凹部
C カートン
S ユーティリティスペース
W ウェットティッシュ
WR ウェットティッシュロール
WL ウェットティッシュ単葉
WS 弱化線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を収納部とする有底の容器本体と、容器本体の上部を塞ぐ蓋本体とを具え、この蓋本体は、蓋天部に内容物の取出部を具えるとともに、この取出部は、蓋本体部と一体であって、ヒンジ部を開閉基部とした取出蓋により、閉鎖されるように構成されている容器において、前記容器の上部には、更に保護キャップが外嵌状態に被せられていることを特徴とする機能拡張したウェットティッシュ等の容器。
【請求項2】
前記保護キャップが容器本体の上部を保護することにより、流通段階の保護を目的とした容器全体を包むシュリンクラップフィルムが廃されていることを特徴とする前記請求項1記載の機能拡張したウェットティッシュ等の容器。
【請求項3】
前記保護キャップのキャップ天部は、容器本体の底部の形状と緩係合できる形状に形成されていることを特徴とする前記請求項1または2記載の機能拡張したウェットティッシュ等の容器。
【請求項4】
前記保護キャップと、前記容器における蓋本体の蓋天部との間には適宜空間のユーティリティスペースが設けられ、このユーティリティスペースを利用して付属アイテムが同梱されることを特徴とする前記請求項1、2または3記載の機能拡張したウェットティッシュ等の容器。
【請求項5】
前記付属アイテムは、吸盤であり、このものは、容器本体に対して取り付け自在に構成されていることを特徴とする前記請求項4記載の機能拡張したウェットティッシュ等の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−131913(P2011−131913A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293105(P2009−293105)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(500066539)株式会社コーヨー化成 (6)
【Fターム(参考)】