説明

機関車プラットフォームで用いる単動空気圧シリンダ

空気圧シリンダは、シリンダ体、非圧力ヘッド部、中空ピストンロッド、ピストンヘッド、及びプッシュロッドを備える。シリンダ体は、取付フランジ及び入口ポートを有する。非圧力ヘッド部は、取付フランジを有する。中空ピストンロッドは、開放端部及び閉鎖端部を有する。ピストンヘッドは、中空ピストンロッドに固定され中空ピストンロッドの閉鎖端部を形成する。プッシュロッドは、中空ピストンロッド内に挿入されるソケット端部、及びカプラ端部を有する。非圧力ヘッド部は、中空ロッド案内軸受及び中空ロッドシールを有し、ピストンヘッドは、ピストン案内軸受及びピストンシールを有する。中空ロッド案内軸受及び中空ロッドシールはそれぞれ、中空ピストンロッドと摺動可能に係合する。ピストン案内軸受及びピストンシールはそれぞれ、シリンダ体と摺動可能に係合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気圧シリンダに関し、より詳細には、機関車プラットフォームで用いる単動の、望ましくは低摩擦の空気圧シリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
空気圧シリンダは通常、力を伝達してピストン・ロッドアセンブリを変位させるように、シリンダ体及びピストン・ロッドアセンブリを有する。特に、単動空気圧シリンダは、シリンダ体の加圧側に空気圧をかけて、ピストンに作用する上記空気圧に概ね比例する力でピストン・ロッドアセンブリを移動させる。
【0003】
例えば、米国特許第5,630,354号明細書は、ブレーキシリンダ体、ヘッドケーシング、ピストン・ロッドアセンブリ、及びプッシュロッドアセンブリを有する、ブレーキシリンダを開示している。ピストン・ロッドアセンブリは、閉鎖端部にダイアフラムピストンヘッドを有する中空ピストンロッドを含む。第1のばね座部と第2のばね座部との間で、中空ピストンロッドの周りにこれと同心状にリリースばねが配置される。プッシュロッドアセンブリは、ソケット端部及びカプラ端部を有する。ソケット端部は、中空ピストンロッド内に開放端部を介して挿入され、カプラ端部は、ブレーキリギング(rigging)に結合する。
【0004】
Truemperによる米国特許第2,930,606号明細書は、対向する球状のヘッドを有する2つのピストンロッドによって車両フレーム上に支持されている車軸を開示している。各ロッドは、シリンダ内で摺動するピストンに支えられている。1つの導管が、各シリンダから共通の接続導管へ通じている。別の導管が、接続導管から分岐して圧力空間に通じており、圧力空間ではピストンスライド弁が動作し、且つ柱状に重なったばね座金(a column of spring washers)又は空気ばねが圧力空間内に配置される。動作の際、車両の重量がシリンダ内の圧力液体を圧縮し、このことによりさらにばねが圧縮される。Truemperの明細書のピストンシリンダは、空気圧よりむしろ液体で動作する。
【0005】
Ver Planckによる米国特許第1,295,644号明細書は、台車上で車体を支持するように動作可能なピストンシリンダを開示している。シリンダのピストンは空気圧作動式である。
【0006】
すべてがHommen他による米国特許第7,243,606号明細書、米国特許第7,168,370号明細書、及び米国特許第7,185,592号明細書は、鉄道車両の上部構造の高さ(level)を上昇させる空気ばねを開示している。Hommenの米国特許第7,243,606号明細書は、下方の振子支持体及び対応する圧力室を含む、気体及び液体を利用したばねを開示している。
【0007】
Deanによる米国特許第4,097,063号明細書及びPollingerによる米国特許第3,786,763号明細書は、鉄道車両用の空気ばね装置を開示している。
【0008】
Moultonによる米国特許第2,018,312号明細書及び米国特許第1,958,489号明細書は、複動ピストンシリンダ緩衝機構として動作する緩衝ユニットを開示している。
【0009】
Putnamによる米国特許第1,201,622号明細書は、鉄道車両における緩衝を目的とする4ピストンシリンダ機構を開示している。
【0010】
Robinsonによる米国特許第444,182号明細書は、ピストン及びシリンダがそれぞれ、片側を台車フレームに接続し他方の側を平衡装置に接続するためのボール・ソケット接続部を有する、空気ばね装置を開示している。
【発明の概要】
【0011】
概して、本明細書では空気圧シリンダについて詳述し、当該空気圧シリンダは、シリンダ体、非圧力ヘッド部(non-pressure head)、中空ピストンロッド、ピストンヘッド、及びプッシュロッドを有する。シリンダ体は、入口ポートを有する。非圧力ヘッド部は、シリンダ体の一端に接続される。中空ピストンロッドは、開放端部及び閉鎖端部を有する。中空ピストンロッドの少なくとも一部が、非圧力ヘッド部内に配置される。ピストンヘッドは、中空ピストンロッドと結合され、中空ピストンロッドの閉鎖端部を形成する。ピストンヘッドは、シリンダ体内に配置され、シリンダ体に対して変位可能である。プッシュロッドは、ソケット端部及びカプラ端部を有する。ソケット端部は、中空ピストンロッド内に設置され、それによりピストンヘッドに対するプッシュロッドの弧状の動きを可能にする。
【0012】
シリンダ体及び非圧力ヘッド部は、非圧力ヘッド部をシリンダ体に固定する合わせ取付フランジを有してもよい。ピストンヘッド及び結合されたピストンロッドは、シリンダ体内で軸方向に変位可能であってよい。プッシュロッドのカプラ端部は、U字状の取付ブラケットを有してもよい。非圧力ヘッド部は、中空ロッド案内軸受及び中空ロッドシールを有してもよい。中空ロッド案内軸受及び中空ロッドシールはそれぞれ、中空ピストンロッドと摺動可能に係合する。ピストンヘッドは、ピストン案内軸受及びピストンシールを有してもよく、ピストン案内軸受及びピストンシールはそれぞれ、シリンダ体と摺動可能に係合してもよい。非圧力ヘッド部にベントが設けられてもよい。シリンダ体は、取付部を有してもよい。
【0013】
別の態様では、空気圧シリンダは概して、シリンダ体、非圧力ヘッド部、中空ピストンロッド、ピストンヘッド、プッシュロッド、及びプッシュロッドホルダを有する。シリンダ体は、入口ポートを有する。非圧力ヘッド部は、シリンダ体の一端に接続される。中空ピストンロッドは、開放端部及び閉鎖端部を有し、中空ピストンロッドの少なくとも一部が、非圧力ヘッド部内に配置される。ピストンヘッドは、中空ピストンロッドと結合され、中空ピストンロッドの閉鎖端部を形成する。ピストンヘッドは、シリンダ体内に配置され、シリンダ体に対して変位可能である。プッシュロッドは、ソケット端部及びカプラ端部を有し、ソケット端部は、中空ピストンロッド内に設置される。プッシュロッドホルダは、ピストンロッドに固定され且つ中空プッシュロッドにさらに接続されて、ピストンヘッドに対するプッシュロッドの弧状の動きを可能にする。
【0014】
シリンダ体及び非圧力ヘッド部は、非圧力ヘッド部をシリンダ体に固定する合わせ取付フランジを有してもよい。ピストンヘッド及び結合されたピストンロッドは、シリンダ体内で軸方向に変位可能であってよい。プッシュロッドのカプラ端部は、U字状の取付ブラケットを有してもよい。非圧力ヘッド部は、中空ロッド案内軸受及び中空ロッドシールを有してもよい。中空ロッド案内軸受及び中空ロッドシールはそれぞれ、中空ピストンロッドと摺動可能に係合する。ピストンヘッドは、ピストン案内軸受及びピストンシールを有してもよく、ピストン案内軸受及びピストンシールはそれぞれ、シリンダ体と摺動可能に係合してもよい。非圧力ヘッド部にベントが設けられてもよい。シリンダ体は、取付部を有してもよい。
【0015】
プッシュロッドホルダは、ピストンロッドの移動時にプッシュロッドがピストンロッドと共に移動するように、プッシュロッドを通るホルダピンを支持してもよい。さらに別の態様では、空気圧シリンダは、シリンダ体、非圧力ヘッド部、中空ピストンロッド、ピストンヘッド、プッシュロッド、及びエラストマーリングを有する。シリンダ体は、入口ポートを有する。非圧力ヘッド部は、シリンダ体の一端に接続される。中空ピストンロッドは、開放端部及び閉鎖端部を有し、中空ピストンロッドの少なくとも一部が、非圧力ヘッド部内に配置される。ピストンヘッドは、中空ピストンロッドと結合され、中空ピストンロッドの閉鎖端部を形成する。ピストンヘッドは、シリンダ体内に配置され、シリンダ体に対して変位可能である。プッシュロッドは、ソケット端部及びカプラ端部を有し、ソケット端部は、中空ピストンロッド内に設置される。エラストマーリングは、プッシュロッドのソケット端部の周りに同心状に位置し、ピストンヘッドに対するプッシュロッドの弧状の動きを可能にするように中空ピストンロッドと係合する。エラストマーリングは、ソリッドゴムリングからなっていてもよい。エラストマーリングは、プッシュロッドのソケット端部に隣接して形成されるフランジに対して設置されてもよい。
【0016】
添付図面と共に以下の詳細な説明を読めば、さらなる詳細及び利点が明らかとなるであろう。添付図面において、同様の部分は全体を通して同様の符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一実施形態による空気圧シリンダの斜視図である。
【図2】図1に示す空気圧シリンダの分解斜視図である。
【図3】図1に示すシリンダの正面図である。
【図4】図1の4−4線に沿った空気圧シリンダの断面図である。
【図5】図1の5−5線に沿った空気圧シリンダの断面図である。
【図6】別の実施形態による空気圧シリンダの断面図である。
【図7】さらなる実施形態による空気圧シリンダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下において説明の目的で、空間的な向きに関する用語が用いられる場合、これは、添付図面における向きの通りに又は以下の詳細な説明に記載されている通りに、参照される実施形態にかかわるものとする。しかしながら、以下に記載する実施形態は、多くの代替的な変形形態及び実施形態をとり得ることを理解されたい。添付図面に示し本明細書に記載する特定の空気圧シリンダは、単なる例示であり、限定的なものとみなすべきではないことも理解されたい。
【0019】
図1〜図5に示す一実施形態では、空気圧シリンダ1は、シリンダ体10、非圧力ヘッド部40、中空ピストンロッド50、ピストンヘッド70、及びプッシュロッド80を有している。シリンダ体10は、取付フランジ11及び入口ポート13を有している。入口ポート13は、加圧空気源(図示せず)に接続され得る。非圧力ヘッド部40は、シリンダ体10の取付フランジ11の形状及び寸法に対応する取付フランジ41を有している。よって、シリンダ体10及び非圧力ヘッド部40は、それぞれの取付フランジ11、41を合わせることによって結合され、シリンダ体10と非圧力ヘッド部40との内部に閉鎖空間を形成することができる。取付フランジ11、41は、続いて、対応する貫通穴に挿入されるボルト47及びナット48を介して互いに固定することができる。取付フランジ11、41を互いに固定する前に、取付フランジ11及び41の間に取付シール49が配置され得る。非圧力ヘッド部40及びシリンダ体10は、図1〜図5ではボルト47及びナット48を介して固定されるように示されているが、任意の適切な固定機構を用いて、非圧力ヘッド部40をシリンダ体10に固定してもよい。さらに、シリンダ体10は、空気圧シリンダ1を構造体に固定するためにシリンダ体10の外面に取付部15を有し得る。特定の実施形態では、図1及び図2に示すように、取付部15は、一対の取付足16である。
【0020】
非圧力ヘッド部40は、内部にストレーナ45が配置されているベント43をさらに有し得る。ベント43は、空気圧シリンダ1の作動中又は伸長時に空気圧シリンダ1から空気を逃がすことができる。さらに、ベント43は、空気圧シリンダ1の非圧力ヘッド部40に大気が入ることにより空気圧シリンダ1が適切に復帰することを確実することを可能にする。
【0021】
中空ピストンロッド50は、閉鎖端部52及び開放端部54を有している。中空ピストンロッド50は、開放端部54の周辺に配置されている一対の止めねじ穴56及びピン貫通穴57を有している。止めねじ穴56及びピン貫通穴57は、中空ピストンロッド50の長手方向軸に対して概ね垂直な向きである。ピストンヘッド70が、中空ピストンロッド50に固定されて中空ピストンロッド50の閉鎖端部52を形成している。ピストンヘッド70は、シリンダ体10内に配置され、中空ピストンロッド50と共にシリンダ体10及び非圧力ヘッド部40に対して変位可能である。ピストンヘッド70は、少なくとも1つの案内軸受72及びピストンシール74を有し、これらはシリンダ体10内で摺動可能に係合する。さらに、非圧力ヘッド部40は、中空ロッド案内軸受60及び中空ロッドシール62を有し、これらは中空ピストンロッド50と摺動可能に係合する。図4及び図5に示すように、ピストンヘッド70は、ピストンシール74の両側に位置付けられている2つの案内軸受72を有している。中空ロッド案内軸受60及び中空ロッドシール62は、互いに隣接して位置付けされ得る。シール62、74及び軸受60、72は、低摩擦のシール及び軸受であり得る。例えば、軸受60、72は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製、特に青銅充填(bronze-filled)PTFE製であり得る。
【0022】
プッシュロッド80は、ソケット端部82及びカプラ端部83を有している。プッシュロッド80のソケット端部82は、ソケット端部82が中空ピストンロッド50の閉鎖端部52に隣接するように中空ピストンロッド50内に挿入される。プッシュロッド80は、プッシュロッド80のソケット端部82の周りにこれと同軸になるように配置されるエラストマーリング104(図6に示す)をさらに有し得るが、これについての詳細は後述する。この環状のリングは、ゴムから製作されても任意の他の適した材料から製作されてもよい。
【0023】
空気圧シリンダ1が空気圧シリンダ1の非作動位置(non-application position)に戻るときにプッシュロッド80が中空ピストンロッド50と共に移動することを確実にするために、プッシュロッド80は、プッシュロッドホルダ90によって中空ピストンロッド50に固定される。プッシュロッドホルダ90は、中空ピストンロッド50の周りにこれと同心状に配置され、プッシュロッドホルダ90の止めねじ貫通穴95及び中空ピストンロッド50の止めねじ穴56に挿入される止めねじ92を介して、中空ピストンロッド50に固定される。ホルダピン97が、プッシュロッドホルダ90の対向するピン貫通穴99及びプッシュロッド80の止めピン貫通穴85を貫通して挿入され、プッシュロッドホルダ90をその中に入る中空ピストンロッド50に固定する。コッターピン100を用いて、ホルダピン97がピン貫通穴99に固定され得る。
【0024】
シリンダ体10の入口ポート13を通して加圧空気を導入すると、空気圧がピストンヘッド70に作用して、ピストンヘッド70を非圧力ヘッド部40の方に変位させる。これにより、プッシュロッド80が入っている中空ピストンロッド50が、非圧力ヘッド部40から延びて、プッシュロッド80のカプラ端部83を通して力を伝達する。ピストンヘッド70、中空ピストンロッド50、及びプッシュロッド80は、シリンダ体10が取り付けられる構造体の重量によってその元来の位置に戻され得る。
【0025】
空気圧シリンダ1は、例示的な望ましい用途では機関車プラットフォームにおいて用いられ得る。特に、空気圧シリンダ1は、プッシュロッド80が直線状に移動しないこと並びに機関車台車の構成要素におけるサイズ及び場所のばらつきを補いつつ、機関車の台車アセンブリ(図示せず)を通して力を伝達するために用いられ得る。上述し且つ図1〜図5に示すように、中空ピストンロッド50は、プッシュロッド80を包み、空気圧シリンダ1の長手方向軸に沿って直線的にピストン力を進ませてシリンダ体10の壁と平行なピストンの移動を維持するように機能する。さらに、プッシュロッド80のソケット端部82及び中空ピストンロッド50は、プッシュロッド80が中空プッシュロッド50内で旋回することを可能にする。プッシュロッド80が旋回する動きをすることによって、機関車に対するプッシュロッド80のカプラ端部83の取付点を変化さす機関車の台車アセンブリのクリアランスに許容度が許されるようになり、それにより、より低い許容度の機関車構成要素の使用が可能となることによって取付が容易になると共に費用が低減される。さらに、機関車の台車アセンブリのリンク機構(linkage)により、プッシュロッド80が旋回する機能は、稼働中に空気圧シリンダ1が動作する場合にプッシュロッド80を弧状の動きで移動させることができる。この弧状の動きは、図5に矢印Aで表されている。
【0026】
上述し且つ図4及び図5に示すように、非圧力ヘッド部40は、中空ピストンロッド50と非圧力ヘッド部40と間の物理的な接触を防止するために、中空ロッド案内軸受60及び中空ロッドシール62を有している。さらに、ピストンヘッド70は、ピストンヘッド70とシリンダ体10との間の物理的な接触を防止するために、案内軸受72及びピストンシール74を有している。シール62、74及び軸受60、72を配置することによって、機関車台車リギングから空気圧シリンダ1の構成要素に伝達される非軸方向荷重すなわち横荷重に対処することができる。さらに、シール62、74及び軸受60、72によって、圧力調整を制御するための空気圧シリンダ1の応答特性が向上する。
【0027】
図6に示す空気圧シリンダ1の別の実施形態では、エラストマーリング104が、プッシュロッド80のソケット端部82の周りにこれと同心状に位置付けられ、中空ピストンロッド50内でのプッシュロッド80のガタつきを低減するが、中空ピストンロッド50と結合されたピストンヘッド70に対するプッシュロッド80の弧状の動きは可能なままである。エラストマーリング104は、ゴム又は同様の弾性のある可撓性材料から形成され得る。通常、エラストマーリング104は、図6に示すようにプッシュロッド80のソケット端部82に隣接して形成されるフランジ108に対して設置される。エラストマーリング104は、先の実施形態のように、中空ピストンロッド50と結合されたピストンヘッド70に対してプッシュロッド80が、同じく図6に矢印Aで表されているような同様の弧状の動きをすることを可能にする。図6に示すシリンダは、上述し且つ図5に示すプッシュロッドホルダ90も有し得る。
【0028】
図7に示す空気圧シリンダ1のさらなる実施形態では、ピストンヘッド70、中空ピストンロッド50、及びプッシュロッド80は、ピストンヘッド70と非圧力ヘッド部40との間の戻しばね120を用いることによって、作動後に元来の位置に戻され得る。特に、戻しばね120は、一端がピストンヘッド70と係合し、他端がばね座部125と係合する。ばね座部125は、非圧力ヘッド部40内に位置付けられているシールパッキン130と係合する。戻しばね120を設けることによって、シリンダから空気圧が除去されると、ピストンヘッド70が作動し変位している間に圧縮された戻しばねの力に起因してピストンが引っ込む。空気圧シリンダ1は、図6に関して上述したように、プッシュロッド80のソケット端部82の周りにこれと同心状に位置付けられるエラストマーリング104も有している。さらに、図7に示す空気圧シリンダ1は、非圧力ヘッド部40に位置付けられる中空ロッド案内軸受60及び中空ロッドシール62を有していない。図7に示す空気圧シリンダ1は、ピストンヘッド70に位置付けられる案内軸受72も有していない。
【0029】
さらに、図1〜図5に示す空気圧シリンダ1の実施形態も、図7に示すような戻しばね120、ばね座部125、及びシールパッキン130を有し得る。その場合、図1〜図5の空気圧シリンダ1は、戻しばね120の付勢作用によって作動後に元来の位置に戻されることになる。
【0030】
上記の説明では機関車プラットフォームで用いる空気圧シリンダの実施形態を提供したが、当業者が本発明の範囲及び精神から逸脱せずにこれらの実施形態に変更及び変形を加えてもよい。よって、上記の説明は、限定的というより例示的であることが意図されている。以上で説明した発明は、添付の特許請求の範囲に規定されており、特許請求の範囲の均等の意味及び範囲内に含まれる本発明のあらゆる変更が、特許請求の範囲内に包含されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧シリンダであって、
入口ポートを有するシリンダ体と、
前記シリンダ体の一端に接続される非圧力ヘッド部と、
開放端部及び閉鎖端部を有し且つ少なくとも一部が前記非圧力ヘッド部内に配置される中空ピストンロッドと、
前記中空ピストンロッドと結合され前記中空ピストンロッドの前記閉鎖端部を形成するピストンヘッドであって、前記シリンダ体内に配置され前記シリンダ体に対して変位可能であるピストンヘッドと、
ソケット端部及びカプラ端部を有するプッシュロッドであって、前記ソケット端部は前記中空ピストンロッド内に設置されそれにより前記ピストンヘッドに対する前記プッシュロッドの弧状の動きを可能にするプッシュロッドとを備える空気圧シリンダ。
【請求項2】
前記シリンダ体及び前記非圧力ヘッド部は、前記非圧力ヘッド部を前記シリンダ体に固定する合わせ取付フランジをさらに備える請求項1に記載の空気圧シリンダ。
【請求項3】
前記ピストンヘッド及び結合された前記ピストンロッドは、前記シリンダ体内で軸方向に変位可能である請求項1に記載の空気圧シリンダ。
【請求項4】
前記カプラ端部は、U字状の取付ブラケットを備える請求項1に記載の空気圧シリンダ。
【請求項5】
前記非圧力ヘッド部は、中空ロッド案内軸受及び中空ロッドシールを備え、前記中空ロッド案内軸受及び前記中空ロッドシールはそれぞれ、前記中空ピストンロッドと摺動可能に係合する請求項1に記載の空気圧シリンダ。
【請求項6】
前記ピストンヘッドは、ピストン案内軸受及びピストンシールを有し、前記ピストン案内軸受及び前記ピストンシールはそれぞれ、前記シリンダ体と摺動可能に係合する請求項1に記載の空気圧シリンダ。
【請求項7】
前記非圧力ヘッド部にベントをさらに備える請求項1に記載の空気圧シリンダ。
【請求項8】
前記シリンダ体に取付部をさらに備える請求項1に記載の空気圧シリンダ。
【請求項9】
空気圧シリンダであって、
入口ポートを有するシリンダ体と、
前記シリンダ体の一端に接続される非圧力ヘッド部と、
開放端部及び閉鎖端部を有し且つ少なくとも一部が前記非圧力ヘッド部内に配置される中空ピストンロッドと、
前記中空ピストンロッドと結合され前記中空ピストンロッドの前記閉鎖端部を形成するピストンヘッドであって、前記シリンダ体内に配置され前記シリンダ体に対して変位可能であるピストンヘッドと、
ソケット端部及びカプラ端部を有するプッシュロッドであって、前記ソケット端部が前記中空ピストンロッド内に設置されるプッシュロッドと、
前記中空ピストンロッドに固定され且つ前記プッシュロッドにさらに接続されて、前記ピストンヘッドに対する前記プッシュロッドの弧状の動きを可能にするプッシュロッドホルダとを備える空気圧シリンダ。
【請求項10】
前記シリンダ体及び前記非圧力ヘッド部は、前記非圧力ヘッド部を前記シリンダ体に固定する合わせ取付フランジをさらに備える請求項9に記載の空気圧シリンダ。
【請求項11】
前記ピストンヘッド及び結合された前記ピストンロッドは、前記シリンダ体内で軸方向に変位可能である請求項9に記載の空気圧シリンダ。
【請求項12】
前記カプラ端部は、U字状の取付ブラケットを備える請求項9に記載の空気圧シリンダ。
【請求項13】
前記非圧力ヘッド部は、中空ロッド案内軸受及び中空ロッドシールを備え、前記中空ロッド案内軸受及び前記中空ロッドシールはそれぞれ、前記中空ピストンロッドと摺動可能に係合する請求項9に記載の空気圧シリンダ。
【請求項14】
前記ピストンヘッドは、ピストン案内軸受及びピストンシールを有し、前記ピストン案内軸受及び前記ピストンシールはそれぞれ、前記シリンダ体と摺動可能に係合する請求項9に記載の空気圧シリンダ。
【請求項15】
前記非圧力ヘッド部にベントをさらに備える請求項9に記載の空気圧シリンダ。
【請求項16】
前記シリンダ体に取付部をさらに備える請求項9に記載の空気圧シリンダ。
【請求項17】
前記プッシュロッドホルダは、前記ピストンロッドの移動時に前記プッシュロッドが前記ピストンロッドと共に移動するように、前記プッシュロッドを通るホルダピンを支持する請求項9に記載の空気圧シリンダ。
【請求項18】
空気圧シリンダであって、
入口ポートを有するシリンダ体と、
前記シリンダ体の一端に接続される非圧力ヘッド部と、
開放端部及び閉鎖端部を有し且つ少なくとも一部が前記非圧力ヘッド部内に配置される中空ピストンロッドと、
前記中空ピストンロッドと結合され前記中空ピストンロッドの前記閉鎖端部を形成するピストンヘッドであって、前記シリンダ体内に配置され前記シリンダ体に対して変位可能であるピストンヘッドと、
ソケット端部及びカプラ端部を有するプッシュロッドであって、前記ソケット端部が前記中空ピストンロッド内に設置されるプッシュロッドと、
前記プッシュロッドの前記ソケット端部の周りに同心状に位置し且つ前記ピストンヘッドに対する前記プッシュロッドの弧状の動きを可能にするように前記中空ピストンロッドと係合するエラストマーリングとを備える空気圧シリンダ。
【請求項19】
前記エラストマーリングは、ソリッドゴムリングからなる請求項18に記載の空気圧シリンダ。
【請求項20】
前記エラストマーリングは、前記プッシュロッドの前記ソケット端部に隣接して形成されるフランジに対して設置される請求項18に記載の空気圧シリンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−528781(P2011−528781A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520253(P2011−520253)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/055138
【国際公開番号】WO2010/025215
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(506190681)ワブテク・ホールディング・コーポレイション (13)
【氏名又は名称原語表記】WABTEC HOLDING CORP.
【住所又は居所原語表記】1001 Air Brake Avenue, Wilmerding, PA 15148, U.S.A.
【Fターム(参考)】