説明

欠陥検出装置、欠陥検出方法、欠陥検出プログラム、及び該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】擬似欠陥の発生を抑えて、高精度な欠陥検出を行う。
【解決手段】本発明の欠陥検出装置1は、比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値(P1〜P8)と、被検査画素の輝度値(P0)との差分を算出する第1差分演算回路23aと、比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値(P1’〜P8’)と、被検査画素の輝度値(P0)との差分を算出する第2差分演算回路23bと、上記算出された差分のうち、絶対値が最も小さい差分を欠陥検出用指標として選択する比較/選択回路24と、該比較/選択回路24が選択した欠陥検出用指標と、予め定めた閾値との大小関係から、上記検査対象物の上記被検査画素に対応する位置における欠陥の有無を判定する欠陥判定部13とを備えているので、擬似欠陥の発生を抑えて高精度に欠陥検出を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象物を撮像した画像に含まれる被検査画素の輝度値と、当該画像に含まれており、上記被検査画素と輝度値を比較する対象となる比較対象画素の輝度値とのずれ基づいて、上記検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LCD(Liquid Crystal Display)表示装置、PDP(Plasma Display Panel)表示装置、EL(Electro Luminescence)表示装置、液晶プロジェクタ等、フラットパネルを使用した表示装置の主要な不良として、線欠陥及び点欠陥が挙げられる。点欠陥は、表示装置の各画素自身の不良に起因し、線欠陥は、隣接する信号ラインの短絡、接触不良、駆動ドライバ素子不良等に起因する。
【0003】
上記のような表示装置の線欠陥及び点欠陥の検出を行う場合には、検査の対象となる表示装置を撮像し、撮像によって得られた画像を解析することによって、欠陥の有無や欠陥の位置を検出する方法が広く用いられている。この方法によれば、欠陥検査を自動化することができるので、欠陥検査の所要時間を削減することができると共に、欠陥検査に要する人件費を削減して表示装置の製造コストを低減することもできる。
【0004】
このように、検査対象となる装置を撮像した画像を解析することによって、欠陥を検出する方法には、大きなメリットがあるので、この検査方法は、表示装置以外にも適用されている。例えば、撮像装置の撮像素子の不良を上記の検査方法で検出することが行われている。近年、撮像装置の解像度は、急速に向上しており、これに伴ってCCD等の撮像素子の不良が発生しやすい状況下にある。このため、上記の検査方法が適用されるようになっている。また、IC等の回路の検査にも上記の検査方法が適用されている。
【0005】
ところで、上記の検査方法で、表示装置の欠陥検出を行う場合には、カメラ等の撮像装置にて表示装置の画像表示面を撮像する。ここで、近年、表示装置の画像表示面のサイズは、大型化が急速に進んでいるので、撮像装置のレンズの収差や、撮像装置のレンズと画像表示面の中央との距離と、撮像装置のレンズと画像表示面の端との距離差も大きくなることが多い。
【0006】
これにより、画像表示面の中央付近を撮像した部分と、端部付近を撮像した部分とに歪が生じた画像が取得される場合がある。また、画像表示面を撮像した画像には、画像表示面の中央部付近と比べて端部付近の輝度値が低下するシェーディングが発生することもある。さらに、表示装置が透過型液晶パネルを用いたLCD表示装置である場合には、バックライトを複数配置することに起因する輝度むらが発生することもある。このため、例えば検査対象を撮像した画像を二値化処理して欠陥を検出する場合に、画素間の輝度値の変動によって処理結果が安定しないという問題がある。
【0007】
ここで、シェーディング及び輝度むらについて、図16に基づいて説明する。図16は、画像表示面を撮像した画像に対するシェーディング及び輝度むらの影響を説明する図である。同図では、表示装置の画像表示面を撮像した画像上の位置と輝度値との関係を示している。xは水平方向(同図の左右方向)の位置を示す軸であり、yは垂直方向(同図の上下方向)の位置を示す軸である。また、x及びyは輝度値を示す軸である。
【0008】
そして、Aは水平方向の輝度値のプロファイルを示し、BはAよりも暗い(輝度値の低い)画像における水平方向の輝度値のプロファイルを示し、Cは照明むらがある場合における水平方向の輝度値のプロファイルを示している。また、Aは垂直方向の輝度値のプロファイルを示し、BはAよりも暗い(輝度値の低い)画像における垂直方向の輝度値のプロファイルを示している。
【0009】
なお、表示装置に画像を表示させるときの輝度値は、明るい画像を表示させるときも、暗い画像を表示させるときも、画像表示面の全面に均一に設定されるものとする。このように、輝度値が画像表示面の全面の輝度値が均一になるように設定されている場合には、シェーディングや輝度むらが発生していなければ、画像表示面を撮像した画像に含まれる画素の輝度値が均一となる。
【0010】
しかしながら、図示のように、暗い画像のプロファイルB及びプロファイルB、及び明るい画像のプロファイルA及びプロファイルAでは、画像の中央部付近と端部付近とで輝度値に差が見られる。また、照明むらがある場合のプロファイルCは、水平方向の位置によって輝度値が不規則に変化している。
【0011】
このように、画像表示面の全面の輝度値が均一になるように設定されている場合であっても、シェーディングや輝度むらが発生したときには、画像表示面の部位によって、輝度値に差異が生じる。このため、このような画像を用いて表示装置の表示欠陥(例えば線欠陥や点欠陥等)を検出する場合には、シェーディング補正等を行う必要がある。
【0012】
例えば、LCD表示装置の点欠陥を検出する場合には、シェーディング補正を行って欠陥検出を行う手法が従来から用いられている。この手法では、所定の表示パターンを検査対象のLCD表示装置に表示させ、表示されたパターンを撮像装置で撮像し、撮像によって得た画像に対してシェーディング補正を行う。そして、シェーディング補正後の画像中において、所定の閾値以上の輝度値となる箇所を輝点欠陥として検出し、所定の閾値以下を黒点欠陥として検出する。
【0013】
上記のように、画像表示面を撮像した画像に基づいて、検査対象物の欠陥検出を行う場合には、シェーディング補正によって、シェーディングや輝度むらの影響を低減することによって、正確に欠陥を検出することができる。ただし、この方法では、画像表示面のサイズが大きい場合には、大型サイズの平滑化フィルタ等を用いてシェーディング補正を行う必要があるため、処理時間が長くなるという難点がある。
【0014】
また、下記の特許文献1においても、表示装置の画像表示面を撮像した画像を用いて点欠陥を検出している。具体的には、特許文献1では、白点灯表示パターンを表示させて撮像した画像と、黒点灯表示パターンを表示させて撮像した画像との差分画像を作成する。そして、作成した差分画像において、所定の閾値以上の輝度を輝点欠陥として検出し、所定の閾値以下を黒点欠陥として検出する。
【0015】
ここで、特許文献1のように、異なる表示パターンを表示させた状態の画像表示面を撮像して得られた画像の差分を用いて欠陥検出を行う場合には、撮像時間が余分にかかり、処理時間が長くなるという難点がある。また、差分を取ることによってシェーディング量は軽減されるものの、完全にシェーディングがなくなることはないので、特許文献1の技術においても、検出精度を向上させるためには、シェーディング補正を行う必要がある。そして、シェーディング補正を行った場合には、当然のことながら処理時間は長くなる。
【0016】
シェーディング補正は、例えば以下のようにして行なわれる。すなわち、予め、良品の(欠陥を有していない)検査対象物の画像を複数サンプリングし、該サンプリングによって得た複数の画像の対応する画素の平均輝度値を算出する。そして、算出した平均輝度値を各画素の輝度値とする画像を生成し、この画像を平滑化フィルタにて平滑化することにより、シェーディング補正を行うための基準画像を作成する。この基準画像と、欠陥を有しているか否かが不明な検査対象物を撮像した画像の差分を取ることによって、シェーディングの影響をキャンセルして欠陥の有無を正確に検出することができる。
【0017】
ここで、上記のシェーディング補正は、基準画像の撮像時の撮像条件と、検査時に行う撮像の撮像条件とが一致していることが前提となる。しかし、欠陥検査は、複数の検査対象物に対して行われるのが通常であり、バックライトや外部照明等の経年変化や、計測装置のメンテナンス等によって、検査対象物の撮像条件は、時々刻々異なるものとなってゆく。
【0018】
このため、検査の精度を維持するためには、基準画像を定期的に更新して、基準画像の撮像条件と検査用の画像の撮像条件とをできるだけ近づける必要がある。したがって、良品の検査対象物のサンプリングを定期的に行って、基準画像のデータベースを更新する必要がある。
【0019】
つまり、上記従来の欠陥検査方法では、欠陥検査時間をかければ欠陥検査の精度を上げることができるが、欠陥検査の精度を維持しつつ、欠陥検査に要する時間を短くすることは困難である。欠陥検査に要する時間は短いほど好ましく、欠陥検査の精度は高いほど好ましいので、欠陥検査の精度を維持しつつ、欠陥検査に要する時間を短くする方法が提案されている。
【0020】
例えば、CCDや表示装置の表示部、IC等、繰返しパターンを多く含む検査対象物を撮像した画像を用いて当該検査対象物の欠陥の検出を行う場合には、画像中において隣接する画素の輝度値を比較することによって欠陥の検出を行う方法が知られている。具体的には、この方法では、被検査画素の輝度値と該被検査画素に隣接する画素の輝度値との差分が所定の範囲内にあるか否かに基づいて、当該被検査画素の欠陥の有無を判断する。この方法によれば、検査対象物の撮像は1回でよく、各画素における欠陥の有無が検出されるので、検査対象物の欠陥位置を高精度に求めることができる。
【0021】
ここで、上記の手法によれば、隣接画素が検査対象物の欠陥がない部位を撮像して生成された画素である場合には、欠陥検出を正常に行うことができる。しかしながら、隣接画素が検査対象物の欠陥部位を撮像して生成された画素である場合には、正常な判定を行うことができない。すなわち、正常な画素が欠陥画素として検出される、いわゆる擬似欠陥の問題が生じる。特に、検査対象物に線欠陥がある場合には、線欠陥の周辺部分で擬似欠陥が発生しやすい。
【0022】
この擬似欠陥の発生を抑制するために、例えば、被検査画素と複数の隣接画素(上下、左右、斜めの8画素)のそれぞれとの差分を算出し、算出した差分値を大きさ順にソートして、所定の順位となる差分値を用いる手法(下記の特許文献2)を用いることができる。
【0023】
また、被検査画素を挟んで隣接する2つの周辺画素(上下、左右、斜めの3種類)の輝度値について比較演算を行い、比較演算の結果、輝度値が略等しいと判断された2つの周辺画素における輝度値の平均値と、被検査画素の輝度値とを比較することによって、当該被検査画素の欠陥の有無を判断する手法(下記の特許文献3)も用いることができる。
【0024】
さらに、被検査画素を挟んで隣接する2つの周辺画素(上下、左右、斜めの3種類)の輝度値の平均値と、被検査画素の輝度値との差分をそれぞれ計算し、計算によって得られた3つの差分値の中から1つの差分値を選択することによって、擬似欠陥の発生を抑えることもできる。以下では、この方法について、図17に基づいて説明する。
【0025】
図17は、被検査画素P0と、周辺画素P1〜P8から選択した3組の画素との比較演算を行うことによって、被検査画素P0の欠陥の有無を判定する方法を説明する図である。図示の例では、同図の左側に示す位置関係の被検査画素P0と周辺画素P1〜P8とに基づいて、同図の右側に示す欠陥検出装置200が被検査画素P0の欠陥の有無を判定する。図示のように、欠陥検出装置200は、比較演算部201a〜201c、選択部202、及び欠陥判定部203を備えている。
【0026】
比較演算部201aは、被検査画素P0と、被検査画素P0を中心として水平方向に位置する周辺画素P4及びP5の輝度値の平均値との差を求める比較演算1を行う。また、比較演算部201bは、被検査画素P0と、被検査画素P0を中心として斜め方向に位置する周辺画素P1及びP8の輝度値の平均値との差を求める比較演算2を行う。そして、比較演算部201cは、被検査画素P0と、被検査画素P0を中心として垂直方向に位置する周辺画素P2及びP7の輝度値の平均値との差を求める比較演算3を行う。比較演算部201a〜201cの比較演算結果は、選択部202に送られる。
【0027】
ここでは、欠陥を有していない検査対象物を撮像した場合に、P0〜P8の輝度値が何れも理論上、同じ値となることを想定している。したがって、検査対象物に欠陥が発生していなければ、理論上、P0〜P8の輝度値は全て同じ値(以下、正常値と呼ぶ)となり、比較演算部201a〜201cの比較演算結果は全て0になる。
【0028】
なお、実際に検査対象物を撮像して得られた画像では、輝度値が完全に一致することは極めて稀である。このため、検査対象物に欠陥が発生していない場合であっても比較演算結果が0となることも極めて稀である。そこで、実際には、比較演算結果が0から所定の範囲内の値である場合には、比較演算結果を0とみなす。つまり、P0〜P8の輝度値がそれぞれほぼ等しい値となっており、上記比較演算結果がほぼゼロとなる場合には、検査対象物の上記被検査画素に対応する位置には、欠陥が発生していないとみなす。
【0029】
一方、検査対象物に欠陥が発生していれば、P0〜P8の輝度値は正常値と異なる値となる。例えば、検査対象物の被検査画素P0に対応する位置のみに欠陥が発生している場合には、周辺画素P1〜P8の輝度値は正常値となり、被検査画素P0のみが正常値と異なる輝度値となる。この場合には、比較演算部201a〜201cの比較演算結果は全てゼロ以外の同じ値となる。そして、比較演算結果がゼロでないことにより、被検査画素P0が欠陥を有していると判定することができる。
【0030】
上記のように、検査対象物の被検査画素P0に対応する位置のみに欠陥が発生している場合には、比較演算部201a〜201cの比較演算結果の何れを用いても正確に被検査画素P0の欠陥の有無を判定することができる。
【0031】
しかしながら、検査対象物の周辺画素P1〜P8に対応する位置に欠陥が発生している場合には、比較演算部201a〜201cの比較演算結果はそれぞれ異なる値となる。このため、正確に被検査画素P0の欠陥の有無を判定するためには、比較演算部201a〜201cの比較演算結果の中から適切な結果を選択する必要があり、比較演算結果の選択が適切でなければ、検査対象物の被検査画素P0に対応する位置に欠陥がないにも拘らず、欠陥があると誤判定してしまうおそれがある。つまり、擬似欠陥が発生する。
【0032】
選択部202では、所定の選択ルールに従って、比較演算部201a〜201cの比較演算結果の中から1つの演算結果を選択し、選択した演算結果を欠陥判定部203に送る。そして、欠陥判定部203では、選択部202から受け取った演算結果を用いて、被検査画素P0の欠陥の有無を判定する。
【0033】
ここで、例えばLのような線欠陥が発生している場合には、P3、P5、P8の3つの周辺画素の輝度値が正常値と異なることになる。この場合には、P3、P5、またはP8の輝度値を用いる比較演算1及び2の演算結果は、Lの影響を受ける。したがって、この場合には、選択部202が、Lの影響を受けない比較演算部201cの比較演算結果を選択することにより、欠陥判定部203は、被検査画素P0の欠陥の有無を正確に判定することが可能になる。つまり、擬似欠陥は発生しない。
【特許文献1】特開平7−175442号公報(1995年7月14日公開)
【特許文献2】特開2006−145232号公報(2006年6月8日公開)
【特許文献3】特開2004−28836号公報(2004年1月29日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
比較演算部201a〜201cの比較演算結果の中から、周辺画素の欠陥の影響を受けない比較演算結果を選択する方法としては、例えば特許文献3のように、被検査画素を挟んで隣接する2つの周辺画素(上下、左右、斜めの3種類)のうち、輝度値が略等しいと判断された2つの周辺画素を用いて行なわれた比較演算結果を選択することが考えられる。
【0035】
しかしながら、上記の方法では、被検査画素を挟んで隣接する2つの周辺画素の平均輝度値を用いて比較演算を行うため、撮像時のノイズや表示ノイズ等の影響により平均輝度値が不安定になる要因がある。
【0036】
また、例えば図17の例において、検査対象物のP2、P0、及びP7に対応する位置に線欠陥が発生している場合には、P2及びP7の両方が同じ欠陥部位に対応していることにより、両者の輝度値は略等しい値となる。このため、欠陥部位に対応するP2及びP7を用いた比較演算結果(比較演算部201cによる)を用いて被検査画素P0の欠陥判定が行われる可能性があり、これにより欠陥判定部203が、検査対象物の被検査画素P0に対応する位置に欠陥が発生していないと誤判定してしまい、欠陥を看過してしまうおそれがある。
【0037】
さらに、図17に示すように、Lに加えてLの線欠陥が発生した場合には、比較演算部201a〜201cの比較演算結果は、全て線欠陥LまたはLの影響を受けるので、擬似欠陥が発生するおそれがある。
【0038】
また、周辺画素の欠陥の影響を受けない比較演算結果を選択する別の方法として、例えば特許文献2のように、被検査画素P0と周辺画素P1〜P8のそれぞれとの差分を算出し、算出した差分値を大きさ順にソートして、所定の順位となる差分値を用いることも考えられる。
【0039】
しかしながら、上記の方法では、演算量が多くなるという問題がある。つまり、上記の方法では、まず、被検査画素P0と周辺画素P1〜P8のそれぞれとの差分を算出する演算を行う必要がある。そして、算出された8つの演算結果を大きさ順にソートする演算を行う必要がある。ソートに要する演算回数は、周辺画素の数と、使用する差分値の順位とによって変わる。
【0040】
例えば、8つの周辺画素を用いる場合に、4番目の大きさの差分値を用いるときには、22(7+6+5+4)回、5番目の大きさの差分値を用いるときには、25(7+6+5+4+3)回の比較演算とソートを行う必要がある。演算量が多くなると、演算をソフトウェアで行う場合には、処理時間が長くなるという問題があり、また演算をハードウェアで行う場合には、処理回路の規模が大きくなるという問題がある。
【0041】
ここで、被検査画素P0との差分を演算する周辺画素の数を減らせば、ソートに要する演算量を減らすことができる。しかしながら、被検査画素P0との差分を演算する周辺画素の数を減らした場合には、演算結果の精度が低下し、これにより擬似欠陥が発生するおそれがある。
【0042】
また、被検査画素P0と周辺画素P1〜P8のそれぞれとの差分を算出し、算出した差分値を大きさ順にソートして、所定の順位となる差分値を用いる方法では、図17に示すように、Lに加えてLの線欠陥が発生した場合には、誤判定が生じる確率は高くなる。このため、擬似欠陥の発生を完全に防ぐことは難しい。
【0043】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、検査対象物を撮像した画像に基づいて、当該検査対象物の欠陥の検出を行う際に、擬似欠陥の発生を防いで、高い欠陥検出精度を維持する欠陥検出装置等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0044】
本発明に係る欠陥検出装置は、上記課題を解決するために、検査対象物を撮像した画像であって、輝度値が一定の周期で繰り返すパターンを有する画像から抽出した被検査画素の輝度値と、上記被検査画素に対して上記一定の周期だけ離れた画素から選択された比較対象画素の、上記画像から抽出した輝度値とに基づいて、上記検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出装置であって、上記被検査画素には、複数の上記比較対象画素よりなり、互いに異なる複数の比較対象画素群が対応付けられており、上記比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値と、上記被検査画素の輝度値とのずれの大きさを示す指標を、上記複数の比較対象画素群のそれぞれについて算出する指標算出手段と、上記指標算出手段が算出した指標のうち、絶対値が最も小さい指標を欠陥検出用指標として選択する指標選択手段と、上記指標選択手段が選択した欠陥検出用指標と、予め定めた閾値との大小関係から、上記検査対象物の上記被検査画素に対応する位置における欠陥の有無を判定する欠陥判定手段とを備えていることを特徴としている。
【0045】
また、本発明に係る欠陥検出方法は、上記課題を解決するために、検査対象物を撮像した画像であって、輝度値が一定の周期で繰り返すパターンを有する画像から抽出した被検査画素の輝度値と、上記被検査画素に対して上記一定の周期だけ離れた画素から選択された比較対象画素の、上記画像から抽出した輝度値とに基づいて、上記検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出装置が実行する欠陥検出方法であって、上記被検査画素には、複数の上記比較対象画素を含み、互いに異なる複数の比較対象画素群が対応付けられており、上記比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値と、上記被検査画素の輝度値とのずれの大きさを示す指標を、上記複数の比較対象画素群のそれぞれについて算出する指標算出ステップと、上記指標算出ステップにおいて算出した指標のうち、絶対値が最も小さい指標を欠陥検出用指標として選択する指標選択ステップと、上記指標選択ステップにおいて選択した欠陥検出用指標と、予め定めた閾値との大小関係から、上記検査対象物の上記被検査画素に対応する位置における欠陥の有無を判定する欠陥判定ステップとを含むことを特徴としている。
【0046】
ここで、従来から、検査対象物を撮像した画像であって、輝度値が一定の周期で繰り返すパターンを有する画像から抽出した被検査画素の輝度値と、上記被検査画素に対して上記一定の周期だけ離れた画素から選択された比較対象画素の、上記画像から抽出した輝度値とに基づいて、上記検査対象物の欠陥を検出することは行われている。
【0047】
つまり、検査対象物を撮像した画像が、輝度値が一定の周期で繰り返すパターンを有する画像である場合に、上記検査対象物に欠陥がなければ、理論上、上記画像から抽出した被検査画素の輝度値と、上記被検査画素に対して上記一定の周期だけ離れた画素から選択された比較対象画素の輝度値とは同じ値となる。
【0048】
これを利用し、上記比較対象画素の輝度値と、上記被検査画素の輝度値との差分を算出し、算出した差分と予め定めた閾値とを比較することによって、上記検査対象物の欠陥を検出することができる。なお、ここでは、検査対象物の対応する位置に欠陥がない場合の被検査画素または比較対象画素の輝度値を正常値と呼ぶ。
【0049】
より詳細には、検査対象物の被検査画素に対応する位置、及び検査対象物の比較対象画素に対応する位置の何れにも欠陥が発生していない場合には、被検査画素及び比較対象画素の輝度値が共に正常値となり、この場合には上記差分は理論上ゼロになる。ただし、誤差等の影響により、完全に差分がゼロになることは稀であるから、閾値との比較で欠陥の有無を判定する。要は、被検査画素の輝度値と比較対象画素の輝度値とが実質的に同一とみなせる範囲であれば、検査対象物の被検査画素に対応する位置には欠陥がないと判定することができる。
【0050】
また、検査対象物の被検査画素に対応する位置に欠陥が発生しており、検査対象物の比較対象画素に対応する位置には欠陥が発生していない場合には、被検査画素の輝度値は正常値と異なる値となり、比較対象画素の輝度値は正常値となる。この場合には、上記差分は理論上ゼロにはならない。つまり、被検査画素の輝度値と比較対象画素の輝度値とに実質的に差があるとみなせる範囲であれば、検査対象物の被検査画素に対応する位置には欠陥があると判定することができる。
【0051】
しかしながら、検査対象物の被検査画素に対応する位置に欠陥が発生しておらず、検査対象物の比較対象画素に対応する位置に欠陥が発生している場合には、検査対象物の被検査画素に対応する位置には欠陥がないにも拘らず、上記差分は理論上ゼロとならない。このため、検査対象物の被検査画素に対応する位置に欠陥があると誤判定してしまうおそれがある。つまり、この場合には、擬似欠陥が発生するおそれがある。
【0052】
擬似欠陥の発生は、上記の構成のように、比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値と、上記被検査画素の輝度値とのずれの大きさを示す指標を用いることによって、軽減される。つまり、複数の比較対象画素からなる比較対象画素群を用いることにより、比較対象画素群に含まれる一部の比較対象画素に、検査対象物の当該比較対象画素に対応する位置に欠陥が発生しているもの(輝度値が正常値と異なるもの)が含まれている場合であっても、輝度値が正常値となっている比較対象画素によって、その影響がキャンセルされる。
【0053】
これにより、擬似欠陥の発生を抑えることは可能であるが、比較対象画素群の比較対象画素に、輝度値が正常値と異なるものが多く含まれる場合等には、正常値と異なる輝度値の影響をキャンセルしきれないことによって、擬似欠陥が発生するおそれがある。
【0054】
そこで、上記の構成では、複数の比較対象画素群のそれぞれについて、上記指標を算出し、算出した指標のうち、絶対値が最も小さい指標である、欠陥検出用指標を用いて、検査対象物の被検査画素に対応する位置の欠陥の有無を判定している。
【0055】
ここで、指標は、比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値と、被検査画素の輝度値とのずれの大きさを示すものである。したがって、上記の構成によれば、被検査画素の輝度値とのずれの大きさが最も小さい比較対象画素群を用いて欠陥の有無が判定されることになる。
【0056】
被検査画素の輝度値とのずれの大きさが最も小さいということは、輝度値のずれがゼロに近いことを意味するので、上記の構成によれば、被検査画素に欠陥があると判定される可能性が低くなる。したがって、上記の構成によれば、擬似欠陥の発生を防ぐことができる。
【0057】
さらに、上記の構成によれば、上記特許文献2の方法と比べて、少ない演算量で欠陥の判定を行うことができる。例えば、上記の構成において、4つの比較対象画素からなる2組の比較対象画素群1及び2を用いる場合には、まず、被検査画素と比較対象画素群1との指標を算出する演算と、被検査画素と比較対象画素群2との指標を算出する演算とを行う。そして、算出した指標のうち、最も絶対値の小さい指標を欠陥判定用指標として決定し、該欠陥判定用指標を用いて検査対象物の被検査画素に対応する位置の欠陥の有無を判定する。
【0058】
これに対し、特許文献2の方法では、8つの周辺画素を用いる場合に、4番目の大きさの差分値を用いるときには、22(7+6+5+4)回、5番目の大きさの差分値を用いるときには、25(7+6+5+4+3)回の比較演算とソートを行うことによって決定した差分値を用いて検査対象物の被検査画素に対応する位置の欠陥の有無を判定する。このように、特許文献2の方法では、ソートに要する演算量が多いため、上記本発明の構成と比べてトータルの演算量が非常に多くなっている。
【0059】
ここで、欠陥が発生している画素と、発生していない画素とでは、一般に欠陥が発生していない画素の割合が大きい。このため、比較対象画素数を増やすことで、比較対象画素中の欠陥が発生していない画素の割合を低くして、欠陥検出に対する欠陥画素の影響を低減することができる。
【0060】
すなわち、上記の構成によれば、比較対象画素数を増やした場合の演算量の増加が少ないので、比較対象画素数を増やすことで欠陥の検出精度を容易に向上させることができる。
【0061】
また、上記欠陥検出装置は、上記比較対象画素を上記画像の外縁部を避けて設定する比較対象画素設定手段を備えていることが好ましい。
【0062】
ここで、検査対象物のサイズが比較的大きい場合には、該検査対象物を撮像する撮像装置の収差等の影響によって、撮像された画像の外縁部に歪が発生することがある。歪が発生している箇所の画素が比較対象画素に設定された場合には、指標の算出に用いられる輝度値に歪の影響が反映され、これにより指標の信頼性が低下するので好ましくない。
【0063】
そこで、上記の構成によれば、比較対象画素を画像の外縁部を避けて設定するようにしている。これにより、指標の算出に用いられる輝度値に対する歪の影響を排除することができるので、画像に歪が発生している場合であっても、高精度に欠陥検出を行うことが可能になる。
【0064】
また、上記欠陥検出装置は、上記検査対象物の欠陥位置に対応する上記画像上の位置を示す欠陥位置データを格納する欠陥位置記憶部を備え、上記比較対象画素が、上記欠陥位置記憶部に格納されている欠陥位置データが示す位置と一致する場合に、当該比較対象画素を、上記欠陥位置データが示す位置以外の画素に変更する比較対象画素変更手段を備えていることが好ましい。
【0065】
上述のように、算出した指標のうち、絶対値が最も小さい指標である欠陥検出用指標を用いて欠陥の有無を判定することによって、擬似欠陥の発生を抑えることができる。ここで、比較対象画素群に、検査対象物の欠陥位置に対応する位置の画素が含まれている場合には、当該画素の影響により、欠陥判定精度が下がって擬似欠陥が発生することも考えられる。
【0066】
そこで、上記の構成によれば、検査対象物の欠陥位置に対応する画像上の位置を示す欠陥位置データを欠陥位置記憶部に予め格納しておき、比較対象画素が、格納されている欠陥位置データが示す位置に含まれる場合に、当該比較対象画素を、欠陥位置データが示す位置以外の画素に変更している。
【0067】
これにより、検査対象物の欠陥位置に対応する位置の画素を比較対象画素から除外することができる。したがって、設定されている比較対象画素群に、検査対象物の欠陥位置に対応する位置の画素が含まれている場合であっても、欠陥判定精度を維持し、擬似欠陥の発生を確実に防ぐことができる。
【0068】
また、上記欠陥判定手段は、上記検査対象物に欠陥があると判定したときの、被検査画素の上記画像上の位置を、上記欠陥位置データとして欠陥位置記憶部に格納し、上記比較対象画素変更手段は、上記欠陥判定手段が上記欠陥位置記憶部に格納した欠陥位置データを用いて、比較対象画素の変更を行うことが好ましい。
【0069】
上記の構成によれば、上記欠陥判定手段の判定結果を欠陥位置データとして利用し、比較対象画素の変更を行っている。したがって、上記の構成によれば、比較対象画素群に、検査対象物の欠陥位置に対応する位置の画素が含まれている場合であっても、欠陥位置データを別途作成することなく、高い欠陥判定精度を維持し、擬似欠陥の発生を確実に防ぐことができる。
【0070】
また、上記欠陥検出装置は、上記画像において、撮像装置と検査対象物とが最も近い距離で撮像されることで画素が生成された部位である最近傍部位以外に位置する被検査画素及び/または比較対象画素について、当該被検査画素及び/または比較対象画素の輝度値の抽出位置が、上記最近傍部位寄りとなるように補正すると共に、その補正量が上記最近傍部位から遠い位置の被検査画素及び/または比較対象画素ほど大きくなるようにする抽出位置補正手を備えていることが好ましい。
【0071】
ここで、上記画像は、検査対象物を撮像装置で撮像して生成されるものである。より詳細には、上記画像は、検査対象物で反射した反射光を、撮像装置が備える複数の撮像素子で電気信号に変換して、各撮像素子が生成した電気信号が各画素の輝度値を示すデータとして生成される。
【0072】
通常、撮像装置は、検査対象物を撮像するために十分な数の撮像素子を備えたものが用いられる。このため、画像は、各撮像素子が生成した電気信号(輝度値を示す信号)、すなわち画素(撮像画素)が等間隔に配列したデータとなる。
【0073】
しかしながら、十分な数の撮像素子を備えていない撮像装置にて、検査対象物の撮像を行ったときには、撮像素子と検査対象物との距離によって、撮像素子1つあたりの撮像面積に違いが生じ、これにより画像中における画素の間隔が当該画像中の位置に応じて変わることがある。
【0074】
より詳細には、撮像素子と検査対象物との距離が遠くなるほど、撮像素子1つあたりの撮像面積は広くなり、撮像素子1つあたりの撮像面積が広くなるほど、画像中における画素の間隔は狭くなる。つまり、画像中において、隣接する画素の間隔は、撮像装置と最も近い距離で撮像された部位(最近傍部位)から離れるほど狭くなる。
【0075】
これにより、最近傍部位から離れた位置の画素ほど、最近傍部位寄りの位置にずれることになる。この結果、画像中の全ての画素が等間隔に配列している画像と比べて、画像のサイズも縮むことになる。このため、画素間の間隔を考慮せずに画像から輝度値の抽出を行った場合には、実際に輝度値の抽出を行うべき画素とはずれた位置の輝度値を抽出してしまうおそれがある。したがって、この場合には、欠陥の検出精度が低下するおそれもある。
【0076】
そこで、上記の構成によれば、上記画像において、最近傍部位以外に位置する画素について、当該画素の輝度値の抽出位置が、上記最近傍部位寄りとなるように補正すると共に、その補正量が上記最近傍部位から遠い位置の画素ほど大きくなるようにしている。これにより、画像中における画素の間隔が当該画像中の位置に応じて変わっている場合でも、画素間隔のずれの影響をキャンセルして常に高精度な欠陥検出を行うことが可能になる。
【0077】
また、上記指標算出手段は、上記指標として、上記比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値の平均値と被検査画素の輝度値との差、上記比較対象画素群から、当該比較対象画素群において、輝度値が最大となる比較対象画素、または最小となる比較対象画素の少なくとも一方を除いた残りの比較対象画素における輝度値の平均値と被検査画素の輝度値の差、上記比較対象画素群に含まれる比較対象画素のうち、輝度値の偏差値が所定値よりも大きい比較対象画素を除いた残りの比較対象画素における輝度値の平均値と、被検査画素の輝度値との差、または、上記比較対象画素群に含まれる比較対象画素の輝度値を線形補間して求めた、上記被検査画素の位置における輝度値と、被検査画素の輝度値との差を算出することが好ましい。
【0078】
上記指標として、上記比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値の平均値と被検査画素の輝度値との差を算出する場合には、簡単な演算で指標を算出することができる。また、各比較対象画素群に含まれる比較対象画素の数を増やすことによって、容易に欠陥検出の精度を向上させることもできる。
【0079】
そして、上記指標として、上記比較対象画素群から、当該比較対象画素群において、輝度値が最大となる比較対象画素、または最小となる比較対象画素の少なくとも一方を除いた残りの比較対象画素における輝度値の平均値と被検査画素の輝度値の差を算出する場合には、ノイズ等の影響を低減して欠陥検出の精度を向上させることができる。
【0080】
これは、輝度値が最大となる比較対象画素、及び輝度値が最小となる比較対象画素には、ノイズが発生している可能性があり、またこのような比較対象画素は、検査対象物の欠陥に対応している可能性があるためである。
【0081】
また、上記指標として、上記比較対象画素群に含まれる比較対象画素のうち、輝度値の偏差値が所定値よりも大きい比較対象画素を除いた残りの比較対象画素における輝度値の平均値と、被検査画素の輝度値との差を算出する場合にも、ノイズ等の影響を低減して欠陥検出の精度を向上させることができる。
【0082】
これは、一般に、検査対象物の欠陥が発生していない箇所は、欠陥が発生している箇所よりも多いことにより、複数の比較対象画素を設定した場合には、正常値となる画素の方が、異常値となる画素よりも多くなる可能性が高く、このため、偏差値が小さい場合には、その画素の輝度値は、正常値である可能性が高く、偏差値が大きい場合には、異常である可能性が高いと考えられるためである。
【0083】
そして、上記指標として、上記比較対象画素群に含まれる比較対象画素の輝度値を線形補間して求めた、上記被検査画素の位置における輝度値と、被検査画素の輝度値との差を算出する場合には、シェーディングによる輝度値の傾きをキャンセルして比較演算処理の信頼性を高めることができる。
【0084】
これは、シェーディングが発生している場合には、画像中の画素の輝度値がその位置に応じて段階的に変化することを、線形補間によってキャンセルすることができるためである。特に、比較対象画素の位置が、被検査画素から離れた位置に設定されている場合や、被検査画素及び比較対象画素が画像の外縁部に含まれる場合には、シェーディングの影響が大きくなるので、線形補間を用いることが好ましい。
【0085】
なお、上記欠陥検出装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記欠陥検出装置の各手段として動作させることにより、上記欠陥検出装置をコンピュータにて実現させる制御プログラム、及びそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0086】
以上のように、本発明に係る欠陥検出装置は、被検査画素には、複数の上記比較対象画素を含み、互いに異なる複数の比較対象画素群が対応付けられており、上記比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値と、上記被検査画素の輝度値とのずれの大きさを示す指標を、上記複数の比較対象画素群のそれぞれについて算出する指標算出手段と、上記指標算出手段が算出した指標のうち、絶対値が最も小さい指標を欠陥検出用指標として選択する指標選択手段と、上記指標選択手段が選択した欠陥検出用指標と、予め定めた閾値との大小関係から、上記検査対象物の上記被検査画素に対応する位置における欠陥の有無を判定する欠陥判定手段とを備えている構成である。
【0087】
また、本発明に係る欠陥検出方法は、以上のように、被検査画素には、複数の上記比較対象画素を含み、互いに異なる複数の比較対象画素群が対応付けられており、上記比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値と、上記被検査画素の輝度値とのずれの大きさを示す指標を、上記複数の比較対象画素群のそれぞれについて算出する指標算出ステップと、上記指標算出ステップにおいて算出した指標のうち、絶対値が最も小さい指標を欠陥検出用指標として選択する指標選択ステップと、上記指標選択ステップにおいて選択した欠陥検出用指標と、予め定めた閾値との大小関係から、上記検査対象物の上記被検査画素に対応する位置における欠陥の有無を判定する欠陥判定ステップとを含む構成である。
【0088】
したがって、比較対象画素に輝度値が正常値と異なるものが含まれている場合であっても、擬似欠陥の発生を防いで、高い欠陥検出精度を維持することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0089】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図1から図9に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態の欠陥検出装置は、検査対象物を撮像した画像の画素の1つ1つについて、当該画素の周辺画素と輝度値を比較することによって、輝度値の異常な画素(正常値と異なる輝度値を有する画素)を特定し、これにより検査対象物の点・線欠陥を検出する。以下では、輝度値が正常であるか否かを判定する対象となる画素を被検査画素と呼び、被検査画素との比較の対象となる画素を比較対象画素と呼ぶ。また、正常な(設定された通りの)輝度値を正常値、異常な(設定された輝度値よりも高い、または低い)輝度値を異常値と呼ぶ。
【0090】
被検査画素の輝度値とその周囲の比較対象画素の輝度値とを比較することによって、被検査画素の輝度値が正常であるか否かを判定する場合には、被検査画素の周囲に、当該被検査画素と理論上、同じ輝度値になる比較対象画素が存在している必要がある。したがって、検査対象物は、当該検査対象物を撮像した画像において、各画素の周囲に、当該画素と同じ輝度値になる画素が現れるようなものである必要がある。具体的には、検査対象物が、繰り返しパターンを有していれば、この要件を満たす。
【0091】
以下では、検査対象物が表示装置Pである例について説明する。表示装置Pの表示画面には、RGBの画素が規則正しく配列している(RGBの繰り返しパターンを有する)ので、検査対象物として適当である。例えば、LCD表示装置、EL表示装置、PDP表示装置、液晶プロジェクタ、CRT(Cathode Ray Tube)表示装置等を検査対象物とすることもできる。また、検査対象物は、繰り返しパターンを有しているものであればよく、例えばIC、CCD等であってもよい。
【0092】
このような検査対象物を撮像した画像には、輝度値が一定の周期で繰り返す繰り返しパターンが現れる。このため、上記画像から1つの画素を抽出した場合には、該画素から上記一定の周期だけ離れた位置の画素は、理論上、上記抽出した画素と同じ輝度値となる。したがって、被検査画素から上記一定の周期だけ離れた位置の画素を比較対象画素とすることができる。
【0093】
〔欠陥検出に用いる画像について〕
ここでは、まず、検査対象物を撮像した画像、及び該画像中の被検査画素と比較対象画素との位置関係について図2に基づいて説明する。図2は、検査対象物と該検査対象物を撮像した画像との関係、及び検査対象物を撮像した画像における、被検査画素と比較対象画素との位置関係を説明する図である。
【0094】
図2では、長方形の矩形が表示装置Pの表示画素を示し、正方形の矩形が当該表示装置Pを撮像した画像における画素(撮像画素)を示している。表示画素は、R、G、Bの3種類あり、R、G、Bの順で水平方向(同図の左右方向)に配列している。そして、垂直方向(同図の上下方向)には、同色の表示画素が配列している。R、G、Bの3つの表示画素によって、表示装置Pの1画素が形成されている。
【0095】
撮像画素は、図示のように、水平方向には、表示装置Pの1画素(R、G、Bの3つの表示画素)に対して6つが割り当てられ、垂直方向には、表示装置Pの1画素に対して3つが割り当てられている。つまり、図示のように、1つの表示画素に対して、6つの撮像画素が割り当てられている。このため、1つの表示画素の輝度値は、該表示画素に割り当てられた6つの撮像画素に反映されることになる。なお、撮像画素の割り当ては、1つの表示画素に少なくとも1つの撮像画素が割り当てられるようになっていればよく、この例に限られない。
【0096】
図示の例では、撮像画素の中から選択した被検査画素に対して、左右方向の間隔である水平画素間隔(cm)が6、上下方向の間隔である垂直画素間隔(cn)が6となる位置の撮像画素を、比較対象画素としている。
【0097】
水平画素間隔を6としている理由は、左右方向には、表示装置Pの1画素(R、G、Bの3つの表示画素)に対して6つの撮像画素が割り当てられていることにより、被検査画素に対して左右方向に6つ離れた位置の撮像画素が、同色の表示画素の同じ位置に対応することになるからである。
【0098】
つまり、図示の例では、被検査画素は、Rの表示画素の右上に対応しており、被検査画素の左右方向に隣接する2つの比較対象画素も、同じくRの表示画素の右上に対応している。このように、比較対象画素の位置を、被検査画素と同色の表示画素の同じ位置とすることによって、被検査画素の輝度値が正常であるか否かを判定することができる。
【0099】
なお、比較対象画素の位置は、被検査画素と同色の表示画素の同じ位置となっていればよい。つまり、図示の例では、被検査画素に対して左右方向に6の整数倍離れた位置の撮像画素であれば、比較対象画素となり得る。
【0100】
垂直方向においても同様に、被検査画素に対して垂直方向に6つ離れた位置の撮像画素をそれぞれ比較対象画素としている。垂直方向においては、被検査画素に対して垂直方向に3の整数倍離れた位置の撮像画素であれば、比較対象画素となり得る。
【0101】
したがって、例えば被検査画素に対して垂直方向に3つ離れた位置の撮像画素を比較対象画素とすることもできる。しかしながら、1つの表示画素に欠陥が発生している場合には、当該表示画素に隣接する表示画素にも同じ欠陥が発生する可能性がある。特に、線欠陥が発生している場合には、この可能性が高くなる。
【0102】
このため、比較対象画素の位置は、被検査画素に対応する表示画素に隣接している表示画素以外の表示画素に対応する位置とすることが好ましい。そこで、図示の例では、被検査画素に対して垂直方向に6つ離れた位置の撮像画素をそれぞれ比較対象画素としている。
【0103】
〔欠陥検出方法の概要〕
本実施形態の欠陥検出装置は、検査対象となる表示装置Pの表示画素に対して、上記のように撮像画素が割り当てられるように撮像を行って得られた画像を用いて、上記表示装置Pの欠陥の検出を行う。
【0104】
ここでは、上記欠陥検出装置が行う欠陥検出方法の概要について、図3に基づいて説明する。図3は、本実施形態の欠陥検出方法の概要を説明する図である。なお、同図では、被検査画素をP0、比較対象画素1をP1〜P8、比較対象画素2をP1a〜P8aで示している。なお、図3では、簡単のため、被検査画素と比較対象画素との間の画素を記載していない。つまり、図3においても、図2に示したように、被検査画素と比較対象画素との間に画素が配列している。
【0105】
図示のように、比較対象画素1(P1〜P8)は、被検査画素P0の上下、左右、斜め方向に位置する比較対象画素である。そして、比較対象画素2(P1a〜P8a)は、比較対象画素P2の上、P7の下、P4の左、P5の右、P1の左斜め上、P3の右斜め上、P6の左斜め下、及びP8の右斜め下に位置する比較対象画素である。
【0106】
本実施形態の欠陥検出方法では、比較対象画素1(P1〜P8)と、比較対象画素2(P1a〜P8a)とに基づいて、被検査画素P0の輝度値が正常であるか否かを判定し、これにより被検査画素P0に対応する位置の表示画素が表示欠陥(線欠陥や点欠陥など)を有しているか否かを判定する。
【0107】
ここで、上述のように、検査対象物(この場合、表示装置P)に全く欠陥がなければ、被検査画素P0の輝度値と比較対象画素1及び2の輝度値とは等しくなり、検査対象物の被検査画素P0に対応する位置に欠陥があれば、被検査画素P0の輝度値と比較対象画素1及び2の輝度値とに差が生じる。したがって、例えば被検査画素P0と比較対象画素1または2の輝度値との差から、被検査画素P0の輝度値が正常であるか否かを判断することができる。
【0108】
しかしながら、図3に示すように、線欠陥が発生している場合には、比較対象画素1のP3、P5、P8の輝度値が正常値と異なる値となる。この場合には、被検査画素P0と比較対象画素1(P1〜P8)の平均値との差分には、正常値と異なる値のP3、P5、P8が反映される。このため、この差分値を用いて被検査画素P0の輝度値が正常であるか否かを判定した場合には、擬似欠陥が発生する可能性がある。
【0109】
そこで、上記欠陥検出方法では、被検査画素P0と比較対象画素1(P1〜P8)の平均値との差分を演算すると共に、被検査画素P0と比較対象画素2(P1a〜P8a)の平均値との差分を演算する。そして、演算によって得られた2つの差分値の絶対値を比較し、絶対値の小さい差分値を、被検査画素P0の判定用の差分値として選択する。
【0110】
そして、上記選択した差分値と既定の閾値(輝点欠陥判定用)とを比較し、該閾値よりも上記差分値が大きい場合には、被検査画素P0に輝点欠陥があると判定する。また、上記選択した差分値と既定の閾値(黒点欠陥判定用)とを比較し、該閾値よりも上記差分値が小さい場合には、被検査画素P0に黒点欠陥があると判定する。
【0111】
上記の構成によれば、2つの差分値のうち、絶対値の小さい方を被検査画素P0の判定用の差分値として選択している。これにより、欠陥があると判断される可能性がより低い差分値を用いて、欠陥の有無の判定が行われることになる。したがって、比較対象画素に正常値とは異なる輝度値の画素が含まれている場合であっても、擬似欠陥の発生を防ぐことができる。
【0112】
また、上記の構成によれば、被検査画素P0と比較対象画素1及び2との間隔が、6画素〜12画素程度の比較的狭い間隔となっている。このような比較的小領域において、比較演算処理を行う場合には、撮像装置2のレンズ特性や照明条件等の要因で発生するシェーディングの影響がほとんどない。つまり、上記の構成によれば、従来のようにフィルタ処理によってシェーディング補正を行う必要がない。また、表示装置Pの検査を行うために必要な画像は1枚である。したがって、上記の構成によれば、欠陥の検出を高速かつ高精度に行うことができる。
【0113】
また、上記の構成によれば、基準画像を用いてシェーディング補正を行う必要もない。このため、照明条件の変化や、装置のメンテナンス等の要因によって、表示装置Pの撮像条件が変化した場合であっても、常に安定して欠陥を検出することができる。
【0114】
さらに、上記の構成によれば、比較対象画素を、被検査画素から一定の間隔に位置する被検査画素と同色の画素に設定している。これにより、被検査画素及び/またはその周囲に線欠陥が発生しているような場合に、比較対象画素の大部分の輝度値が正常値と異なる値となることを防ぐことができる。このため、欠陥検出精度は向上し、安定して欠陥検出を行うことも可能になる。
【0115】
なお、図3の例では、比較対象画素を2組(比較対象画素1と2)用いる例を示しているが、用いる比較対象画素の組数が多いほど、欠陥検出の精度を高めることができる。これは、比較対象画素の組数が多いほど、正常値と異なる輝度値を有する比較対象画素が含まれていない組の比較対象画素を用いて算出された差分値を用いて欠陥の有無が判定される確率が高くなるからである。
【0116】
〔検査システム100の概要〕
続いて、本実施形態の検査システム100の概要について、図4に基づいて説明する。図4は、本実施形態の検査システム100の要部構成を示すブロック図である。図示のように、検査システム100には、欠陥検出装置1と撮像装置2とが含まれており、欠陥検出装置1には、画像入力部10、画像メモリ11、差分値算出部12、欠陥判定部(欠陥判定手段)13、及び表示制御部14が含まれている。そして、撮像装置2の撮像範囲内には、表示装置Pが配置されており、表示装置Pには、表示装置駆動回路4が接続しており、表示装置駆動回路4には、パターンジェネレータ3が接続している。
【0117】
表示装置Pは、検査システム100の検査対象となるものである。パターンジェネレータ3が生成した表示パターンに基づいて表示装置駆動回路4が表示装置Pを駆動することによって、上記表示パターンに対応する画像が表示装置Pに表示されるようになっている。
【0118】
撮像装置2は、表示装置Pに表示された画像を撮像して、撮像によって得られた画像データ(デジタル化された濃淡画像)を画像入力部10に出力する。図示のように、撮像装置2は、表示装置Pの画像表示面に垂直な方向(矢印Aで示す方向)、及び表示装置Pの画像表示面に平行な方向(矢印Bで示す方向)に移動可能になっている。これにより、撮像装置2の撮像範囲や表示装置Pのサイズに合わせた適切な位置で撮像を行うことができる。
【0119】
なお、撮像装置2は、エリアセンサであってもよいし、ラインセンサであってもよいが、表示装置Pのサイズが大型である場合には、解像度の点からTDI/ラインセンサ(時間遅延積分型ラインセンサ)を用いることが好ましい。ただし、撮像装置2をラインセンサとする場合には、撮像装置2と表示装置Pとを相対的に移動させる機構を設ける必要がある。
【0120】
画像入力部10は、撮像装置2が取得した画像データを欠陥検出装置1に取り込むインターフェースである。撮像装置2が取得した画像データは、画像入力部10を介して欠陥検出装置1内に取り込まれ、取り込まれた画像データは画像メモリ11に格納される。撮像装置2から欠陥検出装置1への画像データの送信は、有線通信で行われてもよいし、無線通信で行われてもよく、画像入力部10の構成は、画像データの送信方式に応じて決定される。
【0121】
画像メモリ11は、画像入力部10が取り込んだ画像データを格納する記録媒体である。画像メモリ11は、データの書き込み及び読み出しが可能なものであればよい。また、検査システム100では、欠陥検出結果も画像メモリ11に格納するようにしている。なお、欠陥検出結果は、画像メモリ11とは異なる記録媒体に記録してもよい。
【0122】
差分値算出部12は、画像メモリ11に格納される画像データを読み出し、読み出した画像データに基づいて、表示装置Pの欠陥の有無を判断する規準となる差分値を算出し、算出した差分値を欠陥判定部13に送る。なお、差分値の算出方法については後に詳しく説明する。
【0123】
欠陥判定部13は、差分値算出部12が算出した差分値に基づいて、表示装置Pに含まれる欠陥の有無を判定する。具体的には、欠陥判定部13は、上記差分値と予め定めた閾値とを比較することによって、欠陥の有無を判定する。そして、欠陥があると判断した場合には、欠陥判定部13は、欠陥の位置を画像メモリ11に格納する。
【0124】
また、欠陥判定部13は、欠陥の有無の判定結果に基づいて、表示装置Pに表示する表示パターンを変更する必要があるか否かを判断し、変更する必要があると判断した場合には、表示制御部14に指示して表示パターンを変更させる。
【0125】
〔欠陥検出装置1の詳細な構成〕
続いて、欠陥検出装置1のより詳細な構成について、図1に基づいて説明する。図1は、欠陥検出装置1の要部構成を示すブロック図であり、特に差分値算出部12と欠陥判定部13との詳細を示している。
【0126】
図示のように、差分値算出部12は、第1アドレス制御回路(比較対象画素設定手段、抽出位置補正手段)20、画像データ読込み回路21、バッファ22a〜22i’、第1差分演算回路(指標算出手段)23a、第2差分演算回路(指標算出手段)23b、比較/選択回路(指標選択手段)24、比較画素位置決定テーブル25、及び画素間隔決定テーブル26を備えている。また、欠陥判定部13は、欠陥判定処理回路30、出力バッファ31、画像データ書込み回路32、及び第2アドレス制御回路33を備えている。
【0127】
第1アドレス制御回路20は、画像データ読込み回路21が、画像メモリ11に格納されている画像から、差分値算出部12に輝度値を読み込むときの読み込み位置を指定する回路である。より具体的には、第1アドレス制御回路20は、被検査画素の読み込み位置(アドレス)と、比較対象画素の読み込み位置(アドレス)とを画像データ読込み回路21に送る。これによって、画像データ読込み回路21が、画像メモリ11に格納されている表示装置Pを撮像した画像において、上記アドレスで特定される位置の画素の輝度値を差分値算出部12に読み込む。
【0128】
ここでは、第1アドレス制御回路20は、まず、上記画像の左上端の画素を被検査画素として決定し、そのアドレスを画像データ読込み回路21に送る。そして、第1アドレス制御回路20は、この被検査画素の位置に対応する複数の比較対象画素の位置を決定し、そのアドレスを画像データ読込み回路21に送る。なお、比較対象画素の位置の決定方法については後述する。
【0129】
次に、第1アドレス制御回路20は、最初に被検査画素とした画素の右隣の画素を次の被検査画素として決定し、そのアドレスを画像データ読込み回路21に送る。そして、第1アドレス制御回路20は、新たに決定した被検査画素の位置に対応する複数の比較対象画素の位置を決定し、そのアドレスを画像データ読込み回路21に送る。
【0130】
この処理を繰り返し行い、被検査画素の位置が画像の右端まで達すると、第1アドレス制御回路20は、垂直方向に1画素下の左端の位置を次の被検査画素の位置として決定する。この処理を繰り返し、画像の全ての画素が1回ずつ被検査画素となった段階で、当該画像の欠陥検出処理は終了する。なお、第1アドレス制御回路20は、画像の全ての画素が少なくとも1回ずつ被検査画素となるようにアドレスの指定を行うものであればよく、被検査画素の指定順は、上記の例に限られない。
【0131】
画像データ読込み回路21は、第1アドレス制御回路20の指示に従って、画像メモリ11に格納される、表示装置Pを撮像した画像の輝度値を、差分値算出部12に読み込んで、バッファ22a〜22i及び22b’〜22i’に出力する回路である。つまり、画像データ読込み回路21は、画像メモリ11に格納されている画像の、第1アドレス制御回路20が指定する位置の輝度値を読み込んで、読み込んだ輝度値のそれぞれをバッファ22a〜22i及び22b’〜22i’に出力する。
【0132】
具体的には、第1アドレス制御回路20は、被検査画素の画像中の位置(アドレス)と、比較対象画素の画像中の位置(アドレス)とを画像データ読込み回路21に出力し、画像データ読込み回路21は、このアドレスに基づいて、画像メモリ11に格納されている画像から輝度値を読み込んで、読み込んだ輝度値をそれぞれバッファ22a〜22i及び22b’〜22i’に出力する。
【0133】
なお、バッファ22aには被検査画素(P0)の輝度値が読み込まれ、バッファ22b〜22iには比較対象画素1(P1〜P8)の輝度値が読み込まれ、バッファ22b’〜22i’には比較対象画素2(P1a〜P8a)の輝度値が読み込まれるものとする。
【0134】
ここで、画像データ読込み回路21は、基本的には1画素毎にその輝度値を各バッファに格納する動作をとるが、複数画素の輝度値を一度にバッファに転送するようにしてもよい。これにより、メモリ転送の効率化と転送速度の高速化とを実現することができる。このような処理は、例えば、近年多用される64ビットバスのDDR/DDR2メモリを用いて実現することもできる。
【0135】
第1差分演算回路23aは、バッファ22aに格納される被検査画素(P0)の輝度値と、バッファ22b〜22iに格納される比較対象画素1(P1〜P8)の輝度値の平均値との差分を演算して比較/選択回路24に出力する。
【0136】
同様に、第2差分演算回路23bは、バッファ22aに格納される被検査画素(P0)の輝度値と、バッファ22b’〜22i’に格納される比較対象画素2(P1a〜P8a)の輝度値の平均値との差分を演算して比較/選択回路24に出力する。
【0137】
比較/選択回路24は、第1差分演算回路23aから受け取った差分値の絶対値と、第2差分演算回路23bから受け取った差分値の絶対値とを比較し、小さい方の差分値を欠陥判定処理回路30に送る。これにより、絶対値がより小さい差分値を用いて欠陥の判定が行われることになる。
【0138】
絶対値がより小さい差分値を用いて欠陥の判定を行うことにより、被検査画素の輝度値が正常値であり、比較対象画素の輝度値が異常値であることによって、差分値が大きくなった場合に、当該被検査画素の輝度値が異常値であると誤判定することを防ぎ、これにより擬似欠陥が発生することを防ぐことができる。
【0139】
なお、ここで差分値の絶対値を比較している理由は、表示装置Pの欠陥には、表示画素が正常な値よりも大きな輝度値となる輝点欠陥と、表示画素が点灯しない黒点欠陥とがあり、輝点欠陥が発生している場合と、黒点欠陥が発生している場合とで、差分値の符号が逆転するためである。
【0140】
比較画素位置決定テーブル25は、被検査画素の位置(アドレス)と、該位置に対応する比較対象画素の位置(アドレス)とが対応付けられたテーブルである。第1アドレス制御回路20は、被検査画素の位置を決定した後、比較画素位置決定テーブル25を参照することによって、上記決定した被検査画素の位置に対応する比較対象画素の位置を決定する。
【0141】
なお、被検査画素の位置に対応する比較対象画素の位置は、当該被検査画素と比較対象となる位置(その位置における画素の輝度値の正常値と、被検査画素の輝度値の正常値とが理論上、同じ値となる位置)であればよく、特に限定されないが、比較対象画素の位置は、被検査画素の画像上の位置に応じて変更することが好ましい。比較対象画素の位置を被検査画素の画像上の位置に応じて変更することは必須の処理ではないので、この処理については後述する。
【0142】
画素間隔決定テーブル26は、第1アドレス制御回路20が決定した被検査画素の位置と、比較対象画素の位置とを、画像上の位置に応じて補正するためのテーブルである。画素間隔決定テーブル26を用いることにより、撮像装置2のレンズの収差や歪等により画像の中央部と端部とで画素のピッチが異なっている場合であっても、精度よく欠陥の検出を行うことができる。なお、画素間隔決定テーブル26は、欠陥検出装置1の必須の構成ではないので、画素間隔決定テーブル26の詳細については後述する。
【0143】
欠陥判定処理回路30は、比較/選択回路24から受け取った差分値を用いて、被検査画素の輝度値が正常値であるか異常値であるかを判定する。被検査画素の輝度値が正常値であれば、表示装置Pの当該被検査画素に対応する位置に欠陥がないことを示し、異常値であれば、表示装置Pの当該被検査画素に対応する位置に欠陥があることを示す。
【0144】
具体的には、欠陥判定処理回路30は、比較/選択回路24から受け取った差分値と、予め記憶している輝点検出用閾値とを比較して、差分値が輝点検出用閾値以上の値であれば、表示装置Pの当該被検査画素に対応する位置に輝点欠陥があると判定し、この判定結果を示す判定値を出力バッファ31に格納する。
【0145】
また、欠陥判定処理回路30は、比較/選択回路24から受け取った差分値と、予め記憶している黒点検出用閾値とを比較して、差分値が黒点検出用閾値以下の値であれば、表示装置Pの当該被検査画素に対応する位置に黒点欠陥があると判定し、この判定結果を示す判定値を出力バッファ31に格納する。
【0146】
なお、欠陥判定処理回路30は、比較/選択回路24から受け取った差分値が、輝点検出用閾値よりも小さく、黒点検出用閾値よりも大きい場合には、表示装置Pの当該被検査画素に対応する位置には、欠陥がないと判定し、この判定結果を示す判定値を出力バッファ31に格納する。なお、出力バッファ31には、黒点欠陥または輝点欠陥が検出された位置のみを出力するようにしてもよい。
【0147】
画像データ書込み回路32は、出力バッファ31に格納される判定値を、画像メモリ11の第2アドレス制御回路33が指定するアドレスに格納する。上述のように、第1アドレス制御回路20は、画像メモリ11に格納されている画像の全画素が、被検査画素となるようにアドレスの指定を行う。このため、最終的には、画像の全画素のそれぞれについて判定値が格納されたデータが画像メモリ11に格納されることになる。
【0148】
〔欠陥検出処理の流れ〕
続いて、欠陥検出装置1で行われる欠陥検出処理の流れについて、図5に基づいて説明する。図5は、欠陥検出処理の一例を示すフローチャートである。なお、図5のフローチャートは、表示装置Pに欠陥検出用の表示パターンが表示され、該表示パターンが撮像装置2によって撮像され、撮像によって得られた画像が画像入力部10を介して画像メモリ11に格納された後の処理を示している。
【0149】
まず、第1アドレス制御回路20は、画像メモリ11に格納された画像において垂直方向の位置(アドレス)を示す垂直アドレスカウンタ(Vcnt)をゼロに設定する(S1)。ここでは、上述のように、画像の左上端から順に欠陥検査を行うことを想定しているので、垂直アドレスカウンタがゼロに設定されたときの読込み位置は画像の上端となる。
【0150】
続いて、第1アドレス制御回路20は、画像メモリ11に格納された画像において水平方向の位置(アドレス)を示す水平アドレスカウンタ(Hcnt)をゼロに設定する(S2)。ここでは、上述のように、画像の左上端から順に欠陥検査を行うことを想定しているので、水平アドレスカウンタがゼロに設定されたときの読み込み位置は、画像の左端となる。
【0151】
つまり、S1及びS2にて、垂直アドレスカウンタ及び水平アドレスカウンタがゼロに設定されることにより、読み込み位置は画像の左上端となる。ここで決定された読み込み位置は、被検査画素の輝度値の読み込み位置である。被検査画素の輝度値の読み込み位置が決定すると、第1アドレス制御回路20は、比較画素位置決定テーブル25を参照して、上記決定した被検査画素の輝度値の読み込み位置に対応する比較対象画素の輝度値の読み込み位置を決定する。
【0152】
そして、第1アドレス制御回路20は、上記のようにして決定した被検査画素の輝度値の読み込み位置(垂直アドレスカウンタ及び水平アドレスカウンタの値)、及び比較対象画素の輝度値の読み込み位置を画像データ読込み回路21に送る。
【0153】
被検査画素の輝度値の読み込み位置、及び比較対象画素の輝度値の読み込み位置を受け取った画像データ読込み回路21は、受け取った被検査画素の輝度値の読み込み位置に従って、画像メモリ11から読み出した輝度値(P0)をバッファ22aに格納する。また、画像データ読込み回路21は、受け取った比較対象画素の輝度値の読み込み位置に従って、画像メモリ11から読み出した輝度値(P1〜P8)をバッファ22b〜22iに格納する(S3)と共に、画像メモリ11から読み出した輝度値(P1’〜P8’)をバッファ22b’〜22i’に格納する(S4)。
【0154】
輝度値(P0)がバッファ22aに格納され、輝度値(P1〜P8)がバッファ22b〜22iに格納されると、第1差分演算回路23aは、差分演算1を実行し、演算結果を比較/選択回路24に送る。具体的には、第1差分演算回路23aは、輝度値(P0)と輝度値(P1〜P8)の平均値との差分をとる演算を行い、演算結果を比較/選択回路24に送る。
【0155】
また、輝度値(P0)がバッファ22aに格納され、輝度値(P1’〜P8’)がバッファ22b’〜22i’に格納されると、第2差分演算回路23bは、差分演算2を実行し、演算結果を比較/選択回路24に送る。具体的には、第2差分演算回路23bは、輝度値(P0)と輝度値(P1’〜P8’)の平均値との差分をとる演算を行い、演算結果を比較/選択回路24に送る(S5)。なお、以下では、差分演算1の演算結果を差分演算値1と呼び、差分演算2の演算結果を差分演算値2と呼ぶ。
【0156】
差分演算値1及び2を受け取った比較/選択回路24は、差分演算値1の絶対値と、差分演算値の絶対値との大小比較を行う(S6)。ここで、差分演算値1の絶対値が、差分演算値2の絶対値より小さい場合(S6でYES)には、比較/選択回路24は、差分演算値1を差分値として選択する(S7)。
【0157】
一方、差分演算値2の絶対値が、差分演算値1の絶対値以下である場合には、比較/選択回路24は、差分演算値2を差分値として選択する(S8)。なお、ここでは、差分演算値1と2とが等しい場合に、差分演算値2を選択する例を示しているが、差分演算値1と2とが等しい場合には、差分演算値1と2との何れを選択してもよい。
【0158】
以上のようにして、差分演算値1または2の何れか一方が差分値として選択されて、欠陥判定処理回路30に送られる。そして、差分値を受け取った欠陥判定処理回路30は、受け取った差分値がTh1(輝点検出用閾値)以上であるか否かを判断する(S9)。ここで、差分値が輝点検出用閾値以上である場合(S9でYES)には、欠陥判定処理回路30は、被検査画素の判定値を輝点欠陥画素と決定する(S10)。
【0159】
一方、差分値が輝点検出用閾値より小さい場合(S9でNO)には、欠陥判定処理回路30は、差分値がTh2(黒点検出用閾値)以下であるか否かを判断する(S11)。ここで、差分値が黒点検出用閾値以下である場合(S11でYES)には、欠陥判定処理回路30は、被検査画素の判定値を黒点欠陥画素と決定する(S12)。そして、差分値が黒点検出用閾値より大きい場合(S11でNO)には、欠陥判定処理回路30は、被検査画素の判定値を正常画素と決定する(S13)。
【0160】
欠陥判定処理回路30は、以上のようにして、被検査画素の判定値を、輝点欠陥画素、黒点欠陥画素、または正常画素として決定し、決定した判定値を出力バッファ31に格納する(S14)。そして、画像データ書込み回路32は、出力バッファ31に格納された判定値を、画像メモリ11の第2アドレス制御回路33が指定するアドレスに書き込む(S15)。
【0161】
なお、図1には示していないが、第1アドレス制御回路20と第2アドレス制御回路33とは接続している。そして、第1アドレス制御回路20が決定した被検査画素のアドレスは、第2アドレス制御回路33にも送られるようになっている。これにより、第2アドレス制御回路33は、被検査画素のアドレスを上記判定値の書き込み先として指定することができる。
【0162】
また、第2アドレス制御回路33は、判定値の書き込み先を指定した後、第1アドレス制御回路20にその旨を伝達する。これにより、第1アドレス制御回路20は、先に決定した被検査画素についての判定が終了したことを認識し、次の被検査画素の判定に移る。
すなわち、第1アドレス制御回路20は、垂直アドレスカウンタ(Vcnt)を1だけインクリメントする(S16)。
【0163】
続いて、第1アドレス制御回路20は、水平アドレスカウンタ(Hcnt)が水平演算画素数以内であるか否かを判断する(S17)。なお、水平演算画素数とは、画像の水平方向の画素数である。つまり、S17では、画像の右端まで達したか否かの判定が行われる。ここで、水平アドレスカウンタの値が水平演算画素数以内である場合(S17でYES)には、S3に戻り、欠陥検出処理が行われる。この場合には、先に欠陥の有無の判定に用いた被検査画素の右隣の画素が次の被検査画素となる。
【0164】
一方、水平アドレスカウンタが水平演算画素数を超えている場合(S17でNO)には、第1アドレス制御回路20は、垂直アドレスカウンタ(Vcnt)を1だけインクリメントする(S18)。
【0165】
そして、第1アドレス制御回路20は、インクリメント後の垂直アドレスカウンタの値が、垂直演算画素数以内であるか否かを判断する(S19)。なお、垂直演算画素数とは、画像の垂直方向の画素数である。つまり、S19では、画像の下端まで達したか否かの判定が行われる。
【0166】
ここで、垂直アドレスカウンタが垂直演算画素数以内である場合(S19でYES)には、S2に戻り、欠陥検出処理が行われる。この場合には、先に欠陥の有無の判定に用いた被検査画素の1つ下の列における左端の画素が次の被検査画素となる。一方、垂直アドレスカウンタの値が垂直演算画素数より大きい(S19でNO)には、第1アドレス制御回路20は、画像の全ての画素が欠陥検出処理に供されたと判断し、欠陥検出処理を終了する。
【0167】
〔比較対象画素の位置の決定方法〕
上述のように、比較対象画素の位置は、被検査画素の位置に応じて予め定められており、被検査画素の位置に対応する比較対象画素の位置は、比較画素位置決定テーブル25に格納されている。比較対象画素の位置は、被検査画素の画像中の位置を考慮せずに決定してもよいが、比較対象画素の位置を被検査画素の画像中の位置に応じて変えることによって、欠陥の検出精度を高めることができる。
【0168】
ここでは、比較対象画素の位置を被検査画素の画像中の位置に応じて変える例について、図6から図8に基づいて説明する。図6は、表示装置Pを撮像した画像に生じる歪と、比較対象画素の位置を設定するためのブロックとの関係を示す図である。
【0169】
ところで、表示装置Pの表示画面が大型である場合に、該表示画面をエリアセンサタイプの撮像装置2で撮像したときには、レンズの収差等の影響により、撮像した画像にたる型歪等が発生することが知られている。特に、FA用途に使用するエリアセンサ及びTDI/ラインセンサ等の撮像装置は、撮像素子のサイズが比較的大きいため、歪の発生量が大きくなる傾向がある。また、広角レンズを使用した場合にも歪の発生量が大きくなる傾向がある。
【0170】
たる型歪が発生した場合には、図示のように、画像の端の部分が丸みをおびた画像形状となる。このように、歪が生じた画像を用いて欠陥の検出を行う場合に、歪が生じていない画像の中央部付近と歪が生じている画像の端部付近とで、比較対象画素の位置を同じように設定してしまうと、欠陥の検出精度が低下するおそれがある。
【0171】
このような事態を回避するためには、比較対象画素の位置を被検査画素の画像中の位置に応じて変える必要がある。例えば、図示のように、画像を9つのブロックに分け、ブロック毎に比較対象画素の位置を設定することにより、欠陥の検出精度の低下を防ぎ、高い検出精度を維持することが可能になる。
【0172】
図示の例では、画像を、左上コーナー部(a)、上端部(b)、右上コーナー部(c)、左端部(d)、中央部(e)、右端部(f)、左下コーナー部(g)、下端部(h)、右下コーナー部(i)の9つのブロックに分けている。そして、このようにブロック分けを行った場合には、各ブロックに対応する比較位置決定テーブルを予め用意しておく。
【0173】
中央部(e)には、歪が生じていないので、歪の影響を考慮して比較対象画素の位置を決定する必要はない。したがって、中央部(e)の比較対象画素の位置は、例えば図3の例のように設定すればよい。つまり、中央部(e)用の比較位置決定テーブルは、被検査画素の位置に対して、図3に示す配置となる比較対象画素の位置を示すテーブルということになる。
【0174】
そして、この場合には、第1アドレス制御回路20が、被検査画素の位置を決定したときに、決定した位置が中央部(e)に含まれていれば、中央部(e)用の比較位置決定テーブルを用いて比較対象画素を決定するようにすればよい。これにより、被検査画素の位置に対して、図3に示す位置関係となる画素が比較対象画素として決定される。
【0175】
一方、左上コーナー部(a)、右上コーナー部(c)、左下コーナー部(g)、及び右下コーナー部(i)には、歪が生じているので、歪の影響を考慮して比較対象画素の位置を決定する必要がある。これらのブロックについては、比較対象画素の位置を例えば図7の例のように設定すればよい。
【0176】
図7は、画像のコーナー部における比較対象画素の位置の設定例を示す図である。なお、同図では、被検査画素(P0)、比較対象画素1(P1〜P4)、比較対象画素2(P1a〜P4a)、及び比較対象画素3(P1b〜P4b)の位置関係を示している。また、図示していないが、各画素の水平方向(左右方向)の間隔はcm=6(図2参照)であり、各画素の垂直方向(上下方向)の間隔はcn=6(図2参照)である。
【0177】
ここで、図3の例では、比較対象画素を2組(比較対象画素1及び2)用いていたが、図7の例では、比較対象画素を3組(比較対象画素1〜3)用いている。比較対象画素を3組用いる場合には、3組の差分演算値の中から最も絶対値の低い値を選択して、被検査画素の検査を行う。また、この例では、比較対象画素の数が1組当たり4つになっているが、1組当たりの比較対象画素数は、図3の例のように8つであってもよいし、それ以外の数であってもよい。
【0178】
このように、欠陥検出処理に用いる比較対象画素の組数、及び各組を構成する比較対象画素数は、適宜変更することができる。なお、比較対象画素の組数、及び各組を構成する比較対象画素数を増やすことにより、欠陥検出結果の信頼性を向上させることができるが、同時に演算量も増加する。したがって、比較対象画素の組数、及び各組を構成する比較対象画素数は、欠陥検査に要求される信頼性と、許容される検査時間(演算回路規模)とに応じて選択すればよい。
【0179】
さて、図7の例では、左上コーナー部(a)において、比較対象画素は、被検査画素に対して右下方向の位置となるように設定されている。これは、図6に示すように、左上コーナー部(a)では、左上の画素ほど歪が大きくなり、右下の画素ほど歪が小さいためである。
【0180】
同様の理由で、右上コーナー部(c)では、比較対象画素は、被検査画素に対して左下方向の位置となるように設定され、左下コーナー部(g)では、比較対象画素は、被検査画素に対して右上方向の位置となるように設定され、右下コーナー部(i)では、比較対象画素は、被検査画素に対して左上方向の位置となるように設定される。
【0181】
この場合には、左上コーナー部(a)用、右上コーナー部(c)用、左下コーナー部(g)用、及び右下コーナー部(i)用の比較位置決定テーブルは、被検査画素の位置に対して、図7の(a)(c)(g)(i)に示す配置となる比較対象画素の位置を示すテーブルということになる。
【0182】
そして、この場合には、第1アドレス制御回路20が、被検査画素の位置を決定したときに、決定した位置が左上コーナー部(a)、右上コーナー部(c)、左下コーナー部(g)、または右下コーナー部(i)に含まれていれば、そのブロック用の比較位置決定テーブルを用いて比較対象画素を決定するようにすればよい。これにより、被検査画素の位置に対して、図7に示す位置関係となる画素が比較対象画素として決定される。
【0183】
このように、左上コーナー部(a)、右上コーナー部(c)、左下コーナー部(g)、及び右下コーナー部(i)では、比較対象画素は、被検査画素に対して、歪の小さい方向の位置となるように設定される。言い換えれば、第1アドレス制御回路20は、画像中において歪の影響の大きい外縁部を避けて(外縁部以外の画素から)比較対象画素を設定している。
【0184】
これにより、比較対象画素における歪の影響が低減されるので、画像に歪が生じている場合であっても、欠陥の検出精度の低下を防ぎ、高い検出精度を維持することが可能になる。なお、比較対象画素の位置は、歪の影響が低減されるように設定されていればよく、図示の例に限られない。
【0185】
また、図6に示すように、上端部(b)、左端部(d)右端部(f)、及び下端部(h)にも、歪が生じている。したがって、これらのブロックについても、歪の影響を考慮して比較対象画素の位置を決定する必要がある。これらのブロックについては、比較対象画素の位置を例えば図8の例のように設定すればよい。
【0186】
図8は、画像の上端部(b)、左端部(d)、右端部(f)、及び下端部(h)における比較対象画素の位置の設定例を示す図である。なお、同図では、被検査画素(P0)、比較対象画素1(P1〜P4)、比較対象画素2(P1a〜P4a)、及び比較対象画素3(P1b〜P4b)の位置関係を示している。図7の例と同様に、欠陥検出処理に用いる比較対象画素の組数、及び各組を構成する比較対象画素数は、適宜変更することができる。また、図示していないが、各画素の水平方向(左右方向)の間隔はcm=6(図2参照)であり、各画素の垂直方向(上下方向)の間隔はcn=6(図2参照)である。
【0187】
図示のように、上端部(b)では、比較対象画素は、被検査画素に対して下方向の位置となるように設定される。これは、図6に示すように、上端部(a)では、ブロックの上側の画素に歪が発生しており、下側の画素にはほとんど歪が発生していないためである。
【0188】
同様の理由で、左端部(d)では、比較対象画素は、被検査画素に対して右方向の位置となるように設定され、右端部(f)では、比較対象画素は、被検査画素に対して左方向の位置となるように設定され、下端部(h)では、比較対象画素は、被検査画素に対して上方向の位置となるように設定される。
【0189】
この場合には、上端部(b)用、左端部(d)用、右端部(f)用、及び下端部(h)用の比較位置決定テーブルは、被検査画素の位置に対して、図8の(b)(d)(f)(h)に示す配置となる比較対象画素の位置を示すテーブルということになる。
【0190】
そして、この場合には、第1アドレス制御回路20が、被検査画素の位置を決定したときに、決定した位置が上端部(b)、左端部(d)、右端部(f)、または下端部(h)に含まれていれば、そのブロック用の比較位置決定テーブルを用いて比較対象画素を決定するようにすればよい。これにより、被検査画素の位置に対して、図8に示す位置関係となる画素が比較対象画素として決定される。
【0191】
このように、上端部(b)、左端部(d)、右端部(f)、及び下端部(h)では、比較対象画素は、被検査画素に対して、歪の小さい方向の位置となるように設定される。言い換えれば、第1アドレス制御回路20は、画像において歪の影響の大きい外縁部を避けて(外縁部以外の画素から)比較対象画素を設定している。
【0192】
これにより、比較対象画素における歪の影響が低減されるので、画像に歪が生じている場合であっても、欠陥の検出精度の低下を防ぎ、高い検出精度を維持することが可能になる。なお、比較対象画素の位置は、歪の影響が低減されるように設定されていればよく、図示の例に限られない。
【0193】
〔被検査画素及び比較対象画素の読み込み位置の補正〕
上述のように、検査対象物である表示装置Pのサイズが大きい場合には、該表示装置Pを撮像した画像に歪が生じることがあり、歪が生じた画像を用いて欠陥検出を行う場合には、比較対象画素の位置を被検査画素の位置に応じて変えることが有効である。
【0194】
ここで、画像に歪が生じている場合には、被検査画素の画像中の位置に応じて、被検査画素及び比較対象画素の読み込み位置を補正することにより、歪の影響をさらに低減することができる。以下では、被検査画素の画像中の位置に応じて被検査画素及び比較対象画素の読み込み位置を補正する方法について図9に基づいて説明する。
【0195】
図9は、TDI/ラインセンサタイプの撮像装置2で表示装置Pを撮像したときの、表示装置P上の位置と該位置を撮像して生成された画像における画素のピッチとの関係を説明する図である。なお、同図では、TDI/ラインセンサタイプの撮像装置2と表示装置Pとを水平方向(矢印Bで示す方向)に相対的に移動させることによって、表示装置Pの画像表示面の全面を撮像することを想定している。
【0196】
このように、撮像装置2と表示装置Pとを矢印Bで示す方向に相対的に移動させる場合には、撮像装置2は、撮像素子の列が常に矢印Bと垂直となるように保持しながら撮像を行う。TDI/ラインセンサタイプの撮像装置2は、一般に大型の表示装置Pの撮像に用いられることが多いので、一列に含まれる撮像素子数は、数千個にも達する。また、撮像範囲をさらに拡張するために、広角レンズが用いられる場合も多い。
【0197】
このような場合には、撮像装置2の撮像素子1つ当たりの撮像面積が、表示装置Pの撮像対象となる部位と当該撮像素子との距離に応じて異なってしまう。つまり、図示のように、撮像装置2と表示装置Pとの距離が最も短くなる状態で撮像された部位(A)よりも、撮像装置2と表示装置Pとの距離が最も長くなる状態で撮像された部位(C)の方が、撮像素子1つ当たりの撮像面積が広くなる。言い換えれば、撮像装置2との距離が近い中央部分では撮像密度が高くなり、撮像装置2との距離が遠い端の部分では撮像密度が低くなる。
【0198】
このため、画像の中央部付近の部位(A)よりも、画像の端部に近い部位(B)の方が垂直方向の画素間隔が狭くなり、より端部に近い部位(C)ではさらに垂直方向の画素間隔が狭くなる。
【0199】
例えば、図示の例では、部位(A)を撮像した画像に含まれる画素AとAとは、水平方向の間隔がcmであり、垂直方向の間隔がcnである。これに対し、部位(C)を撮像した画像に含まれる画素CとCとは、水平方向の間隔はcmで部位(A)と変わらないが、垂直方向の間隔はcn’(cn’<cn)となる。このように、撮像装置2との距離が離れる画像の端部に近付くほど、垂直方向の画素間隔は狭くなってしまう。
【0200】
したがって、このような画素間隔の違いを考慮せずに、画像から輝度値の読み込みを行った場合には、本来輝度値を読み出すべき位置からずれた位置の輝度値が読み出され、この輝度値に基づいて欠陥の検出が行われることにより、欠陥検出精度が低下するおそれがある。
【0201】
このような事態を回避するために、例えば被検査画素及び比較対象画素の読込み位置を画像上の位置に応じてずらす補正を行うことが考えられる。具体的には、第1アドレス制御回路20が、比較画素位置決定テーブル25を用いて被検査画素及び比較対象画素の読み込み位置を決定した後、画像上の位置と、該位置に対応する補正量とが対応付けられた画素間隔決定テーブル26を用いて、上記決定した読み込み位置を補正するようにすればよい。
【0202】
これにより、レンズの収差や歪等によって、欠陥検出に用いる画像の中央部と端部とで画素間隔が異なっている場合であっても、当該画像からの輝度値の読み出し位置を適切に補正して、品質の高い比較演算処理を実現し、精度よく欠陥を検出することができる。
【0203】
なお、輝度値の読み出し位置の補正量は、撮像装置2と表示装置Pとの距離が最も短くなる状態で撮像された部位(A)からの距離(垂直方向の距離)に応じて連続的に変化させてもよいし、部位(A)からの距離に応じて画像を複数のブロックに分割し、ブロック毎に補正量を予め定めておいてもよい。
【0204】
〔実施の形態2〕
上記実施形態では、2組(または3組以上)の比較対象画素のそれぞれと被検査画素との差分演算を行い、差分演算結果の中から、最も絶対値が小さい差分演算結果を用いて欠陥検出の判定を行う例について説明した。上記の構成によれば、複数の差分演算結果の中から、最も擬似欠陥が発生し難い差分演算結果が用いられるので、比較対象画素の中に、輝度値が異常値であるものが含まれている場合であっても、擬似欠陥の発生を抑えることができる。
【0205】
しかしながら、比較対象画素に輝度値が異常値である画素(表示装置Pの欠陥位置の輝度値が反映された画素)が含まれている場合には、比較演算結果に、異常値が反映されることにより、欠陥検出精度が低下することも考えられる。
【0206】
そこで、本実施形態の欠陥検出装置1では、比較対象画素の輝度値が異常値であると予測される場合に、当該比較対象画素を別の画素に変更するようにしている。これにより、異常値が比較演算結果に反映されることを防ぎ、欠陥検出の信頼性をさらに高めることが可能になる。
【0207】
〔欠陥検出方法の概要〕
ここでは、本実施形態の欠陥検出装置1’が行う欠陥検出方法の概要について、図10に基づいて説明する。図10は、本実施形態の欠陥検出方法の概要を説明する図である。なお、同図では、被検査画素をP0、比較対象画素1をP1〜P8、比較対象画素2をP1a〜P8a、比較対象画素3をP1b〜P8bで示している。
【0208】
このように、ここでは、比較対象画素1〜3の3組の比較対象画素を用いる。そして、差分演算を行う前の段階で、比較対象画素の中から、輝度値が異常値であると予測されるものを抽出する。なお、画像中において、輝度値が異常値であると予測される位置は、欠陥検出装置1’が読み出し可能な状態で予め記憶しておく。
【0209】
そして、抽出した比較対象画素を、それ以外の比較対象画素(輝度値が異常値であるとされていない比較対象画素)と差し替えて、差し替え後の比較対象画素を用いて差分演算を行う。これにより、異常値が比較演算結果に反映されることを防ぎ、欠陥検出の信頼性をさらに高めることができる。
【0210】
例えば、図示の例では、図3の例と同じ配置で比較対象画素1(P1〜P8)、及び比較対象画素2(P1a〜P8a)が設定されていると共に、比較対象画素3(P1b〜P8b)が設定されている。比較対象画素3(P1b〜P8b)は、P1aの左隣がP1b、P2aの上隣がP2b、P3aの上隣がP3b、P4aの左下がP4b、P5aの右上がP5b、P6aの下隣がP6b、P7aの下隣がP7b、P8aの右隣がP8bとなる設定である。
【0211】
そして、図示のように、P3、P5、及びP8を通る直線上には、線欠陥が発生している。つまり、ここでは比較対象画素1に含まれる、P3、P5、及びP8の輝度値が正常ではないことを想定している。このような場合に、比較対象画素1(P1〜P8)と比較対象画素2(P1a〜P8a)とを用いて比較演算を行ってしまうと、比較対象画素1(P1〜P8)を用いた比較演算結果に、異常値であるP3、P5、及びP8の輝度値が反映されてしまう。
【0212】
そこで、図示のように、比較対象画素1のP3、P5、及びP8については、比較対象画素2のP3a、P5a、P8a、または比較対象画素3のP3b、P5b、P8bと差し替える。これにより、比較演算結果に異常値であるP3、P5、及びP8の輝度値が反映されることを防ぐことができる。
【0213】
なお、図示の例では、比較対象画素1(P1〜P8)の差し替えの候補を、比較対象画素2(P1a〜P8a)または比較対象画素3(P1b〜P8b)としているが、この例に限られない。差し替えの候補は、輝度値が正常と予想される位置の画素(輝度値が異常値であるとして記憶されていない画素)であればよい。
【0214】
また、図示の例では、1組が8つの比較対象画素で構成される3組の比較対象画素1〜3を用いる例を示しているが、図11に示すように各組の比較対象画素は、4つであってもよい。図11は、1組が4つの比較対象画素で構成される3組の比較対象画素1〜3を用いる場合に、欠陥の位置の比較対象画素を欠陥のない位置の比較対象画素に変更する例を示している。図11では、図10の比較対象画素から、P2、P4、P5、P7、P2a、P4a、P5a、P7a、P2b、P4b、P5b、及びP7bが除かれた態様となっている。
【0215】
〔欠陥検出装置1’の詳細な構成〕
続いて、上記の欠陥検出方法を実行する欠陥検出装置1’の詳細な構成について、図12に基づいて説明する。図12は、本実施形態の欠陥検出装置1’の要部構成を示すブロック図である。なお、図1に示す上記実施形態の欠陥検出装置1と同様の構成については、同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
【0216】
欠陥検出装置1’は、差分値算出部12が差分値算出部12’に代わっている点を除けば、図1に示す欠陥検出装置1と同様の構成を備えている。また、差分値算出部12’は、差分値算出部12が備えている構成に加えて、欠陥位置メモリ(欠陥位置記憶部)27と選択回路(比較対象画素変更手段)28とを備えている構成である。
【0217】
欠陥位置メモリ27は、欠陥検出の対象となる表示装置Pを撮像した画像中における欠陥の位置を格納するメモリである。欠陥位置メモリ27には、欠陥検出処理の前に予め検出した欠陥位置を格納してもよいし、欠陥検出処理において検出した欠陥位置を格納してもよい。なお、欠陥検出処理において検出した欠陥位置を欠陥位置メモリ27に格納する処理については後述する。
【0218】
選択回路28は、第1アドレス制御回路20から比較対象画素の位置を受け取り、受け取った位置と、欠陥位置メモリ27に格納されている欠陥位置とが一致するか否かを判断する。そして、選択回路28は、欠陥位置と一致する位置の比較対象画素を、欠陥位置以外の位置の画素と差し替える。なお、差し替え対象となる画素は、比較対象画素となり得る画素、つまり当該画素の輝度値が正常値である場合(当該画素に対応する表示装置Pの位置に欠陥がない場合)に、正常値の被検査画素と理論上、同じ輝度値となる画素であればよい。
【0219】
〔比較対象画素の差し替え処理の流れ〕
欠陥位置と一致する位置の比較対象画素を、欠陥位置以外の位置の画素と差し替えて比較対象画素を決定する処理は、例えば図13に示すようにして実現することもできる。図13は、比較対象画素を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
【0220】
まず、選択回路28は、欠陥位置メモリ27に格納されている欠陥位置を読み出す(S30)。続いて、選択回路28は、第1アドレス制御回路20から、比較対象画素1のP1〜P8の位置と、比較対象画素2のP1a’〜P8a’の位置とを読み出す(S31)。
【0221】
次に、選択回路28は、S31で読み出した比較対象画素1のP1〜P8の位置と、S30で読み出した欠陥位置とが一致するか否かを判断する(S32)。ここで、一致しないと判断した場合(S32でNO)には、選択回路28は、P1〜P8の位置の輝度値を読み込むように、第1アドレス制御回路20に指示する。
【0222】
そして、指示を受けた第1アドレス制御回路20は、P1〜P8の位置の輝度値を画像データ読込み回路21に読み込ませる。これにより、P1〜P8の位置の輝度値がバッファ22b〜22iに格納されて、第1差分演算回路23aに出力される(S35)。
【0223】
一方、一致すると判断した場合(S32でYES)には、選択回路28は、P1〜P8のうち、欠陥位置と一致する位置の輝度値と、欠陥位置以外の輝度値とを差し替えるように第1アドレス制御回路20に指示する(S33)。
【0224】
そして、指示を受けた第1アドレス制御回路20は、P1〜P8の読み込み位置のうち、欠陥位置と一致するものの位置を他の位置と差し替える。これにより、画像データ読込み回路21が輝度値の読み込みを行う位置が変化して、差し替え後の輝度値がバッファ22b〜22iに格納されて、第1差分演算回路23aに出力される(S34)。
【0225】
例えば、図10の例では、P3、P5、及びP8が欠陥位置と一致する。したがって、この場合には、P3の読み込み位置がP3aまたはP3bの読み込み位置と差し替えられ、P5及びP8についても同様に差し替えられる。ここで、仮に、比較対象画素3(P1b〜P8b)を差し替え専用とした場合には、バッファ22b〜22iには、それぞれP1、P2、P3b、P4、P5b、P6、P7、P8bが格納されることになる。なお、P3b、P5b、P8bに欠陥位置と一致するものが含まれている場合には、さらに他の位置(例えば、P3a、P5a、P8a)が読み込み位置に設定される。
【0226】
以上のようにして、第1差分演算回路23aに輝度値が出力されると、選択回路28は、S31で読み出した比較対象画素1のP1’〜P8’の位置と、S30で読み出した欠陥位置とが一致するか否かを判断する(S36)。ここで、一致しないと判断した場合(S36でNO)には、選択回路28はP1’〜P8’の位置の輝度値を読み込むように、第1アドレス制御回路20に指示する。
【0227】
そして、指示を受けた第1アドレス制御回路20は、P1’〜P8’の位置の輝度値を画像データ読込み回路21に読み込ませる。これにより、P1’〜P8’の位置の輝度値がバッファ22b’〜22i’に格納されて、第2差分演算回路23bに出力される(S39)。
【0228】
一方、一致すると判断した場合(S36でYES)には、選択回路28は、P1’〜P8’のうち、欠陥位置と一致する位置の輝度値と、欠陥位置以外の輝度値とを差し替えるように第1アドレス制御回路20に指示する(S37)。
【0229】
そして、指示を受けた第1アドレス制御回路20は、P1’〜P8’の読み込み位置のうち、欠陥位置と一致するものの位置を他の位置と差し替える。これにより、画像データ読込み回路21が輝度値の読み込みを行う位置が変化して、差し替え後の輝度値がバッファ22b’〜22i’に格納されて、第2差分演算回路23bに出力される(S38)。
【0230】
以上のような処理を行うことにより、比較対象画素を欠陥位置にない(輝度値が正常値の)画素のみで構成することができるので、比較演算結果に異常値が反映されることを防ぐことができる。なお、S32〜S35の処理と、S36〜S39の処理とを同時に行うようにしてもよい。
【0231】
また、選択回路28を備えていることにより、上記のように、比較演算結果に対する正常ではない画素の輝度値の反映を防ぐという効果に加えて、バッファ22a〜22i及び22a’〜22i’の中から選択した任意の輝度値の組を用いて比較演算を行うことができるという効果も奏する。つまり、選択回路28を備えていることにより、比較演算の対象となる比較対象画素の組み合わせ数を増加させることができるので、汎用性を高めることができる。
【0232】
例えば、バッファ22a〜22iから選択した4つの輝度値と、バッファ22a’〜22i’から選択した4つの輝度値とを第1差分演算回路23aに出力し、残りの8つの輝度値を第2差分演算回路23bに出力する等の処理も可能である。このように、輝度値の組み合わせを変えることにより、算出される差分演算値も異なる値となるので、異なる組み合わせで複数回検査を行うことにより、欠陥検出精度をさらに高めることができる。
【0233】
〔欠陥位置メモリ27に格納する欠陥位置の検出方法の例〕
欠陥位置メモリ27に格納する欠陥位置を予め求めておく場合には、上述の欠陥検出処理(図5参照)を行う前に、表示装置Pを撮像した画像から、欠陥を検出する処理を行っておく必要がある。この処理は、画像から点欠陥及び線欠陥を検出できるものであればよく、従来から用いられている一般的な手法を用いることもできる。
【0234】
ここでは、欠陥位置メモリ27に格納する欠陥位置の検出方法の例について、図14及び図15に基づいて説明する。図14は、欠陥位置の検出方法の一例を示す図であり、表示装置Pの垂直方向及び水平方向における輝度値の積算値を示す図である。同図では、表示装置Pの水平方向の各位置における垂直方向の輝度値の積算値プロファイルをaで示し、表示装置Pの垂直方向の各位置における水平方向の輝度値の積算値プロファイルをaで示している。
【0235】
図示のように、ここでは表示装置Pに線欠陥Lが発生していることを想定している。線欠陥が発生した場合には、線欠陥部分の画素の輝度値が異常値となる。このため、線欠陥が発生している箇所において、垂直方向または水平方向に輝度値を積算した場合には、その積算値も正常とは異なる値となる。より詳細には、垂直方向に線欠陥が発生している箇所では、その箇所を含む垂直方向の輝度値の積算値が正常な値と異なる値となり、水平方向に線欠陥が発生している箇所では、その箇所を含む水平方向の輝度値の積算値が正常な値と異なる値となる。
【0236】
図示の例では、左から4列目の画素に線欠陥Lが発生しているので、左から4列目の画素に対応する位置における垂直方向の輝度値の積算値が正常とは異なる値となる。同図では、垂直方向における輝度値の積算値の正常値をNで示している。線欠陥Lが発生している箇所に対応する積算値プロファイルでは、図示のaで示すように、輝度値の積算値がNを超えるか、またはaで示すように、輝度値の積算値がNよりも小さくなることになる。
【0237】
このため、積算値プロファイルa及びaに基づいて、表示装置Pの表示欠陥の発生箇所を特定することができる。なお、輝度値の積算値がNを超えた場合に、輝線欠陥が発生していると判断することができ、Nよりも小さくなった場合に、黒線欠陥が発生していると判断することができる。
【0238】
図15も図14と同様に欠陥位置の検出方法の一例を示す図であり、表示装置Pの垂直方向及び水平方向における輝度値の積算値を示す図である。同図では、表示装置Pの水平方向の各位置における垂直方向の輝度値の積算値プロファイルをbで示し、表示装置Pの垂直方向の各位置における水平方向の輝度値の積算値プロファイルをbで示している。
【0239】
図示のように、ここでは表示装置Pに水平方向の線欠陥Lが発生していることを想定している。このため、垂直方向の輝度値の積算値プロファイルbに、Lの影響が反映される。つまり、積算値プロファイルbの線欠陥Lに対応する位置の輝度値が、正常値Nyよりも小さく(b)または大きく(b)なる。
【0240】
以上のように、表示装置Pの垂直方向及び水平方向について、輝度値の積算値を求めることによって、表示装置Pに発生している表示欠陥を検出し、その表示欠陥の位置を特定することができる。そして、このようにして求めた位置を欠陥位置メモリ27に格納しておくことにより、比較対象画素から欠陥位置の画素を除外することができる。
【0241】
なお、上記の方法で欠陥位置を検出する手段は、欠陥検出装置1’に含まれていてもよいし、欠陥検出装置1’の外部の装置にて、上記の方法で欠陥位置を検出し、検出した結果を欠陥位置メモリ27に送るようにしてもよい。また、欠陥位置の検出方法は、上記の例に限られない。
【0242】
〔欠陥の検出結果のフィードバック〕
ここで、上記のように、欠陥検出処理の前処理として欠陥の検出を行う場合には、処理時間が長くなるという難点がある。そこで、図12に示す欠陥検出装置1’では、欠陥検出結果を比較対象画素の設定処理にフィードバックすることによって、比較対象画素から欠陥位置の画素を除外することもできるようになっている。
【0243】
つまり、図12に示すように、欠陥検出装置1’では、欠陥判定処理回路30が欠陥の判定を行った結果が、出力バッファ31に出力されるようになっていると共に、欠陥位置メモリ27にも出力されるようになっている。これにより、欠陥位置メモリ27に欠陥位置が格納されるので、選択回路28は、比較対象画素から、欠陥判定処理回路30が欠陥を検出した位置の画素を除外することができる。
【0244】
すなわち、上記の構成によれば、欠陥検出の前処理を行うことなく、比較対象画素から欠陥位置の画素を除外することができる。したがって、欠陥検出処理に要する時間を増加させることなく、欠陥検出の精度を高め、擬似欠陥の発生量を大幅に低減することができる。
【0245】
〔比較演算処理の変形例〕
上述の例では、比較演算処理を、比較対象画素の輝度値の算術平均(相加平均)値と被検査画素の輝度値との差分を算出することによって行う例について説明した。算術平均値を用いる場合には、演算処理が単純であるため、比較演算処理の高速化が容易である。また、算術平均値を用いる場合には、比較対象画素の数を増やすことにより、簡単に比較演算処理の結果の信頼性を高めることができる。
【0246】
しかしながら、比較演算処理は、比較対象画素の輝度値の算術平均値と被検査画素の輝度値との差分を算出する方法に限られない。例えば、比較演算処理は、比較対象画素の輝度値の最大値及び/または最小値を除いた輝度値の算術平均値と被検査画素の輝度値との差分を算出するようにしてもよい。これにより、例えばノイズ等の発生によって異常な値となった輝度値の影響を排除して比較演算処理の結果の信頼性を高めることができる。
【0247】
また、比較対象画素の輝度値の偏差値を求め、求めた偏差値に基づいて比較演算処理に用いるものを選択するようにしてもよい。すなわち、一般に、表示装置Pの欠陥が発生していない箇所(正常な輝度値で表示される部位)は、欠陥が発生している箇所(正常な輝度値とは異なる輝度値で表示される部位)よりも多い。このため、複数の比較対象画素を設定した場合には、正常値となる画素の方が、異常値となる画素よりも多くなる可能性が高い。
【0248】
したがって、偏差値が小さい場合には、その画素の輝度値は、正常である可能性が高く、偏差値が大きい場合には、異常である可能性が高いと考えられる。このため、比較対象画素の輝度値の偏差値を求め、求めた偏差値が予め定めた値よりも大きいものを除外することによって、比較演算処理の結果に対する、輝度値が異常値である可能性が高い画素の影響を低減することができる。
【0249】
さらに、複数の比較対象画素の輝度値から線形補間によって求めた被検査画素の位置の輝度値と被検査画素の輝度値との差を差分演算値として用いてもよい。この場合には、シェーディングによる輝度値の傾きをキャンセルして比較演算処理の信頼性を高めることができる。
【0250】
例えば、図8の(d)の例における比較対象画素位置では、シェーディングの影響によって、同図の左側の画素ほど輝度値が低くなる。例えば、P0の輝度値が60、P2の輝度値が70、P4の輝度値が80のような輝度値の傾斜が生じている場合を考える。なお、P0の輝度値は正常である(表示装置PのP0に対応する位置に欠陥が発生していない)ものとする。
【0251】
この場合に、P2の輝度値とP4の輝度値との算術平均は、(70+80)/2=75となる。したがって、被検査画素の輝度値と比較対象画素の輝度値の算術平均値との差分を取った場合には、差分演算値は、(60−75)=−15(負の値のため黒点欠陥)となる。差分演算値がゼロでないことにより、この場合には、擬似欠陥が発生する可能性がある。
【0252】
一方、P2の輝度値とP4の輝度値から、線形補間によって求められるP0の位置の輝度値は、(2×70)−80=60となる。したがって、線形補間を行った場合には、差分演算値は、(60−60)=0となる。差分演算値がゼロであることにより、この場合には、擬似欠陥が発生する可能性はない。
【0253】
以上のように、線形補間を用いることにより、シェーディングによる輝度値の傾きをキャンセルして比較演算処理の信頼性を高めることができる。特に、比較対象画素の位置が、被検査画素から離れた位置に設定されている場合や、被検査画素及び比較対象画素がコーナー部または端部(図6の例における中央部以外の領域)に含まれる場合には、シェーディングの影響が大きくなるので、線形補間を用いることが好ましい。
【0254】
なお、シェーディングの影響が小さい中央部では算術平均値を用いて差分演算を行い、それ以外の部位では線形補間を用いて差分演算を行う等、上述の比較演算処理を適宜組み合わせて欠陥検出処理を行うようにしてもよい。また、図16に示したように、シェーディングの影響により、画像の中央部の輝度値と周辺部の輝度値とは、異なる値となる。そこで、画像中の部位に応じて輝度値の補正(正規化)を行い、補正後の輝度値を用いて差分演算を行うようにしてもよい。
【0255】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0256】
最後に、欠陥検出装置1及び1’の各ブロック、特に差分値算出部及び欠陥判定部は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0257】
すなわち、欠陥検出装置1または1’は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラム及び各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである欠陥検出装置1または1’の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記欠陥検出装置1または1’に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0258】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0259】
また、欠陥検出装置1または1’を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0260】
上記本発明の欠陥検出装置によれば、検査対象物を撮像した画像に基づいて、当該検査対象物の欠陥を検出する際に、擬似欠陥の発生を抑制することができる。この欠陥検出装置は、特に表示装置の点欠陥や線欠陥の検出に好適であるが、繰り返しパターンを有するものであれば、任意の検査対象物の欠陥検出に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0261】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、欠陥検出装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】検査対象物と該検査対象物を撮像した画像との関係、及び検査対象物を撮像した画像における、被検査画素と比較対象画素との位置関係を説明する図である。
【図3】上記欠陥検出装置が実行する欠陥検出方法の概要を説明する図である。
【図4】上記欠陥検出装置を含む検査システムの要部構成を示すブロック図である。
【図5】上記欠陥検出処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】表示装置を撮像した画像に生じる歪と、比較対象画素の位置を設定するためのブロックとの関係を示す図である。
【図7】画像のコーナー部における比較対象画素の位置の設定例を示す図である。
【図8】画像の上端部、左端部、右端部、及び下端部における比較対象画素の位置の設定例を示す図である。
【図9】TDI/ラインセンサタイプの撮像装置で表示装置を撮像したときの、表示装置上の位置と該位置を撮像して生成された画像における画素のピッチとの関係を説明する図である。
【図10】本発明の実施形態を示すものであり、上記とは異なる欠陥検出方法の概要を説明する図である。
【図11】1組が4つの比較対象画素で構成される3組の比較対象画素1〜3を用いる場合に、欠陥の位置の比較対象画素を欠陥のない位置の比較対象画素に変更する例を説明する図である。
【図12】上記欠陥検出方法を実行する欠陥検出装置の要部構成を示すブロック図である。
【図13】比較対象画素を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】従来技術を示すものであり、欠陥位置の検出方法の一例を示す図である。
【図15】従来技術を示すものであり、欠陥位置の検出方法の一例を示す図である。
【図16】画像表示面を撮像した画像に対するシェーディング及び輝度むらの影響を説明する図である。
【図17】被検査画素と、周辺画素から選択した3組の画素との比較演算を行うことによって、被検査画素の欠陥の有無を判定する方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0262】
1 欠陥検出装置
12 差分値算出部
13 欠陥判定部(欠陥判定手段)
20 第1アドレス制御回路(比較対象画素設定手段、抽出位置補正手段)
21 画像データ読込み回路
22a〜22i’ バッファ
23a 第1差分演算回路(指標算出手段)
23b 第2差分演算回路(指標算出手段)
24 比較/選択回路(指標選択手段)
27 欠陥位置メモリ
28 選択回路(比較対象画素変更手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物を撮像した画像であって、輝度値が一定の周期で繰り返すパターンを有する画像から抽出した被検査画素の輝度値と、上記被検査画素に対して上記一定の周期だけ離れた画素から選択された比較対象画素の、上記画像から抽出した輝度値とに基づいて、上記検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出装置であって、
上記被検査画素には、複数の上記比較対象画素よりなり、互いに異なる複数の比較対象画素群が対応付けられており、
上記比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値と、上記被検査画素の輝度値とのずれの大きさを示す指標を、上記複数の比較対象画素群のそれぞれについて算出する指標算出手段と、
上記指標算出手段が算出した指標のうち、絶対値が最も小さい指標を欠陥検出用指標として選択する指標選択手段と、
上記指標選択手段が選択した欠陥検出用指標と、予め定めた閾値との大小関係から、上記検査対象物の上記被検査画素に対応する位置における欠陥の有無を判定する欠陥判定手段とを備えていることを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項2】
上記比較対象画素を上記画像の外縁部を避けて設定する比較対象画素設定手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の欠陥検出装置。
【請求項3】
上記検査対象物の欠陥位置に対応する上記画像上の位置を示す欠陥位置データを格納する欠陥位置記憶部を備え、
上記比較対象画素が、上記欠陥位置記憶部に格納されている欠陥位置データが示す位置と一致する場合に、当該比較対象画素を、上記欠陥位置データが示す位置以外の画素に変更する比較対象画素変更手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の欠陥検出装置。
【請求項4】
上記欠陥判定手段は、上記検査対象物に欠陥があると判定したときの、被検査画素の上記画像上の位置を、上記欠陥位置データとして欠陥位置記憶部に格納し、
上記比較対象画素変更手段は、上記欠陥判定手段が上記欠陥位置記憶部に格納した欠陥位置データを用いて、比較対象画素の変更を行うことを特徴とする請求項3に記載の欠陥検出装置。
【請求項5】
上記画像において、撮像時に撮像装置に最も近接していた部位である最近接部位以外に位置する被検査画素及び比較対象画素の少なくとも1つについて、当該被検査画素及び比較対象画素の少なくとも1つの輝度値の抽出位置が、上記最近傍部位寄りとなるように補正すると共に、その補正量が上記最近傍部位から遠い位置となるにつれて大きくなるようにする抽出位置補正手段を備えていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項6】
上記指標算出手段は、上記指標として、
上記比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値の平均値と被検査画素の輝度値との差、
上記比較対象画素群から、当該比較対象画素群において、輝度値が最大となる比較対象画素、または最小となる比較対象画素の少なくとも一方を除いた残りの比較対象画素における輝度値の平均値と被検査画素の輝度値の差、
上記比較対象画素群に含まれる比較対象画素のうち、輝度値の偏差値が所定値よりも大きい比較対象画素を除いた残りの比較対象画素における輝度値の平均値と、被検査画素の輝度値との差、
または、上記比較対象画素群に含まれる比較対象画素の輝度値を線形補間して求めた、上記被検査画素の位置における輝度値と、被検査画素の輝度値との差、
を算出することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項7】
検査対象物を撮像した画像であって、輝度値が一定の周期で繰り返すパターンを有する画像から抽出した被検査画素の輝度値と、上記被検査画素に対して上記一定の周期だけ離れた画素から選択された比較対象画素の、上記画像から抽出した輝度値とに基づいて、上記検査対象物の欠陥を検出する欠陥検出装置が実行する欠陥検出方法であって、
上記被検査画素には、複数の上記比較対象画素を含み、互いに異なる複数の比較対象画素群が対応付けられており、
上記比較対象画素群に含まれる各比較対象画素の輝度値と、上記被検査画素の輝度値とのずれの大きさを示す指標を、上記複数の比較対象画素群のそれぞれについて算出する指標算出ステップと、
上記指標算出ステップにおいて算出した指標のうち、絶対値が最も小さい指標を欠陥検出用指標として選択する指標選択ステップと、
上記指標選択ステップにおいて選択した欠陥検出用指標と、予め定めた閾値との大小関係から、上記検査対象物の上記被検査画素に対応する位置における欠陥の有無を判定する欠陥判定ステップとを含むことを特徴とする欠陥検出方法。
【請求項8】
請求項1から6の何れか1項に記載の欠陥検出装置を動作させるための欠陥検出プログラムであって、
コンピュータを上記各手段として機能させるための欠陥検出プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の欠陥検出プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−54247(P2010−54247A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217392(P2008−217392)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】