説明

欠陥検出装置および欠陥検出方法

【課題】低コストかつ単純な装置構成で検査対象の被検査面の凹凸欠陥を精度よく検出する。
【解決手段】欠陥検出装置は、照射装置1と、撮像装置2と、処理装置3とを備える。照射装置1は、検査対象Aの拡散反射性を有する被検査面Bに斜め方向から光を照射する。撮像装置2は、照射装置1から被検査面Bを通った光が入射する。被検査面Bにおいて照射装置1の照射光が直接照射される範囲を直接照射エリアとし、被検査面Bにおいて直接照射エリアでの照射光の拡散によって発生する拡散光が照射される範囲を拡散光照射エリアとする。処理装置3は、撮像装置2で撮像された撮像画像において直接照射エリアに第1の検査領域を設けるとともに拡散光照射エリアに第2の検査領域を設定し、第1の検査領域および第2の検査領域の少なくとも一方の輝度情報を用いて、被検査面Bの凹凸に関する欠陥を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査対象の被検査面に発生する凹凸欠陥を検出する欠陥検出装置および欠陥検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、検査対象の被検査面に発生する凹凸欠陥を検出する欠陥検出装置は種々開発されている。従来の欠陥検出装置の一例としては、被検査面に欠陥がなければ照明光の反射光がカメラに検出される明領域と被検査面に欠陥がなければ反射光が検出されない暗領域との2つの領域を用いて被検査面の欠陥を検出する装置がある(例えば特許文献1,2参照)。この欠陥検出装置は、カメラと被検査面との間に遮光体を備えることによって、被検査面に明領域および暗領域を形成している。
【0003】
また、従来の欠陥検出装置の他の例としては、検査対象の被検査面に明領域と暗領域との境界が生じるように被検査面を照明して凹凸欠陥を検出する装置が知られている(例えば特許文献3参照)。この欠陥検出装置は、被検査面に明領域と暗領域との境界が生じるように特殊な照射装置を用いて被検査面を照射し、明領域と暗領域との境界に凹凸欠陥が存在した場合に、凹凸欠陥が存在する部分に明暗反転部が生じることを利用して、被検査面の凹凸欠陥を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−40853号公報
【特許文献2】特開2005−257681号公報
【特許文献3】特開2001−349716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の欠陥検出装置では、検査対象の被検査面に明領域と暗領域とを形成するために、遮光体を追加したり、特殊な照射装置を用いたりする必要があるため、コストが上がり、装置構成も複雑になるという問題があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みて為され、本発明の目的は、低コストかつ単純な装置構成で検査対象の被検査面の凹凸欠陥を精度よく検出することができる欠陥検出装置および欠陥検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の欠陥検出装置は、検査対象の拡散反射性を有する被検査面に斜め方向から光を照射する照射装置と、前記照射装置から光が照射される前記被検査面を撮像する撮像装置と、前記撮像装置で撮像された撮像画像を用いて前記被検査面の凹凸に関する欠陥を検出する処理装置とを備え、前記被検査面において前記照射装置の照射光が直接照射される範囲を直接照射エリアとし、前記被検査面において前記直接照射エリアでの前記照射光の拡散によって発生する拡散光が照射される範囲を拡散光照射エリアとし、前記撮像装置は、前記直接照射エリアと前記拡散光照射エリアとを撮像領域に含むように配置され、前記処理装置は、前記撮像画像において前記直接照射エリアに第1の検査領域を設定するとともに前記拡散光照射エリアに第2の検査領域を設定し、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域の少なくとも一方の輝度情報を用いて前記欠陥を検出することを特徴とする。
【0008】
この欠陥検出装置において、前記処理装置は、前記直接照射エリア内において周囲より輝度の低い領域および前記拡散光照射エリア内において周囲より輝度の高い領域をそれぞれ欠陥候補領域として抽出する抽出機能と、前記欠陥候補領域の大きさが予め設定されたしきい値より大きい場合に前記欠陥候補領域に前記欠陥が存在すると判定する判定機能とを有することが好ましい。
【0009】
この欠陥検出装置において、前記処理装置は、前記直接照射エリア内において周囲より輝度の低い領域を第1の領域として抽出し、前記拡散光照射エリア内において周囲より輝度の高い領域を第2の領域として抽出する第1の抽出機能と、前記第1の領域を含み予め設定された大きさを有する第1の設定領域の平均輝度および前記第2の領域を含み予め設定された大きさを有する第2の設定領域の平均輝度を算出する第1の算出機能と、前記直接照射エリアおよび前記拡散光照射エリアごとに、前記平均輝度を用いて2値化しきい値を求める第2の算出機能と、前記直接照射エリアおよび前記拡散光照射エリアごとに、前記2値化しきい値を用いて2値化処理を行って欠陥候補領域を抽出する第2の抽出機能と、前記欠陥候補領域の大きさが予め設定されたしきい値より大きい場合に前記欠陥候補領域に前記欠陥が存在すると判定する判定機能とを有することが好ましい。
【0010】
この欠陥検出装置において、前記処理装置は、前記第2の抽出機能として、前記第1の領域および前記第2の領域の少なくとも一方が前記欠陥候補領域として抽出されなかった場合、前記2値化しきい値を変更して再び2値化処理を行って前記欠陥候補領域を再抽出することが好ましい。
【0011】
この欠陥検出装置において、前記欠陥の種類を入力する種類入力装置を備え、前記処理装置は、前記種類入力装置で入力された前記種類に応じて、前記欠陥の検出に用いる検査領域を前記第1の検査領域および前記第2の検査領域の中から選択することが好ましい。
【0012】
この欠陥検出装置において、前記検査対象を搬送する搬送装置を備え、前記撮像装置は、前記搬送装置で前記検査対象が搬送されることによって前記被検査面の所定部分が前記直接照射エリアに到達したタイミングと当該所定部分が前記拡散光照射エリアに到達したタイミングとで撮像し、前記処理装置は、前記所定部分が前記直接照射エリアに到達したときの撮像画像と前記所定部分が前記拡散光照射エリアに到達したときの撮像画像とを用いて前記欠陥を検出することが好ましい。
【0013】
この欠陥検出装置において、前記欠陥の凹凸量を入力する凹凸量入力装置と、前記凹凸量入力装置で入力された前記凹凸量に応じて前記照射装置と前記被検査面との間の光軸上における距離を可変する駆動装置とを備え、前記撮像装置は、前記照射装置と前記被検査面との間の光軸上における距離が可変された後に前記被検査面を撮像することが好ましい。
【0014】
この欠陥検出装置において、前記照射装置は、前記被検査面に拡散光を照射することが好ましい。
【0015】
この欠陥検出装置において、前記撮像装置に入射する光の光量を減少させる光量調整部を備えることが好ましい。
【0016】
本発明の欠陥検出方法は、検査対象の拡散反射性を有する被検査面に斜め方向から光を照射する第1のステップと、前記被検査面を撮像する第2のステップと、前記第2のステップで撮像した撮像画像を用いて前記被検査面の凹凸に関する欠陥を検出する第3のステップとを有し、前記被検査面において照射光が直接照射される範囲を直接照射エリアとし、前記被検査面において前記直接照射エリアでの前記照射光の拡散によって発生する拡散光が照射される範囲を拡散光照射エリアとし、前記第2のステップにおいては、前記直接照射エリアと前記拡散光照射エリアとを撮像領域に含むように撮像し、前記第3のステップにおいては、前記撮像画像において前記直接照射エリアに第1の検査領域を設定するとともに前記拡散光照射エリアに第2の検査領域を設定し、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域の少なくとも一方の輝度情報を用いて前記欠陥を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、検査対象の被検査面において照射装置の照射光が直接照射される直接照射エリアと、被検査面において直接照射エリアでの照射光の拡散によって発生する拡散光が照射される拡散光照射エリアとの少なくともいずれかの領域の輝度情報を用いて凹凸欠陥を検出することができるので、例えば遮光体や特殊な照射装置などを備えなくても、低コストかつ単純な装置構成で検査対象の被検査面の凹凸欠陥を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態1に係る欠陥検出装置の構成を示す概略図である。
【図2】同上に係る撮像装置で撮像された撮像画像において、直接照射エリアと拡散光照射エリアとを説明するための図である。
【図3】同上に係る撮像装置で撮像された撮像画像において、(a)は拡散光照射エリアに欠陥が存在する場合を示す図、(b)は直接照射エリアに欠陥が存在する場合を示す図である。
【図4】同上に係る欠陥検出装置において、欠陥領域を示す図である。
【図5】同上に係る欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【図6】実施形態2に係る欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【図7】実施形態3に係る欠陥検出装置において、(a)は平均輝度が25であって2値化しきい値が60である場合の撮像画像を示す図、(b)は2値化画像の要部を示す図、(c)は平均輝度が60であって2値化しきい値が40である場合の撮像画像を示す図、(d)は2値化画像の要部を示す図である。
【図8】同上に係る欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【図9】実施形態4に係る欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【図10】実施形態5に係る欠陥検出装置の構成を示す概略図である。
【図11】同上に係る欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【図12】実施形態6に係る撮像装置で撮像された撮像画像において、(a)は直接照射エリアに欠陥が存在する場合を示す図、(b)は拡散光照射エリアに欠陥が存在する場合を示す図である。
【図13】同上に係る欠陥検出装置において、(a)は駆動信号を示す図、(b)は撮像信号を示す図である。
【図14】同上に係る欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【図15】実施形態7に係る欠陥検出装置の構成を示す概略図である。
【図16】同上に係る欠陥検出方法を示すフローチャートである。
【図17】実施形態8に係る欠陥検出装置の構成を示す概略図である。
【図18】実施形態9に係る欠陥検出装置の構成を示す概略図である。
【図19】同上に係る偏光フィルタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
実施形態1に係る欠陥検出装置は、図1に示すように、検査対象Aの被検査面Bに発生する凹凸欠陥を検出する装置である。本実施形態の欠陥検出装置は、照射装置1と、撮像装置2と、処理装置3と、搬送装置4とを備えている。
【0020】
検査対象Aは、例えば被検査面Bがつや出し処理された木材である。上記木材としては木質床材などがある。被検査面Bは拡散反射性を有している。なお、被検査面Bは着色塗装されていることもある。
【0021】
照射装置1は、例えばLEDや蛍光灯などを用いてライン状の光を発するライン照明装置であり、検査対象Aの被検査面Bに斜め方向(取付角度θ1)から光を照射する。つまり、被検査面Bには、照射装置1からの照射光が照射される。照射装置1の取付角度θ1は15度とする。照射装置1からの照明は、多色照明であってもよい。
【0022】
撮像装置2は、例えばエリアセンサカメラやラインセンサカメラなどであり、照射装置1から被検査面Bを通った光が入射する。撮像装置2の取付角度θ2は、例えば検査対象Aに対して斜め上方である。本実施形態では、取付角度θ2は30度とする。撮像装置2は、搬送停止時または搬送時のいずれかの状態にある検査対象Aを撮像する。
【0023】
処理装置3は、撮像装置2で撮像された撮像画像を用いて被検査面Bの凹凸欠陥を検出する。つまり、処理装置3は、搬送時または搬送停止時のいずれかの状態にある検査対象Aが撮像された画像を用いて欠陥検出処理を行う。
【0024】
搬送装置4は、例えば駆動コンベアなどであり、検査対象Aを搬送する。なお、搬送装置4は、検査対象Aを搬送できる手段であれば上記に限定されない。
【0025】
図2に示すように、被検査面Bにおいて照射装置1の照射光が直接照射される範囲を直接照射エリアCとする。被検査面Bにおいて直接照射エリアCでの照射光の拡散によって発生する拡散光が照射される範囲を拡散光照射エリアDとする。
【0026】
拡散光照射エリアDでは、欠陥に対してあらゆる方向および角度から光が照射されるので、欠陥の陰影がつきやすくなる。つまり、欠陥に明暗部が発生しやすくなる。欠陥に直接光を照射しても同様の効果が得られるが、直接的な光であって、光の回り込みのため、明暗部が検出しにくくなる場合もある。
【0027】
本実施形態では、直接照射エリアCからの拡散光が欠陥に照射されることで、拡散光照射エリアDにおいて明暗領域がより発生しやすくなる。
【0028】
図2に示すように、撮像装置2は、直接照射エリアCと拡散光照射エリアDとを撮像領域に含むように配置されている。カメラ視軸Oを中心として2つのエリアC,Dが撮像画像内に入る。一例として、拡散光照射エリアDは、中心が直接照射エリアCの中心から通常20mm〜25mm離れたエリアである(図2の距離L)。拡散光照射エリアDは、拡散光が照射される範囲と、評価する欠陥凹凸量に合わせた分解能とにより設定される。
【0029】
処理装置3は、例えばマイクロプロセッサ(MPU)などを主構成要素とし、撮像画像において直接照射エリアCに第1の検査領域を設定するとともに拡散光照射エリアDに第2の検査領域を設定する。処理装置3は、第1の検査領域および第2の検査領域の少なくとも一方の輝度情報を用いて欠陥を検出する。図3(a)は、拡散光照射エリアDに欠陥Eが存在する場合を示し、図3(b)は、直接照射エリアCに欠陥Eが存在する場合を示す。図4は、2値化画像の欠陥領域である。
【0030】
次に、本実施形態に係る欠陥検出装置を用いた欠陥検出方法について図5を用いて説明する。まず、照射装置1が検査対象Aの被検査面Bを照射し、撮像装置2が被検査面Bを撮像する(図5のS1)。その後、処理装置3は、撮像画像から直接照射エリアCを抽出する(切り出す)(S2)。その後、処理装置3は、2値化しきい値を用いて直接照射エリアCに対して2値化処理を行う(S3)。処理装置3は、2値化画像から画素値の低い黒領域を検出(抽出)し、検出領域とする(S4)。その後、検出領域面積が設定領域面積より大きいか否かを判定する(S5)。検出領域面積が設定領域面積より大きい場合、検出領域に欠陥が存在し、検査対象Aが不良であると判定する(S6)。検出領域面積が設定領域面積以下である場合、処理装置3は、検出領域には欠陥が存在しないと判定し、検査対象Aが良品であると判定する(S7)。処理装置3は、全ての検出領域に対してステップS5からステップS7までの処理を実行する(S8)。その後、拡散光照射エリアDが抽出されていないため(S9)、拡散光照射エリアDを抽出する(切り出す)(S10)。その後、処理装置3は、2値化しきい値を用いて拡散光照射エリアDに対して2値化処理を行う(S3)。処理装置3は、2値化画像から画素値の高い白領域を検出(抽出)し、検出領域とする(S4)。その後、処理装置3は、ステップS5からステップS8までの処理を実行する。その後、直接照射エリアCおよび拡散光照射エリアDの両方での処理が完了し(S9)、欠陥検出の動作を終了する。
【0031】
以上、本実施形態の欠陥検出装置および欠陥検出方法によれば、検査対象Aの被検査面Bにおいて照射装置1の照射光が直接照射される直接照射エリアCと、被検査面Bにおいて直接照射エリアCでの照射光の拡散によって発生する拡散光が照射される拡散光照射エリアDとの輝度情報を用いて凹凸欠陥を検出することができるので、例えば遮光体や特殊な照射装置などを備えなくても、低コストかつ単純な装置構成で検査対象Aの被検査面Bの凹凸欠陥を精度よく検出することができる。
【0032】
(実施形態2)
実施形態2に係る欠陥検出装置は、2値化画像ではなく撮像画像そのものから欠陥を検出する点で、実施形態1に係る欠陥検出装置と相違する。以下、本実施形態の欠陥検出装置について図1,2および図6を用いて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素については説明を省略する。
【0033】
本実施形態の処理装置3(図1参照)は、抽出機能と、判定機能とを有している。処理装置3は、抽出機能として、直接照射エリアC(図2参照)内において周囲より輝度の低い領域および拡散光照射エリアD(図2参照)内において周囲より輝度の高い領域をそれぞれ欠陥候補領域として抽出する。
【0034】
処理装置3は、判定機能として、欠陥候補領域の大きさが予め設定されたしきい値より大きい場合に欠陥候補領域に欠陥が存在すると判定する。
【0035】
同一欠陥でも直接照射エリアCと拡散光照射エリアDとで見え方が異なる。そのため、この見え方を利用して欠陥を検出する。凸形欠陥の場合、直接照射エリアCにおいて膨らみが影として発生する。凹形欠陥の場合、拡散光照射エリアDにおいて凹みが輝点として発生する。
【0036】
次に、本実施形態に係る欠陥検出装置を用いた欠陥検出方法について図6を用いて説明する。まず、照射装置1が検査対象Aの被検査面Bを照射し、撮像装置2が被検査面Bを撮像する(図6のS11)。その後、処理装置3は、撮像画像から直接照射エリアCを抽出する(切り出す)(S12)。その後、処理装置3は、撮像画像の直接照射エリアCから、「最低輝度+α」以下の輝度を有する領域を抽出し、検出領域とする(S13)。また、処理装置3は、撮像画像から拡散光照射エリアDを抽出する(切り出す)(S14)。その後、処理装置3は、撮像画像の拡散光照射エリアDから、「最高輝度−β」以上の輝度を有する領域を抽出し、検出領域とする(S15)。その後、ステップS13とステップS15とで抽出した検出領域のそれぞれに対して、検出領域面積が設定領域面積より大きいか否かを判定する(S16)。検出領域面積が設定領域面積より大きい場合、検出領域に欠陥が存在し、検査対象Aが不良であると判定する(S17)。検出領域面積が設定領域面積以下である場合、処理装置3は、検出領域には欠陥が存在しないと判定し、検査対象Aが良品であると判定する(S18)。処理装置3は、全ての検出領域に対してステップS16からステップS18までの処理を実行し(S19)、欠陥検出の動作を終了する。
【0037】
以上、本実施形態の欠陥検出装置および欠陥検出方法によれば、凹凸量が少なく検出が困難な凹凸欠陥であっても、撮像画像において凹凸欠陥と周囲との間に輝度差が発生するので、凹凸欠陥を容易に検出することができる。
【0038】
(実施形態3)
実施形態3に係る欠陥検出装置は、平均輝度に応じて2値化しきい値を変更する点で、実施形態1に係る欠陥検出装置と相違する。以下、本実施形態の欠陥検出装置について図1および図7,8を用いて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素については説明を省略する。
【0039】
検査対象Aの被検査面Bは、品種によって表面状態や塗装色が異なるため、撮像画像における見え方が異なる。つまり、撮像範囲の平均輝度が異なる。品種により輝度差が35あるので、同一の2値化しきい値で2値化処理すれば、正確に抽出することができなくなるため、2値化しきい値を可変する。
【0040】
本実施形態の処理装置3(図1参照)は、第1の抽出機能と、第1の算出機能と、第2の算出機能と、第2の抽出機能と、判定機能とを有している。
【0041】
処理装置3は、第1の抽出機能として、直接照射エリアC内において周囲より輝度の低い領域を第1の領域として抽出し、拡散光照射エリアD内において周囲より輝度の高い領域を第2の領域として抽出する。
【0042】
処理装置3は、第1の算出機能として、第1の領域を含み予め設定された大きさを有する第1の設定領域の平均輝度および第2の領域を含み予め設定された大きさを有する第2の設定領域の平均輝度を算出する。処理装置3は、撮像範囲内から所定領域を抽出して平均輝度を算出する。平均輝度を算出する領域は任意に設定するが、より表面状態を反映させるため、各撮像範囲内をできるだけ広くとるなどを実施する。一例は100×30画素である。
【0043】
処理装置3は、第2の算出機能として、直接照射エリアCおよび拡散光照射エリアDごとに、第1の算出機能で算出した平均輝度を用いて2値化しきい値を求める。つまり、平均輝度に応じた2値化しきい値を任意に設定する。
【0044】
処理装置3は、第2の抽出機能として、2値化しきい値を用いて2値化処理を行って欠陥候補領域を抽出する。
【0045】
処理装置3は、判定機能として、欠陥候補領域の大きさが予め設定されたしきい値より大きい場合に欠陥候補領域に欠陥が存在すると判定する。つまり、処理装置3は、抽出領域の面積値を比較して欠陥を検出する。
【0046】
次に、本実施形態に係る欠陥検出装置を用いた欠陥検出方法について図8を用いて説明する。まず、照射装置1が検査対象Aの被検査面Bを照射し、撮像装置2が被検査面Bを撮像する(図8のS21)。その後、処理装置3は、撮像画像から直接照射エリアCを抽出する(切り出す)(S22)。その後、処理装置3は、撮像画像の直接照射エリアCから、最低輝度領域(「最低輝度+α」以下の輝度を有する領域)を抽出する(S23)。その後、処理装置3は、抽出領域(抽出画素)を中心に100×30画素の平均輝度を算出する(S24)。直接照射エリアCであるため(S25)、平均輝度が220より大きいか否かを判定する(S26)。平均輝度が220より大きい場合、2値化しきい値を160に設定する(S27)。平均輝度が220以下である場合、2値化しきい値を120に設定する(S28)。その後、処理装置3は、設定した2値化しきい値を用いて直接照射エリアCに対して2値化処理を行う(S32)。処理装置3は、2値化画像から画素値の小さい黒領域を抽出し、検出領域とする(S33)。その後、検出領域面積が設定領域面積より大きいか否かを判定する(S34)。検出領域面積が設定領域面積より大きい場合、検出領域に欠陥が存在し、検査対象Aが不良であると判定する(S35)。検出領域面積が設定領域面積以下である場合、処理装置3は、検出領域には欠陥が存在しないと判定し、検査対象Aが良品であると判定する(S36)。処理装置3は、全ての検出領域に対してステップS34からステップS36までの処理を実行する(S37)。その後、拡散光照射エリアDが抽出されていないため(S38)、拡散光照射エリアDを抽出する(切り出す)(S39)。その後、処理装置3は、撮像画像の拡散光照射エリアDから、最高輝度領域(「最高輝度−β」以上の輝度を有する領域)を抽出する(S23)。その後、処理装置3は、抽出領域(抽出画素)を中心に100×30画素の平均輝度を算出する(S24)。その後、平均輝度が30より大きいか否かを判定する(S29)。平均輝度が30より大きい場合、2値化しきい値を40に設定する(S30)。平均輝度が30以下である場合、2値化しきい値を60に設定する(S31)。その後、処理装置3は、設定した2値化しきい値を用いて拡散光照射エリアDに対して2値化処理を行う(S32)。処理装置3は、2値化画像から画素値の大きい白領域を抽出する(S33)。その後、ステップS34からステップS37までの処理を実行する。その後、直接照射エリアCおよび拡散光照射エリアDの両方での処理が完了し(S38)、欠陥検出の動作を終了する。
【0047】
以上、本実施形態の欠陥検出装置および欠陥検出方法によれば、被検査面Bの状態の影響を低減させることができるので、微小な凹凸欠陥を検出することができる。
【0048】
(実施形態4)
実施形態4に係る欠陥検出装置は、2値化しきい値を再設定することが可能である点で、実施形態3に係る欠陥検出装置と相違する。以下、本実施形態の欠陥検出装置について図1を用いて説明する。なお、実施形態3と同様の構成要素については説明を省略する。
【0049】
本実施形態の処理装置3は、第2の抽出機能として、第1の領域および第2の領域の少なくとも一方が欠陥候補領域として抽出されなかった場合、2値化しきい値を変更して再び2値化処理を行って欠陥候補領域を再抽出する。処理装置3は、検出領域中に、平均輝度を算出した最高輝度領域または最低輝度領域が検出されていない場合、2値化しきい値を再設定して2値化処理を行い、再検出した検出領域において判定を行う。
【0050】
上記手順により、1つのエリアC,Dに対して最大2回の2値化処理を行うことで、撮像範囲において最高輝度領域や最低輝度領域を検出する。2値化しきい値を複数設定し、複数回の2値化処理を行うことで正確に欠陥を検出することができる。
【0051】
次に、本実施形態に係る欠陥検出装置を用いた欠陥検出方法について図9を用いて説明する。まず、照射装置1が検査対象Aの被検査面Bを照射し、撮像装置2が被検査面Bを撮像する(図9のS41)。その後、処理装置3は、撮像画像から直接照射エリアCを抽出する(切り出す)(S42)。その後、処理装置3は、撮像画像の直接照射エリアCから、最低輝度領域(「最低輝度+α」以下の輝度を有する領域)を抽出する(S43)。その後、処理装置3は、抽出領域(抽出画素)を中心に100×30画素の平均輝度を算出する(S44)。直接照射エリアCである場合(S45)、平均輝度が220より大きいか否かを判定する(S46)。平均輝度が220より大きい場合、2値化しきい値を140に設定する(S47)。平均輝度が220以下である場合、2値化しきい値を120に設定する(S48)。その後、処理装置3は、設定した2値化しきい値を用いて直接照射エリアCに対して2値化処理を行う(S52)。処理装置3は、2値化画像から画素値の小さい黒領域を抽出し、検出領域とする(S53)。その後、検出領域面積が設定領域面積より大きいか否かを判定する(S54)。検出領域面積が設定領域面積より大きい場合、検出領域に欠陥が存在し、検査対象Aが不良であると判定する(S55)。検出領域面積が設定領域面積以下である場合、処理装置3は、検出領域には欠陥が存在しないと判定し、検査対象Aが良品であると判定する(S56)。処理装置3は、ステップS54からステップS56までの処理を全ての検出領域に対して実行する(S57)。
【0052】
その後、後述の2次抽出が完了しているか否かを判定する(S58)。2次抽出が完了していない場合、最低輝度領域を抽出しているか否かを判定する(S59)。最低輝度領域が抽出されていない場合、直接照射エリアCに対する処理中であるので(S60)、2値化しきい値を160に再設定する(S61)。その後、2次抽出が終了し(S63)、再設定した2値化しきい値を用いて2値化処理を行う(S52)。
【0053】
その後、拡散光照射エリアDが抽出されていないため(S64)、拡散光照射エリアDを抽出する(切り出す)(S65)。その後、拡散光照射エリアDに対して、ステップS43およびステップS44の処理を実行する。その後、平均輝度が30より大きいか否かを判定する(S49)。平均輝度が30より大きい場合、2値化しきい値を70に設定する(S50)。平均輝度が30以下である場合、2値化しきい値を80に設定する(S51)。その後、処理装置3は、設定した2値化しきい値を用いて拡散光照射エリアDに対して2値化処理を行う(S52)。処理装置3は、2値化画像から画素値の大きい白領域を抽出し、検出領域とする(S53)。その後、ステップS54からステップS57までの処理を実行する。
【0054】
その後、2次抽出が完了しているか否かを判定する(S58)。2次抽出が完了していない場合、最高輝度領域を抽出しているか否かを判定する(S59)。最高輝度領域が抽出されていない場合、拡散光照射エリアDに対する処理中であるので(S60)、2値化しきい値を60に再設定する(S62)。その後、2次抽出が終了し(S63)、再設定した2値化しきい値を用いて2値化処理を行う(S52)。その後、直接照射エリアCおよび拡散光照射エリアDの両方での処理が完了し(S64)、欠陥検出の動作を終了する。
【0055】
以上、本実施形態の欠陥検出装置および欠陥検出方法によれば、撮像画像の輝度情報に応じて最適な2値化しきい値を設定することができるので、微小な凹凸欠陥を検出することができる。
【0056】
(実施形態5)
実施形態5に係る欠陥検出装置は、図10に示すように入力装置5を備えている点で、実施形態1に係る欠陥検出装置(図1参照)と相違する。以下、本実施形態の欠陥検出装置について図10,11を用いて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0057】
入力装置5は、例えばタッチパネルやキーボードなどであり、欠陥の種類が入力される。入力装置5は、処理装置3に接続されていて、入力値(入力情報)を処理装置3へ伝達する。入力装置5は、本発明の種類入力装置に相当する。
【0058】
本実施形態の処理装置3は、入力装置5からの入力値に基づいて、該当する処理を実施する。処理装置3は、入力装置5で入力された種類に応じて、欠陥の検出に用いる検査領域を第1の検査領域および第2の検査領域の中から選択する。
【0059】
次に、本実施形態に係る欠陥検出装置を用いた欠陥検出方法について図11を用いて説明する。まず、照射装置1が検査対象Aの被検査面Bを照射し、撮像装置2が被検査面Bを撮像する(図11のS71)。その後、処理装置3は、凸欠陥のみを抽出するのか、凹欠陥および凸欠陥の両方を抽出するのかを決定する(S72)。凸欠陥のみを抽出する場合、処理装置3は、撮像画像から直接照射エリアCを抽出する(切り出す)(S73)。その後、処理装置3は、撮像画像の直接照射エリアCから、最低輝度領域(「最低輝度+α」以下の輝度を有する領域)を抽出する(S75)。その後、処理装置3は、抽出領域(抽出画素)を中心に100×30画素の平均輝度を算出する(S76)。直接照射エリアCである場合(S77)、平均輝度が220より大きいか否かを判定する(S78)。平均輝度が220より大きい場合、2値化しきい値を140に設定する(S79)。平均輝度が220以下である場合、2値化しきい値を120に設定する(S80)。その後、処理装置3は、設定した2値化しきい値を用いて直接照射エリアCに対して2値化処理を行う(S84)。処理装置3は、2値化画像から画素値の小さい黒領域を抽出し、検出領域とする(S85)。その後、検出領域面積が設定領域面積より大きいか否かを判定する(S86)。検出領域面積が設定領域面積より大きい場合、検出領域に欠陥が存在し、検査対象Aが不良であると判定する(S87)。検出領域面積が設定領域面積以下である場合、処理装置3は、検出領域には欠陥が存在しないと判定し、検査対象Aが良品であると判定する(S88)。処理装置3は、ステップS86からステップS88までの処理を全ての検出領域に対して実行する(S89)。
【0060】
その後、後述の2次抽出が完了しているか否かを判定する(S90)。2次抽出が完了していない場合、最低輝度領域を抽出しているか否かを判定する(S91)。最低輝度領域が抽出されていない場合、直接照射エリアCに対する処理中であるので(S92)、2値化しきい値を160に再設定する(S93)。その後、2次抽出が終了し(S95)、再設定した2値化しきい値を用いて2値化処理を行う(S84)。その後、2次抽出が既に完了しているので(S90)、欠陥検出の動作を終了する。
【0061】
一方、ステップS72において、凹欠陥および凸欠陥の両方を検出する場合、処理装置3は、拡散光照射エリアDを抽出する(S74)。その後、処理装置3は、撮像画像の拡散光照射エリアDから、最高輝度領域(「最高輝度−β」以上の輝度を有する領域)を抽出する(S75)。その後、処理装置3は、抽出領域(抽出画素)を中心に100×30画素の平均輝度を算出する(S76)。拡散光照射エリアDである場合(S77)、平均輝度が30より大きいか否かを判定する(S81)。平均輝度が30より大きい場合、2値化しきい値を70に設定する(S82)。平均輝度が30以下である場合、2値化しきい値を80に設定する(S83)。その後、処理装置3は、設定した2値化しきい値を用いて拡散光照射エリアDに対して2値化処理を行う(S84)。処理装置3は、2値化画像から画素値の大きい白領域を抽出し、検出領域とする(S85)。その後、検出領域面積が設定領域面積より大きいか否かを判定する(S86)。検出領域面積が設定領域面積より大きい場合、検出領域に欠陥が存在し、検査対象Aが不良であると判定する(S87)。検出領域面積が設定領域面積以下である場合、処理装置3は、検出領域には欠陥が存在しないと判定し、検査対象Aが良品であると判定する(S88)。処理装置3は、ステップS86からステップS88までの処理を全ての検出領域に対して実行する(S89)。
【0062】
その後、後述の2次抽出が完了しているか否かを判定する(S90)。2次抽出が完了していない場合、最高輝度領域を抽出しているか否かを判定する(S91)。最高輝度領域が抽出されていない場合、拡散光照射エリアDに対する処理中であるので(S92)、2値化しきい値を60に再設定する(S94)。その後、2次抽出が終了し(S95)、再設定した2値化しきい値を用いて2値化処理を行う(S84)。その後、2次抽出が既に完了しているので(S90)、欠陥検出の動作を終了する。
【0063】
以上、本実施形態の欠陥検出装置によれば、被検査面Bの凹凸欠陥の数が多くなっても処理時間を短縮することができるとともに、選択した種別の欠陥を正確に検出することができる。
【0064】
(実施形態6)
実施形態6に係る欠陥検出装置は、1つの欠陥を直接照射エリアCと拡散光照射エリアDの両方のエリアで検出する点で、実施形態4に係る欠陥検出装置と相違する。以下、本実施形態の欠陥検出装置について図1および図12,13を用いて説明する。なお、実施形態4と同様の構成要素については説明を省略する。
【0065】
本実施形態の撮像装置2は、搬送装置4で検査対象Aが搬送されることによって被検査面Bの所定部分が直接照射エリアCに到達したタイミングと所定部分が拡散光照射エリアDとに到達したタイミングとで撮像する。図13(a)に示す駆動信号がHの間で搬送装置4により検査対象Aが搬送される。本実施形態の撮像装置2は、搬送装置4が駆動中に、図13(b)に示すように撮像タイミング信号を2回発生することで、2枚の撮像画像を撮像する。
【0066】
本実施形態の処理装置3は、所定部分が直接照射エリアCに到達したときの撮像画像と所定部分が拡散光照射エリアDに到達したときの撮像画像とを用いて、所定部分に存在する欠陥を検出する。本実施形態の処理装置3は、図12に示すようにずれ量δが所定の画素数範囲内であれば、欠陥として判定する。一例として、ずれ量δが±10画素以内であれば、欠陥と判定する。
【0067】
処理装置3は、直接照射エリアCの検出領域の面積値で設定面積値よりも大きくなる(不良判定される)領域について、拡散光照射エリアDの検出領域のX座標と近い場合にのみ欠陥を判定する。
【0068】
次に、本実施形態に係る検査検出装置を用いた欠陥検出方法について図14を用いて説明する。まず、照射装置1が検査対象Aの被検査面Bを照射し、撮像装置2が被検査面Bを撮像する(図14のS101)。その後、処理装置3は、撮像画像から直接照射エリアCを抽出する(切り出す)(S102)。その後、処理装置3は、撮像画像の直接照射エリアCから、最低輝度領域(「最低輝度+α」以下の輝度を有する領域)を抽出する(S103)。その後、処理装置3は、抽出領域(抽出画素)を中心に100×30画素の平均輝度を算出する(S104)。直接照射エリアCである場合(S105)、平均輝度が220より大きいか否かを判定する(S106)。平均輝度が220より大きい場合、2値化しきい値を140に設定する(S107)。平均輝度が220以下である場合、2値化しきい値を120に設定する(S108)。その後、処理装置3は、設定した2値化しきい値を用いて直接照射エリアCに対して2値化処理を行う(S112)。処理装置3は、2値化画像から画素値の小さい黒領域を抽出し、検出領域とする(S113)。その後、拡散光照射エリアDが抽出されていないので(S114)、処理装置3は、撮像画像から拡散光照射エリアDを抽出する(切り出す)(S115)。その後、処理装置3は、撮像画像の拡散光照射エリアDから、最高輝度領域(「最高輝度−β」以上の輝度を有する領域)を抽出する(S103)。その後、処理装置3は、抽出領域(抽出画素)を中心に100×30画素の平均輝度を算出する(S104)。拡散光照射エリアDである場合(S105)、平均輝度が30より大きいか否かを判定する(S109)。平均輝度が30より大きい場合、2値化しきい値を70に設定する(S110)。平均輝度が30以下である場合、2値化しきい値を80に設定する(S111)。その後、処理装置3は、設定した2値化しきい値を用いて拡散光照射エリアDに対して2値化処理を行う(S112)。処理装置3は、2値化画像から画素値の大きい白領域を抽出し、検出領域とする(S113)。
【0069】
その後、直接照射エリアCの検出領域を順に読み出す(S116)。読み出した検出領域面積が設定領域面積より大きいか否かを判定する(S117)。検出領域面積が設定領域面積より大きい場合、拡散光照射エリアDの検出領域を読み出す(S118)。読み出した検出領域のX座標が直接照射エリアCで読み出した検出領域のX座標の±10画素以内であるか否かを判定する(S119)。読み出した検出領域のX座標が直接照射エリアCで読み出した検出領域のX座標の±10画素以内である場合、検出領域に欠陥が存在し、検査対象Aが不良であると判定する(S120)。一方、拡散光照射エリアDで読み出された全ての検出領域のX座標が直接照射エリアCで読み出した検出領域のX座標の±10画素以上である場合(S119,S121)、処理装置3は、検出領域には欠陥が存在しないと判定し、検査対象Aが良品であると判定する(S122)。処理装置3は、ステップS116からステップS122までの処理を、直接照射エリアCの全ての検出領域に対して実行する(S123)。
【0070】
その後、後述の2次抽出が完了しているか否かを判定する(S124)。2次抽出が完了していない場合、最低輝度領域・最高輝度領域を抽出しているか否かを判定する(S125)。最低輝度領域・最高輝度領域が抽出されていない場合、直接照射エリアCの2値化しきい値を160に再設定し、拡散光照射エリアDの2値化しきい値を60に再設定する(S126)。その後、2次抽出が終了し(S127)、再設定した2値化しきい値を用いて2値化処理を行う(S112)。その後、2次抽出が終了し(S124)、欠陥検出の動作を終了する。
【0071】
以上、本実施形態の欠陥検出装置および欠陥検出方法によれば、被検査面Bの所定部分に対して直接照射エリアCを用いた欠陥検出と拡散光照射エリアDを用いた欠陥検出とを併用することができるので、より厳密な欠陥判定処理を行うことができ、凹凸欠陥を高精度に検出することができる。つまり、2つのエリアC,Dの撮像情報を用いて判定するため、ダブルチェックを行うことになり、誤検出を低減することができる。
【0072】
(実施形態7)
実施形態7に係る欠陥検出装置は、図15に示すように入力装置5と駆動装置6とを備えている点で、実施形態5に係る欠陥検出装置と相違する。以下、本実施形態の欠陥検出装置について図15,16を用いて説明する。なお、実施形態5と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
本実施形態の入力装置5は、タッチパネルやキーボードなどであり、欠陥の凹凸量が入力される。本実施形態の入力装置5は、本発明の凹凸量入力装置に相当する。
【0074】
本実施形態の処理装置3は、入力装置5からのこの入力値に基づいて照射装置1を駆動する駆動量を設定する。
【0075】
駆動装置6は、入力装置5で入力された凹凸量に応じて照射装置1と被検査面Bとの間の光軸上における距離を可変する。駆動装置6としては、照射装置1に直動シリンダなどの駆動機構を有し、照射方向と同方向に照射装置1を駆動する。駆動装置6の駆動量は、入力装置5より入力された凹凸量と撮像情報とに基づいて処理装置3で算出される。
【0076】
本実施形態では、入力装置5に入力された凹凸量に応じて拡散光照射エリアDのあるべき平均輝度を設定し、次に拡散光照射エリアD内に設定した所定範囲の平均輝度を算出し、設定した拡散光照射エリアDのあるべき平均輝度に対して実際の平均輝度に応じた駆動量を算出し、駆動機構を駆動する。
【0077】
本実施形態の撮像装置2は、照射装置1と被検査面Bとの間の光軸上における距離が可変された後に撮像する。
【0078】
検出する凹凸量に応じて凹凸欠陥の明暗領域における明領域と暗領域の面積が異なる。凹凸量が大きければ、明領域が大きな面積で検出されるため、比較的周囲の輝度の影響を受けにくいが、凹凸量が小さければ、明領域の検出面積は小さく影響を受けやすい。このことから、検出凹凸量が大きければ、周辺輝度は高くてもよく、小さければ低くなるように、比較する平均輝度を設定する。
【0079】
駆動量は、比較する平均輝度よりも大きければ、暗くなるように検査対象Aから遠くなる方向に駆動し、小さければ明るくなるように駆動する。このように駆動動作を行うことで、凹凸欠陥の凹凸量に応じた最適な照明条件を構成するとともに、撮像情報(撮像画像)も最適となるため、より正確に欠陥を検出することができる。
【0080】
次に、本実施形態に係る欠陥検出装置を用いた欠陥検出方法について図16を用いて説明する。まず、検出凹凸量を読み出す(図16のS131)。凹凸量が50μm未満であるか否かを判定する(S132)。凹凸量が50μm以上である場合、比較平均輝度を60とする(S133)。凹凸量が50μm未満である場合、比較平均輝度を40とする(S134)。その後、照射装置1が検査対象Aの被検査面Bを照射し、撮像装置2が予備撮像を行う(S135)。その後、拡散光照射エリアDを抽出する(切り出す)(S136)。その後、所定範囲内の平均輝度を算出する(S137)。その後、算出した平均輝度が比較平均輝度未満であるか否かを判定する(S138)。平均輝度が比較平均輝度以上である場合、駆動量を+40mmとする(S139)。平均輝度が比較平均輝度未満である場合、駆動量を−40mmとする(S140)。その後、照射装置1を駆動する(S141)。
【0081】
その後、撮像装置2が検査対象Aの被検査面Bを撮像する(S142)。その後、処理装置3は、撮像画像から直接照射エリアCを抽出する(切り出す)(S143)。その後、処理装置3は、2値化しきい値を用いて直接照射エリアCに対して2値化処理を行う(S144)。処理装置3は、2値化画像から画素値の小さい黒領域を抽出し、検出領域とする(S145)。その後、検出領域面積が設定領域面積より大きいか否かを判定する(S146)。検出領域面積が設定領域面積以下である場合、処理装置3は、検出領域には欠陥が存在しないと判定し、検査対象Aが良品であると判定する(S147)。検出領域面積が設定領域面積より大きい場合、検出領域に欠陥が存在し、検査対象Aが不良であると判定する(S148)。処理装置3は、ステップS146からステップS148までの処理を全ての検出領域に対して実行する(S149)。その後、拡散光照射エリアDの抽出が完了していないため(S150)、拡散光照射エリアDを抽出する(切り出す)(S151)。その後、処理装置3は、2値化しきい値を用いて拡散光照射エリアDに対して2値化処理を行う(S144)。処理装置3は、2値化画像から画素値の大きい白領域を抽出し、検出領域とする(S145)。その後、ステップS146からステップS149までの処理を実行する。その後、直接照射エリアCおよび拡散光照射エリアDの両方での処理が完了し(S150)、照射装置1を初期駆動位置に戻し(S152)、欠陥検出の動作を終了する。
【0082】
以上、本実施形態の欠陥検出装置および欠陥検出方法によれば、検出する凹凸量に応じた最適な撮像画像を獲得することができるので、凹凸欠陥をより正確に検出することができる。
【0083】
(実施形態8)
実施形態8に係る欠陥検出装置は、照射装置1が被検査面Bに拡散光を照射する点で、実施形態1に係る欠陥検出装置(図1参照)と相違する。以下、本実施形態の欠陥検出装置について図17を用いて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素については説明を省略する。
【0084】
拡散光が欠陥に照射されることで、欠陥に明暗部が発生しやすくなっているが、欠陥形状や検査対象Aの表面状態によっては拡散光が不足することがある。
【0085】
そこで、本実施形態の照射装置1は、図17に示すように拡散板11を備えている。照射装置1の照射光自体を拡散光にすることで、さらに多くの拡散光を欠陥に照射する。
【0086】
以上、本実施形態の欠陥検出装置によれば、被検査面Bの状態により拡散光が十分獲得できない場合でも、拡散光照射エリアDに必要な拡散光を供給することができるので、凹凸欠陥を正確に検出することができる。
【0087】
(実施形態9)
実施形態9に係る欠陥検出装置は、照射光の光量を変化する点で、実施形態1に係る欠陥検出装置と相違する。以下、本実施形態の欠陥検出装置について図18,19を用いて説明する。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0088】
照射装置1からの照射光が強すぎると、撮像画像において直接照射エリアCの領域に輝度が飽和するサチレーションが発生し、凹凸量が小さい場合にはエリア内に発生する微小な黒領域が埋もれてしまい、微小領域を検出することができない場合がある。つまり、欠陥の明暗領域が明確ではなくなったり、サチレーションが発生していない場合よりも微小領域になったりすることがある。
【0089】
そこで、本実施形態の欠陥検出装置は、図18に示すように、光量調整部として偏光フィルタ7,8を備えている。偏光フィルタ7,8は、撮像装置2に入射する光の光量を少なくする。偏光フィルタ7は、偏光方向を照射装置1の照射光のライン方向に合わせ、偏光フィルタ8は、偏光方向を偏光フィルタ7の偏光方向に対して10度傾くように合わせる。本実施形態では、偏光フィルタ7,8を適用してサチレーションの発生を防止し、直接照射エリアC内の微小領域が埋もれることなく上記微小領域を検出することができる。
【0090】
以上、本実施形態の欠陥検出装置によれば、被検査面Bの状態により反射光が過検出され撮像画像から欠陥を検出することができない場合であっても、偏光フィルタ7,8(光量調整部)によって、撮像装置2に入射される光の光量を適切に調整することができるので、欠陥をより精度よく検出することができる。
【0091】
なお、偏光フィルタ7,8は一例であり、偏光フィルタ7,8の角度も一例である。また、照射装置1および撮像装置2のいずれか一方に偏光フィルタを設置しても同じ効果を得ることができる。
【0092】
なお、実施形態1〜9の欠陥検出装置の各機能は、適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0093】
1 照射装置
11 拡散板
2 撮像装置
3 処理装置
4 搬送装置
5 入力装置(種類入力装置、凹凸量入力装置)
6 駆動装置
7,8 偏光フィルタ(光量調整部)
A 検査対象
B 被検査面
C 直接照射エリア
D 拡散光照射エリア
E 欠陥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象の拡散反射性を有する被検査面に斜め方向から光を照射する照射装置と、
前記照射装置から光が照射される前記被検査面を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置で撮像された撮像画像を用いて前記被検査面の凹凸に関する欠陥を検出する処理装置とを備え、
前記被検査面において前記照射装置の照射光が直接照射される範囲を直接照射エリアとし、前記被検査面において前記直接照射エリアでの前記照射光の拡散によって発生する拡散光が照射される範囲を拡散光照射エリアとし、
前記撮像装置は、前記直接照射エリアと前記拡散光照射エリアとを撮像領域に含むように配置され、
前記処理装置は、前記撮像画像において前記直接照射エリアに第1の検査領域を設定するとともに前記拡散光照射エリアに第2の検査領域を設定し、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域の少なくとも一方の輝度情報を用いて前記欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検出装置。
【請求項2】
前記処理装置は、
前記直接照射エリア内において周囲より輝度の低い領域および前記拡散光照射エリア内において周囲より輝度の高い領域をそれぞれ欠陥候補領域として抽出する抽出機能と、
前記欠陥候補領域の大きさが予め設定されたしきい値より大きい場合に前記欠陥候補領域に前記欠陥が存在すると判定する判定機能と
を有することを特徴とする請求項1記載の欠陥検出装置。
【請求項3】
前記処理装置は、
前記直接照射エリア内において周囲より輝度の低い領域を第1の領域として抽出し、前記拡散光照射エリア内において周囲より輝度の高い領域を第2の領域として抽出する第1の抽出機能と、
前記第1の領域を含み予め設定された大きさを有する第1の設定領域の平均輝度および前記第2の領域を含み予め設定された大きさを有する第2の設定領域の平均輝度を算出する第1の算出機能と、
前記直接照射エリアおよび前記拡散光照射エリアごとに、前記平均輝度を用いて2値化しきい値を求める第2の算出機能と、
前記直接照射エリアおよび前記拡散光照射エリアごとに、前記2値化しきい値を用いて2値化処理を行って欠陥候補領域を抽出する第2の抽出機能と、
前記欠陥候補領域の大きさが予め設定されたしきい値より大きい場合に前記欠陥候補領域に前記欠陥が存在すると判定する判定機能と
を有することを特徴とする請求項1記載の欠陥検出装置。
【請求項4】
前記処理装置は、前記第2の抽出機能として、前記第1の領域および前記第2の領域の少なくとも一方が前記欠陥候補領域として抽出されなかった場合、前記2値化しきい値を変更して再び2値化処理を行って前記欠陥候補領域を再抽出することを特徴とする請求項3記載の欠陥検出装置。
【請求項5】
前記欠陥の種類を入力する種類入力装置を備え、
前記処理装置は、前記種類入力装置で入力された前記種類に応じて、前記欠陥の検出に用いる検査領域を前記第1の検査領域および前記第2の検査領域の中から選択する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項6】
前記検査対象を搬送する搬送装置を備え、
前記撮像装置は、前記搬送装置で前記検査対象が搬送されることによって前記被検査面の所定部分が前記直接照射エリアに到達したタイミングと当該所定部分が前記拡散光照射エリアに到達したタイミングとで撮像し、
前記処理装置は、前記所定部分が前記直接照射エリアに到達したときの撮像画像と前記所定部分が前記拡散光照射エリアに到達したときの撮像画像とを用いて前記欠陥を検出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項7】
前記欠陥の凹凸量を入力する凹凸量入力装置と、
前記凹凸量入力装置で入力された前記凹凸量に応じて前記照射装置と前記被検査面との間の光軸上における距離を可変する駆動装置とを備え、
前記撮像装置は、前記照射装置と前記被検査面との間の光軸上における距離が可変された後に前記被検査面を撮像する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項8】
前記照射装置は、前記被検査面に拡散光を照射することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項9】
前記撮像装置に入射する光の光量を減少させる光量調整部を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の欠陥検出装置。
【請求項10】
検査対象の拡散反射性を有する被検査面に斜め方向から光を照射する第1のステップと、
前記被検査面を撮像する第2のステップと、
前記第2のステップで撮像した撮像画像を用いて前記被検査面の凹凸に関する欠陥を検出する第3のステップとを有し、
前記被検査面において照射光が直接照射される範囲を直接照射エリアとし、前記被検査面において前記直接照射エリアでの前記照射光の拡散によって発生する拡散光が照射される範囲を拡散光照射エリアとし、
前記第2のステップにおいては、前記直接照射エリアと前記拡散光照射エリアとを撮像領域に含むように撮像し、
前記第3のステップにおいては、前記撮像画像において前記直接照射エリアに第1の検査領域を設定するとともに前記拡散光照射エリアに第2の検査領域を設定し、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域の少なくとも一方の輝度情報を用いて前記欠陥を検出する
ことを特徴とする欠陥検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−203222(P2011−203222A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73576(P2010−73576)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】