説明

欠陥検査装置および欠陥検査方法

【課題】装置構成を複雑化することなく、油等の影響を抑えて表面欠陥の検出精度を高くすることができる欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供する。
【解決手段】被検査対象Sの表面の欠陥を検査する装置であって、入射側偏光部材12と、被検査対象Sに光を照射する光源11とを備えた投光手段10と、受光側偏光部材22と、被検査対象Sの表面において反射した光を受光側偏光部材22を通して受光する受光部21とを備えた撮影手段20とからなり、投光手段10の入射側偏光部材12は、光源11から被測定対象Sに向けて放出される光の一部が、入射側偏光部材12を透過せずに被測定対象Sの表面に直接照射されるように設けられている。液体の影響を低減した反射光を撮影手段20が受光するので、被測定対象Sの表面欠陥の検出精度を高くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥検査装置および欠陥検査方法に関する。さらに詳しくは、被検査対象の表面を光学的手法を用いて検査する欠陥検査装置および欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼板等のシート状製品の表面欠陥の検査では、鋼板等の表面に光を照射して、鋼板等の表面で反射した反射光の受光信号の強度に基づいて欠陥の有無を判断することが行われていた。
しかし、鋼板等では、その製造工程において防錆等の目的でその表面に油が塗布されている場合があり、この場合には、鋼板に存在する油の影響によって欠陥の検出ミスが発生する可能性がある。例えば、鋼板等の表面に油が点在しているような場合、油部分からの反射光は、油が存在しない部分からの反射光の信号強度に比べて、その信号強度が低くなる等の現象が発生する。すると、油を欠陥と誤認してしまう検出ミスが発生するので、欠陥検査精度が低くなる。
【0003】
鋼板等の表面に存在する油が欠陥検査精度に対して与える影響を抑制する技術として、特許文献1に開示された技術がある。
この文献には、被検査面に偏光光束を入射する投光部と、被検査面で反射した反射光から異なる3つの偏光成分を抽出して画像信号に変換する受光部と、被検査面に入射する偏光光束の入射角を変化させる入射角可変部と、被検査面で反射した反射光を受光する受光角を変化させる受光角可変部とを備えた欠陥検査装置が開示されている。
この欠陥検査装置では、鋼板への塗油の有無や塗布される油の品種に基づいて、入射角および受光角を予め定められている最適な入射角および受光角に変更するので、鋼板表面の状態、つまり、油の存在状態に係わらず、最も受光信号の信号レベルが高い状態で鋼板の表面を検査することができ、安定した検査を行うことができる旨の記載がある。
【0004】
しかるに、特許文献1の技術では、入射角および受光角を調整することによって受光信号全体の信号レベルを高くして欠陥信号を検出し易くするものであり、受光信号に含まれる油の影響自体を除去することはできない。
しかも、鋼板の表面の状況に応じて投光部や受光部の角度を変化させなければならないので、その角度調整が煩雑である。また、入射角可変部、受光角可変部およびその制御機構を設けなければならないので、装置が複雑化し大型化してしまう。
【0005】
【特許文献1】特開平9−159621号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、装置構成を複雑化することなく、油等の影響を抑えて表面欠陥の検出精度を高くすることができる欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(欠陥検査装置)
第1発明の欠陥検査装置は、被検査対象の表面の欠陥を検査する装置であって、入射側偏光部材と、被検査対象に光を照射する光源とを備えた投光手段と、受光側偏光部材と、前記被検査対象の表面において反射した光を前記受光側偏光部材を通して受光する受光部とを備えた撮影手段とからなり、前記投光手段の入射側偏光部材は、前記光源から前記被測定対象に向けて放出される光の一部が、該入射側偏光部材を透過せずに前記被測定対象の表面に直接照射されるように設けられていることを特徴とする。
第2発明の欠陥検査装置は、第1発明において、前記撮影手段は、特定波長域の光を透過させるフィルタを備えていることを特徴とする。
(欠陥検査方法)
第3発明の欠陥検査方法は、被検査対象の表面に光源から照射される光の反射光に基づいて、該被検査対象の表面の欠陥を検査する検査方法であって、前記光源から放出される光のうち、一部の光は入射側偏光部材を透過させて前記被検査対象に照射し、一部の光は直接前記被検査対象に照射し、前記被検査対象の表面で反射した光を、受光側偏光部材を通して受光することを特徴とする。
第4明の欠陥検査装置は、第3発明において、特定波長域の光を透過させるフィルタを通して受光することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
(欠陥検査装置)
第1発明によれば、投光手段および撮影手段に設けた偏光部材により油等の液体表面での反射の影響を除去しつつ、光源から被測定対象の表面に直接照射される光の散乱光の影響により液体部分から撮影手段に入光する光の光量と液体が存在しない部分から撮影手段に入光する光の光量との差を少なくすることができる。すると、撮影手段の受光部が受光する反射光では、液体表面における反射の影響が低減されるので、被測定対象の表面欠陥の検出精度を高くすることができる。しかも、投光手段および撮影手段に偏光部材を設けているだけであるから、装置が複雑化することを防ぐことができ、装置もコンパクトな構成とすることができる。
第2発明によれば、液体と被検査対象表面とのコントラストが強い場合でも、反射光に含まれる液体の影響を低減させることができる。
(欠陥検査方法)
第3発明によれば、光源側および受光側に設けた偏光部材により油等の液体表面での反射の影響を除去しつつ、液体部分から受光側に向かう光の光量と液体が存在しない部分から受光側に向かう光の光量との差を少なくすることができる。すると、液体表面における反射の影響が低減された反射光を受光することになるので、被測定対象の表面欠陥の検出精度を高くすることができる。
第4発明によれば、液体と被検査対象表面とのコントラストが強い場合でも、反射光に含まれる液体の影響を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1(A)は、本発明の一実施形態にかかわる欠陥検査装置1の概略説明図であり、(B)は(A)のB−B線矢視図である。なお、図1では、各装置等の配置等を分かり易くするために、相対的な大きさは、実際とは異なる寸法で記載されている。
【0010】
図1において、符号Sは、連続して搬送される、フィルムや金属等からなるシート状の部材などの被検査対象を示している。この被検査対象Sは、その表面に油や水等の液体が存在する状態で表面検査を行うものである。例えば、銅箔の製造工程では、圧延油や防錆油など様々な油を使用するので、シート表面に油が存在した状態で検査を行うことになる。
また、図1において、符号Rは、搬送される被検査対象Sに対して張力を加えるために設けられているローラを示している。
【0011】
つぎに、本実施形態の欠陥検査装置1を説明する。
本実施形態の欠陥検査装置1は、被検査対象Sに対して光を照射する投光手段10と、被検査対象Sの表面で反射した反射光を受光する撮影手段20とを備えている。
【0012】
まず、投光手段10を説明する。
図1(A)に示すように、投光手段10は、被検査対象Sの表面に向けて光を放出する光源11と、この光源11と被検査対象Sとの間に設けられた入射側偏光部材12とを備えている。
【0013】
図1(B)に示すように、光源11は、被検査対象Sの幅方向(図1(A)では紙面に垂直な方向)に沿って延びた、横長の発光体11aを備えている。この発光体11aは、例えば、蛍光灯やLED等であるが、被検査対象Sに向けて光を照射できるものであればとくに限定されない。
【0014】
入射側偏光部材12は、発光体11aが放出する光を透過して偏光する、例えば、偏光フィルタや偏光フィルム等であり、光源11の光軸LA上に位置するように設けられている。この入射側偏光部材12は、その形状が横長となるように形成されており、その軸方向と、発光体11aの軸方向(図1(B)では左右方向)とが一致するように配設されている。
そして、この入射側偏光部材12は、その高さH1が、発光体11aの高さH2よりも低くなるように形成されている。つまり、入射側偏光部材12は、投光手段10をその正面から見たときに、光源11の発光体11aが入射側偏光部材12によって完全には隠れず、光源11の発光体11aの一部が見えるような状態となるように配置されているのである。
【0015】
このため、投光手段10における光源11の発光体11aから被検査対象Sに向けて光を放出すれば、放出された光のうち、一部の光は入射側偏光部材12を透過し偏光されて被検査対象Sの表面に照射されるが、一部の光は被検査対象Sの表面に直接照射されるのである。
以下では、光源11の発光体11aから被検査対象Sに向けて照射される光のうち、入射側偏光部材12を透過して被検査対象Sに照射される光を偏光照射光、被検査対象Sの表面に直接照射される光を直接照射光という。
【0016】
また、図示しないが、欠陥検査装置1は、投光手段10をその光軸LA方向に沿って移動させて投光手段10を被検査対象Sに対して接近離間させる機構、例えば、ジャッキやシリンダ、ボールネジ等の移動機構を設けているが、その理由は後述する。
【0017】
つぎに、撮影手段20を説明する。
図1に示すように、撮影手段20は、被検査対象Sで反射した反射光を受光する受光部21と、この受光部21と被検査対象Sとの間に設けられた受光側偏光部材22とを備えている。
【0018】
受光部21は、例えば、ラインセンサやCCDエリアカメラ等の撮像装置であるが、被検査対象Sで反射し受光側偏光部材22を透過する反射光を検出できる機器であれば、とくに限定されない。
【0019】
受光側偏光部材22は、被検査対象Sで反射した反射光のうち、所定の偏光を有する光を透過させる、例えば、偏光フィルタや偏光フィルム等である。この受光側偏光部材22は、受光部21と被検査対象Sとの間に設けられており、受光部21の光検出部を完全に覆ってしまうように配設されている。つまり、受光側偏光部材22は、受光側偏光部材22を透過した反射光のみが受光部21に入光するように設けられているのである。
【0020】
つぎに、本実施形態の欠陥検査装置1による検査作業について説明する。
まず、投光手段10および撮影手段20を、被検査対象Sの同じ側に設置する(図1)。このとき、撮影手段20は、投光手段10が放出した光が被検査対象Sで正反射した反射光を受光するように配置する。つまり、投光手段10の光軸LAを被検査対象Sで正反射させた軸と、撮影手段20の光軸LA1とが一致するように配置する。また、撮影手段20は、被検査対象Sにおいて、投光手段10の偏光照射光が照射されている領域を撮影するように調整する。言い換えれば、撮影手段20は、偏光照射光が照射されている領域で反射した反射光だけを受光するように調整する。
【0021】
ついで、投光手段10に入射側偏光部材12を設け、撮影手段20にも受光側偏光部材22を設ける。そして、油等の検査中に被検査対象Sの表面に存在する液体を、被検査対象Sの表面における撮影手段20の撮影領域に配置する。そして、撮影領域内には液体が存在する部分(液部)と液体が存在しない部分(非液部)とが存在する状態に調整する。
この状態で、撮影手段20の受光側偏光部材22を調整して、受光部21の受光信号に含まれる液部表面での反射光の影響が少なくなるように調整する。具体的には、受光側偏光部材22を光軸LA1まわりに回転させ、撮影手段20の光軸LA1に対する受光側偏光部材22の偏光角度を変化させて、液部での反射率と非液部での反射率が同等となるように調整する。つまり、撮影手段20の受光部21には、液体の表面での反射の影響が除かれた光が入光するように調整する。
【0022】
受光側偏光部材22の偏光角度を調整すると、移動機構によって投光手段10をその光軸LAに沿って移動させて、投光手段10から被検査対象Sまでの距離Dを調整する。
撮影領域に照射された偏光照射光は、被検査対象Sの表面で反射して撮影手段20に入光するのであるが、液部に照射された偏光照射光は、液体を透過して被検査対象Sに照射され、被検査対象Sの表面で反射した後、再び液体を透過して撮影手段20に向かうことになる。つまり、液部で反射した反射光は液体を透過しているので、液部での反射によって撮影手段20の受光部21に入射する偏光照射光の光量(以下、液部直接入光量という)は、非液部の反射によって受光部21に入射する偏光照射光の光量(以下、非液部直接入光量という)よりも光量が少なくなってしまう。
しかし、投光手段10から被検査対象Sまでの距離Dを調整することによって、投光手段10から被検査対象Sに照射される直接照射光の効果により、液部と非液部とのコントラストの差、つまり、液部での反射によって受光部21に入射する全光量(以下、液部合計光量という)と、非液部での反射によって受光部21に入射する全光量(以下、非液部合計光量という)との差を小さくすることができる。
【0023】
上記調整が終了すると、被検査対象Sを搬送しながら、被検査対象Sの表面を本実施形態の欠陥検査装置1によって検査する。すると、被検査対象Sの表面に液体が存在していても、撮影手段20の受光部21によって受光される反射光は、液体の表面反射の影響が除去され、しかも、液部合計光量と非液部合計光量との差を少なくなっている。
つまり、撮影手段20の受光部21は、液体の影響が低減された反射光を受光するので、測定対象Sの表面欠陥の検出精度を高くすることができる。
【0024】
しかも、投光手段10および撮影手段20に加えて、偏光部材12,22と移動機構を設けているだけであるから、装置が複雑化することを防ぐことができ、装置もコンパクトな構成とすることができる。
【0025】
ここで、投光手段10から被検査対象Sまでの距離Dを調整することによって、液部合計光量と非液部合計光量との差を小さくすることができる理由を説明する。
【0026】
まず、本実施形態の欠陥検査装置1では、投光手段10から被検査対象Sに対して偏光照射光と直接照射光の両方が照射されているが、撮影手段20は、偏光照射光が照射されている領域を撮影するように撮影領域が調整されている。このため、被検査対象Sの表面で反射した光のうち、偏光照射光の反射光のみが撮影手段20に直接入光し、直接照射光の反射光は撮影手段20に直接は入光しない。
【0027】
しかし、撮影領域以外の部分に照射されている直接照射光は、被検査対象Sの表面上で乱反射するので、その乱反射した光の一部は撮影領域内に入射する。すると、撮影領域に入射した乱反射光は撮影領域内で再反射されるが、この再反射された光が移動する方向が撮影手段20の光軸LA1方向と一致していれば、再反射された光は撮影手段20の受光部21に入光する。つまり、直接照射光の反射光も、間接的には受光部21に入光する。すると、受光部21に入光する反射光の光量は、直接受光部21に入光する偏光照射光の光量と、間接的に受光部21に入光する直接照射光の光量とを合わせた光量(合計光量)となる。
【0028】
ここで、間接的に受光部21に入光する直接照射光の光量は、非液部での反射によって受光部21に入光する光量(以下、非液部間接入光量という)比べて、液部での反射によって受光部21に入光する光量(以下、液部間接入光量という)の方が多くなる。なぜなら、液体が存在することによって、液部では、非液部に比べて散乱が生じやすくなっており、散乱光の方向が撮影手段20の光軸LA1方向と一致する確率が高くなるからである。
【0029】
すると、上述したように、撮影手段20の受光部21に直接入光する偏光照射光の光量は、液部直接入光量に比べて非液部直接入光量の方が多いのであるから、受光部21に間接的に入光する直接照射光の光量を変化させれば、液部合計光量と非液部合計光量の差を調整することができる。つまり、非液部間接入光量と液部間接入光量の差の分だけ、非液部直接入光量と液部直接入光量との差を小さくすることができるのである。
【0030】
そして、撮影手段20の受光部21に間接的に入光する直接照射光の光量は、被検査対象Sにおいて直接照射光が照射される面積によって変化する。例えば、投光手段10から被検査対象Sまでの距離Dを変化させれば、被検査対象Sにおいて直接照射光が照射される面積を増減させることができる。すると、直接照射光が照射される面積の増減にともなって液部間接入光量を増減させることができるから、直接照射光が照射される面積を調整すれば、液部合計光量と非液部合計光量との差を小さくすることができ、反射光の光量差に起因する欠陥の誤検出を防ぐことができる。
また、撮影手段20の受光部21に間接的に直接照射光を入光すれば、受光部21に入光する反射光の光量が全体的に増加するので、欠陥信号はより検出し易くなるという効果も得られる。
【0031】
なお、直接照射光の光量を調整する方法は、上記の方法に限られず、入射側偏光部材12の高さH1を調整して、入射側偏光部材12が光源11の発光体11aを覆う面積を変化させても調整することができる。
【0032】
また、液部と非液部との境界において液体が乾いているような部分(境界部)では、他の液部に比べて非液部との反射光強度の差が大きくなり、境界部を欠陥と誤認してしまう可能性がある。
しかし、図2に示すように、撮影手段20に特定波長域の光を透過するフィルタ23を設ければ、このフィルタ23によって境界部からの反射光に含まれる光を選択的に除去することができるので、反射光に含まれる境界部の影響を低減させることができる。
【0033】
例えば、被検査対象Sが銅板であり、この被検査対象Sの表面に油が存在しているような場合であれば、フィルタ23として、銅板の反射光に多く含まれる赤の波長域を透過できる赤色フィルタを使用すれば、境界部の反射光に含まれる周波数成分をある程度除去できるので、境界部と他の部分とのコントラストを弱めることができる。つまり、境界部の反射光強度と他の部分の反射光強度との差を小さくできるので、境界部を欠陥と誤認する可能性を低くでき、表面欠陥検出精度を高くすることができる。
【0034】
図3には、本実施形態の欠陥検査装置1によって表面に油が付着した銅板を撮影した画像の例を示している。なお、撮影した銅板は、付着している油の外周部分が若干乾いて境界部と他の部分とのコントラストが強くなった状態のものである。
【0035】
図3(A)は、撮影手段が赤色フィルタを備えた本発明の欠陥検査装置によって撮影した画像であるが、油の存在している箇所と油が無い箇所、および両者の境界部分の差がほとんど無く、油の影響を受けない画像が得られていることが確認できる。
【0036】
図3(B)では、赤色フィルタが無い状態の本発明の欠陥検査装置によって撮影した画像であり、油の存在している箇所と油が無い箇所との色の濃さの差は少なくなっており、油の影響が抑制されていることが確認できる。しかし、境界部は他の部分とのコントラストが強くなっている。つまり、油の存在している箇所と油が無い箇所とコントラストが強い場合には、特定波長域の光を透過するフィルタが有効であることが確認できる。
【0037】
一方、図3(C)は、本発明の欠陥検査装置において、撮影手段が赤色フィルタを備えているが、投光手段の光源の発光体が偏光部材によって完全に覆われた状態として、上記銅板を撮影した画像である。つまり、直接照射光が全く無い場合の画像である。この画像の場合には、図3(B)ほど境界部がはっきりと確認できないので、赤色フィルタによるコントラストを弱める効果は得られていると考えられる。しかし、全体的に画像が暗い上、油の存在している箇所と油が無い箇所との色の濃さの差が大きくなっている。つまり、直接照射光が無いことにより、撮影手段が受光する光量が不足しており、しかも、直接照射光の乱反射光が無いため、油の存在している箇所と油が無い箇所の光量の差が大きいままであることが確認できる。
【0038】
以上の結果から、本発明の欠陥検査装置が油等の液体が存在する被検査対象の表面欠陥検査に適していること、および、油の存在している箇所と油が無い箇所とコントラストが強い場合には特定波長域の光の選択的に透過させるフィルタが有効であることが確認できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の欠陥検査装置は、表面に油や水等の液体が付着しているシート状の部材における表面の欠陥検査に適している。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】(A)は、本発明の一実施形態にかかわる欠陥検査装置1の概略説明図であり、(B)は(A)のB−B線矢視図である。
【図2】他の実施形態にかかわる欠陥検査装置1の概略説明図である。
【図3】本実施形態の欠陥検査装置1によって表面に油が付着した銅板を撮影した画像の例であり、(A)は本発明の欠陥検査装置によって撮影した画像であり、(B)は本発明の欠陥検査装置において色フィルタを設けずに撮影した画像であり、(C)は本発明の欠陥検査装置において光源の発光体を完全に偏光部材で覆った状態で撮影した画像である。
【符号の説明】
【0041】
1 欠陥検査装置
10 投光手段
11 光源
12 偏光部材
20 撮影手段
21 受光部
22 偏光部材
23 フィルタ
S 被検査対象

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査対象の表面の欠陥を検査する装置であって、
入射側偏光部材と、被検査対象に光を照射する光源とを備えた投光手段と、
受光側偏光部材と、前記被検査対象の表面において反射した光を前記受光側偏光部材を通して受光する受光部とを備えた撮影手段とからなり、
前記投光手段の入射側偏光部材は、
前記光源から前記被測定対象に向けて放出される光の一部が、該入射側偏光部材を透過せずに前記被測定対象の表面に直接照射されるように設けられている
ことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項2】
前記撮影手段は、
特定波長域の光を透過させるフィルタを備えている
ことを特徴とする請求項1記載の欠陥検査装置。
【請求項3】
被検査対象の表面に光源から照射される光の反射光に基づいて、該被検査対象の表面の欠陥を検査する検査方法であって、
前記光源から放出される光のうち、一部の光は入射側偏光部材を透過させて前記被検査対象に照射し、一部の光は直接前記被検査対象に照射し、
前記被検査対象の表面で反射した光を、受光側偏光部材を通して受光する
ことを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項4】
特定波長域の光を透過させるフィルタを通して受光する
ことを特徴とする請求項3記載の欠陥検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−32461(P2010−32461A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197396(P2008−197396)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(591114641)株式会社ヒューテック (19)
【Fターム(参考)】