歩行型管理機
【課題】リヤカバーを利用して簡易にうね立てを行うものでありながら、うね高さの調節も可能とする。
【解決手段】耕耘部4は、ロータリカバー13の後端部に上下回動自在に設けられて耕耘土を均す弾性変形自在なリヤカバー14と、該リヤカバー14の後方に上下位置変更自在に設けられる後方部材21とを備え、該後方部材21に、リヤカバー14の所定位置を後方から押さえることによってリヤカバー14をうね立て用の培土板として機能させるプレート20と、機体移動時に機体後部を支える移動尾輪26とを設けると共に、該移動尾輪26を、非接地位置に保持される格納姿勢と、機体移動時に接地して機体後部を支える機体移動姿勢と、うね立て時に接地してうね高さを調節するうね高さ調節姿勢とに変姿自在に構成する。
【解決手段】耕耘部4は、ロータリカバー13の後端部に上下回動自在に設けられて耕耘土を均す弾性変形自在なリヤカバー14と、該リヤカバー14の後方に上下位置変更自在に設けられる後方部材21とを備え、該後方部材21に、リヤカバー14の所定位置を後方から押さえることによってリヤカバー14をうね立て用の培土板として機能させるプレート20と、機体移動時に機体後部を支える移動尾輪26とを設けると共に、該移動尾輪26を、非接地位置に保持される格納姿勢と、機体移動時に接地して機体後部を支える機体移動姿勢と、うね立て時に接地してうね高さを調節するうね高さ調節姿勢とに変姿自在に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘作業やうね立て作業に用いられる歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリ式の耕耘部を備える歩行型管理機が知られている(例えば、特許文献1参照)。ロータリ式の耕耘部は、耕耘爪を有する耕耘軸と、該耕耘軸の上方を覆うロータリカバーと、該ロータリカバーの後端部に上下回動自在に設けられるリヤカバーとを備えて構成されており、該リヤカバーによって耕耘土が均平化されるようになっている。また、この種の歩行型管理機では、機体の後部にアタッチメントを装着することにより、通常の耕耘作業以外の作業も行うことが可能となっている。例えば、機体の後部に培土器を取り付ければ、耕耘と同時にうね立てを行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−302139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の歩行型管理機では、うね立てに際して培土器を用意する必要があるだけでなく、作業種別を、通常の耕耘作業からうね立て作業に変更する場合や、うね立て作業から通常の耕耘作業に変更する場合に、培土器の取付作業や取外作業が必要となり、作業種別の変更に手間がかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、ロータリ式の耕耘部を備える歩行型管理機において、前記耕耘部は、耕耘爪を有する耕耘軸と、該耕耘軸の上方を覆うロータリカバーと、該ロータリカバーの後端部に上下回動自在に設けられて耕耘土を均す弾性変形自在なリヤカバーと、該リヤカバーの後方に上下位置変更自在に設けられる後方部材とを備え、該後方部材に、リヤカバーの所定位置を後方から押さえることによってリヤカバーをうね立て用の培土板として機能させるプレートと、機体移動時に機体後部を支える移動尾輪とを設けると共に、該移動尾輪を、非接地位置に保持される格納姿勢と、機体移動時に接地して機体後部を支える機体移動姿勢と、うね立て時に接地してうね高さを調節するうね高さ調節姿勢とに変姿自在に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、リヤカバーをうね立て用の培土板として機能させるプレートを備えるので、アタッチメントとして提供されている従来の培土器を使用することなく、うね立て作業を行うことができる。また、プレートが設けられる後方部材は、上下位置変更自在なので、プレートを上方に退避させるだけで、通常の耕耘作業状態に移行することができる。また、後方部材は、移動尾輪の支持部材に兼用されるので、構造の簡略化及びコストダウンを図ることができる。また、移動尾輪は、格納姿勢や機体移動姿勢に加え、うね立て時に接地してうね高さを調節するうね高さ調節姿勢にも変姿可能に構成されているので、リヤカバーを利用して簡易にうね立てを行うものでありながら、うね高さの調節も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】歩行型管理機の左側面図である。
【図2】歩行型管理機の右側面図である。
【図3】歩行型管理機の正面図である。
【図4】歩行型管理機の背面図である。
【図5】歩行型管理機の平面図である。
【図6】歩行型管理機の底面図である。
【図7】(A)は、尾ソリ、後方部材及び移動尾輪を示す平面図、(B)は、側面図である。
【図8】(A)は、尾ソリの側面図、(B)は、背面図、(C)は、底面図である。
【図9】後方部材の斜視図である。
【図10】移動尾輪の側面図である。
【図11】耕耘部の斜視図である。
【図12】後方部材の上下位置調節方法を示す耕耘部の斜視図である。
【図13】移動尾輪の上下位置調節方法を示す耕耘部の斜視図である。
【図14】移動尾輪の格納姿勢、機体移動姿勢及びうね高さ調節姿勢を示す耕耘部の側面図である。
【図15】移動尾輪の格納姿勢を示す耕耘部の斜視図である。
【図16】移動尾輪の格納姿勢を示す耕耘部の側面図である。
【図17】移動尾輪の機体移動姿勢を示す耕耘部の斜視図である。
【図18】移動尾輪の機体移動姿勢を示す耕耘部の側面図である。
【図19】移動尾輪のうね高さ調節姿勢を示す耕耘部の斜視図である。
【図20】移動尾輪のうね高さ調節姿勢を示す耕耘部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図6において、1は歩行型管理機であって、該歩行型管理機1は、機体フレームに兼用されるミッションケース2を備えている。ミッションケース2の左右両側方には、車軸2aを介して車輪3が取り付けられ、ミッションケース2の後方には、ロータリ式の耕耘部4が構成され、ミッションケース2の上方には、エンジン5が搭載されている。エンジン5の動力は、伝動部6を介してミッションケース2に入力され、ミッションケース2内の変速機構で変速された後、車輪3及び耕耘部4に伝動される。
【0009】
ミッションケース2の後部には、後方斜め上方に向かって突出するハンドル7が取り付けられている。ハンドル7には、クラッチ操作レバー8及びスロットル操作レバー9が設けられており、クラッチ操作レバー8の操作に応じて、伝動部6に設けられるクラッチ機構(図示せず)が入り切りされ、スロットル操作レバー9の操作に応じて、エンジン5の回転数が変更されるようになっている。
【0010】
さらに、ミッションケース2の後部には、後方斜め上方に向かって突出する変速操作レバー10が設けられている。変速操作レバー10は、ミッションケース2内の変速機構を変速操作するための操作具であり、変速操作レバー10の操作に応じて、走行速度(車輪3の駆動速度)や、耕耘部4の駆動速度及び回転方向が変速されるようになっている。
【0011】
耕耘部4は、耕耘爪11を有する耕耘軸12と、耕耘軸12の上方を覆うロータリカバー13と、ロータリカバー13の後端部に上下回動自在に設けられて耕耘土を均すリヤカバー14とを備えている。本実施形態のリヤカバー14は、弾性変形自在な板状のゴム質弾性部材からなり、耕耘土の重さに応じた弾性変形によって上下方向に回動しつつ、耕耘土を均平化するようになっている。
【0012】
リヤカバー14の前側近傍位置には、抵抗棒を兼ねる尾ソリ15が設けられている。図7及び図8に示すように、尾ソリ15は、ロータリカバー13の後端部に設けられる第一ブラケット16に対し、上下位置調節自在に取り付けられており、作業種別や圃場条件などに応じて上下位置が調節されるようになっている。例えば、通常の耕耘作業において、浅耕を行う場合は、尾ソリ15を下げた状態で耕耘し、深耕を行う場合は、尾ソリ15を上げた状態で耕耘する。
【0013】
第一ブラケット16には、尾ソリ15のステー17を上下摺動自在に支持するガイド部18と、該ガイド部18を左右に貫通すると共に、L字状のガイド溝18aに沿って前後及び上下方向に移動自在なロックバー19と、該ロックバー19を前方に付勢するバネ19aとが設けられる一方、尾ソリ15のステー17には、ロックバー19と係合可能なロック溝17aが長さ方向に所定の間隔を存して複数形成されている。
【0014】
尾ソリ15の上下位置を調節する場合は、ロックバー19を後方に操作してロック溝17aとの係合を解除した状態で、尾ソリ15を任意の上下位置に移動させる。その後、ロックバー19から手を離し、最も近いロック溝17aに係合させる。このとき、ロックバー19のロック溝17aに対する係合は、バネ19aの付勢力により自動的に行われる。尚、ロックバー19は、後方に操作してロック溝17aとの係合を解除した後、ガイド溝18aに沿って上方に操作すれば、ロック解除状態に保持することができる。
【0015】
リヤカバー14の後方近傍位置には、後述するプレート20を備える後方部材21が設けられている。図7及び図9に示すように、後方部材21は、ロータリカバー13の後端部に設けられる第二ブラケット22に対し、上下位置調節自在に取り付けられている。
【0016】
第二ブラケット22には、後方部材21のステー23を上下摺動自在に支持する筒状のガイド部24と、該ガイド部24内に側方から抜き挿し自在に挿通されるL字状のロックレバー25と、該ロックレバー25を挿入方向に付勢するバネ25aとが設けられる一方、後方部材21のステー23には、ロックレバー25と係合可能なロック孔23aが長さ方向に所定の間隔を存して複数形成されている。
【0017】
後方部材21を上下位置調節する場合は、図12に示すように、ロックレバー25を引き抜き方向に操作してロック孔23aとの係合を解除した状態で、後方部材21を任意の上下位置に移動させる。その後、ロックレバー25から手を離し、最も近いロック孔23aに係合させる。このとき、ロックレバー25のロック孔23aに対する係合は、バネ25aの付勢力により自動的に行われる。
【0018】
後方部材21に設けられるプレート20は、リヤカバー14の所定位置を後方から押さえることによってリヤカバー14をうね立て用の培土板として機能させることができる。例えば、後方部材21の上下位置調節を行い、図4に示すように、プレート20がリヤカバー14の下端側左右中央部を後方から押さえる状態で耕耘作業を行うと、リヤカバー14の上方への回動が抑制され、耕耘軸12とリヤカバー14との間に耕耘土の溜まりが発生するが、リヤカバー14の左右両端側は、弾性変形により上方に逃げることができるので、リヤカバー14の左右両端側からのみ耕耘土が排出される。これにより、リヤカバー14を培土板として機能させ、その左右中央部でうね溝を形成し、その左右両端部でうね側面を形成する、といううね立て作業を行うことが可能になる。
【0019】
一方、通常の耕耘作業を行う場合は、後方部材21の上下位置調節にもとづいて、プレート20をリヤカバー14の上方に退避させる。これにより、リヤカバー14の自由回動が許容され、通常の耕耘作業を行うことが可能になる。尚、後方部材21は、第二ブラケット22に対して着脱自在に構成することができる。このようにすると、第二ブラケット22から後方部材21を取り外して別途作業機を連結することが可能になる。
【0020】
後方部材21には、機体移動時に機体後部を支える移動尾輪26が設けられている。移動尾輪26は、非接地位置に保持される格納姿勢(図14、図15及び図16参照)と、機体移動時に接地して機体後部を支える機体移動姿勢(図14、図17及び図18参照)とに変姿自在に構成されている。例えば、図7、図9及び図10に示すように、後方部材21の下端部に左右方向を向く筒部材27を一体的に設けると共に、該筒部材27で移動尾輪26のステー28を上下回動自在に支持し、該上下回動にもとづいて移動尾輪26を使用姿勢と格納姿勢に変姿させる。
【0021】
この場合、ステー28の回動を各姿勢でロックする機構が必要になるが、このようなロック機構は、例えば、筒部材27に対して左右摺動自在なステー28の基部を左右いずれかの方向に付勢するバネ29と、ステー28の基部に一体的に設けられる円盤部材30と、該円盤部材30にその回動方向に所定の間隔を存して形成される複数の係合孔30aと、筒部材27側に突設され、バネ29の付勢力でいずれかの係合孔30aに係合するロックピン31とを備えることにより容易に構成することができる。このようなロック機構によれば、図13に示すように、ステー28を握ってロックピン31が係合孔30aから外れる方向にスライドさせた後、ステー28を上下方向に回動させれば、移動尾輪26を各姿勢に変姿操作することができ、また、ロックピン31を他の係合孔30aに係合させれば、他の姿勢でステー28の回動をロックすることが可能になる。しかも、本実施形態では、二本のロックピン31を突設し、同時に二つの係合孔30aに係合させるので、移動尾輪26が受ける負荷を分散状に支持し、ロックピン31の破損などを防止することができる。
【0022】
さらに、本発明の実施形態に係る移動尾輪26は、上述した格納姿勢や機体移動姿勢に加え、格納姿勢と機体移動姿勢との中間位置で姿勢保持されるうね高さ調節姿勢にも変姿自在に構成されている(図14、図19及び図20参照)。うね高さ調節姿勢は、うね立て時に接地してうね高さを調節する姿勢であり、例えば、格納姿勢用の係合孔30aと、機体移動姿勢用の係合孔30aとの間にうね高さ調節姿勢用の係合孔30aを追加すれば、移動尾輪26をうね高さ調節姿勢に保持することが可能になる。
【0023】
本実施形態では、移動尾輪26のうね高さ調節姿勢として、一つの位置が設定されている。この位置で移動尾輪26を保持すると、うね立て時に移動尾輪26が接地して耕耘部4の下降を規制するので、耕深が浅くなるのに伴い、うね高さが低く抑えられることになる。尚、移動尾輪26のうね高さ調節姿勢は、一つの位置とせず、うね立て時に接地可能な範囲に複数の位置を設定してもよい。また、本実施形態では、移動尾輪26の上下位置を段階的に調節するようにしてあるが、無段階状に調節できるようにしてもよい。また、うね高さ調節は、移動尾輪26の上下位置調節だけでなく、後方部材21や尾ソリ15の上下位置調節により複合的に行うことができる。
【0024】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、ロータリ式の耕耘部4を備える歩行型管理機1において、耕耘部4は、耕耘爪11を有する耕耘軸12と、該耕耘軸12の上方を覆うロータリカバー13と、該ロータリカバー13の後端部に上下回動自在に設けられて耕耘土を均す弾性変形自在なリヤカバー14と、該リヤカバー14の後方に上下位置変更自在に設けられる後方部材21とを備え、該後方部材21に、リヤカバー14の所定位置を後方から押さえることによってリヤカバー14をうね立て用の培土板として機能させるプレート20と、機体移動時に機体後部を支える移動尾輪26とを設けると共に、該移動尾輪26を、非接地位置に保持される格納姿勢と、機体移動時に接地して機体後部を支える機体移動姿勢と、うね立て時に接地してうね高さを調節するうね高さ調節姿勢とに変姿自在に構成したので、アタッチメントとして提供されている従来の培土器を使用することなく、うね立て作業を行うことができる。また、プレート20が設けられる後方部材21は、上下位置変更自在なので、プレート20を上方に退避させるだけで、通常の耕耘作業状態に移行することができる。また、後方部材21は、移動尾輪26の支持部材に兼用されるので、構造の簡略化及びコストダウンを図ることができる。また、移動尾輪26は、格納姿勢や機体移動姿勢に加え、うね立て時に接地してうね高さを調節するうね高さ調節姿勢にも変姿可能に構成されているので、リヤカバー14を利用して簡易にうね立てを行うものでありながら、うね高さの調節も可能となる。
【符号の説明】
【0025】
1 歩行型管理機
4 耕耘部
11 耕耘爪
12 耕耘軸
13 ロータリカバー
14 リヤカバー
15 尾ソリ
20 プレート
21 後方部材
26 移動尾輪
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘作業やうね立て作業に用いられる歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリ式の耕耘部を備える歩行型管理機が知られている(例えば、特許文献1参照)。ロータリ式の耕耘部は、耕耘爪を有する耕耘軸と、該耕耘軸の上方を覆うロータリカバーと、該ロータリカバーの後端部に上下回動自在に設けられるリヤカバーとを備えて構成されており、該リヤカバーによって耕耘土が均平化されるようになっている。また、この種の歩行型管理機では、機体の後部にアタッチメントを装着することにより、通常の耕耘作業以外の作業も行うことが可能となっている。例えば、機体の後部に培土器を取り付ければ、耕耘と同時にうね立てを行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−302139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の歩行型管理機では、うね立てに際して培土器を用意する必要があるだけでなく、作業種別を、通常の耕耘作業からうね立て作業に変更する場合や、うね立て作業から通常の耕耘作業に変更する場合に、培土器の取付作業や取外作業が必要となり、作業種別の変更に手間がかかるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、ロータリ式の耕耘部を備える歩行型管理機において、前記耕耘部は、耕耘爪を有する耕耘軸と、該耕耘軸の上方を覆うロータリカバーと、該ロータリカバーの後端部に上下回動自在に設けられて耕耘土を均す弾性変形自在なリヤカバーと、該リヤカバーの後方に上下位置変更自在に設けられる後方部材とを備え、該後方部材に、リヤカバーの所定位置を後方から押さえることによってリヤカバーをうね立て用の培土板として機能させるプレートと、機体移動時に機体後部を支える移動尾輪とを設けると共に、該移動尾輪を、非接地位置に保持される格納姿勢と、機体移動時に接地して機体後部を支える機体移動姿勢と、うね立て時に接地してうね高さを調節するうね高さ調節姿勢とに変姿自在に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、リヤカバーをうね立て用の培土板として機能させるプレートを備えるので、アタッチメントとして提供されている従来の培土器を使用することなく、うね立て作業を行うことができる。また、プレートが設けられる後方部材は、上下位置変更自在なので、プレートを上方に退避させるだけで、通常の耕耘作業状態に移行することができる。また、後方部材は、移動尾輪の支持部材に兼用されるので、構造の簡略化及びコストダウンを図ることができる。また、移動尾輪は、格納姿勢や機体移動姿勢に加え、うね立て時に接地してうね高さを調節するうね高さ調節姿勢にも変姿可能に構成されているので、リヤカバーを利用して簡易にうね立てを行うものでありながら、うね高さの調節も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】歩行型管理機の左側面図である。
【図2】歩行型管理機の右側面図である。
【図3】歩行型管理機の正面図である。
【図4】歩行型管理機の背面図である。
【図5】歩行型管理機の平面図である。
【図6】歩行型管理機の底面図である。
【図7】(A)は、尾ソリ、後方部材及び移動尾輪を示す平面図、(B)は、側面図である。
【図8】(A)は、尾ソリの側面図、(B)は、背面図、(C)は、底面図である。
【図9】後方部材の斜視図である。
【図10】移動尾輪の側面図である。
【図11】耕耘部の斜視図である。
【図12】後方部材の上下位置調節方法を示す耕耘部の斜視図である。
【図13】移動尾輪の上下位置調節方法を示す耕耘部の斜視図である。
【図14】移動尾輪の格納姿勢、機体移動姿勢及びうね高さ調節姿勢を示す耕耘部の側面図である。
【図15】移動尾輪の格納姿勢を示す耕耘部の斜視図である。
【図16】移動尾輪の格納姿勢を示す耕耘部の側面図である。
【図17】移動尾輪の機体移動姿勢を示す耕耘部の斜視図である。
【図18】移動尾輪の機体移動姿勢を示す耕耘部の側面図である。
【図19】移動尾輪のうね高さ調節姿勢を示す耕耘部の斜視図である。
【図20】移動尾輪のうね高さ調節姿勢を示す耕耘部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1〜図6において、1は歩行型管理機であって、該歩行型管理機1は、機体フレームに兼用されるミッションケース2を備えている。ミッションケース2の左右両側方には、車軸2aを介して車輪3が取り付けられ、ミッションケース2の後方には、ロータリ式の耕耘部4が構成され、ミッションケース2の上方には、エンジン5が搭載されている。エンジン5の動力は、伝動部6を介してミッションケース2に入力され、ミッションケース2内の変速機構で変速された後、車輪3及び耕耘部4に伝動される。
【0009】
ミッションケース2の後部には、後方斜め上方に向かって突出するハンドル7が取り付けられている。ハンドル7には、クラッチ操作レバー8及びスロットル操作レバー9が設けられており、クラッチ操作レバー8の操作に応じて、伝動部6に設けられるクラッチ機構(図示せず)が入り切りされ、スロットル操作レバー9の操作に応じて、エンジン5の回転数が変更されるようになっている。
【0010】
さらに、ミッションケース2の後部には、後方斜め上方に向かって突出する変速操作レバー10が設けられている。変速操作レバー10は、ミッションケース2内の変速機構を変速操作するための操作具であり、変速操作レバー10の操作に応じて、走行速度(車輪3の駆動速度)や、耕耘部4の駆動速度及び回転方向が変速されるようになっている。
【0011】
耕耘部4は、耕耘爪11を有する耕耘軸12と、耕耘軸12の上方を覆うロータリカバー13と、ロータリカバー13の後端部に上下回動自在に設けられて耕耘土を均すリヤカバー14とを備えている。本実施形態のリヤカバー14は、弾性変形自在な板状のゴム質弾性部材からなり、耕耘土の重さに応じた弾性変形によって上下方向に回動しつつ、耕耘土を均平化するようになっている。
【0012】
リヤカバー14の前側近傍位置には、抵抗棒を兼ねる尾ソリ15が設けられている。図7及び図8に示すように、尾ソリ15は、ロータリカバー13の後端部に設けられる第一ブラケット16に対し、上下位置調節自在に取り付けられており、作業種別や圃場条件などに応じて上下位置が調節されるようになっている。例えば、通常の耕耘作業において、浅耕を行う場合は、尾ソリ15を下げた状態で耕耘し、深耕を行う場合は、尾ソリ15を上げた状態で耕耘する。
【0013】
第一ブラケット16には、尾ソリ15のステー17を上下摺動自在に支持するガイド部18と、該ガイド部18を左右に貫通すると共に、L字状のガイド溝18aに沿って前後及び上下方向に移動自在なロックバー19と、該ロックバー19を前方に付勢するバネ19aとが設けられる一方、尾ソリ15のステー17には、ロックバー19と係合可能なロック溝17aが長さ方向に所定の間隔を存して複数形成されている。
【0014】
尾ソリ15の上下位置を調節する場合は、ロックバー19を後方に操作してロック溝17aとの係合を解除した状態で、尾ソリ15を任意の上下位置に移動させる。その後、ロックバー19から手を離し、最も近いロック溝17aに係合させる。このとき、ロックバー19のロック溝17aに対する係合は、バネ19aの付勢力により自動的に行われる。尚、ロックバー19は、後方に操作してロック溝17aとの係合を解除した後、ガイド溝18aに沿って上方に操作すれば、ロック解除状態に保持することができる。
【0015】
リヤカバー14の後方近傍位置には、後述するプレート20を備える後方部材21が設けられている。図7及び図9に示すように、後方部材21は、ロータリカバー13の後端部に設けられる第二ブラケット22に対し、上下位置調節自在に取り付けられている。
【0016】
第二ブラケット22には、後方部材21のステー23を上下摺動自在に支持する筒状のガイド部24と、該ガイド部24内に側方から抜き挿し自在に挿通されるL字状のロックレバー25と、該ロックレバー25を挿入方向に付勢するバネ25aとが設けられる一方、後方部材21のステー23には、ロックレバー25と係合可能なロック孔23aが長さ方向に所定の間隔を存して複数形成されている。
【0017】
後方部材21を上下位置調節する場合は、図12に示すように、ロックレバー25を引き抜き方向に操作してロック孔23aとの係合を解除した状態で、後方部材21を任意の上下位置に移動させる。その後、ロックレバー25から手を離し、最も近いロック孔23aに係合させる。このとき、ロックレバー25のロック孔23aに対する係合は、バネ25aの付勢力により自動的に行われる。
【0018】
後方部材21に設けられるプレート20は、リヤカバー14の所定位置を後方から押さえることによってリヤカバー14をうね立て用の培土板として機能させることができる。例えば、後方部材21の上下位置調節を行い、図4に示すように、プレート20がリヤカバー14の下端側左右中央部を後方から押さえる状態で耕耘作業を行うと、リヤカバー14の上方への回動が抑制され、耕耘軸12とリヤカバー14との間に耕耘土の溜まりが発生するが、リヤカバー14の左右両端側は、弾性変形により上方に逃げることができるので、リヤカバー14の左右両端側からのみ耕耘土が排出される。これにより、リヤカバー14を培土板として機能させ、その左右中央部でうね溝を形成し、その左右両端部でうね側面を形成する、といううね立て作業を行うことが可能になる。
【0019】
一方、通常の耕耘作業を行う場合は、後方部材21の上下位置調節にもとづいて、プレート20をリヤカバー14の上方に退避させる。これにより、リヤカバー14の自由回動が許容され、通常の耕耘作業を行うことが可能になる。尚、後方部材21は、第二ブラケット22に対して着脱自在に構成することができる。このようにすると、第二ブラケット22から後方部材21を取り外して別途作業機を連結することが可能になる。
【0020】
後方部材21には、機体移動時に機体後部を支える移動尾輪26が設けられている。移動尾輪26は、非接地位置に保持される格納姿勢(図14、図15及び図16参照)と、機体移動時に接地して機体後部を支える機体移動姿勢(図14、図17及び図18参照)とに変姿自在に構成されている。例えば、図7、図9及び図10に示すように、後方部材21の下端部に左右方向を向く筒部材27を一体的に設けると共に、該筒部材27で移動尾輪26のステー28を上下回動自在に支持し、該上下回動にもとづいて移動尾輪26を使用姿勢と格納姿勢に変姿させる。
【0021】
この場合、ステー28の回動を各姿勢でロックする機構が必要になるが、このようなロック機構は、例えば、筒部材27に対して左右摺動自在なステー28の基部を左右いずれかの方向に付勢するバネ29と、ステー28の基部に一体的に設けられる円盤部材30と、該円盤部材30にその回動方向に所定の間隔を存して形成される複数の係合孔30aと、筒部材27側に突設され、バネ29の付勢力でいずれかの係合孔30aに係合するロックピン31とを備えることにより容易に構成することができる。このようなロック機構によれば、図13に示すように、ステー28を握ってロックピン31が係合孔30aから外れる方向にスライドさせた後、ステー28を上下方向に回動させれば、移動尾輪26を各姿勢に変姿操作することができ、また、ロックピン31を他の係合孔30aに係合させれば、他の姿勢でステー28の回動をロックすることが可能になる。しかも、本実施形態では、二本のロックピン31を突設し、同時に二つの係合孔30aに係合させるので、移動尾輪26が受ける負荷を分散状に支持し、ロックピン31の破損などを防止することができる。
【0022】
さらに、本発明の実施形態に係る移動尾輪26は、上述した格納姿勢や機体移動姿勢に加え、格納姿勢と機体移動姿勢との中間位置で姿勢保持されるうね高さ調節姿勢にも変姿自在に構成されている(図14、図19及び図20参照)。うね高さ調節姿勢は、うね立て時に接地してうね高さを調節する姿勢であり、例えば、格納姿勢用の係合孔30aと、機体移動姿勢用の係合孔30aとの間にうね高さ調節姿勢用の係合孔30aを追加すれば、移動尾輪26をうね高さ調節姿勢に保持することが可能になる。
【0023】
本実施形態では、移動尾輪26のうね高さ調節姿勢として、一つの位置が設定されている。この位置で移動尾輪26を保持すると、うね立て時に移動尾輪26が接地して耕耘部4の下降を規制するので、耕深が浅くなるのに伴い、うね高さが低く抑えられることになる。尚、移動尾輪26のうね高さ調節姿勢は、一つの位置とせず、うね立て時に接地可能な範囲に複数の位置を設定してもよい。また、本実施形態では、移動尾輪26の上下位置を段階的に調節するようにしてあるが、無段階状に調節できるようにしてもよい。また、うね高さ調節は、移動尾輪26の上下位置調節だけでなく、後方部材21や尾ソリ15の上下位置調節により複合的に行うことができる。
【0024】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、ロータリ式の耕耘部4を備える歩行型管理機1において、耕耘部4は、耕耘爪11を有する耕耘軸12と、該耕耘軸12の上方を覆うロータリカバー13と、該ロータリカバー13の後端部に上下回動自在に設けられて耕耘土を均す弾性変形自在なリヤカバー14と、該リヤカバー14の後方に上下位置変更自在に設けられる後方部材21とを備え、該後方部材21に、リヤカバー14の所定位置を後方から押さえることによってリヤカバー14をうね立て用の培土板として機能させるプレート20と、機体移動時に機体後部を支える移動尾輪26とを設けると共に、該移動尾輪26を、非接地位置に保持される格納姿勢と、機体移動時に接地して機体後部を支える機体移動姿勢と、うね立て時に接地してうね高さを調節するうね高さ調節姿勢とに変姿自在に構成したので、アタッチメントとして提供されている従来の培土器を使用することなく、うね立て作業を行うことができる。また、プレート20が設けられる後方部材21は、上下位置変更自在なので、プレート20を上方に退避させるだけで、通常の耕耘作業状態に移行することができる。また、後方部材21は、移動尾輪26の支持部材に兼用されるので、構造の簡略化及びコストダウンを図ることができる。また、移動尾輪26は、格納姿勢や機体移動姿勢に加え、うね立て時に接地してうね高さを調節するうね高さ調節姿勢にも変姿可能に構成されているので、リヤカバー14を利用して簡易にうね立てを行うものでありながら、うね高さの調節も可能となる。
【符号の説明】
【0025】
1 歩行型管理機
4 耕耘部
11 耕耘爪
12 耕耘軸
13 ロータリカバー
14 リヤカバー
15 尾ソリ
20 プレート
21 後方部材
26 移動尾輪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリ式の耕耘部を備える歩行型管理機において、
前記耕耘部は、耕耘爪を有する耕耘軸と、該耕耘軸の上方を覆うロータリカバーと、該ロータリカバーの後端部に上下回動自在に設けられて耕耘土を均す弾性変形自在なリヤカバーと、該リヤカバーの後方に上下位置変更自在に設けられる後方部材とを備え、該後方部材に、リヤカバーの所定位置を後方から押さえることによってリヤカバーをうね立て用の培土板として機能させるプレートと、機体移動時に機体後部を支える移動尾輪とを設けると共に、該移動尾輪を、非接地位置に保持される格納姿勢と、機体移動時に接地して機体後部を支える機体移動姿勢と、うね立て時に接地してうね高さを調節するうね高さ調節姿勢とに変姿自在に構成したことを特徴とする歩行型管理機。
【請求項1】
ロータリ式の耕耘部を備える歩行型管理機において、
前記耕耘部は、耕耘爪を有する耕耘軸と、該耕耘軸の上方を覆うロータリカバーと、該ロータリカバーの後端部に上下回動自在に設けられて耕耘土を均す弾性変形自在なリヤカバーと、該リヤカバーの後方に上下位置変更自在に設けられる後方部材とを備え、該後方部材に、リヤカバーの所定位置を後方から押さえることによってリヤカバーをうね立て用の培土板として機能させるプレートと、機体移動時に機体後部を支える移動尾輪とを設けると共に、該移動尾輪を、非接地位置に保持される格納姿勢と、機体移動時に接地して機体後部を支える機体移動姿勢と、うね立て時に接地してうね高さを調節するうね高さ調節姿勢とに変姿自在に構成したことを特徴とする歩行型管理機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−105622(P2012−105622A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258967(P2010−258967)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】
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