説明

歯を白化するためのヒドロゲル組成物

【課題】歯を白化する組成物を提供すること。
【解決手段】組成物が提供され、ここでこの組成物は、水膨潤性で、水不溶性のポリマー、親水性ポリマーと親水性ポリマーに水素結合し得る相補的なオリゴマーとの混合物、および白化剤、好ましくは過酸化物を含む。組成物は、歯を白化する組成物としての有用性を見出し、白化することを必要とする歯に適用され、次いで、白化の程度が達成される場合、取り除かれる。特定の実施形態において、この組成物は光透過性である。組成物を調製および使用するための方法もまた、開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、歯科治療のためのヒドロゲル組成物に関連し、さらに、個々の歯を白化する際に有用な新規性のあるヒドロゲル組成物に特に関連する。
【背景技術】
【0002】
歯の変色は、社会において広く現れ、成人の3人のうち2人に現れると推定される。歯の変色は、美的な欠陥または欠点とみなされ、自意識過剰を引き起こし、さらに微笑むことを妨げることによって、影響を受ける人の生活においてネガティブな結果を有し得る。歯の変色は、歯をきれいに、および白く見せることが必要不可欠である状況ならびに職業において、特に悩ませ得るか、または厄介であり得る。
【0003】
歯は、内側の象牙質の層およびわずかに多孔性である外側の硬いエナメル質の層からなる。外側の層は、歯を保護する層である。歯の天然の色は、不透明から半透明の白またはわずかに灰色がかった白である。歯の汚れは、歯への化合物(例えば、タンニンおよび他のポリフェノール化合物)の曝露の結果として生じる。これらの化合物は、歯の表面上のタンパク性の層に捕捉されるか、または結合され、エナメル質およびさらに象牙質に浸透し得る。時には、歯の汚れは、若い時に個体に投与される場合、歯に沈着し得る歯の内側の源(例えば、テトラサイクリン)から生じ得る。
【0004】
表面の汚れは普通、機械的に歯をきれいにすることによって除去され得る。しかし、変色したエナメル質または象牙質は、歯をきれいにする機械的な方法に影響を受けにくく、化学的な方法(歯の構造の中へ浸透し得る)が、汚れを除去するために必要とされる。歯の変色についての最も効果的な処置は、変色の原因である色素原分子と反応し得、およびそれらを無色または水溶性のいずれか、あるいは両方にさせ得る酸化剤(例えば、過酸化水素)含有組成物である。
【0005】
従って、歯を白化する組成物は、一般的に、2つのカテゴリー:(1)表面の汚れの磨耗侵食によって歯の汚れの除去に影響を与えるために、汚れた歯の表面で機械的に激しく動かされる歯磨き粉を含むゲル、ペースト、または液体;および(2)特定の期間、汚れた歯の表面と接触する間、化学的プロセスによって歯を漂白する効果を達成する(その後、処方物が除去される)ゲル、ペースト、または液体に分類される。いくつかの場合において、酸化的、または酵素的であり得る補助的な化学プロセスは、機械的プロセスを補う。
【0006】
いくつかの歯科用組成物(例えば、デントリフィス(dentrifice)、歯磨き粉、ゲル、および粉末)は、活性酸素または過酸化水素を遊離する漂白剤を含む。そのような漂白剤としては、過酸化物、アルカリ金属のペルカルボネートおよびペルボレート、ならびにアルカリ土類金属のペルカルボネートおよびペルボレートまたは過酸化水素を含む錯化合物が挙げられる。また、アルカリ金属の過酸化物塩またはアルカリ土類金属の過酸化物塩は、歯を白化する際に有用であることが公知である。
【0007】
歯を白化する組成物の処方に利用可能な多くの過酸化物のうち、過酸化水素(およびその付加物または関連複合体(例えば、過酸化カルバミドおよび過炭酸ナトリウム))が、独占的に、使用されている。歯の色素原との相互作用の特異的性質は、完全に理解されていないが、過酸化水素の化学的性質は周知である。過酸化水素は、汚れの分子に見出される不飽和の炭素−炭素結合、炭素−酸素結合、および炭素−窒素結合を酸化させることによって、歯の色素原を破壊し、そのようにしてそれらを無色または溶解性にすると考えられる。
【0008】
関連した種類の化合物である、ペルオキシ酸は、溶液中のそれらの安定性および汚れの分子の特定のタイプへのそれらの特異的結合能力に主に起因して、衣服を効率的に白くさせるために洗濯洗剤に使用されている。多くの安定性である、固体のペルオキシ酸としては、ジペルオキシドデカン酸およびモノペルオキシフタル酸のマグネシウム塩が挙げられ、それらが使用されている。他のペルオキシ酸(例えば、ペルオキシ酢酸)は、酢酸、過酸化水素、ペルオキシ酢酸および水の平衡分布を含む溶液として利用可能である。あるいは、過酸化物供与体(例えば、過ホウ酸ナトリウムまたは過炭酸ナトリウム)が、ペルオキシ酸前駆物質と一緒に処方される。水に接触することで、過酸化物供与体は、過酸化水素を遊離し、次いで実際のペルオキシ酸を形成するために、ペルオキシ酸前駆物質と反応する。インサイチュで生成されるペルオキシ酸の例としては、ペルオキシ酢酸(過酸化水素およびテトラアセチルエチレンジアミン由来)およびペルオキシノナン酸(過酸化水素およびノナノイルオキシベンゼンスルホン酸由来)が挙げられる。
【0009】
ペルオキシ酸はまた、汚れた歯を白化するための口内の手入れの組成物に使用されている。米国特許第5,279,816号は、酸性のpHを有するペルオキシ酢酸含有組成物の適用を含む、歯を白化するための方法を記載している。欧州特許545,594A1は、歯を白化するための組成物を調製する際におけるペルオキシ酢酸の使用を記載している。ペルオキシ酢酸は、組成物中に存在し得るか、または、代わりに、使用中にペルオキシ酢酸前駆物質と過酸化物源を組み合わせることによってインサイチュで生成され得る。例えば、米国特許第5,302,375号は、水、アセチルサリチル酸および水溶性の過炭酸アルカリ金属を組み合わせることによって、インサイチュにビヒクル内でペルオキシ酢酸を生成する組成物を記載している。
【0010】
最も一般的に使用される歯科用の白化剤は、過酸化カルバミド(CO(NH)であり、また、尿素過酸化水素、過酸化水素カルバミド、およびパーハイドロール尿素(perhydrol−urea)と呼ばれる。過酸化カルバミドは、口の殺菌薬として数十年間、歯科医によって使用されており、歯の漂白は、接触時間を延長すると、副作用が認められた。10%過酸化カルバミドの医師の処方不要の組成物は、Marion
LaboratoriesによるGLY−OXIDE(登録商標)ならびにReedおよびCarnrickによるPROXIGEL(登録商標)として利用可能であり、歯との接触を提供するためにトレイまたは同様の容器に保持されなければならない粘性の低い組成物である。延長された期間、所定の位置に十分にフィットする歯科用トレイに保持し得る漂白ゲルは、ユタ州、サウスジョーダンのUltradent Products,Inc.から提供される商標OPALESCENCE(登録商標)の下で利用可能である。
【0011】
そのような組成物を所定の位置にとどめるために、組成物は、粘性のある液体またはゲルでなければならない。歯科用トレイの使用はまた、トレイは、圧力を及ぼさないか、あるいはヒトの歯または歯ぐきに刺激を引き起こさないように、トレイが、快適およびフィットのために適合することを必要とする。そのような白化組成物は必ず、唾液による希釈に抵抗するために実質的に粘着性、および粘性があるように、処方されなければならない。
【0012】
個々の歯を白化するための1つの方法において、歯の汚れの重症度に依存して、歯科の専門家は、患者の生歯から作られた印象から患者のための注文で作られる歯科用の漂白トレイを作製し、漂白トレイの中に調剤され、および約2週間〜約6ヶ月の期間、断続的に装備される酸化ゲルの使用を処方する。これらの酸化組成物は、通常、小さなプラスチックのシリンジまたはチューブにパッケージされ、注文製の歯の漂白トレイの中に患者によって直接的に調剤され、約60分より長い、および時々8時間〜12時間の接触時間、口の中で所定の位置に保持される。漂白のゆっくりとした速度は、主に、酸化組成物の安定性を保持するために開発される処方物のまさにその性質の結果である。
【0013】
例えば、Jensenによる米国特許第6,368,576号は、組成物が、処置されるヒトの歯の表面付近の所定の位置に保持されるように、好ましくはトレイと一緒に使用される歯を白化する組成物を記載している。これらの組成物は、溶媒(例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、または水)と一緒に、十分な量の粘着力を高める薬剤(例えば、カルボキシポリメチレン)を組み合わせることによって形成される粘着性のあるマトリックス物質として記載されている。
【0014】
別の例において、Pellicoによる米国特許第5,718,886号は、ポリオール、増粘剤、およびキサンタンガムを含む無水ゼラチン質のキャリア中に分散された過酸化カルバミドを含むゲル組成物の形態における歯の白化組成物を記載している。
【0015】
さらに別の例は、Hernandezによる米国特許第6,419,905号に記載され、適切なゲル化剤の0.5重量%と6重量%との間を含むゲルの中へ処方される過酸化カルバミド(0.3〜60%)、キシリトール(0.5〜50%)、カリウム塩(0.001〜10%)およびフッ素塩(0.15〜3%)を含む組成物の使用を記載している。
【0016】
歯に接着する歯の白化組成物は、Dirksingによる米国特許第5,989,569号および米国特許第6,045,811号に記載されている。これらの特許によれば、ゲルは、30〜85%のグリセリンまたはポリエチレングリコール、10〜22%の尿素/過酸化水素複合体、0〜12%のカルボキシポリメチレン、0〜1%の水酸化ナトリウム、0〜100%のトリエタノールアミン(TEA)、0〜40%の水、0〜1%の香料、0〜15%のクエン酸ナトリウム、および0〜5%のエチレンジアミンテトラ酢酸を含む。Dirksingによると好ましいゲルは、低い剪断速度(1秒につき1未満)で200cpsと1,000,000cpsとの間の粘性を有し、トレイの必要性を取り除くように十分に接着する。
【0017】
現在、利用可能な歯の漂白組成物は、50%を超える患者において歯の鋭敏化を引き起こすという点で大きな不都合を有する。歯の鋭敏性は、象牙細管を通じて流体の移動から生じ得、これは、歯の中の神経終末によって感じられ、これらの組成物中のグリセリン、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの存在に起因する。これは、歯への熱い物質、冷たい物質、過度に甘い物質、および他の原因となる因子の曝露の後の歯の鋭敏性の種々の量を生じ得る。
【0018】
現在、行われているような、延長された歯への漂白組成物の曝露は、歯の鋭敏性の副作用に加えて、多くの副作用を有する。これらの副作用としては、pH5.5未満でのエナメル質の層からのカルシウムの浸出;漂白剤による処置されていないエナメル質および象牙質の浸透ならびに歯髄組織への危険性のある損傷;そして歯科用のトレイおよびその後の使用者による摂取からの浸出の結果として生じる唾液による漂白組成物の希釈、が挙げられる。
【0019】
いくつかの酸化組成物(一般に、比較的高い濃度の酸化剤を有する)は、歯科医または歯科衛生士の監督の下で歯科医院設備において、直接的に患者の歯の表面に適用される。理論的に、そのような歯の白化計画は、より速い結果および全体的な患者のより良い満足を生じる。しかし、「インオフィス(in−office)」組成物と呼ばれる酸化組成物中に含まれる高濃度の酸化剤に起因し、それらは、注意して取り扱われない場合、患者および開業医にとっても同様に危険であり得る。歯のみを突出するように、患者の軟組織(歯肉、唇、および他の粘膜表面)は、穿孔したゴムシート(ラバーダムとして公知である)の使用によって活性酸化剤への可能性のある曝露から最初に隔離されなければならない。歯肉の外形に適合するように成形される重合可能な組成物を用いて軟組織を覆いその後、高強度の光源への曝露硬化することによって、白化プロセスに使用されるための酸化剤から、軟組織は隔離され得る。いったん、軟組織が隔離および保護されると、開業医は、特定の時間または歯の色の十分な変化が現れる時まで、汚れた歯の表面上に直接的に酸化剤を適用し得る。代表的な結果が、約2〜3の色調(VITA Shade Guide,VITA Zahnfarbikで測定される)の範囲で、インオフィスの歯の漂白剤の使用によって得られた。
【0020】
VITA Shade Guideにおける歯の色調の範囲は、非常に明るい(B1)〜非常に暗い(C4)まで変化する。16個の歯の色調の全ては、明るさのスケール上のこれらの2つの端点の間の全範囲の色を構成する。歯の白化処置での患者の満足は、達成される歯の色調の変化の数とともに増加し、一般に受け入れられる所望の最小の変化は約4〜5VITA色調の変化である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
歯の白化のための歯科治療産物に関して、個々の歯から汚れを除去するための、白化剤を含む接着性のヒドロゲルを利用する歯科治療産物を提供することが望ましい。組成物は、漂白剤と歯との間の接触を提供するための歯科用トレイの使用を必要としないことが望ましい。そのような産物は理想的には、最小限の歯の鋭敏性を引き起こすかまたは全く歯の鋭敏性を引き起こさず、使用者による摂取の結果として生じるか、あるいは歯肉もしくは口の粘膜への損傷または刺激の結果として生じる白化剤の漏出を最小化するかまたは取り除き、より長い装着期間、歯の白化剤の持続性の溶解、改良された効力、および患者に十分に許容されることを提供する。固体組成物および自己接着性であるが、しかし使用者の指にくっつかないか、または非固体(例えば、液体またはゲル)であり、それが乾燥した場合、薄膜を形成する、歯の白化の歯科治療産物を提供することもまた、望ましい。本発明はこれらの必要性に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0022】
(発明の要旨)
本発明の1つの局面は、水膨潤性で、水不溶性のポリマー、親水性ポリマーと親水性ポリマーに水素結合または静電結合し得る相補的なオリゴマーとの混合物、および白化剤を含む組成物に関連する。
【0023】
好ましい実施形態において、水膨潤性で、水不溶性のポリマーは、セルロースエステル、またはアクリレートに基づいたポリマーもしくはコポリマーであり;親水性ポリマーは、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルアミド)、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)、またはコポリマーおよびその混合物であり;親水性ポリマーに水素結合し得る相補的なオリゴマーは、ポリアルキレングリコールまたはカルボキシル末端のポリアルキレングリコールであり;ならびに白化剤は、過酸化物である。
【0024】
組成物は必要に応じて、低分子量の可塑剤を含み、また、充填剤、保存剤、pH調整剤、軟化剤、増粘剤、着色料(例えば、顔料、染料、屈折性の粒子など)、フラボラント(flavorant)(例えば、甘味料、香料)、安定剤、強化剤および脱粘着剤(detackifier)からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む。
組成物を使用するための好ましい方法において、その組成物は、歯を白化する組成物であり、白化を必要とする歯に適用され、次いで、白化の程度が達成される場合、取り除かれる。特定の実施形態において、歯を白化する組成物は半透明であり、その組成物は、使用者が達成される白化の程度に満足する場合、取り除かれる。
本発明のさらに別の局面は、水膨潤性で、水不溶性のポリマー、親水性ポリマーと親水性ポリマーに水素結合し得る相補的なオリゴマーとの混合物、ならびに過酸化物、金属亜塩素酸塩、ペルボレート、ペルカルボネート、ペルオキシ酸、およびその組み合わせからなる群から選択される薬剤を含む組成物に関する。
【0025】
本発明の別の局面は、歯を白化する組成物の中に組み込むための適切なヒドロゲルフィルムを調製するための方法に関連し、これを提供する。この方法は、溶媒中の水膨潤性で、水不溶性のポリマー、親水性ポリマー、および親水性ポリマーに水素結合または静電結合し得る相補的なオリゴマーの溶液またはゲルを調製する工程;基材上にコーティングを提供するために、基材に溶液の層を沈着させる工程;およびコーティングされた基材を約1時間〜約4時間の範囲の時間、約80℃〜約100℃の範囲の温度まで加熱し、それによって、基材にヒドロゲルフィルムを提供する工程、を包含する。
【0026】
歯の白化組成物を形成する別の方法において、その方法は、押出し成形される組成物を形成するために、水膨湿性で、水不溶性のポリマー、親水性ポリマー、および親水性ポリマーに水素結合または静電結合し得る相補的なオリゴマーの混合物を押出し成形機を通して溶解処理し;ここで、その組成物は、適切な基材の上に所望の厚さのフィルムとして押出される工程、を包含する。
【0027】
この方法はさらに、ヒドロゲルフィルムに白化剤を装填し、それによって、歯を白化する組成物を提供する工程、を包含する。
【0028】
本発明の接着性の歯を白化する組成物は、先行技術に関連して多数の大きな利点を提供する。特に本組成物は以下:
(1)取り扱いの容易さを提供し;
(2)特性(例えば、接着、吸収、半透明、および膨潤)が、制御ならびに最適化され得るように、製造中に容易に改変され;
(3)組成物が湿るまで粘着性がないように、水分の存在下でタックが増加または減少するように、処方され得;
(4)使用者の口の中の組成物からの白化剤の漏出を最小化し;
(5)使用者が、歯からヒドロゲル組成物を取り除かずに白化の程度が見え得るように、半透明に作製され得;
(6)歯ぐきまたは口の粘膜の損傷を最小化し;
(7)快適および控えめに装着され得;
(8)歯から容易に取り除かれて、残留物が残らず;
(9)装着または作用の延長される時間を受け入れら;ならびに
(10)白化剤の遊離を維持および制御する。
【0029】
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
組成物であって、該組成物が以下:
(a)水膨潤性で、水不溶性のポリマー;
(b)親水性ポリマーと該親水性ポリマーに水素結合し得る相補的なオリゴマーとの混合物;および
(c)白化剤
を包含する、組成物。
(項目2)
項目1に記載の組成物であって、前記水膨潤性で、水不溶性のポリマーが、セルロースエステルまたはアクリレートに基づいたポリマーもしくはコポリマーである、組成物。
(項目3)
項目2に記載の組成物であって、前記セルロースエステルが、エステル化されていないセルロースモノマー単位、酢酸セルロースモノマー単位、および酪酸セルロースモノマー単位またはプロピオン酸セルロースモノマー単位のいずれかを含む少なくとも1つのセルロースポリマーから構成される、組成物。
(項目4)
項目3に記載の組成物であって、前記セルロースポリマーが、酢酸酪酸セルロースである、組成物。
(項目5)
項目3に記載の組成物であって、前記セルロースポリマーが、酢酸プロピオン酸セルロースである、組成物。
(項目6)
項目3に記載の組成物であって、前記セルロースエステル組成物が、酢酸酪酸セルロースと酢酸プロピオン酸セルロースの混合物を含む、組成物。
(項目7)
項目2に記載の組成物であって、前記アクリレートに基づいたポリマーまたはコポリマーが、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、またはメタクリル酸エチルのポリマーおよびコポリマーから選択される、組成物。(項目8)
項目7に記載の組成物であって、前記水膨潤性ポリマーが、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルのコポリマーである、組成物。
(項目9)
項目8に記載の組成物であって、前記コポリマーが、約1:1〜1:2の範囲である遊離カルボキシル基対エステル基の比を有する、組成物。
(項目10)
項目1に記載の組成物であって、前記親水性ポリマーが、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルアミド)、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、ならびにこれらのコポリマーおよび混合物からなる群より選択される、組成物。
(項目11)
項目10に記載の組成物であって、前記親水性ポリマーが、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルアミド)、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)ならびにこれらのコポリマーおよび混合物からなる群から選択される、組成物。
(項目12)
項目11に記載の組成物であって、前記親水性ポリマーが、ポリ(N−ビニルラクタム)である、組成物。
(項目13)
項目11に記載の組成物であって、前記親水性ポリマーが、ポリ(N−ビニルラクタム)ホモポリマーである、組成物。
(項目14)
項目10に記載の組成物であって、前記ポリ(N−ビニルラクタム)が、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカプロラクタム、およびその混合物からなる群から選択される、組成物。
(項目15)
項目14に記載の組成物であって、前記ポリ(N−ビニルラクタム)が、ポリビニルピロリドンである、組成物。
(項目16)
項目14に記載の組成物であって、前記ポリ(N−ビニルラクタム)が、ポリビニルカプロラクタムである、組成物。
(項目17)
項目10に記載の組成物であって、前記親水性ポリマーが、約100,000〜2,000,000の範囲における数平均分子量を有する、組成物。
(項目18)
項目10に記載の組成物であって、前記親水性ポリマーが、約500,000〜1,500,000の範囲における数平均分子を有する、組成物。
(項目19)
項目1に記載の組成物であって、前記相補的なオリゴマーが、約45〜800の範囲における分子量を有する、組成物。
(項目20)
項目19に記載の組成物であって、前記相補的なオリゴマーが、約45〜600の範囲における分子量を有する、組成物。
(項目21)
項目19に記載の組成物であって、前記相補的なオリゴマーが、ポリアルコール、モノマーおよびオリゴマーのアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、カルボキシ末端のポリアルキレングリコール、アミノ末端ポリアルキレングリコール、エーテルアルコール、アルカンジオールおよび二価酸の炭酸からなる群から選択される、組成物。
(項目22)
項目21に記載の組成物であって、前記相補的なオリゴマーが、ポリアルキレングリコールおよびカルボキシル末端のポリアルキレングリコールからなる群より選択される、組成物。
(項目23)
項目22に記載の組成物であって、前記相補的なオリゴマーが、ポリエチレングリコールおよびカルボキシル末端のポリエチレングリコールからなる群より選択される、組成物。(項目24)
項目22に記載の組成物であって、前記相補的なオリゴマーが、ポリエチレングリコールである、組成物。
(項目25)
項目1に記載の組成物であって、前記白化剤が、過酸化物、亜塩素酸金属、ペルボレート、ペルカルボネート、ペルオキシ酸、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、組成物。
(項目26)
項目25に記載の組成物であって、前記白化剤が、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、およびこれらの混合物からなる群より選択される過酸化物である、組成物。
(項目27)
項目25に記載の組成物であって、前記過酸化物が、有機化酸化物である、組成物。
(項目28)
項目27に記載の組成物であって、前記有機過酸化物が、過酸化ジアルキル、過酸化ジアクリル、パーエステル、ペルジカルボネート、ケトンペルオキシド、およびヒドロペルオキシドからなる群より選択される、組成物。
(項目29)
項目28に記載の組成物であって、前記過酸化ジアルキルが、過酸化t−ブチルまたは2,2ビス(t−ブチルペルオキシ)プロパンである、組成物。
(項目30)
項目28に記載の組成物であって、前記過酸化ジアシルが、過酸化ベンゾイルまたは過酸化アセチルである、組成物。
(項目31)
項目28に記載の組成物であって、前記パーエステルが、過安息香酸t−ブチルまたはt−ブチルペル−2−エチルヘキサノエートである、組成物。
(項目32)
項目28に記載の組成物であって、前記ペルジカルボネートが、ジセチルペルオキシジカルボネートまたはジシクロヘキシルペルオキシジカルボネートである、組成物。
(項目33)
項目28に記載の組成物であって、前記ケトンペルオキシドが、シクロヘキサノンペルオキシドまたはメチルエチルケトンペルオキシドである、組成物。
(項目34)
項目28に記載の組成物であって、前記ヒドロペルオキシドが、クメンヒドロペルオキシドまたはtert−ブチルヒドロペルオキシドである、組成物。
(項目35)
項目25に記載の組成物であって、前記白化剤が、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸塩、および二酸化塩素からなる群より選択される亜塩素酸金属である、組成物。
(項目36)
項目1に記載の組成物であって、フラボラントをさらに含む、組成物。
(項目37)
項目36に記載の組成物であって、前記フラボラントが、ウインターグリーン、ペパーミント、ハッカ、メントール、フルーツ香味、バニラ、シナモン、スパイス、オイル香味およびオレオレジンならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される、組成物。
(項目38)
項目1に記載の組成物であって、スクロース、フルクトース、アスパルテーム、キシリトールおよびサッカリンからなる群より選択される甘味料をさらに含む、組成物。
(項目39)
項目1に記載の組成物であって、充填剤、保存剤、pH調節剤、柔軟剤、増粘剤、着色剤、顔料、色素、屈折性の粒子、フラボラント、甘味料、安定剤、強化剤、脱粘着剤、および透過増力剤からなる群より選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含む、組成物。(項目40)
項目1に記載の組成物であって、前記水膨潤性で、水不溶性のポリマー、親水性ポリマー、および相補的なオリゴマーの相対量が、組成物を光透過性にさせるために選択される、組成物。
(項目41)
項目1に記載の組成物であって、前記組成物が、固体である、組成物。
(項目42)
項目41に記載の組成物であって、約0.1重量%〜60重量%の白化剤を含む、組成物。
(項目43)
項目41に記載の組成物であって、約1重量%〜20重量%の水膨潤性で、水不溶性のポリマーを含む、組成物。
(項目44)
項目41に記載の組成物であって、約20重量%〜80重量%の親水性ポリマーを含む、組成物。
(項目45)
項目41に記載の組成物であって、約10重量%〜50重量%の相補的なオリゴマーを含む、組成物。
(項目46)
項目41に記載の組成物であって、吸収性充填剤をさらに含む、組成物。
(項目47)
項目41に記載の組成物であって、前記組成物が、感圧接着剤であり、水を吸収する、組成物。
(項目48)
項目1に記載の組成物であって、前記組成物が、液体またはゲルである、組成物。
(項目49)
項目48に記載の組成物であって、約0.1重量%〜60重量%の白化剤を含む、組成物。
(項目50)
項目48に記載の組成物であって、約0.1重量%〜40重量%の水膨潤性で、水不溶性のポリマーを含む、組成物。
(項目51)
項目48に記載の組成物であって、約0.1重量%〜20重量%の親水性ポリマーを含む、組成物。
(項目52)
項目48に記載の組成物であって、約0.05重量%〜20重量%の相補的なオリゴマーを含む、組成物。
(項目53)
歯を白化するための方法であって、該方法が以下:
白化の必要な歯に項目1に記載の組成物を適用する工程;および
所望の程度の白化が達成される場合、該組成物を除去する工程
を包含する、方法。
(項目54)
項目53に記載の方法であって、前記組成物が、前記歯に適用されるより前に湿らされる、方法。
(項目55)
項目53に記載の方法であって、前記組成物が、剥離ライナーを含み、該剥離ライナーが、前記歯に該組成物を適用するより前に除去される、方法。
(項目56)
項目53に記載の方法であって、前記白化の所望の程度が、予定の期間の後に達成される、方法。
(項目57)
項目56に記載の方法であって、前記予定の期間が、約10分〜約24時間である、方法。
(項目58)
項目57に記載の方法であって、前記予定の時間が、約10分〜約8時間である、方法。(項目59)
項目58に記載の方法であって、前記予定の時間が、約30分〜約1時間である、方法。(項目60)
項目53に記載の方法であって、前記組成物が、延長された期間の間、装着され得る、方法。
(項目61)
項目53に記載の組成物であって、前記組成物が、液体またはゲルとして適用される、方法。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(発明の詳細な説明)
(I.定義および命名)
詳細に本発明を記載する前に、他に示されない限り、特定のヒドロゲル材料または製造プロセス(例えば、変化し得る)に限定されないことは理解される。本明細書中で使用される用語法は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、限定されることを意図されないこともまた理解される。本明細書および添付の特許請求の範囲中で使用されるように、文脈がはっきりとそうでないと指示しない限り、単数形「a」、「an」および「the」は、複数の対象を含むということを注意されなければならない。このように、例えば、「親水性ポリマー」という言及は、単一の親水性ポリマーだけではなく、2つ以上の異なる親水性ポリマーの組み合わせまたは混合物も含み、「可塑剤」という言及は、2つ以上の異なる可塑剤の組み合わせまたは混合物ならびに単一の可塑剤、などを含む。
【0031】
本発明を記載および特許請求する際に、以下に説明する定義に従って、後の用語法が使用される。
【0032】
「疎水性」ポリマーおよび「親水性」ポリマーの定義は、100%相対湿度でポリマーによって吸収された水蒸気の量に基づく。この分類に従って、疎水性ポリマーは、100%相対湿度(「rh」)で1重量%までだけの水を吸収し、中程度の親水性ポリマーは、1〜10重量%の水を吸収し、親水性ポリマーは、10%より多い水を吸収し得、吸湿性ポリマーは20重量%より多い水を吸収する。「水膨潤性」ポリマーは、水溶性媒体中の液侵に対して、そのものの重さの少なくとも25重量%、好ましくはそのものの重さの少なくとも50重量%より多い水の量を吸収するポリマーである。
【0033】
本明細書中の「架橋した」という用語は、共有結合によって生じようと非共有結合によって生じようと、分子内架橋および/または分子間架橋を含む組成物を言う。「非共有」結合は、水素結合および静電(イオン)結合の両方を含む。
【0034】
「ポリマー」という用語は、直線状ポリマー構造および分枝状ポリマー構造を含み、また、架橋したポリマーならびにコポリマー(架橋されてもされなくてもよい)を包含し、このように、ブロックコポリマー、交互性コポリマー、ランダムコポリマーなどを含む。本明細書中で「オリゴマー」と言われるこれらの化合物は、約1000Da未満、好ましくは約800Da未満の分子量を有するポリマーである。
【0035】
「ヒドロゲル」という用語は、弾性ゲルを形成するために相当量の水を吸収し得る水膨潤性ポリマーマトリックスをいうために従来の意味で使用され、ここで「マトリックス」は、共有結合架橋または非共有結合架橋によって一緒に保持された高分子の三次元網目構造である。水溶性環境中に置くと、乾燥ヒドロゲルは、架橋結合の程度によって可能な範囲まで膨張する。
【0036】
「歯を白化する組成物」という用語は、本明細書中で定義されるようなヒドロゲル、および白化剤を含む組成物のことを言う。
【0037】
「白化剤」という用語は、以下により詳細に考察されるように酸化剤(例えば、過酸化物または亜塩素酸塩)のことを代表的に言う。いくつかの例において、白化剤は、歯から汚れを除去するための酵素または他の触媒手段であり得る。白化剤は、1つ以上のさらなる白化剤、界面活性剤、アンチプラーク剤、抗歯石剤および研磨剤を含み得る。白化剤は、さらなる治療上の利点を有し得る。
【0038】
「タック」および「粘着性」という用語は、定性的である。しかし、本明細書中で使用される「実質的に非粘着性」「わずかに粘着性」および「粘着性」という用語は、以下のように、PKIタック測定方法またはTRBTタック測定方法で得られた値を使用して定量され得る。「実質的に非粘着性」とは、約25g−cm/sec未満であるタック値を有するヒドロゲル組成物を意味し、「わずかに粘着性」とは、約25g−cm/sec〜約100g−cm/secまでの範囲のタック値を有するヒドロゲル組成物を意味し、「タック」とは、少なくとも100g−cm/secのタック値を有するヒドロゲル組成物を意味する。
【0039】
「水不溶性」という用語は、水における溶解度が、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、さらに好ましくは1重量%未満(20℃での水中で測定した)の化合物または組成物のことを言う。
【0040】
本明細書中で使用される「光透過(translucent)」という用語は、物体または像が物質を通して見られえるように、光を透過させ得る物質を示す。本明細書中の光透過の物質は、物質が光学的に透明であることを意味する「透明」であってもなくても良い。「光透過」という用語は、物質が物体および像が物質を通して見られ得ない「不透明」でないことを示す。
【0041】
(II.組成物)
本発明の組成物は、水膨潤性であり、水不溶性のポリマー、親水性ポリマーと親水性ポリマーに水素結合し得る相補的なオリゴマーとの混合物、および白化剤から構成される。水膨潤性であり、水不溶性のポリマー(すなわち、水性液体に浸される場合、膨張し得るが、選択されたpHの範囲内(一般的にpH5.5未満)で水不溶性であるポリマー)は、セルロールエステル、またはアクリレートに基づいたポリマーもしくはアクリレートに基づいたコポリマー(すなわち、アクリル酸ポリマーもしくはアクリル酸コポリマーまたはアクリル酸エステルポリマーもしくはアクリル酸コポリマー(「アクリレート」ポリマー))である。ポリマーは一般的に、水または水溶液に浸される場合、そのものの重さの少なくとも25重量%、および好ましくは少なくとも50重量%だけ膨張する。特定の親水性ポリマーを利用するいくつかの実施形態において、組成物はその乾燥重量の1400重量%ほどの大きさだけ膨張し得る。
【0042】
組成物は、好ましくは、歯を白化する組成物であり、ここで、白化剤は、組成物が適用される歯の表面を白くする働きをする。しかし、白化剤は、他の有用性(例えば、治療薬または他のタイプの美容薬(例えば、美白))を有し得る。従って、本明細書中に記載される組成物は、疾患状態の処置のための体表面(例えば、歯、爪、皮膚、粘膜など)に適用されるために、薬学的組成物として有用性を見出し得る。例えば、過酸化水素はまた、抗生物質特性および抗ざ瘡特性を有し、ならびに白化剤でもある。従って、本発明はまた、本発明の過酸化水素含有組成物を体表面に適用することによって、感染または座瘡を処置することを企図する。他の疾患状態としては、説明の目的であり、限定されないが、真菌感染、ざ瘡、外傷、美白などが挙げられる。
【0043】
親水性ポリマーは概して、比較的高分子量のポリマーであり、相補的なオリゴマーは概して、低分子量ポリマーである。固体組成物について、水膨潤性で、水不溶性のポリマーは、組成物の約1重量%〜20重量%、好ましくは約6重量%〜12重量%に相当し;親水性ポリマーは、組成物の約20重量%〜80重量%、好ましくは約40重量%〜60重量%に相当し;相補的なオリゴマーは、組成物の約10重量%〜50重量%、好ましくは約15重量%〜35重量%に相当し;および白化剤は、組成物の約0.1重量%〜60重量%、好ましくは約1重量%〜30重量%に相当する。最適には、相補的なオリゴマーは、親水性ポリマー/相補的なオリゴマー混合物の約10重量%〜80重量%、好ましくは約20重量%〜50重量%に相当する。
【0044】
いくつかの例において、相補的なオリゴマーはまた、低分子量の可塑剤として役立ち得る。代わりに、異なる化合物が、さらなる低分子量の可塑剤として組み入れられ得、含まれる場合、組成物の約30重量%〜35重量%として存在する。
【0045】
非固体の組成物について、水膨潤性で、水不溶性のポリマーは、組成物の約0.1重量%〜40重量%、好ましくは約0.1重量%〜20重量%、さらに好ましくは約2重量%〜6重量%に相当し;親水性ポリマーは、組成物の約0.1重量%〜20重量%、好ましくは約1重量%〜20重量%、さらに好ましくは約4重量%〜10重量%に相当し;相補的なオリゴマーは、組成物の約0.05重量%〜20重量%、好ましくは約0.1重量%〜20重量%、さらに好ましくは約0.5重量%〜10重量%に相当し;および白化剤は、組成物の約0.1重量%〜60重量%、好ましくは約1重量%〜40重量%に相当する。最適には、相補的なオリゴマーは、親水性ポリマー/相補的なオリゴマー混合物の約1重量%〜85重量%、好ましくは約5重量%〜50重量%に相当する。
【0046】
接着特性は、混合物中のポリマーのタイプ、組成物の割合、および水の程度に基づいて、調整され得る。水膨潤性で、水不溶性のポリマーは、水和反応に関して所望の接着特性を提供するように選択される。つまり、水膨潤性で、水不溶性のポリマーは、セルロースエステルであり、組成物は概して、水(例えば、湿り気のある表面)と接触するより前に粘着性があるが、組成物が水分を吸収するにつれて、除々にタックを失う。水膨潤性で、水不溶性のポリマーが、アクリレートポリマーまたはアクリレートコポリマーである場合、概して、水と接触するより前に、実質的に非粘着性であるが、湿り気のある表面と接着して粘着性になる組成物が提供される。
【0047】
水膨潤性で、水不溶性のポリマーは、水溶液に浸される場合、少なくともいくらかの程度で膨張し得るが、水不溶性である。ポリマーは、セルロースエステル(例えば、酢酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース(CAP)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、プロピオン酸セルロース(CP)、酪酸セルロース(CB)、酪酸プロピオン酸セルロース(CPB)、二酢酸セルロース(CDA)、三酢酸セルロース(CTA)など)から構成され得る。これらのセルロースエステルは、米国特許第1,698,049号、米国特許第1,683,347号、米国特許第1,880,808号、米国特許第1,880,560号、米国特許第1,984,147号、米国特許第2,129,052号、および米国特許第3,617,201号に記載されており、当該分野に公知の技術を使用して調製され得るかまたは商業的に取得され得る。本明細書中で適した商業的に入手可能なセルロースエステルとしては、CA320、CA398、CAB381、CAB551、CAB553、CAP482、CAP504が挙げられ、全てEastman Chemical Company Kingsport,Tennから入手可能である。そのようなセルロースエステルは、代表的に、約10,000と約75,000との間の数平均分子量を有する。
【0048】
概して、セルロースエステルは、セルロースのモノマー単位およびセルロースエステルのモノマー単位の混合物を含む;例えば、商業的に入手可能な酢酸酪酸セルロースは、酢酸セルロースモノマー単位ならびに酪酸セルロースモノマー単位およびエステル化されていないセルロースモノマー単位を含み、酢酸プロピオン酸セルロースは、モノマー単位(例えば、プロピオン酸セルロース)を含む。本明細書中の好ましいセルロースエステルは、以下に示したようなブチリル、プロピオニル、アセチル、およびエステル化されていない(OH)セルロースの含量を有する酢酸プロピオン酸セルロース組成物および、酢酸酪酸セルロース組成物である。
【0049】
【表1】

好ましい分子量、ガラス転移温度(T)、および融解温度(T)もまた、示される。また、適切なセルロースポリマーは代表的に、フェノール/テトラクロロエタン溶液の60/40(重量)の100ml中の0.5グラムサンプルについて25℃の温度で測定すると、約0.2デシリットル/グラム〜約3.0デシリットル/グラム、好ましくは約1デシリットル/グラム〜約1.6デシリットル/グラムのインヘレント粘度(I.V.)を有する。溶媒キャスト技術を使用して調製される場合、水膨潤性で、水不溶性のポリマーは、より大きい結合力を提供し、そしてそれによってフィルム形成を容易にするように選択されべきである(概して、例えば、酢酸プロピオン酸セルロースは、酢酸酪酸セルロースより大きい程度まで結合力を改良する傾向がある)。
【0050】
他の好ましい水膨潤性ポリマーは、概してアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、および/または他のビニルモノマーから形成される、アクリレートポリマーである。適切なアクリレートポリマーは、Rohm Pharma(Germany)から提供されている商品名「Eudragit」の下で入手可能なそれらのコポリマーである。EudragitシリーズのEコポリマー、Lコポリマー、Sコポリマー、RLコポリマー、RSコポリマーおよびNEコポリマーは、有機溶媒、水性分解物において可溶化されるか、または乾燥粉末として利用可能である。好ましいアクリレートポリマーは、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルのコポリマー(例えば、Eudragit LおよびEudragit Sシリーズのポリマー)である。特に好ましいそのようなポリマーは、Eudragit L−30D−55およびEudragit L−100−55(後者のコポリマーは、水で戻され得るEudragit L−30D−55の噴霧乾燥形態である)、ならびにEudragit RS100である。Eudragit L−30D−55コポリマーおよびEudragit L−100−55コポリマーの分子量は、約135,000Daで、遊離カルボキシル基対エステル基の比は、約1:1である。コポリマーは概して、pH5.5未満を有する水性液体に不溶性である。別の特に適切なメタクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーは、遊離カルボキシル基対エステル基の比が約1:2である点で、Eudragit L−30D−55と異なるEudragit S−100である。Eudragit S−100は、pH5.5未満で不溶性であるが、Eudragit L−30D55と異なり、5.5〜7.0の範囲のpHを有する水性液体中でほとんど溶けない。このコポリマーは、pH7.0以上で可溶性である。Eudragit L−100もまた、使用され得、それは、pH6.0未満で不溶性である限り、Eudragit L−30D−55とEudragit S−100との間のpH依存性の溶解度特性を有する。Eudragit L−30D−55、L−100−55、L−100、およびS−100は、同様のpH依存性溶解度特性を有する他の受容可能なポリマーに置き換え得ることは当業者によって理解される。他の適切なアクリレートポリマーは、BASF AG(ドイツ)から提供される商品名「Kollicoat」の下で入手可能なこれらのメタクリル酸/アクリル酸エチルコポリマーである。例えば、Kollicoat MAEは、Eudragit L−100−55と同じ分子構造を有する。
【0051】
水膨潤性ポリマーが、アクリル酸またはアクリレートポリマーである場合、可逆的に乾燥され得る(すなわち、水および任意の他の溶媒の除去後、乾燥されたヒドロゲルは、水の添加によって、その元の状態まで戻され得る)ヒドロゲルが提供される。さらに、アクリル酸/アクリレート水膨潤性ポリマーで調製された親水性ヒドロゲルは、概して、水と接触するより前に、実質的に非粘着性であるが、湿った表面(例えば、口の内部、例えば、歯の表面に見出される)と接触して粘性を有する。水と接触するより前に非粘性であるこの特性は、ヒドロゲルが粘性を有する前または有するときに選ばれた表面に位置を合わすか、または位置を変えることを可能にする。いったん、水和されると、ヒドロゲルは粘性を有し、歯の表面に接着する。
【0052】
さらに、アクリレートポリマー対親水性ポリマー/相補的なオリゴマー混合物の比は、水性環境中で膨張する割合および程度が、予定のpH依存性を有するように選択され得るが、アクリレート含有組成物は、概して、pH5.5未満で水または他の水性液体中のヒドロゲル組成物の浸漬に対して約400%〜1500%の範囲で膨張することを提供し得る。この特徴はまた、白化剤または他の薬剤の逆方向の(retroactive)組み込みを提供する(例えば、過酸化物、ペルオキシ酸、亜塩素酸塩、安定剤、フレイバリング剤、などを有する組成物を負荷すること)。
【0053】
対照的に、水膨潤性ポリマーとしてセルロースエステルを組み込むことは、湿った表面に適用するより前にヒドロゲルを粘性にするが、水の吸収に対して非粘性である。歯から製品の最終除去のために、タックの減少が所望される場合、そのような組成物が所望され得ることが理解される。
【0054】
ヒドロゲル組成物の第2の成分は、親水性ポリマーと親水性ポリマーに水素結合し得る相補的なオリゴマーとの混合物であり、必要に応じて、同様に親水性ポリマーにイオン結合または共有結合し得る。適切な親水性ポリマーとしては、N−ビニルラクタムモノマー、カルボキシビニルモノマー、ビニルエステルモノマー、カルボキシビニルモノマーのエステル、ビニルアミドモノマー、および/またはヒドロキシビニルモノマー由来の繰り返し単位が挙げられる。そのようなポリマーの例としては、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルアクリルアミド)、ポリ(N−アルキルアクリルアミド)、置換型および非置換型のアクリル酸およびメタクリル酸ポリマー(例えば、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアミン、そのコポリマー、および他のタイプの親水性モノマー(例えば、酢酸ビニル)とのコポリマーが挙げられる。
【0055】
本明細書中で有用なポリ(N−ビニルラクタム)は、好ましくはN−ビニルラクタムモノマー単位の非架橋ホモポリマーまたは非架橋コポリマーであり、N−ビニルラクタムモノマー単位は、ポリ(N−ビニルラクタム)コポリマーの全モノマー単位の大部分を表す。本発明と併せて使用するための好ましいポリ(N−ビニルラクタム)は、1つ以上の以下のN−ビニルラクタムモノマー:N−ビニル−2−ピロリドン;N−ビニル−2−バレロラクタム;およびN−ビニル−2−カプロラクタムの重合によって調製される。N−ビニルラクタムモノマー単位に有用な非−N−ビニルラクタムコモノマーの非限定的な例としては、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸またはその塩、および酢酸ビニルが挙げられる。
【0056】
ポリ(N−アルキルアクリルアミド)の例としては、ポリ(メタクリルアミド)およびポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)が挙げられる。
【0057】
カルボキシビニルモノマーのポリマーは、代表的に、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、イタコン酸および無水物、1,2−ジカルボキシ酸(例えば、マレイン酸またはフマル酸)、無水マレイン酸、またはこれらの混合物から形成され、この種類の中で好ましい親水性ポリマーとしては、ポリアクリル酸およびポリメタクリル酸が挙げられ、最も好ましいのはポリアクリル酸である。
【0058】
本明細書中の好ましい親水性ポリマーは、以下:ポリ(N−ビニルラクタム)、特にポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルカプロラクタム(PVCap);ポリ(N−ビニルアセトアミド)、特にポリアセトアミドそれ自体;カルボキシビニルモノマーのポリマー、特にポリアクリル酸およびポリメタクリル酸;ならびにこれらのコポリマーと混合物である。PVPおよびPVCapが、特に好ましい。
【0059】
親水性ポリマーの分子量は、重要でない;しかし、親水性ポリマーの数平均分子量は、概して、約100,000〜2,000,000の範囲であり、さらに代表的には、約500,000〜1,500,000の範囲である。オリゴマーは、親水性ポリマーに水素結合し得るという点で親水性ポリマーに「相補的」である。好ましくは、相補的なオリゴマーは、ヒドロキシル基、アミノ基またはカルボキシル基で終端となる。オリゴマーは代表的に、約−100℃〜−約30℃の範囲のガラス転移温度Tおよび約20℃未満の融解温度Tを有する。オリゴマーはまた、非晶質であり得る。親水性ポリマーのT値とオリゴマーのT値との間の差異は、好ましくは約50℃より大きく、さらに好ましくは約100℃より大きく、最も好ましくは約150℃〜約300℃の範囲である。親水性ポリマーおよび相補的なオリゴマーは、適合性である(すなわち、混合されていない成分のTの中間である単一のTを示す均一な混合物を形成し得る)べきである。
【0060】
概して、相補的なオリゴマーは、約45〜約800の範囲、好ましくは約45〜約600の範囲の分子量を有する。相補的なオリゴマーは、好ましくは低分子量のポリアルキレングリコール(分子量300〜600)(例えば、ポリエチレングリコール400)であり、これはまた、低分子量の可塑剤として役立ち得る。あるいは、異なる化合物は、さらなる低分子量の可塑剤として組み込まれ得、その場合、以下に記載された任意の低分子量の可塑剤が、使用され得る。本発明の1つの実施形態において、相補的なオリゴマーは、1分子につき、親水性ポリマーに水素結合し得る少なくとも2つの官能基を含む相補的な低分子量またはオリゴマーの可塑剤である。
【0061】
適切な相補的なオリゴマーの例としては、限定されないが、低分子のポリアルコール(例えば、グリセロール)、モノマーおよびオリゴアルキレングリコール(例えば、ポリアルキレングリコールのカルボキシ末端およびアミノ末端誘導体を含む、エチレングリコールおよびプロピレングリコール、エーテルアルコール(例えば、グリコールエーテル)、炭酸の二価酸、ブタンジオールからオクタンジオールまでのアルカンジオール)が挙げられる。ポリアルキレングリコール(必要に応じてカルボキシ末端である)が、本明細書中で好ましく、約300〜600の範囲の分子量を有するポリエチレングリコールは、最適な相補的なオリゴマーである。
【0062】
単一の化合物(例えば、低分子量のポリアルキレングリコール(例えば、約300〜600の範囲の分子量を有するポリエチレングリコール))は、相補的なオリゴマーおよび低分子量の可塑剤の両方として役立ち得ることは、前述から理解される。
【0063】
「Preparation of Hydrophilic Pressure Sensitive Adhesives Having Optimized Adhesive Properties」について米国特許公開番号第2002/0037977号に記載されるように、前述の混合物中の親水性ポリマー対相補的なオリゴマーの比は、接着強さおよび結合力の両方に影響する。前述の特許出願に説明されるように、相補的なオリゴマーは、親水性ポリマー/相補的なオリゴマー混合物のガラス転移を、式(1)によって与えられるFox式によって予測されるより大きい程度まで減少させる。
【0064】
【数1】

ここで、Tg予測は、親水性ポリマー/相補的なオリゴマー混合物の予測ガラス転移温度であり、wpolは、混合物中における親水性ポリマーの重量画分であり、wplは、混合物中における相補的なオリゴマーの重量画分であり、Tgpolは、親水性ポリマーのガラス転移温度であり、およびTgplは、相補的なオリゴマーのガラス転移温度である。その特許出願でまた説明されるように、最適接着強さおよび結合力を有する接着組成物は、Tg予測からの予定されたずれを与えるために成分およびそれらの相対量を選択することによって、親水性ポリマーおよび相補的なオリゴマーから調製され得る。概して、接着を最大化するために、Tg予測からの予定されたずれは、最大ネガティブのずれであり、一方、接着を最小化するために、Tg予測からの任意のネガティブのずれは、最小化される。
【0065】
相補的なオリゴマーは、それ自体、可塑剤として作用し得るので、概して、必ずしも添加された可塑剤を組み入れる必要はない。しかし、組成物におけるさらなる低分子量の可塑剤の包含は、任意であり、いくつかの場合において、利点があり得る。適切な低分子量の可塑剤としては、以下が挙げられる:フタル酸ジアルキル、フタル酸ジシクロアルキル、フタル酸ジアリール、ならびに混合されたフタル酸アルキル−アリール(フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジアミルおよびフタル酸ジカプリルによって代表される);リン酸アルキルおよびリン酸アリール(例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレシル、およびリン酸トリフェニル);クエン酸アルキルおよびクエン酸エステル(例えば、クエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、およびクエン酸トリヘキシル);アジピン酸ジアルキル(例えば、アジピン酸ジオクチル(DOA));また、ビス(アジピン酸(2−エチルヘキシル))、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジ(2−メチルエチル)、およびアジピン酸ジヘキシル;酒石酸ジアルキル(例えば、酒石酸ジエチルおよび酒石酸ジブチル);セバシン酸ジアルキル(例えば、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピルおよびセバシン酸ジノニル);コハク酸ジアルキル(例えば、コハク酸ジエチルおよびコハク酸ジブチル);グリコール酸アルキル、グリセロール酸アルキル、グリコールエステルおよびグリセロールエステル(例えば、二酢酸グリセロール、三酢酸グリセロール(トリアセチン)、二酢酸モノ乳酸グリセロール、グリコール酸メチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチル、二酢酸エチレングリコール、ジ酪酸エチレングリコール、二酢酸トリエチレングリコール、ジ酪酸トリエチレングリコールおよび二プロピオン酸トリエチレングリコール);ならびにこれらの混合物。連続的な親水性の相についての好ましい低分子量の可塑剤は、クエン酸トリエチル、フタル酸ジエチル、およびアジピン酸ジオクチルであり、最も好ましいのは、アジピン酸ジオクチルである。
【0066】
本発明の組成物の特性は、製造の間に1つ以上のパラメーターを調整することによって容易に制御され得る。例えば、組成物の接着強さは、製造の間に、接着性を増加、減少、または除去するために、制御され得る。これは、異なる組成物のタイプおよび/または量を変化することによって、または製造の方法を変更することによって達成され得る。また、製造プロセスに関して、従来の溶解押出しプロセスを使用して調製された組成物が、必ずしも必要でないが、概して、溶液キャスト技術を使用して調製された組成物よりもいくらか粘性が少ない。さらに、ヒドロゲル組成物が、水と接触して膨張する程度は、異なる水膨潤性ポリマーを選択することおよび連続的な親水性の相を含むこれらの組成物において、水膨潤性で、水不溶性のポリマー対親水性ポリマー/相補的な可塑剤との混合物の比を調整することによって、変化し得る。これらの組成物は、外観において、きれいな透明から半透明、不透明まで変化し得る。さらに、特定の組成物は、親水性の相において、成分の相対量を変化することによって(例えば、セルロースエステルの量を減少させることによって)、または、製造方法を変化することによって(半透明のヒドロゲルは、溶解押出し形成よりも溶液キャストを使用して、より容易に取得される)、半透明になり得る。この方法において、半透明の組成物は、使用者に白化プロセスが生じる間、その白化プロセスの観測をすることを可能にさせ、歯が実質的に白化されるときを決定させる。
【0067】
上記のヒドロゲル組成物は、白化剤を含み、それによって、歯に適用する場合、送達系として作用する。本ヒドロゲル組成物の中へ「負荷された」白化剤の遊離は、代表的に、膨張−制御拡散メカニズムによって、水の吸収および薬剤の離脱の両方に関する。白化剤を含むヒドロゲル組成物は、例えば、局所的な薬学的処方物と同様の方法によって使用され得る。
【0068】
適切な歯を白化する薬剤としては、過酸化物、亜塩素酸塩金属、ペルボレート、ペルカルボネート、ペルオキシ酸、およびこれらの組み合わせが挙げられる。適切な過酸化物化合物としては、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化カルバミド、およびこれらの混合物が挙げられる。好ましい過酸化物は、過酸化水素および過酸化カルバミドである。他の適切な過酸化物としては、限定されないが、過酸化ジアルキル(例えば、過酸化t−ブチル、および2,2ビス(t−ブチルペルオキシ)プロパン)、過酸化ジアシル(例えば、過酸化ベンゾイルおよび過酸化アセチル)、パーエステル(perester)(例えば、安息香酸t−ブチルペルおよびt−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート)、ペルジカルボネート(perdicarbonate)(例えば、ジセチルペルオキシジカルボネートおよびジシクロヘキシルペルオキシジカルボネート)、ケトンペルオキシド(例えば、シクロヘキサノンペルオキシドおよびメチルエチルケトンペルオキシド)、ならびにヒドロペルオキシド(例えば、クメンヒドロペルオキシドおよびtert−ブチルヒドロペルオキシド)を含む、有機過酸化物が挙げられる。白化剤は、好ましくは、過酸化物(例えば、過酸化水素または過酸化カルバミド)であり、最も好ましくは、過酸化水素である。
【0069】
適切な亜塩素酸金属としては、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム、および亜塩素酸カリウム;次亜塩素酸塩および二酸化塩素が挙げられる。好ましい亜塩素酸塩としては、亜塩素酸ナトリウムである。
【0070】
(III.任意の添加物)
組成物はまた、歯および周囲の組織に関する生理学的な状態を処置する際に有用な任意の薬学的に活性な薬剤を含み得る。本明細書中で使用される場合、「薬学的に活性な薬剤」は、望ましくない生理学的な状態を処置するために、組成物から遊離され得る任意の物質である。望ましくない、歯または周囲の組織に関する生理学的な状態は:口臭;歯周感染および経口感染;歯周の損傷;虫歯または齲蝕;歯肉炎;ならびに他の歯周病、を含み、それらは、本発明品で処置できる。
【0071】
例えば、薬学的に活性な薬剤は、非ステロイド性の抗炎症性/鎮痛剤;ステロイド性の抗炎症薬;局所麻酔薬;殺菌剤/消毒薬;抗生物質;抗真菌剤;歯の減感剤;フッ化物虫歯予防/抗齲蝕剤;抗歯石/抗結石剤;プラーク、歯石または虫歯の形成を阻害する酵素;研磨剤(例えば、ピロリン酸塩);金属キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸、四ナトリウム塩);抗酸化剤(例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール);ブチル化ヒドロキシトルエン;歯および周囲の組織へ局所的に送達するための栄養剤;など、であり得る。
【0072】
適切な非ステロイド性の抗炎症性/鎮痛剤としては、アセトアミノフェン;サリチル酸メチル;サリチル酸モノグリコール;アスピリン;メフェナム酸;フルフェナム酸;インドメタシン;ジクロフェナク;アクロフェナク;ジクロフェナクナトリウム;イブプロフェン;フルルビプロフェン;フェンチザク;ブフェキサマック;ピロキシカム;フェニルブタゾン;オキシフェンブタゾン;クロフェゾン;ペンタゾシン;メピリゾール;およびチアラミド塩酸塩が挙げられる。
【0073】
適切なステロイド性の抗炎症薬としては、ヒドロコルチゾン;プレドニゾロン;デキサメタゾン;トリアムシノロンアセトニド;フルオシノロンアセトニド;酢酸ヒドロコルチゾン;酢酸プレドニゾロン;メチルプレドニゾロン;酢酸デキサメタゾン;ベタメタゾン;吉草酸ベタメタゾン;フルメタゾン;フルオロメトロン;ブデソニド;およびジプロピオン酸ベクロメタゾンが挙げられる。
【0074】
適切な局所麻酔薬としては、塩酸ジブカイン;ジブカイン;塩酸リドカイン;リドカイン;ベンゾカイン;p−ブチルアミノ安息香酸2−(ジエチルアミノ)エチルエステル塩酸塩;塩酸プロカイン;塩酸テトラカイン;塩酸クロロプロカイン;塩酸オキシプロカイン;メピバカイン;塩酸コカイン;および塩酸ピペロカインが挙げられる。
【0075】
適切な殺菌剤/消毒薬としては、チメロソール;フェノール;チモール;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;クロルヘキシジン;ヨウ化プロビドン;塩化セチルピリジニウム;オイゲノール、および臭化トリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0076】
適切な抗生物質としては、ペニシリン;メチシリン;オキサシリン;セファロチン;セファロリジン;エリスロマイシン;リンコマイシン;テトラサイクリン;クロルテトラサイクリン;オキシテトラサイクリン;メタサイクリン;クロラムフェニコール;カナマイシン;ストレプトマイシン;ゲンタマイシン;バシトラシン;およびシクロセリンが挙げられる。適切な抗真菌薬としては、アンホテリシン;クロトリマゾール;硝酸エコナゾール;フルコナゾール;グリセオフルビン;イトラコナゾール;ケトコナゾール;ミコナゾール;ナイスタチン;塩酸テルビナフィン;ウンデセン酸;およびウンデセノン酸亜鉛が挙げられる。
【0077】
適切な歯の減感剤としては、硝酸カリウムおよび塩化ストロンチウムが挙げられる。適切なフッ化物虫歯予防/抗齲蝕剤としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムおよびフッ化アンモニウムが挙げられる。
【0078】
さらなる白化剤としては、ホスフェート(例えば、ピロホスフェート、ポリホスフェート、ポリホスネート(例えば、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホネート、1−アザシクロヘプタン−1,1−ジホスホネート、および直鎖アルキルジホスホネート)、ならびにその塩);直鎖カルボン酸;およびクエン酸ナトリウム亜鉛;ならびにその混合物を含む、抗歯石/抗結石剤が挙げられる。好ましいピロリン酸塩は、ジアルカリ金属ピロリン酸塩、テトラアルカリ金属ピロリン酸塩;およびピロリン酸二ナトリウム二水素(Na)、ピロリン酸四ナトリウム(Na)、ならびにピロリン酸四カリウム(K)である。ピロリン酸塩は、Kirk&Othmer,Encyclopedia of Clinical Technology Third Edition,Volume17,Wiley−Interscience Publishers(1982)により詳細に記載されている。必要に応じて、白化剤としてはまた、Zofchakにより米国特許第6,315,991号に記載されているような、歯石溶解剤(例えば、ベタイン、アミンオキシドおよび4級物(quaternaries))が挙げられ得る。
【0079】
プラーク、結石または虫歯の形成を阻害するために作用する酵素剤はまた、組成物において有用である。酵素剤は、白化剤と一緒に保存され得るか、またはそれらは、本明細書中で記載されるような多層系の中の異なる層に配置され得る。適切な酵素としては以下:歯の表面上に吸収され、歯膜、またはプラークの第1の層を形成する唾液タンパク質を壊すプロテアーゼ;細菌細胞壁および膜の構造上の成分を形成するタンパク質および脂質を溶解することによって細菌を破壊するリパーゼ;デキストラナーゼ、グルカノヒドロラーゼ、エンドグリコシダーゼ、および歯への細菌接着のためのマトリックスを形成する細菌骨格構造を壊すムチナーゼ;ならびにカルシウムに結合する炭水化物−タンパク質複合体を壊すことによって結石の発生を防ぐアミラーゼ、が挙げられる。好ましい酵素としては、任意の商業的に利用可能なプロテアーゼ;デキストラナーゼ;グルカノヒドロラーゼ;エンドグリコシダーゼ;アミラーゼ;ムタナーゼ;リパーゼ;ムチナーゼ;およびその適合可能な混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、酵素の白化剤が利用され得る。
【0080】
必要に応じて、酵素の白化剤は、過酸化物がインサイチュで生成されるように、ペルオキシダーゼである。酵素の白化剤またはアンチプラーク剤が、組成物の中に組み込まれる場合、組成物は、酵素がその活性形態において保持されるようにするべきである(例えば、pHはおよそ中性で、取り除かれ得るかまたは過酸化物は分かれた層において含まれ得るべきである)。
【0081】
歯および周囲の組織への局所的な送達のための適切な栄養補給剤としては、ビタミン(例えば、ビタミンCおよびD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラアミノ安息香酸、ならびにバイオフラボノイド);および鉱物(例えば、カルシウム、リン、フッ化物、亜鉛、マンガン、およびカリウム);ならびにその混合物が挙げられる。本発明に有用なビタミンおよび鉱物は、Drug Facts and Comparisons(loose leaf drug information service),Wolters Kluer Company,St.Louis,Mo.,1997,pp3−17に開示されている。
【0082】
組成物は、任意の美容活性な薬剤もまた含み得る。本明細書中で使用される場合、「美容活性な薬剤」は、歯または周囲の組織の外見の所望の変化をもたらすために組成物から放出され得るか、または使用者に社会的に望ましい特徴(例えば、新鮮な息)を与える、任意の物質を含む。例えば、美容活性な薬剤は、息をきれいにする薬剤あるいは、歯の白化または漂白に効果をもたらす薬剤であり得る。西洋社会のいくつかの文化または特定の区域において、歯の着色が、重要であるかまたは、所望され得ることが認識されるので、美容活性な薬剤はまた、歯に色または色合いを与える任意の薬剤であり得る。
【0083】
さらなる白化剤は、組成物の中に含まれ得る。例えば、界面活性剤(例えば、洗剤)がまた、存在し得、より明るい外見を歯に提供するために上記の白化剤と一緒に機能する。
【0084】
任意のこれらの実施形態において、本発明の歯を白化する組成物は、好ましくは、歯を白化するための過酸化物を含み、慣例の添加剤(例えば、充填剤、保存剤、pH調節剤、軟化剤、増粘剤、着色料、顔料、染料、屈折性の粒子、安定剤、強化剤、薬学的活性剤、香味料または息をきれいにする薬剤、および浸透増加剤)もまた含み得る。これらの実施形態において、その接着は減少または除去され、慣例の脱粘着剤(detackifying agent)もまた、使用され得る。これらの添加剤、およびその量は、それらが、歯を白化する組成物の所望の化学特性および物理特性を顕著に妨害せず組成物中に含まれ得る歯を白化する薬剤の送達を妨害しないような方法で選択される。そのようなさらなる成分としては、着色剤化合物;食品添加物;フラボラント;甘味料;および保存剤が挙げられる。
【0085】
任意の天然または合成のフラボラントもしくは食品添加物(例えば、Chemicals Used in Food Processing,Pub.No.1274,National Academy of Sciences,ページ63−258に記載されているもの)が、使用され得る。適切なフラボラントとしては、当該分野において公知である、ウインターグリーン、ペパーミント、スペアミント、メンソール、フルーツ香味、バニラ、シナモン、スパイス、香味油およびオレオジン、ならびにその組み合わせが挙げられる。使用されるフラボラントの量は、香味タイプ、個々の香味、および所望される強さのような因子を受けて、通常に好みの問題である。好ましくは、組成物は、約0.1重量%〜約5重量%のフラボラントを含む。
【0086】
本発明に有用な甘味料としては、スクロース、フルクトース、アスパルテーム、キシリトールおよびサッカリンが挙げられる。好ましくは、組成物は、約0.001重量%〜約5.0重量%の量の甘味料を含む。
【0087】
装着される場合、組成物が人目につかないように、適切な基材は半透明であり得る。しかし、装着される場合、組成物が目立つように、基材または組成物は、必要に応じて、着色され得る。好ましくは、着色が所望される場合、色は基材中に存在する。例えば、基材は、消費者が喜びを見出し得る明るいか、またはあざやかな色で着色され得る。従って、基材は、着色化合物(例えば、基材を形成する物質に添加される場合に、色を与え得る染料、顔料または物質)を含む。
【0088】
例えば、一般に、人体と関連して食物、薬物、または化粧品と一緒に使用されるタイプの着色化合物、特に、「認定できる」または「認可から免除する」として分類される食物において使用を認可される色の添加剤は、基材に色をつけるために使用され得る。基材に色をつけるために使用される着色化合物は、天然源(例えば、野菜、鉱物または動物)から誘導され得るか、または天然誘導体の人工対応物であり得る。
【0089】
食物および摂取薬物に使用するための、Food Drug&Cosmetic Actの下で、現在、認定されている着色化合物としては、染料(例えば、FD&C Red
No.3(テトラヨードフルオレセインのナトリウム塩);Food Red 17(6−ヒドロキシ−5−{(2−メトキシ−5−メチル−4−スルホフェニル)アゾ}−2−ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩);Food Yellow13(キノフタロンのモノおよび二スルホン酸の混合物のナトリウム塩または2−(2−キノリル)インダンジオン);FD&C Yellow No.5(4−p−スルホフェニルアゾ−1−p−スルホフェニル−5−ヒドロキシピラゾール−3カルボン酸のナトリウム塩);FD&C Yellow No.6(p−スルホフェニルアゾ−B−ナフトール−6−モノスルホン酸のナトリウム塩);FD&C Green No.3(4−{[4−(N−エチル−p−スルホベンジルアミノ)−フェニル]−(4−ヒドロキシ−2−スルホニウム−フェニル)−mエチレン}−[1−(N−エチル−N−p−スルホベンジル)−3,5−シクロヘキサジエニミン]の二ナトリウム塩);FD&C Blue No.1(ジベンジルジエチルジアミノトリフェニルカルビノールトリスルホン酸硬石膏の二ナトリウム塩);FD&C Blue No.2(インジゴチンのジスルホン酸のナトリウム塩);FD&C Red No.40;Orange B;およびCitrus Red No.2;ならびに種々の割合におけるその組み合わせが挙げられる。
【0090】
FDA認可から免除された着色化合物としては、アンナット抽出物;β−アポ−8’−カロテナール;β−カロチン;ビートパウダー;カンタキサンチン;カラメル色素;ニンジン油;コチニール抽出物(カーミン);焼かれて、部分的に脱脂されて、料理された綿実粉末;グルコン酸第一鉄;果汁;ブドウ色素抽出物;ブドウ皮抽出物(エノシアニナ);パプリカ;パプリカオレオレジン;リボフラビン;サフラン;ウコン;ウコンオレオレジン;野菜ジュース;および種別の割合におけるその組み合わせが挙げられる。
【0091】
組成物における使用のための着色化合物の形態は、好ましくは、染色形態添加剤を含むが、基材を含む物質と適合するレーキ形態もまた、含み得る。粉末、顆粒、液体の形態または他の特別な目的の形態で提供される水溶性染料は、本発明に従って、使用され得る。好ましくは、「レーキ」、または染料の水不溶性形態は、基材を着色するために使用される。例えば、着色化合物の懸濁液が使用される場合、レーキ形態添加剤が使用され得る。アルミナ上のFD&C染料のカルシウム塩またはアルミニウム塩を伸長することによって調製される適切な水不溶性染色レーキとしては、FD&C Green#1レーキ、FD&C Blue#2レーキ、FD&C R&D#30レーキおよびFD&C#Yellow 15レーキが挙げられる。
【0092】
他の適切な着色化合物としては、非毒性で、水不溶性で無機の顔料(例えば、二酸化チタン;酸化クロム緑;群青およびピンク;ならびに酸化第二鉄)が挙げられる。そのような顔料は、好ましくは、約5ミクロン〜約1000ミクロン、さらに好ましくは、約250ミクロン〜約500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する。
【0093】
基材における着色化合物の濃度は、好ましくは、約0.05重量%〜約10重量%、さらに好ましくは、約0.1重量%〜約5重量%である。
【0094】
1つより多い着色化合物が、基材に存在し得るので、多数の色素がその中に与えられる。これらの多数の色素は、消費者が喜びを見出し得る縞、点、渦、または任意の他のデザインに模様をつけられ得る。着色化合物はまた、他の外見を高める物質(例えば、光沢剤)と一緒に使用され得る。
【0095】
接着が歯の表面である場合、吸収性の充填剤は、水和の程度を制御するために、有利に組み込まれ得る。そのような充填剤としては、微結晶性セルロース、タルク、ラクトース、カオリン、マンニトール、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、疎水性デンプン、硫酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸カルシウム二水和物、クレー(例えば、ラポナイト)、ウーブン紙およびノンウーブン紙ならびに木綿素材が挙げられ得る。他の適切な充填剤は、不活性、すなわち、実質的に非吸着剤であり、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンポリエーテルアミドコポリマー、ポリエステルおよびポリエステルコポリマー、ナイロンならびにレーヨンが挙げられる。好ましい充填剤はコロイダルシリカ(例えば、Cab−O−Sil(登録商標)(Cabot Corporation,Boston MA))である。
【0096】
保存剤の例としては、p−クロロ−m−クレゾール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエチルアルコール、クロロブタノール、4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピルエステル、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、二酢酸クロロヘキシジンまたはグルコン酸クロロヘキシジン、エタノール、およびプロピレングリコールが挙げられる。
【0097】
pH調節剤として有用な化合物としては、限定されないが、グリセロール緩衝液、クエン酸緩衝液、ホウ酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液が挙げられ、またはクエン酸−リン酸塩緩衝液もまた、ヒドロゲル組成物のpHが、口の環境のpHと適合されることを確実にするために含まれ得、歯の表面から鉱物を浸出しない。歯の鉱物質消失をせずに、最適に白化するために、カルシウムおよび/またはフッ化物塩が、組成物中に含まれ得る。
【0098】
適切な軟化剤としては、クエン酸エステル(例えば、トリエチルシトレートまたはアセチルトリエチルシトレート)、酒石酸エステル(例えば、ジブチルタートレート)、グリセロールエステル(例えば、二酢酸グリセロールおよびグリセロールトリアセテート);フタル酸エステル(例えば、フタル酸ジブチルおよびフタル酸ジエチル);および/または親水性界面活性剤、好ましくは、親水性非イオン性界面活性剤(例えば、糖の部分的な脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、およびポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル)が挙げられる。
【0099】
本明細書中の好ましい増粘剤は、天然に存在する化合物またはその誘導体であり、例としては以下:コラーゲン;ガラクトマンナン;デンプン;デンプン誘導体および加水分解産物;セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース);コロイド状のケイ酸;ならびに糖(例えば、ラクトース、サッカロース、フルクトースおよびグルコース)が挙げられる。合成増粘剤(例えば、ポリビニルアルコール、ビニルピロリドン−ビニルアセテート−コポリマー、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール)もまた、使用され得る。
【0100】
基材はまた、装飾品(例えば、ビーズ、ラインストーン、など)が、上記のような歯の上の組成物の適切な変形のために必要とされる基材の粘弾性特性を妨害しない限りは、これらの装飾品で包埋され得るかまたは装飾され得る。基材はまた、消費者に喜びを与えるかまたは魅力的なデザインされた文字、言葉、または像を表示する。
【0101】
(IV.製造工程:)
本発明の組成物は一般的に、溶解押出し成形可能で、それによって、簡単な混合および押出し成形工程を使用して調製され得る。組成物の成分は計り分けられ、次いで、例えば、BrabenderまたはBaker Perkins Blenderを使用して、一般的に、必ずしも高い温度の必要はないが、高温(例えば、約90℃〜140℃)で混合される。溶媒または水が、所望の場合、添加され得る。結果として生じる組成物は、シングル押出し成形機またはツイン押出し成形機を使用して押出し成形され得るか、あるいは小球状にされ得る。代替として、組成物の成分は1回で溶解され得、次いで、押出し成形する前に混合され得る。好ましくは、組成物は、適切な基材(例えば、裏層または剥離可能ライナー)の上で直接的に押出し成形され、次いで、圧力をかけられる。結果として生じるヒドロゲル含有フィルムの厚さは、ほとんどの目的について、約0.050mm〜0.80mmの範囲、より通常は、約0.37mm〜0.47mmの範囲である。
【0102】
代替として、組成物は、適切な溶媒中(例えば、代表的に約35%w/v〜60%w/vの範囲における濃度で、揮発性溶媒(例えば、酢酸エチル)または低級アルカノール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコールなど)が特に好まれる)で、組成物の成分を混合することによる、溶液キャスティングによって、調製され得る。溶液は、上記の適切な基材(例えば、裏層または遊離可能なライナー)の上でキャストされる。混合およびキャスティングの両方は、好ましくは室温で実施される。フィルムでコーティングされた基材は、次いで、約80℃〜100℃の範囲、最適には約90℃の温度で、約1時間〜4時間の範囲の間、最適には約2時間、焼かれる。従って、本発明の1つの実施形態は、本発明の組成物の中に組み込むための適切なヒドロゲルフィルムを調製するための方法であり、それは、以下の工程:溶媒中で、水膨潤性で、水不溶性のポリマー、親水性ポリマー、および親水性ポリマーに水素結合し得る相補的なオリゴマーの溶液を調製する工程;基材にコーティングを提供するために、その基材上に溶液の層を沈着させる工程;およびコーティングされた基材を、約1時間〜4時間の範囲の間、約80℃〜100℃の範囲の温度で加熱し、それによって、基材の上にヒドロゲルフィルムを提供する工程、を包含する。
【0103】
粘着性のヒドロゲル組成物が所望される場合、溶液キャスティングがまだ使用され得るが、溶解押出し成形が、好ましい工程である。実質的に非粘着性の組成物の調製については、溶液キャスティングが好まれる。また、溶解押出し成形は、本発明の任意の組成物のために使用され得る。
また、溶液キャスティングは、代表的に、これらの実施形態のために好まれるが、溶解押出し成形技術または溶解キャスティング技術のいずれかは、光透過性の組成物を調製するために使用され得る。従って、本発明の別の実施形態は、連続的な親水性の相から構成される組成物を形成するための方法であり、それは、以下の工程:水膨潤性で、水不溶性のポリマー、親水性のポリマー、および親水性ポリマーに水素結合し得る相補的なオリゴマーの混合物を、押出し成形機によって溶解処理して、押出し成形された組成物を形成する工程;適切な基材の上に所望の厚さのフィルムとして組成物を押出し成形する工程;ならびに、冷やす場合に、約1重量%〜20重量%の白化剤の濃度を得るために、過酸化物の水溶液をフィルムに装填する工程を、包含する。
【0104】
本発明はまた、1つ以上のさらなるヒドロゲル層または非ヒドロゲル層を含む多層系を有することを企図する。例えば、保存中に白化剤と適合し得ないさらなる活性剤を含むことを所望され得る。この様式において、1つの層は、白化剤含有ヒドロゲル層であり得、他の層は、さらなる活性剤を含有し得る。これらの他の層は、本明細書中に記載されたヒドロゲル組成物、または当該分野において公知の任意の他の生体適合性の処方物(例えば、ポリイソブチレン、ジメチルシロキサン、エチレン酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、酢酸セルロース、ブチレート、プロピオネート、エチルセルロースおよび水不溶性のアクリレート)から作製され得る。さらに、層の順序に依存して、粘着性の層(例えば、歯に直接的に配置される層)、および非粘着性の層(例えば、唇の最も近くに配置される外側の層)を有することが所望され得る。多層系を有する別の利点は、最外側の層に使用されるポリマーの割合が、製品に別の裏層を含有させなければならないことを避けるために非粘性の層を達成するように変化され得ることである。
【0105】
1つの実施形態において、組成物は、以下:歯の表面への適用後、組成物の外面として役立つ外側の基材;概して、本発明の接着性の組成物であり、必要に応じて、さらなる白化剤を含有する、歯に接着される歯接触接着層;および取り外し可能な剥離ライナー、を含有する。例えば、剥離ライナーの除去に対して、組成物は、処置される歯の表面に適用され、歯と接触する層が接触するように、歯の表面に配置される。別の実施形態において、組成物は、裏層または剥離ライナーを用いずにパッケージされる。従って、いったん、パッケージから除去されると、組成物は、歯の表面に適用される状態になる。
【0106】
基材は、主要な構造要素であり、製造中または使用中のいずれかに、組成物を支持体に提供する。基材のために使用される物質は、不活性で、ヒドロゲル組成物を吸収し得ないべきである。また、基材のために使用される物質は、本発明品を歯の外形に従うことを可能にし、唇または舌を摩擦あるいはそうでなければ刺激せずに、口の中に快適に装着されるべきである。基材のための有用な物質の例としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンおよびポリエーテルアミドがある。基材は、厚さにおいて好ましくは、約15ミクロン〜約250ミクロンの範囲であり、所望の場合、着色、金属化、または書くことのために適切なマットな仕上がりを提供され得る。
【0107】
1つの実施形態において、基材は好ましくは、必ずしも閉塞性ではない(すなわち、「通気性」でない)が、組成物中の白化剤を、層を通して漏出させず、口および歯ぐきの粘膜と接触させない。使用のために用意する場合、粘着性が増加して、組成物が歯に接着するように、組成物は予め湿らせておく。この実施形態の1つの利点は、白化剤が実質的に、基材を通して漏出し得ず、白化剤あるいは任意の不快な香味または感覚に敏感なこれらの個々の刺激を引き起こし得ないことである。
【0108】
他の適切な基材物質は、非ポリマー物質(例えば、ワックス(例えば、マイクロクリスタリンワックスまたはパラフィンワックス)、あるいはワックス/泡沫積層物)であり得る。パラフィンワックスは、約48℃〜75℃の融点および約300g/mol〜1400g/molの分子量を有する低分子量直鎖炭化水素で、代表的にFischer−Tropsch合成によって作製される。マイクロクリスタリンワックスは、可撓性で、外見上は非晶質様であり、パラフィンワックスより高い引張り強さおよびより小さい結晶サイズを有する傾向がある。マイクロクリスタリンワックスは代表的に、約60℃〜95℃の融点および約580g/mol〜700g/molの分子量を有し、直鎖炭化水素が存在し得るが、主に分枝炭化水素およびいくつかの環型化合物を含有する。基材物質はまた、連続気泡発泡体(例えば、ポリウレタン発泡体、ポリスチレン発泡体またはポリエチレン発泡体)であり得る。
【0109】
あるいは、別の実施形態において、基材は非閉塞性で、それによって、歯の位置にインサイチュで完全に水和し得る
剥離ライナーは、適用する前に系を保護するために役立つ使い捨ての要素である。剥離ライナーは、白化剤およびヒドロゲル組成物に不透過性の物質から形成されるべきであり、それは、接触接着剤から容易にはがされる。剥離ライナーは代表的に、シリコーンまたはフルオロカーボンで処理され、通常、ポリエステルおよびポリエチレンテレフタラートから作製される。
【0110】
好ましい組成物は代表的に、水不溶性で、水膨潤性のポリマーのようなアクリレートポリマー;および親水性ポリマーと親水性ポリマーに水素結合し得る相補的なオリゴマーとの混合物のようなポリビニルピロリドンとポリエチレングリコールとの混合物を使用して調製される。
【0111】
組成物の接着性フィルムは、約100℃〜170℃の範囲に及ぶ温度で、上記成分を一緒に熱溶解および混合することによって製造され得る。フィルムは、適切な基材の上に所望の厚さに押出し成形される。あるいは、成分は単一または混合の溶媒中で溶解され得、溶液が遊離フィルムまたは裏フィルムの上にキャストされ得る。次いで、溶媒はヒドロゲルフィルムを得るためにエバポレートされる。
【0112】
組成物に白化剤を装填するための1つの方法は、適切な基材の上に置かれたヒドロゲルの表面上に水溶液中の所望の白化剤を層状にする工程、または基材上に直接的に白化剤を配置する工程、を包含する。次いで、剥離ライナーは組成物の頂部に集められ、サンドイッチ構造を形成し、白化剤を含む溶液は、その水膨潤性の特性に起因して組成物の中に吸収される。あるいは、基材上の層状の組成物は、所望の濃度の白化剤を含む溶液中に浸され得、溶液は組成物の中に吸収され得る。液体を吸収する際の増量の割合を測定することによって、白化剤を有する組成物の装填パーセントが、決定および制御され得る。
【0113】
組成物の中に白化剤を装填するための別のアプローチは、固体または溶液として白化剤を溶媒中に溶解された組成物に添加することである。この装填の方法を使用する場合、より低い乾燥温度が所望されるが、次いで、混合物は従来のように、適切な基材の上にキャストされて、乾燥させられる。この様式で調製された組成物は、約1時間〜数日の範囲の期間、室温で乾燥され得る。
【0114】
代表的なフィルムの厚さは、約0.050mm〜0.80mm、好ましくは0.25mm〜0.50mmである。フィルムの厚さは重要ではなく、フィルムの中に組み込まれた白化剤の濃度、フィルムが歯に曝露される時間の長さ、着用者に所望される快適さのレベル、および矯正することを所望される汚れの程度によって変化され得る。
【0115】
(V.使用の方法:)
実施の際に、組成物は、そのパッケージから生成物を取り出す工程、剥離ライナー(含まれる場合)を取り除く工程、および接着性の層を白化を所望される歯(または白化剤の別の有用性が使用される場合、任意の体表面)に適用する工程によって、簡単に使用され得る。その組成物が歯の全体または任意の一部分、および一回で任意の数の歯に適用され得るように、本明細書中に記載される歯を白化するシステムは、種々のサイズにおいて提供され得る。使用者が組成物を所望の期間、装着する間、その基材は、閉塞性である場合、その組成物からの白化剤の漏出を減少または予防する。その組成物は、数分間ほどの少しの時間、数時間、一日中または一晩、所望の位置に維持され得、次いで、白化の所望の程度が達成される場合、取り除かれる。所望の場合、半透明の組成物が提供され得、他人に目障りまたは目立たずに装着される。
【0116】
その組成物は長期間、装着され得るが、一般的に約10分〜約24時間までの予定の期間、装着される。歯を白化する用途のために、好ましい時間は、約10分〜約8時間(例えば、一晩)であり、30分〜約1時間もまた、好ましい実施形態である。
【0117】
使用者は、指および親指の先で通常の指圧を基材に適用する工程、必要に応じて、適用する前にその組成物を湿らす工程によって、上側または下側の歯の周りにその組成物を配置し得る。平均の大人の指または親指の先の表面積が、約1平方センチメートルと仮定すれば、指および親指の先によって生成される通常の圧力は1平方センチメートルにつき、約100,000〜150,000パスカル(すなわち、約3lbs.または1.36kg)である。圧力は代表的に、約1秒または2秒間、各々の指および親指の先によって組成物に適用される。いったん、指および親指の先によって基材に適用された圧力が取り除かれると、組成物は歯の表面の形のままで、歯の表面に接着し、それが接して配置された軟組織に隣接する。
【0118】
その使用者が、その組成物を取り除く用意ができている場合、組成物は、歯の表面または他の体表面からはがすことによって簡単に除去され得る。所望の場合、その組成物は、さらなる白化の時間のために再び接着され得る。あとに残るいくらかの残留物は、最小限であり、従来の歯をきれいにする方法を使用して取り除かれ得る。
【0119】
本発明の1つの実施形態において、その組成物は固体であり、圧力感応性の接着性であり、水を吸収する。
【0120】
組成物はまた、非固体組成物として適用され得る(例えば、液体またはゲルとして適用される)。例えば、その使用者は、歯に適用するために、指の上にチューブから組成物を押出し得、歯の上に直接的にチューブから組成物を押出し得、ブラシまたは他の塗布具などの手段によって組成物を適用し得る。溶媒のエバポレーション後、液体組成物またはゲル組成物は乾燥して、歯の表面にマトリックス型ポリマーフィルムもしくはゲルを形成する。この液体組成物またはゲルフィルム形成組成物の1つの実施形態において、ヒドロゲルは、流動可能な特性を提供するために、十分な水または他の溶媒を含む。この組成物の別の実施形態において、液体組成物またはゲル組成物のポリマー成分は、周囲温度および約4℃の冷蔵庫の温度の両方で、水−エタノール混合物に溶解でき、ならびに溶媒エバポレーション状態で混和できる。この液体組成物またはゲルフィルム形成組成物のさらに別の実施形態において、ポリマー組成物は、エタノール−水混合物中で約36℃の下部臨界完溶温度を有する。結果として生じるフィルム(溶媒エバポレーション後)は、好ましくは、過酸化水素と歯のエナメル質との間の長く続く接触を提供するために、体温での唾液において不溶性であるかまたはゆっくり溶解する。最終的に、過酸化水素は、液体組成物またはゲル組成物の両方、ならびに乾燥状態のポリマーフィルム内で、安定であり得る。
【0121】
本発明の実施は、別の方法が示されない場合、当該分野の技術範囲内であるポリマー化学、接着剤製造、およびヒドロゲル調製物の従来からの技術を使用する。そのような技術は、文献で完全に説明される。
【0122】
本発明は、その好ましい特定の実施形態、前述の説明、ならびに以下の実施例と併せて記載されているが、例示であって、本発明の範囲を限定しないことが意図されることは理解される。他の局面、利点および改変は、本発明に関係する当業者に明白である。
【0123】
以下の実施例は、本発明の化合物の作製方法および使用方法の完全な開示ならびに説明を当業者に提供するために示され、本発明者が自身の発明とみなすその範囲を限定することを意図されない。数値(例えば、量、温度など)についての正確さを確実にするための努力はされているが、いくらかの誤差および偏差が考慮されるべきである。別の方法が示されない場合、部は重量部であり、温度は摂氏温度(℃)であり、および圧力は大気圧であるか、または大気圧付近である。
【0124】
以下の略語および商品名が、実施例において使用される:
【0125】
【表2】

【実施例】
【0126】
(実施例1)
(固体組成物の調製)
歯を白化するための組成物の1つの実施形態を、溶融押出し成形工程を使用して、以下の成分から調製した:
【0127】
【表3】

成分を以下のようにBrabenderシングルスクリュー押出し成形機中で溶融加工を行った:Eudragit L100−55を、100〜150℃の温度で、最初に押出し成形機に加えて、続いてPVPおよびPEGを加えた。その組成物を、2つのポリエチレンテレフタレート剥離ライナーとの間に0.35mmの厚さに押出した。過酸化水素水を、押出されたフィルムに加えた。
【0128】
(実施例2)
(インビトロでの固体組成物からの過酸化水素の遊離)
pH7.0の緩衝液におけるインビトロでの本発明の歯を白化する組成物からの過酸化水素の遊離を調べて、市販の製品であるCrest WhitestripsTM(Proctor&Gamble Co.,Cincinnati,OHの製品であり、「Crest製品」と称する)から遊離される過酸化物と比較した。Crest製品は、薄いポリエチレンフィルム上のCarbopol 956ゲル中に5.3%過酸化水素を含む。
【0129】
インビトロでの、3%、6%または9%の過酸化物を含む組成物(実施例1で示されたように処方される)からの過酸化水素の遊離を、Crest製品からの過酸化水素の遊離と比較した。試験組成物またはCrest製品を、濾紙を通して溶液中に過酸化物を遊離させ、そしてその過酸化物を、標準的な分析技術を使用して測定した。Crest製品について、過酸化物のレベルが、約30分以内に基準線まで減少することを観察した。このデータは、公開されたデータ(Pagel,P.A.ら(2000)Vital Tooth Whitening with a Novel Hydrogen Peroxide Strip System:Design,Kinetics, and Clinical Response.Compendium,Suppl.29,Vol.21:S10−S15)と類似している。
【0130】
本発明の歯を白化する組成物は、開始濃度に比例した速度で、過酸化物を遊離した。本発明の組成物はまた、過酸化物含有量を試験する全ての時間:5分、30分および60分で、Crest製品より高い速度で過酸化物を遊離することが見出された。Crest製品に近い、6%過酸化物を含む組成物についての過酸化物の遊離は、各々の時点でのCrest製品についての遊離速度の、それぞれ、約7.5倍、24倍および10倍大きかった。3%過酸化物を含む組成物についての過酸化物の遊離は、各々の時点でのCrest製品についての遊離速度の、それぞれ、約3倍、7倍および5倍大きかった。
【0131】
(実施例3)
(固体組成物の効果)
歯を白化する組成物の効果を、以下の手順を使用して試験した。被験体に1日に1回、1時間、連続して6日間、下部のひとそろいの歯に組成物を適用することによって、実施例1に記載された手順に従って調製された歯を白化する組成物の効果を試験した。被験体の歯の色調を、歯を白化する組成物を用いた歯の処置の前および後、Professional Tooth Shade Guideを使用して測定した。1日目、被験体の歯を、色調12と等級付けし、歯を白化する組成物を用いた処置の1時間後、歯を色調10と等級付けした。2日目に歯を白化する組成物を用いた処置の1時間後、被験体の歯を色調8と等級付けした。3日目の処置の1時間後、被験体の歯を色調5と等級付けした。同様に、4日目の処置の1時間後、被験体の歯を色調4/5と等級付けした。5日目に、処置の1時間後、被験体の歯を色調2/3と等級付けした。最も明るい色調が、6日目の処置のさらに30分後、2の色調に到達して、達成された。このように、歯を白化する組成物の効果は、処置の1時間以内に重要な結果が得られることが、明らかになった。
【0132】
(実施例4)
(非固体組成物の調製)
歯を白化するための組成物を、以下の成分から調製した
【0133】
【表4】

その組成物を、以下のようにテフロン(登録商標)コーティングされたインペラー(直径2インチ)備えたCole−Parmer高トルク低スピードラボミキサー中で混合した。脱イオン水を、エタノールと一緒に混合し、続いて、PEGを加えた。次いで、はげしい攪拌条件の下で、クエン酸ナトリウムを加えた。Eudragit L 100−55粉末を、はげしい攪拌(500〜600rpm)の下で、ゆっくりと(2〜5分以内で)加えた。約5〜10分後(全てのEudragitが溶解するまで、必ずしも待つ必要はない)、PVP粉末をゆっくりと(5分以内で)加えた。高い攪拌速度を、5〜10分にわたって、維持した。過酸化カルバミド粉末を加えて(1〜2分以内で)、均一溶液を得るために、その混合物を攪拌した(800〜900rpmで約30分)。次いでその溶液を、気泡を消すために2〜5時間にわたって、保存した。
【0134】
(実施例5)
(非固体組成物の調製)
歯を白化するための組成物を、以下の成分から調製した
【0135】
【表5】

その組成物を、テフロン(登録商標)コーティングされたインペラー(直径2インチ)を備えたCole−Parmer高トルク低スピードラボミキサー中で混合した。脱イオン水をエタノールと一緒に混合し、続いて、PEGを加えた。次いで、クエン酸ナトリウムを、はげしい攪拌条件の下で、加えた。Eudragit L 100−55粉末を、はげしい攪拌(500〜600rpm)の下で、ゆっくりと(5分以内で)加え、続いて、はげしい攪拌(500〜600rpm)の下で、ゆっくりと(5分以内で)MethocelA4C粉末を加えた。約10分後、PVP粉末を、ゆっくりと(5分以内で)加えた。高い攪拌速度を5〜10分にわたって、維持した。過酸化カルバミド粉末を、加えて(1〜2分以内で)、均一溶液を得るために、その混合物を攪拌した(500〜800rpmで約30〜60分)。次いでその溶液を、気泡を消すために2〜5時間にわたって、保存した。
【0136】
(実施例6)
(インビトロでの非固体組成物についての溶解比較研究)
実施例4(処方A)および実施例5(処方B)に記載された手順に従って調製された歯を白化する非固体組成物の溶解を、18.0重量%過酸化カルバミドを含む、市販の製品である、Simply WhiteTMクリアホワイトニングゲル(Colgate−Palmolive Company,New York,NYの製品で、「Colgate製品」と称する)の溶解と比較した。溶解プロセスを、ウェッジマイクロインターフェロメトリー技術によって研究した。
【0137】
処方Aが、ポリマー溶液から膨張したポリマー組成物を分離するはっきりした界面を形成することを見出した。界面上でポリマー濃度(およびそれによってポリマー粘性)の急落を観測した。そのような界面が、Colgate製品/水の互いによく混じりあった領域に存在することは見出されず、その干渉縞は、組成物マトリックスから水へ向かう方向にポリマー濃度(およびそれによってポリマー粘性)の滑らかな減少を有する完全に混和系の特色を示した。処方Bは、不均一(コロイド状)の性質を有することが見出された。はっきりした界面が、不透明のゲルと半透明の水溶液との間に見出された。処方Bはまた、「より早い溶解」部分および「より遅い溶解」部分を有することが見出された。より遅い溶解部分は、不透明の不均一な膨張ゲルを包含する比較的薄い層を形成する。Colgate製品と反対に、液体媒体と接触することで、処方Aおよび処方Bの両方は、はっきりした界面によって液体から分離された、連続して一体化した粘性の膨張ゲルコーティングを形成し得る。処方Aおよび処方Bについての界面の形成を、4.6〜7.5までの範囲の異なるpHを有する水溶性媒体中で観測した。
【0138】
処方Aおよび処方Bを使用すると、ポリマー溶液から膨張したポリマーを分離するはっきりとした界面が形成される。そのような界面は、Colgate水の互いによく混じり合った領域に存在せず、その干渉縞は、処方Aマトリックスおよび処方Bマトリックスから水へ向かう方向にポリマー濃度(およびそれによってポリマー粘性)の滑らかな減少を有する完全に混和系の特色を示す。
【0139】
処方Aまたは処方Bの中への水の、ならびに水の中への処方Aまたは処方Bの有効物質伝達係数は、Colgateならびに処方Aおよび処方Bに関して匹敵する。しかし、Colgate製品と反対に、はっきりとした界面の生成物形成の場合において、水溶液から膨張一体化ゲルを分離することが観測される。界面の有効拡散係数は、処方Aまたは処方Bの中への水の、および水の中への処方Aまたは処方Bのものより、1〜2オーダー低い。水溶性媒体中の処方Aおよび処方Bによって形成された膨張したゲルの層は、持続した溶出速度でコーティングを保護する役割を果たし得る。膨張したゲルはまた、歯の表面上の処方Aおよび処方Bの残留時間を増加させるための機械的支持を提供する。
【0140】
水の中への組成物の浸透の動力学は、処方Aおよび処方Bについて実質的に同一であったが、界面置換の動力学は、処方Bについてはよりゆっくりであった。有効物質移動伝達係数は、Colgate製品ならびに処方Aおよび処方Bに匹敵した。しかし、処方Aおよび処方Bの場合において、水溶液から膨張した一体化ゲルを分離する、はっきりとした界面が観測された。
【0141】
処方Aおよび処方Bの実際の装着状態の侵食(およびそれによってそれらの装着時間)は、ほとんど2つの要因に依存した:1)組成物および水(唾液)の遊離相互拡散プロセス、ならびに2)装着時間中に、コーティングに課されるランダムな機械的剪断応力(すなわち、唇の動きによって引き起こされた摩擦)。前者の要因は、限定している理想的な(影響を受けない)プロセスとみなされ得るが、後者は、各々のコーティングの破壊(rapture)の事象は、最初の相互拡散状態を劇的に変化するので、劇的およびランダムな様式で装着時間に影響を与え得る(すなわち、コーティングの厚さおよび組成物の内容)。処方Aおよび処方Bは、10〜15分以上の間、歯にとどまるが、Colgate製品は、2〜3分以上の間、歯にとどまることが見出されたという予備的な装着の研究が示された。
【0142】
(実施例7)
(非固体組成物についてのインビトロでの効果の比較)
実施例4(処方A)に記載された手順に従って調製された歯を白化する非固体組成物のインビトロでの効果を、Colgate製品の溶解物と比較した。
【0143】
処方AおよびColgate製品の組成物を、「第1」処置を示すために、コップのお茶で汚れた壁に適用した。30秒後、コーティングされた表面を覆うためにコップの中に水を入れた。30分後、水を除去し、壁上のいくらか残っているゲルコーティングを除去するためにコップを水ですすいだ。その実験を「第2」処置を示すために、同じ汚れに各々の組成物を適用することによって繰り返した。
【0144】
処置される領域の画像を、デジタルカメラによって記録し、取得された画像を、Scion Imageソフトウェアを使用して、256ピクセルグレースケール画像に変換した。1のピクセル値が絶対白色に対応し、256の値が絶対暗色に対応するように、画像を測った。このようにして、中間のピクセル値(2〜255)を、1〜256へと暗さを増加させ、中間の色に対応させた。Scion Imageソフトウェアをまた、処置する領域の色濃度(pxl/pxl)を測定するために使用した。以下に示す結果は、処方Aの組成物が、市販のColgate製品より白化することを示す。処方Aについて観測されたより高い標準偏差が、始めのお茶の汚れた色の少ない均一性によって明らかにされる。
【0145】
【表6】

この実験を、「第1」処置だけ行われたことを除いて、実施例5(処方B)に記載された手順に従って調製された歯を白化する非固体組成物を使用して、繰り返した。
【0146】
【表7】

上記に示されたインビトロでのデータから示され得るように、処方Aの組成物の白化効果は、Colgate製品よりかなり優れており、処方Bの組成物の特性は、Colgate製品と処方Aのものとの中間である。
【0147】
(実施例8)
(インビトロでの非固体組成物からの過酸化水素水の遊離)
実施例4(処方A)の歯を白化する非固体組成物からの過酸化水素の遊離を、Colgate製品の溶解物と比較した。Colgate製品を、剥離ライナーの上に成形し、1日以上、室温で乾燥させた。約300〜400μの厚さである、Colgate製品の取得されたフィルムを、ガラスのビーカーの中に置いて、200mlの脱イオン水を加えた。処方Aの組成物を、ビーカーの底に成形した。2〜3分後、200mlの脱イオン水を加えた。適当な時間の後、膨張した残留物から溶液を正確に分離し、USP滴定方法に従って、過酸化水素濃度を測定した。Colgate製品および処方Aから遊離された過酸化水素の量を以下に示す。
【0148】
【表8】

Colgate製品と対照的に、処方Aによって形成されたフィルムから遊離する過酸化水素のプロファイルは、持続されて、最初の5分以内に活性剤の促進された送達という特徴を示した。水と接触して10分で、処方AはColgate製品より少ない過酸化水素を遊離した。水と接触して20分で、処方Aは、最初に負荷された過酸化水素水の20%を含有するが、Colgate製品は、過酸化水素を含有しなかった。これは、Colgate製品より、処方Aにおいて、ポリマーに結合するより強い過酸化水素を証明した。遊離およびフィルム溶解データを比較することによって、処方Aフィルムの中に取り入れられた過酸化水素の含有量は、ゆるい過酸化水素への結合または強い過酸化水素への結合のいずれかであると分類され得るという結論もまた、得られた。これは、全ての過酸化水素がゆるい結合であるColgate製品と対照であった。
【0149】
(実施例9)
(非固体組成物のインビボでの効果の比較)
処方Aおよび処方Bの歯を白化する非固体組成物のインビボでの効果を、Colgate製品の溶解物と比較した。処方Aおよび処方Bの白化効果を、Vita Shadeガイド値で指向したスケールを使用してColgate製品の効果と比較した。その研究を二重盲検予備試験で、類似したグループにランダムに行った。A3以上の暗さのVita
Shadeガイド値を指向したスケールを6本の上顎の前歯のうち最低4本に関して有する11人の被験体を、研究に参加させるために募集した。
【0150】
全ての11人の被験体を、上顎の中切歯のVita色調に基づいて3つの処置グループの1つにランダムに割り当てた。被験体は、14日間の使用に十分な製品を受け取り、1日に2回、2週間以上、製品を使用するように指示された。Vitaアセスメントに基づいて被験者を面接し、処方A、処方BおよびColgate製品の全てが、処置の7日間から統計的に有意な白化効果を提供することが明らかになった。白化の最も良い効果を、処方Aについて観測した。処方Bは、処方AとColgate製品との中間の白化効果を示した。処方Aは、Colgate製品と比較して、より速い歯の白化効果を示した。
(実施例10)
(非固体組成物の調製)
歯を白化するための組成物を、以下の成分から調製した:
【0151】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2013−49732(P2013−49732A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−272257(P2012−272257)
【出願日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【分割の表示】特願2010−175811(P2010−175811)の分割
【原出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【出願人】(503360296)コリウム インターナショナル, インコーポレイテッド (10)
【出願人】(503013358)エイ.ブイ.トップチーブ インスティテュート オブ ペトロケミカル シンセシス (9)
【Fターム(参考)】