説明

歯磨剤組成物及び洗口剤組成物

【課題】口腔内でのフッ化物の初期滞留性、唾液フロー下の口腔内での長時間フッ化物滞留性、使用性に優れ、口腔内プラークや粘膜及び歯に吸着して、効果的にう蝕を予防・改善し得る歯磨剤組成物および洗口剤組成物の提供。
【解決手段】ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれるポリマーの、ポリマー分子中にモノフルオロリン酸が共有結合した重量平均分子量5,000〜500,000の水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物(A)と、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム、ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる粘結剤(B)とを、(A)/(B)の質量比が0.5〜10で配合してなる歯磨剤組成物、及び上記(A)/(B)が0.5〜20で配合してなる洗口剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内へのフッ化物滞留性に優れ、かつフッ化物滞留時間が長く持続的に滞留し、使用性も良好な、モノフルオロリン酸が共有結合した水溶性高分子化合物及び特定の粘結剤を含有する歯磨剤組成物及び洗口剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口腔の疾患の一つであるう蝕予防を目的に、フッ化物配合歯磨剤の使用が日常のセルフケア行動として推奨されている。フッ化物のう蝕予防機構は、歯質をフルオロアパタイト化することによりその耐酸性を強化したり、初期う蝕を再石灰化により修復し、元の健康な歯質に回復させることである。フッ化物としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム及びフッ化スズが挙げられるが、その効果を向上させるためにこれらの物質の口腔内滞留性を上げる技術の開発(コーティング物質との併用)が行われている(特許文献1;特表2006−511553号公報、特許文献2;特開2006−16424号公報)。しかし、これら技術は、歯面への細菌付着抑制や、口腔内へのフッ素滞留性向上を目的としているが、その効果は一時的なものであり、う蝕の効果的な予防には至っていない。
【0003】
う蝕を効果的に予防するには、口腔内に数ppmレベルのフッ化物イオンを長時間にわたって滞留させることが重要であり、そのようなフッ化物イオン徐放・滞留機能を有する口腔用組成物が望まれている。
【0004】
特許文献3(特開2002−145715号公報)では、フッ素徐放成分とアクリル系モノマー、重合開始剤及び金属酸化物を含む有機フィラーが例示されているが、このような充填用混合物では、口腔内へのフッ化物イオンの徐放を制御するのが困難である上、イオン量に限りがある。
【0005】
特許文献4及び5(特開昭57−88106号公報、特開昭62−12706号公報)では、酸フルオライド基を有するビニルモノマー単位を構成単位とするフッ化物イオン徐放性ポリマーが提案されているが、これらの組成物は口の中で重合する水不溶性の歯科用充填剤であり、炭素−フッ素間共有結合の切断及びリン−フッ素間共有結合を切断するリン酸加水分解酵素の浸入は極めて困難であり、フッ化物イオンが効率的に徐放されるとは考えにくい。また、口腔用組成物に使用した場合、水不溶性のため使用感も悪い。
【0006】
いずれの技術も、口腔への適用を考慮した場合、使用感、口腔用組成物への配合性、口腔内へのフッ化物滞留性及び口腔内における長時間のフッ化物イオン徐放機能などを総合的に考慮して設計されておらず、有効性、安定性、及び利便性において課題がある。
【0007】
【特許文献1】特表2006−511553号公報
【特許文献2】特開2006−16424号公報
【特許文献3】特開2002−145715号公報
【特許文献4】特開昭57−88106号公報
【特許文献5】特開昭62−12706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、口腔内へのフッ化物の初期滞留性及び唾液フロー後におけるフッ化物の滞留性に優れ、かつ使用性が良好な歯磨剤組成物及び洗口剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種のポリマーの分子中の水酸基の水素原子の一部又は全部がモノフルオロリン酸残基で置換され、分子中にモノフルオロリン酸が共有結合した重量平均分子量5,000〜500,000の水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物(A)と、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム、ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種の粘結剤(B)とを、(A)/(B)を特定の質量比で配合することにより、口腔内でのフッ化物の初期滞留性に優れ、かつ唾液フロー下においても長時間フッ化物を滞留させることができ、フッ化物を持続的かつ効果的に口腔内に滞留させ得る上、歯磨剤に調製した場合は保型性に優れ、洗口剤等の液体剤型に調製した場合は収容容器から注ぎ易く、使用性に優れた歯磨剤組成物及び洗口剤組成物が得られ、う蝕を効果的に予防・改善し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
本発明では、水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物が口腔内ではプラークや粘膜及び歯に吸着し、口腔内のリン酸加水分解酵素によって、水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物中のフルオロリン酸基のF−P結合が徐々に分解され、フッ化物の初期滞留性及び唾液フロー後におけるフッ化物の滞留性に優れ、有効性及び使用性に優れるもので、持続的かつ効果的にう蝕を予防・改善することができる。
【0011】
従って、本発明は、
(I)ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種のポリマーの、ポリマー分子中にモノフルオロリン酸が共有結合した重量平均分子量5,000〜500,000の水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物(A)と、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム、ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種の粘結剤(B)とを、(A)/(B)の質量比が0.5〜10で配合してなることを特徴とする歯磨剤組成物
(II)ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種のポリマーの、ポリマー分子中にモノフルオロリン酸が共有結合した重量平均分子量5,000〜500,000の水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物(A)と、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム、ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種の粘結剤(B)とを、(A)/(B)の質量比が0.5〜20で配合してなることを特徴とする洗口剤組成物
を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の歯磨剤組成物及び洗口剤組成物は、口腔内でのフッ化物の初期滞留性だけでなく、唾液フロー下においても、口腔内に長時間フッ化物を滞留させることができ、フッ化物の滞留時間にも優れ、口腔内プラークや粘膜及び歯に吸着して、効果的にう蝕を予防・改善し得る。更に、本発明組成物は、歯磨剤においては保型性に優れ、洗口剤においては収容容器から注ぎ易く、優れた使用性を有するもので、有効性及び使用性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の歯磨剤組成物及び洗口剤組成物は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種のポリマーの、ポリマー分子中にモノフルオロリン酸が共有結合した重量平均分子量5,000〜500,000の水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物(A)と、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム、ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種の粘結剤(B)とを含有し、(A)/(B)の質量比が特定割合であることを特徴とする。
【0014】
本発明に用いる水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物(A)は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種のポリマーの該ポリマー分子中の水酸基の水素原子の一部又は全部がモノフルオロリン酸残基で置換された水溶性高分子化合物であり、モノフルオロリン酸化ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマー、モノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロース、モノフルオロリン酸化ポリビニルアルコール、モノフルオロリン酸化ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる1種又は2種以上である。中でもモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマー、モノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロースが好適である。なお、(メタ)アクリルアミドとは、メタクリルアミドとアクリルアミドのいずれか一方又は両方を意味する。(メタ)アクリレートについても同様である。また、本発明において、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドは、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドであり、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートは(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリレートである。更に、ポリビニルアルコールには、一部の構成単位が酢酸ビニルであるような部分ケン化物も含む。
【0015】
上記水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物は、モノフルオロリン酸が共有結合した水溶性高分子化合物であり、具体的には、下記一般式(1)で表されるモノフルオロリン酸残基を、共有結合を介して分子中に有する水溶性高分子化合物である。
【0016】
【化1】

(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン又はトリエチルアミンを示す。)
【0017】
なお、高分子化合物中には一般式(1)で表されるモノフルオロリン酸残基を1種又は2種以上有することができ、部分中和物でもよい。
【0018】
本発明の水溶性高分子化合物は、モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して有する構成単位を有しているものであり、高分子化合物中の水酸基の水素原子の一部又は全部が上記モノフルオロリン酸残基で置換された水溶性高分子化合物である。
高分子化合物中の水酸基の水素原子が、上記モノフルオロリン酸残基で置換され、上記一般式(1)で表される基を有する。
【0019】
上記したように、水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物は、部分モノフルオロリン酸化物でよい。また、モノフルオロリン酸は、酸型、中和型、部分中和型のいずれでもよく、中和型、部分中和型における対イオンの種類としては、アルカリ金属、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン又はトリエチルアミンのいずれでもよい。
更に、水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物は、モノフルオロリン酸構造を主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよい。
【0020】
本発明にかかわる水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物は、国際出願PCT/JP2007/59023号に記載した製造方法を採用して調製することができる。
【0021】
調製方法としては、大別すると、(1)モノフルオロリン酸構造を、共有結合を介して有するモノマーを重合させる方法、(2)分子中に水酸基を有する高分子化合物にモノフルオロリン酸を共有結合させる方法等が挙げられる。(2)の分子中に水酸基を有する高分子化合物にモノフルオロリン酸を共有結合させる方法としては、具体的には、分子中に水酸基を有する高分子化合物とジフルオロリン酸又はその塩とを反応させる方法、分子中に水酸基を有する高分子化合物とモノフルオロリン酸を反応させる方法、分子中に水酸基を有する高分子化合物にオキシ塩化リン、及びフッ化ナトリウムやトリエチルアミン三フッ化水素塩等のフッ素源を反応させる方法等が挙げられる。これらのうち、モノフルオロリン酸構造を有するモノマーを重合させる方法では、重合反応中にモノフルオロリン酸が加水分解を受けて脱離するおそれがあり、更に、反応操作の単純さの観点から、分子中に水酸基を有する高分子化合物とジフルオロリン酸又はその塩とを反応させて、上記高分子化合物にモノフルオロリン酸を共有結合させる方法が好ましい。
【0022】
ここで、分子中に水酸基を有する高分子化合物と、ジフルオロリン酸又はその塩とを反応させるにあたり、上記高分子化合物から、水、エタノール等のプロトン供与性溶剤を除去することが望ましい。十分に除去されない場合、ジフルオロリン酸が加水分解を受けて、上記高分子化合物と効果的に反応できなくなる。プロトン供与性溶剤の除去の方法としては、減圧下又は真空下へ放置することによる除去、シリカゲル、モレキュラーシーブ等の乾燥剤、脱水剤を用いた除去等が挙げられる。また、反応の均一性、操作の安全性の点から、上記高分子化合物を各種非プロトン性溶媒に溶解させて反応させることが好ましい。非プロトン性溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等が挙げられ、この中でもジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルが好ましい。また、上記非プロトン性溶媒に混入している、水、エタノール等のプロトン供与性溶剤を除去することが望ましい。
【0023】
分子中に水酸基を有する高分子化合物と、ジフルオロリン酸又はその塩との反応は、外界からの水、エタノール等のプロトン供与性溶剤の混入を防止するため、窒素又はアルゴン等不活性雰囲気下で行うことが好ましい。また、水酸基とジフルオロリン酸との反応は発熱を伴うため、氷浴で冷却し、反応温度−20〜50℃、好適には−10〜30℃で、ジフルオロリン酸と高分子溶液のいずれか、又は両方を徐々に滴下しながら混合することが好ましい。高分子化合物中に存在する水酸基と、ジフルオロリン酸又はその塩とのモル比率は、目的とする高分子化合物中のモノフルオロリン酸構造の割合に応じて適宜変更できるが、水酸基:ジフルオロリン酸又はその塩(モル比)=1:1〜1:60、特に1:1〜1:20が好ましい。
【0024】
但し、分子中に水酸基を有する高分子化合物を、ジメチルスルホキシドに溶解させて反応させる場合においては、水酸基に対するジフルオロリン酸又はその塩(モル比)を5以上とすることが好ましく、より好ましくは水酸基:ジフルオロリン酸又はその塩(モル比)=1:7〜1:60である。
【0025】
分子中に水酸基を有する高分子化合物と、ジフルオロリン酸又はその塩との反応物には、未反応のジフルオロリン酸が残存しているため、減圧乾燥によって除く、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液等の添加によってモノフルオロリン酸塩へと反応させることが好ましい。また、反応液は中和することが好ましく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液等の添加によって、pH5〜9程度に中和することが好ましい。なお、未反応ジフルオロリン酸の除去に塩基性水溶液を用いる場合、その後の中和と同一工程として行うことが好ましい。その後、透析、限外ろ過等によって精製してもよい。
【0026】
本発明において、分子中に水酸基を有する高分子化合物は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれるポリマーであり、具体的にこれら高分子化合物をジフルオロリン酸又はその塩と反応させて水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物を調製するには、(i)モノフルオロリン酸を導入(以下、モノフルオロリン酸化と記す。)前の上記原料のポリマー(分子中に水酸基を有する高分子化合物)を調製する工程、(ii)(i)のポリマーをモノフルオロリン酸化する工程を行う。なお、原料のポリマーとして、例えばヒドロキシプロピルセルロースとしては、市販ポリマーを用いることができ、この場合は、(i)工程を行わずに市販ポリマーを用いて(ii)工程を行うことができる。
【0027】
ここで、モノフルオロリン酸を導入前の上記原料のポリマーを調製する工程では、通常のポリマーの合成方法を採用できる。
上記原料の水溶性高分子化合物は、上記原料の高分子化合物に対応するモノマー、具体的にはヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、酢酸ビニル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの重合により調製される。また、ポリビニルアルコールの調製法については、産業用等によく使用される方法である、重合時のモノマーとして酢酸ビニルを使用し、酢酸ビニル重合体を調製後、アセチル基を一部、又は全て加水分解することによりビニルアルコール重合体とする方法も好適に使用される。
【0028】
重合法としては、例えば溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、固相重合法等が挙げられる。溶液重合法によって重合する場合、溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン等の芳香族、脂肪族又は複素環式化合物、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン等の各種有機溶剤が使用できる。重合濃度は特に制限されないが、通常溶媒中のモノマー合計濃度が3〜90%(質量%、以下同様)、特に10〜80%で重合するのがよい。
モノマー重合の際に用いる重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド等のパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。重合開始剤濃度は、通常、使用するモノマー合計量に対して0.01〜30%、特に0.01〜3%が好ましい。更に、分子量を規制するためにアルキルメルカプタンのような連鎖移動剤、ルイス酸化合物等の重合促進剤、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸等のpH調整剤を使用してもよい。重合温度は、用いられる溶媒、重合開始剤により適宜定められるが、通常、室温〜150℃がよい。重合時間は、1〜10時間である。なお、本発明にかかわる高分子化合物は、使用する開始剤の量、重合溶媒の種類、重合時のモノマー濃度等の重合条件を調整することで、分子量を制御することができる。
以下に、本発明にかかわる水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物の調製方法の概略を例示する。
【0029】
a.モノフルオロリン酸化ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマーの調製
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにエタノール、イソプロピルアルコール、水などの溶媒を入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入する。次いで、オイルバスで60〜90℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド(株式会社興人製)溶液を、反応液中でのモノマー濃度が3〜50%となるように加える。また、溶媒がエタノールや、イソプロピルアルコールの場合は、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)、溶媒が水の場合は、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(商品名V−50:和光純薬工業株式会社製)などの重合開始剤溶液を、反応液中での重合開始剤濃度が0.01〜5%となるように加える。なお、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド溶液及び重合開始剤溶液は、連続的に滴下して重合反応を行うことが好ましい。滴下終了後、窒素を導入しながら60〜100℃で加温を3〜8時間続けた後、その反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000〜14,000)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマーを得る。
【0030】
次に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマーをジメチルスルホキシド(ドライ:MERCK製、以下、DMSOと略す。)などの溶媒に溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入する(ポリマー濃度1〜30%)。次に、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、ポリマー1gに対し、0.8〜50gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下する。2〜48時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和する。その後、反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000〜14,000)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整する。最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマーを得ることができる。
【0031】
b.モノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロースの調製
市販のヒドロキシプロピルセルロースをテトラヒドロフラン(脱水、関東化学株式会社製、以下、THFと略す。)に溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入する(ポリマー濃度1〜20%)。次に、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、ポリマー1gに対し、0.7〜40gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下する。2〜48時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和する。その後、反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000〜14,000)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整する。最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロースを得ることができる。
なお、市販のヒドロキシプロピルセルロースとしては、HPC−SLL、HPC−SL、HPC−L、HPC−M(以上、日本曹達株式会社製)、KLUCEL−GF(HERCULES製)などが用いられる。
【0032】
c.モノフルオロリン酸化ポリビニルアルコールの調製
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにメタノール等の溶媒を入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入する。次いで、オイルバスで60〜90℃に加温しながら、ここに酢酸ビニル(東京化成工業株式会社製)溶液を反応液中でのモノマー濃度が3〜90%、特に3〜80%となるように加える。また、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)などの重合開始剤溶液を、反応液中での重合開始剤濃度が0.01〜1%となるように加える。なお、酢酸ビニル溶液及び重合開始剤溶液は、連続的に滴下して重合反応を行うことが好ましい。滴下終了後、窒素を導入しながら60〜90℃で加温を3〜8時間続け、その反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000〜14,000)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、ポリ酢酸ビニルを得る。
次に、ポリ酢酸ビニルをけん化(加水分解)する。得られたポリ酢酸ビニル2gに対し、メタノール80〜200mLに溶解させ、30〜45℃に加温した後、40%水酸化ナトリウム水溶液1.5〜3mLを加え、撹拌した後放置する。20〜60分放置後、反応液を吸引ろ過し、残留物をメタノールで数回洗浄し、ソックスレー抽出器で2〜5時間抽出後、最後に、メタノールをエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリビニルアルコール(部分ケン化物を含む)を得る。
【0033】
次に、ポリビニルアルコールを2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入する。次に室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、ポリマー1gに対し、2〜110gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下する。2〜48時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和する。その後、反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000〜14,000)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整する。最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリビニルアルコールを得ることができる。
【0034】
d.モノフルオロリン酸化ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの調製
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにエタノール、水等の溶媒を入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入する。次いで、オイルバスで60〜100℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(株式会社興人製)を反応液中でのモノマー濃度が3〜50%となるように加える。また、溶媒がエタノールの場合は2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)、溶媒が水の場合は、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(商品名V−50:和光純薬工業株式会社製)などの重合開始剤溶液を、反応液中での重合開始剤濃度が0.01〜5%となるように加える。なお、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート溶液及び重合開始剤溶液は、連続的に滴下して重合反応を行うことが好ましい。滴下終了後、窒素を導入しながら60〜100℃に加温を続け、その反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000〜14,000)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、モノフルオロリン酸化導入前のポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを得る。
【0035】
次に、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートをジメチルスルホキシド(ドライ:MERCK製、DMSO)などの溶媒に溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入する(ポリマー濃度1〜30%)。次に、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、ポリマー1gに対し、1〜50gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下する。2〜48時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和する。その後、反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000〜14,000)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整する。最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを得ることができる。
【0036】
本発明で用いる水溶性高分子化合物の水溶性の定義は以下の方法で行う。
調製された高分子化合物0.5gを精秤し、予め精秤された蒸留水10gに室温で24時間(1cm×0.5cmのスターラーチップを用い、200〜300回転/分)撹拌溶解させ、透明な溶液となった場合、この高分子化合物は水溶性があると定義する。
【0037】
本発明で用いる水溶性のモノフルオロリン酸化高分子化合物は、重量平均分子量が5,000〜500,000、好ましくは10,000〜300,000のものである。重量平均分子量が5,000未満の場合には、刺激を感じたり、組成物中の他の成分の妨害を受け、十分なフッ化物滞留性が得られず、500,000を超えると組成物の使用性や酵素反応性(口腔内リン酸加水分解酵素によるF-イオン放出性)に問題が生じる。
【0038】
上記重量平均分子量は、下記方法で測定した値である。
水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物の重量平均分子量は、硝酸ナトリウム及びアセトニトリルを含む水を溶離液とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定、プルラン標準にて換算して算出する。例えば、高分子化合物の乾燥物を10mM硝酸ナトリウム、20体積%アセトニトリルを含む水に溶解させ、0.5%溶液を調製する。カラムには東ソー株式会社製TSK−GelG2500PWXLとTSK−GelGMPWXLを連結して設置し、カラムオーブン設定温度40℃(CO−8020、東ソー製)、溶離液は10mM硝酸ナトリウムと20体積%アセトニトリルを含む水を用い、流速0.5mL/min(ポンプ:DS−4、Shodex製)、検出はRI(RI−71、Shodex製)を用いる。
【0039】
なお、本発明にかかわるモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマー、モノフルオロリン酸化ポリビニルアルコール、モノフルオロリン酸化ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートは、上記(i)工程のモノフルオロリン酸導入前のポリマー調製工程において、使用する開始剤の量、重合溶媒の種類、重合時のモノマー濃度等の重合条件を調整することで、重量平均分子量を上記範囲に制御することができる。また、モノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロースは、モノフルオロリン酸化に使用する市販ポリマーの重量平均分子量を適宜選択することで、重量平均分子量を上記範囲に調整することができる。
【0040】
更に、水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物のフッ素導入率は、0.1〜18%、特には0.5〜15%、とりわけ1〜5%が好ましい。フッ素導入率が0.1%未満では、十分なフッ素放出量が得られないことがあり、また、18%を超えてフッ素を導入することは合成が困難な場合がある。なお、水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物のフッ素導入率は、反応溶媒の種類、ジフルオロリン酸の量、反応時間、反応温度を選定することで、適宜調整することができる。
【0041】
上記フッ素導入率は、導入されたフッ素原子量を高分子質量で除することで得られる。具体的には、既知量の水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物が溶解した水溶液に過塩素酸水溶液を加え、10〜20分間煮沸させることで、全てのモノフルオロリン酸基を加水分解させる。その後、クエン酸カリウム緩衝液(pH5.5)を加え、フッ素イオン電極によりフッ化物イオン濃度を測定する。最後に、測定されたフッ化物イオン濃度から換算して得られたフッ素量を高分子質量で除することで、フッ素導入率を算出する。
【0042】
本発明の歯磨剤組成物は、上記水溶性のモノフルオロリン酸化高分子化合物を組成物全体に対して0.5〜10%、特に1.0〜5.0%含有することが望ましい。含有量が0.5%に満たないと満足な配合効果が得られず、10%を超えると組成物の使用性が劣る場合がある。
また、洗口剤組成物は、上記水溶性のモノフルオロリン酸化高分子化合物を組成物全体に対して、0.1〜3%、特に0.5〜2.0%含有することが望ましい。含有量が0.1%に満たないと満足な配合効果が得られず、3%を超えると組成物の使用性が劣る場合がある。
【0043】
次に、粘結剤は、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム、ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種であり、1種を単独で使用しても2種以上を組み合わせてもよい。
【0044】
アルギン酸又はその塩として、具体的には、アルギン酸、アルギン酸カリウム、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸又はそのアルカリ金属塩を使用でき、溶解性、汎用性の点で、アルギン酸ナトリウムがより好ましい。
【0045】
市販品では、アルギン酸として、株式会社紀文フードケミファのダックアシッド、大日本住友製薬株式会社のアルギニックアシッド、アルギン酸カリウムとして、株式会社紀文フードケミファのカリアルギン、ISPジャパン株式会社のコスケルプ、アルギン酸ナトリウムとして、株式会社キミカのキミカアルギン、三晶株式会社のサンアルギン、株式会社紀文フードケミファのダックアルギンなどが挙げられる。
【0046】
カラギーナンとして、具体的には、カッパー、ラムダ、イオタ、カッパーラムダ、カッパーイオタのタイプを使用できる。
【0047】
市販品では、CPケルコ株式会社のGENUGEL、GENULACTA、GENUVISCO、GENUTINE、三栄源エフエフアイ株式会社のカラギニン、オービー社のAubygum、マリンサイエンス株式会社のKK−9、NL−V、日東海藻株式会社のタカラゲン、日本バイオコン株式会社のデルタゲル、マリンコロイド社のSEAKEM、VISCARIN、SEAGELなどが挙げられる。
【0048】
カルボキシメチルセルロース塩として、具体的には、セルロースにカルボキシメチル基を導入したカルボキシメチルセルロース酸をアルカリ処理したものであり、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースアンモニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムを使用できるが、水溶性及び汎用性の点で、カルボキシメチルセルロースナトリウムがより好ましい。
【0049】
市販品では、カルボキシメチルセルロースカルシウムとしては、ダイセル化学工業株式会社のECG、カルボキシメチルセルロースアンモニウムとしては、ダイセル化学工業株式会社のDN、カルボキシメチルセルロースナトリウムとしては、日本製紙ケミカル株式会社のサンローズF、A、P、三晶株式会社のフィンフィックス、セコール、ダイセル化学工業株式会社のCMCダイセル、第一工業製薬株式会社のセロゲンなどが挙げられる。
【0050】
キサンタンガムとしては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩であるカルボキシル基を含む一般的な多糖類を使用できる。市販品では、CPケルコ株式会社のエコーガム、モナートガム、ケルデント、ケルトロール、三晶株式会社のケルザン、日清オイリオグループ株式会社のノムコート、三栄源エフエフアイ株式会社のサンエース、ビストップなどが挙げられる。
【0051】
ポリアクリル酸又はその塩として、具体的には、ポリアクリル酸、架橋型ポリアクリル酸、ポリアクリル酸のナトリウム塩やカリウム塩、架橋型ポリアクリル酸のナトリウム塩やカリウム塩等のポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩を使用でき、汎用性の点で、ポリアクリル酸のナトリウム塩がより好ましい。
【0052】
市販品では、日本純薬株式会社のジュリマー、ジュンロン、アロンビス、レオジック、日本触媒株式会社のアクアリックDL、YS、FH、HL、AS、昭和電工株式会社のビスコメートなどが挙げられる。
【0053】
粘結剤として、2種以上を組み合わせて用いる場合は、同種のグレード違い及び異種の組み合わせの両方が可能である。異種を組み合わせる場合は、特に剤の保型性の点で、アルギン酸塩とカラギーナン、カラギーナンとカルボキシメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩とポリアクリル酸塩、キサンタンガムとポリアクリル酸塩、アルギン酸ナトリウムとキサンタンガムとポリアクリル酸との組み合わせがより好ましい。
【0054】
上記粘結剤の配合量は、歯磨剤組成物では、組成物全体の0.1〜5%、特に製剤の保型性の点で0.5〜2.5%配合することが好ましく、0.1%に満たないと満足な配合効果が得られず、5%を超えると製剤の保型性が劣る場合がある。
洗口剤組成物の場合は、組成物全体の0.01〜2%、特に製剤の保型性の点で0.1〜1.0%が好ましく、0.01%に満たないと満足な配合効果が得られず、2%を超えると収容容器から注ぎ難くなる場合がある。
【0055】
更に、本発明の歯磨剤組成物において、上記水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物(A)と、粘結剤(B)との質量比((A)/(B))は、0.5〜10、フッ化物の滞留時間の点でより好ましくは1.0〜5.0である。質量比が0.5未満では、フッ化物の滞留時間が十分でなく、10を超えると、組成物の保型性に課題が生じ、使用性に劣る。
洗口剤組成物では、(A)/(B)が0.5〜20、フッ化物の滞留時間の点でより好ましくは1.0〜10である。質量比が0.5未満では、組成物が収容容器から注ぎ難くなり、使用性に問題が生じ、使用性にも劣り、20を超えると、フッ化物の滞留時間が十分でない。
【0056】
本発明の歯磨剤組成物は、ペースト状、液状、液体等の種々の形態に調製でき、練歯磨、液体歯磨、液状歯磨、潤製歯磨等の歯磨剤、特に練歯磨剤として調製できる。また、本発明の洗口剤組成物は、歯刷子を併用しない洗口剤として調製できる。
更に、上記必須成分に加えて、必要な任意成分を剤型に応じて配合することができる。任意成分としては、歯磨剤組成物の場合、例えば研磨剤、界面活性剤、湿潤剤、香料、甘味剤、防腐剤、各種有効成分、着色剤、pH調整剤、水等の溶媒を配合し得る。洗口剤組成物の場合は、例えば、研磨剤、湿潤剤、界面活性剤、香料、有効成分などを配合し、常法により調製することができる。
以下に任意成分の具体例を示すが、本発明の組成物に配合可能な成分はそれに制限されるものではない。
【0057】
研磨剤としては、結晶性シリカ、非晶性シリカ、ゼオライト、シリカゲル、アルミノシリケート、リン酸水素カルシウム無水和物、リン酸水素カルシウム2水和物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、第3リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、第4リン酸カルシウム、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる。
これらの研磨剤の配合量は、歯磨剤組成物全体の2〜40%、特に5〜20%とすることが好ましく、洗口剤組成物には、0〜10%、特に0〜5%が好ましい。
【0058】
界面活性剤としては、例えば、N−アシルアミノ酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、グリセリン脂肪酸エステルの硫酸塩などのアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアミドなどのノニオン界面活性剤などを使用できる。その配合量は、組成物の形態、使用目的等に応じ適宜選択される。例えば、練歯磨には0〜10%、洗口剤には0〜5%配合することができる。
【0059】
湿潤剤としては、例えば、ソルビット、70%ソルビット、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、マルチトール、ラクチット等が挙げられ、特に70%ソルビット、キシリトールが好ましい。これらの配合量は、通常、組成物全体に対して1〜50%配合することができる。
【0060】
香料としては、ペパーミント油、スペアミント油、アニス油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、カルダモン油、コリアンダー油、マンダリン油、ライム油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、ベイ油、レモングラス油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、ローズ油、ジャスミン油、グレープフルーツ油、スウィーティー油、柚油、イリスコンクリート、アブソリュートペパーミント、アブソリュートローズ、オレンジフラワー等の天然香料、及び、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、メントール、カルボン、アネトール、シネオール、サリチル酸メチル、シンナミックアルデヒド、オイゲノール、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、チモール、リナロール、リナリールアセテート、リモネン、メントン、メンチルアセテート、N−置換−パラメンタン−3−カルボキサミド、ピネン、オクチルアルデヒド、シトラール、プレゴン、カルビールアセテート、アニスアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、バニリン、ウンデカラクトン、ヘキサナール、ブタノール、イソアミルアルコール、ヘキセノール、ジメチルサルファイド、シクロテン、フルフラール、トリメチルピラジン、エチルラクテート、エチルチオアセテート等の単品香料、更に、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、バナナフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、マンゴーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー、フルーツミックスフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー等の調合香料等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。
【0061】
甘味剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、p−メトキシシンナミックアルデヒド、ソーマチン、パラチノース、エリスリトール、マルチトール等が挙げられる。
【0062】
防腐剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、エチレンジアミン四酢酸塩、塩化ベンザルコニウムなどが配合できる。
【0063】
その他各種有効成分としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化アンモニウムなどのフッ化物、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、デキストラナーゼ、ムタナーゼ等のグルカナーゼ、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アスコルビン酸、塩化リゾチーム、グリチルリチン酸及びその塩類、塩化ナトリウム、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、銅クロロフィリンナトリウム、グルコン酸銅等の銅化合物、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、アミラーゼ、メトキシエチレン、エピジヒドロコレステリン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ヒノキチオール、チモール、クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、ジヒドロコレステロール、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物が挙げられる。なお、上記有効成分は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量配合することができる。
【0064】
着色剤としては、青色1号、黄色4号、緑色3号、二酸化チタン等を通常量で配合することができる。
【0065】
本発明組成物のpHは、口腔内及び人体に安全性上問題ない範囲であれば、特に限定されるものではないが、上記水溶性のモノフルオロリン酸化高分子化合物の安定性の面から、望ましくはpH6〜9であり、更に望ましくはpH7〜9である。pH6未満の場合には水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物の安定性が低下する可能性があり、pH9を超える場合には、使用性や味が悪くなる場合がある。なお、必要に応じて、pH調整剤として、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等を適量配合し得る。
また、溶剤としてエタノール、水等を配合し得る。
【実施例】
【0066】
以下、調製例、実施例、比較例及び処方例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、各例中の配合%はいずれも質量百分率である。
【0067】
[調製例]
水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物の調製:
a−1)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーの調製1
〔高分子化合物の合成〕
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにイソプロピルアルコールを55g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで90℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリルアミド(株式会社興人製)15gをイソプロピルアルコール20gで溶かしたモノマー溶液と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.25gをイソプロピルアルコール10gで溶解した溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら100℃に加温を5時間続けた後、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを12g得た。この一連の操作を合計7回繰返し、合計84gのモノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
【0068】
次に、ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー5gをジメチルスルホキシド(ドライ:MERCK製、以下、DMSOと略す。)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下しpH7に中和し、その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整し、最後に水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを4.1g得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計82gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
【0069】
〔重量平均分子量の測定〕
重量平均分子量は、10mM硝酸ナトリウム、20体積%アセトニトリルを含む水を溶離液とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定、分子量5,800〜853,000のプルラン標準(P−82、昭和電工製)にて換算して算出した。具体的には、モノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーの乾燥物0.05gを10mM硝酸ナトリウム、20体積%アセトニトリルを含む水10gに溶解させ、0.5%溶液を調製した。カラムには東ソー株式会社製TSK−GelG2500PWXLとTSK−GelGMPWXLを連結して設置し、カラムオーブン設定温度40℃、流速0.5mL/min、検出はRIを用いて測定した。その結果、重量平均分子量は10,400であった。
【0070】
〔水溶性の評価〕
本発明で調製された高分子化合物の水溶性の評価は以下の方法で行った。
調製された高分子化合物0.5gを精秤し、予め精秤された蒸留水10gに室温で24時間(1cm×0.5cmのスターラーチップを用い、300回転/分)撹拌溶解させ、透明な溶液となった場合、この高分子化合物は水溶性があると判定した。
【0071】
〔フッ素導入率の計算〕
高分子化合物の0.1質量%水溶液1.6gに、1M過塩素酸水溶液2.4gを添加し、密封したPE製蓋付チューブ中に入れて、105℃で10分加熱した。その後、液0.4gを採取し、1.6gの1Mクエン酸カリウム緩衝液(pH5.5)と混合した後、フッ素イオン電極(Expandable Ion Analyzer EA920,Orion社製)によりフッ素量:Xp(ppm)を定量した。高分子質量に対するフッ素の質量濃度(フッ素導入率):F(質量%)を、以下の式により算出した。
F=Xp×1.25
その結果、Xpは2.32ppmであり、フッ素導入率は2.9%となった。
【0072】
a−2)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーの調製2
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにエタノールを30g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで90℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリルアミド(株式会社興人製)40gをエタノール20gで溶かしたモノマー溶液と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.05gをエタノール10gで溶解した溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら90℃に加温を5時間続けた後、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを14g得た。この一連の操作を合計8回繰返し、合計112gのモノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
【0073】
次に、ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー5gをジメチルスルホキシド(ドライ:MERCK製、DMSO)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。8時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和し、その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整し、最後に水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを4.2g得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計84gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
更に上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は153,000、フッ素導入率は3.1%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0074】
a−3)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーの調製3
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコに蒸留水を30g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで60℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリルアミド(株式会社興人製)40gを蒸留水20gで溶かしたモノマー溶液と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(商品名V−50:和光純薬工業株式会社製)0.08gを蒸留水10gで溶解した溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら60℃に加温を5時間続けた後、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを35g得た。この一連の操作を合計3回繰返し、合計105gのモノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
【0075】
次に、ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー5gをジメチルスルホキシド(ドライ:MERCK製、DMSO)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。10時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和し、その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整し、最後に水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを4.3g得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計86gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
更に上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は298,000、フッ素導入率は3.2%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0076】
a−4)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーの調製4
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにイソプロピルアルコールを65g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで90℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリルアミド(株式会社興人製)5gをイソプロピルアルコール20gで溶かしたモノマー溶液と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.5gをイソプロピルアルコール10gで溶解した溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら90℃に加温を5時間続けた後、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを4g得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計80gのモノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
【0077】
次に、ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー5gをジメチルスルホキシド(ドライ:MERCK製、DMSO)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和し、その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整し、最後に水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを3.9g得た。この一連の操作を合計15回繰返し、合計58.5gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
更に上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は5,200、フッ素導入率は2.8%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0078】
a−5)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーの調製5
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコに水を20g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで60℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリルアミド(株式会社興人製)50gを水20gで溶かしたモノマー溶液と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(商品名V−50:和光純薬工業株式会社製)0.05gを水10gで溶解した溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら60℃に加温を5時間続けた後、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを40g得た。この一連の操作を合計2回繰返し、合計80gのモノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
【0079】
次に、ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー5gをジメチルスルホキシド(ドライ:MERCK製、DMSO)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和し、その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整し、最後に水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを3.8g得た。この一連の操作を合計15回繰返し、合計57gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
更に上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は404,000、フッ素導入率は2.9%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0080】
a−6)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーの調製6
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにイソプロピルアルコールを65g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで90℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリルアミド(株式会社興人製)5gをイソプロピルアルコール20gで溶かしたモノマー溶液と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)1.25gをイソプロピルアルコール10gで溶解した溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら90℃に加温を5時間続けた後、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを4.2g得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計84gのモノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
【0081】
次に、ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー5gをジメチルスルホキシド(ドライ:MERCK製、DMSO)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和し、その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶分の除去を行い、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。この後、分画分子量3,000の限外ろ過膜(アミコンウルトラ−15、日本ミリポア株式会社製)を用いて、限外ろ過を行い(遠心操作:5000G、15分)ろ液を回収した。最後に水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを3.9g得た。この一連の操作を合計15回繰返し、合計58.5gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
更に上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は1,200、フッ素導入率は3.0%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0082】
a−7)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーの調製7
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコに水を20g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで55℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリルアミド(株式会社興人製)50gを水20gで溶かしたモノマー溶液と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(商品名V−50:和光純薬工業株式会社製)0.03gを水10gで溶解した溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら60℃に加温を5時間続けた後、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを39g得た。この一連の操作を合計3回繰返し、合計117gのモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
【0083】
次に、ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー5gをジメチルスルホキシド(ドライ:MERCK製、DMSO)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和し、その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整し、最後に水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを3.7g得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計74gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
更に上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は603,500、フッ素導入率は2.5%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0084】
a−8)非モノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーの調製
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにエタノールを30g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで90℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリルアミド(株式会社興人製)40gをエタノール20gで溶かしたモノマー溶液と、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.05gをエタノール10gで溶解した溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら90℃に加温を続け5時間続けた後、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを35g得た。この一連の操作を合計3回繰返し、合計105gのヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを得た。
また、このポリマー100gに蒸留水を加えて溶解させ、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した。最後に水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーを102g得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は147,000、フッ素導入率は0%であり、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0085】
b−1)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシプロピルセルロースの調製1
市販のヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SLL、日本曹達株式会社製)5gをTHF(関東化学株式会社製)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、30gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。この後、分画分子量30,000の限外ろ過膜(アミコンウルトラ−15、日本ミリポア株式会社製)を用いて、限外ろ過を行い(遠心操作:5000G、15分)ろ液を回収した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロース4.1gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計82gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシプロピルセルロースを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は14,000、フッ素導入率は3.1%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0086】
b−2)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシプロピルセルロースの調製2
市販のヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SL、日本曹達株式会社製)5gをTHF(関東化学株式会社製)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、30gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロース4.2gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計84gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシプロピルセルロースを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は140,000、フッ素導入率は3.2%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0087】
b−3)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシプロピルセルロースの調製3
市販のヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達株式会社製)5gをTHF(関東化学株式会社製)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、30gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロース4.0gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計80gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシプロピルセルロースを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は250,000、フッ素導入率は3.0%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0088】
b−4)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシプロピルセルロースの調製4
市販のヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SLL、日本曹達株式会社製)5gをTHF(関東化学株式会社製)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、30gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。この後、分画分子量10,000の限外ろ過膜(アミコンウルトラ−15、日本ミリポア株式会社製)を用いて、限外ろ過を行い(遠心操作:5000G、15分)ろ液を回収した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロース3.8gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計76gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシプロピルセルロースを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は5,300、フッ素導入率は2.9%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0089】
b−5)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシプロピルセルロースの調製5
市販のヒドロキシプロピルセルロース(KLUCEL−GF、HERCULES製)5gをTHF(関東化学株式会社製)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、30gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。4時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロース3.8gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計76gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシプロピルセルロースを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は450,000、フッ素導入率は2.8%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0090】
b−6)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシプロピルセルロースの調製6
市販のヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SLL、日本曹達株式会社製)5gをTHF(関東化学株式会社製)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、30gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。この後、分画分子量3,000の限外ろ過膜(アミコンウルトラ−15、日本ミリポア株式会社製)を用いて、限外ろ過を行い(遠心操作:5000G、15分)ろ液を回収した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロース3.7gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計74gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシプロピルセルロースを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は1,300、フッ素導入率は3.0%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0091】
b−7)モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシプロピルセルロースの調製7
市販のヒドロキシプロピルセルロース(HPC−M、日本曹達株式会社製)5gをTHF(関東化学株式会社製)45gに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入した。次に室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、30gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロース3.8gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計76gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ヒドロキシプロピルセルロースを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は700,000、フッ素導入率は2.6%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0092】
b−8)非モノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロースの調製
市販のヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SL、日本曹達株式会社製)5gを100gの蒸留水に溶解し、3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のヒドロキシプロピルセルロース4.9gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計98gのモノフルオロリン酸ヒドロキシプロピルセルロースを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は136,000、フッ素導入率は0%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0093】
c−1)モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリビニルアルコールの調製1
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにメタノールを85g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで62℃に加温しながら、ここに酢酸ビニル(東京化成工業株式会社製)を10gと、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.2gとメタノール5gからなる重合開始剤溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら62℃に加温を6時間続け、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、ポリ酢酸ビニルを9.0g得た。この一連の操作を合計25回繰返し、合計225gのポリ酢酸ビニルを得た。
次に、得られたポリ酢酸ビニル20gをメタノール1000mLに溶解させ、40℃に加温した後、40%水酸化ナトリウム水溶液20mLを加え、撹拌した後放置した。30分放置後、反応液を吸引ろ過し、残留物をメタノールで数回洗浄し、ソックスレー抽出器で3時間抽出後、最後に、メタノールをエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリビニルアルコール10gを得た。この一連の操作を合計10回繰返し、合計100gのポリビニルアルコールを得た。
【0094】
更に、ポリビニルアルコール5gを2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。更に5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリビニルアルコール4.1gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計82gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ポリビニルアルコールを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は10,100、フッ素導入率は1.8%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0095】
c−2)モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリビニルアルコールの調製2
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにメタノールを20g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで62℃に加温しながら、ここに酢酸ビニル(東京化成工業株式会社製)を75gと、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.03gとメタノール5gからなる重合開始剤溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら62℃に加温を6時間続け、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、ポリ酢酸ビニル60gを得た。この一連の操作を合計4回繰返し、合計240gのポリ酢酸ビニルを得た。
次に、得られたポリ酢酸ビニル20gをメタノール1000mLに溶解させ、40℃に加温した後、40質量%水酸化ナトリウム水溶液20mLを加え、撹拌した後放置した。30分放置後、反応液を吸引ろ過し、残留物をメタノールで数回洗浄し、ソックスレー抽出器で3時間抽出後、最後に、メタノールをエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリビニルアルコール10gを得た。この一連の操作を合計10回繰返し、合計100gのポリビニルアルコールを得た。
【0096】
更に、ポリビニルアルコール5gを2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。更に5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリビニルアルコール4.2gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計84gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ポリビニルアルコールを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は154,000、フッ素導入率は1.5%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0097】
c−3)モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリビニルアルコールの調製3
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコに酢酸エチルを20g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで62℃に加温しながら、ここに酢酸ビニル(東京化成工業株式会社製)を75gと、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.01gとメタノール5gからなる重合開始剤溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら62℃に加温を6時間続け、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、ポリ酢酸ビニル61gを得た。この一連の操作を合計4回繰返し、合計244gのポリ酢酸ビニルを得た。
次に、得られたポリ酢酸ビニル20gをメタノール1000mLに溶解させ、40℃に加温した後、40質量%水酸化ナトリウム水溶液20mLを加え、撹拌した後放置した。30分放置後、反応液を吸引ろ過し、残留物をメタノールで数回洗浄し、ソックスレー抽出器で3時間抽出後、最後に、メタノールをエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリビニルアルコール10gを得た。この一連の操作を合計10回繰返し、合計100gのポリビニルアルコールを得た。
【0098】
更に、ポリビニルアルコール5gを2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。更に10時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリビニルアルコール4.2gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計84gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ポリビニルアルコールを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は297,000、フッ素導入率は2.0%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0099】
c−4)モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリビニルアルコールの調製4
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにメタノールを90g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで62℃に加温しながら、ここに酢酸ビニル(東京化成工業株式会社製)を5gと、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.15gとメタノール5gからなる重合開始剤溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら62℃に加温を6時間続け、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、ポリ酢酸ビニル4gを得た。この一連の操作を合計50回繰返し、合計200gのポリ酢酸ビニルを得た。
次に、得られたポリ酢酸ビニル20gをメタノール1000mLに溶解させ、40℃に加温した後、40質量%水酸化ナトリウム水溶液20mLを加え、撹拌した後放置した。30分放置後、反応液を吸引ろ過し、残留物をメタノールで数回洗浄し、ソックスレー抽出器で3時間抽出後、最後に、メタノールをエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリビニルアルコール10gを得た。この一連の操作を合計10回繰返し、合計100gのポリビニルアルコールを得た。
【0100】
更に、ポリビニルアルコール5gを2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、40gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。更に5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリビニルアルコール3.9gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計78gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ポリビニルアルコールを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は5,100、フッ素導入率は1.2%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0101】
c−5)モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリビニルアルコールの調製5
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにメタノールを90g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで62℃に加温しながら、ここに酢酸ビニル(東京化成工業株式会社製)5gと、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.20gとメタノール5gからなる重合開始剤溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら62℃に加温を6時間続け、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、ポリ酢酸ビニル4gを得た。この一連の操作を合計50回繰返し、合計200gのポリ酢酸ビニルを得た。
次に、得られたポリ酢酸ビニル20gをメタノール1000mLに溶解させ、40℃に加温した後、40質量%水酸化ナトリウム水溶液20mLを加え、撹拌した後放置した。30分放置後、反応液を吸引ろ過し、残留物をメタノールで数回洗浄し、ソックスレー抽出器で3時間抽出後、最後に、メタノールをエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリビニルアルコール10gを得た。この一連の操作を合計10回繰返し、合計100gのポリビニルアルコールを得た。
【0102】
更に、ポリビニルアルコール5gを2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、7gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。更に5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。この後、分画分子量3,000の限外ろ過膜(アミコンウルトラ−15、日本ミリポア株式会社製)を用いて、限外ろ過を行い(遠心操作:5000G、15分)ろ液を回収した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリビニルアルコール3.7gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計74gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ポリビニルアルコールを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は1,100、フッ素導入率は1.5%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0103】
c−6)モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリビニルアルコールの調製6
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにメタノールを20g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで62℃に加温しながら、ここに酢酸ビニル(東京化成工業株式会社製)を100gと、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.03gとメタノール5gからなる重合開始剤溶液とを連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら62℃に加温を8時間続け、その反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、ポリ酢酸ビニル80gを得た。この一連の操作を合計3回繰返し、合計240gのポリ酢酸ビニルを得た。
次に、得られたポリ酢酸ビニル20gをメタノール1000mLに溶解させ、40℃に加温した後、40質量%水酸化ナトリウム水溶液20mLを加え、撹拌した後放置した。30分放置後、反応液を吸引ろ過し、残留物をメタノールで数回洗浄し、ソックスレー抽出器で3時間抽出後、最後に、メタノールをエバポレータ及び凍結乾燥で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリビニルアルコール10gを得た。この一連の操作を合計10回繰返し、合計100gのポリビニルアルコールを得た。
【0104】
更に、ポリビニルアルコール5gを2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。更に5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリビニルアルコール4.0gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計80gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ポリビニルアルコールを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は604,000、フッ素導入率は1.6%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0105】
d−1)モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリヒドロキシエチルアクリレートの調製1
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにイソプロピルアルコールを55g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで100℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリレート(株式会社興人製)15g及びイソプロピルアルコール20gからなるモノマー溶液に、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.25gとイソプロピルアルコール10gからなる重合開始剤溶液を連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら100℃に加温を5時間続け、その反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリヒドロキシエチルアクリレート12gを得た。この一連の操作を合計8回繰返し、合計96gのモノフルオロリン酸導入前のポリヒドロキシエチルアクリレートを得た。
【0106】
次に、ポリヒドロキシエチルアクリレート5gを45gのDMSOに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリヒドロキシエチルアクリレート4.1gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計82gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ポリヒドロキシエチルアクリレートを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は10,400、フッ素導入率は3.2%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0107】
d−2)モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリヒドロキシエチルアクリレートの調製2
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにエタノールを30g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで90℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリレート(株式会社興人製)40g及びエタノール20gからなるモノマー溶液に、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.05gとエタノール10gからなる重合開始剤溶液を連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら90℃に加温を5時間続け、その反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリヒドロキシエチルアクリレート33gを得た。この一連の操作を合計3回繰返し、合計99gのモノフルオロリン酸導入前のポリヒドロキシエチルアクリレートを得た。
【0108】
次に、ポリヒドロキシエチルアクリレート5gを45gのDMSOに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリヒドロキシエチルアクリレート4.2gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計84gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ポリヒドロキシエチルアクリレートを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は152,000、フッ素導入率は3.3%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0109】
d−3)モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリヒドロキシエチルアクリレートの調製3
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコに蒸留水を30g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで60℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリレート(株式会社興人製)40g及び蒸留水20gからなるモノマー溶液に、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(商品名V−50:和光純薬工業株式会社製)0.08gと蒸留水10gからなる重合開始剤溶液を連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら60℃に加温を5時間続け、その反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリヒドロキシエチルアクリレート35gを得た。この一連の操作を合計3回繰返し、合計105gのモノフルオロリン酸導入前のポリヒドロキシエチルアクリレートを得た。
【0110】
次に、ポリヒドロキシエチルアクリレート5gを45gのDMSOに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。8時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリヒドロキシエチルアクリレート4.0gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計80gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ポリヒドロキシエチルアクリレートを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は295,000、フッ素導入率は3.5%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0111】
d−4)モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリヒドロキシエチルアクリレートの調製4
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコに蒸留水を20g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで60℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリレート(株式会社興人製)50g及び蒸留水20gからなるモノマー溶液に、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(商品名V−50:和光純薬工業株式会社製)0.05gと蒸留水10gからなる重合開始剤溶液を連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら60℃に加温を5時間続け、その反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリヒドロキシエチルアクリレート40gを得た。この一連の操作を合計3回繰返し、合計120gのモノフルオロリン酸導入前のポリヒドロキシエチルアクリレートを得た。
【0112】
次に、ポリヒドロキシエチルアクリレート5gを45gのDMSOに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリヒドロキシエチルアクリレート4.0gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計80gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ポリヒドロキシエチルアクリレートを得た。
上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は402,000、フッ素導入率は2.9%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0113】
d−5)モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリヒドロキシエチルアクリレートの調製5
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコにイソプロピルアルコールを60g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで100℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリレート(株式会社興人製)5g及びイソプロピルアルコール20gからなるモノマー溶液に、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(商品名V−59:和光純薬工業株式会社製)0.30gとイソプロピルアルコール10gからなる重合開始剤溶液を連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら100℃に加温を5時間続け、その反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリヒドロキシエチルアクリレート4.2gを得た。この一連の操作を合計30回繰返し、合計126gのモノフルオロリン酸導入前のポリヒドロキシエチルアクリレートを得た。
【0114】
次に、ポリヒドロキシエチルアクリレート5gを45gのDMSOに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。更に5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量2,000、Spectrum Laboratories製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。この後、分画分子量3,000の限外ろ過膜(アミコンウルトラ−15、日本ミリポア株式会社製)を用いて、限外ろ過を行い(遠心操作:5000G、15分)ろ液を回収した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸化ポリヒドロキシエチルアクリレート3.8gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計76gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ポリヒドロキシエチルアクリレートを得た。
この後、上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は900、フッ素導入率は2.8%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0115】
d−6)モノフルオロリン酸ナトリウム化ポリヒドロキシエチルアクリレートの調製6
撹拌機、還流冷却器及び窒素導入管を取り付けた4つ口セパラブルフラスコに蒸留水を20g入れ、撹拌しながら窒素導入管より窒素ガスを導入した。次いで、オイルバスで60℃に加温しながら、ここにヒドロキシエチルアクリレート(株式会社興人製)50g及び蒸留水20gからなるモノマー溶液に、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド(商品名V−50:和光純薬工業株式会社製)0.03gと蒸留水10gからなる重合開始剤溶液を連続的に滴下して重合反応を行った。滴下終了後、窒素を導入しながら60℃に加温を5時間続け、その反応液を1〜5日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、最後に、水をエバポレータ及び凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、モノフルオロリン酸導入前のポリヒドロキシエチルアクリレート41gを得た。この一連の操作を合計3回繰返し、合計121gのモノフルオロリン酸導入前のポリヒドロキシエチルアクリレートを得た。
【0116】
次に、ポリヒドロキシエチルアクリレート5gを45gのDMSOに溶解させてから2つ口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し、室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら、70gのジフルオロリン酸(0.5水和物、シンクエスト製)を徐々に滴下した。5時間撹拌したのち、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、pH7に中和した。その後、反応液を3日間流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック東洋株式会社製)を用いて水不溶物を除去した後、水溶性部分を再度水酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最後に、水を凍結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによって、水溶性のモノフルオロリン酸化ポリヒドロキシエチルアクリレート4.0gを得た。この一連の操作を合計20回繰返し、合計80gのモノフルオロリン酸ナトリウム化(但し、部分中和物も含む)ポリヒドロキシエチルアクリレートを得た。
この後、上記a−1)と同様の条件で重量平均分子量及びフッ素導入率の測定をした結果、重量平均分子量は604,000、フッ素導入率は3.0%であった。
また、上記a−1)と同様に、水溶性の評価を行った結果、水溶性があると判定された。
【0117】
調製例a−8)で得られたヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー、調製例a−2)で得られたモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー、調製例d−2)で得られたモノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリレートポリマー、及び調製例d−2)で得られたモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリレートポリマーを、重水に1質量%溶解させ、プロトン核磁気共鳴分光法(1H−NMR;270MHz、JNM−EX270、日本電子データム製)による測定を行った。結果を図1〜4に示す。分子中に水酸基を有する高分子化合物は、ジフルオロリン酸との反応によりモノフルオロリン酸エステルを形成した場合、水酸基隣接メチレンのプロトンのピークがシフトするため、1H−NMR測定により共有結合形成を判定することが可能である。
「ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー(図1)」の場合、水酸基隣接メチレンのプロトンピークは、3.5〜3.7ppmに現れたが(ピーク面積相対値:2.00)、ジフルオロリン酸との反応物である「モノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー(図2)」には、3.5〜3.7ppmのピークが減少し(ピーク面積相対値:1.23)、代わりに、3.7〜4.1ppmにピークが出現した(ピーク面積相対値:0.57)。そして、他のピークはシフトしなかった。
「ヒドロキシエチルアクリレートポリマー(図3)」の場合、水酸基隣接メチレンのプロトンピークは、3.6〜3.8ppmに現れたが(ピーク面積相対値:2.00)、ジフルオロリン酸との反応物である「モノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリレートポリマー(図4)」には、3.6〜3.8ppmのピークが減少し(ピーク面積相対値:1.14)、代わりに、4.1〜4.3ppmにピークが出現した(ピーク面積相対値:0.81)。そして、他のピークはシフトしなかった。
この結果から、調製例a−2)で得られたモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーは、ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーの水酸基が、モノフルオロリン酸と共有結合を形成し、調製例d−2)で得られたモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリレートポリマーは、ヒドロキシエチルアクリレートポリマーの水酸基が、モノフルオロリン酸と共有結合を形成していることが確認された。
【0118】
上記で調製した高分子化合物について、重量平均分子量、フッ素導入率及び水溶性の評価結果について下記の表1にまとめた。
【0119】
【表1】

【0120】
[実施例、比較例]
表2,3に示す組成の歯磨剤及び洗口剤を下記方法で調製し、下記の評価を行った。
【0121】
歯磨剤の調製方法:
精製水中に水溶成分(水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物、ノニオン界面活性剤、甘味剤、pH調整剤、その他有効成分等)を常温で混合溶解させた後、湿潤剤、本発明の粘結剤等を混合し、ディスパーで溶解・分散させた。更に、小型真空擂潰機(石山工作所製)中で、これら分散液と香料、研磨剤等を混合後、アニオン界面活性剤を加えた。ニーダー内を4kPaまで減圧して脱泡を行い、更に混合を続けて歯磨剤100g(pHは6〜9の範囲)を得た。
【0122】
洗口剤の調製方法:
スリーワンモーターと回転羽根を有する撹拌機を装着したステンレス製容器に、規定量の精製水を投入し、配合成分のうち水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物、ノニオン界面活性剤、甘味剤、pH調整剤、その他有効成分等を撹拌しながら投入、溶解させA相を得た。一方、スリーワンモーターと回転羽根を有する撹拌機を装着した別のステンレス製容器に、規定量のエタノール、グリセリン等を投入し、香料等の油溶性成分を撹拌しながら投入、溶解させB相を得た。更に、A相にB相を加えて撹拌後、均一溶液として洗口剤100g(pHは6〜9の範囲)を得た。
【0123】
処置直後のフッ化物滞留性(直後フッ化物滞留性)の評価:
実施例及び比較例に記載の製剤を定法により調製後、歯磨剤の場合は、その5gに10gの人工唾液(CaCl2=1.5mmol/L、KH2PO4=5.0mmol/L、酢酸=100mmol/L、NaCl=100mmol/L、残部=水;pH7.0)を混合し撹拌した(口腔内で3倍希釈される歯磨剤を想定)。撹拌後、遠心分離機(Centrifuge 5804R,Hamburg,Germany)にて遠心分離(3000rpm,10分)し、得られた上清液を処置液とした。洗口剤の場合は、剤5gに0.5gの人工唾液を混合し、撹拌した(口腔内で若干希釈される洗口剤を想定)ものを処置液とした。それぞれの処置液5gをプライマリアコートされた直径100mmのスタンダードディッシュ(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社;口腔粘膜、ペリクル等の口腔内環境を想定)に注入し、歯磨剤の場合は5分間保持後に処置液を廃棄し、2gの超純水で洗浄を行った。洗口剤の場合は30秒間保持後に処置液を廃棄し、洗浄は行わなかった。それぞれ処置終了後、5u/mLの酸性フォスファターゼ(イモ由来;シグマ社)を含有する1mLのリン酸緩衝液(pH5)をディッシュに注入し、24時間、37℃で振とうすることで、ディッシュに滞留したモノフルオロリン酸化ポリマーからフッ化物イオンを放出させた。リン酸緩衝液中のフッ化物イオン濃度をイオンクロマトグラフ(ICS−2000;ダイオネクス社)にて測定した。測定はN=2で行い、判定はそれらの平均値を用いた。
【0124】
<イオンクロマトグラフの測定条件>
分離カラム:IonPac AS20,
ガードカラム:NG−1, カラム温度:30℃,検出器温度:35℃,
溶離液:55mM水酸化カリウム, 流速:1.2mL/分,導入量:20μL
【0125】
<判定基準>
◎:フッ化物イオン濃度が0.5ppm以上 1.0ppm未満
○:フッ化物イオン濃度が0.2ppm以上 0.5ppm未満
△:フッ化物イオン濃度が0.1ppm以上 0.2ppm未満
×:フッ化物イオン濃度が0.1ppm未満
【0126】
フロー試験後のフッ化物滞留性の評価:
実施例及び比較例に記載の製剤を定法により調製後、上記と同様に、歯磨剤及び洗口剤の処置液を調製し、プライマリアコートされた直径100mmのスタンダードディッシュを用いて処置を行った。処置後、ディッシュの底面に直径10mmの穴を作製し、シリンジポンプ(CFV−3200;日本光電工業株式会社)を用いて、0.3mL/分の速度で人工唾液をディッシュに流入した(口腔内の唾液フローを想定)。2時間流入後、ディッシュの穴を塞ぎ、5u/mLの酸性フォスファターゼ(イモ由来;シグマ社)を含有する1mLのリン酸緩衝液(pH5)をディッシュに注入し、24時間、37℃で振とうすることで、ディッシュに滞留したモノフルオロリン酸化ポリマーからフッ化物イオンを放出させた。リン酸緩衝液中のフッ化物イオン濃度をイオンクロマトグラフにて測定した。測定条件は、上記と同様である。測定はN=2で行い、判定はそれらの平均値を用いた。
【0127】
<判定基準>
◎:フッ化物イオン濃度が0.4ppm以上 0.7ppm未満
○:フッ化物イオン濃度が0.1ppm以上 0.4ppm未満
×:フッ化物イオン濃度が0.1ppm未満
【0128】
製剤使用性の評価:
以下の通り使用性の試験を行った。
歯磨剤;
各実施例及び比較例の歯磨剤を、それぞれ歯磨剤用ラミネートチューブに封入した。その後被験者5名を使って、チューブ入り歯磨剤の使用性について、チューブに入った歯磨剤のペーストを上質紙の上に約5cm押し出させることにより、歯磨剤の押し出し性を官能評価した。評価基準は以下の通りであり、被験者5名の平均値を用いた。
【0129】
判定基準
◎:適度な保型性で普通に押し出すことができる
○:やや固いあるいは軟らかいが、苦痛なく押し出すことができる
×:押し出すことが困難である、あるいは歯刷子に乗せた場合液だれする。
【0130】
洗口剤;
各実施例及び比較例の洗口剤を、洗口液用のPET製のボトル(500mL)に入れた。その後、被験者5名を使って、ボトル入り洗口剤の使用性について、ボトルを約100度傾け、10mLのプラスチック製カップに内容物を注ぐ際の注ぎやすさの官能評価を行った。評価基準は以下の通りであり、被験者5名の平均値を用いた。
【0131】
判定基準
◎:普通に注ぐことができる
○:やや時間がかかるが、苦痛なく注ぐことができる
×:注ぐことが困難である
【0132】
以上の結果を表2(歯磨剤)及び表3(洗口剤)にまとめた。また、総合判定基準は以下の通りとした。
総合判定基準
◎:フッ化物滞留性及び製剤使用性の全てが◎である。
○〜◎:フッ化物滞留性及び製剤使用性が○あるいは◎で、◎が1項目以上ある。
○:フッ化物滞留性及び製剤使用性の全てが○である。
×:フッ化物滞留性及び製剤使用性のうち、×が1項目以上ある。
【0133】
【表2−1】

【0134】
【表2−2】

【0135】
【表2−3】

【0136】
【表2−4】

【0137】
【表2−5】

【0138】
【表2−6】

【0139】
表2中、MFP化HEAAはモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー、MFP化HPCはモノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロース、MFP化PVAは、モノフルオロリン酸化ポリビニルアルコール、MFP化HEAはモノフルオロリン酸化ポリヒドロキシエチルアクリレートを表す。A/B(質量比)は、水溶性モノフルオロリン酸化又は非モノフルオロリン酸化高分子化合物(A)/粘結剤(B)の配合割合を示す。表中の70%ソルビット液については、有り姿での配合量を示した。
【0140】
【表3−1】

【0141】
【表3−2】

【0142】
【表3−3】

【0143】
【表3−4】

【0144】
【表3−5】

【0145】
【表3−6】

【0146】
表3中、MFP化HEAAはモノフルオロリン酸化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー、MFP化HPCはモノフルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセルロース、MFP化PVAは、モノフルオロリン酸化ポリビニルアルコール、MFP化HEAはモノフルオロリン酸化ポリヒドロキシエチルアクリレートを表す。A/B(質量比)は、水溶性モノフルオロリン酸化又は非モノフルオロリン酸化高分子化合物(A)/粘結剤(B)の配合割合を示す。なお、85%グリセリンについては、有り姿での配合量を示した。
【0147】
上記表2及び表3の結果の通り、本発明にかかわる水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物(A)と粘結剤(B)とを特定割合で配合した歯磨剤及び洗口剤は、使用性に優れ、更に処置直後のフッ化物滞留性だけでなく、2時間の唾液フロー後のフッ化物滞留性にも優れていることが判明した。
【0148】
なお、上記実施例以外に、本発明組成物のその他の処方例を以下に示す。
【0149】
〔処方例1〕歯磨剤(pH6.8)
無水ケイ酸 25.0
調製例a−1)で調製したモノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー 4.0
ラウリル硫酸ナトリウム 0.5
ポリオキシエチレンステアリルエーテル 0.5
プロピレングリコール 1.0
ポリアクリル酸ナトリウム(レオジック250H;日本純薬株式会社) 0.4
キサンタンガム(モナートガムDA;CPケルコ社) 0.5
70%ソルビット液 30.0
サッカリンナトリウム 0.1
水酸化ナトリウム 0.1
香料 0.6
精製水 残
計 100.0%
【0150】
〔処方例2〕歯磨剤(pH7.4)
無水ケイ酸 20.0
調製例a−2)で調製したモノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー 3.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
プロピレングリコール 3.0
ポリエチレングリコール 1.5
アルギン酸ナトリウム(I−1;株式会社キミカ製) 0.5
カラギーナン(GENUVISCO PJ−JPE;CPケルコ社製) 0.8
デキストラナーゼ 0.2
70%ソルビット液 35.0
キシリトール 5.0
サッカリンナトリウム 0.3
フッ化ナトリウム 0.05
リン酸水素二ナトリウム 0.5
香料 1.2
精製水 残
計 100.0%
【0151】
〔処方例3〕歯磨剤(pH6.5)
無水ケイ酸 15.0
調製例b−1)で調製したモノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシプロピルセルロース 4.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.5
プロピレングリコール 2.0
キサンタンガム(サンエースB−S;三栄源エフエフアイ株式会社) 0.2
ポリアクリル酸ナトリウム(レオジック250H;日本純薬株式会社) 0.15
85%グリセリン 20.0
70%ソルビット液 40.0
硫酸ナトリウム 0.5
メチルパラベン 0.1
サッカリンナトリウム 0.15
香料 0.6
精製水 残
計 100.0%
【0152】
〔処方例4〕歯磨剤(pH8.0)
無水ケイ酸 20.0
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.2
調製例b−2)で調製したモノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシプロピルセルロース 2.0
ラウリル硫酸ナトリウム 0.5
2−ヤシ油アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウムの30%水溶液 0.3
プロピレングリコール 2.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
(1220;ダイセル化学工業株式会社)
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.5
(サンローズF10LC;日本製紙株式会社)
70%ソルビット液 25.0
塩化セチルピリジニウム 0.02
キシリトール 3.0
安息香酸ナトリウム 0.4
水酸化ナトリウム 0.5
香料 0.5
精製水 残
計 100.0%
【0153】
〔処方例5〕歯磨剤(pH6.2)
無水ケイ酸 20.0
調製例c−2)で調製したモノフルオロリン酸ナトリウム化ポリビニルアルコール
2.0
ラウリル硫酸ナトリウム 0.5
ポリオキシエチレン(平均付加EO20モル)硬化ヒマシ油 0.5
プロピレングリコール 3.0
アルギン酸ナトリウム(I−1;株式会社キミカ製) 0.5
カラギーナン(GENUVISCO PJ−JPE;CPケルコ社製) 0.2
70%ソルビット液 30.0
キシリトール 15.0
塩酸 0.3
サッカリンナトリウム 0.1
メチルパラベン 0.2
香料 0.8
精製水 残
計 100.0%
【0154】
〔処方例6〕歯磨剤(pH8.2)
無水ケイ酸 20.0
調製例d−2)で調製したモノフルオロリン酸ナトリウム化ポリヒドロキシエチルアクリレート 4.0
ラウリル硫酸ナトリウム 0.5
2−ヤシ油アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウムの30%水溶液 0.3
プロピレングリコール 2.0
アルギン酸ナトリウム(ULV−3;株式会社キミカ) 0.2
ポリアクリル酸ナトリウム(レオジック250H;日本純薬株式会社) 0.4
キサンタンガム(モナートガムDA;CPケルコ社) 0.6
70%ソルビット液 30.0
水酸化ナトリウム 0.5
デキストラナーゼ 0.3
サッカリンナトリウム 0.02
安息香酸ナトリウム 0.5
香料 0.8
精製水 残
計 100.0%
【0155】
〔処方例7〕洗口剤(pH6.5)
調製例a−2)で調製したモノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマー 2.0
カラギーナン(GENUVISCO PJ−JPE;CPケルコ社製) 0.4
ポリオキシエチレン(平均付加EO60モル)硬化ヒマシ油 0.4
クエン酸 0.05
クエン酸3ナトリウム 0.3
塩化ベンザルコニウム 0.02
サッカリンナトリウム 0.1
キシリトール 3.0
85%グリセリン 7.0
エタノール 2.0
香料 0.3
精製水 残
計 100.0%
【0156】
〔処方例8〕洗口剤(pH7.0)
調製例b−2)で調製したモノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシプロピルセルロース 1.0
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
(サンローズF10LC;日本製紙株式会社)
ポリオキシエチレン(平均付加EO60モル)硬化ヒマシ油 0.2
クエン酸 0.01
クエン酸3ナトリウム 0.3
フッ化ナトリウム 0.02
サッカリンナトリウム 0.1
キシリトール 5.0
プロピレングリコール 5.0
デキストラナーゼ 0.2
安息香酸ナトリウム 0.3
香料 0.3
精製水 残
計 100.0%
【0157】
〔処方例9〕洗口剤(pH6.5)
調製例c−2)で調製したモノフルオロリン酸ナトリウム化ポリビニルアルコール
0.5
ポリアクリル酸ナトリウム(レオジック250H;日本純薬株式会社) 0.05
ポリオキシエチレン(平均付加EO60モル)硬化ヒマシ油 0.4
クエン酸 0.05
クエン酸3ナトリウム 0.3
グリチルリチン酸 0.2
サッカリンナトリウム 0.1
85%グリセリン 4.0
エタノール 5.0
安息香酸ナトリウム 0.4
香料 0.3
精製水 残
計 100.0%
【0158】
〔処方例10〕洗口剤(pH7.0)
調製例d−2)で調製したモノフルオロリン酸ナトリウム化ポリヒドロキシエチルアクリレート 1.0
アルギン酸ナトリウム(ULV−3;株式会社キミカ) 0.5
ポリオキシエチレン(平均付加EO60モル)硬化ヒマシ油 0.3
クエン酸 0.01
クエン酸3ナトリウム 0.3
サッカリンナトリウム 0.05
キシリトール 5.0
プロピレングリコール 3.0
デキストラナーゼ 0.2
安息香酸ナトリウム 0.3
香料 0.3
精製水 残
計 100.0%
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】調製例a−8)で得られたヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーの1H−NMRスペクトルチャートである。
【図2】調製例a−2)で得られたモノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシエチルアクリルアミドポリマーの1H−NMRスペクトルチャートである。
【図3】調製例d−2)で得られたモノフルオロリン酸導入前のヒドロキシエチルアクリレートポリマーの1H−NMRスペクトルチャートである。
【図4】調製例d−2)で得られたモノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシエチルアクリレートポリマーの1H−NMRスペクトルチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種のポリマーの、ポリマー分子中にモノフルオロリン酸が共有結合した重量平均分子量5,000〜500,000の水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物(A)と、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム、ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種の粘結剤(B)とを、(A)/(B)の質量比が0.5〜10で配合してなることを特徴とする歯磨剤組成物。
【請求項2】
ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種のポリマーの、ポリマー分子中にモノフルオロリン酸が共有結合した重量平均分子量5,000〜500,000の水溶性モノフルオロリン酸化高分子化合物(A)と、アルギン酸及びその塩、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム、ポリアクリル酸及びその塩から選ばれる少なくとも1種の粘結剤(B)とを、(A)/(B)の質量比が0.5〜20で配合してなることを特徴とする洗口剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−102282(P2009−102282A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278024(P2007−278024)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】